説明

処理装置および処理制御方法

【課題】機能的な制約を課すことなく、簡単な操作で、通話中に相手にデジタル情報を送信可能とする。
【解決手段】デジタル情報を重畳した音声信号の送信処理動作のための構成として、音響OFDM処理装置1は、外部から音声を入力するためのマイク15と、外部から情報を入力するためのキーボード16と、入力された情報をデジタル情報(一例としてテキスト情報)に変換するテキスト変換部14と、デジタル情報に対し、音響すかし技術(一例として音響OFDM)に基づくエンコード処理を行い、処理後のデジタル情報を上記入力された音声信号に重畳する音響OFDMエンコーダ12と、上記重畳された音声信号を通信用信号へ変換する音声コーデック部11と、通信用信号を外部へ送信する通信部10と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声と情報を同時に送信又は受信する処理装置および処理制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話を利用して通話をしている最中に、あるWebサイトのURLを通話の相手に伝えるには、声でURLを伝え、相手は、伝えられたURLを紙にメモを取るなどの対応をしなければならない。また、通話の相手にテキストメッセージを送るには、携帯電話でメールを起動し、メールによって当該テキストメッセージを送信するなどの対応をしなければならない。
【非特許文献1】「マルチアクセス・マルチタスク」に関する外部参照可能なホームページ(http://www.nttdocomo.co.jp/service/func_tool/multi/)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように従来の携帯電話では、通話中に相手にURLやテキストメッセージ等のデジタル情報を送信することは、後述の携帯電話の機能上の問題および操作上の問題から一般に困難であった。
【0004】
機能上の問題は、旧来の携帯電話がシングルタスクしか許容しなかったことである。つまり、通話中はデジタル通信を実行できず、メールやブラウザといった他のアプリケーションの起動および操作を実行できないといった問題である。この問題については、既に「マルチアクセス」、「マルチタスク」(非特許文献1参照)に関するサービスにより、通話中のデジタル通信および一部のアプリケーションの起動を可能にしている。
【0005】
しかしながら、相手の電話番号しか知らない場合には、デジタル通信を行うにあたり、一部の例外を除き、デジタル通信のための識別子(電子メールアドレス等)を相手に通知する必要がある。ここでの一部の例外とは、ショートメッセージサービス(SMS)であり、当該サービスでは電話番号をIDとして用いたデジタル通信が可能であるが、日本国内においては、同じ通信会社の携帯電話間でしか通信が出来ないことおよび送受信可能な情報量が非常に小さい(例えば140オクテット)という問題がある。
【0006】
一方、操作上の問題は、携帯電話がマルチタスクに対応している場合であっても通話中に他のアプリケーションの操作が煩雑となる問題である。通話中は多くの場合、携帯電話に具備されたスピーカに片方の耳を当てて音声を聞き取るため、スピーカに片方の耳を当てた状態で複雑なキー操作を同時に行うことは、実際上困難である。
【0007】
上記2点の問題により、例えば、メールアドレスを知らない通話の相手に対し、通話中にテキストメッセージを送りたい場合は、相手のメールアドレスを音声で聞いてメモを取った上で、通話を切ってメールを立ち上げ、相手のメールアドレスおよびテキストメッセージを入力して送信するといった一連の煩雑な処理を行う必要があった。
【0008】
本発明は、上記の問題に対処すべく、機能的な制約を課すことなく、簡単な操作で、通話中に相手にデジタル情報を送信可能とする処理装置および処理制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る処理装置は、外部から音声を入力するための音声入力部と、外部から情報を入力するための入力インターフェースを含み、上記入力インターフェースから入力された情報をデジタル情報に変換するデジタル情報入力部と、上記デジタル情報入力部により変換されたデジタル情報に対し、音響すかし技術に基づくエンコード処理を行い、上記エンコード処理後のデジタル情報を、上記音声入力部から入力された音声の音声信号に重畳するエンコーダと、上記エンコーダにより上記デジタル情報が重畳された音声信号を、通信用信号へ変換する音声コーデック部と、上記音声コーデック部により変換された通信用信号を外部へ送信する通信部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る処理制御方法は、処理装置により実行される、音声と情報を同時に送信するための処理制御方法であって、外部から音声を入力するとともに外部から情報を入力し、入力された情報をデジタル情報に変換する入力・変換ステップと、上記変換されたデジタル情報に対し、音響すかし技術に基づくエンコード処理を行い、上記エンコード処理後のデジタル情報を上記入力された音声の音声信号に重畳する重畳ステップと、上記デジタル情報が重畳された音声信号を通信用信号へ変換するコーデック変換ステップと、上記変換された通信用信号を外部へ送信する送信ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
