分子イオンのイオン注入技術
分子イオンのイオンインプランテーション注入の技術を開示する。一実施形態において、本技術は、分子イオンがイオン源内でその場生成され、所定温度で分子イオンをターゲット材ターゲット材料にインプラント注入し、ターゲット材ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するイオンインプランター注入機を備えるイオンインプランテーション注入装置として実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にイオン注入に関し、より詳細には、分子イオンのイオン注入技術に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入は、加速したイオンを基板に直接衝突させることによって基板に化学種を堆積させるプロセスである。半導体製造において、イオン注入機は主に、ターゲット材料の導電性の型およびレベルを変化させるドーピング処理に用いられる。集積回路(IC:integrated circuit)基板およびその薄膜構造における適切なドーピングプロファイルは、良好なIC性能にとって極めて重要であることが多い。所望のドーピングプロファイルを得るために、1つ以上のイオン種を異なる注入量および異なるエネルギーレベルで注入することができる。
【0003】
さらに、イオン注入は、導電性変更不純物を半導体ウェハに導入するための現在最も一般的な技術である。こうしたイオン注入において、所望の不純物材料は、イオン源でイオン化し、発生したイオンを加速して所定エネルギーのイオンビームを形成し、そしてイオンビームを半導体ウェハの表面に照射する。イオンビーム中の高エネルギーイオンは、半導体ウェハの半導体材料に貫入し、半導体材料の結晶格子内に埋め込まれ、所望の導電性を有する領域を形成する。
【0004】
イオン源において、通常、気体または固体材料がイオンビームに変換される。通常、イオンビームは、望ましくないイオン種を排除するために質量分析され、所望のエネルギーまで加速され、さらに半導体ウェハ表面に照射される。イオンビームは、ビーム走査、ウェハ移動、またはビーム走査およびウェハ移動の組み合わせによって、半導体ウェハ表面領域にわたって施すことができる。イオンビームは、スポット状ビーム、または長手寸法と短手寸法を有するリボン状ビームとすることができる。
【0005】
炭素は、別のプリアモルファス化注入(PAI:pre-amorphization implant)種、例えばゲルマニウム、ボロン等と併用される共注入(co-implant)種として用いることがきる。この着想は、極浅注入不純物とPAI種によって生じたエンドオブレンジ(EOR:end of range)欠陥部との間に炭素を配置することにある。置換炭素は、過渡的増速拡散(TED:transient enhanced diffusion)およびボロン格子間クラスター(BIC:boron interstitial cluster)形成を生じる可能性があるアニール工程中にEORから戻ってくる若干の格子間原子を防ぐことができる。しかし、炭素の位置はPAI種の位置としばしば重なるため、炭素注入自体がPAIに寄与しうる。したがって、炭素そのものもPAI種として用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
炭素を用いて、局所的な圧縮歪みを形成することもできる。そのため、トランジスタ素子のソース/ドレインをシリコン炭素(SiC:silicon carbon)で形成する場合、炭素注入によってトランジスタ素子のチャネルに引張歪みを発生させることができる。トランジスタ素子のシリコン格子内への炭素取り込みにはエピタキシル成長を必要とする場合があり、あるいはシリコン格子内への高ドーズの炭素注入によりアモルファス化が起きる可能性がある。また、再成長において炭素をシリコン格子に取り込み、アモルファス化を起こすこともできる。結果として、アモルファス化および応力は、双方ともに、半導体製造業者にとって考慮すべき重要な因子である。
【0007】
従って、上述の観点から、イオン注入、特に、分子イオン注入に対する現在の技術に関して重大な問題点および欠点があることを理解されたい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
分子イオンのイオン注入の技術を開示する。一実施形態において、本技術は、分子イオンがイオン源内でその場生成され、所定温度で分子イオンをターゲット材料に注入し、ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するイオン注入機を備えるイオン注入装置として実現することができる。
【0009】
本実施形態の別の態様によれば、分子イオンは2つ以上の種を用いて生成してもよい。
【0010】
本実施形態のさらに別の態様によれば、分子イオンはCaPbHc分子イオンであってもよい。
【0011】
本実施形態のまた別の態様によれば、分子イオンは炭素含有種およびリン含有種を用いて生成してもよい。
【0012】
本実施形態の別の態様によれば、炭素含有種はエタンおよび/もしくは分子炭素、アルカン、およびアルケンのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0013】
本実施形態のさらに別の態様によれば、リン含有種は、ホスフィンであってもよい。
【0014】
本実施形態のまた別の態様によれば、ターゲット材料に注入することにより歪みを発生させ、ターゲット材料に極浅接合(USJ:ultra-shallow junction)を形成してもよい。
【0015】
本実施形態の別の態様によれば、イオン注入機はさらに、ドーズ、ドーズ率、炭素含有種に含まれる原子の数、原子エネルギー、圧力、および所定温度のうち少なくとも1つを制御して、歪みおよびアモルファス化の少なくとも一方をさらに改善してもよい。
【0016】
別の実施形態によれば、本技術は、分子イオンがイオン源内その場で生成され、所定温度で分子イオンをターゲット材料に注入し、ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するイオン注入機を備えるイオン注入方法として実現することができる。
【0017】
さらに別の実施形態によれば、本技術は、所定温度で分子イオンをターゲット材料に注入し、ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するイオン注入機を有し、分子イオンは、炭素含有種およびリン含有種を用いてイオン源内でその場生成される装置として実現することができる。
【0018】
本発明を、添付図面で示した実施形態を参照してより詳細に説明する。本発明は、実施形態を参照して以下に記載するが、本発明はそれら実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。本明細書の教示を入手できる当業者は、本明細書に記載した本発明の範囲内において、また本発明が極めて有利となる点に関して、付加的な実施、変更、および実施形態、ならびに他の利用分野を認識できるであろう。
【0019】
本発明の十分な理解を容易にするため、添付図面につき以下に説明し、これら図面において同一の構成要素に対しては、同一の参照符号を付して示す。これらの図面は本発明を限定するものと解釈すべきではなく、単に例示のみを目的とすることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るプラズマドーピングシステムの部分断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るビームラインイオン注入機を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る分子イオンを用いたイオン注入の効果を示す例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態は、分子イオンのイオン注入技術を提供する。
【0022】
こうした技術の一部または関連する技術として、分子イオンを、ワークピース、例えば半導体ウェハ内に注入することができる。これら分子イオンの化学式は、多様に変化し得る。従って、本明細書で提示する化学式においては、Cは炭素を表し、Bはボロンを表し、Hは水素を表し、Pはリンを表し、またSiはシリコンを表す。実施形態において、化学式はCaXbYcで表す場合があり、ただしa>0、b>0およびc>0とする。この例では、CaXbYcは分子イオンを表してもよい。他の実施形態において、XおよびYを用いてそれぞれ少なくとも1つの元素を表すことができる。例えば、Xおよび/またはYは単独元素(例えばX=P、Y=H)を表す場合があり、他に、Xおよび/またはYは1つ以上の元素(例えば、X=NH4、NH3、CH3)を表す場合がある。また、例えばCXYのような化学式は、XCYまたはCYXのような異なる順序で同一の元素を含む、他の等価な化学式によって表すこともできることを理解されたい。
【0023】
