説明

再生許可情報取得方法、コンテンツ再生方法およびコンテンツ再生装置

【課題】一個の記録媒体に多数のコンテンツを記録する場合でも、コンテンツ提供元は記録媒体を安価に提供でき、ユーザは記録媒体を安価に購入できる。
【解決手段】光ディスク1に、コンテンツ記録領域とは別に再生許可情報記録領域を設ける。再生許可情報記録領域には、コンテンツ提供元によって、映像や音楽などの多数のコンテンツを、全てのコンテンツまたは一部の複数のコンテンツの再生を制限した状態で、例えばコンテンツデータを暗号化して、記録する。ユーザは、その再生制限されたコンテンツを再生する場合、コンテンツ提供元から再生許可情報、例えば復号鍵を取得する。取得された再生許可情報は、コンテンツ再生装置20によって光ディスク1の再生許可情報記録領域に記録される。コンテンツ再生装置20は、再生を指示された当該コンテンツにつき、再生許可情報記録領域に再生許可情報が記録されているときには、当該コンテンツを再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像や音楽などのコンテンツが複数、それぞれコンテンツデータとして記録された、光ディスクや半導体メモリなどのコンテンツ記録媒体に関連する再生許可情報取得方法、コンテンツ再生方法およびコンテンツ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像や音楽などのコンテンツをユーザに提供する方法としては、コンテンツデータが記録された記録媒体をユーザに販売またはレンタルする方法や、コンテンツデータをネットワークを通じてユーザに配信する方法などがある。
【0003】
特許文献1(特開2003−91927号公報)には、貸し出し用ディスク媒体に貸し出し用であることを示す識別情報を記録し、その識別情報によってコンテンツの再生を制限することが示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2002−359616号公報)には、ライセンス元のサーバからユーザ側のクライアントに、ライセンス特定情報および復号鍵情報を含む暗号化されたコンテンツデータを送信し、そのライセンス特定情報をもとにクライアントがサーバにライセンスを要求し、サーバが該当するライセンスをクライアントに送信し、そのライセンスをもとにクライアントが暗号化されたコンテンツデータを復号し、コンテンツを再生する方法が示されている。
【0005】
上に挙げた先行技術文献は、以下のとおりである。
【特許文献1】特開2003−91927号公報
【特許文献2】特開2002−359616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
記録媒体の大容量化や、圧縮技術によるデータの高圧縮化によって、一枚のディスク媒体などの一個の記録媒体に、多数の映像や音楽などのコンテンツを記録できるようになっている。例えば、50GB(ギガバイト)のBD(Blu−ray Disc(登録商標))1枚には、約70枚分のCD(Compact Disc)アルバムを収録することができ、さらにCD−DA(CD Digital Audio)の1/10の圧縮コーデックを使用すれば、約700枚分のCDアルバムを収録することができる。
【0007】
しかし、このように一枚のディスク媒体に、DVD(Digital Versatile Disc)の何枚分、CDの何10枚分、何100枚分というような、多数の映像や音楽を記録して、ユーザに提供する場合、コンテンツ提供元は、提供するコンテンツの数が多くなるために、ディスクの販売価格を高くせざるを得ず、その結果、ユーザとしては、ディスクが買いずらくなる。
【0008】
そこで、この発明は、一個の記録媒体に多数のコンテンツを記録する場合でも、コンテンツ提供元は記録媒体を安価に提供することができ、ユーザは記録媒体を安価に購入することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の再生許可情報取得方法は、