以上のような処理装置、処理制御方法によれば、入力情報から変換したデジタル情報を音声信号に重畳して、外部へ送信可能となるので、機能的な制約を課すことなく、簡単な操作で、通話中に相手にデジタル情報を送信することができる。
【0012】
一方、通話の相手側における音声出力およびデジタル情報出力に係る構成は、以下のように記述することができる。
【0013】
本発明に係る処理装置は、デジタル情報が重畳された音声信号を変換することで得られた通信用信号を、外部から受信する通信部と、上記通信部により受信された通信用信号を逆変換することで、上記デジタル情報が重畳された音声信号を得る音声コーデック部と、上記音声コーデック部により得られた、上記デジタル情報が重畳された音声信号に対し、音響すかし技術に基づくデコード処理を行うことで、上記音声信号から上記デジタル情報を分離するデコーダと、上記デコーダにより分離されたデジタル情報を外部へ出力するデジタル情報出力部と、上記音声コーデック部により得られた上記音声信号に基づき音声出力を行う音声出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る処理制御方法は、処理装置により実行される、デジタル情報が重畳された音声信号から、上記デジタル情報および音声信号を出力するための処理制御方法であって、上記デジタル情報が重畳された音声信号を変換することで得られた通信用信号を、外部から受信する受信ステップと、上記受信された通信用信号を逆変換することで、上記デジタル情報が重畳された音声信号を得る逆変換ステップと、上記音声信号に基づき音声出力を行うとともに、上記デジタル情報が重畳された音声信号に対し音響すかし技術に基づくデコード処理を行うことで上記音声信号から上記デジタル情報を分離する音声出力・分離ステップと、上記分離されたデジタル情報を外部へ出力する情報出力ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
以上のような処理装置、処理制御方法によれば、デジタル情報が重畳された音声信号から上記デジタル情報を分離し、分離されたデジタル情報および音声信号を出力することができる。即ち、受信側でデジタル情報および音声信号を適正に再生することができる。
【0016】
なお、上記の「音響すかし技術」としては、音響OFDMを用いることが好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、機能的な制約を課すことなく、簡単な操作で、通話中に相手にデジタル情報を送信することができる。即ち、音声通話回線を利用してデジタル情報を送ることが可能となることから、通話の相手との間で、音声だけでなくデジタル情報(例えばテキストメッセージなど)を送受信できる。これにより、テキストメッセージ中のURLやメールアドレスによって、当該URLのWebページを参照すること、および当該メールアドレスあてに電子メールを送信することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る処理装置および処理制御方法の一実施形態を説明する。以下では、まず、本発明に係る処理装置としての音響OFDM処理装置の構成および実行される処理動作について説明し、その後、本発明の応用例として、通話中に役所の申請資料に入力する事例について説明する。
【0019】
[音響OFDM処理装置の構成]
図1には、音響OFDM処理装置1の構成図を示す。音響OFDM処理装置1は、デジタル情報を重畳した音声の送信処理に係る構成と、通話の相手側における受信処理(音声出力およびデジタル情報出力)に係る構成の両方を備え、デジタル情報および音声の送信側として動作することも、デジタル情報および音声の受信側として動作することもできる。
【0020】
図1に示すように、音響OFDM処理装置1は、通信部10(本発明に係る通信部に相当)、音声コーデック部11(本発明に係る音声コーデック部に相当)、音響OFDMエンコーダ12(本発明に係るエンコーダに相当)、音響OFDMデコーダ13(本発明に係るデコーダに相当)、テキスト変換部14、マイク15(本発明に係る音声入力部に相当)、キーボード16、ディスプレイ17、およびスピーカ18(本発明に係る音声出力部に相当)を含んで構成される。なお、テキスト変換部14とキーボード16は、一体となって、本発明に係るデジタル情報入力部の動作を実行する。また、テキスト変換部14とディスプレイ17は、一体となって、本発明に係るデジタル情報出力部の動作を実行する。
