説明

冷蔵庫

【課題】自家製食品を作る際の温度管理や発酵食品の早期の品質劣化を防止するための温度管理に対応できる冷蔵庫を提供すること。
【解決手段】操作部71に対する特定の運転モード(再生・発酵モード,発酵・火入れモード,冷甘酒モード,温甘酒モード)の開始操作を検知した場合に,MPU61が,設定温度の切り替えが可能な貯蔵室(切替室)の目標温度を,予め定められた複数の処理目標温度に順次設定してその処理目標温度ごとの設定をそれぞれ予め定められた時間だけ保持した後,最後に予め定められた保存目標温度に設定し,順次設定される目標温度と前記温度センサ52の検出温度との比較結果に応じて,切替室入口ダンパ41,切替室出口ダンパ42,切替室ファン32及び切替室内のヒータ51を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,冷却及び加温により室内温度を調節可能な貯蔵室を備えた冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,冷凍室及び冷蔵室に加えて,ユーザの用途に応じて冷凍,冷蔵,パーシャル,チルドなどの低温の温度帯で設定温度を切り替え可能な貯蔵室(以下,温度切替室という)を備えた冷蔵庫が提供されている。
また,特許文献1には,一般的な冷却保存機能に加えて保温機能を有する前記温度切替室を備えた冷蔵庫について示されている。そのような冷蔵庫により,調理済み食品を食べ頃の温度で貯蔵できるため,家庭において食事を摂る時間が異なる家族それぞれが適温の食事を摂ることができる。
一方,特許文献2には,漬物が収容されるチャンバ内の温度を漬物の発酵に適した温度に加温する発酵モードから漬物の貯蔵に適した温度に冷却する貯蔵モードへ切り替える漬物専用冷蔵庫について示されている。
【0003】
ところで,昨今,食生活の多様化により,一般家庭において,冷蔵庫やその他の家電製品等を使用して無添加の自家製食品(例えば,ヨーグルトや甘酒等)を作り,それを新鮮なうちに食することがよく行われる。
例えば,少量のヨーグルト(即ち,乳酸菌)に牛乳が加えられた混合物を,30℃〜40℃で8時間程度保温することにより,ヨーグルトに含まれる乳酸菌による発酵作用によって新たにヨーグルトが生成される。このようにして生成されたヨーグルトは,冷蔵庫により,食するのに適した温度(例えば,0℃〜5℃程度)で貯蔵される。そして,食べ残された少量のヨーグルトに新たな牛乳が加えられた新たな混合物から,新たなヨーグルトを生成できる。
また,原料となる米飯と市販の麹とがお湯に溶かされた溶液を55℃〜60℃程度で10時間程度貯蔵することにより,麹菌が作り出す酵素による澱粉の糖化作用(発酵作用の一例)により,甘酒が生成される。このように生成された甘酒は,ホット甘酒として食するのに適した温度(例えば55℃〜65℃程度)に暖められたり,或いは冷やし甘酒として食するのに適した温度(例えば0℃〜5℃程度)に冷却された後に食される。
以上に示したように,ヨーグルトや甘酒等の自家製食品を作るにあたり,食品の保温温度及び温度の保持時間の管理が重要である。
また,ヨーグルトや甘酒等の発酵食品は,短い貯蔵期間のうちに雑菌の繁殖や過度の発酵によって腐敗や酸味の発生等の品質劣化が進行しやすい。そのような食品の品質劣化を極力抑制するためにも,食品の貯蔵温度の管理は重要である。
そこで,自家製食品を作る際の温度管理や発酵食品の早期の品質劣化を防止するための温度管理を自動化できる家電製品の提供が望まれている。
【特許文献1】特開2006−125705号公報
【特許文献2】特開平5−203311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,自家製食品を作る際の温度管理や発酵食品の早期の品質劣化を防止するための温度管理は,特許文献1に示されるように一定温度に保持することや,特許文献2に示されるように単に一定の加温状態から一定の冷却状態へ切り替えることだけでは十分でないことが多い。
例えば,ヨーグルトは,少量の(食べ残しの)ヨーグルトに牛乳を加えた混合物から生成できるが,それを繰り返しているうちに,次第にヨーグルトが固まりにくくなり,粘性の低いヨーグルトしか生成されなくなる。これは,ヨーグルトに含まれる乳酸菌における各種の菌類の組成が,温度等の保管条件によって次第に粘性の低いヨーグルトを生成する乳酸菌の組成に変化していくためと推測されている。この現象は高粘度で知られる「カスピ海ヨーグルト」において特に顕著である。
一方,ヨーグルト(乳酸菌)は,−10℃以下で一時的に冷凍されてストレスが与えられた後,貯蔵温度(0℃〜5℃程度)に戻されて解凍されると,粘性の高いヨーグルトを生成できる乳酸菌が再生される。従って,食べ残しのヨーグルトによって新たにヨーグルトを生成する繰り返しを長期間継続できるようにするためには,発酵温度での一定時間の保持(加温状態)及び貯蔵温度での保持に加え,一時的に冷凍状態で保持することも必要となる。
また,腐敗成分となる雑菌の少ないより高品質なヨーグルトを得るためには,発酵を促進する温度(例えば,30℃〜40℃程度)で一定時間保持した後,60℃〜75℃程度で一定時間保持して雑菌を減らし,その後,貯蔵温度(0℃〜5℃程度)に戻すことが有効である。
同様に,甘酒を生成する場合,酵素による過度な反応による酸味の発生を防止するためには,米飯と麹とがお湯に溶かされた溶液を,澱粉の糖化を促進する温度(例えば,55℃〜60℃程度)で一定時間保持した後,60℃〜75℃程度で一定時間保持して酵素を失活させ,その後,貯蔵温度(冷し甘酒の場合は0℃〜5℃程度,ホット甘酒の場合は55℃〜65℃程度)に保持することが有効である。
以上に示したように,自家製食品を作る際の温度管理や発酵食品の早期の品質劣化を防止するための温度管理は,食品の温度(即ち,貯蔵室内の温度)を,最初の目標温度に保持する工程から最終の目標温度(貯蔵温度)に保持する工程に至るまで多様な温度管理工程を要するが,従来の家庭用冷蔵庫は,そのような温度管理を実現できないという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,自家製食品を作る際の温度管理や発酵食品の早期の品質劣化を防止するための温度管理に対応できる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,本発明に係る冷蔵庫は,冷却器で冷却された冷気により室内が冷却される複数の貯蔵室を備えるとともに,その貯蔵室のうちの少なくとも1つである特定の貯蔵室(前記温度切替室に相当)について,次の(1)〜(4)に示す各構成要素が設けられている。
(1)前記冷却器から室内への前記冷気の導入風量を調整する第1通風弁及び室内から前記冷却器への前記冷気の排出風量を調整する第2通風弁。
(2)前記第1通風弁から室内への通風経路に配置された特定のファン。
(3)室内を加熱する加熱手段。
(4)室内の温度を検出する温度検出手段。
さらに,本発明に係る冷蔵庫は,次の(5)〜(7)に示す各構成要素を備えている。
(5)所定の操作部に対する特定の運転モードの開始操作を検知する特定運転モード開始操作検知手段。
(6)前記特定の運転モードの開始操作が検知された場合に,前記特定の貯蔵室の目標温度を,予め定められた複数の処理目標温度に順次設定して該処理目標温度ごとの設定をそれぞれ予め定められた時間だけ保持した後,最後に予め定められた保存目標温度に設定する目標温度切替手段。