状況によっては、Yは少なくとも水素を表すことができる(例えば、化学式はCaXbHcを含む)。さらに場合によっては、Xは少なくともリンを表すことができる(例えば、化学式はCaPbYcを含む)。また別の実施形態においては、C、X、および/またはYの位置に、他の元素または元素群をもつCaXbYcの誘導体を使用できることを理解されたい。また、置換基は任意の適切な無機または有機種とすることができることも理解されたい。
【0024】
ある実施形態において化学式CaPbHcが用いられたとしても、他にも多様な実施形態が提供される。例えば、分子/分子イオンは、化学式CBYまたはXBYを含む分子のみに限定するものではないことを理解されたい。例えば、分子/分子イオンは、デカボランまたはオクタデカボランなどの炭素含有種とすることができる。他に、炭素含有種はアルカン、例えばメタン、プロパン、またはブタンとすることができる。他のさまざまな実施形態も提供することができる。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係るプラズマドーピングシステム100を示す。図1につき説明すると、プラズマドーピングシステム100は、密閉容積空間103を画定するプロセスチャンバ102を有する。プラテン134は、プロセスチャンバ102内に配置されてワークピース138を支持する。一実施形態において、ワークピース138はディスク形状の半導体ウェハとすることができる。例えば、300ミリメートル(mm)直径のシリコンウェハを使用することができる。別の実施形態においては、ワークピース138はプラテン134の平坦表面上に静電的または機械的な力によって固定される。さらに他の実施形態においては、プラテン134は導電性ピン(図示せず)を備え、ワークピース138との接続を形成することができる。他のさまざまな実施形態も提供できる。
【0026】
プラズマドーピングシステム100はガス源104も備え、ドーバントガスを、質量流量制御器106を経て密閉容積空間103に供給する。ガスバッフル170をプロセスチャンバ102内に配置し、ガス源104からのガスの流れを偏向させることができる。圧力計108を設け、プロセスチャンバ102内部の圧力を計測することができる。真空ポンプ112を用いて、プロセスチャンバ102の排気口110を通じて、プロセスチャンバ102から排気ガスを排出することができる。排気バルブ114は排気口110を通る排気ガスの排出量を制御することができる。
【0027】
プラズマドーピングシステム100は、さらに、質量流量制御器106、圧力計108、および排気バルブ114に電気的に接続されたガス圧力制御器116を備えることができる。ガス圧力制御器116は、圧力計108に応じたフィードバックループにおいて、排気バルブ114を用いて排出量を制御するか、または質量流量制御器106を用いてプロセスガスの流量を制御するかのいずれかによって、プロセスチャンバ内を所望圧力に維持するよう構成できる。
【0028】
プロセスチャンバ102はチャンバ頂部118を有し、このチャンバ頂部118は、ほぼ水平方向に延在する、誘電材料で形成した第1区域120を備える。チャンバ頂部118は、さらに、第1区域120からほぼ垂直方向に高さを延在させた、誘電材料で形成した第2区域122も備える。チャンバ頂部118は、さらに、第2区域122にわたって水平方向に延在する、電気的および熱的伝導性材料で形成したフタ124を備える。フタ124は、グラウンドに接続することもできる。
【0029】
プラズマドーピングシステム100は、さらに、プロセスチャンバ102内でプラズマ140を発生するよう構成したソース構成101を備える。ソース構成101は、電源のようなRF源150を備え、平面状RFアンテナ126および螺旋状RFアンテナ146のどちらか一方または双方にRF電力を供給し、プラズマ140を発生させることができる。RF源150は、インピーダンス整合ネットワーク152を通じてアンテナ126、146に結合することができる。一実施形態においては、インピーダンス整合ネットワーク152は、RF源150の出力インピーダンスをRFアンテナ126、146のインピーダンスに整合させ、RF源150からRFアンテナ126、146に供給される電力を最大化することができる。他のさまざまな構成も設けることができる。
【0030】
プラズマドーピングシステム100は、プラテン134に電気的に接続されたバイアス電源148も備えることができる。一実施形態においては、バイアス電源148は、パルスオン期間およびパルスオフ期間を有するパルス状プラテン信号を供給するよう構成され、パルスオフ期間中ではなくパルスオン期間中に、プラテン134、および、ひいてはワークピース138にバイアスを加えるよう、またプラズマ140からのイオンをワークピース138に向けて加速することができるようにする。バイアス電源148はDCまたはRF電源とすることができる。他の変更形態も用いることができる。
【0031】
プラズマドーピングシステム100は、さらに、プラテン134の周囲に配置した遮蔽リング194を備えることができる。遮蔽リング194にバイアスを印加して、ワークピース138の端縁近傍のイオン注入分布の均一性を改善することができる。環状ファラデーセンサ199のような、1つ以上のファラデーセンサを遮蔽リング194内に配置し、イオンビーム電流を感知することができる。
【0032】
プラズマドーピングシステム100は、さらに、制御器156およびユーザーインタフェースシステム158を備えることができる。一実施形態においては、制御器156は、所望の入力/出力機能を実行するようプログラムした、汎用コンピュータまたは汎用コンピュータのネットワークとすることができる。別の実施例においては、制御器156は、他の電子回路またはコンポーネント、例えば特定用途専用集積回路、他の配線接続またはプログラム可能電子デバイス、個別素子回路等を備えてもよく、また付加的に備えることもできる。さらに別の実施形態においては、制御器156は、通信デバイス、データ記憶デバイス、およびソフトウェアを備えることができる。図1の制御器156は、出力信号を電源148、150に供給し、またファラデーセンサ199から入力信号を受信するよう示したが、制御器156は、プラズマドーピングシステム100の他のコンポーネントに対する出力信号の供給および入力信号の受信も行うことができる。他のさまざまな実施形態も提供することができる。
【0033】
ユーザーインタフェースシステム158は、さまざまなデバイスを備え、ユーザーによる、制御器156を介したコマンド入力および/またはデータを入力、および/またはプラズマドーピングシステム100の監視を可能にする。これらはタッチスクリーン、キーボード、ユーザーポインティングデバイス、ディスプレイ、プリンタ、その他を備えうる。他のさまざまなデバイスも利用することができる。
【0034】
動作にあたり、ガス源104は、ワークピース138内に注入するための所望のドーパントを含む一次ドーパントガスを供給することができる。さまざまな一次ドーパントガスを用いることができる。例えば、一実施形態においては、一次ドーパントガスとしては、Si、C、N、Ge、Sn、Al、Mg、Ag、Au、またはそれらの組み合わせとすることができる。別の実施形態においては、一次ドーパントガスは、ヒ素、ボロン、リン、カルボランC2B10H12、または他の大きな分子化合物である場合もある。さらに別の実施形態においては、一次ドーパントガスは、アルカンまたは別の原子状もしくは分子状の炭素を含有する種とすることができる。他のさまざまな一次ドーパントガスでの実施形態も可能である。
【0035】
ガス圧力制御器116は、一次ドーパントガスをプロセスチャンバ102に供給する流量を制御することができる。ソース構成101はプロセスチャンバ102内でプラズマ140を発生するよう動作することができる。ソース構成101は制御器156によって制御することができる。プラズマ140を発生させるため、RF源150はRFアンテナ126、146のうち少なくとも一方でRF電流を共振させ、プロセスチャンバ102内で電磁場(例えば、振動、DC、またはRF電磁場)を生成し、今度はこの電磁場がプロセスチャンバ102内で一次ドーパントガスを励起およびイオン化して、プラズマ140を発生することができる。
【0036】
バイアス電源148は、パルス状プラテン信号を供給し、プラテン134および、ひいては、ワークピース138にバイアスを印加し、パルス状プラテン信号のパルスオン期間中に、プラズマ140からのイオンをワークピース138に向けて加速することができる。パルス状プラテン信号の周波数および/またはデューティサイクルは、所望のドーズ率が得られるよう選択することができる。パルス状プラテン信号の振幅は所望のエネルギーを生ずるよう選択することができる。他の全てのパラメータを等しくした場合、エネルギーが大きいほど、より深く注入される。
【0037】
