説明

分散組成物及び分散組成物の製造方法

【課題】シリマリンを含有する分散粒子の分散安定性に優れた分散組成物、及び該分散組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】シリマリンと、平均分子量500を超え5000以下のコラーゲンペプチドと、乳化剤とを含む分散組成物と、前記シリマリンを含む油相成分を該シリマリンの良溶媒に溶解して油相を調製することと、得られた油相とシリマリンの貧溶媒相とを混合することを含む分散組成物の製造方法並びに、シリマリン及びコラーゲンペプチドを含むアルカリ溶液を調製すること、前記アルカリ溶液のpHを酸性化すること、を含む分散組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散組成物及び分散組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カテキンや植物性色素のようなポリフェノール化合物の機能性に着目して、これらを含有する組成物が多く開発されている。
シリマリンは、このようなポリフェノール化合物のひとつであり、老化を防止する機能や、外部環境からの刺激から皮膚を保護する機能などが知られており、このシリマリンを用いた組成物は、例えば、特許文献1〜特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−282568号公報
【特許文献2】特開平7−196534号公報
【特許文献3】特開2006−89418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、シリマリンは、非常に乳化・分散しにくい成分であるものの、取扱い及び吸収性等の観点から、分散物として利用することが望まれているのが現状である。
しかしながら、特許文献1〜特許文献3に記載の処方では、シリマリンを含む分散粒子の分散を長期間安定して維持することは充分でなかった。
【0005】
そこで、本発明は、シリマリンを含有する分散粒子の分散安定性に優れた分散組成物、及び該分散組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
[1] シリマリンと、平均分子量500を超え5000以下のコラーゲンペプチドと、乳化剤とを含む分散組成物。
[2] 水溶性酸化防止剤を更に含む[1]記載の分散組成物。
[3] 前記乳化剤がショ糖脂肪酸エステルを含む[1]又は[2]に記載の分散組成物。
[4] 前記コラーゲンペプチドが組成物の全質量の0.1質量%以上10質量%以下である[1]〜[3]のいずれか1に記載の分散組成物。
[5] 前記コラーゲンペプチドの含有量が、シリマリンの質量の1倍以上250倍以下である[1]〜[4]のいずれか1に記載の分散組成物。
[6] 1質量%以上10質量%以下の多価アルコールを更に含む[1]〜[5]のいずれか1に記載の分散組成物。
[7] pHが6以上8以下である[1]〜[6]のいずれか1に記載の分散組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれか1に記載の分散組成物の製造方法であって、前記シリマリンを含む油相成分を該シリマリンの良溶媒に溶解して油相を調製することと、得られた油相とシリマリンの貧溶媒相とを混合することを含む分散組成物の製造方法。
[9] 前記シリマリンの良溶媒が水溶性有機溶媒であり、前記シリマリンの貧溶媒が水である[8]に記載の分散組成物の製造方法。
[10] 前記油相と前記貧溶媒相との混合が、断面積が1μm〜1mmであるマイクロ流路にそれぞれ独立して通過させた後に組み合わせて混合するものである[8]又は[9]に記載の分散組成物の製造方法。
[11] 前記混合が、対向衝突により行なわれる[8]〜[10]のいずれかに記載の分散組成物の製造方法。
[12] [1]〜[7]のいずれか1に記載の分散組成物の製造方法であって、シリマリン及びコラーゲンペプチドを含むアルカリ溶液を調製すること、前記アルカリ溶液のpHを酸性化すること、を含む分散組成物の製造方法。
[13] 前記アルカリ溶液のpHが9以上である[12]に記載の分散組成物の製造方法。
[14]前記アルカリ溶液の酸性化がpH6以上8以下の範囲のpHにすることである[12]又は[13]に記載の分散組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シリマリンを含む分散粒子の分散安定性に優れた分散組成物、及び該分散組成物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】マイクロミキサーの一例としてのマイクロデバイスの分解斜視図である。
【図2】T字型マイクロリアクターによる混合機構の一例を示すT字型マイクロリアクターの概略断面図である。
【図3】T字型マイクロリアクターによる混合機構の一例を示すT字型マイクロリアクターの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の分散組成物は、シリマリンと、平均分子量500を超え5000以下のコラーゲンペプチドと、乳化剤とを含む分散組成物である。
本発明の分散組成物では、所定の低分子コラーゲンペプチドと、乳化剤とを含むことにより、難水溶性ポリフェノール化合物の1つであるシリマリンを、分散粒子として安定性よく分散させることができる。
本発明の分散組成物は、水相に、シリマリンを含む分散粒子を分散させて油相として構成されたO/W型乳化物の形態を構成する。このとき、シリマリンが分散粒子の一部を構成していればよい。
以下、本発明の分散組成物について説明する。
【0010】
[シリマリン]
本発明におけるシリマリン(Silymarin;CASNo.65666−07−1)は、キク科マリアアザミ(学名シリバム・マリアナムSilybummarianumGaertn、別名オオアザミ、オオヒレアザミ、ミルクアザミ;CASNo.84604−20−6)から抽出されるフラボノリグナンの総称であり、分子式C252210で表される、シリビン(Silybin;CASNo.22888−70−6)、シリジアニン(Silydianin;CASNo.29782−68−1)、シリクリスチン(Silychristin;CASNo.33889−69−9)、イソシリビン(Isosilybin;CASNo.72581−71−6)などを含有している組成物である(天然薬物事典、奥田拓男編、廣川書店、昭和61年3月3日発行)。
なお本明細書において「シリマリン」とは、シリマリンの他、上記シリビン、シリジアニン、シリクリスチン、イソシリビンなど、又はこれらの1以上の組み合わせを含む用語として用いられる。
【0011】
シリマリンとしては、常盤植物化学研究所製の「マリアアザミエキス末」、シリマリンとしては、常盤植物化学研究所製の「マリアアザミエキス末」、インディナ社(イタリア)製のシリマリンF、宏久生物科技(中国)製のシリマリンエキスを用いることができる。
【0012】
本発明の分散組成物におけるシリマリンの含有量は、特に制限はないが、シリマリン自身の機能性発揮の観点から、分散組成物の全固形分の質量に対して0.01質量%〜3.0質量%であることが好ましく、0.05質量%〜3.0質量%であることが更に好ましい。
【0013】
[コラーゲンペプチド]
本発明におけるコラーゲンペプチドとは、平均分子量が500を超え5000以下のコラーゲンペプチドである。この範囲の平均分子量とすることにより、分散組成物の安定性を長期間維持することができる。コラーゲンペプチドの平均分子量が5000を超えるとシリマリンの析出抑制が充分でないなど、分散安定性を長期間にわたって維持できず、一方、平均分子量が500以下では、コラーゲンペプチドによる分散安定効果を期待できず、また場合によって分散組成物の着色の原因となって透明性を損なうことがある。コラーゲンペプチドの分散安定性を長期間維持する観点から、平均分子量は3000以下であることが好ましく、2000以下であることが更に好ましい。コラーゲンペプチドの平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:ポリスチレン標準)にて測定した値を意味するが、市販品の場合には、供給元から提供される製品情報に従えばよい。
【0014】
コラーゲンペプチドは、ゼラチンを酵素や酸で加水分解して得られたものであり、グリシンを多く含むタンパク質であり、市販品としても入手可能である。コラーゲンとしては、哺乳類のコラーゲン組織から抽出したコラーゲンであっても、魚類のコラーゲン組織から抽出したコラーゲンであっても、特に限定されるものではない。近年、商品イメージや安全性等の観点から、魚類由来のコラーゲンであることが好ましい。魚類由来のコラーゲンの原料としては、海水魚であっても淡水魚であってもよく、マグロ(キハダ)、サメ、タラ、ヒラメ、カレイ、タイ、テラピア、サケ等の皮が挙げられる。哺乳類由来のコラーゲンの原料としては、ブタ、牛などが挙げられる。
【0015】
また、コラーゲンペプチドを構成するアミノ酸組成及びアミノ酸数については、上記分子量の範囲内であれば特に制限はなく、例えば、アミノ酸を3残基(ペプチド結合2個)有するコラーゲントリペプチドなど、ペプチド結合を2〜6個有するオリゴペプチドが挙げられる。
【0016】
本発明の分散組成物におけるコラーゲンペプチドの含有量は、シリマリンを含む分散粒子の分散安定性を高める観点から、シリマリンの質量に対して1倍〜250倍であることが好ましく、10倍〜200倍であることがより好ましい。
