説明

分散型電源装置

【課題】アーク電流による機械式接点の損傷を防止して、確実にOFFさせることができる安全で信頼性に優れた分散型電源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】商用電力系統101と連系する分散型電源装置102において、直流電圧を生成する発電装置106と、発電装置106が生成する直流電圧を異なる電圧に変換する第1DC/DCコンバータ107と、機械式接点109を介して第1DC/DCコンバータ107に接続された直流負荷108と、第1DC/DCコンバータ107を制御する制御手段112とを備え、制御手段112は第1DC/DCコンバータ107の出力電圧を定期的に実質0Vにする構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電力系統と連系して、家庭内負荷へ交流電力を供給する分散型電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分散型電源装置としては、例えば図8、図9に示す構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下に、特許文献1に示されている分散型電源装置について説明する。
【0004】
図8は従来の分散型電源装置のブロック図である。図8に示すように、分散型電源装置は、燃料電池からなる発電装置1、第1DC/DCコンバータ2、第2DC/DCコンバータ3、インバータ4、交流負荷5、逆潮流監視センサ6、電力制御部7と直流負荷8とから少なくとも構成され、連系部9を介して商用電力系統10と接続される。
【0005】
ここで、第1DC/DCコンバータ2は、発電装置1の出力電圧が入力され、その入力された電圧を異なる電圧値の直流電圧(例えば、DC25V)に変換して出力する。第2DC/DCコンバータ3は、発電装置1の出力電圧が入力され、入力された電圧を異なる電圧値の直流電圧(例えば、DC140V)に変換して出力する。インバータ4は、第2DC/DCコンバータ3の出力電圧が入力され、入力された電圧を交流電圧(例えば、AC100V)に変換して出力する。
【0006】
交流負荷5は、インバータ4から供給される交流電圧を電源電圧として駆動される。逆潮流監視センサ6は、インバータ4の電流が商用電力系統10側に流れていないか、すなわち、逆潮流していないかを監視(検出)する。電力制御部7は、逆潮流監視センサ6からの逆潮流に関する情報および連系部9からの系統停止信号を参照して、発電装置1、第1DC/DCコンバータ2およびインバータ4の出力電力を制御する。そして、直流負荷8は、第1DC/DCコンバータ2から供給される直流電圧で駆動される。
【0007】
ここで、直流負荷8であるヒータが、水を加熱する構成を例に、図9を用いて説明する。図9は、従来の分散型電源装置のヒータが水を加熱する構成を説明する構成図である。
【0008】
図9に示すように、第1DC/DCコンバータ2から供給される直流電圧で駆動する直流負荷8と、所定の流量で水が流れている加熱部51と、加熱部51に水を供給する配管52,53と、貯湯タンク54と、貯湯タンクの温度を検出する温度センサ55から構成されている。
【0009】
以上のように構成された分散型電源装置は、交流負荷5の消費電力の減少により、逆潮流が発生した場合や、連系部9からの系統停止信号を受信した場合、インバータ4の出力を減少または停止させる。同時に、第1DC/DCコンバータ2の出力を増加させることにより、発電装置1の発電した余剰電力を直流負荷8で処理をする。
【0010】
このとき、直流負荷8は、第1DC/DCコンバータ2から供給される電力量に応じて、加熱部51内部の水を加熱する。そして、加熱された水は、配管52,53を通って貯湯タンク54に送られる。ここで、温度センサ55は、貯湯タンク54内の水(温水)の温度を検出して、その検出結果を電力制御部7に送る。そして、検出結果に基づいて、電力制御部7は、加熱部51の内部に流れる水の流量を変化させて、加熱部51自体や加熱部51内部の水の異常加熱を防止する。
【特許文献1】特開2006−67757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の構成では、第1DC/DCコンバータ2の故障により直流負荷8に高電圧が入力されて直流負荷8の出力が大きくなった場合や、配管52,53内部の目詰まりにより水が滞留した場合、直流負荷8、加熱部51自体、および加熱部51内部の水が異常高温になるという課題を有していた。
