説明

凹凸パターン形成シートおよびその製造方法、凹凸パターン形成シート複製用工程シート原版、光学素子

【課題】明るさにムラが生じにくい光学素子が得られる凹凸パターン形成シートを提供する。
【解決手段】本発明の凹凸パターン形成シートは、一方向Yに沿って凹凸が繰り返すように凸部が繰り返し形成された凹凸パターンを少なくとも一方の面に有し、凹凸パターンは、方向Yに沿って切断した断面において、以下の未収縮領域率αが50%以下である。測定長さA:最頻ピッチP×100、高凸部11c:測定長さAの範囲内に存在する凸部11aのうち、高さが高い方から1〜50番目の凸部、平均収縮高さB:高凸部11cである凸部の平均高さ、収縮領域11d:測定長さAの範囲内に存在する凸部11aのうち、高さが平均収縮高さBの10%以上である凸部が存在する領域、収縮幅C:各収縮領域11dの幅の合計、未収縮領域率α(%):α=(A−C)/A×100(%)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方の面に凹凸パターンを有する凹凸パターン形成シートおよびその製造方法に関する。また、凹凸パターン形成シートを複製する際に用いる工程シート原版に関する。さらには、光学素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型ディスプレイ等に使用される光学素子(例えば、反射防止体、ワイヤーグリッド偏光子、光拡散体、光位相差体等)等には、少なくとも一方の面に凹凸パターンが形成された凹凸パターン形成シートが広く使用されている。
凹凸パターン形成シートの製造方法としては、加熱収縮性樹脂フィルムの少なくとも片面に硬質層を形成した後、加熱収縮性樹脂フィルムを加熱収縮させる方法が提案されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−302591号公報
【特許文献2】特開2008−201029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載の凹凸パターン形成シートを光学素子として用いると、明るさにムラを生じることがあった。
そこで、本発明は、明るさにムラが生じにくい光学素子が得られる凹凸パターン形成シートおよび複製用工程シートと、それらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、特許文献1,2に記載の凹凸パターン形成シートでは、未収縮領域が存在し、その未収縮領域が周期性を持ってしまうことが明るさのムラの原因になることを見出し、検討した結果、凹凸パターン形成シートおよびその製造方法、凹凸パターン形成シート複製用工程シート原版、光学素子を発明した。
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]一方向Yに沿って凹凸が繰り返すように凸部が繰り返し形成された凹凸パターンを少なくとも一方の面に有する凹凸パターン形成シートであって、
前記凹凸パターンは、方向Yに沿って切断した断面において、下記で定義される未収縮領域率αが50%以下であることを特徴とする凹凸パターン形成シート。
凹凸の最頻ピッチP:1/{√(XFmax+YFmax)}の式から求められた値である。ここで、XFmax,YFmaxは、凹凸パターンのグレースケール画像を2次元フーリエ変換して得たフーリエ変換像の頻度(Z)をスムージング処理して得たグラフにおいて、フーリエ変換像の中心部以外で最大頻度を示す位置(XFmax,YFmax)である。
測定長さA:最頻ピッチP×100
高凸部:測定長さAの範囲内に存在する凸部のうち、高さが高い方から1〜50番目の凸部
平均収縮高さB:高凸部である凸部の平均高さ
収縮領域:測定長さAの範囲内に存在する凸部のうち、高さが平均収縮高さBの10%以上である凸部が存在する領域
収縮幅C:各収縮領域の幅の合計
未収縮領域率α(%):α=(A−C)/A×100(%)
[2]凹凸パターンの高凸部の平均収縮高さBが、最頻ピッチPの40%以下である[1]に記載の凹凸パターン形成シート。
[3]最頻ピッチPが1μmを超え20μm以下である[1]または[2]に記載の凹凸パターン形成シート。
[4]加熱収縮性樹脂フィルムの少なくとも片面に表面が平滑な硬質層を少なくとも1層設けて積層フィルムを得る積層フィルム作製工程と、前記積層フィルムを加熱して前記加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、前記硬質層を折り畳むように変形させて、凹凸パターンを形成する加熱収縮工程と、凹凸パターンを形成した積層フィルムを、加熱収縮工程での収縮方向と反対方向に延伸する延伸工程とを有することを特徴とする凹凸パターン形成シートの製造方法。
[5]加熱収縮性樹脂フィルムの少なくとも片面に表面が平滑な硬質層を少なくとも1層設けて積層フィルムを得る積層フィルム作製工程と、前記積層フィルムを温度Tで加熱してアニール処理するアニール工程と、アニール処理した積層フィルムを温度T(ただし、T>T)で加熱して前記加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、前記硬質層を折り畳むように変形させて、凹凸パターンを形成する加熱収縮工程とを有することを特徴とする凹凸パターン形成シートの製造方法。
[6]前記硬質層は、ガラス転移温度Tgが、前記加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度Tgよりも10℃以上高い樹脂からなる[4]または[5]に記載の凹凸パターン形成シートの製造方法。
[7]前記硬質層は、金属又は金属化合物からなる[4]または[5]に記載の凹凸パターン形成シートの製造方法。
[8][1]に記載の凹凸パターン形成シートを備え、該凹凸パターン形成シートと同等の最頻ピッチおよび平均収縮高さの凹凸パターンが表面に形成された複製シートを製造するための型として用いられる複製用工程シート原版。
[9][1]に記載の凹凸パターン形成シートを備える光学素子。
【発明の効果】
【0007】
本発明の凹凸パターン形成シートおよび複製用工程シートによれば、明るさにムラが生じにくい光学素子が得られる。
本発明の凹凸パターン形成シートの製造方法によれば、上記凹凸パターン形成シートを容易に製造できる。
本発明の光学素子は、明るさにムラが生じにくいものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の凹凸パターン形成シートの一実施形態を示す拡大斜視図である。
【図2】図1の凹凸パターン形成シートを方向Yに切断した際の断面を拡大した図である。
【図3】図1の凹凸パターン形成シートを方向Yに切断した際の断面図であって、収縮領域について説明する図である。
【図4】凹凸パターンの一例におけるピッチの分布を示すグラフである。
【図5】未収縮領域率が50%を超える凹凸パターン形成シートを方向Yに切断した際の断面図である。
【図6】面発光ユニットの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<凹凸パターン形成シート>
本発明の凹凸パターン形成シートの一実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の凹凸パターン形成シートの斜視図を示す。本実施形態の凹凸パターン形成シート10は、一方の面に凹凸パターン11を有する。ここで、凹凸パターン11は、一方向Yに沿って凹凸(凸部11a、凹部11b)が繰り返すように凸部11aが繰り返し形成された波形状のパターンである。本明細書において、凸部11aとは、凹凸のうち、凹部11bの底から、その隣の凹部11bの底までの間に存在する凸状の部分のことである(図2参照)。