コンテンツデータが、その再生が制限された状態で記録されているコンテンツ記録領域と、このコンテンツ記録領域とは別に、前記コンテンツデータの再生制限を解除して再生を許可する情報が記録される再生許可情報記録領域とが確保されたコンテンツ記録媒体につき、コンテンツ再生側で前記再生許可情報を取得する方法として、
コンテンツ再生側において、再生許可情報発行元のサーバに対して、前記再生許可情報を要求する要求工程と、
その要求に対して前記サーバが、コンテンツ再生側に前記再生許可情報を発行する発行工程と、
コンテンツ再生側において、その発行された再生許可情報を受信し、前記再生許可情報記録領域に記録する受信記録工程と、
を備えるものである。
【0010】
上記の再生許可情報取得方法では、ユーザが、コンテンツ記録媒体の取得時または取得後、コンテンツ記録媒体に記録されているが、その再生が制限されている複数のコンテンツ中の、見たい映像や聴きたい曲につき、コンテンツ提供元などの許可元にコンテンツ再生許可を要求し、これに対して許可元が、ユーザに再生許可情報(再生制限解除情報)を発行することによって、ユーザは、見たい映像や聴きたい曲につき、再生許可情報を取得することができる。
【0011】
その再生許可情報は、ユーザの操作やコンテンツ再生装置の動作などによって、当該のコンテンツ記録媒体の再生許可情報記録領域に記録され、コンテンツ再生装置の制御手段は、ユーザによってコンテンツの再生が指示されたとき、そのコンテンツにつきコンテンツ記録媒体の再生許可情報記録領域に再生許可情報が記録されている場合にのみ、そのコンテンツを再生する。
【発明の効果】
【0012】
したがって、この発明によれば、コンテンツ提供元は、ユーザから再生許可要求があったときユーザに課金することによって個々のコンテンツの対価を回収できるので、一個の記録媒体に多数のコンテンツを記録する場合でも、コンテンツ記録媒体そのものは安価に、場合によっては無料で、ユーザに提供することができる。
【0013】
ユーザとしても、多数のコンテンツが収録されたコンテンツ記録媒体を安価に、または無料で手に入れ、そのうちの希望するコンテンツのみを購入することができるとともに、アルバムごとに違うCDやDVDなどを買わなくても、一枚のメディアによって多数のアルバムを利用することができ、アルバムの購入や管理の手間が軽減する。
【0014】
しかも、取得された再生許可情報は、コンテンツ記録媒体に記録され、当該コンテンツが再生が制限されたままのものであるか、再生制限が解除されて再生が許可されたものであるかは、コンテンツ記録媒体上に示されるので、コンテンツ再生装置が、コンテンツ記録媒体に再生許可情報が記録されているか否かを判断し、再生許可情報が記録されている場合にのみ当該コンテンツを再生する機能を備えるものであれば、正当に再生許可情報を取得したコンテンツについては、ユーザは、いずれの場所の、いずれのコンテンツ再生装置によっても、当該コンテンツを再生することができるとともに、ユーザからコンテンツ記録媒体を正当に譲り受けた第三者も、そのまま当該コンテンツを再生することができる。
【0015】
また、コンテンツ提供元は、アルバムごとに別の記録媒体を作成しないで、同一の記録媒体を作成し、大量に頒布することができるので、記録媒体の製造コストや流通コストを大幅に低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔1.コンテンツ記録媒体:図1〜3〕
(1−1.コンテンツ記録媒体の例)
図1〜図3は、それぞれ、この発明を適用するコンテンツ記録媒体の一例を示す。
【0017】
図1の例は、コンテンツ記録媒体が光ディスクとされた場合で、その光ディスク1の物理的な領域が、光ディスク1の内周側から外周側にかけて、リードイン部1a、再生許可情報記録領域1e、コンテンツ記録領域1cおよびリードアウト部1bに分けられる。
【0018】
あらかじめ、コンテンツ提供元によって、コンテンツ記録領域1cには、映像や音楽などの多数のコンテンツが、後述のように全てのコンテンツまたは一部の複数のコンテンツの再生が制限された状態で記録され、リードイン部1aには、当該のコンテンツ記録媒体を特定する媒体識別情報、コンテンツ記録領域1cに記録されたコンテンツの数、各コンテンツを特定するコンテンツ識別情報、各コンテンツのタイトルなどを示すコンテンツ索引情報、各コンテンツが記録された光ディスク1上のアドレス、および各コンテンツに対する再生許可情報が記録される光ディスク1上のアドレスが記録され、リードアウト部1bには、コンテンツデータの終了を示す情報などが記録される。
