説明

再生合成樹脂組成物及び再生合成樹脂組成物の製造方法

【課題】当該廃プラ並びにセルロース系材料から構成された廃棄物とを一体的に熔融成型した再生合成樹脂組成物及びその製造方法に関するものであり、特に詳しくは当該廃プラとセルロース系材料からなる廃棄物とを容易に融合させて熔融成型させる事によって利用価値の高い産業資材を容易に提供する。
【解決手段】少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分と、主としてセルロースを主成分とする微細塊状物とが混在している再生合成樹脂組成物であって、当該セルロースを主成分とする微細塊状物(以下単にセルロース系微細塊状物と言う)の当該再生合成樹脂組成物に於ける当該セルロース系微細塊状物と当該合成樹脂成分との混合割合が重量比で20:80〜50:50であって、且つ当該再生合成樹脂組成物中に少なくともナトリウム及び亜鉛が含まれている事を特徴とする再生合成樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭用ごみ及び産業廃棄物として排出される廃棄プラスチックス(以下単に「廃プラ」と称する)並びにセルロース系材料から構成された再生合成樹脂組成物及びその製造方法に関するものであり、特に詳しくは当該廃プラとセルロース系材料からなる一般家庭用ごみ及び産業廃棄物とを容易に融合させて熔融成型させる事によって利用価値の高い産業資材を容易に提供すると共に、上記各廃棄物の効率的な再利用を可能とする再生合成樹脂組成物並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、使用済みのプラスチック製品がプラスチック廃棄物として大量に出回り、不法投棄を含めてその回収並びにそれらの処理方法が大きな社会問題となってきている。
【0003】
従来から、当該プラスチック廃棄物(以下単に廃プラと称する)としては、主として、熱可塑性樹脂廃棄物と熱硬化性樹脂廃棄物とに大別される。熱可塑性樹脂廃棄物としては、例えば、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂廃棄物やポリスチレン等のスチレン系樹脂廃棄物等があげられる。また、熱硬化性樹脂廃棄物としては、例えば、エポキシ樹脂廃棄物やポリウレタン樹脂廃棄物等があげられる。
【0004】
従って、現在では、プラスチックの再生は行われているが、プラスチックは相溶性同士の混合しか出来ないとされており、その為、相溶性のあるプラスチックスを詳細に選別し、当該相溶性のあるプラスチックス同士を加熱溶融させて再生プラスチックスを製造している。
【0005】
一方、他のプラスチックスと非相溶性のプラスチックは、成形できないか又は、成形出来たとしても、再生成形品の強度特性が低いものとなりその成形品の利用用途は殆ど無いのが現状であった。
【0006】
つまり、従来では、熱可塑性樹脂廃棄物は、一般に、各プラスチックの品質、組成並びに溶融温度を参考にして、共通性或いは相溶性があるもの同士を選別して、再生処理を行っており、また、熱硬化性樹脂廃棄物の一部は、粉砕してパウダー化され、熱可塑性樹脂廃棄物に混入して再生利用されているが、その多くは廃棄物として埋立処理されている。
【0007】
また、同様に、ガラス繊維等が混入された繊維強化プラスチックもその多くは廃棄物として埋立処理されているのが現状である。
しかしながら、上述したような、プラスチック廃棄物を再生利用する場合、まず、熱可塑性樹脂廃棄物と熱硬化性樹脂廃棄物等とを選別し、熱可塑性樹脂廃棄物については、各プラスチックの品質、組成等に応じて、溶融温度を共通にし相溶性があるもの同士をさらに選別し、均質な原材料のものとして再生利用しなければならず、選別に多くの時間と労力が必要とされる。
【0008】
また、熱硬化性樹脂廃棄物については、再生品の均質性を維持するため、これを粉砕して粉末状もしくは細粒状にして熱可塑性樹脂廃棄物に混入することにより再生利用しなければならず、同様に選別に多くの時間と労力を必要とするうえ、熱硬化性樹脂廃棄物を細断し、粉末状もしくは細粒状とするための新たな設備と工程が必要とされることになる。
【0009】
また、同様に、繊維強化プラスチックについても、その品質、組成等に応じて選別し、均質な原材料のものとして再生利用するか、これを粉末状もしくは細粒状にして熱可塑性樹脂廃棄物に混入することにより再生利用しなければならなかった。
【0010】
また、現実に発生するプラスチック廃棄物をみてみると、廃棄物全体に占める熱可塑性樹脂廃棄物の割合は非常に高く、熱硬化性樹脂廃棄物等の占める割合は比較的低いものとなっている。したがって、再生品は、通常、熱可塑性樹脂を主材料としこれをバインダーとして熱硬化性樹脂等を内包したものとなるため、熱硬化性樹脂廃棄物等の混合割合を殊更気に溜める必要はない。
【0011】
即ち、従来に於ける当該プラスチック廃棄物の処理に関しては、その処理方法が限定され、複雑な工程の使用や、労力並びにコストの増大が必要とされると同時に、処理が容易でないプラスチック廃棄物に関しては、埋め立て処理する他方法がなく、環境保全の観点から問題が有った。
【0012】
一方、当該廃プラとは別に、現時点では、木屑、ペーパースラッジ、スラッジ焼却灰、古紙、新聞紙、ダンボール、雑誌、書籍、綿、レーヨン、麻等からなるセルロース系繊維屑、竹、椰子、藁等の植物或は穀物、木材等のセルロース系材料から構成される各種製品の産業廃棄物も産業界には大量に排出されており、これらの処理も大きな社会問題となってきており、これらの産業廃棄物を上記した合成樹脂を主体とする廃プラと混合させて再生合成樹脂組成物を形成させる再生成形加工処理方法も従来から試行されている。