【0012】
上述の課題を解決する手段として、直流負荷8や加熱部51の異常高温を検出すると、バイメタル式サーモスタットなどの過昇温防止装置からなる機械式接点をOFFする、第1DC/DCコンバータ2に、例えばヒータなどの直流負荷8を接続する構成が考えられる。
【0013】
しかし、バイメタル式サーモスタットなどの機械式接点がOFFするとき、直流負荷8に入力される電圧の大きさ、つまりバイメタル式サーモスタット内部を流れる直流の大きさによっては、アーク電流が発生する場合がある。そのため、アーク電流により機械式接点の損傷が発生し、瞬時にOFFすることができない。また、最悪の場合には、機械式接点の溶着によりOFFすることができず、直流負荷8で常時電力を消費するという課題がある。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、アーク電流による機械式接点の損傷を防止して、確実にOFFさせることができる安全で信頼性に優れた分散型電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来の課題を解決するために、本発明の分散型電源装置は、商用電力系統と連系する分散型電源装置において、直流電圧の電力を発電する発電装置と、発電装置が生成する直流電圧を異なる電圧に変換する第1DC/DCコンバータと、機械式接点を介して第1DC/DCコンバータに接続された直流負荷と、第1DC/DCコンバータを制御する制御手段とを備え、制御手段は第1DC/DCコンバータの出力電圧を定期的に実質0Vにするものである。
【0016】
これにより、第1DC/DCコンバータと直流負荷の間に接続される機械式接点がOFFするときに発生するアーク電流による機械式接点の損傷を防止して、確実にOFFさせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1DC/DCコンバータと直流負荷の間に接続される機械式接点がOFFするとき、アーク電流による機械式接点の損傷を防ぎ、確実にOFFすることで安全な分散型電源装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
第1の発明は、商用電力系統と連系する分散型電源装置において、直流電圧を生成する発電装置と、発電装置が生成する直流電圧を異なる電圧に変換する第1DC/DCコンバータと、機械式接点を介して第1DC/DCコンバータに接続された直流負荷と、第1DC/DCコンバータを制御する制御手段とを備え、制御手段は第1DC/DCコンバータの出力電圧を定期的に実質0Vにする構成を有する。
【0019】
この構成により、機械式接点がOFFするとき、アーク電流による機械式接点の損傷を防止して、確実にOFFする安全な分散型電源装置を実現できる。
【0020】
第2の発明は、第1の発明において、制御手段が、第1DC/DCコンバータの出力電圧を緩やかに降下および上昇するように制御するものである。これにより、スイッチング素子、平滑回路、直流負荷、配線などに加わる、オーバーシュートやアンダーシュートなどによる過大な負荷を防止して、分散型電源装置の長寿命化を実現することができる。
【0021】
第3の発明は、第1または第2の発明において、制御手段が、第1DC/DCコンバータの出力電圧が定期的に実質0Vになる周期および実質0Vになっている時間のいずれか一方を、第1DC/DCコンバータの出力電圧に応じて変えるものである。これにより、効率よく直流負荷に電圧を印加するとともに、確実に機械式接点をOFFすることができる安全な分散型電源装置を実現する。
【0022】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、第1DC/DCコンバータが、入力側と出力側とが絶縁された状態で変圧を行う絶縁トランスを含むものである。これにより、第1DC/DCコンバータの動作によって発生する高周波(高調波)が直流負荷や筐体などの対地浮遊容量を介して漏洩電流となることを防止して、安全な分散型電源装置を実現できる。
【0023】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、発電装置と第1DC/DCコンバータとの間に、発電装置が生成する直流電圧を異なる直流電圧に変換する第2DC/DCコンバータが介在するものである。これにより、第1DC/DCコンバータの、例えばトランスの巻線抵抗による熱損失やパワーデバイスのスイッチング損失などを低下させ、高効率の分散型電源装置を実現できる。
