説明

分散液

固形界面活性剤内に分散している油芯アフロンを含む固形状組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アフロン分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
アフロン分散液は、また、特にその濃縮した形においては、ポリアフロン分散液および二液フォームとも呼ばれる。この名称は、例えば、非特許文献1から知られている。二液フォームは業界では周知のものであり、Sebbaによる非特許文献2および非特許文献3に記載されている。
【0003】
Sebbaの特許文献1に、ガス・フォームを製造するための可溶性界面活性剤を含む水素結合液体を攪拌し、ガス・フォームに水素結合液体と混合しない無極性液体を間欠的に添加することにより二液フォームを製造するための特殊な方法が記載されている。界面活性剤を含む水素結合液体は、ゼロに等しいかまたはゼロより大きい拡張係数を供給するように選択される。
【0004】
従来は、例えば、特許文献2に開示されているように、表面コーティングを行うために、アフロン分散液は液体またはフォーム形成ポリマーに添加された。本発明者は、今回驚くべきことに、ある種のアフロンは、固形または準固形界面活性剤内に分散することができることを発見した。
【特許文献1】米国特許第4,486,333号
【特許文献2】WO99/05229号
【特許文献3】米国特許第6,165,479号
【特許文献4】WO03/072687号
【特許文献5】WO03/064024号
【非特許文献1】1987年発行のSebba,F.(Felix)の「Foams and biliquid foams, aphrons」、ISBN:0471916854
【非特許文献2】J.Colloid and Interface Science、40号(1972年)468〜474ページ掲載の「Biliquid foams」
【非特許文献3】Colloid Polymer Sciences、257号(1979年)392〜396ページ掲載の「The Behaviour of Minute Oil Droplets Encapsulated in a Water Film」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故、本発明は、固形界面活性剤内に分散している油芯アフロン(oil core aphron)を有する固形状組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
固形界面活性剤を含む固形状組成物は、もちろん周知のものである。これらの固形状組成物は、例えば、石鹸または棒状合成洗剤、脱臭剤、発汗防止剤スティック、シミ除去剤および多くの他の用途に使用することができる。このような組成物は、例えば、皮膚または髪の毛または家庭内または家事用の硬いまたは柔らかい表面または布のような種々の表面をきれいにすることができるし、または例えば、乾燥および/または粗面の種々の問題を解決するために、皮膚に湿り気を与えるために使用することができる。また、その機能または美的価値を変えるために、このような組成物に油および油溶性物質を添加することも周知である。しかし、添加することができる物質の範囲は限られている。何故なら、界面活性剤と油および油溶性物質との間にある程度の相容性がなければならないからである。さらに、界面活性剤組成物の特性は、特に比較的大量の油を添加した場合に悪影響を受ける場合がある。本発明者は、思いがけないことに、このような組成物内に油芯アフロンを分散させると、界面活性剤のもとの特性は本質的に変わらないか、改善することを発見した。さらに、本発明者は、油芯またはその中に含まれる任意の化合物の特性が本質的に変化しないで、界面活性剤組成物により悪影響を受けないことを発見した。さらに、この組成物は、クリームのようなおよび豪華な感じを持っている。そのため、比較的安価な石鹸または棒状合成洗剤は、もっと高価な感じを持つことができる。
【0007】