【0013】
特に、製紙工程で排出されるペーパースラッジや、その焼却灰、木材の製材工程で発生する大量の木屑等を当該廃プラに混在させて成形する技術が例えば、特開平10−36632号公報(〔特許文献1〕)に開示されており、当該公報には、焼成ペーパースラッジをフェノール系合成樹脂と混合させて再生合成樹脂組成物を製造する技術が開示されているが、両成分の混合状態は十分ではなく、又フェノール系合成樹脂による再生合成樹脂組成物としてはその用途が少なく、有効な再生合成樹脂組成物としては不向きである。
【0014】
又特開平2003−253138号公報(〔特許文献2〕)には、ペーパースラッジ焼却灰を熱可塑性合成樹脂と混合させて再生合成樹脂組成物を形成する方法が開示されているが、係る技術では、当該ペーパースラッジ焼却灰と熱可塑性合成樹脂との混合が均一におこなわれず、従って再生合成樹脂組成物の特性も粗悪なものでしかなく、商品価値の高い再生合成樹脂組成物は得られないのが現状である。
【0015】
その他、特開平9−67520号公報(〔特許文献3〕)、特公2879771号公報(〔特許文献4〕)、特開平2003−119391号公報(〔特許文献5〕)、或いは特開平9−67520号公報(〔特許文献6〕)等にも、それぞれペーパースラッジを含むセルロース系材料からなる産業廃棄物を熱可塑性合成樹脂等の廃プラに混在させて再生合成樹脂組成物を形成し、セルロース系材料からなる産業廃棄物と熱可塑性合成樹脂からなる廃プラの双方の廃棄処理を同時に達成する為の処理技術が開示されてはいるが、何れも上記した公知技術と同じ問題を含んでおり、上記課題の完全な解決にはほど遠い技術しか開示されていない。
【0016】
従って、現状では、当該ペーパースラッジを含む主としてセルロースからなる産業廃棄物の処理に関しては、現在のところ有効な処理方法は見られないのが現状である。
【0017】
又、当該セルロースからなる産業廃棄物を従来の廃プラと混合し、それを再溶融させて再生合成樹脂を製造しても当該再生合成樹脂の品質、特に物理特性は、純粋の合成樹脂製品に比べ著しく劣るものでしかないので、その利用用途が制約されているので利用価値が余り無い。
【0018】
【特許文献1】特開平10−36632号公報
【特許文献2】特開平2003−253138号公報
【特許文献3】特開平9−67520号公報
【特許文献4】特公2879771号公報
【特許文献5】特開平11−226956号公報
【特許文献6】特開平5−147036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って、本発明の目的は、上記問題点を改善し、現在大きな社会問題となっている廃プラ及びペーパースラッジを含む主としてセルロース系材料で形成されている一般家庭用ごみ及び産業廃棄物の有効な廃棄処理方法を提供するものであり、より具体的には、当該廃プラ並びにセルロース系材料から構成された廃棄物とを一体的に熔融成型した再生合成樹脂組成物及びその製造方法に関するものであり、特に詳しくは当該廃プラとセルロース系材料からなる廃棄物とを容易に融合させて熔融成型させる事によって利用価値の高い産業資材を容易に提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記目的を達成するために、以下に示す様な基本的技術構成を採用するものである。
即ち、本発明の第1の態様としては、少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分と、主としてセルロースを主成分とする微細塊状物とが混在している再生合成樹脂組成物であって、当該セルロースを主成分とする微細塊状物(以下単にセルロース系微細塊状物と言う)の当該再生合成樹脂組成物に於ける当該セルロース系微細塊状物と当該合成樹脂成分との混合割合が重量比で20:80〜50:50であって、且つ当該再生合成樹脂組成物中に少なくともナトリウム及び亜鉛が含まれている再生合成樹脂組成物であり、又本発明に於ける第2の態様としては、ステアリン酸ナトリウムを含むセルロースを主成分とする微細塊状物(以下単にセルロース系微細塊状物と言う)に少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分を含む合成樹脂材料の破砕物(以下単に合成樹脂破砕物と言う)とを混合した混合体にステアリン酸金属塩を添加し、当該混合体を加熱熔融処理して成形加工して構成した再生合成樹脂組成物である。
【0021】
更に、本発明に於ける第3の態様としては、セルロース系微細塊状物にステアリン酸ナトリウムを添加して混合するか、セルロースを主成分とする材料に当該ステアリン酸ナトリウムを添加して混合した後、適宜の破砕手段を使用して微細な塊状体に形成されたセルロース系微細塊状物を形成する工程、当該ステアリン酸ナトリウムを含む当該セルロース系微細塊状物を少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分を含む合成樹脂材料を適宜の破砕手段を使用して破砕した合成樹脂破砕物とを混合する工程、当該ステアリン酸ナトリウムを含む当該セルロース系微細塊状物と当該合成樹脂破砕物との混合体にステアリン酸金属塩を添加する工程、及び当該混合体を加熱熔融成型する工程とから構成されている再生合成樹脂組成物の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に於いては、上記した技術構成を有することから、従来大きな社会問題となっている大量のポリオレフィン系合成樹脂組成成分から構成された廃プラと、大量のセルロース系材料からなる廃棄物との双方を低コストで従来の処理装置に大幅な改良、追加を必要とせずに、効率的に均一に混合一体化させる事が可能となり、それによって得られる再生合成樹脂組成物の特性を従来の再生合成樹脂組成物に比べて大幅に向上させる事が可能となり、当該再生合成樹脂組成物の利用価値或は利用範囲が拡大できるので、上記双方の産業廃棄物の大量処理が可能となるという優れた効果を発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明にかかる再生合成樹脂組成物及びその製造方法に関する具体例を詳細に説明する。