【0024】
第6の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、機械式接点が、過昇温防止装置であるものである。これにより、ヒータなどの直流負荷で水を加熱して余剰電力を消費するときの異常過熱を防止できる。
【0025】
第7の発明は、第6の発明において、過昇温防止装置が、バイメタル式サーモスタットであるものである。これにより、接点が溶着しやすいバイメタル式サーモスタットを用いることができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1における分散型電源装置について、詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態1における分散型電源装置を示すブロック図である。図2は、本発明の実施の形態1における分散型電源装置に用いられるヒータが水を加熱する構成を示す構成図である。また、図3は、本発明の実施の形態1における分散型電源装置に用いられるヒータの印加電圧と時間の関係を示す特性図である。
【0029】
なお、図1には、分散型電源装置102以外に、商用電力系統101と、連系部103と、家庭内負荷104と受電電力計測手段105を併せて図示している。ここで、商用電力系統101は、U相、O相、W相から成る単相三線式の交流電源であり、連系部103は商用電力系統101と分散型電源装置102を連系する。そして、家庭内負荷104は、商用電力系統101または分散型電源装置102から供給される交流電力を消費する機器である。また、受電電力計測手段105は、商用電力系統101と分散型電源装置102が接続された線路上に流れる電流の大きさや向き、電圧の大きさより、商用電力系統101から受電する電力を計測する受電電力計測装置である。
【0030】
そして、図1に示すように、分散型電源装置102は、直流を生成する燃料電池などからなる発電装置106と、第1DC/DCコンバータ107と、ヒータなどの直流負荷108と、例えばバイメタル式サーモスタットなどで過昇温防止装置を構成する機械式接点109と、第2DC/DCコンバータ110と、インバータ111と、制御手段112とから、少なくとも構成されている。なお、以下では、発電装置106を燃料電池と、過昇温防止装置を構成する機械式接点109をバイメタル式サーモスタットと、直流負荷108をヒータと記して説明する。
【0031】
ここで、第1DC/DCコンバータ107は、絶縁トランスを含む構成を有し、燃料電池106が生成する直流電圧を昇圧する。ヒータ108は、第1DC/DCコンバータ107が生成する直流電圧で駆動される。また、バイメタル式サーモスタット109は、第1DC/DCコンバータ107とヒータ108の間に設置され、設置された箇所の表面温度が所定値以上(例えば、90℃)でOFFする接点を有する。
【0032】
第2DC/DCコンバータ110は、燃料電池106が生成する直流電圧を第1DC/DCコンバータ107と異なる直流電圧へ昇圧する。また、インバータ111は、第2DC/DCコンバータ110が出力する直流を家庭内負荷104で消費可能な交流へ変換する。そして、制御手段112は、第1DC/DCコンバータ107と第2DC/DCコンバータ110とインバータ111の出力制御をする。
【0033】
このとき、図2に示すように、配管120には、ヒータ108とバイメタル式サーモスタット109が表面に設置され、内部に所定の流量で流れる水は、バイメタル式サーモスタット109がONすると、第1DC/DCコンバータ107から供給される直流電圧によりヒータ108で加熱される。
【0034】
以上のように構成された分散型電源装置の動作および作用について、図1から図3を用いて説明する。
【0035】
まず、分散型電源装置102は、燃料電池106が発電した電力を第2DC/DCコンバータ110でインバータ111が出力可能な電圧まで昇圧する。本実施の形態では、例えばDC400Vに昇圧する。そして、インバータ111は、昇圧された電圧を、直流から交流(本実施の形態では、例えばAC200V)へ変換して家庭内負荷104へ供給する。
【0036】
このとき、燃料電池106の発電電力より家庭内負荷104の消費電力が大きい場合、燃料電池106の発電電力すべてが家庭内負荷104にて消費される。
【0037】