また、本実施形態における凹凸パターン11は凸部11aの先端が丸みを帯びており、さらに、凹凸パターン11の稜線は蛇行している。
また、凹凸パターン形成シート10は、凹凸パターン11が、方向Yに沿って切断した断面(図3参照)において、以下に定義する未収縮領域率αが50%以下である。好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。凹凸パターン11の未収縮領域率αの50%を超えると、明るさにムラがない光学素子を得ることが困難になる。
また、容易に凹凸パターン11を形成できる点では、未収縮領域率αは5%以上であることが好ましい。
【0010】
未収縮領域率αは、以下に説明する最頻ピッチP、測定長さA、平均収縮高さB、収縮幅Cより求められる。
【0011】
測定長さAは、凹凸パターン11の凹凸の最頻ピッチPの100倍の長さである。
最頻ピッチPは、1/{√(XFmax+YFmax)}の式から求められた値である。
具体的に、最頻ピッチPは以下の方法により求められる。
まず、凹凸パターン11の上面および断面の顕微鏡による観察を行う。凹凸パターン11の最頻ピッチPが1μm以上になると予測される場合には光学顕微鏡を使用し、最頻ピッチPが1μm以下になると予測される場合には原子間力顕微鏡を使用する。
次いで、顕微鏡観察により得られた凹凸構造の画像をグレースケール画像に変換した後、2次元フーリエ変換を行う。このフーリエ変換像の頻度(Z)をスムージング処理し、得られたグラフから、フーリエ変換像の中心部以外で最大頻度を示す位置(XFmax,YFmax)を求める。そして、最頻ピッチP=1/{√(XFmax+YFmax)}の式から最頻ピッチPを求める。
なお、最頻ピッチPは、後述の高凸部の平均ピッチとほぼ等しい。高凸部の平均ピッチは、測定長さAの範囲内に存在する凸部のうち、高さが高い方から1〜50番目の凸部の平均ピッチである。
【0012】
最頻ピッチPは1μmを超え20μm以下であることが好ましい。最頻ピッチPが1μmを超え20μm以下であれば、凹凸パターン形成シート10またはその凹凸パターン11を転写させて得た複製シートを光拡散体として好適に用いることができる。
最頻ピッチPを上記所定の範囲にするためには、凹凸パターン形成シート10を製造する際に後述の硬質層の厚みを適宜選択すればよい。
【0013】
平均収縮高さBは、高凸部11cである凸部の平均高さである。
平均収縮高さBは次のようにして求める。すなわち、凹凸パターン11の上面を顕微鏡により観察し、その観察から方向Yに沿って切断した断面図(図3参照)を得る。1つの凸部11aの高さは、両隣の2つの凹部11b,11bの底から凸部11aのピークまでの方向Zの距離の和の1/2である。すなわち、1つの凸部11aの高さbは、図2に示すように、凸部11aに対して一方側の凹部11bの底から計測した凸部11aの高さをL、他方側の凹部11bの底から計測した高さをRとした際に、b=(L+R)/2となる。このようにして各凸部11aの高さbを求める。さらに、測定長さAの範囲内に存在する凸部11a,11a・・・のうち、高さが高いほうから1〜50番目の凸部を高凸部とし、それらの高さを平均して平均収縮高さBを求める。
【0014】
また、高凸部11cの平均収縮高さBは、最頻ピッチPの10%以上(すなわち、アスペクト比0.1以上)であることが好ましい。高凸部11cの平均収縮高さBが最頻ピッチPの10%以上であれば、凹凸パターン形成シート10またはその凹凸パターン11を転写させて得た複製シートを光学素子として用いた場合に、目的の光学性能がより向上する。
また、平均収縮高さBは、凹凸パターン11を容易に形成できる点から、最頻ピッチPの500%以下であることが好ましく、100%以下であることがより好ましい。
【0015】
収縮幅Cは、各収縮領域11dの幅(C,・・・,C)の合計である。図3に示すように、収縮領域11dは、測定長さAの範囲内に存在する凸部11aのうち、高さが平均収縮高さBの10%以上である凸部が存在する領域である。また、本明細書では、収縮領域11d以外の領域(測定長さAの範囲内に存在する凸部11aのうち、高さが平均収縮高さBの10%未満である凸部が存在する領域。)のことを、未収縮領域11eという。
各々の収縮領域11dの幅(C,・・・,C)は、測定長さAの0.5%以上であることが好ましく、0.6%以上であることがより好ましく、0.7%以上であることがさらに好ましい。収縮領域11dの幅が前記下限値以上であれば、明るさのムラをより抑制できる。
【0016】
未収縮領域率α(%)は、[(測定長さA−収縮幅C)/測定長さA]×100(%)の式から求められる。
【0017】
収縮領域11dに存在する高凸部11cの平均収縮高さBは、最頻ピッチPの40%以下(すなわち、アスペクト比0.4以下)であることが好ましく、35%以下(すなわち、アスペクト比0.35以下)であることがより好ましく、30%以下(すなわち、アスペクト比0.3以下)であることが特に好ましい。平均収縮高さBが最頻ピッチPの40%以下であれば、凹凸パターン形成シート10またはその凹凸パターン11を転写させて得た複製シートを光学素子として用いた場合に高い光学性能を得ることができる。例えば、光拡散体に用いた場合には、光拡散性を高くしつつも充分な輝度を得ることができる。
また、平均収縮高さBは、光拡散体として用いた場合に充分な光拡散性が得られる点から、最頻ピッチPの5%以上(すなわち、アスペクト比0.05以上)であることが好ましく、10%以上(すなわち、アスペクト比0.1以上)であることがより好ましい。
【0018】
本実施形態における凹凸パターン11は稜線が蛇行している。本明細書では、凹凸パターン11の稜線の蛇行の程度を配向度という。配向度が大きいほど、凹凸のピッチが蛇行している。
また、凹凸パターン11においては、配向度が0.15〜0.5であることが好ましい。配向度が0.15〜0.5であれば、凹凸パターン形成シート10またはその凹凸パターン11を転写させて得た複製シートを光学素子として好適に用いることができる。
配向度を上記所定の範囲にするためには、凹凸パターン形成シート10を製造する際の収縮率を適宜選択する方法、拘束条件を適宜選択しつつアニール処理して収縮応力を調整する方法、収縮後に、荷重条件を適宜選択しつつ延伸する方法等を採用すればよい。
【0019】
配向度については、まず、最頻ピッチPを求める際に得たフーリエ変換像を利用し、XF軸上に最大照度部分が一致するようにθ回転したフーリエ変換像を作成する。次いで、(XFmax,YFmax)を通るY軸に平行補助線Y’Fを引き、補助線Y’Fを横軸とし、補助線Y’上の照度(Z軸)を縦軸としたY’−Z図を作成する。次いで、Y’−Z図のY’軸の値を最頻ピッチPの逆数(1/P)で割ったY”-Z図を作成し、このY”-Z図からピークの半値幅W(頻度が最大値の半分になる高さでのピークの幅)を求める。この半値幅は配向度を表す。
【0020】
凹凸パターン形成シート10は、後述する凹凸パターン形成シートの製造方法により得られたシートそのものであってもよいし、凹凸パターン形成シートの製造方法により得られたシートを原版として複製した複製シートであってもよい。
凹凸パターン形成シート10が、後述する凹凸パターン形成シートの製造方法により得られたシートそのものである場合には、通常、2層で構成され、複製シートである場合には、通常、1層で構成される。
【0021】
凹凸パターン11の未収縮領域率αが50%以下である上記凹凸パターン形成シート10では、横軸をピッチの逆数、縦軸を頻度とするピッチの分布(図4参照)において、サブピークが生じにくく、ピークが実質的に1つになる。