即ち、本発明に係る当該再生合成樹脂組成物の第1の具体例としては、少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分と、主としてセルロースを主成分とする微細塊状物とが混在している再生合成樹脂組成物であって、当該セルロースを主成分とする微細塊状物(以下単にセルロース系微細塊状物と言う)の当該再生合成樹脂組成物に於ける当該セルロース系微細塊状物と当該合成樹脂成分との混合割合が重量比で20:80〜50:50であって、且つ当該再生合成樹脂組成物中に少なくともナトリウム及び亜鉛が含まれている事を特徴とする再生合成樹脂組成物である。
【0024】
本発明に於いて使用される合成樹脂としては、廃プラとして最も廃棄される量の多いポリプロピレン或はポリエチレン等を含むポリオレフィン系合成樹脂である事が望ましいが、本発明に於いてはポリオレフィン系合成樹脂のみでなく、ポリオレフィン系合成樹脂以外の樹脂、例えば、ポリスチレン或はアクリルスチレン等を含むポリスチレン系合成樹脂成分を混ぜて使用することも可能である。
【0025】
本発明に於いては、当該ポリオレフィン系合成樹脂のみを使用する場合でも、一種類のポリオレフィン系合成樹脂だけでは無く、複数種類のポリオレフィン系合成樹脂を使用する事も可能であり、例えば、ポリプロピレ系樹脂とポリエチレン系樹脂とを混合して使用する事も可能である。
【0026】
又、本発明に於いて、ポリオレフィン系合成樹脂とポリスチレン系合成樹脂とを混ぜて使用する場合には、当該ポリオレフィン系合成樹脂成分と当該ポリスチレン系合成樹脂成分との混合割合は例えば重量比で100:0〜50:50である事が望ましい。
【0027】
一方、本発明に於いて使用される当該セルロース系微細塊状物は、セルロースを主成分各種材料で構成された各種の製品が廃棄物となって廃棄処理場に持ち込まれる材料、例えば、木屑、ペーパースラッジ、スラッジ焼却灰、新聞紙、書籍、雑誌、チラシ等の古紙を主体とする紙製品、綿、麻、竹等の植物繊維或はレーヨン等のセルロース系繊維、当該セルロース系繊維を使用した織編組物或は不織布等を主体とする繊維製品、植物、穀物、木片等から選択された少なくとも一つのセルロースを主成分とする材料製品を適宜の粉砕手段を使用して微細な塊状体に破砕されたものであって、当該セルロース系微細塊状物は、短繊維状或は粒状、球状、扁平状等のさまざまは外観形状を呈しており、それぞれの当該微細塊状物の最大長さ、つまり、当該各セルロース系微細塊状物を平面上に投影した場合の最大長さ部分の平均値が30〜200μmである事が望ましい。
【0028】
本発明に於いて、当該ペーパースラッジを含むセルロース系微細塊状物の当該最大長さ部分の平均値が200μm以上だと、樹脂の当該セルロース系微細塊状物への浸透がしにくく、成形品の強度が低下する。
【0029】
又、当該ペーパースラッジを含むセルロース系微細塊状物の当該最大長さ部分の平均値が30μm以下だと、当該セルロース系微細塊状物を混入する事による強化の効果がなくなり成形品の強度が低下する。
【0030】
又、本発明に於いて使用される当該再生合成樹脂組成物中に於ける当該セルロース系微細塊状物と当該合成樹脂成分との混合割合が重量比で20:80〜50:50である事が望ましく、それ以上でも以下でも強度は低下する。
【0031】
本発明に於いて、当該合成樹脂成分に占めるポリオレフィン系樹脂の割合が50重量%以上で、当該セルロース系微細塊状物と樹脂の配合比率が20:80〜50:50の範囲であれば、その他の樹脂はポリオレフィン系以外の熱可塑性樹脂でも、熟硬化性樹脂でも、廃FRPでもかまわない。
【0032】
特に、本発明に於いては、当該ポリオレフィン系合成樹脂に対してポリスチレン系合成樹脂を組み合わせて使用することも可能である。
又、本発明に於いては、成型時にステアリン酸亜鉛が存在しないと樹脂の相溶性が悪く、均一な成形品が出来ない。
【0033】
ステアリン酸亜鉛と組み合わせて、ステアリン酸ナトリウムや、ステアリシ酸バリウム、ステアリン酸カルシウムなどが使用できる。
ステアリン酸亜鉛を含む1種或は複数種のステアリン酸金属塩の量はペーパースラッジと廃プラの合計量に対して1〜5重量%が好ましい。
【0034】
即ち、本発明に於いては、例えば、従来の技術では全く実現が不可能であったペーパースラッジを含むセルロースを主成分とする産業廃棄物を合成樹脂組成物中に20%以上含ませる事が可能であり、更には最大50重量%も合成樹脂組成物中に混入させることが出来る事を可能とすると同時に、後述する様に、天然の木材と匹敵する特性を持つ再生合成樹脂組成物が得られると言う実用性の極めて高い、汎用性のある資材を廃棄物から製造出来ると云う優れた作用効果を発揮するものである。
【0035】
その基本的技術思想は、後述する様に、基本的には、ステアリン酸ナトリウムとステアリン酸亜鉛を所定の工程でそれぞれ独立して添加使用するものであり、その結果、本発明に係る当該再生合成樹脂組成物には、少なくともナトリウム及び亜鉛の各元素が含まれている事を特徴とするものである。
