説明

処理システムと処理方法および記録媒体

【課題】処理容器内に供給する水蒸気などの処理流体を、常に安定した流量で供給できるようにする。
【解決手段】被処理体Wを収納する処理容器30と、所定の温度の処理流体を発生させる処理流体発生部41とを備えた処理システム1であって、処理流体発生部41から処理流体が供給される主流路56に、切替弁70を介して、処理容器30内に処理流体を供給する処理側流路71と、処理容器30内を迂回させて処理流体を通すバイパス側流路72を接続し、主流路56に、処理流体の流量を調節する流量調節機構56、65を設けたことを特徴とする。処理流体発生部41から処理流体が供給される主流路56に流量調節機構56,65を設けているので、流量調節機構56,65に対して常に処理流体が供給される。そのため、流量調節機構56,65の温度が常に一定となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウェハやLCD基板用ガラス等の被処理体を処理する処理システムと処理方法に関し、更に、処理方法を行わせる記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という)の表面に塗布されたレジストを剥離する処理工程として、処理容器内に収納したウェハにオゾンガスと水蒸気の混合ガスを供給し、前記混合ガスによってレジストを酸化させることにより水溶性に変質させ、その後、純水により除去するものが知られている。かような被処理体の処理を行う処理システムは、オゾンガスを発生させるオゾンガス発生部と水蒸気を発生させる水蒸気発生部とを備えており、それらオゾンガス発生部と水蒸気発生部とで発生させたオゾンガスと水蒸気を混合して処理容器内に供給する構成になっている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−332322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、以上のような処理システムでは、処理容器内で行われるレジストの水溶化処理を好適に行うために、処理容器内にオゾンガスや水蒸気などの処理ガスを供給するに際し、それらの供給量を一定に保つことが重要である。そのためには、処理容器にオゾンガスや水蒸気などの処理ガスを供給する流路にオリフィスやニードル弁などの流量調節機構を設け、それら流量調節機構によって、処理ガスの供給量を調整することが考えられる。
【0004】
ここで、水蒸気発生部は、例えば外部から供給された純水を加熱して沸騰させることにより水蒸気を発生させる。こうして水蒸気発生部で発生させた高温の水蒸気を、保温しつつ処理容器内に供給するようになっている。このため、特に水蒸気などを通す流量調節機構にあっては、処理容器に処理ガスを供給する際に、水蒸気などの熱で高温となる。その結果、流量調節機構が熱で膨張し、供給量が増加してしまうことがある。
【0005】
一方、以上のような処理システムでは、処理容器内にウェハを搬入する際、および、処理済のウェハを処理容器内から搬出する際には、処理容器内への処理ガスの供給は、一旦停止させられる。こうして、処理ガスの供給を一時的に停止させた状態で、処理容器を開放し、適当な搬送装置により、ウェハの搬入出を行う。
【0006】
ところが、このように処理容器へウェハを搬入、搬出する作業をする際に、処理ガスの供給が停止させられたことによって、流量調節機構の温度が変化するといった問題がある。例えば、上述のように水蒸気などを通す流量調節機構にあっては、処理容器に処理ガスを供給する際に、水蒸気などの熱で高温となるが、処理ガスの供給が停止させられている間に冷却されてしまう。
【0007】
そのため、処理容器へウェハを搬入後、処理を再開する際に、流量調節機構の温度が低くなった状態で処理ガスの供給量を調整することになる。これにより、特に処理を再開した直後は、流量調節機構の温度が安定せず、処理ガスの供給量の調整が高い精度で行いにくいという課題があった。
【0008】
したがって本発明の目的は、処理容器内に供給する水蒸気などの処理流体を、常に安定した流量で供給できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明によれば、被処理体を収納する処理容器と、所定の温度の処理流体を発生させる処理流体発生部とを備えた処理システムであって、前記処理流体発生部から前記処理流体が供給される主流路に、切替弁を介して、前記処理容器内に前記処理流体を供給する処理側流路と、前記処理容器内を迂回させて前記処理流体を通すバイパス側流路を接続し、前記主流路に、前記処理流体の流量を調節する流量調節機構を設けたことを特徴とする、処理システムが提供される。本発明によれば、処理流体発生部から処理流体が供給される主流路に流量調節機構を設けているので、流量調節機構に対して常に処理流体が供給されるようになる。そのため、流量調節機構の温度が常に一定となる。このため、精度の高い流量調整が可能となる。
【0010】
前記処理容器内から排出された前記処理流体と前記バイパス側流路に通した前記処理流体とを排出させる排出流路を設け、前記排出流路に、前記処理流体の流量を調節する流量調節機構を設けても良い。この場合、主流路と排出流路の両方に流量調節機構を設けることにより、より精度の高い流量調整が可能となる。
【0011】
また、前記バイパス側流路を、前記処理流体を温度調節する温度調節流路に接続しても良い。この場合、排出流路に設けた流量調節機構には、温度調節した後の処理流体が通されるので、排出流路に設けた流量調節機構の温度も一定となる。また、排出流路等において処理流体が結露するといった事態なども防止できる。このため、排出流路に設けた流量調節機構においても、精度の高い流量調整が可能となる。なお、前記温度調節流路は、前記処理容器に熱的に接触させる構成としても良い。これにより、前記処理容器の熱を利用して処理流体を温度調節できるようになる。