【0021】
このうち、通信部10は、音声コーデック部11により変換された通信用信号を無線信号へ変調して外部へ送信する機能と、デジタル情報(本実施形態では一例として、テキスト情報)と音声信号とが重畳された無線信号を外部から受信し復調する機能とを有する。
【0022】
音声コーデック部11は、送信処理時に、テキスト情報が重畳された音声信号を電話回線上で適切な形に変換する(音声コーデックにより変換する)機能と、受信処理時に、音声コーデックにより変換された音声信号を、スピーカ18から再生可能な音声信号へ逆変換する機能を有する。
【0023】
音響OFDMエンコーダ12は、キーボード16から入力されテキスト変換部14により変換されたテキスト情報に対し、音響すかし技術(本実施形態では一例として音響OFDM)に基づくエンコード処理を行い、エンコード処理後のテキスト情報を、マイク15から入力された音声の音声信号に重畳する機能を有する。
【0024】
音響OFDMデコーダ13は、テキスト情報が重畳された音声信号に対し、音響すかし技術(本実施形態では一例として音響OFDM)に基づくデコード処理を行うことで、音声信号からテキスト情報を分離する機能を有する。
【0025】
テキスト変換部14は、入力インターフェースとしてのキーボード16から入力された情報をテキスト情報に変換して音響OFDMエンコーダ12へ出力する機能と、音響OFDMデコーダ13から出力されたテキスト情報をディスプレイ17へ転送する機能とを有する。
【0026】
マイク15は、外部から音声を入力するための構成であり、入力された音声を音声信号へ変換し、音響OFDMエンコーダ12へ出力する機能を有する。
【0027】
キーボード16は、外部から情報を入力するための入力インターフェースである。本実施形態では、キーボード16から入力された情報は、上記のテキスト変換部14によりテキスト情報に変換される。
【0028】
ディスプレイ17は、テキスト変換部14から転送されたテキスト情報を表示する機能を有する。
【0029】
スピーカ18は、音声コーデック部11から出力された音声信号を再生する機能を有する。
【0030】
[デジタル情報を重畳した音声の送信処理について]
次に、音響OFDM処理装置1において実行される送信処理について説明する。図2には、音響OFDM処理装置1における送信処理時の動作ブロック図を示し、図3には、送信処理フロー図を示す。なお、以下で説明する送信処理の実行時には、音響OFDM処理装置1において、マイク15には音声が継続的に入力されているものとする。
【0031】
まず、送信者により情報がキーボード16から入力されると、該情報はキーボード16からテキスト変換部14へ転送される(図3のS1)。
【0032】
テキスト変換部14は、キーボード16から入力された情報をテキスト情報に変換して音響OFDMエンコーダ12へ出力する(S2)。
【0033】
一方、図3のS1、S2と並行して、マイク15には音声が継続的に入力されている(S3)。なお、図3のS1〜S3は、本発明に係る入力・変換ステップに相当する。
【0034】
音響OFDMエンコーダ12は、テキスト変換部14からのテキスト情報に対し、音響OFDMに基づくエンコード処理を行い(S4)、エンコード処理後のテキスト情報を、マイク15からの音声信号に重畳する(S5)。なお、図3のS4〜S5は、本発明に係る重畳ステップに相当する。テキスト情報が重畳された音声信号は、音声コーデック部11へ転送される。ところで、音声OFDMエンコーダ12は、次のテキスト情報が入力されるまで同一のテキスト情報を音声信号に対して重畳する。
【0035】
音声コーデック部11は、テキスト情報が重畳された音声信号に対し、音声コーデックを用いて通信用信号(即ち、電話回線を通過できる信号)へ変換し、通信部10へ転送する(S6)。このS6は、本発明に係るコーデック変換ステップに相当する。
【0036】
そして、通信部10は、音声コーデック部11からの、テキスト情報が重畳された音声信号を無線信号へ変調して外部へ送信する(S7)。このS7は、本発明に係る送信ステップに相当する。
【0037】
[通話の相手側における受信処理について]
次に、音響OFDM処理装置1において実行される受信処理について説明する。図4には、音響OFDM処理装置1における受信処理時の動作ブロック図を示し、図5には、受信処理フロー図を示す。
【0038】
まず、通信部10は、外部から無線信号(ここでは、テキスト情報(送信側で音声コーデック変換されたテキスト情報)が重畳された音声信号を変調した無線信号)を受信し、該無線信号を、上記テキスト情報が重畳された音声信号へ復調して、音声コーデック部11へ転送する(図5のS11)。このS11は、本発明に係る受信ステップに相当する。