逆に、燃料電池106の発電電力より家庭内負荷104の消費電力が小さい場合、その差分である余剰電力が発生し、その電力が商用電力系統101へ流れ込もうとする(以下、商用電力系統101へ流れ込むことを「逆潮流」という)。
【0038】
一般に、燃料電池などの発電装置は、電力コストや商用電力系統101の安全面(例えば、逆潮流による交流電圧の上昇)などの関係から逆潮流を防止する必要がある。
【0039】
そのため、常時、受電電力計測手段105である受電電力計測装置で逆潮流する電力を計測し、逆潮流が発生した場合、計測した電力に基づいて、制御手段112である制御部でインバータ111の出力を減少させて逆潮流を防止している。さらに、商用電力系統101が停止した場合、商用電力系統101の停止を検出し、インバータ111の出力を停止して、商用電力系統101の逆受電を防止している。なお、本実施の形態では、停電の検出方法についての説明は省略する。
【0040】
しかし、燃料電池106の発電電力を急速に減少させることは困難であるので、インバータ111の出力を急速に減少あるいは停止させた場合、分散型電源装置102内部に余剰電力が発生する。そのため、余剰電力を消費する必要が生じる。
【0041】
そこで、制御手段112は、インバータ111の出力を減少あるいは停止させる場合、図2に示す第1DC/DCコンバータ107の出力を増加させ、ヒータ108で配管120内部を流れる水を加熱することにより、余剰電力を消費させる制御を行う。
【0042】
しかし、上記で説明したように、第1DC/DCコンバータ107やヒータ108の故障、あるいは配管120内部の目詰まりによる水の滞留により、配管120や配管120内部の水が異常高温となる場合がある。
【0043】
それを回避するために、一般に、第1DC/DCコンバータ107とヒータ108の間にバイメタル式サーモスタット109を配置し、配管120の表面温度が高温となった場合、バイメタル式サーモスタット109の接点をOFFしている。これにより、第1DC/DCコンバータの出力を遮断して、配管120および配管120内部の水が異常高温となることを防止している。
【0044】
しかし、バイメタル式サーモスタット109は、余剰電力を消費している間、常時直流が流れているため、接点をOFFしようとすると、アーク電流を介して接続を維持しようとする。このとき、アーク電流により、接点が損傷し、例えば溶着した場合、正常にOFFできない場合がある。
【0045】
そこで、本実施の形態では、図3に示すように、制御手段112で、ヒータ108の印加電圧を定期的に実質0Vとなるように第1DC/DCコンバータ107の出力を制御する。例えば、T1の周期(例えば、50ms)に対して、T2の時間(例えば、1ms)を0Vとする。
【0046】
これにより、バイメタル式サーモスタット109の接点がOFFする際、ヒータ108への印加電圧が0Vとなり、流れる電流も0となる。その結果、アーク電流がなくなり、確実に接点をOFFさせることが可能となる。
【0047】
なお、本実施の形態では、燃料電池106が生成する電圧が低いため、第1DC/DCコンバータ107、第2DC/DCコンバータ110で昇圧する例で説明したが、これに限られない。例えば、太陽電池や風力発電など、高い電圧を生成する発電装置を用いた場合、降圧する構成としてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、配管120の温度により第1DC/DCコンバータとヒータ間の接点をOFFするために、機械式接点としてバイメタル式サーモスタット109を用いた例で説明したが、これに限られない。例えば、配管の温度をサーミスタなどの温度センサで計測し、例えば、接点を有するリレーなどのスイッチで構成される機械式接点など別々の手段により過昇温防止装置を構成してもよく、同様な効果や動作を実現できる。
【0049】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、第1DC/DCコンバータ107の出力電圧を定期的に実質0Vにすることにより、バイメタル式サーモスタット109がOFFするときのアーク電流によるバイメタル式サーモスタット109の接点の損傷を防止できる。その結果、安全で、長期的に信頼性に優れた分散型電源装置を実現できる。
【0050】
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2における分散型電源装置について、図面を用いて説明する。
【0051】