図2は本発明の実施形態に係るビームライン型イオン注入機200を示す。図2につき説明すると、ビームライン型イオン注入機200はイオン源280を備え、イオンビーム281を形成するイオンを発生する。イオン源280は、イオンチャンバ283およびイオン化するガスを含むガスボックス(図示せず)を備えることができる。ガスはイオン化を行うイオンチャンバ283に供給される。一実施形態においては、このガスは、ヒ素、ボロン、リン、カルボランC2B10H12、または他の分子化合物を含みうる。別の実施形態においては、このガスは、アルカンまたは他の原子状もしくは分子状の炭素を含有する種とすることができる。イオンチャンバ283で生成したイオンをイオンチャンバ283から抽出し、イオンビーム281を形成することができる。
【0038】
イオンビーム281は、分析磁石282の磁極間に向けて発射する。電源はイオン源280の抽出電極(図示せず)に接続され、調整可能な電圧を供給することができる。例えば、高電流イオン注入機において約0.2〜80kVの電圧を供給することができる。このようにして、イオン源280からの一価に帯電したイオンは、この調整可能電圧によって約0.2〜80keVのエネルギーに加速されうる。
【0039】
イオンビーム281は、抑制電極284および接地電極285を通過し質量分析器286に達することができる。図2に示したように、質量分析器286は分析磁石282を備えることができる。質量分析器286はイオンビーム281を分析開口289のあるマスキング電極288に向けて発射することができる。別の実施形態において、質量分析器286は、分析磁石282および分析開口289を有するマスキング電極288を備えることができる。分析磁石282は、イオンビーム281のイオンを偏向させ、所望のイオン種のイオンは分析開口289を通過するようにし、望ましくないイオン種のイオンは分析開口289を通過しないようにすることができる。代わりに、このような望ましくないイオン種はマスキング電極288によって阻止してもよい。一実施形態においては、例えば、分析磁石282は所望種のイオンを約90°偏向させることができる。
【0040】
所望イオン種のイオンは分析開口289を通過して角度補正磁石294に達することができる。そして角度補正磁石294は所望イオン種のイオンを偏向させ、イオンビームを発散イオンビームから、ほぼ平行な軌道を有するイオンを含む、リボン状イオンビーム212に変換することができる。一実施形態においては、例えば、角度補正磁石294は所望イオン種のイオンを約70°偏向させることができる。
【0041】
別の実施形態においては、ビームライン型イオン注入機200は、加速装置または減速装置も備えることができる。他のさまざまな実施形態を提供することもできる。
【0042】
エンドステーション211は、リボン状イオンビーム212の経路上において、ワークピース238のような、1個以上のワークピースを支持し、所望種のイオンをワークピース238内に注入するようにすることができる。エンドステーション211はワークピース238を支持するプラテン295を備えることができる。エンドステーション211は、リボン状イオンビーム212の断面の長手寸法に直交する方向にワークピース238を移動するためのスキャナー(図示せず)も備え、これによってワークピース238の表面全体にわたりイオンを分布させることができる。リボン状イオンビーム212を図2に示したが、例えば、スポットビームのような、他のさまざまなビーム構成にすることができることを理解されたい。
【0043】
イオン注入機200は付加的なコンポーネントを有することができる。例えば、一実施形態においては、エンドステーション211は、ワークピースをビームライン型イオン注入機200中に導入し、またイオン注入後にワークピースを取り出すための自動ワークピース取り扱い装置も設けることができる。別の実施形態においては、エンドステーション211には、ドーズ測定システム、電子フラッドガン、または他の同様なコンポーネントも設けることができる。イオンビーム212が横断する全経路もイオン注入中に真空状態にすることを理解されたい。さらに、ビームライン型イオン注入機200はイオンの高温または低温イオン注入に対しても設けることができると理解されたい。
【0044】
本発明の実施形態は、適合タイプの分子の形成を可能にする。例えば、イオン源内で適合分子のその場生成を発生させることができる。こうした、注入のための適合分子/分子イオン(例えばCaPbHc)の生成により、ワークピースのアモルファス化を増進することができる。さらに、このような分子種を使用することにより、1分子あたりの炭素原子の個数に応じた所定のビームエネルギーで注入する炭素量を増加させることができる。
【0045】
本発明の少なくともいくつかの実施形態において、イオン注入の技術を提供し、生成された分子イオンの注入によって生じるアモルファス化を改善することができる。多数のパラメータを調整して、アモルファス化を改善することができる。第1に、例えば、イオン注入ドーズを増加させると、ワークピースのアモルファス/結晶界面をより深くすることができ、それによってアモルファスを改善することができる。しかし、ゲート誘導ダイオードリーク電流(GIDL:gate-induced diode leakage)は炭素に付随する傾向があるので、このようなアモルファス化には限界がある。
【0046】
第2に、イオン注入ドーズ率の増加もワークピースのアモルファス/結晶界面を深くするので、ドーズ率の増加によってもアモルファス化を改善することができる。しかし、このような効果はビーム電流を生成するイオン源の性能によって制限される。
【0047】
第3に、1分子あたりの原子の個数を増加すると、ワークピースのアモルファス化をより迅速に、またより深くすることができる。このように、イオン注入ドーズ率の変化と同じ効果をもたらす。
【0048】
分子は、各質量に基づいて構成原子間で総エネルギーを共有することもできる。例えば、深い注入では、原子は高エネルギーを有し、この高エネルギーは、イオン注入機における磁石のイオンビームを曲げる能力、または印加可能な加速電圧によって制限される。
【0049】
第4に、アモルファス化はワークピースの温度を低減させることで改善することができる。ゲルマニウムのような重い種には、温度効果は小さいが、温度の低減により、最終的には、より深いアモルファス化を生じ、またより平滑なアモルファス/結晶界面を生成することができる。最終的に、これにより、固相エピタキシヤル再成長(SPER:solid phase epitaxial regrowth)のような再成長の後の損傷を低減させることができる。
【0050】
例示として、アモルファス化を改善するために、エタン(C2H6)を用いて、多くの上述の方法を活用できることを理解されたい。例えば、エタンは、単純な前駆体(例えば、エタン、プロパン等)により標準的なイオン源(例えば、傍熱陰極(IHC))内で生成することができることを理解されたい。ある実施形態においては、低温を用いてエタンでのアモルファス化を改善することができる。また他の実施形態において、ホスフィン(PH3)または他の類似した種を標準的なイオン源へ流し入れることにより、分子イオン、例えばCaPbHcのその場生成を起こしやすくすることができる。CaPbHc分子イオンのこうした生成および注入により、アモルファス化および歪み形成が改善され、イオン注入の生産性を高めることができる。本実施形態ではエタンおよびホスフィンの使用を指定しているが、エタンに類似する他の炭素含有種および/またはホスフィンに類似する他のリン含有種を使用することもできる。
【0051】
上記のように、半導体製造において、炭素含有種およびリン含有種を用いることができる。より詳しくは、炭素含有種(例えばエタン)およびリン含有種(例えばホスフィン)を用いて分子(例えばCaPbHc分子イオン)をその場生成する利点は相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal-oxide-semiconductor)装置製造における、極浅接合(USJ)およびシリコン−炭素歪みの形成において容易に明らかだろう。例えば、CaPbHc分子イオンは、表面における衝突後に、炭素原子がワークピースの結晶格子表面からシリコン原子を除去する効率を高めることができる。これにより、CaPbHc分子イオンが、歪みを生じる置換型炭素をもたらす効果および自己アモルファス化する機能はさらに高まる。
【0052】
n型酸化金属半導体(NMOS:n-type metal-oxide-semiconductor)装置の製造において、シリコン−炭素形成に続いて、リン、ヒ素、または他の類似注入を行う。さらに、NMOSソース/ドレイン拡張部(SDEs:source/drain extensions)は、活性ドーパントとして炭素およびリンを含む。このような場合、炭素はドーパントの拡散を抑制し、リンが活性ドーパントとして機能する。このように、エタンおよびホスフィンを、例えばIHCに流し入れると、CaPbHc分子イオンが、チャンバ183、283内のその場で生成され、イオン化させることができる。
【0053】
図3は、本発明の一実施例に係る炭素含有種およびリン含有種を用いてその場生成する分子イオン用いたイオン注入の効果を表す例示的なグラフ300を示す。詳しくは、図3において、炭素含有種としてエタンを、またリン含有種としてホスフィンの使用を示し、イオン源の中でCaPbHc分子イオンを生成し、それにより、上記のようにアモルファス化を増進し、注入に理想的である、十分に急峻なプロファイルを得ることができる。