(7)前記目標温度切替手段により順次設定される目標温度と前記温度検出手段の検出温度との比較結果に応じて前記第1通風弁,前記第2通風弁,前記特定のファン及び前記加熱手段を制御する温度制御手段。
【0006】
本発明に係る冷蔵庫は,指定された前記特定の運転モードに応じて,前記特定の貯蔵室(前記温度切替室に相当)を,発酵促進や発酵抑止,雑菌低減等の目的に応じて2段階以上の温度(前記処理目標温度)及び保温時間で調節した後に,最終的な保存温度に移行させることができる。そのため,本発明に係る冷蔵庫は,自家製食品を作る際の温度管理や発酵食品の早期の品質劣化を防止するための温度管理の自動化を実現できる。
例えば,前記特定の運転モードが,乳酸菌を含む食品における乳酸菌の再生及び発酵促進を行う運転モード(以下,「再生・発酵モード」という)である場合が考えられる。
前記再生・発酵モードにおいては,前記目標温度切替手段が,最初の前記処理目標温度を−10℃以下の温度に設定し,2つ目の前記処理目標温度を30℃乃至40℃に設定した後に,前記保存目標温度を0℃乃至5℃に設定する。
また,前記再生・発酵モードにおいて,前記温度制御手段が,最初の前記処理目標温度の設定が保持されているときに,前記加熱手段による加熱を停止した状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記第1通風弁及び前記第2通風弁の開閉状態及び前記特定のファンの回転状態を調節することが考えられる。
さらに,前記温度制御手段が,2つ目の前記処理目標温度及び前記保存目標温度の設定が保持されているときに,前記第1通風弁及び前記第2通風弁を閉じて前記特定のファンを回転させた状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記加熱手段による加熱状態を調節することが考えられる。
前記再生・発酵モードでの温度制御により,前記特定の貯蔵室に収容された乳酸菌食品の元(少量のヨーグルトと牛乳との混合物等)について,冷凍のストレスによって粘性の高いヨーグルトを生成できる乳酸菌が再生され,その後,発酵が促進されて乳酸菌食品が生成され,最終的に食するのに適した温度で保存される。
また,前記再生・発酵モードにおいて,前記目標温度切替手段により前記特定の貯蔵室の目標温度が2つ目の前記処理目標温度から前記保存目標温度に切り替えられた際に,前記温度制御手段が,前記冷却器を一時的に強制稼働させるとともに,前記第1通風弁及び前記第2通風弁を開き前記特定のファンを回転させることが考えられる。さらに,前記冷却器の強制稼働と併せて,前記特定の貯蔵室以外の貯蔵室への冷気の流入口を開閉する通風弁を強制的に閉じるとともに,前記特定の貯蔵室に対する冷気の入口と出口との圧力差を高めるファンを一時的に強制稼働させることも考えられる。
これにより,前記処理目標温度が前記加熱手段による加熱を要する高い温度から前記冷気による冷却を要する低い温度に切り替えられた際に,前記特定の貯蔵室内の高温の空気は,必ず稼働中の前記冷却器に戻されて急冷されることになる。その結果,高温の空気が前記冷却器周辺に流入する状態が長時間継続することを防止でき,冷却不十分の空気が他の貯蔵室に流入して他の貯蔵室内の食品に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0007】
また,例えば,前記特定の運転モードが,乳酸菌を含む食品の発酵促進及び雑菌低減処理(低温殺菌処理といってもよい)を行う運転モード(以下,発酵・火入れモードという)である場合が考えられる。
前記発酵・火入れモードにおいては,前記目標温度切替手段が,最初の前記処理目標温度を30℃乃至40℃に設定し,2つ目の前記処理目標温度を60℃乃至75℃に設定した後に,前記保存目標温度を0℃乃至5℃に設定する。
また,前記発酵・火入れモードにおいて,前記温度制御手段が,2つの前記処理目標温度それぞれの設定が保持されているときに,前記第1通風弁及び前記第2通風弁を閉じて前記特定のファンを回転させた状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記加熱手段による加熱状態を調節することが考えられる。
さらに,前記温度制御手段が,前記保存目標温度の設定が保持されているときに,前記加熱手段による加熱を停止した状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記第1通風弁及び前記第2通風弁の開閉状態及び前記特定のファンの回転状態を調節することが考えられる。
前記発酵・火入れモードでの温度制御により,前記特定の貯蔵室に収容された乳酸菌食品の元(少量のヨーグルトと牛乳との混合物等)の発酵が促進されて乳酸菌食品が生成され,その後,低温殺菌によって腐敗成分となる雑菌が低減され,最終的に食するのに適した温度で保存される。
【0008】
また,例えば,前記特定の運転モードが,米飯と麹とを含む食品から冷甘酒を生成する運転モード(以下,冷甘酒モードという)である場合が考えられる。
前記冷甘酒モードにおいては,前記目標温度切替手段が,最初の前記処理目標温度を55℃乃至60℃に設定し,2つ目の前記処理目標温度を60℃乃至75℃に設定した後に,前記保存目標温度を0℃乃至5℃に設定する。
また,前記冷甘酒モードにおいて,前記温度制御手段が,2つの前記処理目標温度それぞれの設定が保持されているときに,前記第1通風弁及び前記第2通風弁を閉じて前記特定のファンを回転させた状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記加熱手段による加熱状態を調節することが考えられる。
さらに,前記温度制御手段が,前記保存目標温度の設定が保持されているときに,前記加熱手段による加熱を停止した状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記第1通風弁及び前記第2通風弁の開閉状態及び前記特定のファンの回転状態を調節することが考えられる。
前記冷甘酒モードでの温度制御により,前記特定の貯蔵室に収容された甘酒の元(米飯と麹とがお湯に溶かされた溶液)における澱粉の糖化が促進されて甘酒が生成され,その後,甘酒に含まれる酵素が高温状態(60℃〜75℃程度)で失活して無用な酸味が生じにくい状態となり,最終的に冷やし甘酒として飲むのに適した温度で保存される。
また,前記発酵・火入れモード又は前記冷甘酒モードにおいて,前記目標温度切替手段により前記特定の貯蔵室の目標温度が2つ目の前記処理目標温度から前記保存目標温度に切り替えられた際に,前記温度制御手段が,前記冷却器を一時的に強制稼働させるとともに,前記第1通風弁及び前記第2通風弁を開き前記特定のファンを回転させることが考えられる。さらに,前記冷却器の強制稼働と併せて,前記特定の貯蔵室以外の貯蔵室への冷気の流入口を開閉する通風弁を強制的に閉じるとともに,前記特定の貯蔵室に対する冷気の入口と出口との圧力差を高めるファンを一時的に強制稼働させることも考えられる。
これにより,前記処理目標温度が前記加熱手段による加熱を要する高い温度から前記冷気による冷却を要する低い温度に切り替えられた際に,前記特定の貯蔵室内の高温の空気は,必ず稼働中の前記冷却器に戻されて急冷されることになる。その結果,高温の空気が前記冷却器周辺に流入する状態が長時間継続し,これにより冷却不十分の空気が他の貯蔵室に流入して他の貯蔵室内の食品に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0009】