【0012】
なお、前記処理流体は、例えば水蒸気である。
【0013】
また本発明によれば、所定の温度の処理流体を処理容器内に供給して被処理体を処理する処理方法であって、所定の温度で流量を調節した前記処理流体を前記処理容器内に供給する状態と、前記処理容器内を迂回させて、所定の温度で流量を調節した前記処理流体を排出する状態とに選択的に切り替えることを特徴とする、処理方法が提供される。
【0014】
この処理方法において、前記処理容器内から排出された前記処理流体と、前記処理容器内を迂回させた前記処理流体とを共通の流量調節機構に通して排出しても良い。また、前記処理容器内を迂回させた前記処理流体を、温度調節した後、前記共通の流量調節機構に通して排出しても良い。
【0015】
また本発明によれば、処理システムの制御コンピュータによって実行することが可能なプログラムが記録された記録媒体であって、前記プログラムは、前記制御コンピュータによって実行されることにより、前記処理システムに、前述の処理方法を行わせるものであることを特徴とする、記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、処理容器内に前記処理流体を供給する場合と、処理容器内を迂回させて処理流体を排出させる場合のいずれにおいても、流量調節機構に対して常に処理流体が供給される。そのため、流量調節機構の温度が常に一定となり、精度の高い流量調整が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、被処理体の一例としてのウェハに対して、ウェハの表面に塗布されたレジストを水溶化して剥離する処理を施す処理システム1に基づいて説明する。図1は、本実施の形態にかかる処理システム1の平面図である。図2は、その側面図である。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
この処理システム1は、ウェハWにレジスト水溶化処理および洗浄処理を施す処理部2と、処理部2に対してウェハWを搬入出する搬入出部3を有しており、更に、処理システム1の各部に制御命令を与える制御コンピュータ19を備えている。なお説明のため、図1,2において、水平面内において、処理部2と搬入出部3の巾方向をY方向、処理部2と搬入出部3の並び方向(Y方向と直交する方向)をX方向、鉛直方向をZ方向と定義する。
【0019】
搬入出部3は、複数枚、例えば25枚の略円盤形状のウェハWを所定の間隔で略水平に収容可能な容器(キャリアC)を載置するための載置台6が設けられたイン・アウトポート4と、載置台6に載置されたキャリアCと処理部2との間でウェハWの受け渡しを行うウェハ搬送装置7が備えられたウェハ搬送部5と、から構成されている。
【0020】
ウェハWはキャリアCの一側面を通して搬入出され、キャリアCの側面には開閉可能な蓋体が設けられている。また、ウェハWを所定間隔で保持するための棚板が内壁に設けられており、ウェハWを収容する25個のスロットが形成されている。ウェハWは表面(半導体デバイスを形成する面)が上面(ウェハWを水平に保持した場合に上側となっている面)となっている状態で各スロットに1枚ずつ収容される。
【0021】
イン・アウトポート4の載置台6上には、例えば、3個のキャリアをY方向に並べて所定位置に載置することができるようになっている。キャリアCは蓋体が設けられた側面をイン・アウトポート4とウェハ搬送部5との境界壁8側に向けて載置される。境界壁8においてキャリアCの載置場所に対応する位置には窓部9が形成されており、窓部9のウェハ搬送部5側には、窓部9をシャッター等により開閉する窓部開閉機構10が設けられている。
【0022】
この窓部開閉機構10は、キャリアCに設けられた蓋体もまた開閉可能であり、窓部9の開閉と同時にキャリアCの蓋体も開閉する。窓部9を開口してキャリアCのウェハ搬入出口とウェハ搬送部5とを連通させると、ウェハ搬送部5に配設されたウェハ搬送装置7のキャリアCへのアクセスが可能となり、ウェハWの搬送を行うことが可能な状態となる。
【0023】
ウェハ搬送部5に配設されたウェハ搬送装置7は、Y方向とZ方向に移動可能であり、かつ、Z方向を中心軸として回転自在に構成されている。また、ウェハ搬送装置7は、ウェハWを把持する取出収納アーム11を有し、この取出収納アーム11はX方向にスライド自在となっている。こうして、ウェハ搬送装置7は、載置台6に載置された全てのキャリアCの任意の高さのスロットにアクセスし、また、処理部2に配設された上下2台のウェハ受け渡しユニット16、17にアクセスして、イン・アウトポート4側から処理部2側へ、逆に処理部2側からイン・アウトポート4側へウェハWを搬送することができるように構成されている。
【0024】
処理部2は、搬送手段である主ウェハ搬送装置18と、ウェハ搬送部5との間でウェハWの受け渡しを行うためにウェハWを一時的に載置する2つのウェハ受け渡しユニット16、17と、4台の洗浄ユニット12、13、14、15と、レジストを水溶化処理する6台の処理ユニット23a〜23fとを備えている。
【0025】
また、処理部2には、処理ユニット23a〜23fに供給する処理流体としてのオゾンガスを発生させるオゾンガス発生部40および水蒸気を発生させる水蒸気発生部41を備える処理ガス発生ユニット24と、洗浄ユニット12、13、14、15に送液する所定の処理液を貯蔵する薬液貯蔵ユニット25とが配設されている。処理部2の天井部には、各ユニット及び主ウェハ搬送装置18に、清浄な空気をダウンフローするためのファンフィルターユニット(FFU)26が配設されている。