【0054】
したがって、さまざまな種(例えば炭素含有種およびリン含有種)を流すことによってその場生成されるCaPbHc分子イオンの注入は、イオン注入に有益な適合分子生成のテンプレートとなりうる。例えば、この種の分子のその場生成によって、イオン注入のより効率的なモデルが提供される。例えば、その場生成により、イオン注入の工程数が低減される。加えて、従来と異なる種の組み合わせや他のさまざまな技術の組み合わせによってさらなる恩恵がもたらされ、総体的にイオン注入強化することができる。
【0055】
例えば、炭素含有種およびリン含有種を流すことによってその場生成するCaPbHc分子イオンの注入により、極浅注入および歪み設計が改善される。また、CaPbHc分子イオンの注入を実施して極浅接合(USJ)を形成する。USJを注入するために、ワークピースをアモルファス化し、ドーパント(例えばホウ素、リン、その他)がワークピースの結晶格子内に、チャネルを形成しないようにすることができる。炭素を注入してアモルファス層を形成する。例えば、炭素含有種およびリン含有種を流すことによって、CaPbHc分子イオンがその場生成し、ホウ素またはリンのより良好な活性化をもたらす。これらの種はドーパントプロファイルをより浅くし、更にワークピースの結晶格子の中でのチャンネル形成を防止する。特に、炭素は活性部位に対してホウ素またはリンと競合し、これによって、ホウ素またはリンの拡散を抑制することができる。単に一例のみを説明したが、他の極浅注入も、CaPbHc分子イオンの注入による同様の方法によって実施できることを理解されたい。
【0056】
さらにまた、分子イオン(例えばCaPbHc分子イオン)の注入を実施して、歪みを発生させてもよい。歪みを発生させるためにワークピースに注入する炭素は、ワークピースの結晶格子から、原子を追い出すことができる。例えば、ケイ素またはゲルマニウム原子を、このような結晶格子から追い出すことができる。炭素含有種が多数の炭素原子を有する分子化合物である場合、炭素原子がワークピースの結晶格子から原子を追い出す可能性が高まる。このように、CaPbHc分子イオンを生成するために炭素含有種およびリン含有種を導入することにより、アモルファス化および歪みを増強させることができる。
【0057】
したがって、上記の条件におけるCaPbHc分子イオンの注入により、特にUSJを形成する過程において、アモルファス化および歪みの効果を大幅に改善し、イオン注入を最適化することができる。
【0058】
また、本発明の実施形態はRFモードで動作するプラズマドーピングシステムを用いた注入を目的としているが、他の実施態様、システム、および/または運転モードでも実施可能であることを理解されたい。例えば、これらは、グロー放電プラズマドーピング(GD−PLAD:glow discharge plasma doping)等の、他のプラズマベースのイオン注入・システム、または他のイオン注入・システムを含みうる。
【0059】
また、本発明の実施形態は分子イオン(例えばCaPbHc分子イオン)をイオン源内でその場生成することを目的とするが、分子イオンの生成はイオン源の外で起こってもよいことを理解されたい。他のさまざまな実施形態も実施しうる。
【0060】
また、本発明の実施形態では、炭素含有種およびリン含有種を用いた分子イオンの生成が記載されているが、他の類似した注入種を用いることもできることを理解されたい。
【0061】
さらに、開示された実施形態はいくつかの動作モードを提供するだけでなく、これらさまざまなモードは、特に明記はしなくとも、さらなる注入のカスタム化が可能であることを理解されたい。
【0062】
本発明は本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲を限定されない。実際に、本明細書に記載したものに加え、本発明の他のさまざまな実施形態および変更は、上述の説明および添付図面から当業者には明白であろう。したがって、このような他の実施形態および変更も本発明の範囲内に含むことを意図する。さらに、本発明は、特定の目的のための、特定の環境下における特定の実施形態との関連で説明したが、当業者であれば、その有効性はこれのみに限定されず、本発明は、任意の目的のために、任意の環境下において有利に実施することができることを認識されたい。従って、以下に記載する特許請求の範囲は本明細書に記載の本発明の最大範囲および精神を考慮して解釈すべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にイオン注入に関し、より詳細には、分子イオンのイオン注入技術に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入は、加速したイオンを基板に直接衝突させることによって基板に化学種を堆積させるプロセスである。半導体製造において、イオン注入機は主に、ターゲット材料の導電性の型およびレベルを変化させるドーピング処理に用いられる。集積回路(IC:integrated circuit)基板およびその薄膜構造における適切なドーピングプロファイルは、良好なIC性能にとって極めて重要であることが多い。所望のドーピングプロファイルを得るために、1つ以上のイオン種を異なる注入量および異なるエネルギーレベルで注入することができる。
【0003】
さらに、イオン注入は、導電性変更不純物を半導体ウェハに導入するための現在最も一般的な技術である。こうしたイオン注入において、所望の不純物材料は、イオン源でイオン化し、発生したイオンを加速して所定エネルギーのイオンビームを形成し、そしてイオンビームを半導体ウェハの表面に照射する。イオンビーム中の高エネルギーイオンは、半導体ウェハの半導体材料に貫入し、半導体材料の結晶格子内に埋め込まれ、所望の導電性を有する領域を形成する。
【0004】
イオン源において、通常、気体または固体材料がイオンビームに変換される。通常、イオンビームは、望ましくないイオン種を排除するために質量分析され、所望のエネルギーまで加速され、さらに半導体ウェハ表面に照射される。イオンビームは、ビーム走査、ウェハ移動、またはビーム走査およびウェハ移動の組み合わせによって、半導体ウェハ表面領域にわたって施すことができる。イオンビームは、スポット状ビーム、または長手寸法と短手寸法を有するリボン状ビームとすることができる。
【0005】
炭素は、別のプリアモルファス化注入(PAI:pre-amorphization implant)種、例えばゲルマニウム、ボロン等と併用される共注入(co-implant)種として用いることがきる。この着想は、極浅注入不純物とPAI種によって生じたエンドオブレンジ(EOR:end of range)欠陥部との間に炭素を配置することにある。置換炭素は、過渡的増速拡散(TED:transient enhanced diffusion)およびボロン格子間クラスター(BIC:boron interstitial cluster)形成を生じる可能性があるアニール工程中にEORから戻ってくる若干の格子間原子を防ぐことができる。しかし、炭素の位置はPAI種の位置としばしば重なるため、炭素注入自体がPAIに寄与しうる。したがって、炭素そのものもPAI種として用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
炭素を用いて、局所的な圧縮歪みを形成することもできる。そのため、トランジスタ素子のソース/ドレインをシリコン炭素(SiC:silicon carbon)で形成する場合、炭素注入によってトランジスタ素子のチャネルに引張歪みを発生させることができる。トランジスタ素子のシリコン格子内への炭素取り込みにはエピタキシル成長を必要とする場合があり、あるいはシリコン格子内への高ドーズの炭素注入によりアモルファス化が起きる可能性がある。また、再成長において炭素をシリコン格子に取り込み、アモルファス化を起こすこともできる。結果として、アモルファス化および応力は、双方ともに、半導体製造業者にとって考慮すべき重要な因子である。
【0007】
従って、上述の観点から、イオン注入、特に、分子イオン注入に対する現在の技術に関して重大な問題点および欠点があることを理解されたい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
分子イオンのイオン注入の技術を開示する。一実施形態において、本技術は、分子イオンがイオン源内でその場生成され、所定温度で分子イオンをターゲット材料に注入し、ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するイオン注入機を備えるイオン注入装置として実現することができる。
【0009】
本実施形態の別の態様によれば、分子イオンは2つ以上の種を用いて生成してもよい。
【0010】
本実施形態のさらに別の態様によれば、分子イオンはCaPbHc分子イオンであってもよい。
【0011】
本実施形態のまた別の態様によれば、分子イオンは炭素含有種およびリン含有種を用いて生成してもよい。
【0012】
