説明

分析用試料の自動微粉砕装置

【課題】 分析用試料の微粉砕及びその回収を自動的に行うと共に、微粉砕前後において高い回収率で回収することが可能であり、また、分析用試料の調整を短時間に行うことができ、試料間のコンタミが生じるおそれがなく、しかも周囲への微粉砕された粉体の飛散も生じることのない分析用試料の自動微粉砕装置を提供する。
【解決手段】 分析用試料の自動微粉砕装置1は、所定量の分析用試料を順番にホッパ20に投入する投入装置10と、ホッパ20内に投入された分析用試料を微粉砕機30へ供給する供給装置25と、供給装置25によって供給された分析用試料を微粉砕すると共に、微粉砕した分析用試料を篩い分けして排出する微粉砕機30と、排出された分析用試料を回収する回収装置40と、ホッパ20から回収装置40までをエアブローによって清浄する清浄装置50を備えて構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析用試料の自動微粉砕装置に関し、さらに詳しくは、複数の容器にそれぞれ収容された分析用試料を自動的且つ連続的に微粉砕すると共に、微粉砕された分析用試料をコンタミさせることなく完全回収することが可能な分析用試料の自動微粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銅の製錬に際して使用される故銅、銅滓、銅屑等は、含まれる銅や他の金属の含有量の相違によって操業効率に影響があるため、予めそれらのロットごとにどのような成分比で有価金属が含まれているかを分析し、それによって使用する材料を混合することによって操業効率の均一化を図ることが行われている。例えば、故銅、銅滓、銅屑などの分析にはマット化(硫化物化)した試料を100メッシュ以下に粉砕し使用する。金、銀は「JIS M 8111 鉱石中の金及び銀の定量方法」に準じた方法で分析値を求める。銅は「JIS M 8121 鉱石中の銅定量方法」に準じた方法で分析値を求める。金、銀は乾式試金法にて金銀の合粒を得、その重量を量る。その後、王水で合粒を溶解しICPなどで金及びその他の元素を測定する。ICPなどの測定値から金の品位を求め、合粒から金及びその他の元素の重量を差し引いて銀の品位を求める。銅は分析試料を酸溶解し、必要な前処理、分離操作などを行った後、チオ硫酸ナトリウムで滴定して品位を求める。
【0003】
一方、銅精鉱等の分析試料を粉砕、混合、等分割し、それを複数の袋に袋詰めした後保管を行う分析試料自動等分保管装置が特許文献1(特開2000−88713公報)に開示されている。この分析試料自動等分保管装置は、分析試料を収納するホッパと、試料を一定量ずつ切り出す第一の搬送装置と、試料を所定粒径以下に粉砕する微粉砕機と、試料を一旦保持して撹拌混合するミキシングホッパと、ミキシングホッパが稼働中は閉鎖し且つ試料が十分撹拌混合されたときに解放するバルブ装置と、試料を一定量ずつ切り出す第二の搬送装置と、分析試料を等分割して複数の等分ホッパに収納し且つ必要に応じて下方より排出する等分機と、等分された試料を袋に詰めて口部をシールする自動袋詰め装置と、袋を保管箱に受入れ複数袋溜まった時点で、次の保管箱に切り替えるサンプル保管装置とを備えて構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−88713公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示された分析試料自動等分保管装置は、具体的には、精鉱を試料とし、それを約3kg程度を微粉砕した後、均一に撹拌混合して約170gで16に等分し、そのうち8袋を小分け包装すると共に、他は廃棄するという装置である。故銅、銅滓、銅屑等の分析用試料の調整に際して特許文献1に示された分析試料自動等分保管装置を用いることも考えられるが、分析対象が故銅、銅滓、銅屑等という銅品位の高いものであるため約3kgもの故銅、銅滓、銅屑等を試料に供するというのは実用的ではない。従って、できるだけ分析に必要な量だけをサンプリングして、しかも微粉砕後にもサンプリング量が減ることがないよう微粉砕前後において高い回収率が求められる。
【0006】
また、従来の故銅、銅滓、銅屑等の微粉砕はバッチ式で行っておいたことから、分析用試料の作成に、長時間を要していた。また、100メッシュ以下の微粉砕を行うため、バッチ式では微粉砕後の粉体の飛散が問題であった。微粉砕された試料が飛散すると回収率が低下するのみならず、他の試料への混入のおそれがあった。さらに、異種の試料を同一粉砕機で処理していたため、試料間におけるコンタミも問題となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、分析用試料の微粉砕及びその回収を自動的に行うと共に、微粉砕前後において高い回収率で回収することが可能な分析用試料の自動微粉砕装置を提供することを目的とする。
