説明

再生ポリオレフィン系樹脂組成物、再生ポリスチレン系樹脂組成物およびその再生方法

【課題】回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂の靭性低下抑制のため、混入したシリコーン系、ウレタン系、炭化水素系固体異物の除去が押出機内のスクリーンメッシュにより行なわれているが、上記固体異物がメッシュに詰り、押出機がベントアップし、生産性が大きく低下する問題があり、上記固体異物が残存した状態でも靭性低下が抑制できる再生方法が望まれていた。
【解決手段】シリコーン系、ウレタン系、または炭化水素系の固体異物を含む微粉砕した回収ポリオレフィン系樹脂組成物または回収ポリスチレン系樹脂組成物に、白金触媒または有機錫触媒の特定量を含有した再生ポリオレフィン系樹脂組成物または再生ポリスチレン系樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再生ポリオレフィン系樹脂組成物、再生ポリスチレン系樹脂組成物およびポリオレフィン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂組成物の再生方法に関するものであり、特に固体異物が混入した回収樹脂組成物の再生に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在市販されている冷蔵庫、エアコン、テレビ、洗濯機といった家電製品や、プリンター、スキャナー、複合機といったOA機器の筐体および内部部品には、ポリオレフィン系、ポリスチレン系の熱可塑性樹脂が一般的に用いられている。これら製品が廃棄される場合、その多くは焼却や埋め立て、燃料として処理されてきた。しかしながら、近年、焼却、埋め立てによる環境汚染や埋め立ての処分場の不足が社会的問題となっている状況を受けて、2001年4月に施行された特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)により、冷蔵庫、エアコン、テレビ、洗濯機の家庭用電気機器4品目にリサイクル(再商品化)が義務付けられた。これら家電製品に用いられる樹脂のリサイクル方法には、燃焼させて熱エネルギーを回収するサーマルリサイクル、燃焼または熱分解させて無機充填剤、オイル成分、プラスチック原料などの有価物を回収するケミカルリサイクル、そのまま粉砕して再溶融して各種成形品に加工するマテリアルリサイクルなどがある。環境負荷低減や資源の有効活用の観点から、そのまま粉砕して再溶融して各種成形品に加工するマテリアルリサイクルが推進されて、よりマテリアルリサイクルしやすい樹脂への転換が望まれている。
【0003】
使用済み家電製品やOA機器から回収される使用済みプラスチックの中で、手解体で回収できないプラスチック残さ(シュレッダーダスト)は、異種樹脂の混合物であり、かつシリコンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム等の所謂異物の混入により、そのまま使用することはできない。これらプラスチック残さは、ポリオレフィン系(PP:Polypropylene、PE:Polyethylene)系、ポリスチレン系(HIPS:High Impact Polystyrene、GPPS:General Purpose Polystyrene、ABS:Acrylonitrile-Butadiene-Styrene、AS:Acrylonitrile-Styrene)樹脂が約70%を占めており、プラスチック残さを有効に利用するためには、この3種類の樹脂を純度よく効率的に選別回収する必要がある。この中で、水に浮くポリオレフィン系樹脂は、これらの樹脂の比重差による分別回収が進められており、他の樹脂に比べて、分別回収しやすい。ポリスチレン系樹脂の選別回収については、比重がほぼ同じため、比重差による選別は難しいとされているが、静電選別による分離方法も研究されており、純度の高いポリスチレンおよびABS樹脂の選別が行なわれている。
【0004】
しかし、選別で取りきれなかった上記異物が微量ながら混入しているため、使用済みプラスチックは新材に比べて衝撃特性(例えば、シャルピー衝撃強度)や伸び特性(例えば、引張破断伸び率)等の靭性面の物性低下が著しいことがわかっている。これは、異物と樹脂の相溶性が悪いため異物/樹脂界面が破壊の起点となり、衝撃特性を低下させており、特に、固体異物での靭性低下は著しい。これに対して、これら異物の除去方法としては、回収したプラスチックを洗浄することが最も有効であるが、製品破砕時にこびり付いた異物は、洗浄で取りきるのは困難である。そこで、樹脂を溶融状態にして異物を除去するために、押出機のスクリーンメッシュによる異物を除去する方法が一般的に用いられる。この方法では、スクリーンメッシュを細かくすることにより、異物除去効果が高く、衝撃特性や伸び特性等の靭性面の物性が大幅に改善されるが、異物がメッシュに目詰まりすることにより、押出機がベンドアップし、生産性が大きく低下することがある。また、目詰まりしたメッシュの交換時間が長くなると、押出機内の樹脂が熱劣化することにより、物性低下を引き起こす。
【0005】
このような問題に対して、異物を含んだまま靭性が改善できる熱可塑性樹脂の再生方法が必要とされており、特許文献1では、ガラス繊維を含有する熱可塑性樹脂のリサイクルにおいて、溶融混練工程でガラス繊維を強制破断させ、ガラス繊維による物性への影響をなくす方法が記載されている。一方、溶融混練工程において樹脂とその他添加剤の相溶性を向上させる方法として、特許文献2では、溶融混練工程を施しゴム中の架橋結合を切断し活性点を発生させ、フィラーと結合させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−81336号公報
【特許文献2】特開平10−212374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回収ポリオレフィン系および回収ポリスチレン系樹脂は、非相溶系樹脂やその他の異物を多く含むため、衝撃強度や伸び率等の靭性の物性低下が著しく、そのまま再利用することが難しい。特に、異物としては、シリコーン系、ウレタン系、炭化水素系の組成物が挙げられる。当該異物は、ポリオレフィン系およびポリスチレン系樹脂の溶融温度では溶融しないため、上記樹脂を溶融させて成形品を得る場合、固体状態で上記樹脂中に存在する。このため、異物の除去方法として、洗浄や押出機のスクリーンメッシュによる方法が行なわれているが、こびり付いた異物の除去が難しいことや、異物がメッシュに目詰まりすることにより、押出機がベンドアップし、生産性が大きく低下する問題があった。
【0008】
上記の問題を解決するものとして、異物を含んだまま靭性が改善できる方法が必要とされている。特許文献1では、ガラス繊維を所望の物性を阻害する異物と捉えているが、樹脂と相溶性が良くなるよう予め表面処理が施されたガラス繊維に関するものであり、表面処理の施されていない本発明の異物に対しては、異物/樹脂界面はガラス/樹脂界面と比べ相溶性が乏しいため、異物サイズを小さくするだけでは靭性の著しい改善効果が望めないと考えられる。