【0039】
次に、音声コーデック部11は、上記テキスト情報(送信側で音声コーデック変換されたテキスト情報)が重畳された音声信号を、スピーカ18から再生可能な音声信号(即ち、音声コーデック復号されたテキスト情報が重畳された音声信号)へ逆変換する(S12)。逆変換後の音声信号は、スピーカ18と音声OFDMデコーダ13へ転送される。なお、S12は、本発明に係る逆変換ステップに相当する。
【0040】
スピーカ18では、転送されてきた音声信号(即ち、音声コーデック復号されたテキスト情報が重畳された音声信号)が、音声として再生出力される(S13)。
【0041】
一方、上記のS13と並行して、音響OFDMデコーダ13は、テキスト情報が重畳された音声信号に対し音響OFDMのデコード処理を行うことで、上記音声信号からテキスト情報を分離し、該テキスト情報をテキスト変換部14へ転送する(S14)。上記S13、S14は、本発明に係る音声出力・分離ステップに相当する。
【0042】
テキスト変換部14は、入力されてきたテキスト情報と、一つ前にデコードしたテキスト情報とを比較し、同一の場合は受信処理を終了し、異なる場合には、上記入力されてきたテキスト情報をディスプレイ17へ転送する(S15)。そして、ディスプレイ17は、テキスト情報を受信すると、適切な形式にて表示する(S16)。画面表示が完了すると、受信処理は終了する。なお、上記S15、S16は、本発明に係る情報出力ステップに相当する。ただし、S15の比較処理を実行することは必須ではなく、テキスト変換部14は、比較処理を行うことなく、入力されてきたテキスト情報をディスプレイ17へ転送してもよい。
【0043】
以上説明した本実施形態によれば、機能的な制約を課すことなく、簡単な操作で、通話中に相手にデジタル情報を送信することができる。即ち、音声通話回線を利用してデジタル情報を送ることが可能となることから、通話の相手との間で、音声だけでなくデジタル情報(例えばテキストメッセージなど)を送受信できる。これにより、テキストメッセージ中のURLやメールアドレスによって、当該URLのWebページを参照すること、および当該メールアドレスあてに電子メールを送信することが可能となる。
【0044】
[本発明の応用例(通話中に役所の申請資料に入力する事例)]
以下、本発明の応用例として、通話中に役所の申請資料に入力する事例について説明する。
【0045】
図6には応用例に係る構成図を示し、図7には応用例に係る処理シーケンスを示す。図6に示すように、役所に設けられた音響OFDM処理装置1Aと、ユーザの音響OFDM処理装置1Bとの間で処理が実行される。このうち、役所のオペレータが使用する音響OFDM処理装置1Aは、パーソナルコンピュータを想定しており、この音響OFDM処理装置1Aには、公衆通信網3に接続するための電話通信機能を持つ電話装置2が接続されている。なお、音響OFDM処理装置1Aが電話通信機能を有してもよく、その場合には電話装置2は不要である。一方、ユーザの音響OFDM処理装置1Bは、携帯電話を想定しており、公衆通信網3に接続するための電話通信機能を備えている。
【0046】
次に、図7を用いて、応用例の処理シーケンスを説明する。最初に、役所の職員であるオペレータは、ユーザからの音声電話を受け付け、申請処理を開始する(図7のS21、S22)。オペレータは、音響OFDM処理装置1Aのキーボード16(図1参照)を操作し、デジタル通信に必要な自身のオペレータ識別子(電子メールアドレス等、URL等)を入力すると共に、オペレータ識別子を送信した旨をユーザに対し音声により伝える(S23、S24)。
【0047】
入力されたオペレータ識別子は、音響OFDM処理装置1Aのテキスト変換部14によりテキスト情報(以下「オペレータ識別子情報」という)に変換され、音響OFDMエンコーダ12に転送される。一方、オペレータの音声はマイク15を通じて音響OFDM処理装置1Aに入力され、その音声信号は、音響OFDMエンコーダ12へ転送される。
【0048】
音響OFDM処理装置1Aの音響OFDMエンコーダ12は、テキスト変換部14より入力されたオペレータ識別子情報に対し、音響OFDMに基づくエンコード処理を行い、エンコード処理後のオペレータ識別子情報を、マイク15から入力された音声の音声信号に重畳する。そして、重畳された音声信号は、音響OFDM処理装置1Aから電話装置2へ出力され、電話装置2から公衆通信網3経由で、ユーザの音響OFDM処理装置1Bへ送信される(S25)。
【0049】
音響OFDM処理装置1Bでは、重畳された音声信号を受信すると、音声コーデック復号処理をした後、オペレータ識別子情報の重畳された音声信号を取り出し、該音声信号(オペレータの説明に関する音声信号)をスピーカ18へ転送する。これにより、ユーザは、音声によるオペレータの説明を聞くことができる(S26)。また、同時に、音響OFDM処理装置1Bは、音響OFDMデコーダ13によりオペレータ識別子を再現し、再現されたオペレータ識別子の種別に応じて、ブラウザまたはメールアプリケーションが自動で起動する(S27)。
