説明

冷凍食品用凍結塊、冷凍食品、および冷凍食品の製造方法

【課題】
調理時間を少しでも短縮することができる冷凍食品を提供する。
【解決手段】
冷凍食品であって、米入りのスープ6を凍らせた冷凍食品用凍結塊3と、凍結されたバラ状の米4と、を同一の容器2に収容する。ここで、凍結されたバラ状の米4は、冷凍食品用凍結塊3よりも容器2の下方に収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食品に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍食品は、短時間で調理できる食品としてよく知られているが、このような冷凍食品は、たとえば、次の第1方法〜第4の方法のようにして製造される。
第1の方法は、「液状のスープ又はだし汁等の調味液を−5〜−20℃で凍結後、凍結温度雰囲気下で長辺が1mm〜50mmの大きさになるようカット又はクラッシュするかあるいは製氷皿で凍結することによって小固形物状のスープ又はだし汁等を調製し、これをバラ状の凍結米飯と均一に混合する」という方法である(特許文献1の請求項3参照)。
第2の方法は、「可食状態に調理してある麺類または穀類加工品および同麺類もしくは同穀類加工品に適応する調理済の具を各々個別に冷凍後、加熱調理可能な同一の容器内に組み合わせて収容し包装」するという方法である(特許文献2の請求項1参照)。
第3の方法は、「トレー表面に適当な大きさ及び深さの凹部を設けておき、該凹部内に粥を流し込んで凍結させ」るという方法である(特許文献3、特許文献4参照)。
第4の方法は、「麺の冷凍品および具の冷凍品をサイの目状のスープの冷凍品とともに容器に収納する」という方法である(特許文献5)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−150936号公報
【特許文献2】特開平11−178528号公報
【特許文献3】特開平05−260908号公報
【特許文献4】特許3185033号公報
【特許文献5】特許2049564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一人暮らしの学生やサラリーマン、単身赴任者、共働きの夫婦などは、仕事や趣味などに費やす時間を確保するために、今よりももっと短時間で食事の準備をしたいと考えている。そして、このような消費者の要求を背景として、冷凍食品業界においても、冷凍食品の調理時間を短縮するための開発競争が激化している。したがって、このような激化した開発競争の中では、たとえ数十秒や数秒であったとしても、冷凍食品の調理時間を短縮できる工夫が極めて重要となる。
そこで、本発明は、調理時間を少しでも短縮することができる冷凍食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上記した課題は、次の手段によって解決される。
【0006】
第1の発明は、小具材入り液具材を凍らせた冷凍食品用凍結塊である。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に係る冷凍食品用凍結塊と凍結穀類および凍結麺類のうちの少なくとも一方とが同一の容器に収容され、且つ、前記凍結穀類および凍結麺類のうちの少なくとも一方が前記冷凍食品用凍結塊よりも前記容器の下方に収容されたことを特徴とする冷凍食品である。
【0008】
第3の発明は、小具材と液具材とを混合して小具材入り液具材とする工程と、前記混合してできた小具材入り液具材を製氷皿に充填する工程と、前記製氷皿に充填した小具材入り液具材を凍らせる工程と、前記凍らせた小具材入り液具材を凍結穀類または凍結麺類とともに容器または袋に収容する工程と、を有することを特徴とする冷凍食品の製造方法である。
【0009】
第4の発明は、小具材と液具材とを混合して小具材入り液具材とする工程と、前記混合してできた小具材入り液具材を製氷皿に充填する工程と、前記小具材入り液具材を充填した製氷皿に大具材を充填する工程と、前記製氷皿に充填した小具材入り液具材と大具材とを凍らせる工程と、前記凍らせた小具材入り液具材と大具材とを凍結穀類または凍結麺類とともに容器または袋に収容する工程と、を有することを特徴とする冷凍食品の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、液具材を凍らせた冷凍食品用凍結塊に、小具材を含有させるが、この小具材は、液具材よりも誘電損失係数が高い。したがって、本発明に係る冷凍食品用凍結塊は、従来の冷凍食品が備えていたスープや汁を凍結させたものよりも、電波の吸収率が高い。よって、本発明に係る冷凍食品は、従来の冷凍食品よりも、短時間で調理することができる。
【0011】
また、本発明は、冷凍食品用凍結塊を大具材と同時に凍結する。したがって、本発明によれば、従来の製造方法よりも少ない工程で冷凍食品を製造することができるため、冷凍食品の製造に要する時間やコストを低減することができる。もっとも、本発明においては、冷凍食品用凍結塊を大具材と別個に凍結することも可能である。
【0012】
