説明

出力電源の過電圧保護回路

【課題】一部の抵抗が破損しても過電流が流れることを防止できる出力電源の過電圧保護回路を提供する。
【解決手段】整流回路106の出力端子にカソードを接続し、グランドにアノードを接続したシャントレギュレータ103と、シャントレギュレータ103のカソードとリファレンスに並列に接続した複数の第1の抵抗R1,R2と、シャントレギュレータ103のリファレンスとアノードに並列に接続し、第1の抵抗R1,R2に直列に接続した複数の第2の抵抗R3,R4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力電源の過電圧保護回路に係り、特に一部の抵抗が破損しても過電流が流れることを防止できる出力電源の過電圧保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
製造コストの低い出力電源の過電圧保護回路が従来から求められている。この点に関し、複数の抵抗を直列に接続し、この複数の抵抗をシャントレギュレータのカソードとアノードに並列に接続し、さらにこの複数の抵抗の整流回路からの出力端子とグランドに接続していない端子をシャントレギュレータのリファレンスに接続した回路を含む出力電源の過電圧保護回路が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−178858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の技術においては、一部の抵抗が破損すると過電圧が出力されるという問題点があった。
【0004】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、一部の抵抗が破損しても過電圧が出力されることを防止できる出力電源の過電圧保護回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために本発明は、整流回路の出力端子にカソードを接続し、グランドにアノードを接続したシャントレギュレータと、シャントレギュレータのカソードとリファレンスに並列に接続した複数の第1の抵抗と、シャントレギュレータのリファレンスとアノードに並列に接続し、第1の抵抗に直列に接続した複数の第2の抵抗と、を備える出力電源の過電圧保護回路を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、本実施形態の過電圧保護回路は、シャントレギュレータに並列に接続した複数の抵抗を有する。このため、一部の抵抗が破損しても過電圧が出力されることはないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明による出力電源の過電圧保護回路の一実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0008】
<実施形態の詳細>
<出力電源の過電圧保護回路の構成>
図1は本実施形態の出力電源の過電圧保護回路(以下、過電圧保護回路という。)の概要を示した図である。図1に示すように、過電圧保護回路101は、整流回路106の出力端子にカソードを接続し、グランドにアノードを接続したシャントレギュレータ103と、シャントレギュレータ103のカソードとリファレンスに並列に接続した複数の第1の抵抗R1,R2と、シャントレギュレータ103のリファレンスとアノードに並列に接続し、第1の抵抗R1,R2に直列に接続した複数の第2の抵抗R3,R4と、を備える。
【0009】
過電圧保護回路101は、第1の抵抗R1,R2及び第2の抵抗R3,R4に並列に接続されたツェナーダイオード104をさらに備えるように構成することができる。
【0010】
整流回路への入力は、入力電力電源を1次側回路102とトランス105により平滑化、降圧されて供給されるように構成することができる。
【0011】
ここで、シャントレギュレータ103について説明する。図4は、シャントレギュレータとその等価回路を示した図である。図4(a)に示すように、シャントレギュレータはアノードA、カソードK、リファレンスRの三端子を有する素子である。シャントレギュレータは、リファレンスR、アノードA間の電圧がシャントレギュレータの内蔵する基準電圧に等しくなるように、カソードKの電圧が変化する素子である。
【0012】
図4(b)に、シャントレギュレータの等価回路の例を示す。シャントレギュレータは通常集積回路を含んで構成されるが、上述のような動作を行なうものであれば構成を問わない。
【0013】
<出力電源の過電圧保護回路の作用>
図1に示すように、アノードA、リファレンスR間の電圧を基準電圧Vrefとするとき、過電圧保護回路101の出力電圧Voutは次の式(1)のように表せる。
【数1】