また,前記特定の運転モードが,米飯と麹とを含む食品から温甘酒を生成する運転モード(以下,温甘酒モードという)である場合が考えられる。
前記温甘酒モードにおいては,前記目標温度切替手段が,最初の前記処理目標温度を55℃乃至60℃に設定し,2つ目の前記処理目標温度を60℃乃至75℃に設定した後に,前記保存目標温度を55℃乃至65℃に設定する。
また,前記温甘酒モードにおいて,前記温度制御手段が,2つの前記処理目標温度及び前記保存目標温度それぞれの設定が保持されているときに,前記第1通風弁及び前記第2通風弁を閉じて前記特定のファンを回転させた状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記加熱手段による加熱状態を調節することが考えられる。
前記温甘酒モードでの温度制御により,前記特定の貯蔵室に収容された甘酒の元(米飯と麹とがお湯に溶かされた溶液)における澱粉の糖化が促進されて甘酒が生成され,その後,甘酒に含まれる酵素が高温状態(60℃〜75℃程度)で失活して無用な酸味が生じにくい状態となり,最終的にホット甘酒として飲むのに適した温度で保存される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る冷蔵庫によれば,自家製食品を作る際の温度管理や発酵食品の早期の品質劣化を防止するための温度管理の自動化を実現できる。その結果,一般家庭のユーザは,自家製食品を作るため,或いは発酵食品の早期の品質劣化を防止するための食品の温度管理の煩わしさから解放される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係る冷蔵庫Xの概略断面図,図2は冷蔵庫Xの主要部の構成を表すブロック図,図3は冷蔵庫Xにおける温度切替室の温度制御全体の手順を表すフローチャート,図4は冷蔵庫Xにおける温度切替室の温度制御の一部(目標温度移行制御)の手順を表すフローチャート,図5は冷蔵庫Xにおける温度切替室の温度制御の一部(加温時の目標温度保持制御)の手順を表すフローチャート,図6は冷蔵庫Xにおける温度切替室の温度制御の一部(冷却時の目標温度保持制御)の手順を表すフローチャートである。
【0012】
まず,図1に示す断面図を参照しつつ,本発明の実施形態に係る冷蔵庫X全体の概略構成について説明する。
冷蔵庫Xは,冷凍サイクルを構成する蒸発器20(冷却器)で冷却された冷気により室内が冷却される複数の隣接した貯蔵室1〜5を備えた家庭用の冷蔵庫である。前記貯蔵室1〜5には,それぞれの設定温度に応じた食品等の被冷却物が収容される。
複数の前記貯蔵室1〜5の内訳は,冷蔵室1,切替室2,野菜室3,製氷室4及び冷凍室5であり,図1に示す例では,前記冷蔵室1が上段に配置され,その冷蔵室1の下段(冷蔵庫X全体における中段)の向かって左側に前記切替室2が配置され,その切替室2のさらに下段に前記野菜室3が配置されている。また,前記冷蔵室1の下段(冷蔵庫X全体における中段)の向かって右側における前記切替室2と隣り合う位置に前記製氷室4が配置され,その製氷室4のさらに下段における前記野菜室3と隣り合う位置に前記冷凍室5が配置されている。
また,前記貯蔵室1〜5それぞれの前面には,水平面内で回動自在に支持された開閉ドア6〜10が設けられている。
そして,前記切替室2以外の貯蔵室のうち,室内温度が最も低い温度(例えば,−10℃〜−20℃程度)に保持されるのが前記製氷室4及び前記冷凍室5であり,次に低い温度(例えば,0℃〜5℃程度)に保持されるのが前記冷蔵室1,最も高い温度(例えば,5℃〜7℃程度)に保持されるのが前記野菜室3である。
一方,前記切替室2は,後述する運転モードに応じて室内温度が様々な温度に切り替えられる。その詳細については後述する。
【0013】
前記蒸発器20は,前記冷凍室5の背面側に隔壁を隔てて配置され,その蒸発器20により冷却された冷気が,その蒸発器20の収容室と各貯蔵室1〜5との間で複数の通風経路を通じて循環する。
具体的には,前記蒸発器20により冷却された冷気は,その蒸発器20の収容室から冷蔵室ダンパ40及び冷蔵室ファン31を通じて前記冷蔵室1に流入した後,その冷蔵室1から排出されて前記野菜室3に流入し,さらに,その野菜室3から排出されて前記蒸発器20の収容室へ戻る第1の通風経路を循環する。この第1の通風経路における冷気の通風量は,前記冷蔵室ダンパ40の開閉調節及び前記冷蔵室ファン31の回転調節により制御される。なお,前記冷蔵室ファン31の回転だけでは冷気の通風量が不足する場合には,前記冷蔵室ファン31の回転と併せて,前記蒸発器20の収容室から冷気を送り出す基幹ファン33も回転させること(前記冷蔵室ファン31の回転調節と前記基幹ファン33の回転調節とを同期させること)も考えられる。
また,前記蒸発器20により冷却された冷気は,その蒸発器20の収容室から切替室入口ダンパ41及び切替室ファン32を通じて前記切替室2に流入した後,その切替室2から切替室出口ダンパ42を通じて排出されて前記蒸発器20の収容室へ戻る第2の通風経路も循環する。
また,前記蒸発器20により冷却された冷気は,その蒸発器20の収容室から前記基幹ファン33を通じて前記製氷室4及び前記冷凍室5に流入した後,その製氷室4及び冷凍室5から排出されて前記蒸発器20の収容室へ戻る第3の通風経路も循環する。
また,前記蒸発器20とともに冷凍サイクルを構成する圧縮機21(コンプレッサ)が,当該冷蔵庫Xの背面側下部に設けられている。前記圧縮機21を動作させることにより,冷凍サイクルにおいて冷媒が循環し,前記蒸発器20が稼働状態となる。
【0014】
前記切替室2の背面側には,前記蒸発器20から前記切替室2の室内への冷気の導入風量を調整する前記切替室入口ダンパ41(前記第1通風弁の一例)と,前記切替室2の室内から前記蒸発器20への冷気の排出風量を調整する前記切替室出口ダンパ42(前記第2通風弁の一例)とが設けられている。なお,本実施形態では,前記切替室入口ダンパ41及び前記切替室出口ダンパ42は,通風路の開閉によって前記切替室2内への冷気の通風を行うか否かを切り替える開閉ダンパであるが,中間的な開度に設定して通風量をアナログ的に或いは段階的に調整可能なダンパが採用されてもよい。
また,前記切替室ファン32(特定のファンの一例)は,前記切替室入口ダンパ41から前記切替室2の室内への通風経路,即ち,前記切替室2の室内に連通する冷気の通風路内に設けられている。これら切替室入口ダンパ41及び前記切替室出口ダンパ42,並びに前記切替室ファン32により,前記蒸発器20から前記切替室2の室内への冷気の流入量が調整される。
また,前記切替室2には,室内を加熱するヒータ51と,室内温度を検出するサーミスタ等の温度センサ52とが設けられている。図1には,ガラス管式のヒータ51が示されているが,前記ヒータ51は,他の加熱手段であってもかまわない。
【0015】
また,冷蔵庫Xの頭頂部(前記冷蔵室1の上側)には,当該冷蔵庫Xの各構成要素を制御する制御部60が設けられている。
図2は,前記制御部60を中心とした冷蔵庫Xの主要部の構成を表すブロック図である。
前記制御部60は,図2に示されるように,MPU61(マイクロプロセッサユニット),EEPROM62,I/Oインターフェース63,ダンパ駆動回路64,ファン駆動回路65,ヒータ調節回路66及び圧縮機駆動回路67を備えている。