【0019】
再生許可情報記録領域1eには、後述のように、ユーザによる光ディスク1の取得時または取得後、再生許可情報、すなわち上記の再生制限を解除してコンテンツの再生を許可する情報が記録される。
【0020】
図2の例は、コンテンツ記録媒体が、Memory Stick(登録商標)やICカードなどのカード状メモリとされた場合で、そのカード状メモリ3のアドレス領域が、コンテンツ記録領域3cと再生許可情報記録領域3eに分けられ、コンテンツ記録領域3cには、あらかじめ、コンテンツ提供元によって、音楽などの多数のコンテンツが、全てのコンテンツまたは一部の複数のコンテンツの再生が制限された状態で記録され、再生許可情報記録領域3eには、ユーザによるカード状メモリ3の取得時または取得後、上記の再生許可情報が記録される。
【0021】
図3の例は、コンテンツ記録媒体が、光ディスク5の最内周部に半導体チップ5eが埋め込まれたものとされた場合で、光ディスク5自体の物理的な領域が、リードイン部5a、コンテンツ記録領域5cおよびリードアウト部5bに分けられ、コンテンツ記録領域5cに、あらかじめ、コンテンツ提供元によって、映像や音楽などの多数のコンテンツが、全てのコンテンツまたは一部の複数のコンテンツの再生が制限された状態で記録されるとともに、半導体チップ5eが再生許可情報記録領域とされて、これに、ユーザによる光ディスク5の取得時または取得後、上記の再生許可情報が記録される。
【0022】
(1−2.再生制限の対象)
再生制限の対象とするコンテンツは、コンテンツ記録領域1c,3cまたは5cに記録される多数のコンテンツの全てでもよいが、一部の複数のコンテンツでもよい。
【0023】
例えば、図1または図3の例で、50GBのBD1枚に70枚分のCDアルバムを記録する場合、一部の新譜ではないアルバムは、再生を制限しない状態で記録し、残部の新譜のアルバムは、再生を制限した状態で記録してもよい。この場合、再生許可情報はアルバム単位とすることができる。
【0024】
同様にBD1枚に多数のCDアルバムを記録する場合でも、アルバムごとに、一部の楽曲は、再生を制限しない状態で記録し、残部の楽曲は、再生を制限した状態で記録してもよい。この場合、再生許可情報は楽曲単位とする。
【0025】
また、コマーシャル用コンテンツや試聴用(試視聴用)コンテンツは、再生を制限しない状態で記録し、本編用コンテンツは、再生を制限した状態で記録してもよい。さらに、1つのコンテンツでも、一部(例えば冒頭部)は再生を制限しない状態で記録し、残部は再生を制限した状態で記録してもよい。
【0026】
(1−3.再生制限および再生許可情報の態様)
コンテンツの再生制限は、一例として、コンテンツデータを暗号化して記録することによって行う。この場合、ユーザは、再生許可情報として復号鍵(暗号解読鍵)を取得することによって、その暗号化されたコンテンツデータを復号し、コンテンツを再生することができる。
【0027】
ただし、後述のように、コンテンツデータを暗号化する方法以外の方法によって、コンテンツの再生を制限することもできる。
【0028】
コンテンツデータを暗号化して記録する場合でも、1つのコンテンツの一部のデータは暗号化しなくてもよい。例えば、コンテンツが楽曲の場合、その頭の部分(曲の先頭部)はデータを暗号化せず、頭の部分の後の部分のデータを暗号化する。この場合、ユーザは、再生許可情報として復号鍵を取得しなくても、曲の先頭部のみは聴くことができ、その結果から、その曲を購入するか否か、すなわち、その曲の再生許可情報を取得するか否かを判断することができる。
【0029】
コンテンツデータの暗号化は、1コンテンツ単位とすることもできるが、上記のアルバムのような1グループコンテンツ単位とすることもできる。
【0030】
コンテンツデータを暗号化する場合、再生許可情報は、上記の復号鍵に対して、当該のコンテンツ記録媒体を特定する媒体識別情報、および当該のコンテンツを特定するコンテンツ識別情報を付加したものとする。
