再生装置、再生方法及び再生プログラム
【課題】
ユーザに対して、再生モードを直感的に通知することのできる再生装置を実現する。
【解決手段】
コンテンツデータを複数記憶した記憶部と、記憶部に記憶された上記コンテンツデータを読み出して再生する再生部と、再生部で再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動部と再生装置に設け、再生部は、記憶部に記憶されたコンテンツデータを所定の順序で再生する通常再生モードと、記憶部に記憶されたコンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生するリコメンドモードの2つの再生モードを有し、駆動部は、再生部がリコメンドモードで動作しているとき、通常再生モード時に比して被駆動部をより機敏に動作させるようにした。
ユーザに対して、再生モードを直感的に通知することのできる再生装置を実現する。
【解決手段】
コンテンツデータを複数記憶した記憶部と、記憶部に記憶された上記コンテンツデータを読み出して再生する再生部と、再生部で再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動部と再生装置に設け、再生部は、記憶部に記憶されたコンテンツデータを所定の順序で再生する通常再生モードと、記憶部に記憶されたコンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生するリコメンドモードの2つの再生モードを有し、駆動部は、再生部がリコメンドモードで動作しているとき、通常再生モード時に比して被駆動部をより機敏に動作させるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再生装置、再生方法及び再生プログラムに関し、音楽データに基づいて音楽を再生する音楽再生装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、音楽データを不揮発性メモリやハードディスクドライブ等に録音して再生する携帯型の音楽再生装置が普及している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の音楽再生装置は、音楽データの再生モードとして、録音されている音楽をその録音順に再生していく通常再生モードや、音楽を不特定の順序で再生していくランダム再生モード、さらには、ユーザの嗜好や再生頻度等に基づいて、録音されている音楽の中から当該ユーザが好みそうな音楽を推薦曲として選出して再生する、いわゆるリコメンドモードを有しているものもある。
【特許文献1】特開2003−85888公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで従来の音楽再生装置では、現在実行中の再生モードを表示部に文字情報等で表示するのみであり、このためユーザに対して再生モードを直感的に通知し得ないという問題があった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ユーザに対し再生モードを直感的に通知することのできる再生装置、再生方法及び再生プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明においては、コンテンツデータを複数記憶した記憶部と、記憶部に記憶されたコンテンツデータを読み出して再生する再生部と、再生部で再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動部と、記憶部に記憶されたコンテンツデータを所定の順序で再生させる通常再生モードと記憶されたコンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生させるリコメンドモードの2つの再生モードにより再生部を制御し、リコメンドモードが選択された場合には被駆動部を通常再生モード時よりも機敏に駆動するように駆動部を制御する制御部とを再生装置に設けた。
【0007】
これによりこの再生装置は、被駆動部の動作状態を通じて、その再生モードをユーザに対して直感的に通知することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンテンツデータを複数記憶した記憶部と、記憶部に記憶されたコンテンツデータを読み出して再生する再生部と、再生部で再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動部と、記憶部に記憶されたコンテンツデータを所定の順序で再生させる通常再生モードと記憶されたコンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生させるリコメンドモードの2つの再生モードにより再生部を制御し、リコメンドモードが選択された場合には被駆動部を通常再生モード時よりも機敏に駆動するように駆動部を制御する制御部とを再生装置に設けたことにより、被駆動部の動作状態を通じて、その再生モードをユーザに対して直感的に通知し得る再生装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0010】
(1)音楽再生ロボット装置の構成
図1において、1は全体として音楽再生ロボット装置を示し、回転楕円体形状でなる楕円体状筐体2を有している。
【0011】
この音楽再生ロボット装置1は、図2にも示すように、楕円体状筐体2の長軸側端部P2及びP3を直線で結ぶ水平回転軸線L1に対して中心点P1から等距離の位置で直交する左側垂直面S1上及び右側垂直面S2上において、楕円体状筐体2の外周に沿って一周するように突出して形成されることにより円環状かつ同形に構成された左側車輪3及び右側車輪4を有し、この左側車輪3及び右側車輪4は、水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転可能に構成されている。
【0012】
さらにこの楕円体状筐体2は、左側車輪3及び右側車輪4の間に設けられた中央筐体5と、中央筐体5の左側に設けられ当該中央筐体5側から左側端部P3に向かってすぼむように形成された左側筐体6と、中央筐体5の右側に設けられ当該中央筐体5側から右側端部P2に向かってすぼむように形成された右側筐体7とに分割されている。
【0013】
中央筐体5はその内部下側に、当該中央筐体5の姿勢を安定させる(すなわち、中央筐体5が水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転するのを防止する)ための重り8を備えている。また中央筐体5の表面には、図3にも示すように、ユーザの指や手等が接触したことを検知するための接触検知センサ部9が設けられている。
【0014】
左側筐体6は、中央筐体5に対して水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転可能に構成された左側回転体10と、この左側回転体10の左側にヒンジ部11を介して設けられることにより左側外方へ開閉可能に構成された左側開閉体12とを有している。この左側回転体10はその表面に、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光手段を内蔵した発光部13が設けられている。また左側開閉体12はその内部にスピーカ14を有し、ヒンジ部11を介して左側外方に開いた際、図1(B)に示すようにこのスピーカ14が外部に露出するようになされている。
【0015】
同様に右側筐体7は、中央筐体5に対して水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転可能に構成された右側回転体15と、この右側回転体15の右側にヒンジ部16を介して設けられることにより右側外方へ開閉可能に構成された右側開閉体17とを有し、右側回転体15の表面には発光部18が設けられている。また右側開閉体17はその内部にスピーカ19を有し、ヒンジ部16を介して右側外方に開いた際、図1(B)に示すようにこのスピーカ19が外部に露出するようになされている。
【0016】
次に、音楽再生ロボット装置1の回路構成を図4を用いて説明する。音楽再生ロボット装置1は、装置全体を統括的に制御する制御部20に装置各部が接続されている。この制御部20はCPU(Central Processing Unit)に対してRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、クロック回路等が接続されて構成され、CPUがROMに格納されている各種制御プログラムを読み出しRAM上で実行することにより、音楽再生ロボット装置1の各種動作を制御するようになされている。
【0017】
制御部20は、加速度センサ部21を介して、音楽再生ロボット装置1が床などから持ち上げられた旨を検知した後、中央筐体5の表面に設けられた接触検知センサ部9に対してユーザの指や手等が接触したことを検知し、かつ、加速度センサ部21により楕円体状筐体2が所定値以上の加速度で振り動かされていることを検知すると、楕円体状筐体2の振り動かされている筐体振り動かし方向を判定するための振り方向判定処理を実行する。
【0018】
例えばこの振り方向判定処理において制御部20は加速度センサ部21により、筐体振り動かし方向が音楽を再生するように命令する方向であることを認識すると、音楽を再生するように命令する再生制御命令が入力されたと判断する。
【0019】
これに応じてこの制御部20は、記憶部26に記憶された音楽データを読み出し、当該読み出した音楽データに基づく音楽を音楽処理部22及びスピーカ14、19を順次介して出力(音楽再生)する。このようにして音楽再生ロボット装置1は、記憶部26に記憶されている音楽データに基づいて音楽をスピーカ14、19から出力する音楽再生処理を実行することができる。