【0036】
処で、本発明は、セルロースを主成分とする材料からなる廃棄物を対象とするものであるが、特には、ペーパースラッジを廃棄処理する場合に特に有効である。
つまり、本発明では、製紙工場から排出され、従来では焼却、埋め立て処理されているペーパースラッジなどの繊維状セルロース廃棄物と一般家庭ごみ及び産業廃棄物として排出される一般家庭ごみ及び産業廃棄物として排出される複数種の合成樹脂から成る廃プラを原材料とする再生樹脂成型品及びその製造方法に関するものであり、特に詳しくは、ペーパースラッジにある前処理を施すことにより、単一或は複数の異種の合成樹脂を含む廃ブラとの混合成形を可能にするものである。
【0037】
本発明に於いては、当該セルロース系微細塊状物にステアリン酸ナトリウムを添加する方法としては、特に限定されないが、例えば、予め形成しておいた当該セルロース系微細塊状物に当該ステアリン酸ナトリウムを添加して混合するか、セルロースを主成分とする材料に当該ステアリン酸ナトリウムを添加して混合した後、適宜の破砕手段を使用して微細な塊状体に形成されたセルロース系微細塊状物を形成するものであっても良い。
【0038】
何れの方法で有っても、本発明に於いては当該セルロース系微細塊状物の表面に当該ステアリン酸ナトリウムが付着しているセルロース系微細塊状物が得られる事になる。
【0039】
一方、本発明に於いては、当該合成樹脂破砕物にステアリン酸金属塩を混入する方法としても特に限定されるものではないが、例えば、少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分を含む合成樹脂材料を適宜の破砕手段を使用して破砕した合成樹脂破砕物にステアリン酸金属塩を添加する方法で有っても良く、或は当該ステアリン酸ナトリウムを含む当該セルロース系微細塊状物に当該合成樹脂破砕物とを適宜混合して形成した混合体にステアリン酸金属塩を添加して混合したもので有っても良い。
【0040】
本発明に於いて、当該ステアリン酸ナトリウムの当該セルロース系微細塊状物の重量に対する混入比率は、1乃至10重量%である事が好ましく、又、当該ステアリン酸金属塩の、当該混合体合計重量、つまり当該セルロース系微細塊状物と廃プラの合計重量に対する混入比率は、1乃至10重量%である事が好ましく、特には、1乃至5重量%である事が好ましい。
【0041】
本発明に於いては、上記した様に、ペーパースラッジを含むセルロースを主成分とするセルロース系微細塊状物に当該ステアリン酸ナトリウムを混入する事は、具体的には、ペーパースラッジ等のセルロース系微細塊状物を乾燥する工程においてステアリン酸ナトリウムを添加するものであり、これによってステアリン酸ナトリウムがペーパースラッジ等のセルロース系微細塊状物の表面に固着される。
【0042】
ステアリン酸ナトリウムが当該繊維状態或は粒状体からなる当該セルロース系微細塊状物の表面に存在することにより、溶融したオレフィン樹脂との濡れ性が向上し、セルロース系微細塊状物の中に樹脂が浸透しやすくなる。
【0043】
その結果、当該セルロース系微細塊状物と樹脂中への分散が容易となり均一な分散状態が形成されると共に当該セルロース系微細塊状物と樹脂との接着が強固になり、成形品の強度が向上する。
【0044】
本発明に於いてはペーパースラッジを含むセルロースを主成分とするセルロース系微細塊状物を当該合成樹脂破砕物と混合させる場合には、当該ペーパースラッジを含むセルロースを主成分とするセルロース系微細塊状物等の含水率が10重量%以上だと樹脂との混合が悪く、強度の高い成形品は得られない。
【0045】
例えば、当該セルロース系微細塊状物がペーパースラッジである場合には、当該ペーパースラッジは通常を50重量%以上の水分を含有しているので、当該ペーパースラッジをその水分率が1乃至10重量%になるまで加熱乾燥した後に本発明の各工程で使用する事が望ましい。
【0046】
本発明に於いては、当該セルロース系微細塊状物に混入されるものとしては、ステアリン酸ナトリウム以外のステアリン酸金属塩では効果が得られない。
一方、本発明に於いて、当該合成樹脂破砕物にステアリン酸金属塩を混入するか、或は当該ステアリン酸ナトリウムを含むセルロース系微細塊状物と当該合成樹脂破砕物からなる混合物にステアリン酸金属塩を混入する事によって、均一な成形品が出来る事になる。
【0047】
つまり、本発明に於いて、成形時にステアリン酸金属塩が存在しないと当該セルロース系微細塊状物と合成樹脂との間の相溶性が悪く、均一な成型品が出来ない。
当該混合体に添加されるステアリン酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛である事が望ましいが、本発明に於いては、当該ステアリン酸金属塩としては、ステアリン酸亜鉛に加えて、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム及びステアリン酸ナトリウムから選択された少なくとも一つのステアリン酸金属塩が含まれているもので有っても良い。
【0048】
本発明に於ける当該ステアリン酸金属塩若しくは当該ステアリン酸亜鉛を含む1種或は複数種のステアリン酸金属塩の、当該混合体つまりペーパースラッジを含む当該セルロース系微細塊状物と廃ブラの合計量に対する重量比は1乃至10重量%である事が望ましく好ましくは1〜5重量%が好ましい。
【0049】
従って、本発明に於いて最終的に得られた当該再生合成樹脂組成物は、更にカルシウム或はバリウムの内の少なくとも一つの元素が含まれているものである。