【0031】
〔2.再生許可情報取得方法の実施形態:図4〕
図1〜図3の例のようなコンテンツ記録媒体を有償または無償で取得したユーザは、以下のような方法によって、希望するコンテンツにつき再生許可情報を取得する。
【0032】
図4は、上記のコンテンツ記録媒体を、コンテンツ提供元12が販売し、ユーザ11が購入した状態を示す。このとき、例えば、コンテンツ提供元12からユーザ11には、コンテンツ記録媒体に記録されている各コンテンツまたは各グループコンテンツのタイトルや概略の内容(コンテンツが映画やドラマなどの映像である場合には主演俳優や監督など、コンテンツが楽曲である場合には歌手や演奏者など)を示すリストが配布され、ユーザ11が、そのリストを見て、再生許可情報の取得により購入するコンテンツを選択できるようにされる。
【0033】
(2−1.コンテンツ記録媒体取得時の再生許可情報取得)
再生許可情報を取得する方法の第1は、コンテンツ記録媒体の取得時、その場で、コンテンツ提供元12から再生許可情報を取得する方法である。
【0034】
すなわち、この第1の方法では、ユーザ11は、コンテンツ提供元12からコンテンツ記録媒体を取得した時、その場で、コンテンツ提供元12に代金を支払って、またはコンテンツ提供元12の課金処理を受けて、希望するコンテンツにつき再生許可情報を取得する。
【0035】
この場合、コンテンツ提供元12は、書き込み装置によって、ユーザ11が取得したコンテンツ記録媒体の再生許可情報記録領域、またはコンテンツ記録媒体とは別の外部メモリ9に、ユーザ11が取得したコンテンツ記録媒体を特定する媒体識別情報、およびユーザ11が購入するコンテンツを特定するコンテンツ識別情報を含む再生許可情報、例えば上述した復号鍵(暗号解読鍵)を書き込む。
【0036】
外部メモリ9に再生許可情報を書き込んでもらった場合には、ユーザ11は、(a)外部メモリ9をコンテンツ再生装置20に装着し、コンテンツ再生装置20によって再生許可情報をコンテンツ記録媒体の再生許可情報記録領域に記録し、または(b)外部メモリ9をPC(パーソナルコンピュータ)17に装着し、PC17によって再生許可情報をコンテンツ再生装置20に転送し、さらにコンテンツ再生装置20によって再生許可情報をコンテンツ記録媒体の再生許可情報記録領域に記録する。
【0037】
(2−2.コンテンツ記録媒体取得後の再生許可情報取得)
再生許可情報を取得する方法の第2は、コンテンツ記録媒体の取得後、コンテンツ提供元12自身である、またはコンテンツ提供元12と関連する再生許可情報発行元13に再生許可を要求し、再生許可情報発行元13から再生許可情報を取得する方法である。
【0038】
この第2の方法としては、(1)コンテンツ記録媒体の取得時と同様に、そのコンテンツ記録媒体の再生許可情報記録領域、またはコンテンツ記録媒体とは別の外部メモリ9に、再生許可情報を書き込んでもらう方法、(2)コンテンツ再生装置20によってオンラインで再生許可情報を取得する方法、(3)PC17によってオンラインで再生許可情報を取得する方法、(4)携帯電話端末18を利用して再生許可情報を取得する方法、などを用いることができる。
【0039】
(1)の方法中の、外部メモリ9に再生許可情報を書き込んでもらう方法では、ユーザ11は、上記の(a)または(b)の方法によって、その取得した再生許可情報をコンテンツ記録媒体の再生許可情報記録領域に記録する。
【0040】
<コンテンツ再生装置による方法>
(2)の、コンテンツ再生装置20によってオンラインで再生許可情報を取得する方法では、まず、コンテンツ再生装置20から、汎用または専用の広域ネットワーク16を介して再生許可情報発行元13のサーバ14に、再生許可を要求する。このとき、コンテンツ再生装置20は、ユーザ11の操作に基づいて、再生許可要求とともに、ユーザ11が取得したコンテンツ記録媒体を特定する媒体識別情報、ユーザ11が購入するコンテンツを特定するコンテンツ識別情報、およびサーバ14での認証処理または課金処理のために必要なユーザ情報を、サーバ14に送信する。
【0041】