【0009】
また、特許文献2では、加硫ゴム中の架橋結合であるS−S結合を溶融混練により切断することでラジカル活性点を得るが、上記特許文献2においては、加硫ゴムの主鎖の共有結合であるC−C結合を切断することによっても生じるが、多数の主鎖切断は再生ゴムの強度を低下させるため切断前の加硫ゴムの主鎖の本数に対する、該主鎖の共有結合の切断部位の数の比が0.1以下であることが好ましい、と記載されている。
【0010】
例えば、回収ポリオレフィン系樹脂および回収ポリスチレン系樹脂にはS−S結合はなく、その主鎖はC−C結合である。これらの結合について、S−S結合の結合エネルギーは184kJ/mol、C−C結合の結合エネルギーは353kJ/molである。このため、上記公報記載の方法ではC−C結合を主鎖にもつポリオレフィン系樹脂およびポリスチレン系樹脂では、十分なラジカル活性点を得ることができず、靭性の改善効果が期待できない。
【0011】
本発明は上記課題に鑑み、シリコーン系、ウレタン系、炭化水素系の異物が混入した状態でも靭性低下が起こらない再生ポリオレフィン系樹脂組成物および再生ポリスチレン系樹脂組成物と、該再生樹脂組成物を得るための回収ポリオレフィン系樹脂および回収ポリスチレン系樹脂の再生方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための手段としては、シリコーン系、ウレタン系、または炭化水素系の固体異物を含む回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂に、固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の白金触媒と、固体異物の総量に対し0.1重量%〜1.0重量%の有機錫触媒との少なくともいずれか一方を含有した再生ポリオレフィン系樹脂組成物または再生ポリスチレン系樹脂組成物である。
【0013】
また、本発明は、シリコーン系、ウレタン系、または炭化水素系の固体異物を含む回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂を上記固体異物が平均粒径1.0μm〜30μmとなるまで微粉砕する工程と、微粉砕した回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂に、固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の白金触媒および/または固体異物の総量に対し0.1重量%〜1.0重量%の有機錫触媒を溶融混練する工程とを含む回収ポリオレフィン系樹脂組成物の再生方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、固体異物を含む微粉砕した回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂に白金触媒および/または有機錫触媒を含有するので、これらの樹脂の靭性を新材の樹脂と同等にまで改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)〜(e)はポリプロピレン系樹脂から微粉砕によりヒドロキシル基の発生するまでの機構を示す図である。
【図2】回収ポリプロピレン系樹脂とシリコーン系固体異物の脱水素反応を示す図である。
【図3】(a)は回収ポリプロピレン系樹脂とウレタン系固体異物との脱水縮合反応を示す図であり、(b)は回収ポリスチレン系樹脂と炭化水素系固体異物との脱水縮合反応を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
[回収ポリオレフィン系樹脂組成物]
本発明の回収ポリオレフィン系樹脂としては、使用済み家電製品より回収される使用済みポリオレフィン系樹脂をいう。このようなポリオレフィン系樹脂とは、ポリエチレン、ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィングラフト共重合体等が挙げられる。また、これらのポリオレフィン系樹脂にエチレン−α−オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー等の公知の樹脂やタルク、マイカ、ワラストナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレイ、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、けい砂、けし石、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、アスベスト、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛等の無機充填材を含有するものも含まれる。
【0017】
[回収ポリスチレン系樹脂組成物]
本発明の回収ポリスチレン系樹脂としては、使用済み家電製品より回収される使用済みポリスチレン系樹脂をいう。このようなポリスチレン系樹脂とは、スチレン、α−メチルスチレンp−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどのモノビニル系芳香族単量体からなる単量体を重合して得られる重合体で、代表的なポリスチレン(GPPS)やゴム状物質をスチレン系モノマーに溶解し、塊状または塊状懸濁重合法などにより製造したゴム変性スチレン系重合体で、ゴム状物質としては、ポリブタジエン(PBD)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)等が用いられ、代表的は、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ミドルインパクトポリスチレン(MIPS)等が挙げられる。また、極性基を持つ樹脂であり、シアノ基を有するアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体からなる単量体を重合して得られる重合体で代表的なアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)やアクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES樹脂)やポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとが重合したABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂が挙げられる。
【0018】
[固体異物]
本発明の固体異物とは、回収ポリオレフィン系樹脂および回収ポリスチレン系樹脂を選別した後でも取りきれず残っているものであり、各樹脂ともに種類は同じで、シリコーン系、ウレタン系、炭化水素系の固体異物がある。固体異物は1種が含まれる場合や、複数種が含まれる場合がある。これら固体異物は家電製品の回収時期によりその量に大小はあるが、合計の最大含有率は回収された樹脂の1wt%である。