【0020】
続いて制御部20は加速度センサ部21により、左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして楕円体状筐体2が床に置かれた旨を検知すると、再生中の音楽の曲調(テンポや音程等)に応じて楕円体状筐体2の各部を動作させる再生曲調動作処理を実行する。
【0021】
つまりこの再生曲調動作処理において制御部20は、再生中の音楽の曲調に応じて車輪駆動部23を制御することにより、円環状かつ同形に構成された左側車輪3及び右側車輪4を水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転駆動する。これにより音楽再生ロボット装置1は、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するように床などの上を安定して走行することができる。
【0022】
またこの再生曲調動作処理において制御部20は、音楽再生処理している音楽の曲調に応じて回転体駆動部24を制御することにより左側回転体10及び右側回転体15を回転駆動し、これにより中央筐体5側から左端に近づくほど水平回転軸線L1側にすぼむようにして構成された左側筐体6と中央筐体5側から右端に近づくほど水平回転軸線L1側にすぼむようにして構成された右側筐体7とを水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転させる。これにより音楽再生ロボット装置1は、左側車輪3及び右側車輪4による走行に支障をきたさないようにして、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するように左側筐体6及び右側筐体7を回転させることができる。
【0023】
さらにこの再生曲調動作処理において制御部20は、音楽再生処理している音楽の曲調に応じて開閉体駆動部25を制御することにより、左側開閉体12及び右側開閉体17を左側外方及び右側外方へ開閉動作させる。これにより音楽再生ロボット装置1は、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するように左側開閉体12及び右側開閉体17を開閉させることができる。
【0024】
さらにこの再生曲調動作処理において制御部20は、音楽再生処理している音楽の曲調に応じて発光部13、18を介して光を発する。これにより音楽再生ロボット装置1は、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するようにして光を発することができる。
【0025】
かくしてこの音楽再生ロボット装置1は、再生中の音楽の曲調に応じて床などの上を踊るように動作することができ、この結果格段とエンターテイメント性を向上させることができる。
【0026】
因みに本実施の形態の場合この音楽再生ロボット装置1は、例えば図5に示すように、再生中の音楽の曲調(再生曲調)に応じて、その場で回転する又はカーブを描くように走行する又は前後方向に直進することができる。
【0027】
例えば音楽再生ロボット装置1の制御部20はその場で回転する場合、車輪駆動部23を制御することにより左側車輪3及び右側車輪4のそれぞれを同じ力で互いに反対向きに回転駆動する。また制御部20はカーブを描くように走行する場合、車輪駆動部23を制御することにより左側車輪3及び右側車輪4のそれぞれを異なる力で同じ向きに回転駆動する。また制御部20は前後方向に直進する場合、車輪駆動部23を制御することにより左側車輪3及び右側車輪4のそれぞれを同じ力で同じ向きに回転駆動するようになされている。
【0028】
このように本発明の音楽再生ロボット装置1では、再生曲調に応じて左側車輪3及び右側車輪4の回転による前後左右への走行、左側開閉体12及び右側開閉体17の開閉動作、並びに発光部13及び18の発光といった各種動作(これらを総称してモーションと呼ぶ)を行うことにより、エンターテイメント性に富んだ音楽再生を行うようになされている。
【0029】
(2)再生曲調動作処理
ここで、図6において示す音楽データ転送システム31は、音楽データを提供する音楽データ提供サーバ32からネットワーク33を介して取得した音楽データ又は音楽データが記録されてなる記録媒体(例えばCD(Compact Disc))34から取得した音楽データを、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル35及び音楽再生ロボット装置1が載置されるクレードル36を介して、音楽再生ロボット装置1に転送するようになされた転送装置37を有する。因みに本実施の形態の場合この転送装置37は、パーソナルコンピュータ等に相当する。
【0030】
この転送装置37は、音楽再生ロボット装置1に対して音楽データを供給する前に、この音楽データに対して例えば周波数解析処理を実行する。かくしてこの転送装置37は、例えば図7に示すように、再生時間軸AX1に沿ってこの音楽データの周波数解析結果が示された音楽解析結果情報INF1を得ることができる。
【0031】
次いでこの転送装置37は、得られた音楽解析結果情報INF1に基づいて、左側車輪3及び右側車輪4を回転させる向きやその回転速度、左側回転体10及び右側回転体15を回転させる向きやその回転角度、左側開閉体12及び右側開閉体17を開閉する開閉角度、発光部13、18を発光させるタイミング等を再生時間軸AX1に沿って示した駆動部動作情報INF2を生成する。かくして転送装置37は、この音楽データの曲調に応じて駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させるための駆動部動作情報INF2を得ることができる。因みにこの図7に示すこの駆動部動作情報INF2には、音楽データの再生時間軸AX1に沿って、左側開閉体12及び右側開閉体17を開閉させる開閉角度が示されている。
【0032】
そしてこの転送装置37は、例えばユーザにより転送操作が行われると、かかる音楽データとこの音楽データに対応する駆動部動作情報INF2とを、USBケーブル35及びクレードル36を介して音楽再生ロボット装置1に転送する。このとき音楽再生ロボット装置1の制御部20は、転送装置37からの音楽データ及び駆動部動作情報INF2を、記憶部26に記憶するようになされている。
【0033】
この結果この音楽再生ロボット装置1の制御部20は、記憶部26に記憶された音楽データを音楽再生処理している際、この音楽データに対応する駆動部動作情報INF2に基づいて駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させる再生曲調動作処理を実行することができる。
【0034】
次に、図8に示すフローチャートを用いて、再生曲調動作処理を開始又は停止するなどの制御を行うための再生曲調動作制御処理手順RT1を説明する。
【0035】
例えばこの音楽再生ロボット装置1の制御部20は、音楽を再生するように命令する再生制御命令が入力されたことに応じてステップSP1に進み、楕円体状筐体2が床から持ち上げられたか否かを判定するための持上判定処理を実行する。
【0036】
次いでこの制御部20は、例えばこの持上判定処理の結果、楕円体状筐体2が左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして床に置かれていることを認識すると、ステップSP2で否定結果を得てステップSP3に移る。
【0037】
このステップSP3において制御部20は、入力された再生制御命令に応じて音楽再生処理を開始する再生時間軸AX1上の時刻t1を、再生曲調動作処理を開始する再生曲調動作開始時刻t1として認識した後、ステップSP4に移って緩速駆動処理を実行する。
【0038】
この緩速駆動処理において制御部20は、認識した再生曲調動作開始時刻t1の駆動部動作情報INF2を参照し、当該参照した駆動部動作情報INF2に示されている左側開閉体12及び右側開閉体17の開閉角度と、左側開閉体12及び右側開閉体17が現在位置する現在位置の開閉角度とを比較する。その結果この駆動部動作情報INF2に示されている開閉角度と現在位置の開閉角度との差が所定値よりも小さい場合この制御部20は、現在位置から駆動部動作情報INF2に示されている開閉角度までいきなり開閉しても左側開閉体12及び右側開閉体17まわりに過度の負荷はかからないと判断する。またこの緩速駆動処理において制御部20は、再生曲調動作開始時刻t1の駆動部動作情報INF2を参照し、当該参照した駆動部動作情報INF2に示されている左側回転体10及び右側回転体15の回転角度と、左側回転体10及び右側回転体15が現在位置する現在位置の回転角度とを比較する。その結果この駆動部動作情報INF2に示されている回転角度と現在位置の回転角度との差が所定値よりも小さい場合この制御部20は、いきなり回転させても左側回転体10及び右側回転体15まわりに過度の負荷はかからないと判断する。かくしてこの場合この制御部20は、そのままステップSP5に進む。
【0039】
そしてステップSP5において制御部20は、認識した再生曲調動作開始時刻t1に再生曲調動作処理を実行開始する。これにより音楽再生ロボット装置1は、音楽再生処理している音楽の曲調に同期して駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させる再生曲調動作処理を実行することができる。
【0040】