また、分析用試料の調整を短時間に行うことができ、試料間のコンタミが生じるおそれがなく、しかも周囲への微粉砕された粉体の飛散も生じることのない分析用試料の自動微粉砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明は、複数の投入用容器内に収容された所定量の分析用試料をそれぞれ順番にホッパに投入する投入装置と、ホッパ内に投入された分析用試料を所定量ずつ送り出して微粉砕機へ供給する供給装置と、供給装置によって供給された分析用試料を微粉砕すると共に、微粉砕した分析用試料を所定サイズの篩によって篩い分けを行い、篩別された所定サイズ以下の分析用試料及び篩上に残った所定サイズ以上の分析用試料をそれぞれ排出する微粉砕装置と、微粉砕装置からそれぞれ排出された所定サイズ以下の分析用試料及び所定サイズ以上の分析用試料を共に回収用容器に収容する回収装置と、微粉砕した分析用試料を回収用容器に回収した後であって次の分析用試料のホッパへの投入前に、ホッパから回収装置までを一旦密閉状態としてエアブローによって清浄し、系内に残存する居付きを集塵装置によって除去する清浄装置とを備えて構成されてなる分析用試料の自動微粉砕装置を提供する。
【0009】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の分析用試料の自動微粉砕装置において、回収装置は、回収用容器を当接させることにより回収用容器の開口部を閉塞する容器受部を備え、それによって微粉砕された分析用試料の飛散を防止しつつ回収が行われるようにしたことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の分析用試料の自動微粉砕装置において、清浄装置は、容器受部に当接することによりホッパから容器受部に至るまでを密閉状態とするキャップ部であって、集塵機と連結されたキャップ部を有する清浄用閉塞機を備え、容器受部にキャップ部を当接させた状態でエアブローすることによって系内に残存する居付きを吹き飛ばして集塵装置で除去することにより清浄を行うことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載の分析用試料の自動微粉砕装置において、清浄装置は、ホッパへ清浄用のエアを送るホッパ用エア供給手段及びホッパを清浄したエアを集塵装置へ送るホッパ用エア排出手段と、供給装置へ清浄用のエアを送る供給装置用エア供給手段及び供給装置を清浄したエアを集塵装置へ送る供給用エア排出手段と、微粉砕装置へ清浄用のエアを送る微粉砕装置用エア供給手段及び微粉砕装置を清浄したエアを集塵装置へ送る分粉砕装置用エア排出手段とを備えて構成されてなることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために請求項5に記載の本発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の分析用試料の自動微粉砕装置において、清浄装置によるエアブローは、少なくとも1kg/mの空気圧で行うことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために請求項6に記載の本発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の分析用試料の自動微粉砕装置において、微粉砕装置による分析用試料の粉砕は、100メッシュ以上のサイズのものが少なくとも0.5%以下となるように粉砕することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る分析用試料の自動微粉砕装置によれば、分析用試料の投入から微粉砕して回収するまでを自動的且つ連続して行うことができるので分析用試料の調整を短時間で行うことができるという効果がある。
また、本発明に係る分析用試料の自動微粉砕装置によれば、分析用試料の投入から微粉砕して回収するまでを密閉した系内で行うこととしたので微粉砕後の粉体の飛散を生じることがないという効果がある。
