説明

内部品質判定装置

【課題】収穫された青果物の成分(糖度等)を光によって測定し、非破壊で異常果の判定をおこなう内部品質判定装置において、複雑な論理演算を用いず、かつ、内部品質センサ単独で行う判定結果に比べて、より高精度な判定結果を容易に得ることができる技術を提供することが課題である。
【解決手段】青果物6の内部品質を非破壊で判定する品質判定手段4を備えた内部品質判定装置1であって、該品質判定手段4は光学的に判定する内部品質センサ8と、においの強度を測定する、においセンサ26と、を具備し、該両センサ8・26の測定値による総合判定により異常果の選別を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫された青果物の成分(糖度等)を光によって測定し、非破壊で異常果の判定を行なう内部品質判定装置において、より高精度な判定結果を得るための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より青果物の内部品質を測定する手段として、内部品質センサによる内部品質判定装置が公知となっている。前記内部品質センサは青果物を破壊することなく、青果物の糖度や酸度等の内部品質を判定する非破壊品質判定装置であり、これに搬送手段や選別部等を具備させて内部品質判定装置を構築したものが知られている。
ここで測定対象とする青果物には梨、蜜柑、イチゴ、スイカ等様々な種類があるが、同種類の青果物であっても大きさや形状、皮や果肉の厚み等、様相は千差万別であり、内部品質センサ単独による評価では判定精度がとかく左右され、大量の異常果が市場に流通される可能性も否めなかった。
【0003】
そこで内部品質の判定精度をより向上させるための技術が、「特許文献1」により公知とされている。すなわち、特許文献1では内部品質センサを用いた青果物の内部品質判定装置において、青果物の重量、および、体積の測定データから別途算出された該青果物の密度情報を考慮することにより、前記内部品質センサによる判定精度を向上させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−139433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記「特許文献1」によれば、青果物の密度情報を判定条件に加えた論理演算を構築することで、内部品質センサの判定精度をより向上させることができる。
しかしながら、青果物の密度情報を判定条件に加えるためには青果物の重量、および、体積を測定する装置が別途必要となり、また、密度の算出や、判定条件等、演算プログラムも複雑になるため、大掛かりな装置となり、実現性に乏しいものであった。
そこで本発明においては、収穫された青果物の成分(糖度等)を光によって測定し、非破壊で異常果の判定をおこなう内部品質判定装置において、複雑な論理演算を用いず、かつ、内部品質センサ単独で行う判定結果に比べて、より高精度な判定結果を容易に得ることができる技術を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、青果物の内部品質を非破壊で判定する判定手段を備えた内部品質判定装置であって、該判定手段は光学的に判定する内部品質センサと、においの強度を測定する、においセンサと、を具備し、該両センサの測定値による総合判定により異常果の選別を行なうものである。
【0007】
請求項2においては、前記においセンサを筐体で覆うものである。
【0008】
請求項3においては、前記判定手段による判定結果において、前記においセンサの測定値から、青果物の熟度を判定するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、青果物の内部品質を測定する手段として、内部品質センサと、においセンサと、を具備し、該両センサの測定値による総合判定により異常果の選別を行なうことで、従来の内部品質センサ単独による判定と比べて、より精度の高い判定結果を得ることができる。
【0011】
請求項2においては、前記においセンサを被包空間内部に設けることにより、測定対象物である青果物のにおいを外部に漏出することなく密閉でき、僅かなにおいでも検出することができる。
【0012】
請求項3においては、前記判定手段の総合判定として、内部品質センサ、および、においセンサの測定値に関する判定基準を予め設けておき、両センサの判定結果が共に正常となる場合に限って、正常な青果物と判定するで、従来の内部品質センサ単独による判定と比べて、より精度の高い判定結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る内部品質判定装置の側面図である。
図2はにおいセンサ、および、内部品質センサ近傍を示す側面図である。
図3は内部品質センサ近傍を示す正面断面図である。
図4はにおいセンサ近傍を示す正面断面図である。
図5は本発明に係る搬送皿の構成を示す側面断面図である。