次いで制御部20はステップSP6に移り、楕円体状筐体2が床から持ち上げられたか否かを判定するための持上判定処理を再度実行する。ここで制御部20はこの持上判定処理の結果、楕円体状筐体2が左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして床に置かれていることを認識した場合、ステップSP7で否定結果を得て上述のステップSP5に戻り、再生曲調動作処理を継続実行する。これに対してこの持上判定処理の結果、楕円体状筐体2が床から持ち上げられていることを認識すると制御部20は、ステップSP7で肯定結果を得てステップSP8に進む。
【0041】
このステップSP8において制御部20は、音楽再生処理を実行したまま、再生曲調動作処理を終了する。かくして楕円体状筐体2に設けられた駆動部(3、4、12、17、10、15)はその動作を停止し、これにより楕円体状筐体2を持っているユーザがこの楕円体状筐体2を落としてしまう等の事態を回避することができる。
【0042】
次いで制御部20はステップSP9に移り、楕円体状筐体2が床から持ち上げられているか否かを判定するための持上判定処理を再度実行する。ここで制御部20はこの持上判定処理の結果、楕円体状筐体2が床から持ち上げられていることを認識すると、ステップSP10で肯定結果を得て上述のステップSP9に戻り、再生曲調動作処理を停止したまま音楽再生処理を継続実行する。これに対してこの持上判定処理の結果、楕円体状筐体2が左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして床に置かれていることを認識すると制御部20は、ステップSP10で否定結果を得てステップSP11に進む。
【0043】
このステップSP11において制御部20は、再生時間軸AX1上の現時刻t2から所定時間(例えば10秒)経過した時刻t3を、再生曲調動作処理を再開する再生曲調動作開始時刻t3として認識した後、上述したステップSP4に戻って緩速駆動処理を実行する。
【0044】
この緩速駆動処理において制御部20は、認識した再生曲調動作開始時刻t3の駆動部動作情報INF2を参照し、当該参照した駆動部動作情報INF2に示されている左側開閉体12及び右側開閉体17の開閉角度と、左側開閉体12及び右側開閉体17が現在位置する現在位置の開閉角度とを比較し、その結果この駆動部動作情報INF2に示されている開閉角度と現在位置の開閉角度との差が所定の角度差閾値以上であることを認識すると、現在位置から駆動部動作情報INF2に示されている開閉角度までいきなり開閉すると左側開閉体12及び右側開閉体17まわりに負荷がかかりすぎると判断し、駆動部動作情報INF2に示されている開閉角度に近づけるように緩やかな速度で左側開閉体12及び右側開閉体17を開閉させる。またこの緩速駆動処理において制御部20は、再生曲調動作開始時刻t3の駆動部動作情報INF2を参照し、当該参照した駆動部動作情報INF2に示されている左側回転体10及び右側回転体15の回転角度と、左側回転体10及び右側回転体15が現在位置する現在位置の回転角度とを比較し、その結果この駆動部動作情報INF2に示されている回転角度と現在位置の回転角度との差が所定角度差閾値以上である場合、いきなり回転させると左側回転体10及び右側回転体15まわりに負荷がかかりすぎると判断し、駆動部動作情報INF2に示されている回転角度に近づけるように緩やかな速度で左側回転体10及び右側回転体15を回転させる。かくしてこの音楽再生ロボット装置1によれば、駆動部(12、17、10、15)まわりに過剰な負荷をかけずに再生曲調動作処理を実行再開することができる。
【0045】
そして緩速駆動処理を実行した後この制御部20はステップSP5に移り、認識した再生曲調動作開始時刻t3に再生曲調動作処理を実行再開する。
【0046】
このようにこの音楽再生ロボット装置1によれば、その楕円体状筐体2が左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして床に再度置かれると、再生し続けている音楽の曲調に同期するように駆動部(3、4、12、17、10、15)の動作を再開させることができる。
【0047】
(3)再生モード変更処理
この音楽再生ロボット装置1は、音楽の再生モードとして、記憶部26に記憶されている音楽データをその記憶順に再生していく通常再生モードと、記憶部26に記憶されている音楽データの中から音楽再生ロボット装置1自身が推薦曲を選出して再生するリコメンドモードの2種の再生モードを有している。
【0048】
このリコメンドモードにおける推薦曲の選出方法としては、例えば、ユーザが音楽再生ロボット装置1で再生した音楽データの嗜好傾向(ジャンル、曲のテンポ等)を学習し、当該嗜好傾向に近い音楽データを推薦曲として選出することが考えられる。
【0049】
音楽再生ロボット装置1は、その初期状態(工場出荷状態)において通常再生モードに設定されている。そして音楽再生ロボット装置1の制御部20は、振り方向判定処理において、ユーザによる筐体振り動かし方向が再生モードを変更するように命令する方向であること(この振り動かし操作をモード変更操作と呼ぶ)を認識すると、これに応じて通常再生モードからリコメンドモードにモード変更する。さらに制御部20は、リコメンドモード時においてユーザによるモード変更操作を認識すると、これに応じてリコメンドモードから通常再生モードにモード変更する。かくしてユーザは、音楽再生ロボット装置1全体を筐体振り動かし方向に操作することによって、再生モードを任意に変更することができる。
【0050】
かかる構成に加えて音楽再生ロボット装置1は、所定のリコメンドモード移行条件が成立したとき、再生モードを自動変更するようになされている。このリコメンドモード移行条件としては、1)リコメンドモード時間帯、2)連続スキップ操作、3)アルバム終了の3つの条件が設定されている。なお音楽再生ロボット装置1は、この再生モードの自動変更機能の「有効」(自動変更を行う)及び「無効」(自動変更を行わない)を、筐体振り動かし操作によってユーザが選択し得るようになされている。
【0051】
1)のリコメンドモード時間帯は、既定又はユーザが予め設定した移行時間帯において、リコメンドモードへ自動変更するものである。例えば、ユーザの生活習慣に応じた特定の時間帯(ユーザがくつろいでいる夜10時〜12時など)を移行時間帯としてセットしておくことが考えられる。そして、この移行時間帯を過ぎると元の通常再生モードへ復帰する。
【0052】
このときに推薦曲として選択するコンテンツは、このリコメンドモード時間帯に適したコンテンツを選択するようにしてもよい。すなわち各コンテンツは付加データとしてジャンル、テンポ、ムードなどの情報を有しており、音楽再生ロボット装置1はこれらの付加データに基づいてリコメンドモード時間帯に適したコンテンツを推薦曲として選択し再生する。例えば、リコメンドモード時間帯として設定されている時間帯が夜の場合、テンポの遅いコンテンツを選択したり、設定されている時間帯が朝の場合、ジャンルとしてロックを選択することなどが考えられる。
【0053】
2)の「連続スキップ操作」は、通常再生モードにおいて、曲(トラック)の開始時点から所定時間内(例えば5秒程度の比較的短い時間)でのスキップ操作(再生中の曲を終了して次の曲へ移動する操作)が所定回数(例えば10回)連続して行われた時、ユーザがこれらの曲群(例えばアルバム)に不満足であるものとして、リコメンドモードへ自動変更するものである。
【0054】
3)の「アルバム終了」は、現在再生中のアルバムの最終曲(最終トラック)を再生終了したときや、シャッフル再生時においてアルバム収録曲をすべて再生し終えた時、リコメンドモードへ自動変更するものである。
【0055】
次に、図9に示すフローチャートを用いて、上述した再生モードの自動変更を行うための再生モード変更処理手順を説明する。
【0056】
音楽再生ロボット装置1の制御部20は、自動変更機能が「有効」にセットされているとき、再生モード変更処理手順RT2の開始ステップから入ってステップSP21に移り、上述したリコメンドモード移行条件が成立しているか否かを判定する。
【0057】
ステップSP21において肯定結果が得られた場合、このことは「リコメンドモード時間帯」、「連続スキップ操作」又は「アルバム終了」の各条件の少なくとも一つが成立していることを表しており、このとき制御部20はステップSP22に移り、再生モードをリコメンドモードにセットしてステップSP21に戻る。一方、ステップSP21において否定結果が得られた場合、このことは「リコメンドモード時間帯」、「連続スキップ操作」又は「アルバム終了」のいずれも成立していないことを表しており、このとき制御部20はステップSP23に移り、再生モードを通常再生モードにセットしてステップSP21に戻る。
【0058】
かくして音楽再生ロボット装置1は、ユーザの意思による再生モードの変更のみならず、再生モード変更処理手順に従って自動的に再生モードの変更を行い得るようになされている。
【0059】
(4)再生モードに応じたモーションの変化
かかる構成に加えてこの音楽再生ロボット装置1は、通常再生モードとリコメンドモードとで、再生曲調動作処理に基づくモーションに違いを持たせることにより、実行中の再生モードを当該モーションを通じてユーザに通知するようになされている。
【0060】
具体的には、各駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させるための駆動部動作情報INF2をリコメンドモードにおいて変化させることによりモーションの違いを生成する第1のモーション変化方法と、各駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させる際のゲインを変更することによってモーションの違いを生成する第2のモーション変化方法の2種類があり、音楽再生ロボット装置1はリコメンドモードにおいて、これらを選択又は併用してモーション制御を行う。なお、このモーション変化方法の選択又は併用は、ユーザ設定によって定めるようにしても、外部状況等に応じて音楽再生ロボット装置1が自律的に定めるようにしてもよい。