【0019】
シリコーン系固体異物は、例えばシリコーンゴムであり、ウレタン系固体異物は、例えばウレタンゴムであり、炭化水素系固体異物とは、ブタジエンゴムなどが例示される。
【0020】
[微粉砕する工程]
シリコーン系、ウレタン系、または炭化水素系固体異物を含む回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂(これらの樹脂を回収樹脂ということがある)を微粉砕することで上記樹脂および上記異物中の分子鎖が切断され、活性ラジカルが得られる。上記活性ラジカルが空気中の酸素分子と反応し、回収樹脂および固体異物の分子鎖末端にヒドロキシル基が発生する。図1(a)〜(e)に回収ポリプロピレン樹脂を例に取ったヒドロキシル基の発生を示す。ポリオレフィン系樹脂(図1(a)は樹脂構造の一部)の微粉砕により発生した活性ラジカル(図1(b))は空気中の酸素分子と反応し(図1(c))、過酸化物となる(図1(d)、図中RHは炭化水素基)。反応性の高い過酸化物は自己分解を起こしC−Oラジカルとなり、近傍の分子鎖中の水素を引き抜き、ヒドロキシル基となる(図1(e))。この反応は樹脂、異物に依らず起こり、Si−O結合を主鎖に持つシリコーン系固体異物ではシラノール基(Si−OH)が最終生成物として得られる。また、ウレタン系固体異物は分子鎖末端に未反応のカルボキシル基を有しており、微粉砕により発生したヒドロキシル基とあわせて反応性の高い極性基が2種類存在する。上記回収樹脂および上記固体異物の微粉砕方法については、公知の粉砕方法を使用することができる。例えば、衝撃とせん断を利用したスクリューミル、スタンプミル、ディスクミル、ピンミル、スクリーンミル、カッターミルや、衝撃と摩擦、せん断を利用したボールミルが挙げられる。その他、溶融混練機において樹脂の溶融温度以下に設定することで、固体状態で粉砕可能な装置に臼型押出機があり、これらの粉砕方法を繰り返し行なうか、2種類以上を併用してもよい。
【0021】
本発明において微粉砕後の固体異物の粒径は1μm〜30μmの範囲である。回収樹脂粒径も上記範囲であることが好ましい。この範囲を満たす場合は、上記のような活性ラジカルの生成効率がよい。1μm未満の粒径にするには粉砕に時間がかかり、効率が悪くなる。また、30μmより大きい粒径では活性ラジカルの発生箇所が少なくなり、樹脂と異物の結合数が少なくなるため、靭性改善効果が期待できないからである。本発明における粒径は光散乱法により測定した値をいう。
【0022】
[白金触媒]
白金触媒は、微粉砕する工程により発生したヒドロキシル基とシリコーン系固体異物中のシラノール基に、図2に示すような脱水素反応を起こすために添加するものである。すなわち、固体異物を含んだ回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂の微粉砕する工程を経た樹脂に対して、白金触媒を添加することにより、基材樹脂とシリコーン系固体異物の各々のヒドロキシ基が脱水素反応を起こすので、樹脂と固体異物の結合(シロキサン結合)が形成され、回収樹脂と固体異物との間に化学結合が形成されることで、回収樹脂の靭性などの物性が改善される。このような靭性の改善は、回収樹脂と固体異物との界面に化学結合がない場合は、樹脂に発生した亀裂が最も弱い界面を伝播するが、上記化学結合が形成されることで、亀裂の伝播を抑制することができることによる。
【0023】
白金触媒は公知の白金粒子ないしは白金化合物を用いることができ、白金単体粒子、白金担持粒子、塩化白金酸、および白金錯体の群から選ばれる1種以上が使用できる。白金担持粒子としては、シリカ、アルミナ、カーボンブラック等に白金粒子を担持したもの、白金錯体としては、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体等が挙げられる。白金触媒の添加量は固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の範囲である。固体異物の総量に対する白金触媒の添加量が0.1重量%以上であれば、微粉砕した回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂と回収樹脂と固体異物との間の化学結合の形成反応を起こすことができる。また、上記添加量が0.5重量%以下であれば、白金触媒による脱水素反応が過剰になることがなく、回収樹脂の靭性を改善することができる。また、白金触媒の添加量がより好ましい範囲を満たす場合は、より安定して回収樹脂と固形異物との間の化学結合が形成される。
【0024】
[有機錫触媒]
固体異物を含んだ回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂に対して、有機錫触媒を添加することで、基材樹脂とウレタン系固体異物および炭化水素系固体異物の各々のヒドロキシ基が脱水縮合反応を起こすので、樹脂基材と固体異物の結合(エステル結合またはエーテル結合)が形成される。このように回収樹脂と固体異物との間にそれぞれ化学結合が生まれることで、回収樹脂の靭性などの物性が改善される。
【0025】
また、上記のようにして発生した樹脂中のヒドロキシル基とウレタン系および炭化水素系固体異物中のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基には図3(a)および図3(b)に示すような脱水縮合反応を起こす可能性があり、また上記白金触媒が樹脂中に存在すると樹脂の熱劣化を加速し、長期耐熱性が低下する危険があることから白金触媒を失活させる必要があるために、有機錫触媒を添加する。
【0026】
有機錫触媒は公知の有機錫化合物を用いることができ、具体的にはジメチルスズジクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジラウレート、テトラクロロスズ等の有機錫化合物が使用できる。有機錫触媒の添加量は、上記白金触媒の失活を行なうためにも、固体異物の総量に対して、0.1重量%〜1.0重量%の範囲である。固形異物の総量に対する有機錫触媒の添加量が0.1重量%以上であれば、上記のように回収樹脂と固形異物との間にそれぞれ化学結合を形成することができる。また、上記添加量が1.0重量%以下であれば、白金触媒を併用する場合に、白金触媒の機能を妨げることなく、かつ、長期耐熱性の低下を防ぐことができ、回収樹脂の靭性を改善することができる。また、有機錫触媒の添加量がより好ましい範囲を満たす場合は、より安定して回収樹脂と固形異物との間の化学結合が形成される。
【0027】
[耐熱安定剤]