図4は、本発明の実施の形態2におけるヒータの印加電圧と時間の関係を示す特性図である。
【0052】
つまり、図4に示すように、本実施の形態の分散型電源装置は、ヒータの制御方法が、実施の形態1で図3を用いて説明した方法とは異なる。なお、分散型電源の構成や動作などは実施の形態1と同様であり説明を省略する。
【0053】
以下に、本実施の形態の分散型電源装置のヒータの制御について、図4を用いて説明する。
【0054】
基本的には、実施の形態1と同様に、制御手段112は、インバータ111の出力を減少あるいは停止させる場合、図2に示す第1DC/DCコンバータ107の出力を増加させ、ヒータ108で配管120内部を流れる水を加熱することにより、余剰電力を消費させる。
【0055】
つまり、本実施の形態では、図4に示すように、制御手段112で、ヒータ108の印加電圧を定期的に実質0Vとなるように第1DC/DCコンバータ107の出力を制御する。例えば、T3の周期(例えば、50ms)に対して、T4の時間(例えば、1ms)を0Vとする。
【0056】
このとき、図4に示すように、第1DC/DCコンバータ107の出力電圧を0Vにする場合、一般にソフトストップと称される、出力電圧を緩やかにまたは徐々に降下させて0Vにする。その後、T4の時間、0Vに保持した後、一般にソフトスタートと称される、出力電圧を緩やかにまたは徐々に上昇させる。例えば、出力電圧の降下レートや上昇レートとしては、100V/ms程度である。
【0057】
なお、本実施の形態では、出力電圧の降下レートや上昇レートを同じ例で説明したがこれに限られず、分散型電源装置102の特性(電圧、電流、余剰電力)に応じて別々に設定してもよい。例えば、出力電圧の降下レートは、第1DC/DCコンバータ107が急に停止しても、第1DC/DCコンバータ107の入出力電圧が過電圧とならないように、第1DC/DCコンバータ107の入出力電圧の上昇や下降の度合いに応じて、設定すればよい。また、出力電圧の上昇レートは、第1DC/DCコンバータ107が急に動作を開始しても、ヒータ108の突入電流により第1DC/DCコンバータ107が過負荷状態とならないように、ヒータ108の容量に応じて設定すればよい。
【0058】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、制御手段112は、第1DC/DCコンバータ107の出力電圧の降下レートおよび上昇レートを緩やかにすることで、スイッチング素子、平滑回路、直流負荷、配線などに加わる、オーバーシュートやアンダーシュートなどによる過大な負荷を防止して、分散型電源装置の長寿命化を実現することができる。
【0059】
(実施の形態3)
以下に、本発明の実施の形態3における分散型電源装置について、図面を用いて説明する。
【0060】
図5は、本発明の実施の形態3における分散型電源装置に用いられるヒータの印加電圧と時間の関係を示す特性図である。図6は、本発明の実施の形態3における分散型電源装置に用いられるヒータの印加電圧と0Vになる周期および0Vである時間の関係を示す特性図である。
【0061】
つまり、図5と図6に示すように、本実施の形態の分散型電源装置は、ヒータの制御方法が、実施の形態1で図3を用いて説明した方法とは異なる。なお、分散型電源の構成や動作などは実施の形態1と同様であり説明を省略する。
【0062】
以下に、本実施の形態の分散型電源装置のヒータの制御について、図5と図6を用いて説明する。
【0063】
基本的には、実施の形態1と同様に、制御手段112は、インバータ111の出力を減少あるいは停止させる場合、図2に示す第1DC/DCコンバータ107の出力を増加させ、ヒータ108で配管120内部を流れる水を加熱することにより、余剰電力を消費させる。
【0064】
つまり、本実施の形態では、図5に示すように、制御手段112で、ヒータ108の印加電圧を定期的に実質0Vとなるように第1DC/DCコンバータ107の出力を制御する。例えば、T5の周期に対して、T6の時間を0Vとする。
【0065】
このとき、ヒータ108の印加電圧、つまり、第1DC/DCコンバータ107の出力電圧に応じて、0Vにする周期(図5のT5)、および0Vの時間(図5のT6)を変化させる。
【0066】
一般に、ヒータ108の印加電圧、つまりバイメタル式サーモスタット109の印加電圧が小さいほどアーク電流が小さくなるため、接点の損傷が少なくなる。
【0067】