従来技術のもう1つの問題は、限られた量の油または他の疎水性物質しか固形界面活性剤内に直接分散することができないという問題である。このような油または物質を約2重量%以上界面活性剤に混合すると、フォームはかなり減少し、界面活性剤はその機能を維持することが実質的にできなくなり、事実上使用することができなくなる。もう1つの問題は、界面活性剤が、多くの場合、その固形処理特性を失うことである。さらに、油の濃度が高ければ高いほど、固形界面活性剤の統合性が低減し、その所望の使用上の品質が劣化する。より詳細に説明すると、固形界面活性剤が軟化し、水を含んだままになると、使用中急速に消耗し、美的に不快なものになる。本発明者は、驚くべきことに、このような界面活性剤内に油芯アフロンを分散すると、かなりより多くの油相を、フォームおよび/または機能の最小限度の低減かまたはある程度の低減だけで混入することができることを発見した。さらに、上記の他の問題を軽減または克服することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の組成物は固形であり、固形界面活性剤を含む。このような成分は周知である。それ故、この組成物は、例えば、固形またはゲルの形をとることができるし、好適には、手の中に簡単に保持することができるものであることが好ましい。
【0009】
それ故、この組成物は、例えば、錠剤、スティック、棒状、または顆粒のような任意の形をとることもできるし、またはこれらの形に成形することができる任意の固形の形をとることもできる。
【0010】
固形界面活性剤は、例えば、石鹸、特に植物系石鹸、または長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩であってもよい。適当な長鎖脂肪酸は、長鎖内に8〜24の炭素原子、特に12〜18の炭素原子を含む。好適な石鹸は、ステアリン酸ナトリウムのようなステアリン酸塩である。
【0011】
また、固形界面活性剤は、例えば、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性または双性イオン性界面活性剤のような合成界面活性剤であってもよい。適当な界面活性剤の例としては、ヤシ油酸ナトリウム(sodium cocoate)、獣脂酸ナトリウム(sodium tallowate)、パーム核油酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、ココイル・イセチオン酸ナトリウム、イセチオン酸ナトリウム、ドデシル・ベンゼン・スルホン酸ナトリウム、ココグリセリル・エーテル・スルホン酸ナトリウム等がある。
【0012】
これらの界面活性剤は、単独で使用することもできるし、2つ以上を組み合わせて使用することもできる。さらに、界面活性剤を添加することもできる。特に、例えば「combar」を形成するために、石鹸および合成界面活性剤を一緒に使用することができる。
【0013】
本発明の組成物は、また、油芯アフロンを含むことができる。アフロンの内相は油系である、すなわち疎水性のものである。好適な油芯は、油、エステル、(例えば、野菜または植物からの)抽出物、または他の非水溶性液体またはこれらの混合物を含む。このような油芯は、例えば、皮膚または髪の毛に軟化、保湿、コンディショニングまたは他の化粧用、薬用または害虫駆除効果を与えることができる。適当な油相としては、例えば、シクロメチコン、ジメチコン、ジメチコノール、ジメチコン・コポリオール、エモリエント・エステル(ステアリン酸イソプロピル、ラノリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピルまたはパルミチン酸イソプロピル、またはパルミチン酸オクチルなど)、グリセリド(アボカド油、ヤシ油、大豆油またはヒマワリ油、またはカプリル/カプリン・トリグリセリド、ラノリン油、鉱物油または天然油など)、またはオレイル・アルコール、または任意の目的のために乳剤に使用する任意の周知の他の油から選択した1つまたは複数のもののような室温(例えば、20℃)で液体である油等がある。また、油としては、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、灯油、ディーゼル油、および他の類似の溶媒および非水溶性有機液体のような非水溶性溶媒がある。必要な場合、または必要に応じて、特に油が室温で確実に液体のままでいるように、溶媒および/または凝固点降下助剤を添加することができる。
【0014】
アフロン分散液は、例えば本明細書に記載する当業者であれば周知の標準技術により作ることができる。
【0015】
例えば、特許文献1、特許文献3または特許文献2に、二液フォームの製造方法が記載されている。これらの方法は、その上に後で二液フォームが形成される十分広い表面積を供給するためのガス・フォームの予備形成を含む。製造容器内に適当な攪拌機構が設置されている場合には、安定している二液フォームを製造するためにガス・フォームを予備形成する必要がないことが分かっている。
【0016】
このような装置は、攪拌機ブレードが液体と空気との界面を破壊し、製造工程全体を通して二液フォームの全量を低いせん断混合する攪拌機を備えるタンクを備える。この場合は少なくとも2つの液体を含む分散液の内相がタンクに供給される供給デバイスを備える。供給デバイスは、内相流体の添加速度を、製造工程中、制御および変化することができるように設計されている。