【0050】
このとき、ブラウザが起動した場合には、オペレータ識別子を含むコンテンツが表示され、当該コンテンツ中のオペレータ識別子の表示を選択することにより、メールアプリケーションが起動する仕組みとすることも可能である。
【0051】
また、メールアプリケーションが起動した場合には、自動的にユーザ識別子(一例として電子メールアドレス)がアプリケーションに入力される(S28)。なお、ユーザ自身が電子メールアドレスを入力してもよい。
【0052】
音響OFDM処理装置1Bは、アプリケーションを通じてユーザ識別子情報を受信するとともに、マイク15を通じてユーザの音声を受信する(S29)。受信されたユーザ識別子情報は、詳細な処理手順は省略するが、音響OFDMエンコーダ12により、ユーザの音声信号に重畳される。そして、ユーザ識別子情報が重畳したユーザの音声信号は、公衆通信網3および電話装置2を介して、音響OFDM処理装置1Aへ送信される(S30)。
【0053】
音響OFDM処理装置1Aは、ユーザ識別子情報が重畳したユーザの音声信号を受信した後、前述した図5の手順で、音声信号からユーザ識別子情報を分離し、ユーザ識別子をディスプレイ17へ表示するとともにユーザの音声をスピーカ18から出力する。これにより、オペレータは、ユーザの音声を聞き、ユーザ識別子を認識することができる(S31、S32)。
【0054】
そして、オペレータは、ユーザ識別子で示されるアドレス宛に、申請用の情報(例えば申請用のURL)を送信するよう音響OFDM処理装置1Aを操作するとともに、音響OFDM処理装置1Aのマイク15から指示音声を入力する(S33)。そして、音響OFDM処理装置1Aは、申請用の情報をオペレータの指示音声に重畳させて、ユーザの音響OFDM処理装置1Bへ送信する(S34)。
【0055】
音響OFDM処理装置1Bは、申請用の情報が重畳したオペレータの音声信号を受信した後、前述した図5の手順で、音声信号から申請用の情報を分離し、申請用の情報をディスプレイ17へ表示するとともにオペレータの指示音声をスピーカ18から出力する。これにより、ユーザは、オペレータの指示音声を聞き、申請用の情報(例えば申請用のURL)を認識することができる(S35)。
【0056】
ここで、ユーザは、必要な申請事項を入力する(S36)。例えば、ユーザは、ディスプレイ17に表示された申請用のURLをクリックすることで申請用のWEBサイトへアクセスし、当該WEBサイトから、キーボード16を用いて必要な申請事項を入力することができる。このとき同時に、ユーザは、マイク15を通じて、応答の音声を入力することができる(S37)。
【0057】
音響OFDM処理装置1Bは、前述した図3の手順で、入力された上記の申請事項情報をユーザの音声信号に重畳させて、音響OFDM処理装置1Aへ送信する(S38)。
【0058】
音響OFDM処理装置1Aは、申請事項情報が重畳したユーザの音声信号を受信した後、前述した図5の手順で、音声信号から申請事項情報を分離し、申請事項をディスプレイ17へ表示するとともにユーザの音声をスピーカ18から出力する。これにより、オペレータは、ユーザの音声を聞き、申請事項を確認することができる(S39、S40)。そして、オペレータは、申請事項を確認し、申請内容に不備がなければ、申請事項に問題なく申請が正常に完了した旨を音声でユーザに伝え、所定の終了処理を行って、図7の申請処理を終了させる。
【0059】
なお、申請事項が複雑な場合、または、ユーザがS36の申請事項の入力方法を理解できない場合には、S36では、ユーザが申請事項を入力する代わりに、オペレータが、ユーザから申請事項を音声で聞いて入力してもよい。
【0060】
また、ユーザによる申請事項に不備がある場合は、S33以降と同様の手順を行うことで、申請事項の追加・修正を行うことができる。
【0061】
以上説明した応用例では、以下のようなさまざまな効果を奏する。
【0062】
電話装置に接続されたPCと、携帯電話との間の新たなコミュニケーション系アプリケーションとして利用できる。コールセンタービジネスに応用すれば、コールセンターに電話している最中に、オペレータがPCから携帯電話へテキストメッセージを送ることができる。また、ブラウザを利用してオペレータは、電話をかけてきたユーザに対しWebページを見せることにより、音声だけでなく視覚情報を利用して説明を行うことができる。例えば、ユーザが番号案内オペレータへ電話をかけて所望の相手の電話番号情報を取得する際に、ユーザは、口頭で教えてもらうと共に、番号案内オペレータから送信された相手の電話番号情報を携帯電話の画面上に表示させることができ、このため、ユーザにとってはメモを取る手間が省けるという利点がある。