上記した様に、本発明により得られる再生合成樹脂組成物としては、例えば、ステアリン酸ナトリウムを含むセルロースを主成分とする微細塊状物に少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分を含む合成樹脂材料の破砕物を混合した混合体に、ステアリン酸金属塩を添加し、当該混合体を加熱熔融処理して成形加工した再生合成樹脂組成物である。
【0050】
更に、本発明に於ける当該再生合成樹脂組成物の他の態様としては、少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分と、主としてセルロースを主成分とする微細塊状物とが混在している再生合成樹脂組成物であって、当該セルロースを主成分とする微細塊状物(以下単にセルロース系微細塊状物と言う)の当該再生合成樹脂組成物に於ける当該セルロース系微細塊状物と当該合成樹脂成分との混合割合が重量比で20:80〜50:50であって、且つ当該再生合成樹脂組成物中に少なくともナトリウム及び亜鉛が含まれており、更には、当該再生合成樹脂組成物の引張強さが23〜40MPaであって、同曲げ強さが30〜52MPaであって、圧縮強さが29〜53MPaであって且つせん断強さが25〜40MPaである条件を満足する再生合成樹脂組成物であって、いずれの特性値も通常の木材の特性よりも優れた特性値を示すものであることが明らかである。
【0051】
従って、上記した各特性値の少なくとも何れか一つを満足する本発明の再生合成樹脂組成物であれば、木材の用途に使用しても十分対応能力を有するものであり、勿論上記した全ての特性値を満足する本発明の再生合成樹脂組成物であればより高級な木材の用途に使用する事が可能である。
【0052】
即ち、本発明により得られる上記した再生合成樹脂組成物は、後述する様に、国土交通省が平成12年に既に国内で告示している建築基準法に関連する主要木材の基準強度特性と比較すると、いずれの特性に於いても明らかにその1.5倍以上の強度特性を有するものである事が明らかであり、従って、本願の再生合成樹脂組成物は、通常の木材が適用される全ての分野で使用可能であることが立証されているのである。係る本願に於ける当該再生合成樹脂組成物が持つ上記特性は、従来の廃プラでは全く想像できなかった画期的な特性であり、廃プラの再利用の範囲を大幅に拡大する事が可能であるので、環境保全に対して顕著に貢献できるものである事は明かである。
【0053】
次に、本発明に於ける当該再生合成樹脂組成物の製造方法は、既に上記説明から明らかな様に、具体的には、セルロース系微細塊状物にステアリン酸ナトリウムを添加して混合するか、セルロースを主成分とする材料に当該ステアリン酸ナトリウムを添加して混合した後、適宜の破砕手段を使用して微細な塊状体に形成されたセルロース系微細塊状物を形成する工程、当該ステアリン酸ナトリウムを含む当該セルロース系微細塊状物を少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分を含む合成樹脂材料を適宜の破砕手段を使用して破砕した合成樹脂破砕物とを混合する工程、当該ステアリン酸ナトリウムを含む当該セルロース系微細塊状物と当該合成樹脂破砕物との混合体にステアリン酸金属塩を添加する工程、及び当該混合体を加熱熔融成型する工程とから構成されている再生合成樹脂組成物の製造方法である。
【0054】
又、本発明にかかる再生合成樹脂組成物の別の製造方法としては、例えば、セルロース系微細塊状物にステアリン酸ナトリウムを添加して混合するか、セルロースを主成分とする材料に当該ステアリン酸ナトリウムを添加して混合した後、適宜の破砕手段を使用して微細な塊状体に形成されたセルロース系微細塊状物を形成する工程、少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分を含む合成樹脂材料を適宜の破砕手段を使用して破砕した合成樹脂破砕物にステアリン酸金属塩を添加する工程、当該ステアリン酸ナトリウムを含む当該セルロース系微細塊状物と、ステアリン酸金属塩を含む当該ポリオレフィン系合成樹脂成分とを混合する工程、及び当該混合体を加熱熔融成型する工程とから構成されている再生合成樹脂組成物の製造方法である。
【0055】
本発明に於ける上記再生合成樹脂組成物の製造方法に於いて、当該セルロース系微細塊状物を形成する工程は、50重量%以上の水分を含有するペーパースラッジ等の繊維状セルロース系材料にステアリン酸ナトリウムを添加し、混合しながら若しくは混合した後、当該ペーパースラッジ等の繊維状セルロース系材料の水分率が1乃至10重量%になるまで加熱乾燥する工程である事が望ましい。
【0056】
即ち、上記の工程を含めた本発明の更に別の態様としては、50重量%以上の水分を含有するペーパースラッジ等の繊維状セルロース系材料にステアリン酸ナトリウムを添加し、混合しながら若しくは混合した後、当該ペーパースラッジ等の繊維状セルロース系材料の水分率が1乃至10重量%になるまで加熱乾燥する工程、当該乾燥したペーパースラッジ等の繊維状セルロース系材料を適宜の破砕手段を使用して破砕処理し、微細な塊状物(以下単にセルロース系微細塊状物という)を形成する工程、当該セルロース系微細塊状物と少なくとも一種類のオレフィン系合成樹脂を適宜の破砕手段を使用して破砕した合成樹脂破砕物とを混合する工程、当該ステアリン酸ナトリウムを含む当該セルロース系微細塊状物と当該合成樹脂破砕物との混合体にステアリン酸金属塩を添加する工程、及び当該混合体を加熱熔融成型する工程とから構成されている再生合成樹脂組成物の製造方法である。
【0057】
実施例