これを受けて、サーバ14は、ユーザ情報、媒体識別情報およびコンテンツ識別情報によって、認証処理または課金処理を行った上で、広域ネットワーク16を介してコンテンツ再生装置20に、再生許可情報を発行する。このとき、サーバ14は、再生許可情報とともに、上記の媒体識別情報およびコンテンツ識別情報を、コンテンツ再生装置20に送信する。
【0042】
コンテンツ再生装置20は、その再生許可情報を受信し、コンテンツ記録媒体の再生許可情報記録領域に記録する。これによって、ユーザ11は、希望するコンテンツにつき再生許可情報を取得することができる。
【0043】
<PCによる方法>
(3)の、PC17によってオンラインで再生許可情報を取得する方法では、まず、PC17から、広域ネットワーク16を介してサーバ14に、再生許可を要求する。このとき、PC17は、ユーザ11の入力操作、またはコンテンツ再生装置20からの転送によって、再生許可要求とともに、上記の媒体識別情報、コンテンツ識別情報およびユーザ情報を、サーバ14に送信する。
【0044】
これを受けて、サーバ14は、上記(2)の方法と同様に、PC17に再生許可情報を送信し、PC17は、その再生許可情報をコンテンツ再生装置20に転送し、コンテンツ再生装置20は、その再生許可情報をコンテンツ記録媒体の再生許可情報記録領域に記録する。
【0045】
<携帯電話端末を利用する方法>
(4)の、携帯電話端末18を利用して再生許可情報を取得する方法では、まず、携帯電話端末18から、携帯電話通信網19を介してサーバ14に、再生許可を要求する。このとき、携帯電話端末18は、ユーザ11の操作に基づいて、再生許可要求とともに、上記の媒体識別情報、コンテンツ識別情報およびユーザ情報を、サーバ14に送信する。
【0046】
なお、これら情報は、外部メモリをコンテンツ再生装置20またはPC17に装着して、コンテンツ再生装置20またはPC17によって外部メモリに書き込み、その外部メモリを携帯電話端末18に装着することによって、携帯電話端末18に取り込み、携帯電話端末18からサーバ14に送信することができる。
【0047】
また、これら情報は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルなどによりコンテンツ再生装置20またはPC17と携帯電話端末18とを接続することによって、コンテンツ再生装置20またはPC17から携帯電話端末18に転送し、携帯電話端末18からサーバ14に送信することもできる。
【0048】
携帯電話端末18からの再生許可要求を受けて、サーバ14は、上記(2)(3)の方法と同様に、携帯電話端末18に再生許可情報を送信する。
【0049】
その再生許可情報は、携帯電話端末18で受信し、携帯電話端末18から直接、またはPC17を介して、コンテンツ再生装置20に転送する。
【0050】
再生許可情報を携帯電話端末18から直接、コンテンツ再生装置20に転送する方法としては、(c)携帯電話端末18が備える赤外線送信機能およびコンテンツ再生装置20が備える赤外線受信機能によって、またはUSBケーブルなどにより携帯電話端末18とコンテンツ再生装置20を接続して、再生許可情報を携帯電話端末18からコンテンツ再生装置20に送信する方法、または(d)外部メモリ9を携帯電話端末18に装着して、携帯電話端末18で受信した再生許可情報を外部メモリ9に書き込み、その外部メモリ9をコンテンツ再生装置20に装着して、コンテンツ再生装置20で外部メモリ9から再生許可情報を読み出す方法、などを用いることができる。再生許可情報を携帯電話端末18からPC17を介してコンテンツ再生装置20に転送する場合の、再生許可情報の携帯電話端末18からPC17への転送についても、同様に、赤外線通信などの無線通信、ケーブル接続、または外部メモリの抜き差しによる方法を用いることができる。
【0051】
コンテンツ再生装置20は、以上のように携帯電話端末18から直接、またはPC17を介して転送された再生許可情報を、コンテンツ記録媒体の再生許可情報記録領域に記録する。
【0052】
〔3.コンテンツ再生装置およびコンテンツ再生方法の実施形態:図5および図6〕