また本発明の分散組成物におけるコラーゲンペプチドの含有量は、コラーゲンペプチドの分子量によって異なる場合があるが、一般に、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。10質量%以下であれば分散組成物の粘度が高すぎることはなく、0.1質量%以上であればコラーゲンペプチドの効果を期待できるため、好ましい。
【0017】
[乳化剤]
本発明における乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。
また、本発明における乳化剤は、乳化力の観点から、HLBが10以上であることが好ましく、12以上が更に好ましい。HLBが低すぎると、乳化力が不十分となることがある。なお、抑泡効果の観点からHLB=5以上10未満の乳化剤を併用してもよい。
ここで、HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスで、通常用いる計算式、例えば川上式等が使用できる。川上式を次に示す。
HLB=7+11.7log(M/M
ここで、Mは親水基の分子量、Mは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の乳化剤を得ることができる。
【0018】
本発明の分散組成物における乳化剤の含有量は、一般に、分散組成物に対して、0.5〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%が更に好ましい。乳化剤の含有量を0.5質量%以上とすることにより、油相/貧溶媒相間の界面張力を下げ易く、また、30質量%以下とすることにより、過剰量とすることがなく分散組成物の泡立ちがひどくなる等の問題を生じ難い点で好ましい。
また、乳化剤の総量は、シリマリンを含む油性成分の合計質量の0.1倍から10倍の範囲で用いることができ、分散粒子の微細化と発泡抑制の点から、0.5倍から8倍が好ましく、0.8倍から5倍が特に好ましい。この範囲内であれば、分散組成物の分散安定性を良好なものにすることができる。
【0019】
乳化剤の中でも、低刺激性であること、環境への影響が少ないこと等から、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤の例としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0020】
本発明においてショ糖脂肪酸エステルは、中性からアルカリ領域で好ましい乳化作用を示すことから好ましく用いられる。ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数が12〜20のものが好ましく、14〜16がより好ましく、低HLBと高HLBの組み合わせが抑泡効果と乳化分散安定性の観点で最も好ましい。脂肪酸の炭素数が12以上とすることによって、充分な乳化安定性を確保しやすく、一方、脂肪酸の炭素数を18以下とすることにより、シリマリンの分散安定性を効果的に向上できることから、それぞれ好ましい。なお、本発明においてショ糖脂肪酸エステルを用いる場合には、後述する水溶性酸化防止剤と併用することが、シリマリンの安定性の観点及び分散組成物の安定性の観点から特に好ましい。
【0021】
ショ糖脂肪酸エステルは、後述する他の乳化剤と併用してもよい。ショ糖脂肪酸エステルの含有量としては、乳化剤の全量に対して、50質量%以上含まれることが好ましく、75質量%以上含まれることがより好ましく、使用される乳化剤の全てがショ糖脂肪酸エステルであることが特に好ましい。
【0022】
ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステルがより好ましい。
本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
【0023】
ショ糖脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、三菱化学フーズ(株)社製リョートーシュガーエステル S−070、S−170、S−270、S−370、S−370F、S−570、S−770、S−970、S−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、P−070、P−170、P−1570、P−1670、M−1695、O−170、O−1570、OWA−1570、L−195、L−595、L−1695、LWA−1570、B−370、B−370F、ER−190、ER−290、POS−135、第一工業製薬(株)社製の、DKエステルSS、F160、F140、F110、F90、F70、F50、F−A50、F−20W、F−10、F−A10E、コスメライクB−30、S−10、S−50、S−70、S−110、S−160、S−190、SA−10、SA−50、P−10、P−160、M−160、L−10、L−50、L−160、L−150A、L−160A、R−10、R−20、O−10、O−150等が挙げられる。
上記の中で、好ましくは、リュートーシュガーエステルS−770、S−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、P−1570、P−1670、M−1695、O−1570、L−1695、DKエステルSS、F160、F140、F110、コスメライクS−110、S−160、S−190、P−160、M−160、L−160、L−150A、L−160A、O−150である。
【0024】
−その他の乳化剤−
本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2以上、好ましくは6〜15、より好ましくは8〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸と、のエステルである。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、より好ましくは、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル(HLB=13)、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(HLB=14)、デカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=16)などである。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
【0025】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL DGMS,NIKKOL DGMO−CV,NIKKOL DGMO−90V,NIKKOL DGDO,NIKKOL DGMIS,NIKKOL DGTIS,NIKKOL Tetraglyn 1−SV,NIKKOL Tetraglyn 1−O,NIKKOL Tetraglyn 3−S,NIKKOL Tetraglyn 5−S,NIKKOL Tetraglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn 1−L,NIKKOL Hexaglyn 1−M,NIKKOL Hexaglyn 1−SV,NIKKOL Hexaglyn 1−O,NIKKOL Hexaglyn 3−S,NIKKOL Hexaglyn 4−B,NIKKOL Hexaglyn 5−S,NIKKOL Hexaglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn PR−15,NIKKOL Decaglyn 1−L,NIKKOL Decaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−SV,NIKKOL Decaglyn 1−50SV,NIKKOL Decaglyn 1−ISV,NIKKOL Decaglyn 1−O,NIKKOL Decaglyn 1−OV,NIKKOL Decaglyn 1−LN,NIKKOL Decaglyn 2−SV,NIKKOL Decaglyn 2−ISV,NIKKOL Decaglyn 3−SV,NIKKOL Decaglyn 3−OV,NIKKOL Decaglyn 5−SV,NIKKOL Decaglyn 5−HS,NIKKOL Decaglyn 5−IS,NIKKOL Decaglyn 5−OV,NIKKOL Decaglyn 5−O−R,NIKKOL Decaglyn 7−S,NIKKOL Decaglyn 7−O,NIKKOL Decaglyn 10−SV,NIKKOL Decaglyn 10−IS,NIKKOL Decaglyn 10−OV,NIKKOL Decaglyn 10−MAC,NIKKOL Decaglyn PR−20,三菱化学フーズ(株)社製リョートーポリグリエステル、L−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、LOP−120DP、DS13W、DS3、HS11、HS9、TS4、TS2、DL15、DO13、太陽化学(株)社製サンソフトQ−17UL、サンソフトQ−14S、サンソフトA−141C、理研ビタミン(株)社製ポエムDO−100、ポエムJ−0021などが挙げられる。
上記の中でも、好ましくは、NIKKOL Decaglyn 1−L,NIKKOL Decaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−SV,NIKKOL Decaglyn 1−50SV,NIKKOL Decaglyn 1−ISV,NIKKOL Decaglyn 1−O,NIKKOL Decaglyn 1−OV,NIKKOL Decaglyn 1−LN,リョートーポリグリエステル L−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、LOP−120DPである。