本発明者らが調べた結果、サブピークを有すると、上記の凹凸パターン11を有する凹凸パターン形成シート10を、凹凸を有する他の光学素子(例えば、プリズムシート等)と組み合わせた場合に、明るさにムラが生じやすいことが分かった。すなわち、サブピークのピッチが、他の光学素子の凹凸ピッチの倍数と等しいと、干渉によると思われる明るさムラを生じることが分かった。ピッチの分布にサブピークを有し、そのサブピークの波形がメインピークよりもシャープになっている凹凸パターン形成シートを各種バックライトユニットの光学素子とした場合にも、干渉によると思われる明るさムラを生じることが分かった。
サブピークのピッチは、図5に示すように未収縮領域11eが多く存在する際に現れるピッチPである。したがって、未収縮率を低くすれば、ピッチPを生じにくくし、その結果、明るさのムラを抑制できることがわかった。
【0022】
<凹凸パターン形成シートの製造方法>
(第1の実施形態)
上記凹凸パターン形成シート10の製造方法の第1の実施形態について説明する。
本実施形態の凹凸パターン形成シートの製造方法は、積層フィルム作製工程と加熱収縮工程と延伸工程とを有する。
【0023】
[積層フィルム作製工程]
本実施形態における積層フィルム形成工程は、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面が平滑な硬質層(以下、「表面平滑硬質層」という。)を少なくとも1層設けて、積層フィルムを得る工程である。ここで、表面平滑硬質層とは、JIS B0601に記載の中心線平均粗さ0.1μm以下の層であって、加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させる条件下で収縮しない層である。
【0024】
加熱収縮性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルム、ポリオレフィン系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニル系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニリデン系シュリンクフィルムなどを用いることができる。
本実施形態では、加熱収縮性樹脂フィルムとして、1軸延伸フィルムを用いる。1軸延伸は、縦延伸、横延伸のいずれであってもよい。
また、加熱収縮性樹脂フィルムは、延伸倍率1.1〜15倍で延伸されていることが好ましく、1.3〜10倍で延伸されていることがより好ましい。
また、加熱収縮性樹脂フィルムとしては、収縮率が好ましくは20〜90%、より好ましくは35〜75%の収縮性を有するフィルムが用いられる。本明細書において、収縮率とは、(収縮率[%])={(収縮前の長さ)−(収縮後の長さ)}/(収縮前の長さ)×100である(ただし、長さは加熱収縮性樹脂フィルムの収縮方向の長さ)。収縮率が20%以上であれば、凹凸パターン形成シートをより容易に製造できる。一方、収縮率90%を超える加熱収縮性樹脂フィルムは作製困難である。
加熱収縮性樹脂フィルムは、表面平滑硬質層を容易に形成できることから、表面が平坦であることが好ましい。ここで、平坦とは、JIS B0601による中心線平均粗さが0.1μm以下のことである。
【0025】
表面平滑硬質層は、樹脂からなってもよいし、金属又は金属化合物からなってもよい。
表面平滑硬質層を構成する樹脂としては、加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂の種類によって適宜選択されるが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などを使用することができる。
容易に凹凸パターン11を形成できる点では、表面平滑硬質層を構成する樹脂(以下、「第2の樹脂」という。)のガラス転移温度Tgと、加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂(以下、「第1の樹脂」という。)のガラス転移温度Tgとの差(Tg−Tg)は10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることが特に好ましい。
【0026】
樹脂で構成された表面平滑硬質層を設ける方法としては、第2の樹脂を含む塗工液を加熱収縮性樹脂フィルムに連続的に塗工し、乾燥する方法が挙げられる。
塗工液の塗工方法としては、例えば、エアナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、メイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、キャストコーティング、カーテンコーティング、ダイスロットコーティング、ゲートロールコーティング、サイズプレスコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等が挙げられる。
乾燥方法としては、熱風、赤外線等を用いた加熱乾燥法が挙げられる。
加熱収縮性樹脂フィルムへの樹脂溶液の乾燥塗工量は、1〜100mg/mにすることが好ましい。樹脂溶液の乾燥塗工量を1mg/m以上にすれば、凹凸パターンを充分に形成でき、100mg/m以下にすれば、表面平滑硬質層を容易に薄くできる。
【0027】
表面平滑硬質層を構成する金属としては、金、アルミニウム、銀、銅、ゲルマニウム、インジウム、マグネシウム、ニオブ、パラジウム、鉛、白金、シリコン、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、ビスマス等が挙げられる。
表面平滑硬質層を構成する金属化合物としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化銅、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化鉛、酸化ケイ素、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、硫化亜鉛、ガリウムヒ素が挙げられる。
【0028】
金属または金属化合物で構成された表面平滑硬質層を設ける方法としては、メッキ法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオン化蒸着法、イオンクラスタービーム蒸着法等の方法を適宜採用できる。
【0029】
[加熱収縮工程]
加熱収縮工程は、上記積層フィルムを加熱して加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、前記表面平滑硬質層を折り畳むように変形させて、凹凸パターンを形成する工程である。
加熱収縮工程では、40%以上の収縮率で収縮させることが好ましい。このように収縮率を40%以上とすることによって、未収縮領域11eが少ない凹凸パターン11を形成できる。収縮率が大きくなりすぎると、得られる凹凸パターン形成シート10の面積が小さくなるため、歩留まり上好ましくない。このような観点からは、収縮率の上限は80%が好ましい。
【0030】
加熱方法としては、熱風、蒸気または熱水中に通す方法等が挙げられ、中でも、均一に収縮させることができることから、熱風に通す方法が好ましい。
加熱収縮性樹脂フィルムの熱収縮させる際の加熱温度は、使用する加熱収縮性樹脂フィルムの種類および目的とする凹凸パターン11の最頻ピッチPならびに高凸部11cの平均収縮高さBに応じて適宜選択することが好ましい。
表面平滑硬質層が樹脂(第2の樹脂)からなる場合には、加熱収縮温度は、加熱収縮性樹脂フィルムを構成する第1の樹脂のガラス転移温度Tg以上の温度にすることが好ましい。Tg以上の温度で熱収縮させると、凹凸パターン11を容易に形成できる。
また、加熱収縮温度は、(第2の樹脂のガラス転移温度Tg+15℃)未満であることが好ましい。