本実施形態の別の態様によれば、炭素含有種はエタンおよび/もしくは分子炭素、アルカン、およびアルケンのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0013】
本実施形態のさらに別の態様によれば、リン含有種は、ホスフィンであってもよい。
【0014】
本実施形態のまた別の態様によれば、ターゲット材料に注入することにより歪みを発生させ、ターゲット材料に極浅接合(USJ:ultra-shallow junction)を形成してもよい。
【0015】
本実施形態の別の態様によれば、イオン注入機はさらに、ドーズ、ドーズ率、炭素含有種に含まれる原子の数、原子エネルギー、圧力、および所定温度のうち少なくとも1つを制御して、歪みおよびアモルファス化の少なくとも一方をさらに改善してもよい。
【0016】
別の実施形態によれば、本技術は、分子イオンがイオン源内その場で生成され、所定温度で分子イオンをターゲット材料に注入し、ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するイオン注入機を備えるイオン注入方法として実現することができる。
【0017】
さらに別の実施形態によれば、本技術は、所定温度で分子イオンをターゲット材料に注入し、ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するイオン注入機を有し、分子イオンは、炭素含有種およびリン含有種を用いてイオン源内でその場生成される装置として実現することができる。
【0018】
本発明を、添付図面で示した実施形態を参照してより詳細に説明する。本発明は、実施形態を参照して以下に記載するが、本発明はそれら実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。本明細書の教示を入手できる当業者は、本明細書に記載した本発明の範囲内において、また本発明が極めて有利となる点に関して、付加的な実施、変更、および実施形態、ならびに他の利用分野を認識できるであろう。
【0019】
本発明の十分な理解を容易にするため、添付図面につき以下に説明し、これら図面において同一の構成要素に対しては、同一の参照符号を付して示す。これらの図面は本発明を限定するものと解釈すべきではなく、単に例示のみを目的とすることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るプラズマドーピングシステムの部分断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るビームラインイオン注入機を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る分子イオンを用いたイオン注入の効果を示す例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態は、分子イオンのイオン注入技術を提供する。
【0022】
こうした技術の一部または関連する技術として、分子イオンを、ワークピース、例えば半導体ウェハ内に注入することができる。これら分子イオンの化学式は、多様に変化し得る。従って、本明細書で提示する化学式においては、Cは炭素を表し、Bはボロンを表し、Hは水素を表し、Pはリンを表し、またSiはシリコンを表す。実施形態において、化学式はCaXbYcで表す場合があり、ただしa>0、b>0およびc>0とする。この例では、CaXbYcは分子イオンを表してもよい。他の実施形態において、XおよびYを用いてそれぞれ少なくとも1つの元素を表すことができる。例えば、Xおよび/またはYは単独元素(例えばX=P、Y=H)を表す場合があり、他に、Xおよび/またはYは1つ以上の元素(例えば、X=NH4、NH3、CH3)を表す場合がある。また、例えばCXYのような化学式は、XCYまたはCYXのような異なる順序で同一の元素を含む、他の等価な化学式によって表すこともできることを理解されたい。
【0023】
状況によっては、Yは少なくとも水素を表すことができる(例えば、化学式はCaXbHcを含む)。さらに場合によっては、Xは少なくともリンを表すことができる(例えば、化学式はCaPbYcを含む)。また別の実施形態においては、C、X、および/またはYの位置に、他の元素または元素群をもつCaXbYcの誘導体を使用できることを理解されたい。また、置換基は任意の適切な無機または有機種とすることができることも理解されたい。
【0024】
ある実施形態において化学式CaPbHcが用いられたとしても、他にも多様な実施形態が提供される。例えば、分子/分子イオンは、化学式CBYまたはXBYを含む分子のみに限定するものではないことを理解されたい。例えば、分子/分子イオンは、デカボランまたはオクタデカボランなどの炭素含有種とすることができる。他に、炭素含有種はアルカン、例えばメタン、プロパン、またはブタンとすることができる。他のさまざまな実施形態も提供することができる。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係るプラズマドーピングシステム100を示す。図1につき説明すると、プラズマドーピングシステム100は、密閉容積空間103を画定するプロセスチャンバ102を有する。プラテン134は、プロセスチャンバ102内に配置されてワークピース138を支持する。一実施形態において、ワークピース138はディスク形状の半導体ウェハとすることができる。例えば、300ミリメートル(mm)直径のシリコンウェハを使用することができる。別の実施形態においては、ワークピース138はプラテン134の平坦表面上に静電的または機械的な力によって固定される。さらに他の実施形態においては、プラテン134は導電性ピン(図示せず)を備え、ワークピース138との接続を形成することができる。他のさまざまな実施形態も提供できる。
【0026】
プラズマドーピングシステム100はガス源104も備え、ドーバントガスを、質量流量制御器106を経て密閉容積空間103に供給する。ガスバッフル170をプロセスチャンバ102内に配置し、ガス源104からのガスの流れを偏向させることができる。圧力計108を設け、プロセスチャンバ102内部の圧力を計測することができる。真空ポンプ112を用いて、プロセスチャンバ102の排気口110を通じて、プロセスチャンバ102から排気ガスを排出することができる。排気バルブ114は排気口110を通る排気ガスの排出量を制御することができる。
【0027】
プラズマドーピングシステム100は、さらに、質量流量制御器106、圧力計108、および排気バルブ114に電気的に接続されたガス圧力制御器116を備えることができる。ガス圧力制御器116は、圧力計108に応じたフィードバックループにおいて、排気バルブ114を用いて排出量を制御するか、または質量流量制御器106を用いてプロセスガスの流量を制御するかのいずれかによって、プロセスチャンバ内を所望圧力に維持するよう構成できる。
【0028】
プロセスチャンバ102はチャンバ頂部118を有し、このチャンバ頂部118は、ほぼ水平方向に延在する、誘電材料で形成した第1区域120を備える。チャンバ頂部118は、さらに、第1区域120からほぼ垂直方向に高さを延在させた、誘電材料で形成した第2区域122も備える。チャンバ頂部118は、さらに、第2区域122にわたって水平方向に延在する、電気的および熱的伝導性材料で形成したフタ124を備える。フタ124は、グラウンドに接続することもできる。
【0029】
プラズマドーピングシステム100は、さらに、プロセスチャンバ102内でプラズマ140を発生するよう構成したソース構成101を備える。ソース構成101は、電源のようなRF源150を備え、平面状RFアンテナ126および螺旋状RFアンテナ146のどちらか一方または双方にRF電力を供給し、プラズマ140を発生させることができる。RF源150は、インピーダンス整合ネットワーク152を通じてアンテナ126、146に結合することができる。一実施形態においては、インピーダンス整合ネットワーク152は、RF源150の出力インピーダンスをRFアンテナ126、146のインピーダンスに整合させ、RF源150からRFアンテナ126、146に供給される電力を最大化することができる。他のさまざまな構成も設けることができる。
【0030】
プラズマドーピングシステム100は、プラテン134に電気的に接続されたバイアス電源148も備えることができる。一実施形態においては、バイアス電源148は、パルスオン期間およびパルスオフ期間を有するパルス状プラテン信号を供給するよう構成され、パルスオフ期間中ではなくパルスオン期間中に、プラテン134、および、ひいてはワークピース138にバイアスを加えるよう、またプラズマ140からのイオンをワークピース138に向けて加速することができるようにする。バイアス電源148はDCまたはRF電源とすることができる。他の変更形態も用いることができる。
【0031】
プラズマドーピングシステム100は、さらに、プラテン134の周囲に配置した遮蔽リング194を備えることができる。遮蔽リング194にバイアスを印加して、ワークピース138の端縁近傍のイオン注入分布の均一性を改善することができる。環状ファラデーセンサ199のような、1つ以上のファラデーセンサを遮蔽リング194内に配置し、イオンビーム電流を感知することができる。