【0026】
本発明におけるソルビタン脂肪酸エステルとしては、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
本発明においては、これらのソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
【0027】
ソルビタン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL SL−10,SP−10V,SS−10V,SS−10MV,SS−15V,SS−30V,SI−10RV,SI−15RV,SO−10V,SO−15MV,SO−15V,SO−30V,SO−10R,SO−15R,SO−30R,SO−15EX,第一工業製薬(株)社製の、ソルゲン30V、40V、50V、90、110、花王(株)社製の、レオドールAS−10V、AO−10V、AO−15V、SP−L10、SP−P10、SP−S10V、SP−S30V、SP−O10V、SP−O30Vなどが挙げられる。
【0028】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。また、ポリオキシエチレンのエチレンオキサイドの長さ(付加モル数)としては、2〜100が好ましく、4〜50がより好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ポリオキシエチレンモノカプリル酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
これらのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
【0029】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL TL−10、NIKKOL TP−10V、NIKKOL TS−10V、NIKKOL TS−10MV、NIKKOL TS−106V、NIKKOL TS−30V、NIKKOL TI−10V、NIKKOL TO−10V、NIKKOL TO−10MV、NIKKOL TO−106V、NIKKOL TO−30V、花王(株)社製の、レオドールTW−L106、TW−L120、TW−P120、TW−S106V、TW−S120V、TW−S320V、TW−O106V、TW−O120V、TW−O320V、TW−IS399C、レオドールスーパーSP−L10、TW−L120、第一工業製薬(株)社製の、ソルゲンTW−20、TW−60V、TW−80V等が挙げられる。
【0030】
更に、本発明における乳化剤として、レシチンなどのリン脂質を含有してもよい。リン脂質を含有する場合、リン脂質は分散安定性の観点から、前記油相に含まれる油性成分の全質量に対して0.01倍量以上0.3倍量以下で含むことができる。
本発明に用いうるリン脂質は、グリセリン骨格と脂肪酸残基及びリン酸残基を必須構成成分とし、これに、塩基や多価アルコール等が結合したもので、レシチンとも称されるものである。リン脂質は、分子内に親水基と疎水基を有しているため、従来から、食品、医薬品、化粧品分野で、広く乳化剤として使用されている。
【0031】
産業的にはレシチン純度60%以上のものがレシチンとして利用されており、本発明でも利用できるが、微細な油滴粒径の形成及び機能性油性成分の安定性の観点から、好ましくは一般に高純度レシチンと称されるものであり、これはレシチン純度が80%以上、より好ましくは90%以上のものである。
【0032】
リン脂質としては、植物、動物及び微生物の生体から抽出分離された従来公知の各種のものを挙げることができる。
このようなリン脂質の具体例としては、例えば、大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物や、卵黄、牛等の動物及び大腸菌等の微生物等から由来する各種レシチンを挙げることができる。
このようなレシチンを化合物名で例示すると、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ビスホスアチジン酸、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等のグリセロレシチン;スフィンゴミエリン等のスフィンゴレシチン等を挙げることができる。
また、本発明においては、上記の高純度レシチン以外にも、水素添加レシチン、酵素分解レシチン、酵素分解水素添加レシチン、ヒドロキシレシチン等を使用することができる。本発明で用いることができるこれらのレシチンは、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
【0033】
[酸化防止剤]
本発明の分散組成物は、シリマリンの安定性等の観点から、公知の酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)を含んでいてもよい。
ラジカル捕捉剤は、ラジカルの発生を抑えるとともに、生成したラジカルをできる限り速やかに捕捉し、連鎖反応を断つ役割を担う添加剤である(出典:「油化学便覧 第4版」、日本油化学会編 2001)。
本発明に好適な水溶性酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)としては、シリマリンの変色を防止する観点から、例えば、(I)アスコルビン酸またはエリソルビン酸またはその塩、あるいはアスコルビン酸誘導体またはエリソルビン酸誘導体またはその塩からなる化合物群、(II)シリマリン以外のポリフェノール類からなる化合物群より選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
【0034】
(I)アスコルビン酸またはエリソルビン酸またはその塩、あるいはアスコルビン酸誘導体またはエリソルビン酸誘導体またはその塩からなる化合物群
アスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体またはその塩として、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸K、L−アスコルビン酸Ca、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等が挙げられる。これらのうち、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルが特に好ましい。
【0035】
エリソルビン酸またはエリソルビン酸誘導体またはその塩として、エリソルビン酸、エリソルビン酸Na、エリソルビン酸K、エリソルビン酸Ca、エリソルビン酸リン酸エステル、エリソルビン酸硫酸エステル等が挙げられる。これらのうち、エリソルビン酸、エリソルビン酸Naが特に好ましい。
【0036】
本発明に用いる化合物群(I)に属するラジカル捕捉剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、L−アスコルビン酸(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、L−アスコルビン酸Na(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、アスコルビン酸2−グルコシド(和光純薬、商品名 AA−2G(林原生物化学研究所))、L−アスコルビン酸燐酸Mg(商品名 アスコルビン酸PM「SDK」(昭和電工)、商品名 NIKKOL VC−PMG(日光ケミカルズ)、商品名 シーメート(武田薬品工業))、パルミチン酸アスコルビル(DSM ニュートリション ジャパン、金剛薬品、メルク、ほか)等が挙げられる。
【0037】
(II)ポリフェノール類からなる化合物群
ポリフェノール類からなる化合物群として、フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン配糖体、イソフラボン配糖体、フラバン配糖体、フラバノン、ルチン配糖体)、フェノール酸類(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル)、リグナン配糖体類、クルクミン配糖体類、クマリン類、などを挙げることができる。また、これらの化合物は、天然物由来の抽出物中に多く含まれるため、抽出物という状態で利用することができる。
【0038】
本発明に用いる化合物群(II)に属するラジカル捕捉剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、エラグ酸(和光純薬ほか)、ローズマリー抽出物(商品名 RM−21A、RM−21E:三菱化学フーズほか)、カテキン(商品名 サンカトールW−5、No.1:太陽化学、ほか)、没食子酸Na(商品名 サンカトール:太陽化学、ほか)、ルチン・グルコシルルチン・酵素分解ルチン(商品名 ルチンK−2、P−10:キリヤ化学、商品名 αGルチン:林原生物化学研究所、ほか)等が挙げられる。
【0039】
これらの酸化防止剤の中でも水溶性酸化防止剤であることが、水性溶媒を用いる本分散組成物で高い酸化防止能が期待できるため好ましい。水溶性酸化防止剤としては、例えば、上記(I)の化合物及び(II)の化合物のうち、(II)に属する化合物がより好ましい。
【0040】