【0026】
上記ファンフィルターユニット(FFU)26からのダウンフローの一部は、ウェハ受け渡しユニット16、17と、その上部の空間を通ってウェハ搬送部5に向けて流出する構造となっている。これにより、ウェハ搬送部5から処理部2へのパーティクル等の侵入が防止され、処理部2の清浄度が保持される。
【0027】
上記ウェハ受け渡しユニット16、17は、いずれもウェハ搬送部5との間でウェハWを一時的に載置するものであり、これらウェハ受け渡しユニット16、17は上下2段に積み重ねられて配置されている。この場合、下段のウェハ受け渡しユニット17は、イン・アウトポート4側から処理部2側へ搬送するようにウェハWを載置するために用い、上段のウェハ受け渡しユニット16は、処理部2側からイン・アウトポート4側へ搬送するウェハWを載置するために用いることができる。
【0028】
上記主ウェハ搬送装置18は、X方向とZ方向に移動可能であり、かつ、Z方向を中心軸として回転自在に構成されている。また、主ウェハ搬送装置18は、ウェハWを把持する搬送アーム18aを有し、この搬送アーム18aはY方向にスライド自在となっている。こうして、主ウェハ搬送装置18は、上記ウェハ受け渡しユニット16、17と、洗浄ユニット12〜15、処理ユニット23a〜23fの全てのユニットにアクセス可能に配設されている。
【0029】
各洗浄ユニット12、13、14、15は、処理ユニット23a〜23fにおいてレジスト水溶化処理が施されたウェハWに対して、洗浄処理および乾燥処理を施す。なお、洗浄ユニット12、13、14、15は、上下2段で各段に2台ずつ配設されている。図1に示すように、洗浄ユニット12、13と洗浄ユニット14、15とは、その境界をなしている壁面27に対して対称な構造を有しているが、対称であることを除けば、各洗浄ユニット12、13、14、15は概ね同様の構成を備えている。
【0030】
一方、各処理ユニット23a〜23fは、ウェハWの表面に塗布されているレジストを水溶化する処理を行う。処理ユニット23a〜23fは、図2に示すように、上下方向に3段で各段に2台ずつ配設されている。左段には処理ユニット23a、23c、23eが上からこの順で配設され、右段には処理ユニット23b、23d、23fが上からこの順で配設されている。図1に示すように、処理ユニット23aと処理ユニット23b、処理ユニット23cと処理ユニット23d、処理ユニット23eと処理ユニット23fは、その境界をなしている壁面28に対して対称な構造を有しているが、対称であることを除けば、各処理ユニット23a〜23fは概ね同様の構成を備えている。
【0031】
また、各処理ユニット23a〜23fに対する処理流体としてのオゾンガスおよび水蒸気を供給する配管系統は、いずれも同様の構成を備えている。そこで次に、処理ユニット23aを例として、その配管系統と構造について詳細に説明する。
【0032】
図3は、処理ユニット23aの概略構成図である。処理ユニット23aには、ウェハWを収納する処理容器30が備えられている。処理容器30には、前述の処理ガス発生ユニット24内に設置されたオゾンガス発生部40および水蒸気発生部41から、処理流体としてのオゾンガスおよび水蒸気が供給されるようになっている。
【0033】
オゾンガス発生部40は、含酸素気体中で放電することによりオゾンガスを発生させる構造になっている。オゾンガス発生部40は、処理システム1が備える各処理ユニット23a〜23fに対して共通であり、オゾンガス発生部40に直接接続されたオゾン元流路45には、それぞれの各処理ユニット23a〜23fに対応して設けられたオゾン主流路46が、分岐するように接続されている。オゾン主流路46には、ニードル弁47と流量計48が設けられており、オゾンガス発生部40で発生させたオゾンガスを、処理ユニット23aの処理容器30に対して所望の流量で供給できるようになっている。
【0034】
オゾン主流路46の下流側は、切替弁50を介して、処理容器30にオゾンガスを供給する処理側オゾンガス流路51と、処理容器30を迂回させてオゾンガスを通すバイパス側オゾンガス流路52に接続されている。切替弁50は三方弁であり、オゾンガス発生部40で発生させたオゾンガスを、処理側オゾンガス流路51を経て、処理ユニット23aの処理容器30に供給する状態と、処理容器30に供給せずにバイパス側オゾンガス流路52に通す状態とに切り替えられる。なお、バイパス側オゾンガス流路52の下流側は、オゾンガスの逆流を防止する逆流防止オリフィス53を介して、後述する主排出流路105に接続されている。
【0035】
水蒸気発生部41は、外部から供給された純水を沸騰させることより水蒸気を発生させる構成になっている。水蒸気発生部41は、処理システム1が備える各処理ユニット23a〜23fに対して共通であり、水蒸気発生部41に直接接続された水蒸気元流路55には、それぞれの各処理ユニット23a〜23fに対応して設けられた水蒸気主流路56が、分岐するように接続されている。
【0036】
水蒸気元流路55には、圧力スイッチ57とリリーフ弁58を備えた逃がし流路59が接続してあり、水蒸気発生部41内の圧力が設置圧力値を超えた場合は、水蒸気の一部が逃がし流路59から外部に排気されるようになっている。これにより、水蒸気元流路55内は、常に一定の水蒸気圧に保たれている。また、水蒸気元流路55には、配管保温ヒーター60が装着してあり、例えば110〜120℃に保温されている。これにより、水蒸気元流路55内における水蒸気の温度低下が防止されている。
【0037】
水蒸気元流路55から分岐して設けられた水蒸気主流路56には、オリフィス65とニードル弁66が設けられている。これらオリフィス65とニードル弁66は、水蒸気発生部41で発生させた水蒸気を、処理ユニット23aの処理容器30に対して所望の流量で供給させるための流量調節機構として機能する。