【0061】
ここで、モーション制御は、モータにかける電圧V=ゲイン×(目標の角度―現在の角度)と表現することができる。そして「目標の角度」は駆動部動作情報INF2の各タイミングにおける値に相当する。
【0062】
まず、第1のモーション変化方法について説明する。図10に示すように、音楽再生ロボット装置1の制御部20はリコメンドモードにおいて、通常再生モード用に生成されている駆動部動作情報INF2の振幅を増加させた(すなわち、目標角度を増加させた)リコメンドモード用駆動部動作情報INF2−Rを生成し、当該INF2−Rに基づいて各駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させる。これにより音楽再生ロボット装置1の各駆動部(3、4、12、17、10、15)は、その動きの振幅や速度が通常再生モードに比べて増大し、これにより音楽再生ロボット装置1は、機敏な「キレのある」動作でモーションを行う。
【0063】
一方第2のモーション変化方法では、音楽再生ロボット装置1の制御部20は通常再生モードと同じ駆動部動作情報INF2を用いるが、上述したゲインを通常再生モードよりも増加させる。この場合、動きの振幅は通常再生モードと同一であるものの、動きの速度は通常再生モードに比べて増大し、これにより音楽再生ロボット装置1は機敏な「キレのある」動作でモーションを行う。
【0064】
このように音楽再生ロボット装置1はリコメンドモードにおいて、通常再生モードに比してそのモーションがより機敏になり、あたかも強い意志を持って動作しているような印象をユーザに与えることができる。
【0065】
次に、上述した再生モードに応じてモーションを変化させるためのモーション制御処理を、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0066】
音楽再生ロボット装置1の制御部20は、モーション制御処理手順RT3の開始ステップから入ってステップSP31に移り、現在の再生モードを確認する。ステップSP31において現在の再生モードが通常再生モードであった場合、制御部20はステップSP32に移り、駆動部動作情報INF2に基づいてモーションを実行し、ステップSP31に戻る。
【0067】
これに対して、ステップSP31において現在の再生モードがリコメンド再生モードであった場合、制御部20はステップSP33に移り、駆動部動作情報INF2からリコメンドモード用駆動部動作情報INF2−Rを生成し、当該INF2−Rに基づいて
モーションを実行し、ステップSP31に戻る。
【0068】
(5)動作及び効果
以上の構成において、この音楽再生ロボット装置1は、再生モードの自動変更機能が「有効」であり、かつ「リコメンドモード時間帯」、「連続スキップ操作」又は「アルバム終了」のいずれかのリコメンドモード移行条件が成立したとき、再生モードをリコメンドモードに自動変更する。
【0069】
これにより音楽再生ロボット装置1は、ユーザの操作によらずあたかも自分の意志でモード変更を行うかのように動作し、この結果エンターテイメント性を向上させることができる。
【0070】
このとき音楽再生ロボット装置1は、ユーザが曲を連続してスキップする「連続スキップ操作」を行なった場合にリコメンドモードへ自動変更することにより、あたかも音楽再生ロボット装置1が、ユーザがこれらの曲群に不満足であるという気持ちを汲み取って自身が勧める曲を再生したかのような印象を当該ユーザに与えることができ、この結果格段とエンターテイメント性を向上させることができる。
【0071】
そして音楽再生ロボット装置1はリコメンドモードにおいて、通常再生モード用の駆動部動作情報INF2よりも振幅を増大させたリコメンドモード用の駆動部動作情報INF2−Rに基づいて各駆動部を動作させたり、ゲインを増大して各駆動部を動作させることにより、通常再生モードよりも機敏なモーションで動作する。これにより音楽再生ロボット装置1は、モーションを通じて再生モードをユーザに通知することができる。
【0072】
さらに音楽再生ロボット装置1は、機敏なモーションを通じて、あたかも強い意志を持って動いているかのような印象や、この強い意思で推薦楽曲をユーザにリコメンドしているかのような印象をユーザに与えることができ、この結果格段とエンターテイメント性を向上させることができる。
【0073】
以上の構成によれば、リコメンドモード時においてより機敏なモーションで動作するようにしたことにより、音楽再生ロボット装置1の再生モードを、当該音楽再生ロボット装置1の動作を通じて、液晶表示部等の表示手段を介することなくユーザに対して直感的に通知することができ、かくして従来に比して格段にエンターテイメント性を向上させた音楽再生ロボット装置1を実現することができる。
【0074】
(6)他の実施の形態
なお、上述の実施の形態においては、音楽再生ロボット装置1にインストールされたプログラムに従って、制御部20が再生曲調動作制御処理手順RT1や再生モード変更処理手順RT2、モーション制御処理手順RT3をソフトウェア的に実行する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これらの処理を実行するための回路を音楽再生ロボット装置1に設け、この回路によりこれらの処理をハードウェア的に実行するようにしても良い。また、これらの処理を実行するためのプログラムをCD等の記録媒体に記録しておくようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば、音楽データに基づいて音楽を再生する音楽再生装置などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施の形態における音楽再生ロボット装置の外観構成を示す略線図である。
【図2】音楽再生ロボット装置の正面構成を示す略線図である。
【図3】音楽再生ロボット装置の上面構成を示す略線図である。
【図4】音楽再生ロボット装置の回路構成を示す略線図である。
【図5】音楽再生ロボット装置の走行の説明に供する略線図である。
【図6】音楽データ転送システムの構成を示す略線図である。
【図7】音楽解析結果情報及び駆動部動作情報を示す略線図である。
【図8】再生曲調動作制御処理手順を示すフローチャートである。
【図9】再生モード変更処理手順を示すフローチャートである。
【図10】駆動部操作情報の説明に供する略線図である。
【図11】モーション制御処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1……音楽再生ロボット装置、2……楕円体状筐体、3……左側車輪、4……右側車輪、5……中央筐体、6……左側筐体、7……右側筐体、9……接触検知センサ部、10……左側回転体、12……左側開閉体、14、19……スピーカ、15……右側回転体、17……右側開閉体、20……制御部、21……加速度センサ部、22……音楽処理部、23……車輪駆動部、24……回転体駆動部、25……開閉体駆動部。
【技術分野】
【0001】
本発明は再生装置、再生方法及び再生プログラムに関し、音楽データに基づいて音楽を再生する音楽再生装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、音楽データを不揮発性メモリやハードディスクドライブ等に録音して再生する携帯型の音楽再生装置が普及している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の音楽再生装置は、音楽データの再生モードとして、録音されている音楽をその録音順に再生していく通常再生モードや、音楽を不特定の順序で再生していくランダム再生モード、さらには、ユーザの嗜好や再生頻度等に基づいて、録音されている音楽の中から当該ユーザが好みそうな音楽を推薦曲として選出して再生する、いわゆるリコメンドモードを有しているものもある。
【特許文献1】特開2003−85888公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで従来の音楽再生装置では、現在実行中の再生モードを表示部に文字情報等で表示するのみであり、このためユーザに対して再生モードを直感的に通知し得ないという問題があった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ユーザに対し再生モードを直感的に通知することのできる再生装置、再生方法及び再生プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明においては、コンテンツデータを複数記憶した記憶部と、記憶部に記憶されたコンテンツデータを読み出して再生する再生部と、再生部で再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動部と、記憶部に記憶されたコンテンツデータを所定の順序で再生させる通常再生モードと記憶されたコンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生させるリコメンドモードの2つの再生モードにより再生部を制御し、リコメンドモードが選択された場合には被駆動部を通常再生モード時よりも機敏に駆動するように駆動部を制御する制御部とを再生装置に設けた。
【0007】