本発明の分散組成物は、水溶性酸化防止剤の他に脂溶性酸化防止剤を含んでいてもよい。このような脂溶性酸化防止剤としては、アスコルビン酸又はエリソルビン酸の油溶化誘導体、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ビタミンE類及びビスフェノール類等が挙げられる。
【0041】
アスコルビン酸又はエリソルビン酸の油溶化誘導体としては、ステアリン酸L−アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸エリソルビルエステル、テトライソパルミチン酸エリソルビルエステル、などが挙げられる。
【0042】
ビタミンE類としては、特に限定されず、例えばトコフェロール及びその誘導体からなる化合物群、並びにトコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群から選ばれるものを挙げることができる。これらは単独で用いても、複数併用して用いてもよい。またトコフェノール及びその誘導体からなる化合物群とトコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群からそれぞれ選択されたものを組み合わせて使用してもよい。
【0043】
トコフェロール及びその誘導体からなる化合物群としては、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等が含まれる。これらの内で、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、及び、これらの混合物(ミックストコフェロール)がより好ましい。また、トコフェロール誘導体としては、これらの酢酸エステルが好ましく用いられる。
トコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群としては、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等が含まれる。また、トコトリエノール誘導体としては、これらの酢酸エステルが好ましく用いられる。トコトリエノールは麦類、米糠、パーム油等に含まれるトコフェロール類似化合物で、トコフェロールの側鎖部分に二重結合が3個含まれ、優れた酸化防止性能を有する。
【0044】
酸化防止剤の含有量は、変色防止の観点から、シリマリン質量に対して0.05倍量〜10倍量が好ましく、より好ましくは0.1倍量〜10倍量、さらに好ましくは0.2倍量〜5倍量である。
【0045】
[多価アルコール]
本発明の分散組成物は、分散組成物の安定性の観点から、更に多価アルコールを含有してもよい。例えば、グリセリン、1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、又は、多糖類、例えば、還元水あめ、ショ糖、エリスリトール、キシリトール、グルコース、ガラクトース、ソルビトール、マルトトリオース、トレハロースなどを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせ使用することができる。中でもシリマリンの析出抑制の観点からグリセリンが好ましい。
【0046】
多価アルコールの分散組成物全質量に対する含有量は、分散安定性及び保存安定性、分散物及び組成物の粘度の観点から、分散組成物全質量に対して1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。
多価アルコールの含有量が1質量%以上であると、油性成分の種類や含有量等によっても、充分な保存安定性が得られ易い点で好ましい。一方、多価アルコールの含有量が10質量%以下であると、最大限の効果が得られ、分散組成物の粘度が高くなるのを抑え易い点で好ましい。
【0047】
[水溶性高分子]
本発明の分散組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、水溶性高分子を含んでいてもよい。
ここで、水溶性高分子は、少なくとも0.001質量%程度以上、水(25℃)に溶解する高分子であれば何を用いてもよい。本発明において水溶性高分子を用いることで、分散組成物の分散性の安定化を図ることができる。
水溶性高分子の分子量としては、重量平均分子量として1000〜600,000であることが好ましく、分散安定性の観点から1000〜100,000であることが更に好ましい。
【0048】
本発明に用いうる水溶性高分子としては、ペクチン、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タマリンド種子多糖、アラビアガム、トラガカントガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デキストリン等の多糖類;カゼイン、アルブミン、メチル化コラーゲン、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、ゼラチン等の分子量5000超のタンパク質;カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、酸化エチレン・酸化プロピレンブロック共重合体等の合成高分子;ヒドロキシエチルセルロース・メチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体;など、又はこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。これらは、合成されたものであっても、天然物であってもよい。
【0049】
[他の油性成分]
本発明の分散組成物を、食品用途、化粧品用途、医薬品用途に用いる場合は、各用途に応じた食品用機能性材料、化粧品用機能性材料や医薬品用機能性材料を他の油性成分として含んでいてもよい。
ここで、本発明における各用途用の「機能性成分」とは、生体へ適用した場合に、食品、化粧品又は医薬品の一部として生体へ適用された場合に、適用された生体において所定の生理学的効果の誘導が期待され得る油性成分を意味する。なお、前述した難水溶性ポリフェノール化合物は、これらの機能性材料に該当してもよい。
本発明における油性成分は、化粧品、医薬品、食品の分野において一般に油性成分として認識されている成分を意味する。これらの油性成分は、本発明の分散組成物において、分散粒子の一部を形成しうる。
【0050】
本発明で使用可能な他の油性成分としては、セラミド、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシンなどのセラミド類;ステノン;β−シトステロール、スチグマステロール、ウルソル酸などのステロール類;カロテン、アスタキサンチンなどのカロテノイド類;ココナッツ油、ユビキノン類などの油脂類;レチノイド類などの脂溶性ビタミン類、その他、目的とする用途に使用することが公知の各種化合物を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせ使用することができる。
【0051】
本発明の分散組成物において、このような他の油性成分を用いる場合の含有量としては、例えば、医薬品、化粧料への応用を考慮すれば、分散粒子径・乳化安定性の観点から、好ましくは分散物の全質量の0.1質量%〜50質量%、より好ましくは0.2質量%〜25質量%、更に好ましくは0.5質量%〜10質量%である。
油性成分の含有量を前記0.1質量%以上とすると、有効成分の効能を充分に発揮できることから、分散組成物を、医薬品、化粧品へ応用し易くなる。一方、50質量%以下であると、分散粒子径の増大や乳化安定性の悪化を抑制し、安定な組成物が得られる。
【0052】
[他の添加剤]
本発明の分散組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、本発明の分散組成物の用途に応じて、例えば、種々の薬効成分、防腐剤、着色剤など、通常、その用途で使用される他の添加物を併用することができる。
例えば皮膚外用剤などの外用組成物に使用される場合には、その他の成分として、例えば、グリシンベタイン・キシリトール・トレハロース・尿素・中性アミノ酸・塩基性アミノ酸等の保湿剤、アラントイン等の薬効剤、セルロースパウダー・ナイロンパウダー・架橋型シリコーン末・架橋型メチルポリシロキサン・多孔質セルロースパウダー・多孔質ナイロンパウダー等の有機粉体、無水シリカ・酸化亜鉛・酸化チタン等の無機粉体、メントール・カンファー等の清涼剤などの他、植物エキス、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、殺菌剤、色素等が挙げられる。
【0053】
<分散組成物のpH>
本発明の分散組成物のpHは、変色抑制、粒子の安定性、保存性の点からpH6以上9以下であることがより好ましく、pH6.5以上8.5以下であることが更に好ましい。分散組成物のpHはこの範囲内にすることにより、良好な分散安定性及び保存安定性を示す分散組成物となる。分散組成物のpHをこの範囲に調整するために、各種pH調整剤を用いてもよい。
pH調整剤は、分散組成物のpHを所定の範囲内となるように油相又は水相を調製する際に添加・配合してもよく、得られた分散組成物に対して直接添加してもよい。使用可能なpH調整剤としては、塩酸、リン酸などの酸や水酸化ナトリウムなどのアルカリ等、この分野で通常用いられる各種無機塩類や、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等を用いることができる。
【0054】
<分散組成物の粒径>
本発明の分散組成物における分散粒子は、その体積平均粒径が1nm以上200nm以下であり、1nm以上75nm以下が好ましく、1nm以上50nm以下がより好ましく、1nm以上30nm以下が最も好ましい。
