説明

処理媒体による瓶或いは同様な容器を処理する方法と装置

【課題】
変形、収縮或いは他の損傷の危機がそれぞれの容器に生じることなしに、感熱性容器、特に合成樹脂製の容器がエネギー投与の下で少なくとも一つの処理媒体の活性化により処理できる方法を提供すること。
【解決手段】
エネギー投与によりそれぞれの容器内の処理媒体を活性化させることによって、瓶、筒状容器或いは同様な容器を処理する、特に殺菌する方法は、電磁放射線を処理媒体に作用させることによる活性化が行われることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特許請求項1の上位概念による方法並びに特許請求項12の上位概念による装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特に処理媒体或いは殺菌媒体(次の処理媒体のみが挙げられる)の使用の下で殺菌する瓶或いは同様な容器の処理は、例えば過酸化水素(H2 2 )から成る水溶液をガス状及び/又は蒸気状媒体内に包含し、例えばエアゾールの形態の水蒸気及び/又は空気内に包含することが、知られている。
【0003】
この場合には、容器の収納後の処理媒体に加熱されたガス状媒体、例えば熱空気を作用させるか、或いは活性化させ、しかも即ち処理媒体の水部分を蒸発させ、或いは過酸化水素を活性構成部材に、即ち酸素と水或いは水蒸気に分解させ(2H2 2 =2H2 O+ O2 +45cal )、並びに処理媒体、特に水と水蒸気を引き続いて除去させ、並びに発生された衰退製品を活性化させることも知られている。この場合に、方法工程は、例えば縦方向機械軸線を中心に回転駆動されるロータの周辺に形成されている処理ステーションにて実施される。次に、殺菌された容器は液状充填物を殺菌或いは無菌詰めする充填機に転送され得る。
【0004】
増加する度合で、瓶(ボトル)が、しかし、他の容器も使用されて、例えば熱可塑性合成樹脂から成る生陶磁器の気泡を通して延伸吹付けにより製造される、特にペットボトルも製造される。この種の合成樹脂から製造された容器、特に延伸吹付けにより製造された瓶或いは容器も、熱作用の下で変形するか、或いは収縮する傾向があり、それによりそのような容器の造形と容積が望まれない形式に変更される。他の損傷も熱作用の際に容器に生じ得るので、そのような容器の殺菌が不確かであり、変形された或いは損傷された容器が生産ラインにおいて不良品として排除されなければならなく、それは少なくとも増加した価格をまねく。
【0005】
この理由から合成樹脂から製造された容器、特に延伸吹付けにより合成樹脂生陶磁器から製造された容器も、しかし他の感熱性容器も通常の処理方法により殺菌されない。これら問題点を解決するために、既に種々の方法が提案されていた(ドイツ特許出願公開第102004030957号明細書[特許文献1]とドイツ特許出願公開第102004030956号明細書[特許文献2])。しかし、この方法は比較的高価である。
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102004030957号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第102004030956号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、変形、収縮或いは他の損傷の危機がそれぞれの容器に生じることなしに、感熱性容器、特に合成樹脂製の容器がエネギー投与の下で少なくとも一つの処理媒体の活性化により処理できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、特許請求項1に一致する方法が形成されている。この方法を実施する装置が特許請求項12の対象である。
【0008】
この発明による方法では、電磁エネギーの少なくとも一つの処理媒体への作用により、即ち電磁交流界或いは電磁放射線の作用により活性化或いはこの活性化のために必要なエネギー投与が行われ、電磁交流界或いは電磁放射線の周波数スペクトルは少なくとも一つの周波数が少なくとも一つの処理媒体の少なくとも一つの構成部材の共振周波数と同じ或いはほぼ同じであるように、選定される。
【0009】
驚くべきことに、例えば過酸化水素のような処理媒体の活性化では、処理媒体がその共振周波数を励起されるときに、処理媒体と処理すべき容器の特に僅かな温度上昇を生じることがわかった。
【0010】
この効果の原因は、共振周波数における処理媒体の分子の励起によって個々の構成部材の間に、例えば処理媒体の分子の原子の間に増加した機械的力作用を生じるので、実質的に互いの個々の原子の結合が原子間に作用する機械的振動力によって解決され、代わりに、温度上昇を伴う熱振動によって、或いは分子及び/又は原子の衝突の際の高い温度における大きなインパルス力によって解決される。
【0011】
