説明

内部欠陥測定方法および装置

【課題】構造体の内部欠陥の大きさと深さを定量的かつ高精度に測定・評価できる欠陥の大きさと深さ評価方法および装置を提供することにある。
【解決手段】腐食減肉部の検出および残肉厚を算出する処理手順は、(1)検出データの収集(S10)強磁性体でつくられた構造体の外面を走査させることによって、磁束検出コイルにて検出データの収集を行う(2)位相検波処理(S20)基準となる信号を乗算した後、フィルタリング処理を行う(3)座標変換(S30)先に求めたベクトル座標の座標変換すなわち座標軸の回転を行う(4)減肉部の検出(S40)(5)欠陥径の推定(S50)各ch間の減衰の仕方(傾き)から欠陥径の推定を行う(6)残肉厚の算出(S60)の順に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強磁性体で作られたプレート、ボックスおよびパイプなどの形状を有する構造体の内面の欠陥の大きさと深さを、電磁誘導法によって構造体の外面から測定し、評価する内部欠陥測定方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
強磁性体で作られた構造体の内部の欠陥を、検出・評価しようとすると、直接構造体の内部を測定することが難しい場合や、またできるとしても多大な手間や費用がかかる場合が多い。そこで、構造体の外面からの測定によって、構造体の内部の欠陥を、検出・評価する方法として、超音波探傷法が一般的には用いられており、例えば、特許文献1の開示がある。この技術は、鋼材の内部や表面に存在する欠陥を、超音波探触子を複数個並設してマルチチャネルで超音波探傷を行うものである。
【0003】
しかしながら、特許文献1で示すような超音波探傷法には、探触子をあてる面の錆やごみなどの異物、場合によっては塗膜を除去するという下地処理が必要であり、測定にあたって手間がかかるという問題がある。また、測定対象との間に、接触媒質が必要であり、さらに、測定個所がピンポイントになる(特許文献1では、超音波探触子を複数個並設することによって、この欠点に対処している)などの問題点がある。
【0004】
これに対して、電磁誘導法をもちいた構造体の内部欠陥検出技術が提案されている。例えば、特許文献2の開示がある。この技術は、離して設けた2つの励磁手段により、鋼材内に向きが反対で透過磁束密度の同じ磁束が透過するように励磁し、2つの励磁手段の中間位置で前記鋼材から漏れる磁束密度を漏れ磁束密度検出手段で検出するようにして、鋼材の腐食または亀裂等を検出する方法である。
【特許文献1】特許3228132号公報
【特許文献2】特開平11−44674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2で示される方法は、超音波探傷法のように、探触子をあてる面の錆やごみなどの異物、または塗膜を除去する必要はないものの、鋼材の腐食または亀裂等を検出するのみである。すなわち、構造体の内部欠陥の大きさと深さを定量的に測定・評価できるものでなく、構造物の健全性を評価するためには十分でないという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、構造体の内部欠陥の大きさと深さを定量的かつ高精度に測定・評価できる内部欠陥測定方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る発明は、低周波電磁誘導法により強磁性体でつくられた構造体の内部欠陥の測定を行う内部欠陥測定方法において、励磁コイルと磁束検出手段で構成されるセンサを前記構造体の外面を走査させることによって、検出データの収集を行う検出データ収集工程と、収集した検出データに対して、基準となる信号および基準となる信号の位相を90°ずらせた信号をそれぞれ別個に乗算した後、フィルタリング処理を行う位相検波処理工程と、該位相検波処理工程で得られた信号を描かせるベクトル座標のゼロ点を任意の位置に移動させ、さらにその信号軌跡の長楕円の長径および短径方向に座標軸の回転を行う座標変換工程と、座標変換された検出データに基づき欠陥の大きさを求める欠陥径の推定工程と、求めた欠陥径に基づき残肉厚の算出を行う残肉厚の算出工程とを有することを特徴とする内部欠陥測定方法である。
【0008】