【0017】
製造工程の特徴は、新しい滴のもっと急速な形成のための広い追加の表面積を構成するために、十分な滴が形成されるまで、最初はゆっくりと内相が攪拌した外相に添加されることである。この時点で、内相の添加速度を増大することができる。
【0018】
好適には、製造工程は、特許文献4および/または特許文献5に開示されている要素を含むことが好ましい。
【0019】
当業者であれば、アフロン分散液のための他の製造方法も必要に応じて使用することができることを理解することができるだろう。
【0020】
本発明の組成物の残部内の内油相および/または外相も、例えば、他の成分または添加物を含むことができる。それ故、一方または両方の相は、例えば、液体界面活性剤、芳香剤、着色剤、天然または合成治療剤、スキン・コンディショナー、保湿剤、抗菌または抗真菌剤、乳白剤、油脂、糖、pH調整剤、顔料、フォーム形成剤、昆虫忌避剤のような有害生物防除剤、または生理活性油溶性物質のような他の界面活性剤を含むことができる。適当な添加物としては、例えば、抗菌剤である過酸化ベンゾイル、硫黄またはレゾルシン(トリクロサンまたはトリクロカルバンなど)、植物油(オリーブ油など)、酸性pH調整剤(クエン酸または酪酸、サクロース、グリセリンなど)、保湿剤であるラウリル・イセチオン酸ナトリウムまたは乳白剤である二酸化チタンのうちの少なくとも1つがある。また、外相は、1つまたは複数の可溶化剤、分散剤および/または凍結融解保護剤(例えば、水、アルコールおよび/またはグリコールのような溶媒)を含むことができる。外相は、水、または水とアルコールの混合物、必要に応じてグリコールを含む水とアルコールとの混合物を含むことが特に好ましい。
【0021】
本発明の組成物は、すでに説明したように、比較的大量の油芯アフロンを含むことができる。好適には、この組成物は、0.1〜20重量%の油芯アフロン、より好適には0.5〜15重量%の油芯アフロン、特に2.5または5〜15重量%の油芯アフロンを含むことが好ましい。
【0022】
この組成物は、例えば、化粧品、トイレタリー製品、薬剤または家庭用製品の形をしていてもよい。この組成物は、スティック、錠剤、棒状または顆粒の形をとることができる。好適には、この組成物は、石鹸または棒状合成洗剤またはこれらの混合物、脱臭剤または発汗防止剤スティックまたはシミ除去剤の形をしていることが好ましい。
【0023】
本発明の組成物は、組成物の製造工程中に油芯アフロンを混入することにより簡単に形成することができる。それ故、例えば、油芯アフロン分散液を、例えば、界面活性剤および芳香剤または着色剤のような任意の他の成分を含むベースとなる組成物に簡単に添加することができ、次に、最終的な形に切断および打ち抜く前にこの組成物を混合および押し出すことができる。別の方法としては、透明または半透明の石鹸および棒状合成洗剤を熱溶融注入法により製造し、注入する前に組成物内に混入することができる。
【0024】
ここで下記の例を参照しながら本発明についてさらに説明する。
【0025】

例1
棒状脱臭剤の製造
下記のものからアフロン分散液Aを製造した。
トウニン油 30.0部
アボカド油 30.0部
アジピン酸ジイソプロピル 29.1部
界面活性剤 1.0部
水 9.9部
【0026】
次に、下記のものから種々の非アルコール性棒状脱臭剤を製造した。
プロピレン・グリコール 66.0部
水 20.0部
コカミドMIPA 5.0部
ステアリン酸ナトリウム 8.0部
防腐剤 1.0部
二液フォームA 0.5〜10部
【0027】
プロピレン・グリコール、水、コカミドMIPA、およびステアリン酸ナトリウムを一緒に混合し、75℃に加熱した。次に、防腐剤を添加し、溶液が透明になるまで混合物を混合した。65℃に冷却した後で、アフロン分散液を添加した。温度を65℃に維持しながら、混合物を容器に注入し硬化させた。
【0028】
例2
棒状脱臭剤の製造
次に、例1の方法により下記の組成物から種々のアルコール性棒状脱臭剤を製造した。
アルコール SDA−40 66.0部
水 20.0部
コカミドMIPA 5.0部
ステアリン酸ナトリウム 8.0部
防腐剤 1.0部
二液フォームA 0.5〜10部
【0029】
例3
合成洗剤石鹸の製造
スイート・アルモンド油を含むアフロンからアフロン分散液Bを製造した。
混合装置内で、85〜99.5部の合成洗剤石鹸をベースとするチップを添加し、それぞれ0.5〜15部のアフロン分散液Bと一緒に完全に混合した。混合物を3ロール・ミルを通し、次に、ミーリング加工した。次に、混合物をプロッダを通し、棒状に圧縮した。