同様に、この発明によると、活性化周波数が少なくとも一つの処理媒体の共振周波数の数倍或いは一部に一致させることが提案されていて、この場合には共振周波数の偶数で整数の数倍或いは偶数で整数の一部が重要であるときに特に利点である、というのは、この措置の際にエネギー投与或いは励起が特別に好ましい周波数にばかりではなく、むしろ位相正しく行われるからである。
【0012】
共振周波数に関して、大抵の材料が自由度に応じて共振周波数を有し、この追加的共振周波数が集合状態に依存して、変更され得ることが観察される。
【0013】
この場合には、電磁放射線の周波数が例えばマイクロ波領域或いはレントゲン放射線の領域に位置する。
【0014】
処理媒体として例えば液状及び/又はガス状媒体が使用され、特に複数の構成部材を包含する媒体が、例えば溶液内、特に水溶液内の例えば過酸化水素が使用される。次に、適切な処理媒体が例えば蒸気(水蒸気)及び/ 又はガス或いはガス混合物、例えば空気から成るエアゾールや、溶液、特に処理のために十分な濃度を備える過酸化水素(H2 2 )から成る液状溶液である。
【0015】
この発明による方法によって、活性化を奏するエネギー投与が直接に或いは少なくとも実質的に直接に少なくとも一つの処理媒体で行われ、この処理媒体がそれぞれの容器を少なくとも第一に直接ではなくエネギー投与により加熱されるので、容器の美しく、特に容器の変形、収縮或いは他の損傷を減少させる処理が可能であることが達成される。
【0016】
この発明の再現は従属請求項の対象である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明は次に実施例における図に基づいて詳細に説明される。
【実施例】
【0018】
図に一般に1で示された装置は、空気及び/ 又は水蒸気から成るエアゾールや、瓶2内の過酸化水素(H2 2 )から成る液状溶液の形態の少なくとも一つの処理媒体の収納によって、エネギー投与よる処理媒体の活性化によって、活性化処理媒体の残部及び/ 又は分解製品の除去或いは吸引によって感熱性瓶2を殺菌するのに用いられる。
【0019】
装置1は、合成樹脂、例えばペット(PET)から製造された瓶2が直立に立ち、即ちその瓶軸線により縦方向に配向されて輸送体3と瓶流入を形成する流入星4とを介して供給されて、実質的に縦方向機械軸線を中心に回転駆動できるロータ5から成り、このロータがその周辺に多数の処理ステーション6を形成する。これら処理ステーションは図2に一致してそれぞれに実質的に容器支持体7並びに容器ヘッド8から成り、この容器支持体には瓶2が処理中に瓶口部2.1の領域に設けられたフランジ2.2で保持されている。
【0020】
処理された或いは殺菌された瓶2は装置1の瓶流出或いは容器流出を形成する輸送星9を介して別の用途に、即ち例えば充填機に供給される。
【0021】
各処理ヘッド8はとりわけ、処理管10を有し、この処理管がその下端により瓶口部2.1を通してそれぞれに処理ステーション6に設けられた瓶2に導入でき、処理するために、処理媒体が瓶内部空間に案内される。
【0022】
処理媒体の導入後に或いは導入中でも当該処理ステーション6とそこに設けられた瓶がロータ5の回転運動により図1で概略的に11で示された活性化器の領域に到達し、この活性化器には、処理媒体の活性化が行われ、しかもエネギー投与によって、とりわけ、水或いは水蒸気や殺菌酸素の発生の下で過酸化水素の分解によって行われる。さらに、エネギー投与による活性化器11では、水蒸気の温度維持或いは温度上昇がロータ5の回転運動の瓶2の殺菌の十分な角度範囲にわたり行われる。しかし、活性化するために用いるエネギー投与は、感温性或いは感熱性瓶2がこのステーションでは損傷されず、特に変形されないように、付与される。
【0023】
活性化器11は、活性化に必要なエネギー投与が電磁交流界或いは電磁放射線(マイクロ波放射線)によって行われ、この放射線が処理媒体の少なくとも一つの構成部材のダイポール分子に作用し、それにより処理媒体の加熱を奏して、第一に瓶2或いはこの瓶2の合成樹脂材料の加熱を生じることはない。これにより、処理媒体の有効な活性化とそれにより瓶2の有効な処理と殺菌を達成させることが可能であり、合成樹脂から製造された瓶2の損傷及び/ 又は変形に生じることはない。活性化器11は、とりわけ、例えば電磁放射線を発生させるマグネトロンの形態の発生器12を包含し、個々の処理ステーション6の運動路の出口を備えて、例えばスリットになって発生器12と接続された中空導体の形態で、ロータ5と一緒に移動しなく配置されている。この場合には、複数のこの種の発生器をロータ5の外部にロータ5の回転方向において相互に連続して設けることが可能である。
【0024】