また、本発明は、大具材の製氷皿への充填を液具材の製氷皿への充填よりも後に行う。したがって、本発明によれば、製氷皿上にある大具材に液具材がかかり、この液具材のかかった部分が凍結することによって、製氷皿上の液具材の冷凍食品用凍結塊が連結するという事態の発生を防止することができる。もっとも、本発明においては、大具材の製氷皿への充填を液具材の製氷皿への充填より前に行うことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る冷凍食品を示す図である。図1に示すように、本発明の実施の形態に係る冷凍食品は、容器2に収納されており、この容器2には、蓋1が取り付けられている。本発明の実施の形態に係る冷凍食品を調理する場合には、冷凍食品を冷凍庫または冷蔵庫などから取り出して、蓋1を取り外し、電子レンジに入れて解凍や加熱などするだけでよい。したがって、本発明の実施の形態に係る冷凍食品によれば、一人暮らしの学生やサラリーマン、単身赴任者、共働きの夫婦などが、今よりももっと短時間で食事の準備をすることができるようになるため、これらの者の仕事や趣味などに費やす時間が確保される。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態に係る冷凍食品の断面図である。
図2に示すように、本発明の実施の形態に係る冷凍食品は、米を含むスープを凍結させた冷凍食品用凍結塊3と、凍結されたバラ状の米4と、凍結えび5と、を備えている。
一般に、凍結されたスープは、凍結された米やえびよりも、誘電損失係数が低い。したがって、一般に、凍結されたスープは、電波の吸収率が低く、凍結された米やえびよりも解凍や加熱に時間がかかるが、本発明の実施の形態が備える冷凍食品用凍結塊3は、単なるスープを凍結させたものではなく、米を含むスープを凍結させたものであるため、単なるスープを凍結させたものよりも、誘電損失係数が高い。したがって、本発明の実施の形態に係るスープは、電波の吸収率が高く、従来の冷凍食品におけるスープよりも短時間で解凍や加熱などすることができる。よって、本発明の実施の形態に係る冷凍食品によれば、従来の冷凍食品よりも、短時間で調理することができる。
また、本発明の実施の形態に係る冷凍食品においては、冷凍食品用凍結塊3と凍結えび5が、容器2において、凍結されたバラ状の米4よりも上方に収容されている。したがって、本発明の実施の形態に係る冷凍食品を電子レンジで解凍・加熱などした場合には、電子レンジから発せられる電波が凍結されたバラ状の米4によって乱反射し、冷凍食品用凍結塊3の底面に照射される。よって、本発明の実施の形態に係る冷凍食品によれば、スープを凍結させたものに上面および側面からしか電波を照射し得なかった従来の冷凍食品よりも、多くの電波を冷凍食品用凍結塊3に照射できる。よって、本発明の実施の形態に係る冷凍食品によれば、従来の冷凍食品よりも、短時間で調理することができる。
【0016】
図3は、本発明の実施の形態における冷凍食品の製造方法を説明する図である。図3に示すように、本発明の実施の形態に係る冷凍食品の製造方法は、次の工程を有する。
まず、調理された米とスープとを混合して、米入りスープ6とする(工程1)。
次に、米入りスープ6を製氷皿7に充填する(工程2)。
次に、えび8を製氷皿7の上にのせる(工程3)。
次に、製氷皿7に充填された米入りスープ6と、製氷皿7の上にのせられたえびを同時に凍結する(工程4)。このようにして凍結された米入りスープ6が冷凍食品用凍結塊3となり、また、このようにして凍結されたえび8が凍結えび5となる。
そして、最後に、製氷皿7から冷凍食品用凍結塊3と凍結えび5を取り出し、容器2に収容する(工程5)。
【0017】
このように、本発明の実施の形態においては、米入りスープ6とえび8とが同時に凍結される。したがって、本発明の実施の形態によれば、スープとえびなどの大きな具材とを別個独立に凍結していた従来の製造方法よりも少ない工程で冷凍食品を製造することができる。よって、本発明の実施の形態によれば、冷凍食品の製造に要する時間やコストを低減することもできる。もっとも、この実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例に過ぎない。したがって、本発明においては、米入りスープ6とえび8と別個に凍結することも可能である。
【0018】
また、本発明の実施の形態においては、えび8の製氷皿7への充填を米入りスープ6の製氷皿7への充填よりも後に行う。したがって、本発明の実施の形態によれば、製氷皿7上にあるえび8に米入りスープ6がかかり、この米入りスープ6のかかった部分が凍結することによって、製氷皿7上の冷凍食品用凍結塊3と凍結えび5とが強固に連結するという事態の発生を防止することができる。もっとも、この実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例に過ぎない。したがって、本発明においては、えび8の製氷皿7への充填を米入りスープ6の製氷皿7への充填より前に行うことも可能である。
【0019】