なお、本発明における分散粒子の平均粒径とは、水相に分散する油滴様の分散粒子全体の平均粒径を意味する。
分散粒子の粒径を、1nm以上200nm以下とすることにより、分散組成物の透明を確保することができ、本発明の分散組成物を、例えば、化粧品、医薬品、食品等の組成物に用いた場合、該組成物の透明性が確保されると共に、皮膚吸収性などの所望とされる効果を良好に発揮することができる。
【0055】
分散粒子の粒径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。
粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
本発明における分散粒子の粒径測定では、粒径範囲及び測定の容易さから、動的光散乱法を適用すること好ましい。
動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
【0056】
本発明における分散粒子の粒径は、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)を用いて測定した値であり、具体的には、以下のよう計測した値を採用する。
即ち、粒径の測定方法は、本発明の分散組成物から分取した試料に含まれる油性成分の濃度が1質量%になるように純水で希釈を行い、石英セルを用いて測定を行う。粒径は、試料屈折率として1.600、分散媒屈折率として1.333(純水)、分散媒の粘度として純水の粘度を設定した時のメジアン径として求めることができる。
【0057】
本発明の分散組成物において、分散粒子を、油相に他の油性成分とともに用いる場合には、油相として含有される分散粒子の粒子径は、分散組成物に含有される成分による因子以外に、後述する分散組成物の製造方法における攪拌条件(剪断力・温度・圧力)やマイクロミキサーの使用条件、油相と水相比率、などの要因によって目的とする200nm以下の微細化された油相粒子を得ることができる。
【0058】
≪分散組成物の製造方法≫
本発明の上記分散組成物は、シリマリンを含む分散粒子を分散相として連続相中に分散させる方法で得ることができる。
即ち、本発明にかかる分散組成物は、シリマリンの良溶媒を含む油相と貧溶媒とを混合することにより得る方法(以下、「凝縮法」という)と、シリマリンを含むアルカリ溶液を調製した後に酸性化することによって得る方法(以下、「酸凝集析出法」という)のいずれによっても得ることができる。
【0059】
[凝縮法]
凝縮法による分散組成物の製造方法では、前記シリマリンを含む油相成分を該シリマリンの良溶媒に溶解して油相を調製すること(油相調製工程)と、得られた油相とシリマリンの貧溶媒相とを混合すること(混合工程)を含む分散組成物の製造方法である。
この方法によれば、より小さい粒子径の分散粒子を含む分散組成物を得ることができる。
【0060】
シリマリンの良溶媒は、例えば、シリマリンを25℃において少なくとも0.1質量%以上溶解可能な常温で液状の溶媒であればよい。本発明において、良溶媒はシリマリンが0.1質量%以上溶解する油脂・溶媒であれば、いかなる物質でも構わない。
本発明における良溶媒は、水溶性有機溶媒であることが好ましい。水溶性有機溶媒は、上述した分散組成物に含まれていてもよいが、本明細書における「油性成分」には包含されない。
【0061】
[水溶性有機溶媒]
本発明において水溶性有機溶媒は、後述する分散組成物の製造方法で、油相成分を混合して油相を調製するために好ましく用いられ、水相との混合後には除去されることが好ましい。
本発明に用いられる水溶性有機溶媒とは、水に対する25℃での溶解度が10質量%以上の有機溶媒を指す。水に対する溶解度はできあがった分散物の安定性の観点から30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
水溶性有機溶媒は、単独で用いてもよく、複数の水溶性有機溶媒の混合溶媒でもよい。また、水との混合物として用いてもよい。水との混合物を用いる場合には、上記水溶性有機溶媒は、少なくとも50容量%以上含まれていることが好ましく、70容量%以上であることがより好ましい。
【0062】
このような水溶性有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド、エチレングリコール、1,3ブタンジオール、1,4ブタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等及びそれらの混合物を挙げられる。これらの中でも、食品への用途に限定した場合、エタノール、プロピレングリコール、又はアセトンが好ましく、エタノール、又はエタノールと水との混合液が特に好ましい。
【0063】
本発明における貧溶媒は、シリマリンが貧溶、すなわち、シリマリンが溶解しにくい、または溶解しない溶媒をいう。シリマリンが溶解しにくい、又は溶解しないとは、シリマリンの溶解度が25℃において0.1質量%未満となる常温で液状の溶媒であればよい。凝縮法における貧溶媒としては水であることが好ましい。
なお、本発明における「水相」とは、貧溶媒の種類にかかわらず「油相」に対する語として使用する。また本発明の分散組成物における水相には、シリマリンの貧溶媒、例えば水に溶解する他の成分が水相成分として含有されていてもよく、このような水溶性の水相成分に、特定の機能を示しうる機能性成分が含まれていてもよい。
【0064】
水相成分と油相成分との混合は、100MPa以上の剪断力を付加する高圧乳化法や、水相成分に油相成分を直接注入するジェット注入法などを公知の方法を用いてもよいが、油相成分及び水相成分を各々独立に、最も狭い部分の断面積が1μm〜1mmであるマイクロ流路に通過させた後に、各相を組み合わせて混合するマイクロミキサーを用いた方法を用いることが、分散粒子の粒子径、分散安定性、保存安定性の観点からこのましい。
このとき、水相の粘度は30mPa・s以下であることが、分散粒子の微粒子化の観点から好ましい。
【0065】
前記乳化分散における油相と水相との比率(質量)は、特に限定されるものではないが、油相/水相比率(質量%)として0.1/99.9〜50/50が好ましく、0.5/99.5〜30/70がより好ましく、1/99〜20/80が更に好ましい。
油相/水相比率を上記範囲とすることにより、有効成分を充分に含み、実用上充分な分散安定性が得られるため好ましい。
【0066】
[マイクロミキサー]
本発明の分散組成物の製造に適用される製造方法においては、1nm以上100nmの分散粒子を安定に形成するため、油相と、水相とを、各々独立に、最も狭い部分の断面積が1μm〜1mmであるマイクロ流路に通過させた後、各相を組み合わせて混合する製造方法をとることが好ましい。
油相と水相との前記混合は、より微小な分散粒子を得るとの観点から、対向衝突による混合であることが好ましい。
対向衝突により混合させる最も適切な装置は、対向衝突型マイクロミキサーである。マイクロミキサーは、主に2つの異なる液を微小空間中で混合するもので、一方の液が油性成分を含有する油相であり、もう一方が水性溶液とする水相である。
マイクロ化学プロセスの一つである粒径が小さなエマルション調製にマイクロミキサーを適用した場合、比較的低エネルギーで発熱が少なく、通常の攪拌乳化分散方式や高圧ホモジナイザー乳化分散に比べて、粒径が揃っていて、保存安定性にも優れる良好な分散物を得易い。
【0067】
マイクロミキサーを用いて分散する方法の概要は、水相と油相とをそれぞれ微小空間に分け、それぞれの微小空間同士を接触、あるいは衝突させることにある。これは、片方だけを微小空間に分け、もう一方がバルクであるような方法である、膜乳化法やマイクロチャネル乳化法とは明らかに異なるものであり、実際に片方だけを微小空間に分けても本発明のような効果は得られない。公知となっているマイクロミキサーとしては、種々の構造のものがある。マイクロ流路中の流れと混合に着目すると、層流を維持してミキシングする方法と、流れを乱して、すなわち乱流でミキシングする方法の2種を挙げることができる。層流を維持してミキシングする方法では、流路幅より流路深さの寸法を大きくとることで、2液の境界面積をなるべく大きくし、両層の厚さを薄くすることで混合の効率化を図っている。また、2液の入り口を多数に分割して交互に流す多層流にする方法も考案されている。
【0068】
一方、乱流でミキシングする方法では、それぞれの液を狭い流路に分けて比較的高速で流す方法が一般的である。アレイ化したマイクロノズルを用いて片方の液を、微小空間に導入されたもう一方の液中に噴出させる方法も考案されている。また、高速で流れる液同士を種々の手段を用いて強制的に接触させる方法は特に混合効果が良好である。前者の層流を用いた方法は一般に、できる粒子は大きいが比較的分布が揃ったものになるが、後者の乱流を用いた方法は、非常に微細なエマルションが得る可能性があり、安定性及び透明性の点では乱流を用いた方法が好ましい場合が多い。乱流を用いた方法としては、櫛歯型と衝突型が代表的なものである。前記櫛歯型マイクロミキサーとしては、IMM社製に代表されるように、2つの櫛歯状の流路が対面して交互に入り組むように配置された構造となっている。
【0069】
KMミキサーに代表される衝突型マイクロミキサーでは、運動エネルギーを利用して強制接触をはかる構造となっている。具体的には、長澤ら(「H.Nagasawa et al, Chem.Eng.Technol,28,No.3,324−330(2005)」、特開2005−288254号公報)によって開示された、中心衝突型マイクロミキサーが挙げられる。水相と油相とを対向衝突させる方法は、混合時間が極めて短く、瞬時に油相滴が形成されるため、極めて微細な乳化物又は分散物を形成し易い。
【0070】