図6は本発明に係る、においセンサ、および、内部品質センサを用いた異常果判定法の流れを示すフローチャートである。
図7はにおいセンサの測定値(臭気指数)と、内部品質センサの出力電圧の測定値との関係を示すグラフである。
【0014】
[内部品質判定装置1全体構成]
まず、本実施例における内部品質判定装置1の全体構成について図1を用いて説明する。なお、図1の矢印Aで表される方向は青果物6が搬送される方向(搬送方向A)とし、青果物6は搬送手段2の上流側(図1の右側)から下流側(図1の左側)に向かって搬送されるものとする。
【0015】
本実施例における内部品質判定装置1は、光や電気抵抗等を用いて青果物6の糖度または酸度等を測定し、該測定結果にもとづいて選別を行うものであり、主に搬送手段2、品質判定手段4、制御手段10、搬送皿5・5・・・等で構成される。ここで、前記青果物6とは、梨、蜜柑、イチゴ、その他の果物類、または、野菜類の総称であり、本実施例では青果物6として梨について説明する。
【0016】
[搬送手段2]
搬送手段2は、搬送体となるベルト等からなる無端帯13・13から構成されており、前記搬送手段2の無端帯13・13の搬送方向一側には複数のプーリー11・11・11と駆動プーリー9が配設され、該駆動プーリー9を固設する駆動軸に駆動モータ12が連結され、該駆動モータ12を作動させることにより無端帯13・13を回転駆動可能に構成している。
また、駆動モータ12の近傍には搬送手段2の搬送駆動状態を検知するためにエンコーダ7が設けられ、駆動プーリー9または無端帯13・13の回転を検知する構成としている。
【0017】
なお、無端帯13・13は図3、および、図4に示すとおり、正面視にて左右両側に所定の間隔を空けて配置されており、後述する内部品質センサ8によって下方から青果物6に向かって光を照射しても、遮断されない構造となっている。
【0018】
[品質判定手段4]
品質判定手段4は青果物6の内部品質である糖度(甘味)や酸度(酸味)を非破壊で判定するものであり、図1、図2に示すように、内部品質センサ8や、においセンサ26等が設けられている。すなわち、搬送手段2の中途部に設けられる筐体23において、上流側から下流側に向かって、内部品質センサ8や、においセンサ26が順に配置されており、青果物6は搬送手段2によって搬送されながら、順次、両センサ8・26にて測定される。
【0019】
[内部品質センサ8]
図3において、内部品質センサ8は主に投光手段16や、受光手段17等で構成され、搬送手段2を挟んで上下方向に互いに対峙して筐体23内部に設けられている。
ここで、筐体23は内部品質センサ8や、においセンサ26等、他の部材を固定する構造体であるとともに、該内部品質センサ8の投光手段16、および、受光手段17に外部からの光が影響することを防止するため、あるいは、後述するにおいセンサ26の測定対象物である青果物6のにおいが外部に漏出するのを防ぐ被覆手段を兼ねる。また、筐体23は略直方体の箱であり、搬送方向両側に開口部23a、および、開口部23bが筐体23の互いに対向して開口され、搬送手段2が開口部23a・開口部23bを貫通している。
前記開口部23a・23bには遮光カーテン23c・23cが設けられており、青果物6が筐体23に搬入、あるいは、搬出される場合を除いて、前記開口部23a・23bを塞ぐ役目を果たしている。
なお、前記遮光カーテン23cにおいては本実施例のごとく限定されるものではなく、たとえば、青果物6の進入を検知してアクチュエーター等により自動的に開閉動作する扉を設けてもよく、筐体23内部に光が入らない構造であればよい。
【0020】
内部品質センサ8に具備される投光手段16は、内部品質を測定するための光(赤外線やレーザー光等)を青果物6に照射するものであり、ケーブル16aにより制御手段10に接続されている。投光手段16は具体的にはランプ、または、LED等で構成される。
【0021】
また、内部品質センサ8に具備される受光手段17は、投光手段16により照射され、青果物6内を通過してきた透過光を受けるものであり、ケーブル17aにより制御手段10に接続されている。受光手段17は具体的にはフォトダイオードやフォトトランジスタやCCD等で構成される。
【0022】
ここで、前記投光手段16は筐体23内部において搬送手段2の下方に配設され、かつ、前記受光手段17は筐体23内部において搬送手段2の上方に配設される。そして、投光手段16より照射される光は後述する搬送皿5の中央部に穿設された透過孔5b、および、透過孔5cを通過し、該搬送皿5上に載置された青果物6を透過して受光手段17に受光される。
【0023】
このとき、上述のとおり、搬送手段2の無端帯13・13は正面視にて左右両側に所定の間隔を空けて配置されており、両無端帯13・13間を投光手段16からの光が通過するように構成されている。従って、搬送手段2が光路(投光手段16から受光手段17までの光の経路)を遮ることがない。
【0024】