本発明の回収ポリオレフィン系樹脂、回収ポリスチレン系樹脂は、使用済み家電由来のプラスチック残さから選別回収されたものである場合、新材に添加された耐熱安定剤は著しく消費されている。このため耐熱安定剤を添加することが望ましい。ここでの耐熱安定剤は、ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、イオウ系等の酸化防止剤および金属不活性剤を少なくとも1個以上を含み、耐熱安定剤の構成比率は、特に制限されるものではないが、必要となる物性によりその都度調整することが望ましい。回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂組成物に対する耐熱安定剤の添加量は、好ましくは、0.05〜10重量部である。
【0028】
本発明の回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂に添加する耐熱安定剤を構成する酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ステアリルβ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のフェノール系、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリアリルホスファイト、トリ(モノノニルフェニル)ホスファイト等のリン系、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系等の公知のものが用いられる。これらの中でも、耐熱安定性の点で、フェノール系はテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、リン系はトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、イオウ系はジオクタデシル−3,3’−チオジプロピオネートが好ましい。
【0029】
本発明の回収ポリオレフィン系樹脂、または回収ポリスチレン系樹脂に添加する耐熱安定剤を構成する金属不活性剤としては、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N−フォーミイルサリチロイルヒドラジン、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾールカリウム塩、N,N−ジベンザール(オキザリルヒドラジド)、N,N−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシハイドロシンナメート)等の公知ものが用いられる。これらの中でも、耐熱安定性の点で、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジドが好ましい。
【0030】
[その他添加剤]
本発明においては、本発明の目的を阻害しない限り、可塑剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、染料、顔料、帯電防止剤等の添加剤を配合することができる。なお、これらのそれぞれについてはその一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリアミドオリゴマー、エチレンビスステアロアマイド、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、ポリスチレンオリゴマー、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル、ミネラルオイル等の公知のものから任意に選択しえ用いることができる。
【0032】
離型剤としては、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸金属塩等公知のものから任意に選択して用いることができる。難燃剤としては、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス−3−クロロプロピルホスフェート等のリン系難燃剤、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモプロポキシル)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ジブロモプロピルオキシフェニル)スルホン、エチレンビスペンタブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素系難燃剤、シリコン系難燃剤、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の水酸化物系難燃剤等の公知のものから任意に選択して用いることができる。難燃助剤としては、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、その他のものから任意に選択して用いることができる。
【0033】
[溶融混練する工程]
上記のような白金触媒および/または有機錫触媒の添加により、上記回収樹脂と、シリコーン系、ウレタン系、または炭化水素系の固形異物との間に化学結合を形成させるために、白金触媒および/または有機錫触媒を添加した微粉砕した回収ポリオレフィン系樹脂または回収ポリスチレン系樹脂を溶融混練する工程を含む。
【0034】
溶融混練を行なう装置は特に制限は無く、例えば汎用押出機を使用することができる。また、溶融混練条件は、対象となるポリオレフィン系樹脂またはポリスチレン系樹脂に合った条件を使用することができる。白金触媒と有機錫触媒の添加と溶融混練のタイミングは、有機錫触媒に白金触媒の失活作用があるため、白金触媒を添加し、一度溶融状態を経た後、有機錫触媒を添加し再度溶融状態にする必要がある。汎用押出機を使用する場合、白金触媒を添加し、溶融混練によりペレット作製し、得られたペレットに有機錫触媒を添加し、再度溶融混練工程を行なうか、白金触媒を添加したポリオレフィン系樹脂またはポリスチレン系樹脂をメインホッパーから供給し、有機錫触媒をサイドフィーダーから供給する方法でもよい。
【0035】
溶融混練時の温度は特に限定されるものではないが、上記化学結合の形成と樹脂への熱履歴の損傷を防止する点からは、回収ポリオレフィン系樹脂を対象とする場合は、200℃〜220℃で行なうのがよく、回収ポリスチレン系樹脂を対象とする場合は、230℃〜260℃で行なうことが好ましい。また、溶融混練の時間は、例えば、5〜10分程度とする。
【0036】
上記のように微粉砕する工程と溶融混練する工程とを経て得られた再生ポリオレフィン系樹脂および再生ポリスチレン系樹脂は、回収の際に含まれていた固体異物が、樹脂と化学結合を形成しており、固体異物が単独で存在するものではないので、回収樹脂の靭性等の物性が改善されたものとなる。
【実施例】
【0037】
次に、本発明を実施例および比較例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