これによりこの再生装置は、被駆動部の動作状態を通じて、その再生モードをユーザに対して直感的に通知することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンテンツデータを複数記憶した記憶部と、記憶部に記憶されたコンテンツデータを読み出して再生する再生部と、再生部で再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動部と、記憶部に記憶されたコンテンツデータを所定の順序で再生させる通常再生モードと記憶されたコンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生させるリコメンドモードの2つの再生モードにより再生部を制御し、リコメンドモードが選択された場合には被駆動部を通常再生モード時よりも機敏に駆動するように駆動部を制御する制御部とを再生装置に設けたことにより、被駆動部の動作状態を通じて、その再生モードをユーザに対して直感的に通知し得る再生装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0010】
(1)音楽再生ロボット装置の構成
図1において、1は全体として音楽再生ロボット装置を示し、回転楕円体形状でなる楕円体状筐体2を有している。
【0011】
この音楽再生ロボット装置1は、図2にも示すように、楕円体状筐体2の長軸側端部P2及びP3を直線で結ぶ水平回転軸線L1に対して中心点P1から等距離の位置で直交する左側垂直面S1上及び右側垂直面S2上において、楕円体状筐体2の外周に沿って一周するように突出して形成されることにより円環状かつ同形に構成された左側車輪3及び右側車輪4を有し、この左側車輪3及び右側車輪4は、水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転可能に構成されている。
【0012】
さらにこの楕円体状筐体2は、左側車輪3及び右側車輪4の間に設けられた中央筐体5と、中央筐体5の左側に設けられ当該中央筐体5側から左側端部P3に向かってすぼむように形成された左側筐体6と、中央筐体5の右側に設けられ当該中央筐体5側から右側端部P2に向かってすぼむように形成された右側筐体7とに分割されている。
【0013】
中央筐体5はその内部下側に、当該中央筐体5の姿勢を安定させる(すなわち、中央筐体5が水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転するのを防止する)ための重り8を備えている。また中央筐体5の表面には、図3にも示すように、ユーザの指や手等が接触したことを検知するための接触検知センサ部9が設けられている。
【0014】
左側筐体6は、中央筐体5に対して水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転可能に構成された左側回転体10と、この左側回転体10の左側にヒンジ部11を介して設けられることにより左側外方へ開閉可能に構成された左側開閉体12とを有している。この左側回転体10はその表面に、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光手段を内蔵した発光部13が設けられている。また左側開閉体12はその内部にスピーカ14を有し、ヒンジ部11を介して左側外方に開いた際、図1(B)に示すようにこのスピーカ14が外部に露出するようになされている。
【0015】
同様に右側筐体7は、中央筐体5に対して水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転可能に構成された右側回転体15と、この右側回転体15の右側にヒンジ部16を介して設けられることにより右側外方へ開閉可能に構成された右側開閉体17とを有し、右側回転体15の表面には発光部18が設けられている。また右側開閉体17はその内部にスピーカ19を有し、ヒンジ部16を介して右側外方に開いた際、図1(B)に示すようにこのスピーカ19が外部に露出するようになされている。
【0016】
次に、音楽再生ロボット装置1の回路構成を図4を用いて説明する。音楽再生ロボット装置1は、装置全体を統括的に制御する制御部20に装置各部が接続されている。この制御部20はCPU(Central Processing Unit)に対してRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、クロック回路等が接続されて構成され、CPUがROMに格納されている各種制御プログラムを読み出しRAM上で実行することにより、音楽再生ロボット装置1の各種動作を制御するようになされている。
【0017】
制御部20は、加速度センサ部21を介して、音楽再生ロボット装置1が床などから持ち上げられた旨を検知した後、中央筐体5の表面に設けられた接触検知センサ部9に対してユーザの指や手等が接触したことを検知し、かつ、加速度センサ部21により楕円体状筐体2が所定値以上の加速度で振り動かされていることを検知すると、楕円体状筐体2の振り動かされている筐体振り動かし方向を判定するための振り方向判定処理を実行する。
【0018】
例えばこの振り方向判定処理において制御部20は加速度センサ部21により、筐体振り動かし方向が音楽を再生するように命令する方向であることを認識すると、音楽を再生するように命令する再生制御命令が入力されたと判断する。
【0019】
これに応じてこの制御部20は、記憶部26に記憶された音楽データを読み出し、当該読み出した音楽データに基づく音楽を音楽処理部22及びスピーカ14、19を順次介して出力(音楽再生)する。このようにして音楽再生ロボット装置1は、記憶部26に記憶されている音楽データに基づいて音楽をスピーカ14、19から出力する音楽再生処理を実行することができる。
【0020】
続いて制御部20は加速度センサ部21により、左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして楕円体状筐体2が床に置かれた旨を検知すると、再生中の音楽の曲調(テンポや音程等)に応じて楕円体状筐体2の各部を動作させる再生曲調動作処理を実行する。
【0021】
つまりこの再生曲調動作処理において制御部20は、再生中の音楽の曲調に応じて車輪駆動部23を制御することにより、円環状かつ同形に構成された左側車輪3及び右側車輪4を水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転駆動する。これにより音楽再生ロボット装置1は、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するように床などの上を安定して走行することができる。
【0022】
またこの再生曲調動作処理において制御部20は、音楽再生処理している音楽の曲調に応じて回転体駆動部24を制御することにより左側回転体10及び右側回転体15を回転駆動し、これにより中央筐体5側から左端に近づくほど水平回転軸線L1側にすぼむようにして構成された左側筐体6と中央筐体5側から右端に近づくほど水平回転軸線L1側にすぼむようにして構成された右側筐体7とを水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転させる。これにより音楽再生ロボット装置1は、左側車輪3及び右側車輪4による走行に支障をきたさないようにして、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するように左側筐体6及び右側筐体7を回転させることができる。
【0023】
さらにこの再生曲調動作処理において制御部20は、音楽再生処理している音楽の曲調に応じて開閉体駆動部25を制御することにより、左側開閉体12及び右側開閉体17を左側外方及び右側外方へ開閉動作させる。これにより音楽再生ロボット装置1は、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するように左側開閉体12及び右側開閉体17を開閉させることができる。
【0024】
さらにこの再生曲調動作処理において制御部20は、音楽再生処理している音楽の曲調に応じて発光部13、18を介して光を発する。これにより音楽再生ロボット装置1は、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するようにして光を発することができる。
【0025】
かくしてこの音楽再生ロボット装置1は、再生中の音楽の曲調に応じて床などの上を踊るように動作することができ、この結果格段とエンターテイメント性を向上させることができる。
【0026】
因みに本実施の形態の場合この音楽再生ロボット装置1は、例えば図5に示すように、再生中の音楽の曲調(再生曲調)に応じて、その場で回転する又はカーブを描くように走行する又は前後方向に直進することができる。
【0027】
例えば音楽再生ロボット装置1の制御部20はその場で回転する場合、車輪駆動部23を制御することにより左側車輪3及び右側車輪4のそれぞれを同じ力で互いに反対向きに回転駆動する。また制御部20はカーブを描くように走行する場合、車輪駆動部23を制御することにより左側車輪3及び右側車輪4のそれぞれを異なる力で同じ向きに回転駆動する。また制御部20は前後方向に直進する場合、車輪駆動部23を制御することにより左側車輪3及び右側車輪4のそれぞれを同じ力で同じ向きに回転駆動するようになされている。
【0028】
このように本発明の音楽再生ロボット装置1では、再生曲調に応じて左側車輪3及び右側車輪4の回転による前後左右への走行、左側開閉体12及び右側開閉体17の開閉動作、並びに発光部13及び18の発光といった各種動作(これらを総称してモーションと呼ぶ)を行うことにより、エンターテイメント性に富んだ音楽再生を行うようになされている。
【0029】
(2)再生曲調動作処理