【0031】
加熱収縮工程後、収縮させた積層フィルムを一旦巻き取ってロール状にし、延伸工程にて、収縮させた積層フィルムをロールから繰り出してもよいし、収縮させた積層フィルムを巻き取らずにそのまま延伸工程に供給してもよい。収縮させた積層フィルムを一旦巻き取る場合には、凹凸パターン形成シートの生産に柔軟性を持たせることができる。収縮させた積層フィルムを巻き取らずにそのまま延伸工程に供給する場合には、温度を下げずに加熱収縮工程から延伸工程に積層フィルムを供給することができるため、エネルギーロスが少ない。
【0032】
[延伸工程]
延伸工程は、加熱収縮工程を経て凹凸パターンが形成された積層フィルムを、加熱収縮工程での収縮方向と反対方向に延伸する工程である。
延伸方法としては、テンター法、ロール法が挙げられる。ここで、テンター法は、互いに離間する一対のクリップを有する延伸装置を用いる方法であり、フィルムに前記一対のクリップを取り付け、互いに離間させて、フィルムを延伸する方法である。ロール法は、一対のロールを有する挟持手段を複数備え、下流になるにつれて挟持手段のロールの回転速度が速い延伸装置を用いる方法であり、複数の挟持手段にフィルムを順次通して延伸する方法である。
延伸の際には、延伸させやすくするために、適度に加熱することが好ましい。延伸時の加熱温度は、容易に延伸できるようになるため、加熱収縮性樹脂フィルムのガラス転移温度Tg以上であることが好ましい。
延伸工程での延伸倍率は特に制限されず、通常は1〜5倍の範囲内に設定される。
【0033】
[作用効果]
本発明者らが調べた結果、収縮率を大きくする程、未収縮領域11eが少なくなることが判明した。また、未収縮領域11eが少ない凹凸パターン11を延伸工程により引き伸ばしても、新たに未収縮領域11eが発生しにくいことが判明した。したがって、加熱収縮工程で過剰に収縮させれば、未収縮領域11eを少なくすることができ、延伸工程で収縮率を下げれば、目標とする収縮率に容易に調整することができる。
よって、本実施形態の製造方法によれば、未収縮領域11eが少ない凹凸パターン形成シート10を容易に製造できる。
【0034】
<第2の実施形態>
本発明の凹凸パターン形成シートの製造方法の第2の実施形態について説明する。
本実施形態の凹凸パターン形成シートの製造方法は、積層フィルム作製工程とアニール工程と加熱収縮工程とを有する方法である。
本実施形態における積層フィルム作製工程は、第1の実施形態における積層フィルム作製工程と同様である。
【0035】
[アニール工程]
アニール工程は、積層フィルム作製工程で得た積層フィルムを温度Tで加熱してアニール処理(熱緩和処理)する工程である。
アニール処理の温度Tは、加熱収縮工程で加熱する温度Tよりも低い温度にする。TがT以上であると、凹凸パターンが不均一になるおそれがある。
また、Tは、T未満が好ましく、5℃以上低いことがより好ましく、10℃以上低いことがさらに好ましい。
加熱方法としては、熱風による加熱方法、赤外線の照射による加熱方法が挙げられる。
アニール処理の最中には、積層フィルムを、該積層フィルムが収縮して寸法が変化しないように収縮方向の両端を固定することが好ましい。
【0036】
アニール工程後、アニール処理した積層フィルムを一旦巻き取ってロール状にし、加熱収縮工程にて、アニール処理した積層フィルムをロールから繰り出してもよいし、アニール処理した積層フィルムを巻き取らずにそのまま加熱収縮工程に供給してもよい。アニール処理した積層フィルムを一旦巻き取る場合には、凹凸パターン形成シートの生産に柔軟性を持たせることができる。アニール処理した積層フィルムを巻き取らずにそのまま加熱収縮工程に供給する場合には、温度を下げずにアニール工程から加熱収縮工程に積層フィルムを供給できるため、エネルギーロスが少ない。
【0037】
[加熱収縮工程]
本実施形態における加熱収縮工程では、第1の実施形態での加熱収縮工程と同様に、上記積層フィルムを加熱して加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、前記表面平滑硬質層を折り畳むように変形させて、凹凸パターンを形成する。
本実施形態では、加熱収縮工程において20〜50%の収縮率で収縮させることが好ましい。収縮率を前記下限値以上にすれば、未収縮領域11eを少なくでき、前記上限値以下にすれば、光拡散性を高くしつつも充分な輝度を得ることができる。
加熱収縮の際の加熱方法は、第1の実施形態における加熱収縮工程と同様である。
表面平滑硬質層が樹脂(第2の樹脂)からなる場合には、加熱収縮温度は、第2の樹脂のガラス転移温度Tgと加熱収縮性樹脂フィルムを構成する第1の樹脂のガラス転移温度Tgとの間の温度にすることが好ましい。このようにTgとTgの間の温度で熱収縮させると、凹凸パターン11を容易に形成できる。
【0038】
[作用効果]
本実施形態の製造方法では、積層フィルムをアニール処理するため、収縮しやすい部分に生じている応力を緩和することができる。これにより、積層フィルムの全体にわたって収縮性を均一化できる。そのため、未収縮領域が少ない凹凸パターン形成シートを容易に製造できる。
【0039】
<凹凸パターン形成シート複製用工程シート原版>
本発明の複製用工程シート原版(以下、工程シート原版という。)は、上述した凹凸パターン形成シート10を備えるものである。また、工程シート原版には、凹凸パターン形成シート10を支持するための樹脂製または金属製の支持体をさらに備えてもよい。
この工程シート原版は、該工程シート原版と同等の最頻ピッチおよび平均収縮高さの凹凸パターンが表面に形成された複製シートを大面積で大量に製造するための型として用いることができる。
【0040】
工程シート原版を用いて複製シートを製造する具体的な方法としては、例えば、下記(a)〜(c)の方法が挙げられる。
(a)凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11が形成された面に、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂を塗布する工程と、活性エネルギー線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を凹凸パターン形成シート10から剥離する工程とを有する方法。ここで、活性エネルギー線とは、通常、紫外線または電子線のことであるが、本明細書においては、可視光線、X線、イオン線等も含むものとする。
(b)凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11が形成された面に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗布する工程と、加熱して前記液状熱硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を凹凸パターン形成シート10から剥離する工程とを有する方法。
(c)凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11が形成された面に、シート状の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該シート状の熱可塑性樹脂を凹凸パターン形成シート10に押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の熱可塑性樹脂を凹凸パターン形成シート10から剥離する工程とを有する方法。
【0041】