また本発明の請求項2に係る発明は、低周波電磁誘導法により強磁性体でつくられた構造体の内部欠陥の測定を行う内部欠陥測定方法において、励磁コイルと磁束検出手段で構成されるセンサを前記構造体の外面を走査させることによって、検出データの収集を行う検出データ収集工程と、収集した検出データに対して、基準となる信号および基準となる信号の位相を90°ずらせた信号をそれぞれ別個に乗算した後、フィルタリング処理を行う位相検波処理工程と、該位相検波処理工程で得られた信号を描かせるベクトル座標のゼロ点を任意の位置に移動させ、さらにその信号軌跡の長楕円の長径および短径方向に座標軸の回転を行う座標変換工程と、座標変換した信号の急峻な立ち上がり部分を検出することにより減肉ありと判定する減肉部の検出工程と、検出された減肉部における検出データに基づき欠陥の大きさを求める欠陥径の推定工程と、求めた欠陥径に基づき残肉厚の算出を行う残肉厚の算出工程とを有することを特徴とする内部欠陥測定方法である。
【0009】
また本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の内部欠陥測定方法において、前記欠陥径の推定工程は、前記センサの各チャンネル間の検出データまたは前記センサの走査方向の検出データの減衰量の傾きから欠陥の大きさを求めることを特徴とする内部欠陥測定方法である。
【0010】
また本発明の請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の内部欠陥測定方法において、前記残肉厚の算出工程は、求めた欠陥径と、長楕円長さと無次元量(欠陥径/残肉厚)との関係とを用いて残肉厚の算出を行うことを特徴とする内部欠陥測定方法である。
【0011】
また本発明の請求項5に係る発明は、強磁性体でつくられた構造体の内部欠陥の測定を行う低周波電磁誘導法を用いた内部欠陥測定装置において、励磁コイルと磁束検出手段で構成されるセンサと、該センサを前記構造体の外面を走査させることによって、検出データの収集を行う検出データ収集手段と、収集した検出データに対して、位相検波処理およびフィルタリング処理を行う位相検波処理手段と、該位相検波処理手段で得られた信号を描かせるベクトル座標のゼロ点を任意の位置に移動させ、さらにその信号軌跡の長楕円の長径および短径方向に座標軸の回転を行う座標変換手段と、座標変換された検出データに基づき欠陥の大きさを求める欠陥径の推定手段と、求めた欠陥径に基づき残肉厚の算出を行う残肉厚の算出手段とを有する信号処理装置と、を備えることを特徴とする欠陥の大きさと深さ評価装置である。
【0012】
さらに本発明の請求項6に係る発明は、強磁性体でつくられた構造体の内部欠陥の測定を行う低周波電磁誘導法を用いた内部欠陥測定装置において、励磁コイルと磁束検出手段で構成されるセンサと、該センサを前記構造体の外面を走査させることによって、検出データの収集を行う検出データ収集手段と、収集した検出データに対して、位相検波処理およびフィルタリング処理を行う位相検波処理手段と、該位相検波処理手段で得られた信号を描かせるベクトル座標のゼロ点を任意の位置に移動させ、さらにその信号軌跡の長楕円の長径および短径方向に座標軸の回転を行う座標変換手段と、座標変換した信号の急峻な立ち上がり部分を検出することにより減肉ありと判定する減肉部の検出手段と、検出された減肉部における検出データに基づき欠陥の大きさを求める欠陥径の推定手段と、求めた欠陥径に基づき残肉厚の算出を行う残肉厚の算出手段とを有する信号処理装置と、を備えることを特徴とする内部欠陥測定装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、強磁性体で作られた構造体の外部から、探触子をあてる面の錆やごみなどの異物、または塗膜を除去することなく、構造体の内部欠陥の大きさと深さを定量的かつ高精度に測定・評価することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明で用いる低周波電磁誘導法について、先ず説明を行う。図2は、装置構成の一例を示す図であり、一般的な電磁誘導法とほぼ同様の構成である。図中、1は被測定物、2は励磁コイル、3は磁束検出手段、4は強磁性体コアおよび5は欠陥部をそれぞれ示している。