ここで、図6において示す音楽データ転送システム31は、音楽データを提供する音楽データ提供サーバ32からネットワーク33を介して取得した音楽データ又は音楽データが記録されてなる記録媒体(例えばCD(Compact Disc))34から取得した音楽データを、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル35及び音楽再生ロボット装置1が載置されるクレードル36を介して、音楽再生ロボット装置1に転送するようになされた転送装置37を有する。因みに本実施の形態の場合この転送装置37は、パーソナルコンピュータ等に相当する。
【0030】
この転送装置37は、音楽再生ロボット装置1に対して音楽データを供給する前に、この音楽データに対して例えば周波数解析処理を実行する。かくしてこの転送装置37は、例えば図7に示すように、再生時間軸AX1に沿ってこの音楽データの周波数解析結果が示された音楽解析結果情報INF1を得ることができる。
【0031】
次いでこの転送装置37は、得られた音楽解析結果情報INF1に基づいて、左側車輪3及び右側車輪4を回転させる向きやその回転速度、左側回転体10及び右側回転体15を回転させる向きやその回転角度、左側開閉体12及び右側開閉体17を開閉する開閉角度、発光部13、18を発光させるタイミング等を再生時間軸AX1に沿って示した駆動部動作情報INF2を生成する。かくして転送装置37は、この音楽データの曲調に応じて駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させるための駆動部動作情報INF2を得ることができる。因みにこの図7に示すこの駆動部動作情報INF2には、音楽データの再生時間軸AX1に沿って、左側開閉体12及び右側開閉体17を開閉させる開閉角度が示されている。
【0032】
そしてこの転送装置37は、例えばユーザにより転送操作が行われると、かかる音楽データとこの音楽データに対応する駆動部動作情報INF2とを、USBケーブル35及びクレードル36を介して音楽再生ロボット装置1に転送する。このとき音楽再生ロボット装置1の制御部20は、転送装置37からの音楽データ及び駆動部動作情報INF2を、記憶部26に記憶するようになされている。
【0033】
この結果この音楽再生ロボット装置1の制御部20は、記憶部26に記憶された音楽データを音楽再生処理している際、この音楽データに対応する駆動部動作情報INF2に基づいて駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させる再生曲調動作処理を実行することができる。
【0034】
次に、図8に示すフローチャートを用いて、再生曲調動作処理を開始又は停止するなどの制御を行うための再生曲調動作制御処理手順RT1を説明する。
【0035】
例えばこの音楽再生ロボット装置1の制御部20は、音楽を再生するように命令する再生制御命令が入力されたことに応じてステップSP1に進み、楕円体状筐体2が床から持ち上げられたか否かを判定するための持上判定処理を実行する。
【0036】
次いでこの制御部20は、例えばこの持上判定処理の結果、楕円体状筐体2が左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして床に置かれていることを認識すると、ステップSP2で否定結果を得てステップSP3に移る。
【0037】
このステップSP3において制御部20は、入力された再生制御命令に応じて音楽再生処理を開始する再生時間軸AX1上の時刻t1を、再生曲調動作処理を開始する再生曲調動作開始時刻t1として認識した後、ステップSP4に移って緩速駆動処理を実行する。
【0038】
この緩速駆動処理において制御部20は、認識した再生曲調動作開始時刻t1の駆動部動作情報INF2を参照し、当該参照した駆動部動作情報INF2に示されている左側開閉体12及び右側開閉体17の開閉角度と、左側開閉体12及び右側開閉体17が現在位置する現在位置の開閉角度とを比較する。その結果この駆動部動作情報INF2に示されている開閉角度と現在位置の開閉角度との差が所定値よりも小さい場合この制御部20は、現在位置から駆動部動作情報INF2に示されている開閉角度までいきなり開閉しても左側開閉体12及び右側開閉体17まわりに過度の負荷はかからないと判断する。またこの緩速駆動処理において制御部20は、再生曲調動作開始時刻t1の駆動部動作情報INF2を参照し、当該参照した駆動部動作情報INF2に示されている左側回転体10及び右側回転体15の回転角度と、左側回転体10及び右側回転体15が現在位置する現在位置の回転角度とを比較する。その結果この駆動部動作情報INF2に示されている回転角度と現在位置の回転角度との差が所定値よりも小さい場合この制御部20は、いきなり回転させても左側回転体10及び右側回転体15まわりに過度の負荷はかからないと判断する。かくしてこの場合この制御部20は、そのままステップSP5に進む。
【0039】
そしてステップSP5において制御部20は、認識した再生曲調動作開始時刻t1に再生曲調動作処理を実行開始する。これにより音楽再生ロボット装置1は、音楽再生処理している音楽の曲調に同期して駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させる再生曲調動作処理を実行することができる。
【0040】
次いで制御部20はステップSP6に移り、楕円体状筐体2が床から持ち上げられたか否かを判定するための持上判定処理を再度実行する。ここで制御部20はこの持上判定処理の結果、楕円体状筐体2が左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして床に置かれていることを認識した場合、ステップSP7で否定結果を得て上述のステップSP5に戻り、再生曲調動作処理を継続実行する。これに対してこの持上判定処理の結果、楕円体状筐体2が床から持ち上げられていることを認識すると制御部20は、ステップSP7で肯定結果を得てステップSP8に進む。
【0041】
このステップSP8において制御部20は、音楽再生処理を実行したまま、再生曲調動作処理を終了する。かくして楕円体状筐体2に設けられた駆動部(3、4、12、17、10、15)はその動作を停止し、これにより楕円体状筐体2を持っているユーザがこの楕円体状筐体2を落としてしまう等の事態を回避することができる。
【0042】
次いで制御部20はステップSP9に移り、楕円体状筐体2が床から持ち上げられているか否かを判定するための持上判定処理を再度実行する。ここで制御部20はこの持上判定処理の結果、楕円体状筐体2が床から持ち上げられていることを認識すると、ステップSP10で肯定結果を得て上述のステップSP9に戻り、再生曲調動作処理を停止したまま音楽再生処理を継続実行する。これに対してこの持上判定処理の結果、楕円体状筐体2が左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして床に置かれていることを認識すると制御部20は、ステップSP10で否定結果を得てステップSP11に進む。
【0043】
このステップSP11において制御部20は、再生時間軸AX1上の現時刻t2から所定時間(例えば10秒)経過した時刻t3を、再生曲調動作処理を再開する再生曲調動作開始時刻t3として認識した後、上述したステップSP4に戻って緩速駆動処理を実行する。
【0044】
この緩速駆動処理において制御部20は、認識した再生曲調動作開始時刻t3の駆動部動作情報INF2を参照し、当該参照した駆動部動作情報INF2に示されている左側開閉体12及び右側開閉体17の開閉角度と、左側開閉体12及び右側開閉体17が現在位置する現在位置の開閉角度とを比較し、その結果この駆動部動作情報INF2に示されている開閉角度と現在位置の開閉角度との差が所定の角度差閾値以上であることを認識すると、現在位置から駆動部動作情報INF2に示されている開閉角度までいきなり開閉すると左側開閉体12及び右側開閉体17まわりに負荷がかかりすぎると判断し、駆動部動作情報INF2に示されている開閉角度に近づけるように緩やかな速度で左側開閉体12及び右側開閉体17を開閉させる。またこの緩速駆動処理において制御部20は、再生曲調動作開始時刻t3の駆動部動作情報INF2を参照し、当該参照した駆動部動作情報INF2に示されている左側回転体10及び右側回転体15の回転角度と、左側回転体10及び右側回転体15が現在位置する現在位置の回転角度とを比較し、その結果この駆動部動作情報INF2に示されている回転角度と現在位置の回転角度との差が所定角度差閾値以上である場合、いきなり回転させると左側回転体10及び右側回転体15まわりに負荷がかかりすぎると判断し、駆動部動作情報INF2に示されている回転角度に近づけるように緩やかな速度で左側回転体10及び右側回転体15を回転させる。かくしてこの音楽再生ロボット装置1によれば、駆動部(12、17、10、15)まわりに過剰な負荷をかけずに再生曲調動作処理を実行再開することができる。
【0045】
そして緩速駆動処理を実行した後この制御部20はステップSP5に移り、認識した再生曲調動作開始時刻t3に再生曲調動作処理を実行再開する。
【0046】
このようにこの音楽再生ロボット装置1によれば、その楕円体状筐体2が左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして床に再度置かれると、再生し続けている音楽の曲調に同期するように駆動部(3、4、12、17、10、15)の動作を再開させることができる。
【0047】
(3)再生モード変更処理
この音楽再生ロボット装置1は、音楽の再生モードとして、記憶部26に記憶されている音楽データをその記憶順に再生していく通常再生モードと、記憶部26に記憶されている音楽データの中から音楽再生ロボット装置1自身が推薦曲を選出して再生するリコメンドモードの2種の再生モードを有している。