また、凹凸パターン形成シート10を用いて、この凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11が転写された金属製などの2次工程用成形物を作製し、その2次工程用成形物を型(スタンパー)として用いて、樹脂製のシート状の複製シートを製造することもできる。2次工程用成形物としては、凹凸パターン形成シート10を凹凸パターン11が内側になるように筒状に丸めて、これを円筒の内側に貼り付け、その円筒の内側にロールを挿入した状態でめっきし、円筒から取り出して得ためっきロールが挙げられる。その他の2次工程用成形物としては、例えばシート状の2次工程シートが挙げられる。
2次工程用成形物を用いる具体的な方法としては、下記(d)〜(f)の方法が挙げられる。
【0042】
(d)凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11が形成された面に、ニッケル等の金属めっきを行って、めっき層(凹凸パターン転写用材料)を積層する工程と、そのめっき層を凹凸パターン形成シートから剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、次いで、2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面(凹凸パターンが転写された面)に、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂を塗布する工程と、活性エネルギー線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(e)凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11が形成された面に、めっき層(凹凸パターン転写用材料)を積層する工程と、そのめっき層を凹凸パターン形成シート10から剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面(凹凸パターンが転写された面)に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗布する工程と、加熱により該樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(f)凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11が形成された面に、めっき層(凹凸パターン転写用材料)を積層する工程と、そのめっき層を凹凸パターン形成シート10から剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面(凹凸パターンが転写された面)に、シート状の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該シート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。または、前記と同様の方法で作製した2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面(凹凸パターンが転写された面)に、溶融状態の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、溶融状態の熱可塑性樹脂を冷却しシート状とする工程と、その冷却したシート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物から剥がす工程とを有する方法。
【0043】
(a)の方法の具体例について説明する。まずウェブ状の凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11が形成された面に、未硬化の液状活性エネルギー線硬化性樹脂を塗布する。塗布方式は、硬質層が樹脂よりなる場合に挙げた塗布方式を用いることができる。次いで、該硬化性樹脂を塗布した凹凸パターン形成シート10を、一対のロール間に通すことにより押圧して、前記硬化性樹脂を凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11内部に充填する。その後、活性エネルギー線照射装置により活性エネルギー線を照射して、硬化性樹脂を架橋・硬化させる。そして、硬化後の活性エネルギー線硬化性樹脂を凹凸パターン形成シート10から剥離させることにより、複製シートを製造することができる。
【0044】
(a)の方法において、凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11が形成された面には、離型性を付与する目的で、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂塗布前に、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等からなる層を1〜10nm程度の厚さで設けてもよい。
未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニル/アクリレート、ポリエン/アクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルメチルメタクリレート等のプレポリマー、脂肪族アクリレート、脂環式アクリレート、芳香族アクリレート、水酸基含有アクリレート、アリル基含有アクリレート、グリシジル基含有アクリレート、カルボキシ基含有アクリレート、ハロゲン含有アクリレート等のモノマーの中から選ばれる1種類以上の成分を含有するものが挙げられる。未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。
また、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。
未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂を紫外線により硬化する場合には、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
また、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂には、硬化後の硬度を上昇させる目的で、多官能(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方を使用してもよい。また、反応性無機酸化物粒子および/または反応性有機粒子を含有してもよい。
【0045】
未硬化の液状活性エネルギー線硬化性樹脂を塗布した後には、樹脂、ガラス等からなる貼合基材を貼り合わせてから活性エネルギー線を照射してもよい。活性エネルギー線の照射は、貼合基材、凹凸パターン形成シート10の活性エネルギー線透過性を有するいずれか一方から行えばよい。
【0046】
硬化後の活性エネルギー線硬化性樹脂のシートの厚みは0.1〜100μmとすることが好ましい。硬化後の活性エネルギー線硬化性樹脂のシートの厚みが0.1μm以上であれば、充分な強度を確保でき、100μm以上であれば、充分な可撓性を確保できる。
【0047】
上記の方法では、凹凸パターン形成シート10としてウェブ状のものを用いているため、大面積で連続的に凹凸パターン11を形成させることができる。よって、凹凸パターン形成シート10の繰り返し使用回数が少なくても、必要な量のシート状の複製シートを短時間に製造できる。
なお、凹凸パターン形成シート10は、枚葉のシートであってもよい。枚葉のシートを用いる場合、枚葉のシートを平板状の型として使用するスタンプ法、枚葉のシートをロールに巻きつけて円筒状の型として使用するロールインプリント法等を適用できる。また、射出成形機の型の内側に枚葉の凹凸パターン形成シート10を配置させてもよい。
【0048】