図5に、この発明のコンテンツ再生装置の一例を示す。この例は、コンテンツ記録媒体が図1に示したような光ディスク1である場合で、コンテンツ再生装置20が光ディスク再生装置(プレーヤ)として構成される場合である。
【0053】
光ディスク1のコンテンツ記録領域1cには、映像や音楽などのコンテンツが多数、それぞれのコンテンツデータが暗号化されて記録されているものとする。したがって、それぞれのコンテンツは、図4で上述した方法によって再生許可情報として復号鍵(暗号解読鍵)が取得され、光ディスク1の再生許可情報記録領域1eに記録されることによって、再生することができるものである。
【0054】
光ディスク1は、スピンドルモータ21によって回転駆動され、光ピックアップ(光ヘッド)22によって、図1に示したリードイン部1a、コンテンツ記録領域1c、リードアウト部1bおよび再生許可情報記録領域1eから信号(データおよび情報)が読み取られ、再生許可情報記録領域1eに復号鍵が記録される。
【0055】
光ピックアップ22の読み取り出力は、RFアンプ51に供給され、RFアンプ51から、トラッキングエラー信号およびフォーカスエラー信号が得られる。そのトラッキングエラー信号およびフォーカスエラー信号は、サーボコントローラ23に供給され、光ピックアップ22のトラッキングおよびフォーカスが制御される。
【0056】
さらに、RFアンプ51の出力信号は、復調回路52で復調された後、アドレス再生回路53に供給され、アドレス再生回路53で、光ディスク1の読み取りアドレスが検出される。そのアドレス情報は、サーボコントローラ23に供給され、光ディスク1のアドレッシングに用いられる。
【0057】
アドレス再生回路53を通じた、光ディスク1のコンテンツ記録領域1cからの暗号化コンテンツデータは、エラー訂正回路54に供給され、エラー訂正回路54から、エラー訂正された暗号化コンテンツデータが得られるとともに、アドレス再生回路53を通じた、光ディスク1の再生許可情報記録領域1eからの復号鍵は、エラー訂正回路55に供給され、エラー訂正回路55から、エラー訂正された復号鍵が得られる。
【0058】
そして、暗号復号化回路56において、エラー訂正回路54の出力の暗号化コンテンツデータが、エラー訂正回路55の出力の復号鍵によって復号(暗号解読)され、出力端子57に、復号後のコンテンツデータが得られる。
【0059】
システムコントローラ30は、コンテンツ再生装置20の各部を制御するもので、CPU31を有し、そのバス32に、CPU31が実行するプログラムや各種のデータが格納されたROM33、およびプログラムやデータが展開されるRAM34が接続される。
【0060】
また、バス32に、インターフェース35を介して操作部41が接続されるとともに、インターフェース36を介して表示部42が接続される。
【0061】
さらに、この例は、図4で上述した、再生許可情報(復号鍵)が書き込まれた外部メモリ9をコンテンツ再生装置20に装着できるように構成され、その外部メモリ9が、インターフェース37を介してバス32に接続される。
【0062】
また、この例では、上述したようにコンテンツ再生装置20によってオンラインで再生許可情報(復号鍵)を取得できるように、バス32には、広域ネットワーク16に接続するためのネットワーク接続部38が接続される。
【0063】
さらに、この例では、図4で上述した、携帯電話端末18から赤外線によって送信された再生許可情報(復号鍵)を受信できるように、バス32には、インターフェース39を介して赤外線受光部43が接続される。
【0064】
外部メモリ9から読み出した、または再生許可情報発行元13のサーバ14から広域ネットワーク16を介してネットワーク接続部38で受信した、または携帯電話端末18から赤外線受光部43で受信した復号鍵は、CPU31によって処理された後、媒体識別情報およびコンテンツ識別情報とともに、エラー訂正符号化回路63でエラー訂正符号化され、変調回路62で変調される。
【0065】
さらに、記録回路61で、光ピックアップ22から光ディスク1に照射される記録用レーザ光が、変調後のデータにより制御されることによって、その復号鍵が、光ディスク1の再生許可情報記録領域1eの、CPU31によって決定されたアドレスに記録される。