そこで、図6に示すように、第1DC/DCコンバータ107の出力電圧の大きさに応じて、T5の周期と、0VにするT6の時間を可変に制御する。具体的には、第1DC/DCコンバータ107の出力電圧が大きい場合、T5の周期を短くし、0VにするT6の時間を長くする。逆に、第1DC/DCコンバータ107の出力電圧が小さい場合、T5の周期を長くし、0VにするT6の時間を短くする。
【0068】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、効率よくヒータ108に電圧を印加するとともに、確実にバイメタル式サーモスタット109の接点をOFFすることができる安全な分散型電源装置を実現できる。
【0069】
(実施の形態4)
以下に、本発明の実施の形態4における分散型電源装置について、詳細に説明する。
【0070】
図7は、本発明の実施の形態4における分散型電源装置を示すブロック図である。なお、図7には、図1を用いて説明した実施の形態1と同様に、分散型電源装置102以外に、商用電力系統101と、連系部103と、家庭内負荷104と受電電力計測手段105を併せて図示している。また、図7において、図1と同様の構成要素については同じ符号を付け、説明は省略する。
【0071】
つまり、図7に示すように、接点を有するバイメタル式サーモスタット109を介して直流負荷であるヒータ108と接続される第1DC/DCコンバータ107を、第2DC/DCコンバータ110とインバータ111間に接続した点で、実施の形態1とは異なる。
【0072】
このとき、第1DC/DCコンバータ107は、第2DC/DCコンバータ110が出力する電圧を異なる電圧へ変換して、バイメタル式サーモスタット109を介してヒータ108に出力する構成である。
【0073】
以上のように構成された分散型電源装置の動作および作用について、図2、図3と図7を用いて説明する。
【0074】
上述したように、制御手段112は、インバータ111の出力を減少あるいは停止させる場合、図2に示す第1DC/DCコンバータ107の出力を増加させ、ヒータ108で配管120内部を流れる水を加熱することにより、余剰電力を消費させる。
【0075】
そこで、本実施の形態では、図3に示すように、制御手段112は、第2DC/DCコンバータ110の出力を維持したまま、ヒータ108の印加電圧を定期的に実質0Vとなるように第1DC/DCコンバータ107の出力を制御する。例えば、T1の周期(例えば、50ms)に対して、T2の時間(例えば、1ms)を0Vとする。
【0076】
このとき、ヒータ108に大電流を流さないためには、ヒータ108の印加電圧を高く、つまり、第1DC/DCコンバータ107の出力電圧を高くする必要がある。これは、ヒータ108の発熱が、電圧と電流の積により決まるためである。そして、通常、第2DC/DCコンバータ110は、インバータ111が200Vの交流電圧が出力可能なように高い電圧(例えば、400V)を生成する。
【0077】
つまり、燃料電池106と第1DC/DCコンバータ107の間に第2DC/DCコンバータ110を介在させることにより、ヒータ108に印加する電圧を、第1DC/DCコンバータ107で高い電圧まで昇圧する必要がなくなる。その結果、第1DC/DCコンバータ107の変換効率の低下を防止できる。
【0078】
なお、本実施の形態では、回路構成、特に絶縁トランスの形状を小さくするために、第1DC/DCコンバータ107は、第2DC/DCコンバータ110が出力する高電圧を高周波でスイッチングすることで変圧することが好ましい。さらに、絶縁トランスは、入力側と出力側とが絶縁された状態で変圧を行うことが好ましい。
【0079】
これにより、非絶縁の場合に生じる、ヒータ108を通じて対地との間に存在する浮遊容量を介して流れる大きな漏洩電流の発生を未然に防止できる。
【0080】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、第1DC/DCコンバータ107の動作によって発生する高周波が、ヒータ108や筐体などの対地浮遊容量を介して漏洩電流となることを防止できる。その結果、安全で信頼性に優れた分散型電源装置を実現できる。
【0081】
また、本実施の形態によれば、ヒータ108と第1DC/DCコンバータ107との間に、燃料電池106が生成する直流電圧を異なる直流電圧に変換する第2DC/DCコンバータ110が介在することにより、第1DC/DCコンバータ107の変換効率の低下を抑制し、高効率の分散型電源装置を実現できる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、第1DC/DCコンバータを高周波でのスイッチングにより変圧できるため、第1DC/DCコンバータの小型化による回路構成の小型化とともに、小型の分散型電源装置を実現できる。