(b),(e)の方法において、液状熱硬化性樹脂としては、例えば、未硬化の、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、(b)の方法における硬化温度は、凹凸パターン形成シート10のガラス転移温度より低いことが好ましい。硬化温度が凹凸パターン形成シート10のガラス転移温度以上であると、硬化時に複製シートの凹凸パターン11が変形するおそれがあるからである。
【0049】
(c),(f)の方法において、熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられる。
シート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧する際の圧力は1〜100MPaであることが好ましい。押圧時の圧力が1MPa以上であれば、凹凸パターンを高い精度で転写させることができ、100MPa以下であれば、過剰な加圧を防ぐことができる。
また、(c)の方法における熱可塑性樹脂の加熱温度は、凹凸パターン形成シート10のガラス転移温度より低いことが好ましい。加熱温度が凹凸パターン形成シート10のガラス転移温度以上であると、加熱時に凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11が変形するおそれがあるからである。
加熱後の冷却温度としては、凹凸パターン11を高い精度で転写させることができることから、熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満であることが好ましい。
【0050】
(a)〜(c)の方法の中でも、加熱を省略でき、凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11の変形を防止できる点で、活性エネルギー線硬化性樹脂を使用する(a)の方法が好ましい。
【0051】
(d)〜(f)の方法においては、金属製の2次工程用成形物の厚さを50〜500μm程度とすることが好ましい。金属製の2次工程用成形物の厚さが50μm以上であれば、2次工程用成形物が充分な強度を有し、500μm以下であれば、充分な可撓性を確保できる。(d)〜(f)の方法では、熱による変形が小さい金属製の2次工程用成形物を型として用いて、複製シートを製造する方法であるため、複製シートの材料として、活性エネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも好適に使用できる。
【0052】
なお、(d)〜(f)では、2次工程用成形物として金属製のものを用いたが、凹凸パターン形成シート10の凹凸パターン11を樹脂に転写させて、樹脂製の2次工程用成形物を得てもよい。その場合に使用できる樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルホン、(a)の方法で使用する活性エネルギー線硬化性樹脂などが挙げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる場合には、(a)の方法と同様に、活性エネルギー線硬化性樹脂の塗布、硬化、剥離を順次行って、2次工程用成形物を得る。
【0053】
このようにして得られた樹脂シート状の複製シートには、凹凸パターン11が転写された面と反対側の面にも凹凸パターン11を形成してもよい。
【0054】
<光学素子>
本発明の光学素子は、上記凹凸パターン形成シートを備えるものである。光学素子に用いる凹凸パターン形成シートは、上記第1または第2の実施形態の製造方法により得た凹凸パターン形成シートであってもよいし、凹凸パターン形成シートを原版として得た複製シートであってもよい。
光学素子としては、例えば、光拡散体、反射防止体、ワイヤーグリッド偏光子、位相差板等に使用される。特に、光拡散体、反射防止体が挙げられる。
【0055】
(光拡散体)
上記凹凸パターン形成シート10において、凹凸パターン11の最頻ピッチPが1μmを超えるものは、光拡散性を発揮するため、光拡散体として利用できる。
すなわち、凹凸パターン形成シート10の表面には波形状の凹凸を有するため、凹凸パターン形成シートの内部を通った光は、凹凸面にて屈折するため、様々な出射角度で光拡散体から出射する。したがって、凹凸パターン11により光拡散性が発現する。
【0056】
また、凹凸パターン形成シート10を光拡散体に使用する場合には、凹凸パターン形成シート10のみであってもよいが、凹凸パターン形成シート10の片面または両面に、他の層を備えてもよい。例えば、凹凸パターン11が形成されている側の面に、その面の汚れを防止するために、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂を主成分として含有する厚さ1〜5nm程度の防汚層を備えてもよい。
また、凹凸パターン11が形成されていない側の面には、透明樹脂製あるいはガラス製の支持体が備えられていてもよい。さらに、凹凸パターン11が形成されていない側の面に粘着剤層が形成されていてもよく、機能性を適宜持たせるために色素を含んでもよい。
上述した凹凸パターン11が表面に形成された凹凸パターン形成シート10を備えた光拡散体は、優れた異方性を備える。
【0057】
光拡散体の場合、好適な凹凸パターン11の最頻ピッチは、1〜20μmが好適である。また、好適な平均収縮高さは、0.1〜10μmである。
【0058】
光拡散体においては、より光拡散効果を高める目的で、光透過率等の光学性能を大きく損なわない範囲内で、無機化合物からなる光拡散剤、有機化合物からなる有機光拡散剤を凹凸パターン形成シートに含有させることができる。
無機光拡散剤としては、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス、マイカ等が挙げられる。
有機光拡散剤としては、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子等が挙げられる。これらの光拡散剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
光拡散剤の含有量は、光透過性を損ないにくいことから、凹凸パターン形成シート10を構成する樹脂100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。
【0059】
また、光拡散体として用いる凹凸パターン形成シート10には、より拡散効果を高める目的で、光透過率等の光学性能を大きく損なわない範囲内で、微細気泡を含有させることができる。微細気泡は、光の吸収が少なく光透過率を低下させにくい。
微細気泡の形成方法としては、凹凸パターン形成シートに発泡剤を混入する方法(例えば、特開平5−212811号公報、特開平6−107842号公報に開示された方法)や、アクリル系発泡樹脂を発泡処理させて微細気泡を含有する方法(例えば、特開2004−2812号公報に開示された方法)などを適用できる。さらに微細気泡は、より均一な面照射が可能となる点では、特定の位置に不均一に発泡させる方法(例えば、特開2006−124499号公報に開示された方法)が好ましい。
なお、前記光拡散剤と微細発泡を併用することもできる。
【0060】
また、拡散性を高くするために、微細気泡を含有させたフィルムを凹凸パターン11の形成されていない側に貼付してもよい。
【0061】
上記凹凸パターン形成シート10を備える光拡散体は、例えば、液晶表示装置の面発光ユニット、照明装置の発光ユニットなどに使用される。
図6に、面発光ユニットの一例を示す。この面発光ユニット1は、導光板20と光源30と反射板40と集光シート50と光拡散体60とを備え、光拡散体60は、上述した凹凸パターン形成シート10を備える。