励磁コイル2を巻き付けたコの字型の強磁性体コア4を、図にように被測定物1に対向させて、励磁コイル2に励磁信号を印加して強磁性体コア4内に磁束を発生させて、欠陥部5に発生する漏洩磁束を磁束検出手段3で検出するものである。この磁束検出手段3には、コイルや感磁素子などを用いるようにするとよい。一般的な電磁誘導法と低周波電磁誘導法の最も大きな違いは、励磁信号の周波数である。一般的な電磁誘導法では、数百k〜数MHzの高周波の励磁信号により、磁束を表層部に集中させるのに対して、低周波電磁誘導法では、励磁信号の周波数を数百Hz以下程度の低周波にすることにより、磁束の分布を測定対象の板厚方向に広げ、厚さ方向の感度を向上させるようにしている。 図4は、本発明で用いる位相検波処理を説明する図である。磁束検出手段からの検出信号に対して、基準となる信号(励磁信号を用いる場合が多い)を乗算した後、ノイズ除去など通常行われるフィルタリング処理(例えば、ローパスフィルタリング)を行う。それによって得られた信号をY信号とよぶ。同様に、基準となる信号の位相を90°遅らせた上で乗算して得られる信号をX信号とよぶ。図5は、これらを縦軸Y、横軸Xとするベクトル座標上にプロットした図である。
【0015】
発明者らは、さまざまな平底円孔状の疑似欠陥を用いた実験を繰返した結果、以下のような知見を得た(図5参照)。
(1)欠陥部位での検出信号のベクトル座標中の信号軌跡は、長楕円形となる。
(2)この長楕円の傾き角度は、対象とする板の板厚の違いによって変化するものの、対象が同じ(板厚が同じ)であればほぼ一定であり、欠陥の有無で変化しない。
(3)減肉部(欠陥)の大小(深さ&径)により長楕円の長さが変化する。
【0016】
上記知見に基づいた本発明における腐食減肉部の検出および残肉厚を算出する処理手順を、以下および図1に示す。この方法によれば、ランダムな信号軌跡を描くようなノイズや長楕円に近い軌跡を描いたとしても、欠陥と関係ない方向にふれる外乱(センサと被測定物とのリフトオフ変化など)の影響を排除することができる。
【0017】
(1)検出データの収集(S10)
図2に示すセンサを、強磁性体でつくられた構造体の外面を走査させることによって、磁束検出手段3にて検出データの収集を行う。データ毎以下の一連の処理を行っても良いし、検出データを一旦記憶媒体に記憶しておいてから以下の一連の処理を行うようにしても良い。
【0018】
(2)位相検波処理(S20)
図4に示すおよび前述した位相検波処理を行う。磁束検出手段からの検出信号に対して、基準となる信号(励磁信号を用いる場合が多い)を乗算した後、適切なフィルタリング処理(例えば、ローパスフィルタリング)を行う。それによって得られた信号をY信号とよぶ。同様に、基準となる信号の位相を90°遅らせた上で乗算して得られる信号をX信号とよぶ。
【0019】
(3)座標変換(S30)
上記ベクトル座標のゼロ点を任意の位置に移動させ(図5は、ゼロ点を移動したベクトル座標上に、信号軌跡をプロットしたものを示す)、さらに板厚により長楕円形の角度がほぼ一定であることを利用して、長楕円形の長径および短径方向に、先に求めたベクトル座標の座標変換すなわち座標軸の回転を行う。ゼロ点移動および回転したY軸およびX軸を、それぞれY’軸およびX’軸とする。
【0020】
(4)減肉部の検出(S40)
減肉部位では、ベクトル座標において長楕円の信号軌跡をえがき、長楕円の角度は被測定材の元厚によって一定であることに着目し、以下の(1)式の条件を満たす部位を腐食減肉ありと判定する。これは、図5の右に示すΔY'の急峻な立ち上がり部分を検出するものであり、定数は対象材および検出しようとする欠陥等により予め設定されるべきものである。
|ΔY'/ΔX'| ≧ 定数 ・・・・・・・・・・(1)
(5)欠陥径の推定(S50)
もっとも欠陥の中心に近く、ピーク値の大きい検出コイルを0チャンネル(ch)、それに隣接するコイルから1ch、2ch、・・・とよぶことにしたとき、それぞれのコイルに検出されるピーク値は0chから順に減衰していくことになる。それをグラフ上にプロットすると、図7のようになる。図7では、縦軸をピーク値の比(各コイルのピーク値/0chのコイルのピーク値で表し、0chのコイルのピーク値を1とする)であらわしており、横軸は各コイルのch数を示している。これをみると、各ch間の減衰の割合(グラフ上での傾き)が欠陥の径によって異なっていることが分かる。したがって、各ch間の減衰の仕方(傾き)から欠陥径の推定を行う。
【0021】
以上は、磁束検出手段を多チャンネル設けた場合に、各ch間の信号の減衰量の傾きから欠陥の大きさを求める方法を説明したが、センサの走査方向の時分割信号にも同様の処理を行うことにより、欠陥の大きさ推定の精度を向上させることができる。