受光手段17により受光される光(青果物6の透過光)は、投光手段16により照射される光と比較すると、特定の波長成分が減少している。これは、青果物6中に含まれる糖度に係る成分や酸度に係る成分が特定の波長成分を吸収することに起因している。
【0025】
従って、この吸収量を測定する(青果物6が光路を遮っていない状態で受光手段17が受光しているときの特定波長成分と、青果物6が光路を遮っている状態で受光手段17が受光しているときの特定波長成分とを比較する)ことにより、光が透過した部位に存在する青果物6の糖度に係る成分や、酸度に係る成分の量(より厳密には、糖度に係る成分分子の個数や酸度に係る成分分子の個数)を測定することが可能である。
なお、青果物6の内部品質を光学的に判定する方法としては、本実施例のごとく透過光を用いるだけでなく、反射光を用いる方法等も考えられ限定されない。
【0026】
[においセンサ26]
図4において、においセンサ26は主に本体部26aと測定部26bとから構成され、搬送手段2の上方において、該測定部26bを下方に向けて配置されている。
ここで、本実施例における、においセンサ26は、においの成分を検出する半導体センサ素子から構成された、半導体ガスセンサを応用したものであり、測定対象とする青果物6のにおいを「においの強度」として数値的に表現する測定機器である。
すなわち、大気中の酸素を表面部に負イオン吸着した酸化物半導体において、においの成分をあてると、該成分により酸化反応が起こり、該半導体の導電率が増加する。従って、この導電率の変化量を電気的に測定することにより、においの成分の含有量を測定することができ、該含有量をもって、においの強さが測定できる。
なお、においの強さを検出する方法としては、本実施例に示す「半導体センサ方式」の他に、「熱式センサ方式」、「水晶振動子センサ方式」等があるが、これら他の検出方法を用いて、品質判定手段4を構成しても構わない。
【0027】
本体部26aには、測定部26bと対向する一端側部にはケーブル26dが設けられており、該ケーブル26dを介して制御手段10と連結されている。また、該測定部26bの先端部には碗形状を有したカバー26cが付設されており、青果物6から周囲に向かって放たれる「におい」を集めて、適確に検知できる構成となっている。
すなわち、においセンサ26は通常、周囲が略密封される筐体23の内部に設けられているため、外部からの通風はほとんど無く、測定対象とする青果物6のにおいが攪乱されることは少ないが、開口部23a・23bでの遮光カーテン23c・23cの開閉動作による僅かな乱流等により、においが一時乱される場合もある。
この場合、上述の前記カバー26cを設けることによって、攪乱された「におい」を再び集束して、効果的に検知することができる。
【0028】
このような構成からなる、においセンサ26は、前記筐体23の内部において、図示しないシリンダー等を介して上下可動自在に設けられており、青果物6が測定位置、すなわち、においセンサ26の直下に到達すると、該青果物6の上部近傍まで下降し、その後、においの測定が行われる。そのため、本実施例における内部品質判定装置1では、たとえ大きさの不揃いな青果物群6・6・・・を連続して投入しても、効果的に「においの強さ」を測定することができる。
【0029】
なお、内部品質判定装置1に投入される青果物6の大きさや形状等を、できる限り統一することによって、においセンサ26の配置を固定することは可能であり、この場合、上述のようにシリンダー等を介して上下可動させる必要も無く、支持材等を介して、においセンサ26を筐体23に固設することができる。そして、においを検出した後は次の成果物6のにおいを計測する時に前の成果物のにおいが残らないように、筐体23から青果物が搬出される毎にファン等を用いて空気を入れ替えるようにしている。
【0030】
[制御手段10]
制御手段10は、図1に示すように、内部品質判定装置1を構成する品質判定手段4や、搬送手段2や、タグ読取装置18等を制御するものである。すなわち、制御手段10にはこれら各手段2・4・17等の動作を制御するためのプログラムを格納する演算記憶部10b等を備えており、品質判定手段4や、容器検知手段14や、タグ読取装置18等と接続してこれらからの情報を取得したり、該品質判定手段4及び搬送手段2等への電力の供給や、動作指令(信号)を送信したりすることが可能である。
【0031】
ここで、容器検知手段14は光センサ等で構成され、搬送手段2の搬送経路において、品質判定手段4よりも上流側となる位置に設けられており、搬送皿5が通過したことを示す信号を制御手段10に送信する。
【0032】
なお、図2に示す如く、容器検知手段14の上下方向の高さは、搬送手段2上を搬送されている搬送皿5の溝5dの、上下方向の高さと略同じであり、複数個の搬送皿5・5・・・が搬送方向に連なって(側面同士が接触した状態で)搬送手段2上を搬送されている場合でも、隣接する搬送皿5・5の側面の溝5dが成す隙間により容器検知手段14からの光は搬送皿5・5の向こう側まで通過可能である。従って、搬送皿5・5・・・を一個ずつ確実に検知することが可能である。