この面発光ユニット1においては、光源30は、導光板20の一側面21に等間隔に配設されている。
反射板40は、導光板20の裏面22側に設けられ、導光板20の裏面22から漏出した光を反射させ、導光板20に戻して、光の利用効率を向上させるものである。
集光シート50は、導光板20の光出射側に配設されており、凹凸の周期構造を有し、光入射面51に斜めから入射した光を、光出射面52と直交する方向に立ち上げて出射させる集光機能を有する。
光拡散体60は、集光シート50の光出射側に配設されている。光拡散体60においては、光拡散性が高すぎると面発光ユニット1の輝度が低下するため、適度な光拡散性を有するものを用いることが好ましい。
【0062】
光拡散体60が備える凹凸パターン形成シートは、未収縮領域が少なく、方向Yについての光拡散性(拡散角度)が均一であるため、面発光ユニット1の明るさのムラを抑制できる。
【0063】
(反射防止体)
上記凹凸パターン形成シート10において、凹凸パターン11の最頻ピッチPが1μm以下であるものは、反射防止性を発揮するため、反射防止体として利用できる。
すなわち、波形状の凹凸パターン11の部分では、空気の屈折率と凹凸パターン形成シート10の屈折率の間の中間屈折率を示し、その中間屈折率が連続的に変化する。そして、例えば凹凸パターン11の最頻ピッチPを0.2μm以下とし、凹凸パターン11の平均収縮高さBについては、最頻ピッチPを100%とした際の10%以上とすることによって、光の反射率を特に低くでき、具体的には、反射率をほぼ0%にできる。これは、中間屈折率が連続的に変化する部分が厚さ方向に長くなり、光の反射を抑制する効果が顕著に発揮されるためである。反射防止体用途の場合の凹凸パターン11の具体的な平均収縮高さBは、0.01〜0.4μmが好適である。
【0064】
反射防止体は、凹凸パターン形成シート10のみでもよいが、凹凸パターン形成シートの片面または両面に他の層を備えてもよい。例えば、凹凸パターン形成シート10の、凹凸パターン11が形成されている側の面に、その面の汚れを防止するために、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂を主成分として含有する厚さ1〜5nm程度の防汚層を備えてもよい。
また、凹凸パターン11が形成されていない側の面には、例えば、反射防止体の基材として、例えばトリアセチルセルロース等の樹脂製のシートなどが備えられていてもよい。
【0065】
このような反射防止体は、例えば、液晶表示パネルやプラズマディスプレイ等の画像表示装置、発光ダイオードの発光部先端、太陽電池パネルの表面などに取り付けられる。
画像表示装置に取り付けた場合には、照明の映りこみを防止できるため、画像の視認性が向上する。発光ダイオードの発光部先端に取り付けた場合には、光の取り出し効率が向上する。太陽電池パネルの表面に取り付けた場合には、光の取り込み量が多くなるため、太陽電池の発電効率が向上する。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。
例えば、凹凸パターン形成シートは両面に凹凸パターンを有してもよい。
凹凸パターンの凹凸は蛇行せず、直線的であってもよい。凹凸パターンの凹凸が蛇行しない場合でも、未収縮領域率が50%以下であることで、ピッチの分布にサブピークを有さない。したがって、他の光学素子(例えば、プリズムシート等)の凹凸ピッチとの干渉を抑制できるため、明るさムラが生じにくい。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
一軸方向に熱収縮する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製加熱収縮性フィルム(三菱樹脂株式会社製ヒシペットLX−10S、ガラス転移温度70℃)の片面に、トルエンに希釈したポリメチルメタクリレート(ポリマーソース株式会社製P4831−MMA、ガラス転移温度100℃)を厚さが2μmになるようにバーコーターにより塗工し、硬質層を形成して積層フィルムを得た。
次いで、その積層フィルムを、加熱した際に収縮する方向が鉛直方向に向くように配置し、積層フィルムの鉛直方向の寸法が変化しないように積層フィルムの上端および下端を固定用ジグで固定した。その状態で、85℃で2分間加熱してアニール処理を施した。
次いで、積層フィルムから固定用ジグを取り外し、積層フィルムを95℃、1分間加熱することにより、加熱前の長さの30%に加熱収縮させた。これにより、一方向に沿って凹凸が繰り返し形成された波形状の凹凸パターンを有する凹凸パターン形成シートを得た。
次いで、得られた凹凸パターン形成シートの凹凸パターンが形成された面に、ニッケルめっきを施し、そのニッケルめっきを剥離することにより、厚さ300μmのニッケルめっきスタンパーを得た。このニッケルめっきスタンパーの凹凸パターンが形成された面にエポキシアクリレート系プレポリマー、2−エチルヘキシルアクリレートおよびベンゾフェノン系光重合開始剤を含む未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を塗工した。次いで、未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜のニッケルめっきスタンパーと接していない面に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね合わせ、押圧して、密着させた。
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルムの上から紫外線を照射し、未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、それにより得た硬化物をニッケルめっきスタンパースタンパーから剥離することにより、凹凸パターン形成シートの複製シートを得た。
【0068】
(実施例2)
実施例1と同様にして得た積層フィルムを105℃で2分間加熱することにより、加熱前の長さの50%に熱収縮させて、収縮方向に沿って凹凸が繰り返し形成された波形状の凹凸パターンを有する収縮シートを得た。
次いで、その収縮シートを、収縮方向が鉛直方向に向くように配置し、収縮シートの上端および下端に固定用ジグを取り付けた。収縮シートの下端に取り付けた固定用ジグは上下動不能にし、収縮シートの下端に取り付けた固定用ジグは上下動可能にした。次いで、収縮シートの下端に取り付けた固定用ジグを下方に移動させて、延伸処理を施した。その際、引張荷重を50gf/cmに、温度を105℃に、延伸時間を3分にし、最終収縮率が20%になるように延伸した。これにより、一方向に沿って凹凸が繰り返し形成された波形状の凹凸パターンを有する凹凸パターン形成シートを得た。
そして、この凹凸パターン形成シートを用いた以外は実施例1と同様にして、凹凸パターン形成シートの複製シートを得た。
【0069】
(実施例3)
延伸時間を1分とし、最終収縮率が40%になるように延伸処理した以外は実施例2と同様にして、凹凸パターン形成シートの複製シートを得た。
【0070】
(比較例1)
実施例1と同様にして得た積層フィルムを90℃で1分間加熱することにより、加熱前の長さの25%に熱収縮させて、収縮方向に沿って凹凸が繰り返し形成された波形状の凹凸パターンを有する凹凸パターン形成シートを得た。
そして、この凹凸パターン形成シートを用いた以外は実施例1と同様にして、凹凸パターン形成シートの複製シートを得た。
【0071】
【表1】

【0072】
各実施例および各比較例で形成された凹凸パターンについて、最頻ピッチP、平均収縮高さB、収縮幅C、未収縮領域率α、アスペクト比(P/B)を下記の方法により測定した。その結果を表1に示す。