本発明の実施例および比較例の物性評価について、樹脂靭性を衝撃強度により評価するために、射出成形機により、JIS規格 K7139に準拠した多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行ない、シャルピー衝撃値を求めた。また、以下の実施例等において、固体異物含有率は、シリコーン系、ウレタン系および炭化水素系固体異物の合計の樹脂に対する含有率をいう。
【0039】
[シャルピー衝撃試験]
シャルピー衝撃試験は、JIS規格 K7111に準ずる方法で行なった。試験は、衝撃試験機を用いて、ノッチを設けない場合について行なった。
【0040】
(実施例1)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0041】
この結果、本発明の再生ポリプロピレン樹脂は、通常の使用済みポリプロピレン樹脂(参考例2に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2.1倍向上しており、新材ポリプロピレン(参考例1に該当)相当に改善することができる。
【0042】
(実施例2)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0043】
この結果、本発明の再生ポリプロピレン樹脂は、通常の使用済みポリプロピレン樹脂(参考例2に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2.2倍向上しており、新材ポリプロピレン(参考例1に該当)相当に改善することができる。
【0044】
(実施例3)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.5wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0045】
この結果、本発明の再生ポリプロピレン樹脂は、通常の使用済みポリプロピレン樹脂(参考例2に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2.5倍向上しており、新材ポリプロピレン(参考例1に該当)相当に改善することができる。
【0046】
(実施例4)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して1.0wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0047】
この結果、本発明の再生ポリプロピレン樹脂は、通常の使用済みポリプロピレン樹脂(参考例2に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2.6倍向上しており、新材ポリプロピレン(参考例1に該当)相当に改善することができる。
【0048】
(実施例5)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0049】
この結果、本発明の再生ポリプロピレン樹脂は、通常の使用済みポリプロピレン樹脂(参考例2に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2倍向上しており、新材ポリプロピレン(参考例1に該当)相当に改善することができる。
【0050】
(実施例6)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0051】
この結果、本発明の再生ポリプロピレン樹脂は、通常の使用済みポリプロピレン樹脂(参考例2に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2倍向上しており、新材ポリプロピレン(参考例1に該当)相当に改善することができる。
【0052】
(実施例7)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.5wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0053】
この結果、本発明の再生ポリプロピレン樹脂は、通常の使用済みポリプロピレン樹脂(参考例2に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2.3倍向上しており、新材ポリプロピレン(参考例1に該当)相当に改善することができる。
【0054】
(実施例8)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して1.0wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0055】
この結果、本発明の再生ポリプロピレン樹脂は、通常の使用済みポリプロピレン樹脂(参考例2に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2.5倍向上しており、新材ポリプロピレン(参考例1に該当)相当に改善することができる。
【0056】
【表1】

【0057】
(実施例9)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0058】
この結果、本発明の再生ポリスチレン樹脂は、通常の使用済みポリスチレン樹脂(参考例4に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.4倍向上しており、新材HIPS(参考例3に該当)相当に改善することができる。
【0059】
(実施例10)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0060】
この結果、本発明の再生ポリスチレン樹脂は、通常の使用済みポリスチレン樹脂(参考例4に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.5倍向上しており、新材HIPS(参考例3に該当)相当に改善することができる。
【0061】
(実施例11)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.5wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0062】
この結果、本発明の再生ポリスチレン樹脂は、通常の使用済みポリスチレン樹脂(参考例4に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.5倍向上しており、新材HIPS(参考例3に該当)相当に改善することができる。
【0063】
(実施例12)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して1.0wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0064】
この結果、本発明の再生ポリスチレン樹脂は、通常の使用済みポリスチレン樹脂(参考例4に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.6倍向上しており、新材HIPS(参考例3に該当)相当に改善することができる。