【0038】
なお、流量調節機構として、このように水蒸気主流路56にオリフィス65とニードル弁66の両方を設けたのは、次の理由による。即ち、上述したように、水蒸気発生部41は純水を沸騰させて水蒸気を発生させているため、水蒸気元流路55内は、常に一定の高圧状態となっている。そのような高圧状態では、汎用のニードル弁66によって流量を正確に調節することは困難である。そこで、オリフィス65を介在させることにより、水蒸気主流路56内を水蒸気元流路55内よりも低い圧力に維持し、低圧側においてニードル弁66によって正確な流量調節を行っているのである。
【0039】
水蒸気主流路56の下流側は、切替弁70を介して、処理容器30に水蒸気を供給する処理側水蒸気流路71と、処理容器30を迂回させて水蒸気を通すバイパス側水蒸気流路72に接続されている。切替弁70は三方弁であり、水蒸気発生部41で発生させた水蒸気を、処理側水蒸気流路71を経て、処理ユニット23aの処理容器30に供給する状態と、処理容器30に供給せずにバイパス側水蒸気流路72に通す状態とに切り替えられるようになっている。
【0040】
図4は、処理容器30の概略的な構成を示す縦断面図である。図5は、処理容器30(容器本体80)の底面の部分拡大断面図である。図6は、ヒーター91を取り外した状態の処理容器30(容器本体80)の底面図である。
【0041】
処理容器30は、上面が開口し、底面が塞がれた中空の円筒形状をなす容器本体80と、この容器本体80の上面開口部を密閉可能な円盤形状の蓋体81とで構成される。これら容器本体80および蓋体81は、いずれも例えばアルミニウムなどの熱伝導性の良い材料で構成される。容器本体80の側壁部上面には、シール部材としてのOリング82が配置されており、図4に示すように、蓋体81を容器本体80の上面に密着させた状態では、蓋体81の外縁部下面がOリング82に密着することにより、処理容器30の内部に、密閉された処理空間83が形成される。蓋体81の上面には、容器本体80に対して蓋体81を昇降移動させるシリンダー装置84が装着してある。このシリンダー装置84の稼動で蓋体81を容器本体80の上面に密着させることにより、処理容器30内を密閉することができる。なお、処理容器30の内部にウェハWを搬入出させる場合は、シリンダー装置84の稼動で蓋体81を上昇させ、容器本体80の上面から蓋体81を離すことにより、処理空間83を開放することができる。
【0042】
容器本体80の底面上部には、処理容器30内に収納したウェハWを載置させるための載置台85が設けてある。この載置台85の両側には、処理容器30内に処理流体としてのオゾンガスおよび水蒸気を供給する給気口86と、処理容器30内から処理流体としてのオゾンガスおよび水蒸気を排出させる排気口87が開口している。なお、後述するように、これら給気口86および排気口87を通じて、処理容器30内にパージガスとしてのNガスも供給および排出できるようになっている。載置台85の内部には、載置台85に載置されるウェハWを昇降させるための昇降ピン88が備えられており、この昇降ピン88は、容器本体80の下方に配置されたシリンダー装置89の稼動で昇降する構成になっている。
【0043】
蓋体81の内部には、リング状のヒーター90が内蔵されている。また、容器本体80の底面下部には、リング状のヒーター91が装着してある。これらヒーター90およびヒーター91の加熱により、処理容器30全体が温度調節され、処理空間83が所望の処理温度に維持される。
【0044】
容器本体80の底面外縁部には、3本の温度調節流路95、96、97が設けられている。これらのうち、最も外側に位置する温度調節流路95と、二番目に外側に位置する温度調節流路96は、容器本体80の底面に熱的に接触しながら底面外縁部をほぼ一周するように設けられている。一方、最も内側に位置する温度調節流路97は、容器本体80の底面に熱的に接触しながら底面外縁部をほぼ3/4周するように設けられている。なお、これら3本の温度調節流路95、96、97は、ここで説明した例に限定されない。これら3本の温度調節流路95、96、97は、後述するようにそれらの内部に通すオゾンガス、水蒸気、N等を十分に温度調節できる長さに設定されれば良い。また、最も外側に位置する温度調節流路95の入り口部95aと出口部95b、および、二番目に外側に位置する温度調節流路96の入り口部96aと出口部96bは、いずれも処理容器30(容器本体80)の外部に位置している。一方、最も内側に位置する温度調節流路97の入り口部96aは処理容器30(容器本体80)の外部に位置しているが、温度調節流路97の出口部96bは、処理容器30の内部(処理空間83)に開口した給気口86に連通している。
【0045】
図5に拡大して示したように、容器本体80の底面外縁部には、3本の溝部100、101、102が形成されており、上述の温度調節流路95、96、97は、これら3本の溝部100、101、102の内部に、例えばPFAチューブ(PFA:四ふっ化エチレン・パーフルオロアルコキビニルエーテル共重合樹脂)を配置した構成である。
【0046】
そして、これら溝部100、101、102内に温度調節流路95、96、97を収納した状態で、溝部100、101、102全体を覆うように、容器本体80の底面外縁部に下方からリング状のヒーター91を密着させた構成になっている。このため、ヒーター91の熱が各温度調節流路95、96、97および容器本体80に確実に伝わるようになっている。
【0047】