また、各実施例および各比較例の凹凸パターン形成シートの拡散角度の半角値、標準偏差を下記の方法により測定した。
また、後述するように、各実施例および各比較例の凹凸パターン形成シートを用いて面発光ユニットを作製し、その面発光ユニットの明るさムラと輝度を評価した。
【0073】
[最頻ピッチ]
凹凸パターンの上面の画像をレーザー顕微鏡により撮影し、その画像をグレースケール画像に変換した後、2次元フーリエ変換を行った。このフーリエ変換像の頻度(Z)のスムージングを行い、フーリエ変換像の中心部を除く部分の最大頻度を示す位置(XFmax、YFmax)から最頻ピッチP=1/{√(XFmax+YFmax)}を求めた。
【0074】
[未収縮領域率]
凹凸パターンの上面の画像をレーザー顕微鏡により撮影した。その際、少なくとも測定距離A(=最頻ピッチ×100)の画像が得られるように、撮影倍率および画像取り込み回数を調整した。
次いで、測定長さAの範囲内に存在する凸部のうち、高さが高いほうから1〜50番目の凸部を高凸部とし、それらの高さを平均して平均収縮高さB(未収縮領域の判定用高さB)を求めた。
次いで、測定長さAの範囲内に存在する凸部のうち、高さが平均収縮高さBの10%以上である凸部が存在する収縮領域の幅を合計して収縮幅Cを求めた。
そして、[(測定長さA−収縮幅C)/測定長さA]×100(%)の式から未収縮領域率α(%)を求めた。
【0075】
[アスペクト比]
最頻ピッチP/平均収縮高さBの式より、アスペクト比を求めた。
【0076】
[拡散角度]
市販の携帯電話を分解して、導光板と、導光板の一側面に配設された発光ダイオードと、導光板の光出射側に配設された集光シートとを有する面発光手段を回収した。その面発光手段の集光シートの光出射側に凹凸パターン形成シートを、凹凸パターンが光出射側を向くように取り付けて、面発光ユニットを得た。
その面発光ユニットについて、GENESIA GonioFar Field Profiler(ジェネシア社製)を用いて、凹凸が繰り返される方向Yおよび方向Yに直交する方向Xの半値角を測定した。ここで、半値角とは、光出射面からZ方向に出射する光の角度θを0°とし、光出射面に沿って出射する光の角度を90°とした際に、光の強度の最大値の半分以上の強度になる角度の範囲のことである。半値角が大きい程、光拡散性が高い。
また、方向Yの拡散角度の標準偏差を求めた。なお、標準偏差は光拡散性の均一性の指標になり、標準偏差が小さい程、光拡散性の均一性が高い。
【0077】
[明るさムラ]
暗室にて発光ダイオードを点灯させた状態で面発光ユニットの発光面を、発光面から10〜15cmの距離で観察して、明るさムラを以下の基準で評価した。
○:観察者5名のうち4名以上がムラなしと判定。
△:観察者5名のうち3名がムラなし、2名がムラありと判定。
×:観察者5名のうち3名以上がムラありと判定。
【0078】
[輝度]
発光ダイオードを点灯させた状態で面発光ユニットの正面輝度を輝度測定装置SR−3(トプコン社製)を用いて測定した。
【0079】
未収縮領域率αが50%以下の実施例1〜3の凹凸パターン形成シートの複製シートは、方向Yについて適度に高い光拡散性を有する上にその光拡散性は均一であった。さらに、これら凹凸パターン形成シートを用いた面発光ユニットでは、明るさムラが抑えられていた上に充分な輝度を有していた。特に、凹凸パターンのアスペクト比が0.40以下であった実施例1,2では、高い輝度を有していた。
これに対し、未収縮領域率αが60%の比較例1の凹凸パターン形成シートの複製シートは、光拡散性が不均一であった。この凹凸パターン形成シートを用いた面発光ユニットでは、明るさにムラが見られた。
【符号の説明】
【0080】
10 凹凸パターン形成シート
11 凹凸パターン
11a 凸部
11b 凹部
11c 高凸部
11d 収縮領域
11e 未収縮領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向Yに沿って凹凸が繰り返すように凸部が繰り返し形成された凹凸パターンを少なくとも一方の面に有する凹凸パターン形成シートであって、
前記凹凸パターンは、方向Yに沿って切断した断面において、下記で定義される未収縮領域率αが50%以下であることを特徴とする凹凸パターン形成シート。
凹凸の最頻ピッチP:1/{√(XFmax+YFmax)}の式から求められた値である。ここで、XFmax,YFmaxは、凹凸パターンのグレースケール画像を2次元フーリエ変換して得たフーリエ変換像の頻度(Z)をスムージング処理して得たグラフにおいて、フーリエ変換像の中心部以外で最大頻度を示す位置(XFmax,YFmax)である。
測定長さA:最頻ピッチP×100
高凸部:測定長さAの範囲内に存在する凸部のうち、高さが高い方から1〜50番目の凸部
平均収縮高さB:高凸部である凸部の平均高さ
収縮領域:測定長さAの範囲内に存在する凸部のうち、高さが平均収縮高さBの10%以上である凸部が存在する領域
収縮幅C:各収縮領域の幅の合計
未収縮領域率α(%):α=(A−C)/A×100(%)
【請求項2】
凹凸パターンの高凸部の平均収縮高さBが、最頻ピッチPの40%以下である請求項1に記載の凹凸パターン形成シート。
【請求項3】
最頻ピッチPが1μmを超え20μm以下である請求項1または2に記載の凹凸パターン形成シート。
【請求項4】
加熱収縮性樹脂フィルムの少なくとも片面に表面が平滑な硬質層を少なくとも1層設けて積層フィルムを得る積層フィルム作製工程と、
前記積層フィルムを加熱して前記加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、前記硬質層を折り畳むように変形させて、凹凸パターンを形成する加熱収縮工程と、
凹凸パターンを形成した積層フィルムを、加熱収縮工程での収縮方向と反対方向に延伸する延伸工程とを有することを特徴とする凹凸パターン形成シートの製造方法。
【請求項5】
加熱収縮性樹脂フィルムの少なくとも片面に表面が平滑な硬質層を少なくとも1層設けて積層フィルムを得る積層フィルム作製工程と、
前記積層フィルムを温度Tで加熱してアニール処理するアニール工程と、
アニール処理した積層フィルムを温度T(ただし、T>T)で加熱して前記加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、前記硬質層を折り畳むように変形させて、凹凸パターンを形成する加熱収縮工程とを有することを特徴とする凹凸パターン形成シートの製造方法。
【請求項6】
前記硬質層は、ガラス転移温度Tgが、前記加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度Tgよりも10℃以上高い樹脂からなる請求項4または5に記載の凹凸パターン形成シートの製造方法。
【請求項7】
前記硬質層は、金属又は金属化合物からなる請求項4または5に記載の凹凸パターン形成シートの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の凹凸パターン形成シートを備え、該凹凸パターン形成シートと同等の最頻ピッチおよび平均収縮高さの凹凸パターンが表面に形成された複製シートを製造するための型として用いられる複製用工程シート原版。
【請求項9】
請求項1に記載の凹凸パターン形成シートを備える光学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−111086(P2012−111086A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260520(P2010−260520)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】