【0022】
(6)残肉厚の算出(S60)
欠陥径の推定が終われば、次に残肉厚の算出を行う。図6は、長楕円長さ(Y'のピーク値)と無次元量(欠陥径/残肉厚)との関係を示した図である。欠陥径(10〜30mm)をパラメータにして、縦軸に「長楕円長さ(Y'のピーク値)」、横軸に「欠陥径/残肉厚」をとり、測定結果をプロットした結果の一例であるが、一次近似直線に高い相関を示していることが分かる。例えば、「長楕円長さ(Y'のピーク値)」をAとすれば、一次近似直線から「欠陥径/残肉厚」Bが得られる。そして、先に求めた「欠陥径」Cから、求める「残肉厚」は、「C/B」と算出できる。
【実施例】
【0023】
図3に示す実機センサおよび解析装置を製作し、その性能評価をした結果の一部を以下に示す。センサ本体は、励磁装置(磁化器)と検出コイルおよびエンコーダーで構成している。検出コイルは測定の能率を向上させるため、16ヶのコイルを一定ピッチで並べている。また、センサ〜被測定物間のリフトオフを一定に保持するため、軸受を内蔵した転動輪を装備させ、さらに個別に高さ調整のできるスクリュー式調整機構を設けた。データ収集・解析装置には、汎用ノート型PCとAD変換器を用い、データ収集〜自動解析機能をプログラム化して搭載している。
【0024】
開発したセンサの性能評価のため、板厚6〜19mmの鋼板に対して、直径10〜30mmで残肉厚2〜(元厚-2)mmの深さの平底円孔を設けた試験片を作成して、センサの性能評価を行った。図8は、性能評価をした内容および結果の一部を示す図である。図の上部は、性能評価をした対象を模式的に表す図であり、図の下部は、その演算結果を示している。板厚12mmの鋼板に、(欠陥径20mm、残肉厚4mm)、(欠陥径30mm、残肉厚10mm)、(欠陥径30mm、残肉厚8mm)、(欠陥径30mm、残肉厚6mm)、および(欠陥径30mm、残肉厚4mm)の平底円孔を設けて、センサで順次センシングしたものである。欠陥径および残肉厚のセンシング結果は、それぞれ(欠陥径20.0mm、残肉厚4.01mm)、(欠陥径28.6mm、残肉厚10.23mm)、(欠陥径31.0mm、残肉厚8.66mm)、(欠陥径32.7mm、残肉厚6.87mm)、および(欠陥径29.7mm、残肉厚3.88mm)であり、良いセンシング性能を示していることが分かる。
【0025】
さらに、図9は実際の残肉厚と算出した残肉厚との対比を示した図である。総合した検出誤差としては、残肉厚±20%であり、自動欠陥検出が確実に可能な範囲は、板厚16mm以下、直径10mm以上×板厚の30%深さ以上のものであった。この範囲の減肉は、PCに搭載したプログラムにより自動で瞬時に残肉厚と直径を算出し、PC画面上に表示される。その他の部位も、測定・解析者の判断によりPC画面上の任意の位置をクリックすれば、同様に残肉厚と直径を算出・表示させることができる。

なお、本発明は、励磁信号を直流(0Hz)にする場合には、位相検波と座標軸の回転はしないものの、欠陥径・大きさ・残肉厚の推定・算出工程は全く同じであり、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における腐食減肉部の検出および残肉厚を算出する処理フローの一例を示す図である。
【図2】本発明における装置構成の一例を示す図である。
【図3】実機センサ構成の一例を示す図である。
【図4】本発明で用いる位相検波処理を説明する図である。
【図5】位相検波処理後の信号をベクトル座標上にプロットした図である。
【図6】長楕円長さ(Y'のピーク値)と無次元量(欠陥径/残肉厚)との関係を示した図である。
【図7】各ch間の減衰の仕方の一例を表す図である。
【図8】センサ性能評価をした内容および結果の一部を示す図である。
【図9】実際の残肉厚と算出した残肉厚との対比を示した図である。
【符号の説明】
【0027】
1 被測定物
2 励磁コイル
3 磁束検出手段
4 強磁性体コア
5 欠陥部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低周波電磁誘導法により強磁性体でつくられた構造体の内部欠陥の測定を行う内部欠陥測定方法において、
励磁コイルと磁束検出手段で構成されるセンサを前記構造体の外面を走査させることによって、検出データの収集を行う検出データ収集工程と、