【0032】
プラズマドーピングシステム100は、さらに、制御器156およびユーザーインタフェースシステム158を備えることができる。一実施形態においては、制御器156は、所望の入力/出力機能を実行するようプログラムした、汎用コンピュータまたは汎用コンピュータのネットワークとすることができる。別の実施例においては、制御器156は、他の電子回路またはコンポーネント、例えば特定用途専用集積回路、他の配線接続またはプログラム可能電子デバイス、個別素子回路等を備えてもよく、また付加的に備えることもできる。さらに別の実施形態においては、制御器156は、通信デバイス、データ記憶デバイス、およびソフトウェアを備えることができる。図1の制御器156は、出力信号を電源148、150に供給し、またファラデーセンサ199から入力信号を受信するよう示したが、制御器156は、プラズマドーピングシステム100の他のコンポーネントに対する出力信号の供給および入力信号の受信も行うことができる。他のさまざまな実施形態も提供することができる。
【0033】
ユーザーインタフェースシステム158は、さまざまなデバイスを備え、ユーザーによる、制御器156を介したコマンド入力および/またはデータを入力、および/またはプラズマドーピングシステム100の監視を可能にする。これらはタッチスクリーン、キーボード、ユーザーポインティングデバイス、ディスプレイ、プリンタ、その他を備えうる。他のさまざまなデバイスも利用することができる。
【0034】
動作にあたり、ガス源104は、ワークピース138内に注入するための所望のドーパントを含む一次ドーパントガスを供給することができる。さまざまな一次ドーパントガスを用いることができる。例えば、一実施形態においては、一次ドーパントガスとしては、Si、C、N、Ge、Sn、Al、Mg、Ag、Au、またはそれらの組み合わせとすることができる。別の実施形態においては、一次ドーパントガスは、ヒ素、ボロン、リン、カルボランC2B10H12、または他の大きな分子化合物である場合もある。さらに別の実施形態においては、一次ドーパントガスは、アルカンまたは別の原子状もしくは分子状の炭素を含有する種とすることができる。他のさまざまな一次ドーパントガスでの実施形態も可能である。
【0035】
ガス圧力制御器116は、一次ドーパントガスをプロセスチャンバ102に供給する流量を制御することができる。ソース構成101はプロセスチャンバ102内でプラズマ140を発生するよう動作することができる。ソース構成101は制御器156によって制御することができる。プラズマ140を発生させるため、RF源150はRFアンテナ126、146のうち少なくとも一方でRF電流を共振させ、プロセスチャンバ102内で電磁場(例えば、振動、DC、またはRF電磁場)を生成し、今度はこの電磁場がプロセスチャンバ102内で一次ドーパントガスを励起およびイオン化して、プラズマ140を発生することができる。
【0036】
バイアス電源148は、パルス状プラテン信号を供給し、プラテン134および、ひいては、ワークピース138にバイアスを印加し、パルス状プラテン信号のパルスオン期間中に、プラズマ140からのイオンをワークピース138に向けて加速することができる。パルス状プラテン信号の周波数および/またはデューティサイクルは、所望のドーズ率が得られるよう選択することができる。パルス状プラテン信号の振幅は所望のエネルギーを生ずるよう選択することができる。他の全てのパラメータを等しくした場合、エネルギーが大きいほど、より深く注入される。
【0037】
図2は本発明の実施形態に係るビームライン型イオン注入機200を示す。図2につき説明すると、ビームライン型イオン注入機200はイオン源280を備え、イオンビーム281を形成するイオンを発生する。イオン源280は、イオンチャンバ283およびイオン化するガスを含むガスボックス(図示せず)を備えることができる。ガスはイオン化を行うイオンチャンバ283に供給される。一実施形態においては、このガスは、ヒ素、ボロン、リン、カルボランC2B10H12、または他の分子化合物を含みうる。別の実施形態においては、このガスは、アルカンまたは他の原子状もしくは分子状の炭素を含有する種とすることができる。イオンチャンバ283で生成したイオンをイオンチャンバ283から抽出し、イオンビーム281を形成することができる。
【0038】
イオンビーム281は、分析磁石282の磁極間に向けて発射する。電源はイオン源280の抽出電極(図示せず)に接続され、調整可能な電圧を供給することができる。例えば、高電流イオン注入機において約0.2〜80kVの電圧を供給することができる。このようにして、イオン源280からの一価に帯電したイオンは、この調整可能電圧によって約0.2〜80keVのエネルギーに加速されうる。
【0039】
イオンビーム281は、抑制電極284および接地電極285を通過し質量分析器286に達することができる。図2に示したように、質量分析器286は分析磁石282を備えることができる。質量分析器286はイオンビーム281を分析開口289のあるマスキング電極288に向けて発射することができる。別の実施形態において、質量分析器286は、分析磁石282および分析開口289を有するマスキング電極288を備えることができる。分析磁石282は、イオンビーム281のイオンを偏向させ、所望のイオン種のイオンは分析開口289を通過するようにし、望ましくないイオン種のイオンは分析開口289を通過しないようにすることができる。代わりに、このような望ましくないイオン種はマスキング電極288によって阻止してもよい。一実施形態においては、例えば、分析磁石282は所望種のイオンを約90°偏向させることができる。
【0040】
所望イオン種のイオンは分析開口289を通過して角度補正磁石294に達することができる。そして角度補正磁石294は所望イオン種のイオンを偏向させ、イオンビームを発散イオンビームから、ほぼ平行な軌道を有するイオンを含む、リボン状イオンビーム212に変換することができる。一実施形態においては、例えば、角度補正磁石294は所望イオン種のイオンを約70°偏向させることができる。
【0041】
別の実施形態においては、ビームライン型イオン注入機200は、加速装置または減速装置も備えることができる。他のさまざまな実施形態を提供することもできる。
【0042】
エンドステーション211は、リボン状イオンビーム212の経路上において、ワークピース238のような、1個以上のワークピースを支持し、所望種のイオンをワークピース238内に注入するようにすることができる。エンドステーション211はワークピース238を支持するプラテン295を備えることができる。エンドステーション211は、リボン状イオンビーム212の断面の長手寸法に直交する方向にワークピース238を移動するためのスキャナー(図示せず)も備え、これによってワークピース238の表面全体にわたりイオンを分布させることができる。リボン状イオンビーム212を図2に示したが、例えば、スポットビームのような、他のさまざまなビーム構成にすることができることを理解されたい。
【0043】
イオン注入機200は付加的なコンポーネントを有することができる。例えば、一実施形態においては、エンドステーション211は、ワークピースをビームライン型イオン注入機200中に導入し、またイオン注入後にワークピースを取り出すための自動ワークピース取り扱い装置も設けることができる。別の実施形態においては、エンドステーション211には、ドーズ測定システム、電子フラッドガン、または他の同様なコンポーネントも設けることができる。イオンビーム212が横断する全経路もイオン注入中に真空状態にすることを理解されたい。さらに、ビームライン型イオン注入機200はイオンの高温または低温イオン注入に対しても設けることができると理解されたい。
【0044】
本発明の実施形態は、適合タイプの分子の形成を可能にする。例えば、イオン源内で適合分子のその場生成を発生させることができる。こうした、注入のための適合分子/分子イオン(例えばCaPbHc)の生成により、ワークピースのアモルファス化を増進することができる。さらに、このような分子種を使用することにより、1分子あたりの炭素原子の個数に応じた所定のビームエネルギーで注入する炭素量を増加させることができる。
【0045】
本発明の少なくともいくつかの実施形態において、イオン注入の技術を提供し、生成された分子イオンの注入によって生じるアモルファス化を改善することができる。多数のパラメータを調整して、アモルファス化を改善することができる。第1に、例えば、イオン注入ドーズを増加させると、ワークピースのアモルファス/結晶界面をより深くすることができ、それによってアモルファスを改善することができる。しかし、ゲート誘導ダイオードリーク電流(GIDL:gate-induced diode leakage)は炭素に付随する傾向があるので、このようなアモルファス化には限界がある。
【0046】
第2に、イオン注入ドーズ率の増加もワークピースのアモルファス/結晶界面を深くするので、ドーズ率の増加によってもアモルファス化を改善することができる。しかし、このような効果はビーム電流を生成するイオン源の性能によって制限される。