【0033】
タグ読取装置18は、品質判定手段4の入口付近に配設されており、搬送皿5に添付されたIDタグ15に記憶された生産者や生産場所等の情報を読み取るものである。
なお、タグ読取装置18の配設される位置は本実施例に限定されるものではなく、前記品質判定手段4の出口付近や、更に下流側に位置する青果物6の搬出部付近に配設されてもよい。
【0034】
そして、該演算記憶部10bでは、タグ読取装置18によって読み取った生産者情報を上述の内部品質センサ8や、においセンサ26による判定結果等に対応させて、該演算記憶部10bに該生産者情報と該判定結果等を記憶させる。表示部10aは、記憶された生産者ごとの該判定結果等を表示することができる。更に、等級(階級)別の数や平均値等も表示することができる。
【0035】
前記制御手段10は、表示部10aと演算記憶部10b等から構成されている。演算記憶部10bは、容器検知手段14からの検知信号を受信し、前記演算記憶部10bに記憶された演算プログラムにより、搬送手段2を駆動または停止させる。つまり、品質判定手段4の手前に搬送皿5が到達すると搬送を停止し、該品質判定手段4により青果物6の内部品質の測定を行うように制御する。
また、該演算記憶部10bでは、品質判定手段4に設けられる内部品質センサ8、および、においセンサ26によって測定された内部品質にもとづいて青果物6・6・・・の異常果の判定を行ない、その結果を記憶する。
【0036】
[搬送皿5]
搬送皿5はトレイやパンといった搬送用容器の実施の一形態であり、表面を傷めることなく青果物6を搬送するためのものである。すなわち、図5において、搬送皿5は青果物6を乗せるための載置面5aを有する皿部21と、該皿部21の下方において空間を形成する略円筒状の中空部材である筒部22とで構成される。
【0037】
搬送皿5はゴム等の弾性体や合成樹脂などから構成され、青果物6を載置したときにその表面を傷めることがない。また、測定に直接関係しない光の透過を防ぐため、搬送皿5は遮光性がある材質で構成されている。
【0038】
皿部21の載置面5aは、中心部にかけて窪んだ碗型となっており、この載置面5a、および、筒部22の底面の中央部には、それぞれ透過孔5b、および、透過孔5cが穿設されている。このとき、透過孔5b、および、透過孔5cの孔径は、載置される青果物6が下方に落下せず、かつ、前述の内部品質センサ8における測定用の透過光が搬送皿5の上下に通過可能な大きさに定められている。また、搬送皿5には筒部22の外周面に沿ってリング状の溝5dが形成されている。
【0039】
搬送皿5の側面若しくは底面には、IDタグ15が添付されており、該IDタグ15には予め、青果物6の生産者番号や収穫日等の生産者情報が記憶されている。これは、上述のとおり、生産者毎に選果時における青果物6の異常果の割合等を把握するためである。
【0040】
[異常果の判定手順]
次に、本実施例の品質判定手段4による異常果の判定手順について、図6、および、図7を用いて説明する。
まず、搬送皿5に載置される青果物6は搬送手段2によって搬送され、品質判定手段4の手前に到達すると、容器検知手段14によって検知され、IDタグ15の情報がタグ読取装置18によって読み取られる。(ステップS101)。
【0041】
容器検知手段14によって検知された出力信号は制御手段10の演算記憶部10bに送られ、その後、該演算記憶部10bは内部品質センサ8と、においセンサ26との測定開始タイミングを演算し、該タイミングに合わせてこれらセンサ類8・26をそれぞれ動作させる。
【0042】
すなわち、演算記憶部10bには、容器検知手段14から各センサ8・26までの距離情報として、エンコーダ7のパルス信号数が予め記憶されており、該容器検知手段14の出力信号が入力されると、演算記憶部10bはエンコーダ7のパルス信号数のカウントを開始する。そして、青果物6が載置される搬送皿5は、搬送手段2によって内部品質センサ8、および、においセンサ26へと搬送されて行き、各センサ8・26は、前記青果物が到着するタイミングにおいて、正確に動作することになる。なお、その後ろの搬送皿5の搬送は停止され、所定のタイミングで搬送される。
【0043】
青果物6が内部品質センサ8に到着すると(ステップS102)、投光手段16により赤外線、あるいは、レーザー光が該青果物6に向かって照射され、該青果物6の糖度(甘味)や酸度(酸味)が測定される(ステップS103)。
【0044】
ここで、本実施例における内部品質センサ8は、上述のとおり、青果物6の糖度等を測定する方法として、該青果物6が光路を遮っていない状態で受光手段17が受光しているときの特定波長成分から、青果物6が光路を遮っている状態で受光手段17が受光しているときの特定波長成分を減算した値を、糖度等の測定値(mV)として検出し、該出力値は演算記憶部10bに送られ、その後、該演算記憶部10bによって、青果物6の糖度等が測定される。
【0045】