前記EEPROM62は,前記MPU61によって実行されるプログラムや前記MPU61によって参照又は記録される各種データを記憶する不揮発性のメモリである。
前記ダンパ駆動回路64は,前記MPU61からの制御信号に従って各ダンパ40〜42の開閉の状態を制御する回路である。
同様に,前記ファン駆動回路65は,前記MPU61からの制御信号に従って各ファン31〜33の回転状態を制御する回路である。
同様に,前記ヒータ調節回路66は,前記MPU61からの制御信号に従って前記切替室2内の前記ヒータ51の発熱量を調節する回路である。
また,前記圧縮機駆動回路67は,前記MPU61からの制御信号に従って前記圧縮機21の動作状態(即ち,前記蒸発器20の稼働状態)を制御する回路である。
【0016】
また,前記MPU61は,前記EEPROM62に予め記憶されたプログラムを実行することにより,当該冷蔵庫Xの制御に関する各種の判別処理や演算処理を実行する。その際,前記MPU61は,前記I/Oインターフェース63を通じて,前記温度センサ52の温度検出信号の入力,所定の操作部71に対する操作内容を表す操作信号の入力,所定の通知部72対する通知信号の出力及び各回路64〜67に対する制御信号の出力等を行う。
なお,前記操作部71は,運転モードの設定や貯蔵室内の目標温度の設定に用いられる操作ボタンやスイッチ等である。
また,前記通知部72は,当該冷蔵庫Xの状態をユーザに通知するためのLEDランプやブザー等である。
以上に示したように,前記MPU61は,各回路64〜67を通じて,各ダンパ40〜42,各ファン31〜33,前記ヒータ51及び前記圧縮機21及び前記蒸発器20を制御する。
例えば,前記MPU61は,前記切替室2に関し,前記操作部71に対する特定の運転モードの開始操作を検知した場合に,前記切替室2の目標温度を,予め定められた複数の目標温度に順次設定し,その目標温度と前記温度センサ52の検出温度との比較結果に応じて,前記切替室入口ダンパ41,前記切替室出口ダンパ42,前記切替室ファン32及び前記ヒータ51を制御する。以下,前記切替室入口ダンパ41,前記切替室出口ダンパ42,前記切替室ファン32及び前記ヒータ51を総称して切替室温度調節機器という。
【0017】
次に,図3〜図6に示すフローチャートを参照しつつ,前記MPU61によって実行される前記切替室2の温度制御の手順について説明する。なお,図3〜図6におけるS1,S2,…は,処理手順(ステップ)の識別符号を表す。また,前記MPU61は,以下に示す前記切替室2の温度制御に加え,当該冷蔵庫Xにおけるその他の制御(例えば,他の収容室の温度制御や製氷機の制御,除霜運転制御等)についても順次或いは並行して実行する。
まず,図3を参照しつつ,前記切替室2の温度制御全体の手順について説明する。
当該冷蔵庫Xが電源投入によって起動すると,まず,前記MPU61は,前記切替室2の目標温度Toを予め定められた初期温度Tf(例えば,3℃)に設定する(S1)。
さらに,前記MPU61は,前記目標温度Toと前記温度センサ52の検出温度Tmとを比較しつつ,その検出温度Tmが前記目標温度Toに対する所定の許容範囲内の温度(以下,許容温度という)となるまで,前記検出温度Tmが前記目標温度Toに近づくように前記切替室温度調節機器を制御する(S2)。このように,前記目標温度Toが新たに設定されてから前記検出温度Tmが前記許容温度になるまでに前記MPU61が実行する前記切替室温度調節機器の制御のことを,以下,目標温度移行制御という。その詳細については後述する。
【0018】
次に,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記許容温度になった後,前記操作部71に対し,予め定められた前記切替室2に関する特定の運転モードの開始操作がなされたか否かの検知処理を実行する(S3:前記特定運転モード開始操作検知手段の一例)。
例えば,前記操作部71が,複数の運転モード(特定の運転モード)それぞれに対応したモード指定ボタンを備え,前記MPU61が,それら複数のモード指定ボタンのいずれが操作(押下)されたかを検知することにより,複数の運転モードのいずれについて開始操作がなされたのかを検知する。
ここで,前記特定の運転モードは,再生・発酵モード,発酵・火入れモード,温甘酒モード及び冷甘酒モードの4種類である。
前記再生・発酵モードは,乳酸菌を含むヨーグルトにおける乳酸菌の再生及び発酵促進を行う運転モードである。
前記発酵・火入れモードは,乳酸菌を含むヨーグルトの発酵促進及び雑菌低減を行う運転モードである。
前記温甘酒モードは,米飯と麹とがお湯に溶かされた溶液(食品)からホット甘酒を生成する運転モードである。
前記冷甘酒モードは,米飯と麹とがお湯に溶かされた溶液(食品)から冷やし甘酒を生成する運転モードである。
【0019】
そして,前記MPU61は,前記特定の運転モードの開始操作が検知されるまで,その時点で設定されている前記目標温度Toと前記検出温度Tmとを比較しつつ,その検出温度Tmが前記許容温度に保持されるよう前記切替室温度調節機器を制御する(S4)。このように,前記目標温度移行制御によって前記検出温度Tmが前記許容温度になった後,前記検出温度Tmがそれ以降も前記許容温度に維持されるように前記MPU61が実行する前記切替室温度調節機器の制御のことを,以下,目標温度保持制御という。また,その目標温度保持制御のうち,前記目標温度Toが20℃以上であるために前記ヒータ51による加熱を要する制御のことを加温時・目標温度保持制御,前記目標温度Toが10℃以下であるために前記ヒータ51による加熱を要しない制御のことを冷却時・目標温度保持制御という。それらの詳細については後述する。なお,本実施形態においては,前記目標温度Toは,10℃以下又は20℃以上の温度以外は設定されないものとする。
【0020】
一方,前記MPU61は,前記特定の運転モードの開始操作がなされたことを検知すると,前記EEPROM62に予め記憶された複数の運転モード情報候補の中から,開始操作がなされた運転モードに対応する運転モード情報を選択する(S5)。
ここで,前記運転モード情報は,前記切替室2について最初に設定される第1目標温度T1及びその保持時間t1と,2番目に設定される第2目標温度T2及びその保持時間t2と,最後に設定される保存目標温度T3と,運転モードの識別情報とが対応付けられた情報である。以下,前記保持時間t1,t2をそれぞれ第1保持時間t1,及び第2保持時間t2という。
前記特定の運転モードが前記再生・発酵モードである場合,前記第1目標温度T1が−10℃以下(例えば,−18℃)に,前記第1保持時間t1が600分〜900分程度(例えば,720分)に,前記第2目標温度T2が30℃〜40℃程度(例えば,35℃)に,前記第2保持時間t2が360分〜600分程度(例えば,480分)に,前記保存目標温度T3が0℃〜5℃程度(例えば,3℃)に設定されている。
また,前記特定の運転モードが前記発酵・火入れモードである場合,前記第1目標温度T1が30℃〜40℃程度(例えば,35℃)に,前記第1保持時間t1が360分〜600分程度(例えば,480分)に,前記第2目標温度T2が60℃〜75℃程度(例えば,65 ℃)に,前記第2保持時間t2が15分〜45分程度(例えば,30分)に,前記保存目標温度T3が0℃〜5℃程度(例えば,3℃)に設定されている。