本発明において、衝突型マイクロミキサーでミクロ混合して乳化する場合、乳化時の温度(乳化温度)は、得られるエマルションの粒径均一性の観点からマイクロミキサーの前記別な微小空間の温度(マイクロミキサーのミクロ混合部の温度)を80℃以下としてミクロ混合することが好ましく、0℃〜80℃がより好ましく、5℃〜75℃が特に好ましい。前記乳化温度0℃以上とすることにより、分散媒の主体が水であるため、乳化温度管理でき好ましい。マイクロミキサーの前記微小空間の保温温度は100℃以下であることが好ましい。前記保温温度を100℃以下とすることにより、保温温度の管理が容易に制御でき、また、乳化性能に悪影響があるミクロな突沸現象を無くすことができる。前記保温温度は80℃以下の温度で制御することがさらに好ましい。
【0071】
マイクロミキサーの前記微小空間に分けられた油相、貧溶媒相、及びマイクロミキサーの前記微小空間の保温温度は、貧溶媒相及び油相に含まれる成分によっても異なるが、それぞれ独立に、0℃〜50℃が好ましく、5℃〜25℃が特に好ましい。マイクロミキサーの前記微小空間の保温温度と、マイクロミキサーの前記微小空間に分けられた油相および貧溶媒相の保温温度と、マイクロミキサーの前記微小空間に分けられる前の油相および貧溶媒相の保温温度(即ち、油相および貧溶媒相供給タンクの保温温度)がそれぞれ異なっていても良いが、同じ温度にすることが混合の安定性の点で好ましい。
【0072】
本発明において、マイクロミキサーの微小空間に分けられる前後の水相、油相、及びマイクロミキサーの前記微小空間及び前記別な微小空間の保温温度を室温より高くして、ミクロ混合して乳化した後は、マイクロミキサーにより得られた水中油滴型エマルションは採取後、冷却して常温にすることは特に好ましい。
【0073】
本発明におけるマイクロミキサーの微小空間(流路)の最も狭い部分の断面積は、1μm〜1mmであり、エマルション粒径の微細化及び粒径分布のシャープネス化の観点から、500μm〜50,000μmが好ましい。
本発明における水相に用いるマイクロミキサーの微小空間(流路)の最も狭い部分の断面積は、混合安定性の観点から、1,000μm〜50,000μmが特に好ましい。
油相に用いるマイクロミキサーの微小空間(流路)の最も狭い部分の断面積は、エマルション粒径の微細化及び粒径分布のシャープネス化の観点から、500μm〜20,000μmが特に好ましい。
【0074】
また、マイクロミキサーで混合(乳化分散)する場合、乳化分散時の油相と水相の流量としては、用いるマイクロミキサーによっても異なるが、エマルション粒径の微細化及び粒径分布のシャープ化の観点から、水相の流量としては、10ml/min〜500ml/minが好ましく、20ml/min〜350ml/minがより好ましく、50ml/min〜200ml/minが特に好ましい。
油相の流量としては、エマルション粒子径の微細化及び粒子径分布のシャープ化の観点から、1ml/min〜100ml/minが好ましく、さらには3ml/min〜50ml/minがより好ましく、5ml/min〜50ml/minが特に好ましい。
【0075】
両相の流量をマイクロチャンネルの断面積で割った値、すなわち両相の流速比(Vo/Vw)は、粒子の微細化とマイクロミキサーの設計上、0.05以上5以下の範囲であることが好ましい。但し、Voは水不溶性天然成分を含む油相の流速であり、Vwは水相の流速である。また、流速比(Vo/Vw)が0.1以上3以下であることが、さらなる粒子の微細化の観点から最も好ましい範囲である。
【0076】
また、水相及び油相の送液圧力としては、水相と油相は0.030MPa〜5MPaと0.010MPa〜1MPaが好ましく、さらには、0.1MPa〜2MPaと0.02MPa〜0.5MPaがより好ましく、0.2MPa〜1MPaと0.04MPa〜0.2MPaが特に好ましい。前記水相の送液圧力を0.030MPa〜5MPaとすることにより、安定な送液流量を維持できる傾向となり、油相の送液圧力を0.010MPa〜1MPaとすることにより、均一な混合性が得られる傾向となり好ましい。
本発明において、前記流量、送液圧力及び保温温度はそれぞれ好ましい例の組み合せがより好ましい。
【0077】
次に、前記水相、油相がマイクロミキサーに導入され、水中油滴型エマルションとして排出されるまでの経路について、本発明におけるマイクロミキサーの一例としてマイクロデバイスの例(図1)を用いて説明する。
図1に示されるようにマイクロデバイス100は、それぞれが円柱状の形態の供給要素102、合流要素104及び排出要素106により構成されている。
供給要素102の合流要素104に対向する面には、本発明における油相又は水相の流路としての断面が矩形の環状チャネル108及び110が同心状に形成されている。供給要素102にはその厚さ(又は高さ)方向に貫通してそれぞれの環状チャンネルに至るボア112及び114が形成されている。
合流要素104には、その厚さ方向に貫通するボア116が形成されている。このボア116は、マイクロデバイス100を構成するために要素を締結した場合、供給要素102に対向する合流要素104の面に位置するボア116の端部120が環状チャンネル108に開口するようになっている。図示した態様では、ボア116は4つ形成され、これらが環状チャンネル108の周方向で等間隔に配置されている。
【0078】
合流要素104には、ボア116と同様にボア118が貫通して形成されている。ボア118も、ボア116と同様に、環状チャンネル110に開口するように形成されている。ボア118も環状チャンネル110の周方向で等間隔に配置され、かつ、ボア116とボア118が交互に位置するように配置されている。
合流要素104の排出要素106に対向する面122には、マイクロチャンネル124及び126が形成されている。このマイクロチャンネル124又は126の一端はボア116又は118の開口部であり、他方の端部は、面122の中心128であり、全てのマイクロチャンネルはこの中心128に向かってボアから延在し、中心で合流している。マイクロチャンネルの断面は、例えば矩形であってよい。
【0079】
排出要素106は、その中心を通過して厚さ方向に貫通するボア130が形成されている。従って、このボアは、一端にて合流要素104の中心128に開口し、他端にてマイクロデバイスの外部に開口している。
本マイクロデバイス100では、ボア112及び114の端部にてマイクロデバイス100の外部から供給される流体A及びBは、それぞれボア112及び114を経由して環状チャンネル108及び110に流入する。
【0080】
環状チャンネル108とボア116が連通し、環状チャンネル108に流入した流体Aは、ボア116を経由してマイクロチャンネル124に入る。また、環状チャンネル110とボア118が連通し、環状チャンネル110に流入した流体Bは、ボア118を経由してマイクロチャンネル126に入る。流体A及びBは、それぞれマイクロチャンネル124及び126に流入した後、中心128に向かって流れて合流する。
前記合流した流体は、ボア130を経由してマイクロデバイスの外部にストリームCとして排出される。
【0081】
このようなマイクロデバイス100は、下記のような仕様とすることができる。
環状チャンネル108の断面形状/幅/深さ/直径= 矩形/1.5mm/1.5mm/25mm
環状チャンネル110の断面形状/幅/深さ/直径= 矩形/1.5mm/1.5mm/20mm
ボア112の直径/長さ= 1.5mm/10mm(円形断面)
ボア114の直径/長さ= 1.5mm/10mm(円形断面)
ボア116の直径/長さ= 0.5mm/4mm(円形断面)
ボア118の直径/長さ= 0.5mm/4mm(円形断面)
マイクロチャンネル124の断面形状/幅/深さ/長さ/断面積= 矩形/350μm/100μm/12.5mm/35000μm
マイクロチャンネル126の断面形状、幅/深さ/長さ/断面積= 矩形/50μm/100μm/10mm/5000μm
ボア130の直径/長さ= 500μm/10mm(円形断面)
【0082】
水相と油相が衝突するマイクロチャンネル(図1中、124及び126)の寸法は、水相及び油相の流量との関係において好ましい範囲が規定される。
【0083】
本発明においては、特開2004−33901号公報に示されるマイクロミキサーも好ましく用いることができる。
図2は、T字型マイクロリアクターによる混合機構の一例を示すT字型マイクロリアクターの概略断面図である。図3は、T字型マイクロリアクターによる混合機構の一例を示すT字型マイクロリアクターの概念図である。
図2には、T字型マイクロリアクターのT字型流路200の断面が示されている。T字型流路200は、流入口202aから矢印Dの方向に流入した流体と、流入口202bから矢印Eの方向に流入した流体は、T字型流路200の流路内中央部で衝突し、混合して微細な流体粒子となる。微細な流体粒子は、流出口204から矢印Fの方向へ流出する。このT字型マイクロリアクターは、流路の容積が小さいときには混合するのに有用である。
【0084】
図3には、他のT字型マイクロリアクターの流体混合機構(概念)300が示されている。図3に示す流体混合機構は、2つの流路302aと302bから流出した流体が互いに衝突・混合して、微細な流体粒となるものである。すなわち、流体は、一方で、矢印Gの方向に流路302aに流入し、矢印Hの方向に流出する。他方で、矢印Iの方向に流路302bに流入し、矢印Jの方向に流出する。流路302aと302bからそれぞれ流出した流体は、衝突し、混合して、矢印G〜Jの方向とおよそ直交する方向に飛散する。このように図3に記載した流体混合機構は、霧化等の手法により拡散させた流体を衝突・混合させるものである。この衝突・混合により、流体はより微細となり、大きな接触面を得ることができる。