上述した処理側オゾンガス流路51の下流側は、温度調節流路96の入り口部96aに接続されている。また、温度調節流路96の出口部96bは、上述した処理側水蒸気流路71との合流点71’に接続されている。更に、上述した処理側水蒸気流路71の下流側は、合流点71’よりも更に下流側において、温度調節流路97の入り口部97aに接続されている。
【0048】
したがって、処理側オゾンガス流路51を流れるオゾンガスは、温度調節流路96を通る際に、ヒーター91の熱によって所望の温度に昇温されるようになっている。また、このように温度調節流路96を通る際に所望の温度に昇温されたオゾンガスが、合流点71’において処理側水蒸気流路71を流れる水蒸気に混合される。更に、このように混合されたオゾンガスと水蒸気の混合ガスが、温度調節流路97を通る際に、ヒーター91の熱によって再度所望の温度に温度調節される。こうして再度所望の温度に温度調節されたオゾンガスと水蒸気の混合ガスは、給気口86を経て処理容器30の内部に供給されるようになっている。
【0049】
また、上述したバイパス側水蒸気流路72は、温度調節流路95の入り口部95aに接続されている。また、温度調節流路95の出口部95bは、第2バイパス側水蒸気流路72’に接続されている。この第2バイパス側水蒸気流路72’の下流側は、水蒸気の逆流を防止する水蒸気逆流防止オリフィス73を介して、次に説明する主排出流路105に接続されている。
【0050】
図3に示すように、処理容器30内から処理流体としてのオゾンガスおよび水蒸気を排出させる排気口87には、主排出流路105が接続してある。この主排出流路105には、切替弁106、圧力スイッチ107、逆流防止オリフィス108、エアオペ弁109およびリリーフ弁110が順に設けられている。また、主排出流路105において、逆流防止オリフィス108とエアオペ弁109の間に、上述したバイパス側オゾンガス流路52の下流側と、上述した第2バイパス側水蒸気流路72’の下流側とが接続されている。
【0051】
加えて、この実施の形態では、処理側オゾンガス流路51の途中にNガス供給流路115が接続してある。このNガス供給流路115は、処理システム1外のN供給源よりNガスを供給するNガス元流路116から分岐して設けられている。また、Nガス供給流路115には、Nガスの供給を制御するエアオペ弁117が設けられている。
【0052】
また、主排出流路105に設けられた切替弁106には、Nガス排出流路118が接続してある。切替弁106は三方弁であり、後述するように、排気口87を通じて処理容器30内から排出された処理流体としてのオゾンガスおよび水蒸気を、主排出流路105を通じて排出させる状態と、後述するように、排気口87を通じて処理容器30内から排出されたパージガスとしてのNガスを、Nガス排出流路118を通じて排出させる状態とに切り替えられるようになっている。
【0053】
なお、代表して処理ユニット23aを例として説明したが、他の処理ユニット23b〜23fも同様の構成を備えている。
【0054】
処理システム1の各機能要素は、処理システム1全体の動作を自動制御する制御コンピュータ19に、信号ラインを介して接続されている。ここで、機能要素とは、例えば前述した搬入出部3に設けられたウェハ搬送装置7、窓部開閉機構10、処理部2に設けられた主ウェハ搬送装置18、4台の洗浄ユニット12、13、14、15、処理ガス発生ユニット24が備えるオゾンガス発生部40および水蒸気発生部41、薬液貯蔵ユニット25、更には、各処理ユニット23a〜23fにおける切替弁50、70、106、ヒーター90、91等の、所定のプロセス条件を実現するために動作する総ての要素を意味している。制御コンピュータ19は、典型的には、実行するソフトウェアに依存して任意の機能を実現することができる汎用コンピュータである。
【0055】
図1に示すように、制御コンピュータ19は、CPU(中央演算装置)を備えた演算部19aと、演算部19aに接続された入出力部19bと、入出力部19bに挿着され制御ソフトウェアを格納した記録媒体19cと、を有する。この記録媒体19cには、制御コンピュータ19によって実行されることにより処理システム1に後述する所定の基板処理方法を行わせる制御ソフトウェア(プログラム)が記録されている。制御コンピュータ19は、該制御ソフトウェアを実行することにより、処理システム1の各機能要素を、所定のプロセスレシピにより定義された様々なプロセス条件(例えば、処理容器30の温度等)が実現されるように制御する。
【0056】
記録媒体19cは、制御コンピュータ19に固定的に設けられるもの、あるいは、制御コンピュータ19に設けられた図示しない読み取り装置に着脱自在に装着されて該読み取り装置により読み取り可能なものであっても良い。最も典型的な実施形態においては、記録媒体19cは、処理システム1のメーカーのサービスマンによって制御ソフトウェアがインストールされたハードディスクドライブである。他の実施形態においては、記録媒体19cは、制御ソフトウェアが書き込まれたCD−ROM又はDVD−ROMのような、リムーバブルディスクである。このようなリムーバブルディスクは、制御コンピュータ19に設けられた図示しない光学的読取装置により読み取られる。また、記録媒体19cは、RAM(raNdom access memory)又はROM(read oNly memory)のいずれの形式のものであっても良い。さらに、記録媒体19cは、カセット式のROMのようなものであっても良い。要するに、コンピュータの技術分野において知られている任意のものを記録媒体19cとして用いることが可能である。なお、複数の処理システム1が配置される工場においては、各処理システム1の制御コンピュータ19を統括的に制御する管理コンピュータに、制御ソフトウェアが格納されていても良い。この場合、各処理システム1は、通信回線を介して管理コンピュータにより操作され、所定のプロセスを実行する。