さらに、本発明に係る分析用試料の自動微粉砕装置によれば、分析用試料を投入するホッパ、分析用試料を微粉砕装置へ供給する供給装置、分析用試料を微粉砕する微粉砕装置を密閉した系内でエア洗浄することとしたので試料間のコンタミを生じさせないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る分析用試料の自動微粉砕装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明に係る分析用試料の自動微粉砕装置の一実施形態の正面図である。
【0016】
初めに、図示された分析用試料の自動微粉砕装置1は、概略として、所定量の分析用試料を順番にホッパ20に投入する投入装置10と、ホッパ20内に投入された分析用試料を微粉砕機30へ供給する供給装置25と、供給装置25によって供給された分析用試料を微粉砕すると共に、微粉砕した分析用試料を篩い分けして排出する微粉砕機30と、排出された分析用試料を回収する回収装置40と、ホッパ20から回収装置40までをエアブローによって清浄する清浄装置50を備えて構成されている。以下、各部について説明する。
【0017】
分析用試料の自動微粉砕装置1は、金属製のフレーム3によって枠組みされ、上部側から投入装置10、ホッパ20、供給装置25、微粉砕機30、回収装置40が順次下側に位置するようにして配置されている。そして、作業員が分析用試料を投入用容器11へ投入したりメンテナンスを行うために長手方向に沿って階段5を備えたプラットホーム7が設けられている。ここで、分析用試料の自動微粉砕装置1によって微粉砕すべき分析用試料は、例えば、故銅、銅滓、銅屑、金銀滓、金銀屑等であり、予め前処理として1mm程度の大きさに祖粉砕してから試料として供される。
【0018】
投入装置10は、図1に示すように、2つのスプロケット13a、13aに回巻された駆動チェーン13と、駆動チェーン13に取り付けられた投入用容器11を備えている。駆動チェーン13は、その下側に設置された駆動モータ13bによって駆動されて無限循環するようになっている。投入用容器11は15個を一列に並べた状態で配置されており、本実施形態ではこれを2列備えている。従って、この投入装置10には合計30個の投入用容器11を備えている。もちろん投入用容器11の個数はこれに限られるものではなく適宜の個数を取り付けることが可能であることはいうまでもない。この構成により、駆動モータ13bによって駆動チェーン13を回転させると駆動チェーン13に取り付けられた投入用容器11はホッパ20方向に移動する。そして、投入用容器11が駆動チェーン13の最端部であってホッパ20に最も近接した位置に至ると傾倒しながらその内部に収容された分析用試料をホッパ20内に投入し、上下反転させられて転倒した状態でホッパ20から遠ざかるように移動する。これを順次繰り返しながら各投入用容器11内に収容された分析用試料を次々とホッパ20内に投入する。尚、ホッパ20には図示しないシャッタが設けられており、分析用試料を投入した投入用容器11がホッパ20外に移動したときに当該シャッタは閉じられてホッパ20内を密閉し、投入した分析用試料が微粉砕されて回収され、そして系内清浄が終了するまで密閉状態を保持するようになっている。そして、次の投入用容器11は、その一連の動作が終了し当該シャッタが開いて受け入れ態勢が整うまでホッパ20手前で停止して待機する。
【0019】
ホッパ20内に投入された分析用試料は供給装置25によって所定量ずつ送り出されながら微粉砕機30へと供給される。すなわち、供給装置25は、電磁フィーダ26とシュータ27を備えており、ホッパ20に投入された分析用試料を電磁フィーダ26によって所定量ずつシュータ27に搬送する。電磁フィーダ26は分析用試料を所定量ずつ搬送する装置であり、その搬送量は操作盤80に設けられた図示しない制御装置によって調整することができるようになっている。そして、電磁フィーダ26によって搬送された分析用試料はシュータ27によって所定量ずつ微粉砕機30へ供給される。
【0020】
微粉砕機30は、分析用試料を細かく粉砕する装置である。微粉砕機30は、図6に示すように、円筒状の粉砕ポット31内に移動自在の円盤状のローターストーン33が内蔵されており、粉砕ポット31を回転させることによりローターストーン33を粉砕ポット31の内壁面に沿って公転させ、それによってローターストーン33の自重と回転運動によって粉砕ポット31内に供給された分析用試料を速やかに微粉砕する。
【0021】