また,前記特定の運転モードが前記温甘酒モードである場合,前記第1目標温度T1が55℃〜60℃程度(例えば,55℃)に,前記第1保持時間t1が360分〜600分程度(例えば,480分)に,前記第2目標温度T2が60℃〜75℃程度(例えば,70℃)に,前記第2保持時間t2が15分〜45分程度(例えば,30分)に,前記保存目標温度T3が55℃〜65℃程度(例えば,60℃)に設定されている。
また,前記特定の運転モードが前記冷甘酒モードである場合,前記第1目標温度T1が55℃〜60℃程度(例えば,55℃)に,前記第1保持時間t1が360分〜600分程度(例えば,480分)に,前記第2目標温度T2が60℃〜75℃程度(例えば,70℃)に,前記第2保持時間t2が15分〜45分程度(例えば,30分)に,前記保存目標温度T3が0℃〜5℃程度(例えば,3℃)に設定されている。
【0021】
続いて,前記MPU61は,前記切替室2の目標温度ToをステップS5で選択した前記第1目標温度T1に設定し,その目標温度To(=T1)と前記温度センサ52の検出温度Tmとを比較しつつ,その検出温度Tmがその時点の前記目標温度To(=T1)に対する前記許容温度となるまで,前記検出温度Tmが前記目標温度Toに近づくように前記目標温度移行制御(前記切替室温度調節機器の制御)を実行する(S6)。
さらに,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記第1目標温度T1に対する前記許容温度になった後,その時点で設定されている前記目標温度To(=T1)と前記検出温度Tmとを比較しつつ,その検出温度Tmが前記第1目標温度T1に対する前記許容温度に保持されるよう前記目標温度保持制御(前記切替室温度調節機器の制御)を実行する(S7)。このとき,前記MPU61は,目標温度の保持時間toを,ステップS5で選択した前記保持時間t1に設定する。後述するように,前記第1目標温度T1に対する前記許容温度を基準とした前記目標温度保持制御は,前記目標温度Toに前記第1目標温度T1が設定された時点(又は,前記検出温度Tmが前記第1目標温度T1に対する前記許容温度になった時点)を起点として前記保持時間to(=t1)が経過するまで継続される(S7)。
【0022】
次に,前記MPU61は,前記切替室2の目標温度ToをステップS5で選択した前記第2目標温度T2に設定し,その目標温度To(=T2)と前記温度センサ52の検出温度Tmとを比較しつつ,その検出温度Tmがその時点の前記目標温度To(=T2)に対する前記許容温度となるまで,前記検出温度Tmが前記目標温度Toに近づくように前記目標温度移行制御(前記切替室温度調節機器の制御)を実行する(S8)。
さらに,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記第2目標温度T2に対する前記許容温度になった後,その時点で設定されている前記目標温度To(=T2)と前記検出温度Tmとを比較しつつ,その検出温度Tmが前記第2目標温度T2に対する前記許容温度に保持されるよう前記目標温度保持制御(前記切替室温度調節機器の制御)を実行する(S9)。このとき,前記MPU61は,目標温度の保持時間toを,ステップS5で選択した前記保持時間t2に設定する。後述するように,前記第2目標温度T2に対する前記許容温度を基準とした前記目標温度保持制御は,前記目標温度Toに前記第2目標温度T2が設定された時点(又は,前記検出温度Tmが前記第2目標温度T2に対する前記許容温度になった時点)を起点として前記保持時間to(=t2)が経過するまで継続される(S9)。
【0023】
続いて,前記MPU61は,前記切替室2の目標温度ToをステップS5で選択した前記保存目標温度T3に設定し,その目標温度To(=T3)と前記温度センサ52の検出温度Tmとを比較しつつ,その検出温度Tmがその時点の前記目標温度To(=T3)に対する前記許容温度となるまで,前記検出温度Tmが前記目標温度Toに近づくように前記目標温度移行制御(前記切替室温度調節機器の制御)を実行する(S10)。
さらに,前記MPU61は,前記目標温度移行制御(S10)によって前記検出温度Tmが前記保存目標温度T3に対する前記許容温度になった後に,前記通知部72を通じて指定された前記特定の運転モードの温度制御が完了した旨の通知を出力(LEDの点灯やブザー音の出力等)し(S11),その後,処理を前述したステップS3に移行させる。これにより,前記MPU61は,新たに前記特定の運転モードの開始操作が検知されるまで,その時点で設定されている前記目標温度To(=T3)と前記検出温度Tmとを比較しつつ,その検出温度Tmが前記保存目標温度T3に対する前記許容温度に保持されるよう前記目標温度保持制御(前記切替室温度調節機器の制御)を実行する(S4)。
【0024】
次に,図4を参照しつつ,前記目標温度移行制御の手順について説明する。
前記MPU61は,新たな前記目標温度To(=T1又はT2又はT3)の設定(目標温度の更新)を行うと,前記検出温度Tmがその時点の前記目標温度Toに対する前記許容温度(To−ΔTL以上,かつ,To+ΔTL以下:但し,ΔTLは0より大きい定数)であるか,その許容温度よりも高い”温度高”状態であるか,その許容温度よりも低い”温度低”状態であるかを判別する(S21,S22)。例えば,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記目標温度Toに対して±2℃の範囲内であるときに前記許容温度であると判別する。
そして,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記目標温度Toに対する前記許容温度になるまで,以下に示すステップS23〜S30の処理を繰り返す。
即ち,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記”温度高”状態であると判別した場合,前記ヒータ51を停止(加熱を停止)させるとともに,前記切替室入口ダンパ41及び前記切替室出口ダンパ42を開き,前記切替室ファン32を高速回転させる(S23)。これにより,前記蒸発器20によって冷却された冷気が前記切替室2内に流入し,前記切替室2内の温度(前記検出温度Tm)が低下する。
【0025】
さらに,前記MPU61は,前記検出温度Tmがその時点の前記目標温度Toに対して非常に高い”温度極高”状態(To+ΔTHを超える状態:但し,ΔTHはΔTLよりも大きい定数)であるか否かを判別する(S24)。例えば,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記目標温度To+10℃を超える場合に前記”温度極高”状態であると判別する。
そして,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記”温度極高”状態であると判別した場合には,前記圧縮機21を他の条件にかかわらず強制動作させ(S25),そうでない場合には前記圧縮機21の強制動作を解除する(S26)。なお,前記圧縮機21を強制動作させることは,前記蒸発器20を強制稼働させることを意味する。また,ステップS23の処理及びステップS25又はS26の処理は,ほぼ同時に実行されればよく,処理順序や実行タイミングの多少のずれは問わない。