同じ方法で棒状石鹸を製造したが、合成石鹸基剤の代わりにグリセリン石鹸基剤または硬質ミーリング加工石鹸基剤を使用した。
油を比較的大量に混入した場合でも、すべての石鹸は、その石鹸の泡および美的特性を維持していることが分かった。
【0030】
例4
グリセリン石鹸の製造
容器内で、85〜99.5部のグリセリン石鹸のチップを添加し、溶液が透明になるまで溶融した。次に、それぞれ0.5〜15部のアフロン分散液Bを添加し、混合物が均質になるまで溶液内に混入した。次に、混合物を型内に注入し冷却した。
この場合も、油を比較的大量に混入した場合でも、すべての石鹸は、その石鹸の泡および美的特性を維持していることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形界面活性剤中に分散している油芯アフロンを有することを特徴とする固形状組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤が少なくとも1つの石鹸を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記石鹸が、植物系石鹸または脂肪鎖内に12〜18の炭素原子を含む脂肪酸のアルカリ金属塩である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記石鹸がステアリン酸ナトリウムである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤が、少なくとも1つの合成界面活性剤を含む、前記請求項の何れか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記合成界面活性剤が、ヤシ油酸ナトリウム、獣脂酸ナトリウム、パーム核油酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、ココイル・イセチオン酸ナトリウム、イセチオン酸ナトリウム、ドデシル・ベンゼン・スルホン酸ナトリウム、ココグリセリル・エーテル・スルホン酸ナトリウムまたはその混合物である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
0.1〜20重量%の油芯アフロンを含む、前記請求項の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
また、水および/またはアルコールを含む、前記請求項の何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
また、グリコールを含む、前記請求項の何れか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記油芯が、皮膚、髪の毛または織物に、軟化、保湿、クレンジング、コンディショニングまたは他の化粧、個人医療または薬剤効果を与える、油、エステルまたは他の非水溶性液体またはその混合物を含む、前記請求項の何れか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記油芯が、芳香剤、着色剤、天然または合成治療剤、スキン・コンディショナー、抗菌または抗真菌剤、有害生物防除剤または生理活性油溶性成分を含む、前記請求項の何れか1項に記載の組成物。
【請求項12】
他の界面活性剤、芳香剤、着色剤、天然または合成治療剤、スキン・コンディショナー、保湿剤、抗菌または抗真菌剤、乳白剤、油脂、糖、pH調整剤、顔料、有害生物防除剤上のフォーム形成剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、前記請求項の何れか1項に記載の組成物。
【請求項13】
スティック、錠剤、棒状または顆粒の形をしている、前記請求項の何れか1項に記載の組成物。
【請求項14】
化粧品、トイレタリー製品、家庭用品または医療薬である、前記請求項の何れか1項に記載の組成物。
【請求項15】
石鹸、棒状合成洗剤、combar、脱臭剤、発汗防止剤スティックまたはシミ除去剤である、前記請求項の何れか1項に記載の組成物。

【公表番号】特表2007−524665(P2007−524665A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548409(P2006−548409)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000162
【国際公開番号】WO2005/070379
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506241765)ディスパース リミテッド (1)
【Fターム(参考)】