【0085】
本発明の分散組成物に適用しうる製造方法では、用いられた水溶性有機溶媒は、マイクロ流路を通して乳化又は分散後、除去することが好ましい。溶媒を除去する方法としては、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーター、超音波アトマイザー等を用いた蒸発法、限外濾過膜、逆浸透膜等の膜分離法が知られているが、特に限外濾過膜法が好ましい。
【0086】
限外濾過(Ultra Filter:略してUF)とは、原液(水、高分子物質、低分子物質、コロイド物質等の混合水溶液)を加圧し、UF装置に注水することにより、原液を透過液(低分子物質)と濃縮液(高分子物質、コロイド物質)2系統の溶液に分離し、取り出すことができる装置である。
【0087】
限外濾過膜は、ロブ−スリーラーヤン法により作製される典型的な非対称膜である。使用される高分子素材は、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル−ポリアクリロニトリル共重合体、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、フッ化ビニリデン、芳香族ポリアミド、酢酸セルロースなどである。最近ではセラミックス膜も使われるようになってきた。限外濾過法では逆浸透法等と異なり、前処理をおこなわないので、膜面に高分子などが堆積するファウリングがおこる。そのため膜を薬品や温水で定期的に洗浄するのが普通である。このため膜素材は薬品に対する耐性や耐熱性が求められる。限外濾過膜の膜モジュールは平膜型、管状型、中空糸型、スパイラル型と各種ある。限外濾過膜の性能指標は分画分子量であり、これが1,000〜300,000まで各種の膜が市販されている。市販の膜モジュールとしては、マイクローザーUF(旭化成ケミカルズ(株))、キャピラリー型エレメントNTU−3306(日東電工(株))等があるがこれに限定されるものではない。
【0088】
得られた乳化物からの溶媒除去には、膜の材質は溶媒耐性の観点から、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、芳香族ポリアミドが特に好ましい。膜モジュールの形態としては、実験室スケールでは平膜が主に用いられるが工業的には中空糸型、スパイラル型が用いられるが、中空糸型が特に好ましい。また、分画分子量は有効成分の種類によって異なるが、通常、5,000〜100,000の範囲のものが用いられる。
操作温度は0℃〜80℃まで可能であるが、有効成分の劣化を考慮すると10℃〜40℃の範囲が特に好ましい。
【0089】
ラボスケールの限外濾過装置としては、平膜型モジュールを用いる、ADVANTEC−UHP(アドバンテック(株))、フロータイプラボテストユニットRUM−2(日東電工(株))等がある。工業的にはそれぞれの膜モジュールを必要能力に応じた大きさと本数を任意に組み合わせてプラントを構成することができる。ベンチスケールのユニットとしては、RUW−5A(日東電工(株))等が市販されている。
【0090】
本発明の分散組成物に適用しうる製造方法では、溶媒除去に引き続き、得られた乳化物を濃縮化する工程を加えてもよい。濃縮方法としては、蒸発法、濾過膜法等溶媒除去と同じ方法、装置を用いることができる。濃縮の場合も限外濾過膜法が好ましい方法である。溶媒除去と同一膜を使うことができれば好ましいが、必要に応じて、分画分子量の異なる限外濾過膜を使用することもできる。また、溶媒除去とは異なる温度で運転し、濃縮効率を高めることも可能である。
【0091】
上記マイクロミキサーによる混合により得られた分散組成物(乳化物)は、水中油滴型エマルションである。本発明の分散組成物の製造方法では、分散粒子の体積平均粒径(メジアン径)を、1nm〜200nmとするものである。得られた分散組成物の透明性の観点から、より好ましくは1nm〜100nmである。
以上説明した製造方法により得られた分散粒子の粒径は、市販の粒度分布計等で計測することができ、その詳細は、既述のとおりである。
【0092】
[酸凝集析出法]
本発明の他の分散組成物の製造方法は、シリマリン及びコラーゲンペプチドを含むアルカリ溶液を調製すること(アルカリ溶液調製工程)、前記アルカリ溶液のpHを酸性化すること(酸性化工程)を含む分散組成物の製造方法である。
この方法によれば、特定の装置を用いる必要がなく、また常温常圧で目的とする分散組成物を得ることができる。
【0093】
アルカリ溶液調製工程では、シリマリン及びコラーゲンペプチドを含むアルカリ溶液(以下、「シリマリン含有アルカリ溶液」と称する場合がある)を調製する。アルカリ溶液は、シリマリンが溶解されていればよく、例えば、シリマリンの良溶媒であるアルカリ水溶液でシリマリンを溶解することにより調製される。アルカリ水溶液はシリマリンの良溶媒でもある。
【0094】
シリマリンを溶解するために用いられるアルカリ水溶液は、例えばNaOHなどの強塩基でpH10〜12を示す水溶液に調整したものとしてよい。pH10以上の水溶液であれば、後述する貧溶媒としての酸性溶液との間で充分な溶解度差が生じて、シリマリンを良好に分散することができ、pH12以下であれば、コラーゲンペプチドなどの分散組成物中の他の成分の物性や機能を大きく損なうことがない。
アルカリ溶液調製工程で得られたシリマリン含有アルカリ溶液のpHは、シリマリンを物性等に影響することなく良好に溶解させると共に酸性化工程での溶解度差を大きくすることができるため、pH9以上であることが好ましい。
【0095】
酸性化工程では、シリマリン含有アルカリ溶液のpHを酸性化する。酸性化によって、シリマリンが凝集及び析出して、シリマリンを含む分散粒子が系中に分散する。
シリマリン含有アルカリ溶液の酸性化は、シリマリン含有分散粒子が析出すればよく、シリマリン含有アルカリ溶液のpHを、アルカリ溶液調製直後のpHよりも低いpH6以上9以下の範囲のpHにすることが、粒子形成の観点から好ましく、pH=6.5以上pH=8.5以下の範囲にすることがより好ましい。
また酸性化は、シリマリン含有アルカリ溶液に対してpH調整剤等を添加することにより、シリマリン含有アルカリ溶液を直接酸性化してもよく、所定pHの酸性溶液を、シリマリン含有アルカリ溶液と混合して酸性化してもよい。
【0096】
酸性化に用いられる酸性水溶液としては、使用されるアルカリ水溶液のpH等によって適宜選択することができ、強酸や弱酸などを用いることもできる。例えば、リン酸二水素ナトリウムのようなpH3〜7を示す水溶液を用いれば、混合後のpHが6〜8付近となり好ましい。pH7以下の水溶液であれば、良溶媒としてのアルカリ性溶液との間で充分な溶解度差が生じて、シリマリンを良好に分散することができ、pH3以上であれば、分散組成物中の他の成分の物性や機能を大きく損なうことがない。より好ましい酸性溶液は、pH4〜5とし得る。
【0097】
なお、上記の酸性溶液はシリマリンの貧溶媒として作用するため、アルカリ溶液を良溶媒とし、酸性溶液を貧溶媒として上述した凝縮法に従って、シリマリンを含有する分散組成物を得てもよい。この場合には、シリマリンを含む油相成分をアルカリ溶液に溶解して油相を調製し、得られたシリマリン含有アルカリ溶液と酸性溶液とを混合して、分散組成物を得る。この態様での混合には、凝縮法で記載した事項と同様に、上述したようなマイクロ流路を用いてもよく、また混合を対向衝突により行ってもよい。
【0098】
本発明の分散組成物を用いて粉末状態の組成物を得たい場合は、上記により得られたエマルション状態の分散組成物を噴霧乾燥等により乾燥させる工程を追加することで、粉末状態の組成物を得ることができる。
分散組成物の製造方法における油相、水相に含有される成分は、前述の本発明の分散組成物の構成成分と同様であり、好ましい例及び好ましい量も同様であり、好ましい組合せがより好ましい。
【0099】
本発明の分散組成物は、シリマリンを含む分散安定性に優れた分散組成物であるので、本発明の分散組成物を化粧品組成物、飲食品組成物、医薬品組成物の素材として用いることができる。これにより、シリマリンを含むと共に分散安定性に優れた各用途の組成物を提供することができる。
本発明の分散組成物は、シリマリンを各組成物の材料として、各用途に特徴的な油溶性又は水溶性の機能性材料と共に含有してもよい。当業者であれば、各用途に特徴的な油溶性又は水溶性の機能性材料の選択を公知の材料から適宜行うことができ、また、本明細書の記載に従って本発明の効果が得られるように配合することができる。化粧品組成物、食品組成物、医薬品組成物の素材として用いる場合の形態には特に限定がなく、液状、粉末状、固体状、ゲル状等の各形態を採ってもよい。
【0100】
なお、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、特に断らない限り、本明細書で定義された各成分に該当する成分が当該組成物中に1つ含まれる場合には、その含有量を意味し、2つ以上含まれる場合には、その合計量を意味する。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0101】
<分散組成物の調製>
[実施例1]
下記1液に記載の各成分を室温にて約30分間攪拌し、I液を調製した。また下記II液は、純水にペプチドコラーゲン加えて約50℃に加温し、充分に攪拌溶解し、グリセリン、グルコシルルチンを加えて混合し、水酸化ナトリウムにてpH=9.5に調整し、液温を30℃に調整した。
【0102】
<I液>
マリアアザミエキス末
(総シリビン39% 常盤植物化学研究所) 0.25部
リョートーシュガーエステル(M−1695) 1.13部