【0047】
第3に、1分子あたりの原子の個数を増加すると、ワークピースのアモルファス化をより迅速に、またより深くすることができる。このように、イオン注入ドーズ率の変化と同じ効果をもたらす。
【0048】
分子は、各質量に基づいて構成原子間で総エネルギーを共有することもできる。例えば、深い注入では、原子は高エネルギーを有し、この高エネルギーは、イオン注入機における磁石のイオンビームを曲げる能力、または印加可能な加速電圧によって制限される。
【0049】
第4に、アモルファス化はワークピースの温度を低減させることで改善することができる。ゲルマニウムのような重い種には、温度効果は小さいが、温度の低減により、最終的には、より深いアモルファス化を生じ、またより平滑なアモルファス/結晶界面を生成することができる。最終的に、これにより、固相エピタキシヤル再成長(SPER:solid phase epitaxial regrowth)のような再成長の後の損傷を低減させることができる。
【0050】
例示として、アモルファス化を改善するために、エタン(C2H6)を用いて、多くの上述の方法を活用できることを理解されたい。例えば、エタンは、単純な前駆体(例えば、エタン、プロパン等)により標準的なイオン源(例えば、傍熱陰極(IHC))内で生成することができることを理解されたい。ある実施形態においては、低温を用いてエタンでのアモルファス化を改善することができる。また他の実施形態において、ホスフィン(PH3)または他の類似した種を標準的なイオン源へ流し入れることにより、分子イオン、例えばCaPbHcのその場生成を起こしやすくすることができる。CaPbHc分子イオンのこうした生成および注入により、アモルファス化および歪み形成が改善され、イオン注入の生産性を高めることができる。本実施形態ではエタンおよびホスフィンの使用を指定しているが、エタンに類似する他の炭素含有種および/またはホスフィンに類似する他のリン含有種を使用することもできる。
【0051】
上記のように、半導体製造において、炭素含有種およびリン含有種を用いることができる。より詳しくは、炭素含有種(例えばエタン)およびリン含有種(例えばホスフィン)を用いて分子(例えばCaPbHc分子イオン)をその場生成する利点は相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal-oxide-semiconductor)装置製造における、極浅接合(USJ)およびシリコン−炭素歪みの形成において容易に明らかだろう。例えば、CaPbHc分子イオンは、表面における衝突後に、炭素原子がワークピースの結晶格子表面からシリコン原子を除去する効率を高めることができる。これにより、CaPbHc分子イオンが、歪みを生じる置換型炭素をもたらす効果および自己アモルファス化する機能はさらに高まる。
【0052】
n型酸化金属半導体(NMOS:n-type metal-oxide-semiconductor)装置の製造において、シリコン−炭素形成に続いて、リン、ヒ素、または他の類似注入を行う。さらに、NMOSソース/ドレイン拡張部(SDEs:source/drain extensions)は、活性ドーパントとして炭素およびリンを含む。このような場合、炭素はドーパントの拡散を抑制し、リンが活性ドーパントとして機能する。このように、エタンおよびホスフィンを、例えばIHCに流し入れると、CaPbHc分子イオンが、チャンバ183、283内のその場で生成され、イオン化させることができる。
【0053】
図3は、本発明の一実施例に係る炭素含有種およびリン含有種を用いてその場生成する分子イオン用いたイオン注入の効果を表す例示的なグラフ300を示す。詳しくは、図3において、炭素含有種としてエタンを、またリン含有種としてホスフィンの使用を示し、イオン源の中でCaPbHc分子イオンを生成し、それにより、上記のようにアモルファス化を増進し、注入に理想的である、十分に急峻なプロファイルを得ることができる。
【0054】
したがって、さまざまな種(例えば炭素含有種およびリン含有種)を流すことによってその場生成されるCaPbHc分子イオンの注入は、イオン注入に有益な適合分子生成のテンプレートとなりうる。例えば、この種の分子のその場生成によって、イオン注入のより効率的なモデルが提供される。例えば、その場生成により、イオン注入の工程数が低減される。加えて、従来と異なる種の組み合わせや他のさまざまな技術の組み合わせによってさらなる恩恵がもたらされ、総体的にイオン注入強化することができる。
【0055】
例えば、炭素含有種およびリン含有種を流すことによってその場生成するCaPbHc分子イオンの注入により、極浅注入および歪み設計が改善される。また、CaPbHc分子イオンの注入を実施して極浅接合(USJ)を形成する。USJを注入するために、ワークピースをアモルファス化し、ドーパント(例えばホウ素、リン、その他)がワークピースの結晶格子内に、チャネルを形成しないようにすることができる。炭素を注入してアモルファス層を形成する。例えば、炭素含有種およびリン含有種を流すことによって、CaPbHc分子イオンがその場生成し、ホウ素またはリンのより良好な活性化をもたらす。これらの種はドーパントプロファイルをより浅くし、更にワークピースの結晶格子の中でのチャンネル形成を防止する。特に、炭素は活性部位に対してホウ素またはリンと競合し、これによって、ホウ素またはリンの拡散を抑制することができる。単に一例のみを説明したが、他の極浅注入も、CaPbHc分子イオンの注入による同様の方法によって実施できることを理解されたい。
【0056】
さらにまた、分子イオン(例えばCaPbHc分子イオン)の注入を実施して、歪みを発生させてもよい。歪みを発生させるためにワークピースに注入する炭素は、ワークピースの結晶格子から、原子を追い出すことができる。例えば、ケイ素またはゲルマニウム原子を、このような結晶格子から追い出すことができる。炭素含有種が多数の炭素原子を有する分子化合物である場合、炭素原子がワークピースの結晶格子から原子を追い出す可能性が高まる。このように、CaPbHc分子イオンを生成するために炭素含有種およびリン含有種を導入することにより、アモルファス化および歪みを増強させることができる。
【0057】
したがって、上記の条件におけるCaPbHc分子イオンの注入により、特にUSJを形成する過程において、アモルファス化および歪みの効果を大幅に改善し、イオン注入を最適化することができる。
【0058】
また、本発明の実施形態はRFモードで動作するプラズマドーピングシステムを用いた注入を目的としているが、他の実施態様、システム、および/または運転モードでも実施可能であることを理解されたい。例えば、これらは、グロー放電プラズマドーピング(GD−PLAD:glow discharge plasma doping)等の、他のプラズマベースのイオン注入・システム、または他のイオン注入・システムを含みうる。
【0059】
また、本発明の実施形態は分子イオン(例えばCaPbHc分子イオン)をイオン源内でその場生成することを目的とするが、分子イオンの生成はイオン源の外で起こってもよいことを理解されたい。他のさまざまな実施形態も実施しうる。
【0060】
また、本発明の実施形態では、炭素含有種およびリン含有種を用いた分子イオンの生成が記載されているが、他の類似した注入種を用いることもできることを理解されたい。
【0061】
さらに、開示された実施形態はいくつかの動作モードを提供するだけでなく、これらさまざまなモードは、特に明記はしなくとも、さらなる注入のカスタム化が可能であることを理解されたい。
【0062】
本発明は本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲を限定されない。実際に、本明細書に記載したものに加え、本発明の他のさまざまな実施形態および変更は、上述の説明および添付図面から当業者には明白であろう。したがって、このような他の実施形態および変更も本発明の範囲内に含むことを意図する。さらに、本発明は、特定の目的のための、特定の環境下における特定の実施形態との関連で説明したが、当業者であれば、その有効性はこれのみに限定されず、本発明は、任意の目的のために、任意の環境下において有利に実施することができることを認識されたい。従って、以下に記載する特許請求の範囲は本明細書に記載の本発明の最大範囲および精神を考慮して解釈すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入方法であって、該方法は、
ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するために、前記ターゲット材料に、所定温度で分子イオンを注入するステップを有し、前記分子イオンはイオン源内でその場生成されることを特徴とするイオン注入方法。
【請求項2】