【0057】
次に、上記のように構成された処理システム1におけるウェハWの処理工程を説明する。まず、イン・アウトポート4の載置台6に載置されたキャリアCから取出収納アーム11によって一枚ずつウェハWが取り出され、取出収納アーム11によって取り出したウェハWを下段のウェハ受け渡しユニット17に搬送する。すると、主ウェハ搬送装置18がウェハ受け渡しユニット17からウェハWを受け取り、主ウェハ搬送装置18によって各処理ユニット23a〜23fに適宜搬入する。そして、各処理ユニット23a〜23fにおいて、ウェハWの表面に塗布されているレジストが水溶化される。所定のレジスト水溶化処理が終了したウェハWは、搬送アーム18aによって各処理ユニット23a〜23fから適宜搬出される。その後、ウェハWは、搬送アーム18aによって各洗浄ユニット12、13、14、15に適宜搬入され、ウェハWに付着している水溶化されたレジストを除去する洗浄処理が純水等により施される。これにより、ウェハWに塗布されていたレジストが剥離される。各洗浄ユニット12、13、14、15は、ウェハWに対して洗浄処理を施した後、必要に応じて薬液処理によりパーティクル、金属除去処理を行った後、乾燥処理を行い、その後、ウェハWは再び搬送アーム18aによって上段の受け渡しユニット16に搬送される。そして、受け渡しユニット16から取出収納アーム11にウェハWが受け取られ、取出収納アーム11によって、レジストが剥離されたウェハWがキャリアC内に収納される。
【0058】
次に、処理ユニット23a〜23fの動作態様について、処理ユニット23aを代表して説明する。まず、処理容器30において、シリンダー装置84の稼動によって蓋体81を上昇させ、容器本体80の上面から蓋体81を離すことにより、処理空間83を開放する。この状態で、主ウェハ搬送装置18の搬送アーム18aによりウェハWを搬入し、載置台85にウェハWを載置させる。なお、このように載置台85にウェハWを載置させる場合、シリンダー装置89の稼動によって載置台85の内部に備えられた昇降ピン88を上昇させた状態でウェハWを受け取り、その後、昇降ピン88を下降させて載置台85にウェハWを載置させる。そして、搬送アーム18aが退出後、蓋体81が下降し、密閉された処理空間83を形成する。
【0059】
こうしてウェハWを搬入した後、先ず、処理容器30およびウェハWを昇温させる昇温工程を行う。即ち、この昇温工程では、ヒーター90、91の稼動によって処理容器30およびウェハWを昇温させる。また、オゾンガス発生部40で発生させたオゾンガスを、切替弁50の切り替えにより、処理側オゾンガス流路51から温度調節流路96、97を経て、処理ユニット23aの処理容器30に供給する。一方、水蒸気発生部41で発生させた水蒸気は、切替弁70により、バイパス側水蒸気流路72に通し、温度調節流路95および第2バイパス側水蒸気流路72’を経て、主排出流路105に排出させる。また、昇温工程では、Nガス供給流路115に設けられたエアオペ弁117は閉じ、Nガスの供給は停止する。また、主排出流路105に設けられた切替弁106は、排気口87を通じて処理容器30内から排出されたオゾンガスを、主排出流路105を通じて排出させる状態に切り替える。
【0060】
なお、オゾンガス発生部40では、含酸素気体中で放電することにより発生させたオゾンガスを、例えば100〜300kPaの設定圧力で供給する。そして、オゾン主流路46に設けたニードル弁47により、オゾンガスの流量を例えば2〜5リットル/minに設定する。
【0061】
一方、水蒸気発生部41では、純水を沸騰させて発生させた水蒸気を、例えば80〜95kPaの設定圧力で供給する。そして、水蒸気主流路56に設けたニードル弁66により、水蒸気の流量を例えば2〜5g/minに設定する。
【0062】
こうして、昇温工程では、処理空間83内をオゾン雰囲気に置換しつつ、処理容器30およびウェハWを所定の温度まで昇温させる。この場合、処理容器30およびウェハWを昇温させる所定の温度とは、例えば100〜110℃である。なお、昇温工程では、処理側オゾンガス流路51から、容器本体80底面の温度調節流路96および温度調節流路97を経て、処理空間83内にオゾンガスが供給される。このため、処理空間83内には、温度調節流路96および温度調節流路97を通る間に昇温させられたオゾンガスが供給されることになる。
【0063】
また、昇温工程では、水蒸気発生部41で発生させられた高温の水蒸気が、水蒸気主流路56に設けたオリフィス65とニードル弁66を通過するので、オリフィス65とニードル弁66も所定の温度に維持される。
【0064】
また、昇温工程では、排気口87を通じて処理容器30内から排出されたオゾンガスが、主排出流路105を通じて排出される。更に、バイパス側水蒸気流路72に通された水蒸気が、温度調節流路95および第2バイパス側水蒸気流路72’を経て、主排出流路105に排出させられる。こうして、オゾンガスおよび水蒸気の混合ガスが、エアオペ弁109およびリリーフ弁110を経て、主排出流路105から外部に排気される。なお、主排出流路105に設けられたリリーフ弁110の設定圧力は、例えば50〜75kPaに設定される。
【0065】
また、昇温工程では、処理空間83内を通過したオゾンガスと、温度調節流路95を通過した水蒸気が、主排出流路105に設けられたリリーフ弁110を通過するので、リリーフ弁110も所定の温度に維持される。
【0066】
こうして、処理容器30およびウェハWを所定の温度(例えば100〜110℃)まで昇温させ、更に、水蒸気主流路56に設けたオリフィス65とニードル弁66、および、主排出流路105に設けられたリリーフ弁110を所定の温度に維持し、昇温工程が終了する。
【0067】