以下に、本発明に係る当該再生合成樹脂組成物と従来例との特性を比較する為に、各種のサンプルを本発明に係る再生合成樹脂組成物と従来例とを作成して比較検討を行った。
【0058】
つまり、本発明に係る当該再生合成樹脂組成物について、本発明に記載されている各種条件の範囲内で、それぞれの条件を種々に変更し、本発明に示される方法に従って18種類のサンプルを製造し、それぞれのサンプルについて、その特性を実施例1から18としてそれぞれの製造条件及び得られた当該再生合成樹脂組成物の特性値等を第1表から第4表に示した。
【0059】
一方、本発明に係る各種条件の範囲を外れる条件の下で製造した14種のサンプルを従来例として比較例の形でそれぞれの特性値を測定し、第5表から第7表に示した。
【0060】
実施例1〜18
製紙工場より供給を受けたペーパースラッジ(含水率60重量%)10kgに、所定の重量%(a)の粉末状のステアリン酸ナトリウムを添加し、ドラム式乾燥機にて90℃で乾燥し、繊維表面にステアリン酸ナトリウムが固着した所定水分率(b)のペーパースラッジ乾燥物を得た。
【0061】
さらに、上記ペーパースラッジ乾燥物をミルにて所定の平均繊維長(c)になるよう粉砕した。
次に、所定の割合(d)の上記ペーパースラッジ粉砕物と、5mm角以下に破砕した所定組成(e)の廃プラスチック計50kgに、所定の重量%(f)の粉末状のステアリン酸亜鉛と所定の重量%(h)のステアリン酸金属塩(g)を添加し、タンブラーにて混合した。
【0062】
上記混合物を下記の押出機にて加熱溶融成形し、100×25×500mmの再生樹脂成形品を得た。
押出スクリュー:DIA 65mm
押出温度:220℃
【0063】
上記により得られた再生樹脂成形品について以下の評価、物性測定を行った。
(1)外観、(2)比重、(3)硬度、(4)引張強さ、(5)曲げ強さ、(6)圧縮強さ、(7)剪断強さ、(8)衝撃強度、(9)荷重たわみ温度、(10)成形収縮率、(11)耐弱酸性、(12)耐強酸性、(13)耐弱アルカリ性、(14)耐強アルカリ性等。
【0064】
比較例1から14
所定の条件を変更し、実施例と同様の方法で再生樹脂成形品を得ると共に、物性の測定も上記した実施例の測定方法に従った。
実施例1から18、比較例1から14の内容、結果を表1乃至表7に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
【表7】

以上の比較実験結果から判断すると以下の様な結果が得られた。
【0072】
即ち、ペーパースラッジに添加するステアリン酸ナトリウムの添加量が1〜5重量%の範囲ではいずれも良好な物性を示す(実施例1〜3)。
ステアリン酸ナトリウムを添加しないとスラッジと樹脂の強固な接着が得られず、強度物性が低下する(比較例1)。
ナトリウム以外のステアリン酸金属塩を使用しても良好な強度物性は得られない(比較例2から3)。
【0073】
ステアリン酸ナトリウムを樹脂との混合時に添加しても効果はない(比較例4)。
あらかじめペーパースラッジ表面にステアリン酸ナトリウムを固着させることによる効果が大きい。
【0074】
また、ステアリン酸ナトリウムの添加量が5重量%を越えると成形時に熱だれを起こしやすい。
ペーパースラッジの含水率が1〜10重量%の範囲では良好な強度物性を示すが(実施例1、4、5)、含水率が10重量%を越えると良好な物性は得られない(比較例5)。
【0075】
ペーパースラッジの平均繊維長が最大長さの平均値が30〜200μmの範囲では外観が良好で強度物性も良好な成形物が得られるが(実施例1、6〜8)、200μmを超えると表面に毛羽立ちが生じ、良好な成形品は得られない(比較例6)。また、通常のミルでは平均繊維長を30μm以下に粉砕するのは困難である。
【0076】
ペーパースラッジの配合比率が20〜50重量%の範囲で良好な強度物性を示すが(実施例1、9、10)、その範囲以下では強度は低下する(比較例8)。ペーパースラッジは繊維強化の役割を果たしており、添加することにより物性は向上する。特に成形収縮率の改善効果は著しい。(比較例7、8)。また、若干の耐酸性向上の効果もあるようである。
【0077】
ペーパースラッジの添加は、請求の範囲を超えると樹脂との接着が悪くなり強度は低下する(比較例9)。
樹脂配合時に添加するステアリン酸亜鉛は1〜5重量%の範囲で良好な強度物性を示す(実施例1、11、12)。ステアリン酸亜鉛と組み合わせてステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸ナトリウムも使用できる(実施例13〜15)。
【0078】
しかし、ステアリン酸亜鉛を添加しない場合は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸ナトリウムなどの他の金属塩が存在しても強度物性は低下する(比較例10〜13)。また、添加するステアリン酸亜鉛および他のステアリン酸金属塩の添加量が5重量%を越えると成形時に熱だれを起こしやすい。
【0079】
配合する廃プラスチックは、オレフィン系樹脂を50重量%以上含む場合に良好な強度物性を示す(実施例16〜18)。オレフィン系樹脂の配合割合が50%を下回ると強度は極端に低下する(比較例14)。
【0080】
次に、本発明により得られた当該再生合成樹脂組成物の物理的な特性を従来国内で主として住宅の建設に使用されている主要木材の物理的な特性とを比較する。