【0066】
図6に、このコンテンツ再生装置20のCPU31が行うコンテンツ再生制御処理の一例を示す。
【0067】
この例では、ユーザが操作部41で、あるコンテンツ(例えば、ある曲)の再生を指示したとき、CPU31は、まずステップ71で、光ディスク1の再生許可情報記録領域1eに当該コンテンツの復号鍵が記録されているか否かを判断する。
【0068】
そして、光ディスク1の再生許可情報記録領域1eに当該コンテンツの復号鍵が記録されている場合には、CPU31は、ステップ71からステップ72に進んで、図5で上述したように、暗号復号化回路56において、その復号鍵によって当該コンテンツデータの暗号を解読する。これによって、ユーザは当該コンテンツを鑑賞することができる。
【0069】
一方、光ディスク1の再生許可情報記録領域1eに当該コンテンツの復号鍵が記録されていない場合には、CPU31は、ステップ71からステップ73に進んで、表示部42に当該コンテンツの再生ができない旨を表示する。
【0070】
なお、コンテンツの再生ができない旨の呈示は、画像や文字などの表示ではなく、音声アナウンスによって行うようにしてもよい。
【0071】
〔4.他の実施形態〕
上述した例は、コンテンツデータを暗号化して記録することによって、コンテンツの再生を制限する場合であるが、コンテンツデータを暗号化することなく記録し、コンテンツ再生装置を、当該コンテンツの再生に当たって、コンテンツ記録媒体の再生許可情報記録領域に当該コンテンツの再生許可情報として、定められたコード情報やフラグ情報が記録されているか否かを判断し、記録されていない場合には、当該コンテンツを再生しないように構成してもよい。
【0072】
また、コンテンツ記録媒体を構成するディスク媒体は、図1または図3の例のような光ディスクに限らず、磁気ディスクでもよく、光ディスクなどのディスク媒体に取り付けられて再生許可情報記録領域を構成するチップ状メモリは、図3の例のような半導体チップに限らず、チップ状の磁気記録媒体などでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】この発明を適用するコンテンツ記録媒体の一例を示す図である。
【図2】この発明を適用するコンテンツ記録媒体の一例を示す図である。
【図3】この発明を適用するコンテンツ記録媒体の一例を示す図である。
【図4】この発明の再生許可情報取得方法の各方法を示す図である。
【図5】この発明のコンテンツ再生装置の一例を示す図である。
【図6】コンテンツ再生装置の制御手段が実行するコンテンツ再生制御処理の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
主要部については図中に全て記述したので、ここでは省略する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータが、その再生が制限された状態で記録されているコンテンツ記録領域と、このコンテンツ記録領域とは別に、前記コンテンツデータの再生制限を解除して再生を許可する情報が記録される再生許可情報記録領域とが確保されたコンテンツ記録媒体につき、コンテンツ再生側で前記再生許可情報を取得する方法として、
コンテンツ再生側において、再生許可情報発行元のサーバに対して、前記再生許可情報を要求する要求工程と、
その要求に対して前記サーバが、コンテンツ再生側に前記再生許可情報を発行する発行工程と、
コンテンツ再生側において、その発行された再生許可情報を受信し、前記再生許可情報記録領域に記録する受信記録工程と、
を備える再生許可情報取得方法。
【請求項2】
請求項1の再生許可情報取得方法において、
前記要求工程、および前記発行工程は、それぞれネットワークを通じて行う再生許可情報取得方法。
【請求項3】
請求項1の再生許可情報取得方法において、
前記要求工程は、コンテンツ再生側の携帯電話端末が前記サーバに対して行い、
前記発行工程は、前記サーバが前記携帯電話端末に対して行い、
前記受信記録工程では、前記携帯電話端末から転送された再生許可情報を前記再生許可情報記録領域に記録する再生許可情報取得方法。
【請求項4】