処理媒体の活性化を出来るだけ有効に達成させるためや、装置1の高い出力の際にも、即ち時間単位当たり処理された多数の瓶2にも、必要な品質を備えるこれら瓶の殺菌を達成させるために、使用された電磁交流界の周波数スペクトルは処理媒体の少なくとも一つの構成部材、特に処理媒体(例えば水及び/ 又は過酸化水素)の活性化する構成部材の共振周波数に調整されて、即ち電磁交流界の周波数がこの電磁交流界のこの共振周波数及び/ 又は数倍及び/ 又は一部と同じである。
【0025】
処理媒体の活性化後に、この活性化に発生した構成部材、特に水と水蒸気並びに活性化に発生した分解製品(例えば過酸化水素の分解による自由遊離基)がそれぞれの瓶2の内部から除去されて、例えばそれぞれの処理ヘッド8の処理管10を介して殺菌空気の吹付けによって及び/ 又は例えば処理管10を介して或いは瓶口部2.1に当接する或いはこの瓶口部に隣接した吸引ヘッドを介して吸引によって除去される。
【0026】
それぞれの瓶に収納する際に処理媒体を有する温度は、例えば周囲温度に一致する。基本的には、処理媒体を予め加熱された状態で瓶2に収納する可能性が存在し、この予め加熱温度が無論、明白に臨界的温度の下にあり、臨界的温度が損傷に或いは瓶2の変形に導かれ得た。
【0027】
前記のように、処理媒体並びに活性化の際に形成された分解製品の収納、活性化と除去が処理位相において時間的に相前後して行われ、つまり流入星4と流出星9の間のロータ5の回転運動の互いに接続する角度範囲において行われることから出発されていた。
【0028】
基本的には、個々の処理位相が互いに部分的に重ねられる方法を構成させるか、或いは少なくとも一つの処理媒体の連続的供給の際に同時に連続的にその活性化をエネギー投与により電磁交流界を介して実施させ、その際に連続的に処理媒体、例えば熱い水或いは水蒸気を並びに活性化の際に生じた分解製品を吸引させる可能性が存在する。
【0029】
前記のように、処理媒体が水状過酸化水素溶液であることから出発されていた。
他の処理媒体も、例えば他の添加物を備える或いは添加物なしの殺菌水も予め記載された方法では基本的に使用され得る。
【0030】
さらに、前記のように、活性化のために、即ち水の蒸発のためや過酸化水素の分解のために必要なエネギー投与が電磁交流界によって或いはこの電磁交流界を発生させるマグネトロンの形態の少なくとも一つの発生器12の使用の下での電磁放射線(マイクロ波放射線)によって行われることから出発されていた。処理媒体の活性化のために必要なエネギーを投与する他の方法と装置が例えばレントゲン放射線による活性化のために考慮できる。
【0031】
さらに、電磁交流界を発生させる少なくとも一つの発生器、例えばマグネトロンは、発生器が全処理ステーション6にて有効であるように、ロータ5にそれと一緒に回転するように設けられている。この場合には、複数の発生器を種々の位置におけるロータ5に配置することが可能である。
【0032】
前記のように、少なくとも一つの処理媒体がそれぞれの瓶に収納されることから出発されていた。基本的には、瓶を形成すること及び/ 又は処理ステーション6に供給された瓶が既に少なくとも一つの処理媒体を備えていて、例えばそれぞれの瓶2に分散された処理媒体の形態で備えているので、ロータ5の回転運動中に処理媒体の活性化並びに活性化された処理媒体と発生した分解製品の除去が行われることを予め処理することの可能性が存在する。
【0033】
さらに、瓶2の処理が最終的に唯一のロータ5で行われることから出発されていた。無論、ロータ5には瓶2の輸送方向において引き続いて別のロータ或いは別の輸送要素が設けられるので、処理が複数のロータ或いは輸送要素上に分配されて行われ得ることによって処理の期間や品質を改良させる可能性が存在する。
【0034】
この発明は前記実施例に記載されている。発明を支持する思想が放棄されることなしに、多数の変更が可能であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】特に液状充填物を継続冷間無菌詰めする為に、例えばフルーツジュース、乳製品などを冷間無菌詰めする瓶或いは同様な容器を殺菌する装置を簡単な表示と平面図に示す。
【図2】図1の装置の処理ヘッドを簡単な表示で示す。
【符号の説明】
【0036】
1.....殺菌する装置
2.....瓶
2.1...瓶口部
2.2...フランジ
3.....輸送体
4.....輸送星
5.....ロータ
6.....処理ステーション
7.....瓶支持体或いは容器支持体
8.....処理ヘッド
9.....流出星
10....処理管
11....活性化器
12....電磁交流界を発生させる発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネギー投与によりそれぞれの容器内の処理媒体を活性化させることによって、瓶、筒状容器或いは同様な容器(2)を処理する、特に殺菌する方法において、電磁放射線を処理媒体に作用させることによる活性化が行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