処で、通常国内に於いて、住宅建設に使用されている主要木材の物理的特性は、通常は、以下の表8乃至表11で示されている様な、国土交通省が平成12年に既に国内で告示している建築基準法に関連する主要木材の基準強度特性が使用されており、特にそれぞれの木材の引張強さ、曲げ強さ、圧縮強さ及び剪断強さが重要な物理特性として決められており、当該各4つの基準物理特性をクリヤしたものが住宅建設に使用出来るものと定められている。
【0081】
即ち、表8及び表9は、上記国土交通省の告示の中から、各種の木材について構造用ムク材の基準強度に関し目視等級区分によるそれぞれの基準強度値を一部抜粋したものであり、単位はN/mmとして示されている。
【0082】
尚、1N/mmは、1MPaに相当するものである。
又、表10乃至表11は、上記国土交通省の告示の中から、構造用ムク材の基準強度に関し機械等級区分によるそれぞれの基準強度値を一部抜粋したものであり、単位はN/mmとして示されている。
【0083】
【表8】

【0084】
【表9】

【0085】
【表10】

【0086】
【表11】

【0087】
上記した本発明の実施例により得られたそれぞれの再生合成樹脂組成物の物理的特性を上記国土交通省の告示による木材の基準強度特性と比較して見ると、本願発明により得られた当該再生合成樹脂組成物の物理的特性は、いずれの特性に於いても明らかに当該国土交通省の告示による木材の基準強度特性の1.5倍以上の強度特性を有するものである事が明らかである。
【0088】
つまり、上記した比較実験結果より明らかな通り、本発明により得られる当該再生合成樹脂組成物は、その物理的特性として、引張強さが23〜40MPaであり、又その曲げ強さが30〜52MPaであり、更には、その圧縮強さが29〜53MPaであって然も、そのせん断強さが25〜40MPaであり、上記した基準値条件をいずれも満足することが明らかであるから、当該本発明により得られる当該再生合成樹脂組成物は、明らかに通常の木材のそれぞれの同一特性値よりも優れた特性を示すものであることが明らかである。
従って、本発明に於ける当該再生合成樹脂組成物は、そのままで直接的に従来から木材が主に使用されている分野に活用する事が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分と、主としてセルロースを主成分とする微細塊状物とが混在している再生合成樹脂組成物であって、当該再生合成樹脂組成物に於ける、当該セルロースを主成分とする微細塊状物(以下単にセルロース系微細塊状物と言う)と当該合成樹脂成分との混合割合が重量比で20:80〜50:50であって、且つ当該再生合成樹脂組成物中に少なくともナトリウム及び亜鉛が含まれている事を特徴とする再生合成樹脂組成物。
【請求項2】
ステアリン酸ナトリウムを含むセルロースを主成分とする微細塊状物(以下単にセルロース系微細塊状物と言う)に少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分を含む合成樹脂材料の破砕物(以下単に合成樹脂破砕物と言う)とを混合した混合体にステアリン酸金属塩を添加し、当該混合体を加熱熔融処理して成形加工した事を特徴とする再生合成樹脂組成物。
【請求項3】
少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分と、主としてセルロースを主成分とする微細塊状物とが混在している再生合成樹脂組成物であって、当該再生合成樹脂組成物に於ける、当該セルロースを主成分とする微細塊状物(以下単にセルロース系微細塊状物と言う)と当該合成樹脂成分との混合割合が重量比で20:80〜50:50であって、然も当該再生合成樹脂組成物は、引張強さが23〜40MPa、同曲げ強さが30〜52MPa、圧縮強さが29〜53MPa或いはせん断強さが25〜40MPaの少なくとも一つの特性条件を満足することを特徴とする再生合成樹脂組成物。
【請求項4】
当該セルロース系微細塊状物は、短繊維状或は粒状を呈しており、それぞれの当該微細塊状物の最大長さの平均値が30〜200μmで事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の再生合成樹脂組成物。
【請求項5】
当該セルロース系微細塊状物は、木屑、ペーパースラッジ、スラッジ焼却灰、紙、セルロース系繊維、植物、穀物、木片等から選択された少なくとも一つのセルロースを主成分とする材料を適宜の粉砕手段を使用して微細な塊状体に破砕したものである事を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の再生合成樹脂組成物。
【請求項6】
当該合成樹脂成分は、当該ポリオレフィン系合成樹脂成分の他に少なくともポリスチレン系合成樹脂成分が含まれている事を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の再生合成樹脂組成物。
【請求項7】
当該再生合成樹脂組成物中に於ける当該ポリオレフィン系合成樹脂成分と当該ポリスチレン系合成樹脂成分との混合割合は重量比で100:0〜50:50である事を特徴とする請求項6に記載の再生合成樹脂組成物。
【請求項8】
当該再生合成樹脂組成物は、更にカルシウム或はバリウムの内の少なくとも一つが含まれている事を特徴とする請求項1又は3乃至7の何れかに記載の再生合成樹脂組成物。
【請求項9】
当該混合体に添加されるステアリン酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛である事を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の再生合成樹脂組成物。
【請求項10】