収集した検出データに対して、基準となる信号および基準となる信号の位相を90°ずらせた信号をそれぞれ別個に乗算した後、フィルタリング処理を行う位相検波処理工程と、
該位相検波処理工程で得られた信号を描かせるベクトル座標のゼロ点を任意の位置に移動させ、さらにその信号軌跡の長楕円の長径および短径方向に座標軸の回転を行う座標変換工程と、
座標変換された検出データに基づき欠陥の大きさを求める欠陥径の推定工程と、
求めた欠陥径に基づき残肉厚の算出を行う残肉厚の算出工程とを有することを特徴とする内部欠陥測定方法。
【請求項2】
低周波電磁誘導法により強磁性体でつくられた構造体の内部欠陥の測定を行う内部欠陥測定方法において、
励磁コイルと磁束検出手段で構成されるセンサを前記構造体の外面を走査させることによって、検出データの収集を行う検出データ収集工程と、
収集した検出データに対して、基準となる信号および基準となる信号の位相を90°ずらせた信号をそれぞれ別個に乗算した後、フィルタリング処理を行う位相検波処理工程と、
該位相検波処理工程で得られた信号を描かせるベクトル座標のゼロ点を任意の位置に移動させ、さらにその信号軌跡の長楕円の長径および短径方向に座標軸の回転を行う座標変換工程と、
座標変換した信号の急峻な立ち上がり部分を検出することにより減肉ありと判定する減肉部の検出工程と、
検出された減肉部における検出データに基づき欠陥の大きさを求める欠陥径の推定工程と、
求めた欠陥径に基づき残肉厚の算出を行う残肉厚の算出工程とを有することを特徴とする内部欠陥測定方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内部欠陥測定方法において、
前記欠陥径の推定工程は、前記センサの各チャンネル間の検出データまたは前記センサの走査方向の検出データの減衰量の傾きから欠陥の大きさを求めることを特徴とする内部欠陥測定方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の内部欠陥測定方法において、
前記残肉厚の算出工程は、求めた欠陥径と、長楕円長さと無次元量(欠陥径/残肉厚)との関係とを用いて残肉厚の算出を行うことを特徴とする内部欠陥測定方法。
【請求項5】
強磁性体でつくられた構造体の内部欠陥の測定を行う低周波電磁誘導法を用いた内部欠陥測定装置において、
励磁コイルと磁束検出手段で構成されるセンサと、
該センサを前記構造体の外面を走査させることによって、検出データの収集を行う検出データ収集手段と、収集した検出データに対して、位相検波処理およびフィルタリング処理を行う位相検波処理手段と、
該位相検波処理手段で得られた信号を描かせるベクトル座標のゼロ点を任意の位置に移動させ、さらにその信号軌跡の長楕円の長径および短径方向に座標軸の回転を行う座標変換手段と、
座標変換された検出データに基づき欠陥の大きさを求める欠陥径の推定手段と、
求めた欠陥径に基づき残肉厚の算出を行う残肉厚の算出手段とを有する信号処理装置と、
を備えることを特徴とする欠陥の大きさと深さ評価装置。
【請求項6】
強磁性体でつくられた構造体の内部欠陥の測定を行う低周波電磁誘導法を用いた内部欠陥測定装置において、
励磁コイルと磁束検出手段で構成されるセンサと、
該センサを前記構造体の外面を走査させることによって、検出データの収集を行う検出データ収集手段と、収集した検出データに対して、位相検波処理およびフィルタリング処理を行う位相検波処理手段と、
該位相検波処理手段で得られた信号を描かせるベクトル座標のゼロ点を任意の位置に移動させ、さらにその信号軌跡の長楕円の長径および短径方向に座標軸の回転を行う座標変換手段と、
座標変換した信号の急峻な立ち上がり部分を検出することにより減肉ありと判定する減肉部の検出手段と、
検出された減肉部における検出データに基づき欠陥の大きさを求める欠陥径の推定手段と、求めた欠陥径に基づき残肉厚の算出を行う残肉厚の算出手段とを有する信号処理装置と、
を備えることを特徴とする内部欠陥測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−208312(P2006−208312A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23890(P2005−23890)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】