すなわち、演算記憶部10bには、予め定められた糖度の範囲(レベル)及び酸味の範囲(レベル)が記憶され、測定された値がどの範囲(レベル)にあるかが判定され、搬送装置下流側の選別装置によってそれぞれその範囲に属する等級に選別される(ステップS104)。そして更に、次工程のにおいセンサ26による測定がなされる。
【0046】
内部品質センサ8による糖度等の測定後、青果物6は、においセンサ26へと搬送され(ステップS105)、該青果物6の発する「においの強さ」が測定される。
すなわち、青果物6の到着後、においセンサ26は該青果物6の上部近傍まで下降され、本体部26aに内蔵される吸引ポンプが作動し、「においの強さ」が測定される(ステップS106)。
【0047】
においセンサ26により測定された「においの強さ」は電気信号として演算記憶部10bに送られ、その後、該演算記憶部10bによって、青果物6が「正常果」か「異常果」かの判定がなされる。
すなわち、演算記憶部10bには予め定められた閾値としてi1からなる「においの強さ」が記憶されており、測定された値i0が閾値i1以下に収まれば「正常果」と判定され、閾値i1以下に収まらなければ、「異常果」と判定され、破棄されることとなる(ステップS107)。
【0048】
なお、上述の判定により、「正常果」と判断された青果物6については、演算記憶部10bにおいて「においの強さ」の測定値を基にして、さらに熟度が評価され、賞味期限等の演算がなされる。
すなわち、青果物6から発せられる「におい」においては、該青果物6の熟度が進行するに従い、特有のにおいの成分が増加していく。前記においの成分は含有量が増加するに従い徐々にその「においの強さ」を増していくため、予め該成分に関する「においの強さ」と、青果物6の熟成状態との対応関係を演算記憶部10bに記憶させ、青果物6の「においの強さ」の測定値と比較考慮することにより、該青果物6の熟度(賞味期限等)が演算されるのである(ステップS108)。
【0049】
このように、青果物6は内部品質センサ8、および、においセンサ26により、「正常果」、あるいは、「異常果」の判定をそれぞれのセンサ8・26によりなされ、これらのデータをもとに、該青果物6が出荷可能か、破棄するかの総合判定が演算記憶部10bによりなされる。
【0050】
すなわち、青果物6の「熟れ状態」については、図7に示すように、横軸の「臭気指数」が増加するに従い、内部品質センサ8によって検出される測定値もほぼ同じ割合で増加していく。これを利用して、「正常果」と判定した青果物6を「臭気指数」によって「未熟」「食べごろ」「熟れ過ぎ」の段階に分けて、それぞれどの段階にあるかを判定して、下流側の選別装置により選別して、出荷するように構成することも可能である。または、「臭気指数」を「熟度」として、「においの強さ」がどの熟度に相当するかを判定し、下流側に設ける選別装置で熟度毎に選別するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例に係る内部品質判定装置の側面図。
【図2】においセンサ、および、内部品質センサ近傍を示す側面図。
【図3】内部品質センサ近傍を示す正面断面図。
【図4】においセンサ近傍を示す正面断面図。
【図5】本発明に係る搬送皿の構成を示す側面断面図。
【図6】本発明に係る、においセンサ、および、内部品質センサを用いた異常果判定法の流れを示すフローチャート。
【図7】においセンサの測定値(臭気指数)と、内部品質センサの出力電圧の測定値との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0052】
1 内部品質判定装置
2 搬送手段
4 品質判定手段
5 搬送皿
5b 透過孔
5c 透過孔
5d 溝
6 青果物
8 内部品質センサ
13 無端帯
23 筐体
26 においセンサ
26a 本体部
26b 測定部
26c カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物の内部品質を非破壊で判定する判定手段を備えた内部品質判定装置であって、該判定手段は光学的に判定する内部品質センサと、においの強度を測定する、においセンサと、を具備し、該両センサの測定値による総合判定により異常果の選別を行なうことを特徴とする内部品質判定装置。
【請求項2】
前記においセンサを筐体で覆うことを特徴とする、請求項1に記載の内部品質装置。
【請求項3】
前記判定手段による判定結果において、前記においセンサの測定値から、青果物の熟度を判定することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の内部品質判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−96226(P2008−96226A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277023(P2006−277023)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】