前記分子イオンが2つ以上の種を用いて生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分子イオンがCaPbHc分子イオンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記分子イオンが炭素含有種およびリン含有種を用いて生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素含有種が、エタンであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記炭素含有種が、分子炭素、アルカン、およびアルケンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記リン含有種が、ホスフィンであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ターゲット材料に注入することにより歪みを発生させ、前記ターゲット材料に極浅接合(USJ)を形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
歪みおよびアモルファス化の少なくとも一方をさらに改善するために、ドーズ量、ドーズ率、前記炭素含有種に含まれる原子の数、原子エネルギー、圧力、および所定温度のうち少なくとも1つを制御するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
イオン注入装置であって、該装置は、
ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するために、前記ターゲット材料に、所定温度で分子イオンを注入するイオン注入機を有し、前記分子イオンはイオン源内でその場生成されることを特徴とするイオン注入装置。
【請求項11】
前記分子イオンが2つ以上の種を用いて生成されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記分子イオンがCaPbHc分子イオンであることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記分子イオンが炭素含有種およびリン含有種を用いて生成されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記炭素含有種が、エタンであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記炭素含有種が、分子炭素、アルカン、およびアルケンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記リン含有種が、ホスフィンであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記ターゲット材料に注入することにより歪みを発生させ、前記ターゲット材料に極浅接合(USJ)を形成することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項18】
歪みおよびアモルファス化の少なくとも一方をさらに改善するために、ドーズ量、ドーズ率、前記炭素含有種に含まれる原子の数、原子エネルギー、圧力、および所定温度のうち少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項19】
イオン注入装置であって、該装置は、
ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するために、前記ターゲット材料に、所定温度で分子イオンを注入するイオン注入機を有し、前記分子イオンは、炭素含有種およびリン含有種を用いてイオン源内でその場生成されることを特徴とするイオン注入装置。
【請求項1】
イオン注入方法であって、該方法は、
ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するために、前記ターゲット材料に、所定温度で分子イオンを注入するステップを有し、前記分子イオンはイオン源内でその場生成されることを特徴とするイオン注入方法。
【請求項2】
前記分子イオンが2つ以上の種を用いて生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分子イオンがCaPbHc分子イオンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記分子イオンが炭素含有種およびリン含有種を用いて生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素含有種が、エタンであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記炭素含有種が、分子炭素、アルカン、およびアルケンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記リン含有種が、ホスフィンであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ターゲット材料に注入することにより歪みを発生させ、前記ターゲット材料に極浅接合(USJ)を形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
歪みおよびアモルファス化の少なくとも一方をさらに改善するために、ドーズ量、ドーズ率、前記炭素含有種に含まれる原子の数、原子エネルギー、圧力、および所定温度のうち少なくとも1つを制御するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
イオン注入装置であって、該装置は、
ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するために、前記ターゲット材料に、所定温度で分子イオンを注入するイオン注入機を有し、前記分子イオンはイオン源内でその場生成されることを特徴とするイオン注入装置。
【請求項11】
前記分子イオンが2つ以上の種を用いて生成されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記分子イオンがCaPbHc分子イオンであることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記分子イオンが炭素含有種およびリン含有種を用いて生成されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記炭素含有種が、エタンであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記炭素含有種が、分子炭素、アルカン、およびアルケンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記リン含有種が、ホスフィンであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記ターゲット材料に注入することにより歪みを発生させ、前記ターゲット材料に極浅接合(USJ)を形成することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項18】
歪みおよびアモルファス化の少なくとも一方をさらに改善するために、ドーズ量、ドーズ率、前記炭素含有種に含まれる原子の数、原子エネルギー、圧力、および所定温度のうち少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項19】
イオン注入装置であって、該装置は、
ターゲット材料の歪みおよびアモルファス化のうち少なくとも一方を改善するために、前記ターゲット材料に、所定温度で分子イオンを注入するイオン注入機を有し、前記分子イオンは、炭素含有種およびリン含有種を用いてイオン源内でその場生成されることを特徴とするイオン注入装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公表番号】特表2012−505550(P2012−505550A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531113(P2011−531113)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/059688
【国際公開番号】WO2010/042509
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(500239188)ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド (69)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/059688
【国際公開番号】WO2010/042509
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(500239188)ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド (69)
【Fターム(参考)】
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