【0065】
(実施例13)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0066】
この結果、本発明の再生ポリスチレン樹脂は、通常の使用済みポリスチレン樹脂(参考例4に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.4倍向上しており、新材HIPS(参考例3に該当)相当に改善することができる。
【0067】
(実施例14)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0068】
この結果、本発明の再生ポリスチレン樹脂は、通常の使用済みポリスチレン樹脂(参考例4に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.4倍向上しており、新材HIPS(参考例3に該当)相当に改善することができる。
【0069】
(実施例15)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.5wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0070】
この結果、本発明の再生ポリスチレン樹脂は、通常の使用済みポリスチレン樹脂(参考例4に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.4倍向上しており、新材HIPS(参考例3に該当)相当に改善することができる。
【0071】
(実施例16)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して1.0wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0072】
この結果、本発明の再生ポリスチレン樹脂は、通常の使用済みポリスチレン樹脂(参考例4に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.5倍向上しており、新材HIPS(参考例3に該当)相当に改善することができる。
【0073】
【表2】

【0074】
(実施例17)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0075】
この結果、本発明の再生ABS樹脂は、通常の使用済みABS樹脂(参考例6に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2倍向上しており、新材ABS(参考例5に該当)相当に改善することができる。
【0076】
(実施例18)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0077】
この結果、本発明の再生ABS樹脂は、通常の使用済みABS樹脂(参考例6に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2倍向上しており、新材ABS(参考例5に該当)相当に改善することができる。
【0078】
(実施例19)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.5wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0079】
この結果、本発明の再生ABS樹脂は、通常の使用済みABS樹脂(参考例6に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2倍向上しており、新材ABS(参考例5に該当)相当に改善することができる。
【0080】
(実施例20)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して1.0wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0081】
この結果、本発明の再生ABS樹脂は、通常の使用済みABS樹脂(参考例6に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約2.1倍向上しており、新材ABS(参考例5に該当)相当に改善することができる。
【0082】
(実施例21)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0083】
この結果、本発明の再生ABS樹脂は、通常の使用済みABS樹脂(参考例6に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.8倍向上しており、新材ABS(参考例5に該当)相当に改善することができる。
【0084】
(実施例22)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.1wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0085】
この結果、本発明の再生ABS樹脂は、通常の使用済みABS樹脂(参考例6に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.8倍向上しており、新材ABS(参考例5に該当)相当に改善することができる。
【0086】
(実施例23)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.5wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0087】
この結果、本発明の再生ABS樹脂は、通常の使用済みABS樹脂(参考例6に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.9倍向上しており、新材ABS(参考例5に該当)相当に改善することができる。
【0088】
(実施例24)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径30μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.5wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.5wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0089】
この結果、本発明の再生ABS樹脂は、通常の使用済みABS樹脂(参考例6に該当)と比較し、シャルピー衝撃強度が約1.9倍向上しており、新材ABS(参考例5に該当)相当に改善することができる。
【0090】
【表3】

【0091】
(参考例1)
代表的な汎用グレードのポリプロピレン樹脂を使用し、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0092】