【0048】
このリコメンドモードにおける推薦曲の選出方法としては、例えば、ユーザが音楽再生ロボット装置1で再生した音楽データの嗜好傾向(ジャンル、曲のテンポ等)を学習し、当該嗜好傾向に近い音楽データを推薦曲として選出することが考えられる。
【0049】
音楽再生ロボット装置1は、その初期状態(工場出荷状態)において通常再生モードに設定されている。そして音楽再生ロボット装置1の制御部20は、振り方向判定処理において、ユーザによる筐体振り動かし方向が再生モードを変更するように命令する方向であること(この振り動かし操作をモード変更操作と呼ぶ)を認識すると、これに応じて通常再生モードからリコメンドモードにモード変更する。さらに制御部20は、リコメンドモード時においてユーザによるモード変更操作を認識すると、これに応じてリコメンドモードから通常再生モードにモード変更する。かくしてユーザは、音楽再生ロボット装置1全体を筐体振り動かし方向に操作することによって、再生モードを任意に変更することができる。
【0050】
かかる構成に加えて音楽再生ロボット装置1は、所定のリコメンドモード移行条件が成立したとき、再生モードを自動変更するようになされている。このリコメンドモード移行条件としては、1)リコメンドモード時間帯、2)連続スキップ操作、3)アルバム終了の3つの条件が設定されている。なお音楽再生ロボット装置1は、この再生モードの自動変更機能の「有効」(自動変更を行う)及び「無効」(自動変更を行わない)を、筐体振り動かし操作によってユーザが選択し得るようになされている。
【0051】
1)のリコメンドモード時間帯は、既定又はユーザが予め設定した移行時間帯において、リコメンドモードへ自動変更するものである。例えば、ユーザの生活習慣に応じた特定の時間帯(ユーザがくつろいでいる夜10時〜12時など)を移行時間帯としてセットしておくことが考えられる。そして、この移行時間帯を過ぎると元の通常再生モードへ復帰する。
【0052】
このときに推薦曲として選択するコンテンツは、このリコメンドモード時間帯に適したコンテンツを選択するようにしてもよい。すなわち各コンテンツは付加データとしてジャンル、テンポ、ムードなどの情報を有しており、音楽再生ロボット装置1はこれらの付加データに基づいてリコメンドモード時間帯に適したコンテンツを推薦曲として選択し再生する。例えば、リコメンドモード時間帯として設定されている時間帯が夜の場合、テンポの遅いコンテンツを選択したり、設定されている時間帯が朝の場合、ジャンルとしてロックを選択することなどが考えられる。
【0053】
2)の「連続スキップ操作」は、通常再生モードにおいて、曲(トラック)の開始時点から所定時間内(例えば5秒程度の比較的短い時間)でのスキップ操作(再生中の曲を終了して次の曲へ移動する操作)が所定回数(例えば10回)連続して行われた時、ユーザがこれらの曲群(例えばアルバム)に不満足であるものとして、リコメンドモードへ自動変更するものである。
【0054】
3)の「アルバム終了」は、現在再生中のアルバムの最終曲(最終トラック)を再生終了したときや、シャッフル再生時においてアルバム収録曲をすべて再生し終えた時、リコメンドモードへ自動変更するものである。
【0055】
次に、図9に示すフローチャートを用いて、上述した再生モードの自動変更を行うための再生モード変更処理手順を説明する。
【0056】
音楽再生ロボット装置1の制御部20は、自動変更機能が「有効」にセットされているとき、再生モード変更処理手順RT2の開始ステップから入ってステップSP21に移り、上述したリコメンドモード移行条件が成立しているか否かを判定する。
【0057】
ステップSP21において肯定結果が得られた場合、このことは「リコメンドモード時間帯」、「連続スキップ操作」又は「アルバム終了」の各条件の少なくとも一つが成立していることを表しており、このとき制御部20はステップSP22に移り、再生モードをリコメンドモードにセットしてステップSP21に戻る。一方、ステップSP21において否定結果が得られた場合、このことは「リコメンドモード時間帯」、「連続スキップ操作」又は「アルバム終了」のいずれも成立していないことを表しており、このとき制御部20はステップSP23に移り、再生モードを通常再生モードにセットしてステップSP21に戻る。
【0058】
かくして音楽再生ロボット装置1は、ユーザの意思による再生モードの変更のみならず、再生モード変更処理手順に従って自動的に再生モードの変更を行い得るようになされている。
【0059】
(4)再生モードに応じたモーションの変化
かかる構成に加えてこの音楽再生ロボット装置1は、通常再生モードとリコメンドモードとで、再生曲調動作処理に基づくモーションに違いを持たせることにより、実行中の再生モードを当該モーションを通じてユーザに通知するようになされている。
【0060】
具体的には、各駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させるための駆動部動作情報INF2をリコメンドモードにおいて変化させることによりモーションの違いを生成する第1のモーション変化方法と、各駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させる際のゲインを変更することによってモーションの違いを生成する第2のモーション変化方法の2種類があり、音楽再生ロボット装置1はリコメンドモードにおいて、これらを選択又は併用してモーション制御を行う。なお、このモーション変化方法の選択又は併用は、ユーザ設定によって定めるようにしても、外部状況等に応じて音楽再生ロボット装置1が自律的に定めるようにしてもよい。
【0061】
ここで、モーション制御は、モータにかける電圧V=ゲイン×(目標の角度―現在の角度)と表現することができる。そして「目標の角度」は駆動部動作情報INF2の各タイミングにおける値に相当する。
【0062】
まず、第1のモーション変化方法について説明する。図10に示すように、音楽再生ロボット装置1の制御部20はリコメンドモードにおいて、通常再生モード用に生成されている駆動部動作情報INF2の振幅を増加させた(すなわち、目標角度を増加させた)リコメンドモード用駆動部動作情報INF2−Rを生成し、当該INF2−Rに基づいて各駆動部(3、4、12、17、10、15)を動作させる。これにより音楽再生ロボット装置1の各駆動部(3、4、12、17、10、15)は、その動きの振幅や速度が通常再生モードに比べて増大し、これにより音楽再生ロボット装置1は、機敏な「キレのある」動作でモーションを行う。
【0063】
一方第2のモーション変化方法では、音楽再生ロボット装置1の制御部20は通常再生モードと同じ駆動部動作情報INF2を用いるが、上述したゲインを通常再生モードよりも増加させる。この場合、動きの振幅は通常再生モードと同一であるものの、動きの速度は通常再生モードに比べて増大し、これにより音楽再生ロボット装置1は機敏な「キレのある」動作でモーションを行う。
【0064】
このように音楽再生ロボット装置1はリコメンドモードにおいて、通常再生モードに比してそのモーションがより機敏になり、あたかも強い意志を持って動作しているような印象をユーザに与えることができる。
【0065】
次に、上述した再生モードに応じてモーションを変化させるためのモーション制御処理を、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0066】
音楽再生ロボット装置1の制御部20は、モーション制御処理手順RT3の開始ステップから入ってステップSP31に移り、現在の再生モードを確認する。ステップSP31において現在の再生モードが通常再生モードであった場合、制御部20はステップSP32に移り、駆動部動作情報INF2に基づいてモーションを実行し、ステップSP31に戻る。
【0067】
これに対して、ステップSP31において現在の再生モードがリコメンド再生モードであった場合、制御部20はステップSP33に移り、駆動部動作情報INF2からリコメンドモード用駆動部動作情報INF2−Rを生成し、当該INF2−Rに基づいて
モーションを実行し、ステップSP31に戻る。
【0068】
(5)動作及び効果
以上の構成において、この音楽再生ロボット装置1は、再生モードの自動変更機能が「有効」であり、かつ「リコメンドモード時間帯」、「連続スキップ操作」又は「アルバム終了」のいずれかのリコメンドモード移行条件が成立したとき、再生モードをリコメンドモードに自動変更する。
【0069】
これにより音楽再生ロボット装置1は、ユーザの操作によらずあたかも自分の意志でモード変更を行うかのように動作し、この結果エンターテイメント性を向上させることができる。
【0070】
このとき音楽再生ロボット装置1は、ユーザが曲を連続してスキップする「連続スキップ操作」を行なった場合にリコメンドモードへ自動変更することにより、あたかも音楽再生ロボット装置1が、ユーザがこれらの曲群に不満足であるという気持ちを汲み取って自身が勧める曲を再生したかのような印象を当該ユーザに与えることができ、この結果格段とエンターテイメント性を向上させることができる。
【0071】
そして音楽再生ロボット装置1はリコメンドモードにおいて、通常再生モード用の駆動部動作情報INF2よりも振幅を増大させたリコメンドモード用の駆動部動作情報INF2−Rに基づいて各駆動部を動作させたり、ゲインを増大して各駆動部を動作させることにより、通常再生モードよりも機敏なモーションで動作する。これにより音楽再生ロボット装置1は、モーションを通じて再生モードをユーザに通知することができる。
【0072】
さらに音楽再生ロボット装置1は、機敏なモーションを通じて、あたかも強い意志を持って動いているかのような印象や、この強い意思で推薦楽曲をユーザにリコメンドしているかのような印象をユーザに与えることができ、この結果格段とエンターテイメント性を向上させることができる。