次に、処理容器30内に収納したウェハWを処理する処理工程を行う。即ち、水蒸気発生部41で発生させた水蒸気を、切替弁70の切り替えにより、処理側水蒸気流路71を経て、処理ユニット23aの処理容器30に供給する。
【0068】
この場合、水蒸気主流路56に設けたオリフィス65とニードル弁66は、既に前述の昇温工程において所定の温度で安定状態になっている。このため、オリフィス65とニードル弁66による流量調整が精度よく行われ、処理工程では、処理側水蒸気流路71を経て処理容器30に供給する水蒸気の供給量が一定となる。
【0069】
また、処理工程では、処理側水蒸気流路71を流れる例えば110℃程度の高温にされた水蒸気に対して、処理側オゾンガス流路51から温度調節流路96を経て、オゾンガスが混合される。このため、合流点71’でオゾンガスが混合される際に、処理側水蒸気流路71を流れる水蒸気が冷却されることが無く、水蒸気の結露が防止される。
【0070】
また、このように処理側水蒸気流路71において混合されたオゾンガスと水蒸気の混合ガスが、更に、温度調節流路97を通り、給気口86を経て処理容器30の内部に供給される。この場合、温度調節流路97を通過中に、オゾンガスと水蒸気の混合ガスは処理容器30と同じ所定の温度に温度調節される。このため、処理容器30内に対し、水蒸気を結露させずに、オゾンガスと水蒸気の混合ガスを常に安定した温度で供給できるようになる。
【0071】
こうして、処理工程では、所定の温度に昇温された処理容器30の内部において、一定の処理温度で、ウェハWに対してオゾンガスと水蒸気の混合ガスを供給する。これにより、ウェハWの表面に塗布されたレジストを酸化させて水溶化処理が効率よく行われる。
【0072】
また、処理工程では、排気口87を通じて処理容器30内から排出されたオゾンガスと水蒸気の混合ガスを、主排出流路105を通じて排出させる。この場合、主排出流路105に設けられたリリーフ弁110は、既に前述の昇温工程において所定の温度で安定状態になっている。このため、リリーフ弁110による流量調整が精度よく行われ、処理容器30内部におけるウェハWの処理が更に安定して行われる。
【0073】
こうして、所定のレジスト水溶化処理が終了した後、処理容器30内をNガス雰囲気に置換させるパージ工程を行う。即ち、オゾンガス発生部40で発生させたオゾンガスを、切替弁50の切り替えにより、処理容器30に供給せずにバイパス側オゾンガス流路52に通す状態にする。また、水蒸気発生部41で発生させた水蒸気を、切替弁70の切り替えにより、処理容器30に供給せずにバイパス側水蒸気流路72に通す状態にする。
【0074】
また、パージ工程では、Nガス供給流路115に設けられたエアオペ弁117を開き、処理側オゾンガス流路51を経て処理容器30にNガスを供給する。また、主排出流路105に設けられた切替弁106は、排気口87を通じて処理容器30内から排出されたNガスを、Nガス排出流路118を通じて排出させる状態に切り替える。こうして、パージ工程では、処理容器30内にNガスを供給し、処理容器30内をNガス雰囲気に置換させる。
【0075】
なお、パージ工程では、処理容器30内をパージしたNガスは主排出流路105に排出されず、Nガス排出流路118を通じて排出され、水蒸気発生部41で発生させられた高温の水蒸気が、水蒸気主流路56に設けたオリフィス65とニードル弁66を引き続き通過するので、オリフィス65とニードル弁66は昇温された状態に維持される。また、バイパス側水蒸気流路72に通された水蒸気は、温度調節流路95および第2バイパス側水蒸気流路72’を経て、主排出流路105に排出させられる。このため、主排出流路105に設けられたリリーフ弁110も昇温された状態に維持され、安定した制御が行われる。
【0076】
また、パージ工程では、温度調節流路96および温度調節流路97を経て昇温されたNガスが、処理容器30内に供給される。このため、処理容器30も昇温された状態に維持される。
【0077】
こうして、パージ工程によって処理容器30内をNガス雰囲気に置換させた後、処理容器30において、シリンダー装置84の稼動によって蓋体81を上昇させ、容器本体80の上面から蓋体81を離すことにより、処理空間83を開放する。この状態で、シリンダー装置89の稼動によって昇降ピン88を上昇させて、載置台85上からウェハWを持ち上げ、主ウェハ搬送装置18の搬送アーム18aをウェハWの下方に進入させ、ウェハWを受け取り、処理容器30内からウェハWを搬出する。
【0078】
なお、処理ユニット23aにおける処理を代表して説明したが、他の処理ユニット23b〜23fにおいても、同様の処理が行われる。
【0079】
かかる処理システム1にあっては、処理容器30に水蒸気を供給する処理工程と、処理容器30を迂回させてバイパス側水蒸気流路72に水蒸気を通すパージ工程のいずれにおいても、水蒸気主流路56に設けたオリフィス65とニードル弁66に対して常に水蒸気が供給される。そのため、オリフィス65とニードル弁66の温度が常に一定となり、弁の開度が変わらないため、水蒸気の供給側において精度の高い流量調整が可能となる。その結果、ウェハWに対して安定した処理を行うことが可能となる。また、主排出流路105に設けられたリリーフ弁110も、常に昇温された状態に維持される。このため、水蒸気主流路56に設けたオリフィス65とニードル弁66に加えて、主排出流路105に設けたリリーフ弁110においても、高い精度で流量制御でき、ウェハWに対する処理をより安定させることが可能となる。その結果、ウェハWに対するレジスト水溶化処理も安定して行うことができる。従って、その後の各洗浄ユニット12、13、14、15における洗浄処理によるレジスト剥離の均一性、信頼性、及び処理システム1における処理を含めたエッチング処理全体の均一性、信頼性が向上する。