当該ステアリン酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛の他にステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム及びステアリン酸ナトリウムから選択された少なくとも一つが含まれている事を特徴とする請求項9に記載の再生合成樹脂組成物。
【請求項11】
当該ステアリン酸ナトリウムの当該セルロース系微細塊状物の重量に対する混入比率は、1乃至10重量%である事を特徴とする請求項2乃至10の何れかに記載の再生合成樹脂組成物。
【請求項12】
当該ステアリン酸金属塩の、当該混合体の重量に対する混入比率は、1乃至10重量%である事を特徴とする請求項2乃至10の何れかに記載の再生合成樹脂組成物。
【請求項13】
セルロース系微細塊状物にステアリン酸ナトリウムを添加して混合するか、セルロースを主成分とする材料に当該ステアリン酸ナトリウムを添加して混合した後、適宜の破砕手段を使用して微細な塊状体に形成されたセルロース系微細塊状物を形成する工程、当該ステアリン酸ナトリウムを含む当該セルロース系微細塊状物と、少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分を含む合成樹脂材料を適宜の破砕手段を使用して破砕した合成樹脂破砕物とを混合する工程、当該ステアリン酸ナトリウムを含む当該セルロース系微細塊状物と当該合成樹脂破砕物との混合体にステアリン酸金属塩を添加する工程、及び当該混合体を加熱熔融成型する工程とから構成されている事を特徴とする再生合成樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
セルロース系微細塊状物にステアリン酸ナトリウムを添加して混合するか、セルロースを主成分とする材料に当該ステアリン酸ナトリウムを添加して混合した後、適宜の破砕手段を使用して微細な塊状体に形成されたセルロース系微細塊状物を形成する工程、少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分を含む合成樹脂材料を適宜の破砕手段を使用して破砕した合成樹脂破砕物にステアリン酸金属塩を添加する工程、当該ステアリン酸ナトリウムを含む当該セルロース系微細塊状物と、ステアリン酸金属塩を含む当該ポリオレフィン系合成樹脂成分とを混合する工程、及び当該混合体を加熱熔融成型する工程とから構成されている事を特徴とする再生合成樹脂組成物の製造方法。
【請求項15】
当該セルロース系微細塊状物は、木屑、ペーパースラッジ、スラッジ焼却灰、紙、セルロース系繊維、植物、穀物、木片等から選択された少なくとも一つのセルロースを主成分とする材料を適宜の粉砕手段を使用して微細な塊状体に破砕したものである事を特徴とする請求項13又は14に記載の再生合成樹脂組成物の製造方法。
【請求項16】
当該セルロース系微細塊状物は、短繊維状或は粒状を呈しており、それぞれの当該微細塊状物の最大長さの平均値が30〜200μmで事を特徴とする請求項13乃至15の何れかに記載の再生合成樹脂組成物の製造方法。
【請求項17】
当該セルロース系微細塊状物を形成する工程は、50重量%以上の水分を含有するペーパースラッジ等の繊維状セルロース系材料にステアリン酸ナトリウムを添加し、混合しながら若しくは混合した後、当該ペーパースラッジ等の繊維状セルロース系材料の水分率が1乃至10重量%になるまで加熱乾燥する工程、である事を特徴とする請求項13乃至16の何れかに記載の再生合成樹脂組成物の製造方法。
【請求項18】
当該合成樹脂成分は、当該ポリオレフィン系合成樹脂成分の他に少なくともポリスチレン系合成樹脂成分が含まれている事を特徴とする請求項13乃至17の何れかに記載の再生合成樹脂組成物の製造方法。
【請求項19】
当該再生合成樹脂組成物中に於ける当該ポリオレフィン系合成樹脂成分と当該ポリスチレン系合成樹脂成分との混合割合は重量比で100:0〜50:50である事を特徴とする請求項13乃至18の何れかに記載の再生合成樹脂組成物の製造方法。
【請求項20】
当該混合体に添加されるステアリン酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛である事を特徴とする請求項13乃至19の何れかに記載の再生合成樹脂組成物の製造方法。
【請求項21】
当該ステアリン酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛の他にステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム及びステアリン酸ナトリウムから選択された少なくとも一つが含まれている事を特徴とする請求項20に記載の再生合成樹脂組成物の製造方法。
【請求項22】
当該ペーパースラッジを含むセルロース系微細塊状物に混入されている当該ステアリン酸ナトリウムの当該セルロース系微細塊状物の重量に対する混入比率は、1乃至10重量%である事を特徴とする請求項13乃至21の何れかに記載の再生合成樹脂組成物の製造方法。
【請求項23】
当該ステアリン酸金属塩の、当該混合体の重量に対する混入比率は、1乃至10重量%である事を特徴とする請求項13乃至22の何れかに記載の再生合成樹脂組成物の製造方法。

【公開番号】特開2006−342275(P2006−342275A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170474(P2005−170474)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(505218579)株式会社オキツ (1)
【Fターム(参考)】