(参考例2)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を使用し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレット作製した後、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0093】
(比較例1)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.05wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0094】
(比較例2)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0095】
(比較例3)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.6wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0096】
(比較例4)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して1.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0097】
(比較例5)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.05wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0098】
(比較例6)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0099】
(比較例7)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.6wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0100】
(比較例8)
使用済みポリプロピレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度220℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して1.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度220℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表1に示す。
【0101】
(参考例3)
代表的な汎用グレードのHIPS樹脂を使用し、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0102】
(参考例4)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を使用し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した後、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0103】
(比較例9)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.05wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0104】
(比較例10)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0105】
(比較例11)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.6wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0106】
(比較例12)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して1.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0107】
(比較例13)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.05wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0108】
(比較例14)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0109】
(比較例15)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.6wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0110】
(比較例16)
使用済みポリスチレン樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して1.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表2に示す。
【0111】
(参考例5)
代表的な汎用グレードのABS樹脂を使用し、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0112】
(参考例6)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を使用し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した後、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0113】
(比較例17)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.05wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0114】
(比較例18)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0115】
(比較例19)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.6wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0116】
(比較例20)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径1μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して1.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0117】
(比較例21)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.05wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0118】
(比較例22)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.05wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.1wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0119】
(比較例23)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して0.6wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0120】
(比較例24)
使用済みABS樹脂(固体異物含有率0.8%)を、臼型押出機を用いて平均粒径31μmまで微粉砕し、白金粉末(純度99.9%以上)を粉砕物中の固体異物に対して0.6wt%添加し、押出機を用いてシリンダー温度250℃の条件で長さ2〜3mmのペレットを作製した。さらに、作製したペレットに固体異物に対して1.2wt%のジブチルスズジラウレートを添加し、シリンダー温度250℃で再度押出機を通し、2〜3mmのペレットを作製した。次いで、射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で多目的試験片A形を作製し、シャルピー衝撃試験を行なった。結果を表3に示す。
【0121】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0122】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン系、ウレタン系、または炭化水素系の固体異物を含み、該固体異物の平均粒径が1.0μm〜30μmである回収ポリオレフィン系樹脂に、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の白金触媒と、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜1.0重量%の有機錫触媒との少なくともいずれか一方を含有した再生ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の白金触媒、および、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜1.0重量%の有機錫触媒を含有した請求項1に記載の再生ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項3】
前記固形異物は少なくともシリコーン系の固形異物を含み、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の白金触媒を含有した請求項1に記載の再生ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項4】
前記固形異物はウレタン系または炭化水素系の固形異物を含み、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜1.0重量%の有機錫触媒を含有した請求項1に記載の再生ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項5】
シリコーン系、ウレタン系、または炭化水素系の固体異物を含む回収ポリオレフィン系樹脂の前記固体異物を平均粒径1.0μm〜30μmまで微粉砕する工程と、
前記微粉砕した回収ポリオレフィン系樹脂に、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の白金触媒を溶融混練する工程と、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の有機錫触媒を溶融混練する工程との少なくともいずれか一方とを含む回収ポリオレフィン系樹脂組成物の再生方法。
【請求項6】
シリコーン系、ウレタン系、または炭化水素系の固体異物を含み、該固体異物の平均粒径が1.0〜30μmである回収ポリスチレン系樹脂に、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の白金触媒と、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜1.0重量%の有機錫触媒との少なくともいずれか一方を含有した再生ポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項7】
前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の白金触媒、および、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜1.0重量%の有機錫触媒を含有した請求項6に記載の再生ポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項8】
前記固形異物は少なくともシリコーン系の固形異物を含み、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の白金触媒を含有した請求項6に記載の再生ポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項9】
前記固形異物はウレタン系または炭化水素系の固形異物を含み、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜1.0重量%の有機錫触媒を含有した請求項6に記載の再生ポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項10】
シリコーン系、ウレタン系、または炭化水素系の固体異物を含む回収ポリスチレン系樹脂の前記固体異物を平均粒径1.0μm〜30μmまで微粉砕する工程と、
前記微粉砕した回収ポリスチレン系樹脂に、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜0.5重量%の白金触媒を溶融混練する工程と、前記固体異物の総量に対し0.1重量%〜1.0重量%の有機錫触媒を溶融混練する工程との少なくともいずれか一方とを含む回収ポリスチレン系樹脂組成物の再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−157418(P2011−157418A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17968(P2010−17968)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】