【0080】
以上、本発明の好適な実施の形態の一例を示したが、本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば、本発明で適用される処理流体は、オゾンガスや水蒸気のほか、その他の処理ガスでも良く、本発明は、各種処理流体を用いた処理プロセスに広く適用できる。また、被処理体は半導体ウェハに限らず、その他のLCD基板用ガラスやCD基板、プリント基板、セラミック基板などであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は,例えば例えば半導体ウェハやLCD基板用ガラス等の洗浄処理に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態にかかる処理システムの平面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる処理システムの側面図である。
【図3】処理ユニットの概略構成図である。
【図4】処理容器の概略的な構成を示す縦断面図である。
【図5】処理容器の底面の部分拡大断面図である。
【図6】ヒーターを取り外した状態の処理容器の底面図である。
【符号の説明】
【0083】
C キャリア
W ウェハ
1 処理システム
2 処理部
3 搬入出部
4 イン・アウトポート
5 ウェハ搬送部
6 載置台
7 ウェハ搬送装置
11 取出収納アーム
12、13、14、15 洗浄ユニット
16、17 ウェハ受け渡しユニット
18 主ウェハ搬送装置
19 制御コンピュータ
23a〜23f 処理ユニット
24 処理ガス発生ユニット
25 薬液貯蔵ユニット
30 処理容器
40 オゾンガス発生部
41 水蒸気発生部
45 オゾン元流路
46 オゾン主流路
47 ニードル弁
48 流量計
50 切替弁
51 処理側オゾンガス流路
52 バイパス側オゾンガス流路
55 水蒸気元流路
56 水蒸気主流路
57 圧力スイッチ
58 リリーフ弁
59 逃がし流路
60 配管保温ヒーター
65 オリフィス
66 ニードル弁
70 切替弁
71 処理側水蒸気流路
72 バイパス側水蒸気流路
80 容器本体
81 蓋体
83 処理空間
85 載置台
86 給気口
87 排気口
90.91 ヒーター
95、96、97 温度調節流路
100、101、102 溝部
105 主排出流路
106 切替弁
107 圧力スイッチ
109 エアオペ弁
110 リリーフ弁
115 Nガス供給流路
116 Nガス元流路
117 エアオペ弁
118 Nガス排出流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体を収納する処理容器と、所定の温度の処理流体を発生させる処理流体発生部とを備えた処理システムであって、
前記処理流体発生部から前記処理流体が供給される主流路に、切替弁を介して、前記処理容器内に前記処理流体を供給する処理側流路と、前記処理容器内を迂回させて前記処理流体を通すバイパス側流路を接続し、
前記主流路に、前記処理流体の流量を調節する流量調節機構を設けたことを特徴とする、処理システム。
【請求項2】
前記処理容器内から排出された前記処理流体と前記バイパス側流路に通した前記処理流体とを排出させる排出流路を設け、前記排出流路に、前記処理流体の流量を調節する流量調節機構を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記バイパス側流路を、前記処理流体を温度調節する温度調節流路に接続したことを特徴とする、請求項1または2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記温度調節流路を、前記処理容器に熱的に接触させたことを特徴とする、請求項3に記載の処理システム。
【請求項5】
前記処理流体が水蒸気であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の処理システム。
【請求項6】
所定の温度の処理流体を処理容器内に供給して被処理体を処理する処理方法であって、
所定の温度で流量を調節した前記処理流体を前記処理容器内に供給する状態と、前記処理容器内を迂回させて、所定の温度で流量を調節した前記処理流体を排出する状態とに選択的に切り替えることを特徴とする、処理方法。
【請求項7】
前記処理容器内から排出された前記処理流体と、前記処理容器内を迂回させた前記処理流体とを共通の流量調節機構に通して排出することを特徴とする、請求項6に記載の処理方法。
【請求項8】
前記処理容器内を迂回させた前記処理流体を、温度調節した後、前記共通の流量調節機構に通して排出することを特徴とする、請求項7に記載の処理方法。
【請求項9】
前記処理流体が水蒸気であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の処理方法。
【請求項10】
処理システムの制御コンピュータによって実行することが可能なプログラムが記録された記録媒体であって、
前記プログラムは、前記制御コンピュータによって実行されることにより、前記処理システムに、請求項6〜9のいずれかに記載の処理方法を行わせるものであることを特徴とする、記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−124385(P2008−124385A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309210(P2006−309210)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】