【0083】
なお、各実施の形態では、発電装置として、燃料電池を例に説明したが、これに限られない。例えば、太陽光発電装置、風力発電装置や太陽熱発電装置などであってもよく、同様の効果や作用が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によれば、過昇温度防止装置を構成する機械式接点の、アーク電流による損傷を防ぎ、確実にOFFさせることができるため、燃料電池装置、太陽光発電装置、風力発電装置や太陽熱発電装置のような分散型電源装置などの技術分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態1における分散型電源装置を示すブロック図
【図2】同実施の形態における分散型電源装置に用いられるヒータが水を加熱する構成を示す構成図
【図3】同実施の形態における分散型電源装置に用いられるヒータの印加電圧と時間の関係を示す特性図
【図4】本発明の実施の形態2における分散型電源装置に用いられるヒータの印加電圧と時間の関係を示す特性図
【図5】本発明の実施の形態3における分散型電源装置に用いられるヒータの印加電圧と時間の関係を示す特性図
【図6】同実施の形態における分散型電源装置に用いられるヒータの印加電圧と0Vになる周期および0Vである時間の関係を示す特性図
【図7】本発明の実施の形態4における分散型電源装置を示すブロック図
【図8】従来の分散型電源装置のブロック図
【図9】従来の分散型電源装置のヒータが水を加熱する構成を説明する構成図
【符号の説明】
【0086】
101 商用電力系統
102 分散型電源装置
103 連系部
104 家庭内負荷
105 受電電力計測手段
106 発電装置(燃料電池)
107 第1DC/DCコンバータ
108 直流負荷(ヒータ)
109 機械式接点(バイメタル式サーモスタット)
110 第2DC/DCコンバータ
111 インバータ
112 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統と連系する分散型電源装置であって、直流電圧の電力を発電する発電装置と、前記発電装置が生成する直流電圧を異なる電圧に変換する第1DC/DCコンバータと、機械式接点を介して前記第1DC/DCコンバータに接続された直流負荷と、前記第1DC/DCコンバータを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は前記第1DC/DCコンバータの出力電圧を定期的に実質0Vにする分散型電源装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1DC/DCコンバータの出力電圧を緩やかに降下および上昇するように制御する請求項1に記載の分散型電源装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1DC/DCコンバータの出力電圧が定期的に実質0Vになる周期および前記実質0Vになっている時間のいずれか一方を、前記第1DC/DCコンバータの出力電圧に応じて変える請求項1または2に記載の分散型電源装置。
【請求項4】
前記第1DC/DCコンバータは、入力側と出力側とが絶縁された状態で変圧を行なう絶縁トランスを含む請求項1から3のいずれか1項に記載の分散型電源装置。
【請求項5】
前記発電装置と前記第1DC/DCコンバータとの間に、前記発電装置が生成する直流電圧を異なる直流電圧に変換する第2DC/DCコンバータが介在する請求項1から4のいずれか1項に記載の分散型電源装置。
【請求項6】
前記機械式接点が、過昇温防止装置である請求項1から5のいずれか1項に記載の分散型電源装置。
【請求項7】
前記過昇温防止装置が、バイメタル式サーモスタットである請求項6に記載の分散型電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−213479(P2010−213479A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57722(P2009−57722)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】