【0073】
以上の構成によれば、リコメンドモード時においてより機敏なモーションで動作するようにしたことにより、音楽再生ロボット装置1の再生モードを、当該音楽再生ロボット装置1の動作を通じて、液晶表示部等の表示手段を介することなくユーザに対して直感的に通知することができ、かくして従来に比して格段にエンターテイメント性を向上させた音楽再生ロボット装置1を実現することができる。
【0074】
(6)他の実施の形態
なお、上述の実施の形態においては、音楽再生ロボット装置1にインストールされたプログラムに従って、制御部20が再生曲調動作制御処理手順RT1や再生モード変更処理手順RT2、モーション制御処理手順RT3をソフトウェア的に実行する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これらの処理を実行するための回路を音楽再生ロボット装置1に設け、この回路によりこれらの処理をハードウェア的に実行するようにしても良い。また、これらの処理を実行するためのプログラムをCD等の記録媒体に記録しておくようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば、音楽データに基づいて音楽を再生する音楽再生装置などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施の形態における音楽再生ロボット装置の外観構成を示す略線図である。
【図2】音楽再生ロボット装置の正面構成を示す略線図である。
【図3】音楽再生ロボット装置の上面構成を示す略線図である。
【図4】音楽再生ロボット装置の回路構成を示す略線図である。
【図5】音楽再生ロボット装置の走行の説明に供する略線図である。
【図6】音楽データ転送システムの構成を示す略線図である。
【図7】音楽解析結果情報及び駆動部動作情報を示す略線図である。
【図8】再生曲調動作制御処理手順を示すフローチャートである。
【図9】再生モード変更処理手順を示すフローチャートである。
【図10】駆動部操作情報の説明に供する略線図である。
【図11】モーション制御処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1……音楽再生ロボット装置、2……楕円体状筐体、3……左側車輪、4……右側車輪、5……中央筐体、6……左側筐体、7……右側筐体、9……接触検知センサ部、10……左側回転体、12……左側開閉体、14、19……スピーカ、15……右側回転体、17……右側開閉体、20……制御部、21……加速度センサ部、22……音楽処理部、23……車輪駆動部、24……回転体駆動部、25……開閉体駆動部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを複数記憶した記憶部と、
上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータを読み出して再生する再生部と、
上記再生部で再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動部と、
上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータを所定の順序で再生させる通常再生モードと、上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生させるリコメンドモードの2つの再生モードにより上記再生部を制御し、上記リコメンドモードが選択された場合には上記被駆動部を上記通常再生モード時よりも機敏に駆動するように上記駆動部を制御する制御部と
を具えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
上記制御部は、上記通常再生モードの場合には上記再生部で再生されるコンテンツデータの再生内容に対応する駆動部動作情報に基づいて上記駆動部を制御し、上記リコメンドモードの場合には上記駆動部動作情報の振幅の大きさを増大させて上記駆動部を制御することにより上記被駆動部を動作させる
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
記憶部に記憶されたコンテンツデータを読み出して再生する再生ステップと、
上記再生ステップで再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動ステップと
を具え、
上記再生ステップは、上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータを所定の順序で再生する通常再生モードと、上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生するリコメンドモードの2つの再生モードを有し、
上記駆動ステップは、上記再生ステップが上記リコメンドモードで処理を実行しているとき、上記通常再生モード時に比して上記被駆動部をより機敏に動作させる
ことを特徴とする再生装置の再生方法。
【請求項4】
再生装置に対し、
記憶部に記憶されたコンテンツデータを読み出して再生する再生ステップと、
上記再生ステップで再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動ステップと
を実行させる再生プログラムであって、
上記再生ステップは、上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータを所定の順序で再生する通常再生モードと、上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生するリコメンドモードの2つの再生モードを有し、
上記駆動ステップは、上記再生ステップが上記リコメンドモードで処理を実行しているとき、上記通常再生モード時に比して上記被駆動部をより機敏に動作させる
ことを特徴とする再生プログラム。
【請求項1】
コンテンツデータを複数記憶した記憶部と、
上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータを読み出して再生する再生部と、
上記再生部で再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動部と、
上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータを所定の順序で再生させる通常再生モードと、上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生させるリコメンドモードの2つの再生モードにより上記再生部を制御し、上記リコメンドモードが選択された場合には上記被駆動部を上記通常再生モード時よりも機敏に駆動するように上記駆動部を制御する制御部と
を具えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
上記制御部は、上記通常再生モードの場合には上記再生部で再生されるコンテンツデータの再生内容に対応する駆動部動作情報に基づいて上記駆動部を制御し、上記リコメンドモードの場合には上記駆動部動作情報の振幅の大きさを増大させて上記駆動部を制御することにより上記被駆動部を動作させる
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
記憶部に記憶されたコンテンツデータを読み出して再生する再生ステップと、
上記再生ステップで再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動ステップと
を具え、
上記再生ステップは、上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータを所定の順序で再生する通常再生モードと、上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生するリコメンドモードの2つの再生モードを有し、
上記駆動ステップは、上記再生ステップが上記リコメンドモードで処理を実行しているとき、上記通常再生モード時に比して上記被駆動部をより機敏に動作させる
ことを特徴とする再生装置の再生方法。
【請求項4】
再生装置に対し、
記憶部に記憶されたコンテンツデータを読み出して再生する再生ステップと、
上記再生ステップで再生されるコンテンツデータの再生内容に応じて所定の被駆動部を駆動する駆動ステップと
を実行させる再生プログラムであって、
上記再生ステップは、上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータを所定の順序で再生する通常再生モードと、上記記憶部に記憶された上記コンテンツデータの一部を推薦曲として選出して再生するリコメンドモードの2つの再生モードを有し、
上記駆動ステップは、上記再生ステップが上記リコメンドモードで処理を実行しているとき、上記通常再生モード時に比して上記被駆動部をより機敏に動作させる
ことを特徴とする再生プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【公開番号】特開2007−61441(P2007−61441A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252692(P2005−252692)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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