リョートーシュガーエステル(S−770) 1.13部
リケンオイル E−800 0.75部
エタノール〔水溶性有機溶媒〕 96.74部
<II液>
純水 292.3部
発酵コラーゲンペプチド
(LCP顆粒 新田ゼラチン) 2.5部
グリセリン 5.0部
グルコシルルチン 0.25部
水酸化ナトリウム溶液 (pH=9.5調整) 微量
【0103】
得られたI液とII液とを1:3(質量比)で、衝突型であるKM型マイクロミキサ100/100を用いてミクロ混合(分散)した。ついでエバポレータにより加温、減圧により4倍濃縮し、分散液1を得た。なお、マイクロミキサーの使用条件は、下記のとおりである。
【0104】
−マイクロチャンネル−
I液側マイクロチャンネル
断面形状/幅/深さ/長さ = 矩形/70μm/100μm/10mm
II液側マイクロチャンネル
断面形状/幅/深さ/長さ = 矩形/490μm/100μm/10mm
−流量−
外環にII液を21.0ml/min.の流量で導入し、内環にI液を3.0ml/min.の流量で導入してミクロ混合した。
【0105】
得られた分散液1を薄膜式フラッシュエバポレータ(大川原製作所製:エバポール(CEP−lab))を使用して、エタノール濃度が0.1質量%以下になるまで脱溶媒することで、総シリビンの濃度が0.1質量%になるように4倍濃縮し、pH=7.1の分散組成物を得た(表1参照)。なお分散組成物Aにおけるシリマリンの濃度は、分散組成物全質量を基準としたときの総シリビン量の濃度をいう。
【0106】
[実施例2〜6、比較例1〜2]
実施例2〜4及び6は、分散組成物中の各成分の最終濃度が表1のとおりとなるように、各I液成分及びII液成分を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして分散組成物を得た。
実施例5及び比較例1〜2については、分散組成物中の各成分の最終濃度が表1のとおりとなるように、各I液成分及びII液成分を表1に記載のとおりに変更し、且つ水酸化ナトリウムを用いてpH12に調整した以外は、実施例1と同様にして分散組成物を得た。
【0107】
なおマリアアザミエキス末としては、常盤植物化学研究所製(総シリビン量39質量%)を使用した。コラーゲンペプチドとしては、スーパーコラーゲンペプチドSCP−500顆粒状(平均分子量5000、新田ゼラチン社製)、コラーゲンペプチドLCP顆粒(平均分子量2000、新田ゼラチン社製)、マリンコラーゲンオリゴCF顆粒(平均分子量1000、チッソ株式会社性)、Naticol 1000(平均分子量700、Weishardt社製)、コラコラ500コラーゲンパウダー(平均分子量500、株式会社協和製)を使用した。ゼラチンとしては、P−6831(平均分子量72000、新田ゼラチン社製)を使用した。
表1中、ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ミリスチン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製リョートーシュガーエステルM−1695(HLB=16))と、ショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−770(HLB=7))を使用した。脂溶性酸化防止剤としては、トコフェロール(理研Eオイル800、理研ビタミン株式会社製)を使用し、水溶性酸化防止剤としては、グリコシルルチン(α-グルコシルルチン、和光純薬工業(株))及びアスコルビン酸2−グルコシド(和光純薬製)を使用した。
【0108】
[実施例7]
滅菌された純水に水酸化ナトリウムを加えて得られたpH=12のアルカリ水90部に、マリアアザミエキス末(総シリビン39%、常盤植物化学研究)0.1部を加え、室温にて約30分間以上充分に攪拌溶解し、水酸化ナトリウムにてpH=12に再調整し充分に溶解した。次いで、リョートーシュガーエステル(M−1695 三菱化学フーズ(株))0.5部及びリョートーシュガーエステル(S−770 三菱化学フーズ(株))0.5部を加え、約60℃に加温し15分以上攪拌溶解させた。
更にコラーゲンペプチド(平均分子量700 Naticol1000)8部を加え、15分以上攪拌することで、各成分をアルカリ水に完全溶解させ室温に戻した。最後に、攪拌しながらクエン酸50%濃度を加えpHをpH=6.5に調整して、30分間攪拌した。後に、純水にて濃度微調整を行い試料液を得た。0.2μmの親水性ポリエーテルスルホンの濾材にて濾過し、分散組成物7を得た(表2参照)。そのときの平均粒子径は63nmであった。
【0109】
[実施例8〜9、比較例3]
分散組成物中の各成分の最終濃度が表2のとおりとなるように、各成分を表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例7と同様にして分散組成物を得た。
【0110】
<評価>
1.分散粒子の粒径
各分散組成物における分散粒子の粒径の測定には、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)を用いた。該粒径の測定は、分散粒子の濃度が1質量%になるように純水で希釈を行い、石英セルを用いて行った。粒子径は、試料屈折率として1.600、分散媒屈折率として1.333(純水)、分散媒の粘度として純水の粘度を設定した時のメジアン径として求めた。結果を表3に示す。
【0111】
2.分散組成物の外観評価
経時安定性の評価は目視にて行い、色の変化と透明か不透明かを判断した。
分散直後の各分散組成物に透明度を目視にて観察し、透明か不透明かを判断した。次いで、各分散組成物を、5℃の冷暗所で3ヵ月保管した後、又は40℃の恒温槽に3ヵ月保管した後、それぞれ25℃に戻して再度目視にて同様に判断した。
3.分散組成物の物性評価
調製直後と、5℃3ヵ月保管後又は40℃3ヵ月保管後におけるpHの変化、粒子径及びその変動幅、並びに組成物の状態や色の変化を含む外観に基づいて、○、△、×と評価した。結果を表3に示す。
【0112】
【表1】

【0113】
【表2】


【表3】

【0114】
表3に明らかなように、シリマリンを含む本発明の実施例に係る分散組成物は、調製直後において粒子径の小さい分散粒子が分散する褐色透明な分散組成物であり、長期保存後であっても分散粒子の粒径が小さく、且つ分散安定性が良好な、経時安定性にも優れたものであった。
【符号の説明】
【0115】
100 マイクロデバイス
102 供給要素
104 合流要素
106 排出要素
124 マイクロチャンネル
126 マイクロチャンネル
128 中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリマリンと、平均分子量500を超え5000以下のコラーゲンペプチドと、乳化剤とを含む分散組成物。
【請求項2】
水溶性酸化防止剤を更に含む請求項1記載の分散組成物。
【請求項3】
前記乳化剤がショ糖脂肪酸エステルを含む請求項1又は請求項2記載の分散組成物。
【請求項4】
前記コラーゲンペプチドが組成物の全質量の0.1質量%以上10質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の分散組成物。
【請求項5】
前記コラーゲンペプチドの含有量が、シリマリンの質量の1.0倍以上250倍以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の分散組成物。
【請求項6】
1質量%以上10質量%以下の多価アルコールを更に含む請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の分散組成物。
【請求項7】
pHが6以上8以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の分散組成物。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の分散組成物の製造方法であって、
前記シリマリンを含む油相成分を該シリマリンの良溶媒に溶解して油相を調製することと、
得られた油相とシリマリンの貧溶媒相とを混合すること
を含む分散組成物の製造方法。
【請求項9】
前記シリマリンの良溶媒が水溶性有機溶媒であり、前記シリマリンの貧溶媒が水である請求項8記載の分散組成物の製造方法。
【請求項10】
前記油相と前記貧溶媒相との混合が、断面積が1μm〜1mmであるマイクロ流路にそれぞれ独立して通過させた後に組み合わせて混合するものである請求項8又は請求項9に記載の分散組成物の製造方法。
【請求項11】
前記混合が、対向衝突により行なわれる請求項8〜請求項10のいずれか1項記載の分散組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の分散組成物の製造方法であって、
シリマリン及びコラーゲンペプチドを含むアルカリ溶液を調製すること、
前記アルカリ溶液のpHを酸性化すること、
を含む分散組成物の製造方法。
【請求項13】
前記アルカリ溶液のpHが9以上である請求項12に記載の分散組成物の製造方法。
【請求項14】
前記アルカリ溶液の酸性化がpH6以上9以下の範囲のpHにすることである請求項12又は請求項13に記載の分散組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−136915(P2011−136915A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296121(P2009−296121)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】