請求項1の再生許可情報取得方法において、
前記コンテンツデータは、暗号化されることによって、その再生が制限されたものであり、前記再生許可情報は、その暗号化されたデータを復号する鍵である再生許可情報取得方法。
【請求項5】
請求項1の再生許可情報取得方法において、
前記コンテンツ記録領域にコンテンツデータが複数記録され、
前記再生許可情報は、1つまたは1グループのコンテンツデータ単位に対して設けられる再生許可情報取得方法。
【請求項6】
請求項1の再生許可情報取得方法において、
前記要求工程では、要求対象のコンテンツ記録媒体を特定する媒体識別情報、および要求対象のコンテンツデータを特定するコンテンツ識別情報を付加して前記再生許可情報を要求し、前記発行工程では、前記媒体識別情報および前記コンテンツ識別情報を付加して前記再生許可情報を発行する再生許可情報取得方法。
【請求項7】
コンテンツデータが、その再生が制限された状態で記録されているコンテンツ記録領域と、このコンテンツ記録領域とは別に、前記コンテンツデータの再生制限を解除して再生を許可する情報が記録される再生許可情報記録領域とが確保されたコンテンツ記録媒体から、コンテンツデータを再生する方法として、
再生を指示された当該コンテンツデータにつき、前記再生許可情報記録領域に再生許可情報が記録されているか否かを判断する判断工程と、
この判断工程で当該コンテンツデータにつき前記再生許可情報記録領域に再生許可情報が記録されていると判断したとき、当該コンテンツデータを再生する再生工程と、
前記判断工程で当該コンテンツデータにつき前記再生許可情報記録領域に再生許可情報が記録されていないと判断したとき、当該コンテンツデータを再生できない旨を呈示する呈示工程と、
を備えるコンテンツ再生方法。
【請求項8】
コンテンツデータが、その再生が制限された状態で記録されているコンテンツ記録領域と、このコンテンツ記録領域とは別に、前記コンテンツデータの再生制限を解除して再生を許可する情報が記録される再生許可情報記録領域とが確保されたコンテンツ記録媒体から、コンテンツデータを再生する装置として、
再生を指示された当該コンテンツデータにつき、前記再生許可情報記録領域に再生許可情報が記録されているか否かを判断する判断手段と、
この判断手段によって当該コンテンツデータにつき前記再生許可情報記録領域に再生許可情報が記録されていると判断されたとき、当該コンテンツデータを再生する再生手段と、
前記判断手段によって当該コンテンツデータにつき前記再生許可情報記録領域に再生許可情報が記録されていないと判断されたとき、当該コンテンツデータを再生できない旨を呈示する呈示手段と、
を備えるコンテンツ再生装置。
【請求項9】
請求項8のコンテンツ再生装置において、
再生許可情報を発行するサーバとの間のネットワークを通じた通信によって前記サーバから再生許可情報を受信する通信手段と、その受信された再生許可情報を前記再生許可情報記録領域に記録する記録手段とを備えるコンテンツ再生装置。
【請求項10】
請求項8のコンテンツ再生装置において、
携帯電話端末から送信された再生許可情報を受信する受信手段と、その受信された再生許可情報を前記再生許可情報記録領域に記録する記録手段とを備えるコンテンツ再生装置。
【請求項11】
請求項8のコンテンツ再生装置において、
当該コンテンツ再生装置に装着された外部メモリから、これに書き込まれている再生許可情報を読み出す手段と、その読み出された再生許可情報を前記再生許可情報記録領域に記録する記録手段とを備えるコンテンツ再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−262685(P2008−262685A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124829(P2008−124829)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【分割の表示】特願2004−176960(P2004−176960)の分割
【原出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】