さらに,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記”温度極高”状態であると判別した場合,前記切替室2以外の貯蔵室への冷気の流入口を開閉するダンパ(ここでは,前記冷蔵室ダンパ40)を他の条件にかかわらず強制的に閉じ(S25),そうでない場合にはそのダンパの強制閉を解除する(S26)。併せて,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記”温度極高”状態であると判別した場合,前記切替室2に対する冷気の入口と出口との圧力差を高めるファン(ここでは,前記基幹ファン33)を他の条件にかかわらず強制稼動させ,そうでない場合には前記基幹ファン33の強制稼動を解除する(S26)。なお,ステップS25における前記冷蔵室ダンパ40及び前記基幹ファン33についての一時的な制御のことを,強制循環制御という。
【0026】
例えば,前記特定の運転モードが前記再生・発酵モードである場合,ステップS10の処理によって前記目標温度Toが2つ目の目標温度(前記第2目標温度T2)から前記保存目標温度T3に切り替えられた際に,前記目標温度Toが大幅に低下して前記”温度極高”状態となるため,前記MPU61は,前記蒸発器20を一時的に強制稼働させる(S25)とともに,前記切替室入口ダンパ41及び前記切替室出口ダンパ42を開き前記切替室ファン32を回転させる。さらに,一時的に前記強制循環制御が実行される(S25)。
同様に,前記特定の運転モードが前記発酵・火入れモード又は前記冷甘酒モードである場合,ステップS10の処理によって前記目標温度Toが2つ目の目標温度(前記第2目標温度T2)から前記保存目標温度T3に切り替えられた際に,前記目標温度Toが大幅に低下して前記”温度極高”状態となるため,前記MPU61は,前記蒸発器20を一時的に強制稼働させる(S25)とともに,前記切替室入口ダンパ41及び前記切替室出口ダンパ42を開き前記切替室ファン32を回転させる。さらに,一時的に前記強制循環制御が実行される(S25)。
【0027】
ところで,前記MPU61は,通常,前記製氷室4又は前記冷凍室5に設けられた不図示の温度センサ(以下,冷凍温度センサという)の検出温度が,前記製氷室4及び前記冷凍室5について予め設定された目標温度(以下,冷凍目標温度という)に近づくように前記圧縮機21の動作を制御する。即ち,前記MPU61は,通常,前記冷凍温度センサの検出温度が前記冷凍目標温度に対する許容温度を超えた場合に前記圧縮機21を動作させ,同検出温度が許容温度を下回った場合に前記圧縮機21の動作を停止させる。
そして,前記圧縮機21の強制動作とは,そのような通常制御を無視して前記圧縮機21を動作させ,これに伴い前記蒸発器20を稼働させることである。
前記蒸発器20の強制稼働(S25)により,前記目標温度Toが前記ヒータ51による加熱を要する高い温度から冷気による冷却を要する低い温度に切り替えられた際に,前記切替室2内の高温の空気は,必ず稼働中の前記蒸発器20に戻されて急冷されることになる。また,前記基幹ファン33の強制稼動(S25)により,前記蒸発器20で急冷された冷気の前記切替室2への流入(即ち,前記切替室2の冷却)が促進される。さらに,前記冷蔵室ダンパ40が閉じられること(S25)により,前記冷蔵室1や前記野菜室3が過度に冷却されることを防止できる。その結果,前記切替室2の前記目標温度Toへの移行時間を短縮でき,これにより高温の空気が前記蒸発器20の周辺に流入する状態が長時間継続することがなく,冷却不十分の空気が他の貯蔵室1,3〜5に流入して他の貯蔵室内の食品に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0028】
一方,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記”温度低”状態であると判別した場合,前記切替室入口ダンパ41及び前記切替室出口ダンパ42を閉じるとともに,前記切替室ファン32を低速回転させる(S27)。ここで行われる前記切替室ファン32の低速回転は,前記切替室2内の空気を撹拌するための動作である。
さらに,前記MPU61は,前記検出温度Tmがその時点の前記目標温度Toに対して非常に低い”温度極低”状態(To−ΔTH未満)であるか否かを判別する(S28)。例えば,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記目標温度To−10℃未満である場合に前記”温度極低”状態であると判別する。
【0029】
そして,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記”温度極低”状態であると判別した場合には,前記ヒータ51の加熱量(電力供給量)を強に調節し(S29),そうでない場合には前記ヒータ51の加熱量を弱に調節する(S30)。なお,ステップS27の処理及びステップS29又はS30の処理は,ほぼ同時に実行されればよく,処理順序や実行タイミングの多少のずれは問わない。
ステップS27〜S30の処理により,前記蒸発器20によって冷却された冷気の前記切替室2への流入が遮断され,前記ヒータ51による加熱によって前記切替室2内の温度(前記検出温度Tm)が上昇する。
【0030】
次に,図5を参照しつつ,前記目標温度Toが20℃以上である場合に実行される前記加温時・目標温度保持制御の手順について説明する。
前記MPU61は,前記目標温度移行制御(図4)によって前記検出温度Tmが前記許容温度になったと判別すると,前記切替室入口ダンパ41及び前記切替室出口ダンパ42を閉じるとともに,前記切替室ファン32を低速回転させる(S41)。ここで行われる前記切替室ファン32の低速回転は,前記切替室2内の空気を撹拌するための動作である。
さらに,前記MPU61は,前述したステップS21,S22の処理と同様に,前記検出温度Tmが前記許容温度であるか,前記”温度高”状態であるか,或いは前記”温度低”状態であるかを判別する(S42,S43)。
そして,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記”温度高”状態であると判別した場合,前記ヒータ51を停止(加熱を停止)させる(S44)。これにより,前記切替室2は,相対的に低い温度に保持された隣接する他の貯蔵室1,3〜5との間で隔壁を介した熱交換がなされることにより,室内温度が低下する。
また,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記”温度低”状態であると判別した場合,前記ヒータ51を加熱状態にする(S45)。
その際,その時点における前記目標温度Toが予め定められたしきい温度(例えば,50℃)以上である場合,即ち,前記発酵・火入れモード,前記温甘酒モード及び前記冷甘酒モードにおける前記第2目標温度T2,並びに前記温甘酒モードにおける前記保温目標温度T3である場合,前記MPU61は,前記ヒータ51の加熱量(電力供給量)を強に調節する(S45)。
また,その時点における前記目標温度Toが前記しきい温度未満である場合,即ち,前記再生・発酵モードにおける前記第2目標温度T2及び前記発酵・火入れモードにおける前記第1目標温度T1である場合,前記MPU61は,前記ヒータ51の加熱量(電力供給量)を弱に調節する(S45)。
そして,前記MPU61は,前記許容温度を基準とした当該加温時・目標温度保持制御(S42〜S45)を,前記目標温度Toに新たな温度(前記第1目標温度T1又は前記2目標温度T2)が設定された時点,或いは前記検出温度Tmがその時点の目標温度Toに対する前記許容温度になった時点を起点として,その時点で設定されている前記保持時間to(前記第1保持時間t1又は前記第2保持時間t2)が経過するまで継続する(S46)。