【0063】
また、役所の申請資料などネットワークからユーザに入力してもらう必要がある手続きを携帯電話で行う場合、ユーザの代理人がユーザに代わって申請情報を入力し、その後、入力された申請情報をユーザが携帯電話の画面にて確認し最終承認のための簡単な操作(例えば確認画面でのOKボタンのクリックなど)を携帯電話から行う、といった処理態様を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】発明の実施形態に係る音響OFDM処理装置の構成図である。
【図2】音響OFDM処理装置における送信処理時の動作ブロック図である。
【図3】送信処理のフロー図である。
【図4】音響OFDM処理装置における受信処理時の動作ブロック図である。
【図5】受信処理のフロー図である。
【図6】発明の実施形態の応用例に係る構成図である。
【図7】発明の実施形態の応用例に係る処理シーケンス図である。
【符号の説明】
【0065】
1、1A、1B…音響OFDM処理装置、2…電話装置、3…公衆通信網、10…通信部、11…音声コーデック部、12…音響OFDMエンコーダ、13…音響OFDMデコーダ、14…テキスト変換部、15…マイク、16…キーボード、17…ディスプレイ、18…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から音声を入力するための音声入力部と、
外部から情報を入力するための入力インターフェースを含み、前記入力インターフェースから入力された情報をデジタル情報に変換するデジタル情報入力部と、
前記デジタル情報入力部により変換されたデジタル情報に対し、音響すかし技術に基づくエンコード処理を行い、前記エンコード処理後のデジタル情報を、前記音声入力部から入力された音声の音声信号に重畳するエンコーダと、
前記エンコーダにより前記デジタル情報が重畳された音声信号を、通信用信号へ変換する音声コーデック部と、
前記音声コーデック部により変換された通信用信号を外部へ送信する通信部と、
を備えた処理装置。
【請求項2】
デジタル情報が重畳された音声信号を変換することで得られた通信用信号を、外部から受信する通信部と、
前記通信部により受信された通信用信号を逆変換することで、前記デジタル情報が重畳された音声信号を得る音声コーデック部と、
前記音声コーデック部により得られた、前記デジタル情報が重畳された音声信号に対し、音響すかし技術に基づくデコード処理を行うことで、前記音声信号から前記デジタル情報を分離するデコーダと、
前記デコーダにより分離されたデジタル情報を外部へ出力するデジタル情報出力部と、
前記音声コーデック部により得られた前記音声信号に基づき音声出力を行う音声出力部と、
を備えた処理装置。
【請求項3】
前記音響すかし技術として、音響OFDMを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
処理装置により実行される、音声と情報を同時に送信するための処理制御方法であって、
外部から音声を入力するとともに外部から情報を入力し、入力された情報をデジタル情報に変換する入力・変換ステップと、
前記変換されたデジタル情報に対し、音響すかし技術に基づくエンコード処理を行い、前記エンコード処理後のデジタル情報を前記入力された音声の音声信号に重畳する重畳ステップと、
前記デジタル情報が重畳された音声信号を通信用信号へ変換するコーデック変換ステップと、
前記変換された通信用信号を外部へ送信する送信ステップと、
を備えた処理制御方法。
【請求項5】
処理装置により実行される、デジタル情報が重畳された音声信号から前記デジタル情報および前記音声信号を出力するための処理制御方法であって、
前記デジタル情報が重畳された音声信号を変換することで得られた通信用信号を、外部から受信する受信ステップと、
前記受信された通信用信号を逆変換することで、前記デジタル情報が重畳された音声信号を得る逆変換ステップと、
前記音声信号に基づき音声出力を行うとともに、前記デジタル情報が重畳された音声信号に対し音響すかし技術に基づくデコード処理を行うことで前記音声信号から前記デジタル情報を分離する音声出力・分離ステップと、
前記分離されたデジタル情報を外部へ出力する情報出力ステップと、
を備えた処理制御方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−296155(P2009−296155A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145957(P2008−145957)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(507234427)公立大学法人岩手県立大学 (22)
【Fターム(参考)】