【0014】
ここで、抵抗R1が破損した場合、出力電圧Voutは次の式(2)のように表せる。
【数2】

【0015】
すなわち、一部の抵抗が破損しても過電圧が出力されることはない。さらに、第1の抵抗R1,R2のどちらかが破損し、加えて第2の抵抗R3,R4のどちらかが破損しても過電圧が出力されることはない。
【0016】
このように、過電圧保護回路101においては、複数の第1の抵抗の一部及び複数の第2の抵抗の一部が破損しても、過電圧が出力されることはない。
【0017】
<出力電源の過電圧保護回路の応用例>
(第1の応用例)
図2は、本実施形態における第1の応用例の過電圧保護回路110を示した図である。図2に示すように、過電圧保護回路110は、整流回路106の出力端子にカソードを接続し、グランドにアノードを接続したシャントレギュレータ103と、シャントレギュレータ103のカソードとリファレンスに並列に接続した複数の第1の抵抗R1,R2と、シャントレギュレータ103のリファレンスとアノードに並列に接続し、第1の抵抗R1,R2に直列に接続した第2の抵抗R5と、を備えるように構成することもできる。
【0018】
過電圧保護回路110は、第1の抵抗R1,R2及び第2の抵抗R5に並列に接続されたツェナーダイオード104をさらに備えるように構成することができる。
【0019】
図2に示すように、アノードA、リファレンスR間の電圧を基準電圧Vref、抵抗Rnの抵抗値をR(nは整数)とするとき、過電圧保護回路110の出力電圧Voutは次の式(3)のように表せる。
【数3】

【0020】
ここで、抵抗R1が破損した場合、出力電圧Voutは次の式(4)のように表せる。
【数4】

【0021】
すなわち、第1の抵抗の一部が破損しても過電圧が出力されることはない。
【0022】
(第2の応用例)
図3は、本実施形態における第2の応用例の過電圧保護回路120を示した図である。図3に示すように、過電圧保護回路120は、整流回路106の出力端子にカソードを接続し、グランドにアノードを接続したシャントレギュレータ103と、シャントレギュレータ103のカソードとリファレンスに並列に接続した第1の抵抗R6と、シャントレギュレータ103のリファレンスとアノードに並列に接続し、第1の抵抗に直列に接続した複数の第2の抵抗R3,R4と、を備えるように構成することもできる。
【0023】
過電圧保護回路120は、第1の抵抗R6及び第2の抵抗R3,R4に並列に接続されたツェナーダイオード104をさらに備えるように構成することができる。
【0024】
図3に示すように、アノードA、リファレンスR間の電圧を基準電圧Vref、抵抗Rnの抵抗値をR(nは整数)とするとき、過電圧保護回路120の出力電圧Voutは次の式(5)のように表せる。
【数5】

【0025】
ここで、抵抗R3が破損した場合、出力電圧Voutは次の式(6)のように表せる。
【数6】

【0026】
すなわち、第2の抵抗の一部が破損しても過電圧が出力されることはない。
【0027】
<本実施形態の効果>
以上述べたように、本実施形態の過電圧保護回路は、シャントレギュレータに並列に接続した複数の抵抗を有する。このため、一部の抵抗が破損しても過電圧が出力されることはないという効果がある。
【0028】
<本発明の具体化における可能性>
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態の過電圧保護回路の概要を示した図である。
【図2】本実施形態における第1の応用例の過電圧保護回路を示した図である。
【図3】本実施形態における第2の応用例の過電圧保護回路を示した図である。
【図4】シャントレギュレータとその等価回路を示した図である。
【符号の説明】
【0030】
101:過電圧保護回路、
103:シャントレギュレータ、
104:ツェナーダイオード、
R1〜6:抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流回路の出力端子にカソードを接続し、グランドにアノードを接続したシャントレギュレータと、
前記シャントレギュレータのカソードとリファレンスに並列に接続した複数の第1の抵抗と、
前記シャントレギュレータのリファレンスとアノードに並列に接続し、前記第1の抵抗に直列に接続した複数の第2の抵抗と、
を備える出力電源の過電圧保護回路。
【請求項2】
整流回路の出力端子にカソードを接続し、グランドにアノードを接続したシャントレギュレータと、
前記シャントレギュレータのカソードとリファレンスに並列に接続した複数の第1の抵抗と、
前記シャントレギュレータのリファレンスとアノードに並列に接続し、前記第1の抵抗に直列に接続した第2の抵抗と、
を備える出力電源の過電圧保護回路。
【請求項3】
整流回路の出力端子にカソードを接続し、グランドにアノードを接続したシャントレギュレータと、
前記シャントレギュレータのカソードとリファレンスに並列に接続した第1の抵抗と、
前記シャントレギュレータのリファレンスとアノードに並列に接続し、前記第1の抵抗に直列に接続した複数の第2の抵抗と、
を備える出力電源の過電圧保護回路。
【請求項4】
前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗に並列に接続されたツェナーダイオードをさらに備える、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の出力電源の過電圧保護回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−27884(P2009−27884A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191061(P2007−191061)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】