なお,前述したステップS4において当該加温時・目標温度保持制御が実行される場合,前記保持時間toの監視処理(S46)はスキップされる。
【0031】
以上に示した前記MPU61による加温時・目標温度保持制御は,前記切替室入口ダンパ41及び前記切替室出口ダンパ42を閉じ,前記切替室ファン32を回転させた状態で,設定されている目標温度Toと前記温度センサ52の検出温度Tmとの差に応じて前記ヒータ51による加熱状態を調節する制御である(S41〜S45)。そして,この加温時・目標温度保持制御は,前記再生・発酵モードにおいて2つ目の目標温度(前記第2目標温度T2)の設定が保持されているときと,前記発酵・火入れモード,前記温甘酒モード及び前記冷甘酒モードにおいて最初の及び2つ目の目標温度(前記第1目標温度T1及び前記第2目標温度T2)の設定が保持されているときと,前記温甘酒モードにおいて最後の目標温度(前記保温温度T3)が設定されているときとに実行される。
以上に示した加温時・目標温度保持制御により,前記切替室2内の温度が,目的に応じた温度及びその保持時間で保温される。
【0032】
次に,図6を参照しつつ,前記目標温度Toが10℃以下である場合に実行される前記冷却時・目標温度保持制御の手順について説明する。
前記MPU61は,前記目標温度移行制御(図4)によって前記検出温度Tmが前記許容温度になったと判別すると,前記ヒータ51を停止(加熱を停止)させる(S51)。
さらに,前記MPU61は,前述したステップS21,S22の処理と同様に,前記検出温度Tmが前記許容温度であるか,前記”温度高”状態であるか,或いは前記”温度低”状態であるかを判別する(S52,S53)。
そして,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記”温度高”状態であると判別した場合,前記切替室入口ダンパ41及び前記切替室出口ダンパ42を開き,前記切替室ファン32を高速回転させる(S54)。これにより,前記蒸発器20によって冷却された冷気が前記切替室2内に流入し,前記切替室2内の温度(前記検出温度Tm)が低下する。
また,前記MPU61は,前記検出温度Tmが前記”温度低”状態であると判別した場合,前記切替室入口ダンパ41及び前記切替室出口ダンパ42を閉じ,前記切替室ファン32を停止させる(S55)。これにより,前記切替室2は,隔壁を介した外部との熱交換により,室内温度が上昇する。
そして,前記MPU61は,前記許容温度を基準とした当該冷却時・目標温度保持制御(S52〜S55)を,前記目標温度Toに新たな温度(前記第1目標温度T1又は前記2目標温度T2)が設定された時点,或いは前記検出温度Tmがその時点の目標温度Toに対する前記許容温度になった時点を起点として,その時点で設定されている前記保持時間to(前記第1保持時間t1又は前記第2保持時間t2)が経過するまで継続する(S56)。
なお,前述したステップS4において当該冷却時・目標温度保持制御が実行される場合,前記保持時間toの監視処理(S56)はスキップされる。
【0033】
以上に示した前記MPU61による冷却時・目標温度保持制御は,前記ヒータ51による加熱を停止した状態で,設定されている目標温度Toと前記温度センサ52の検出温度Tmとの差に応じて前記切替室入口ダンパ41及び前記切替室出口ダンパ42の開閉状態及び前記切替室ファン32の回転状態を調節する制御である(S51〜S55)。そして,この冷却時・目標温度保持制御は,前記再生・発酵モードにおいて1つ目の目標温度(前記第1目標温度T1)の設定が保持されているときと,前記再生・発酵モード,前記発酵・火入れモード及び前記冷甘酒モードにおいて最後の目標温度(前記保温温度T3)が設定されているときとに実行される。
以上に示した冷却時・目標温度保持制御により,前記切替室2内の温度が,目的に応じた温度及びその保持時間で保冷される。
【0034】
以上に示したように,前記MPU61は,前記特定の運転モードの開始操作を検知した場合(S3のY),前記切替室2の目標温度Toを,目的に応じて予め定められた複数の目標温度(前記第1目標温度T1及び前記第2目標温度T2:前記処理目標温度の一例)に順次設定し(S6,S8),その目標温度Toの設定をそれぞれ予め定められた時間(t1,t2)だけ保持(S7,S9)した後,最後に予め定められた前記保存目標温度T3に設定する(前記目標温度切替手段の一例)。
さらに,前記MPU61は,順次設定した目標温度Toと前記温度センサ52の検出温度Tmとの比較結果に応じて,前記切替室入口ダンパ41,前記切替室出口ダンパ42,前記切替室ファン32及び前記ヒータ51を制御する(S21〜S30,S41〜S45,S51〜S55:前記温度制御手段の一例)。
このような冷蔵庫Xは,ヨーグルトや甘酒等の自家製食品を作る際の温度管理や発酵食品の早期の品質劣化を防止するための温度管理の自動化を実現できる。
【0035】
例えば,前記特定の運転モードが前記再生・発酵モードである場合,前記切替室2の温度が,−10℃以下で12時間程度保持され(S6,S7),その後,30℃乃至40℃で8時間程度保持された後,最終的に0℃乃至5℃程度で保持される(S10,S4)。このような温度制御により,前記切替室2に収容された乳酸菌食品の元(少量のヨーグルトと牛乳との混合物等)について,冷凍のストレスによって粘性の高いヨーグルトを生成できる乳酸菌が再生され,その後,発酵が促進されて乳酸菌食品が生成され,最終的に食するのに適した温度で保存される。
また,前記特定の運転モードが前記発酵・火入れモードである場合,前記切替室2の温度が,30℃乃至40℃で8時間程度保持され(S6,S7),その後,60℃乃至75℃程度で30分程度保持された後,最終的に0℃乃至5℃程度で保持される(S10,S4)。このような温度制御により,前記切替室2に収容された乳酸菌食品の元(少量のヨーグルトと牛乳との混合物等)の発酵が促進されて乳酸菌食品が生成され,その後,低温殺菌によって雑菌が低減され,最終的に食するのに適した温度で保存される。
【0036】
また,前記特定の運転モードが前記冷甘酒モードである場合,前記切替室2の温度が,55℃乃至60℃で8時間程度保持され(S6,S7),その後,60℃乃至75℃程度で30分程度保持された後,最終的に0℃乃至5℃程度で保持される(S10,S4)。このような温度制御により,前記切替室2に収容された甘酒の元(米飯と麹とがお湯に溶かされた溶液)における澱粉の糖化が促進されて甘酒が生成され,その後,甘酒に含まれる酵素が高温状態(60℃〜75℃程度)で失活して無用な酸味が生じにくい状態となり,最終的に冷やし甘酒として飲むのに適した温度で保存される。
また,前記特定の運転モードが前記温甘酒モードである場合,前記切替室2の温度が,55℃乃至60℃で8時間程度保持され(S6,S7),その後,60℃乃至75℃程度で30分程度保持された後,最終的に55℃乃至65℃程度で保持される(S10,S4)。このような温度制御により,前記切替室2に収容された甘酒の元(米飯と麹とがお湯に溶かされた溶液)における澱粉の糖化が促進されて甘酒が生成され,その後,甘酒に含まれる酵素が高温状態(60℃〜75℃程度)で失活して無用な酸味が生じにくい状態となり,最終的にホット甘酒として飲むのに適した温度で保存される。
その結果,一般家庭のユーザは,自家製食品を作るため,或いは発酵食品の早期の品質劣化を防止するための食品の温度管理の煩わしさから解放される。