電磁放射線がそのようなマイクロ波領域における放射線であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電磁放射線がレントゲン放射線であることを特徴とする請求項1或いは2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも二つの処理媒体から成る混合物を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
処理媒体が少なくとも一つのガス状及び/又は蒸気状構成部材と液状構成部材とから成る混合物であり、液状構成部材がガス状及び/又は蒸気状構成部材に精密に分配されて設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも一つの処理媒体が過酸化水素(H2 2 ),特に溶媒、例えば水溶液内の過酸化水素を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
処理媒体が蒸気状及び/又はガス状構成部材、例えば空気に精密に分配された水溶液内の過酸化水素を含有することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
処理媒体が水或いは水蒸気であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
電磁放射線の周波数スペクトルは、この放射線の少なくとも一つの周波数が処理媒体少なくとも一つの構成部材の共振周波数と同じ或いはほぼ同じである、又はこの共振周波数の数倍或いは一部であるように、選定されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一つの処理媒体がそれぞれの容器に収納されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
処理媒体が容器壁で分散された或いは貯蔵された媒体であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
容器を処理中に輸送区間に移動する少なくとも一つの輸送要素(5)を備えて、エネギー投与によってそれぞれの容器内の処理媒体を活性化させることにより、瓶、筒状容器或いは同様な容器(2)を処理する、特に殺菌する装置において、それぞれの容器内の処理媒体を活性化させるために、少なくとも一つの発生器(12)がそれぞれの容器(2)に向けられた電磁放射線を発生させるように設けられていることを特徴とする装置。
【請求項13】
容器内に少なくとも一つの処理媒体を収納する手段(8、11)を備えることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも一つの処理媒体を収納する手段が各処理ステーションに設けられた処理ヘッド(8)により形成されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも一つの発生器(12)が電磁放射線を発生させるようにマイクロ波領域において形成されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも一つの発生器(12)がレントゲン放射線を発生させるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも一つの発生器(12)が電磁放射線を発生させるように輸送要素(5)により移動された容器(2)の移動路に場所固定式に設けられていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
少なくとも一つの発生器(12)が電磁放射線を発生させるように輸送要素(5)上でこの輸送要素と一緒に移動されるよう設けられていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
輸送区間が輸送方向において互いに接続する複数の輸送要素によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも一つの輸送要素が縦方向機械軸線を中心に回転駆動されるロータ(5)であることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−538787(P2009−538787A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512465(P2009−512465)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004599
【国際公開番号】WO2007/140883
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(598125028)カーハーエス・アクチエンゲゼルシヤフト (125)
【Fターム(参考)】