なお、上記した実施の形態においては、蓋1の付いた容器2に冷凍食品を収納したが、本発明は、冷凍食品を収納する容器の材質や形状などを限定するものではない。したがって、本発明においては、たとえば、図4に示すような三方シールに冷凍食品を収容することもできる。
【0020】
また、上記した実施の形態においては、本発明の理解を容易にするために、米入りスープ6を凍結させて冷凍食品用凍結塊3としたが、本発明は、冷凍食品用凍結塊の原料を米とスープに限定するものではない。したがって、本発明においては、米以外の麦や麺などの穀類や人参やキャベツなどの野菜を混合したスープ以外の汁や調味料などの液具材を凍結させたものを、冷凍食品用凍結塊とすることができる。なお、本発明において液具材とは、液を含むすべての具材をいい、たとえば、スープや汁や醤油やソースや油などが含まれる。
【0021】
また、上記した実施の形態においては、本発明の理解を容易にするために、冷凍食品用凍結塊3と凍結されたバラ状の米4と凍結えび5とを組み合わせた冷凍食品について説明したが、本発明は、冷凍食品用凍結塊と組み合わせる材料をバラ状の米やえびに限定するものではない。したがって、本発明に係る冷凍食品には、たとえば、冷凍食品用凍結塊だけで構成された冷凍のスープや、冷凍食品用凍結塊と凍結麺で構成された冷凍のパスタや、冷凍食品用凍結塊と凍結牛肉で構成されたシチューや、冷凍食品用凍結塊と凍結にんじんと凍結されたバラ状の米とで構成された冷凍のカレーや、冷凍食品用凍結塊と凍結されたバラ状の米と凍結貝柱で構成された冷凍のリゾットなども含まれる。
【0022】
なお、本発明は、冷凍食品用凍結塊に含ませる具材(たとえば、米以外の麦や麺などの穀類や人参やキャベツなどの野菜)の形状や大きさなどを限定するものではない。したがって、本発明においては、冷凍食品用凍結塊に含ませる具材を、製氷皿7の凹部に収まる範囲において、自由に決定することができる。
また、本発明は、製氷皿の上にのせる具材(たとえば、えびや人参や肉やキャベツや貝柱など)の形状や大きさなどを限定するものではない。したがって、本発明においては、製氷皿の上にのせる具材を、製氷皿7の凹部に入り込んでしまわない範囲において、自由に決定することができる。
なお、本明細書においては、形状や大きさなどが製氷皿の凹部に収まる範囲にある具材を小具材といい、形状や大きさなどが製氷皿の凹部に収まらない範囲にある具材を大具材という。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、すべての冷凍食品に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る冷凍食品を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る冷凍食品の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る冷凍食品の製造方法を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る冷凍食品の別の例を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 蓋
2 容器
3 冷凍食品用凍結塊
4 凍結されたバラ状の米
5 凍結えび
6 米入りスープ
7 製氷皿
8 えび
9 三方シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小具材入り液具材を凍らせた冷凍食品用凍結塊。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍食品用凍結塊と凍結穀類および凍結麺類のうちの少なくとも一方とが同一の容器に収容され、且つ、前記凍結穀類および凍結麺類のうちの少なくとも一方が前記冷凍食品用凍結塊よりも前記容器の下方に収容されたことを特徴とする冷凍食品。
【請求項3】
小具材と液具材とを混合して小具材入り液具材とする工程と、
前記混合してできた小具材入り液具材を製氷皿に充填する工程と、
前記製氷皿に充填した小具材入り液具材を凍らせる工程と、
前記凍らせた小具材入り液具材を凍結穀類または凍結麺類とともに容器または袋に収容する工程と、
を有することを特徴とする冷凍食品の製造方法。
【請求項4】
小具材と液具材とを混合して小具材入り液具材とする工程と、
前記混合してできた小具材入り液具材を製氷皿に充填する工程と、
前記小具材入り液具材を充填した製氷皿に大具材を充填する工程と、
前記製氷皿に充填した小具材入り液具材と大具材とを凍らせる工程と、
前記凍らせた小具材入り液具材と大具材とを凍結穀類または凍結麺類とともに容器または袋に収容する工程と、
を有することを特徴とする冷凍食品の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−6197(P2006−6197A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187849(P2004−187849)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(596110741)ヤヨイ食品株式会社 (5)
【Fターム(参考)】