【0037】
以上に示した前記切替室2についての前記特定の運転モードは,いずれも目標温度を設定し,それを一定時間保持する工程を2回経た後に最後の前記保存目標温度T3に移行させるモードであったが,目標温度を設定し,それを一定時間保持する工程を3回以上経た後に最後の前記保存目標温度T3に移行させる運転モードも考えられる。
例えば,前記再生・発酵モードと前記発酵・火入れモードとを組み合わせた再生・発酵・火入れモード等が考えられる。この場合,前記切替室2の目標温度及びその保持時間を,例えば,最初は(−18℃,720分),2つ目は(35℃,480分),3つ目は(65℃,30分)とし,最後の前記保存目標温度T3を3℃とする。
これにより,乳酸菌の再生,乳酸菌食品の生成(発酵),雑菌の低減及び食するのに適した温度での保存のための温度管理を自動化できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は,冷蔵庫への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫Xの概略断面図。
【図2】冷蔵庫Xの主要部の構成を表すブロック図。
【図3】冷蔵庫Xにおける温度切替室の温度制御全体の手順を表すフローチャート。
【図4】冷蔵庫Xにおける温度切替室の温度制御の一部(目標温度移行制御)の手順を表すフローチャート。
【図5】冷蔵庫Xにおける温度切替室の温度制御の一部(加温時の目標温度保持制御)の手順を表すフローチャート。
【図6】冷蔵庫Xにおける温度切替室の温度制御の一部(冷却時の目標温度保持制御)の手順を表すフローチャート。
【符号の説明】
【0040】
X :冷蔵庫
1 :冷蔵室
2 :切替室
3 :野菜室
4 :製氷室
5 :冷凍室
20:蒸発器(冷却器)
21:圧縮機
31:冷蔵室ファン
32:切替室ファン
33:基幹ファン
40:冷蔵室ダンパ
41:切替室入口ダンパ
42:切替室出口ダンパ
51:ヒータ
52:温度センサ
60:制御部
61:MPU
S1,S2,…:処理手順(ステップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却器で冷却された冷気により室内が冷却される複数の貯蔵室を具備し,該貯蔵室のうちの少なくとも1つである特定の貯蔵室について,前記冷却器から室内への前記冷気の導入風量を調整する第1通風弁及び室内から前記冷却器への前記冷気の排出風量を調整する第2通風弁と,前記第1通風弁から室内への通風経路に配置された特定のファンと,室内を加熱する加熱手段と,室内の温度を検出する温度検出手段とが設けられた冷蔵庫であって,
所定の操作部に対する特定の運転モードの開始操作を検知する特定運転モード開始操作検知手段と,
前記特定の運転モードの開始操作が検知された場合に,前記特定の貯蔵室の目標温度を,予め定められた複数の処理目標温度に順次設定して該処理目標温度ごとの設定をそれぞれ予め定められた時間だけ保持した後,最後に予め定められた保存目標温度に設定する目標温度切替手段と,
前記目標温度切替手段により順次設定される目標温度と前記温度検出手段の検出温度との比較結果に応じて前記第1通風弁,前記第2通風弁,前記特定のファン及び前記加熱手段を制御する温度制御手段と,
を具備してなることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記特定の運転モードが,乳酸菌を含む食品における乳酸菌の再生及び発酵促進を行う運転モードである場合に,
前記目標温度切替手段が,最初の前記処理目標温度を−10℃以下の温度に設定し,2つ目の前記処理目標温度を30℃乃至40℃に設定した後に,前記保存目標温度を0℃乃至5℃に設定してなる請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記温度制御手段が,最初の前記処理目標温度の設定が保持されているときに,前記加熱手段による加熱を停止した状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記第1通風弁及び前記第2通風弁の開閉状態及び前記特定のファンの回転状態を調節し,2つ目の前記処理目標温度及び前記保存目標温度の設定が保持されているときに,前記第1通風弁及び前記第2通風弁を閉じて前記特定のファンを回転させた状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記加熱手段による加熱状態を調節してなる請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記特定の運転モードが,乳酸菌を含む食品の発酵促進及び雑菌低減処理を行う運転モードである場合に,
前記目標温度切替手段が,最初の前記処理目標温度を30℃乃至40℃に設定し,2つ目の前記処理目標温度を60℃乃至75℃に設定した後に,前記保存目標温度を0℃乃至5℃に設定してなる請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記特定の運転モードが,米飯と麹とを含む食品から冷甘酒を生成する運転モードである場合に,
前記目標温度切替手段が,最初の前記処理目標温度を55℃乃至60℃に設定し,2つ目の前記処理目標温度を60℃乃至75℃に設定した後に,前記保存目標温度を0℃乃至5℃に設定してなる請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記温度制御手段が,2つの前記処理目標温度それぞれの設定が保持されているときに,前記第1通風弁及び前記第2通風弁を閉じて前記特定のファンを回転させた状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記加熱手段による加熱状態を調節し,前記保存目標温度の設定が保持されているときに,前記加熱手段による加熱を停止した状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記第1通風弁及び前記第2通風弁の開閉状態及び前記特定のファンの回転状態を調節してなる請求項4又は5のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記特定の運転モードが,米飯と麹とを含む食品から温甘酒を生成する運転モードである場合に,
前記目標温度切替手段が,最初の前記処理目標温度を55℃乃至60℃に設定し,2つ目の前記処理目標温度を70℃乃至75℃に設定した後に,前記保存目標温度を55℃乃至65℃に設定してなる請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記温度制御手段が,2つの前記処理目標温度及び前記保存目標温度それぞれの設定が保持されているときに,前記第1通風弁及び前記第2通風弁を閉じて前記特定のファンを回転させた状態で,設定されている目標温度と前記温度検出手段の検出温度との差に応じて前記加熱手段による加熱状態を調節してなる請求項7に記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−236345(P2009−236345A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79726(P2008−79726)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】