粉砕ポット31内にはその円周状の内壁面に沿って角穴37が8つ設けられていると共に、角穴37にはそれぞれ100メッシュのスクリーン35が取り付けられている。また、角穴37を通過した分析用試料を排出する第一の試料排出シュート30aを備えている。これにより、粉砕ポット31内で100メッシュ以下に粉砕された分析用試料はスクリーン35通過して角穴37から粉砕ポット31外へ排出され、第一の試料排出シュート30aによって後述する回収用容器41内へ至るようになっている。ここで、本実施形態においては、微粉砕機30が篩別を行うためのスクリーン35を内蔵した構造となっているが、微粉砕機30の構造としてはこれに限定されるものではない。すなわち、微粉砕機は微粉砕だけを行わせ、微粉砕された分析用試料を微粉砕機とは別に設けた篩別装置によって篩別するような構造としてももちろんかまわない。
【0022】
一方、微粉砕機30には粉砕ポット31の内部と連通する排出口39が設けられており、角穴37に設けられたスクリーン35を通過せずに粉砕ポット31内に滞留する分析用試料は排出口39から外部へ排出されるようになっている。このように、スクリーン35を通過しないものも回収するように構成したのは、本装置が分析用試料の品位の測定を目的とした微粉砕装置であり、スクリーン35を通過しないような異物であっても回収する必要があるからである。しかし、だからといってスクリーン35を通過しないサイズのものが多量に含まれるのは分析を行う上で好ましくないため、100メッシュ以上のサイズのものが少なくとも0.5%以下となるように粉砕を行う。
【0023】
また、排出口39には、排出口39を密閉及び開口するための開閉板をエアシリンダシリンダによって作動させる図示しない開閉機構が取り付けられており、これによって微粉砕機30の動作中は微粉砕中の分析用試料が排出口39から飛散しないように排出口39をしっかりと閉塞し、微粉砕が終了した場合には開口して角穴37のスクリーン35を通過しなかった分析用試料の排出が行われる。また、排出口39は第二の試料排出シュート30bと連結されており、排出口39から排出された100メッシュオーバーの分析用試料を後述する回収用容器41内へ導いてその回収が行われる。
【0024】
微粉砕機30によって微粉砕した分析用試料のほぼ全てを回収するためには、第一の試料排出シュート30a及び第二の試料排出シュート30bによって微粉砕後の分析用試料を回収用容器41に回収した後もしばらくの間微粉砕機30の空運転を行うことが効果的である。回転駆動装置30の空運転によって粉砕ポット31の内壁や第一の試料排出シュート30a及び第二の試料排出シュート30bの内壁等の系内に付着している分析用試料が振動によって振るい落されて回収率が向上するからである。
【0025】
次に、微粉砕機30によって微粉砕された分析用試料であって、スクリーン35通過して角穴37から粉砕ポット31外へ排出され、第一の試料排出シュート30aによって運ばれる100メッシュアンダーの分析用試料と、スクリーン35を通過せず粉砕ポット31内に滞留し、排出口39から第二の試料排出シュート30bによって運ばれる100メッシュオーバーの分析用試料は回収装置40によって回収される。
回収装置40は、図1に示すように、2つの回転軸43a、43aによって軸支された楕円状のコンベア43を備え、コンベア43は駆動モータ43bによって駆動されて水平回転し、無限循環するようになっている。そして、コンベア43上には第一の試料排出シュート30a及び第二の試料排出シュート30bによって運ばれてくる分析用試料を回収する回収用容器41が取り付けられている。回収用容器41は投入装置10に備えられている投入用容器11と同じ数だけ配置されており、各投入用容器11に収納された分析用試料をそれぞれ回収用容器41に回収するようにされている。従って、この回収装置40には合計30個の回収用容器41が取り付けられている。
【0026】
ここで、第一の試料排出シュート30a及び第二の試料排出シュート30bはその先端側(例えば図3における下方側)で合流され、その合流部の下部側に容器受部45が設けられている。容器受部45は、回収用容器41の上部の開口部41aを当接させることにより回収用容器41の開口部41aを閉塞し、それによって微粉砕された分析用試料の飛散を防止しながらその回収を行うように機能するものである。回収用容器41の容器受部45への当接はコンベア43の下部側に配置されたエアシリンダ47によって行われる。これにより微粉砕された分析用試料は回収用容器41へ回収される。
【0027】
分析用試料の自動微粉砕装置1は、さらに、微粉砕した分析用試料を回収用容器41に回収した後であって次の分析用試料のホッパ20への投入前に、ホッパ20から回収装置40までを一旦密閉状態としてエアブローによって清浄し、系内に残存する居付きを除去する清浄装置50を備えている。
清浄装置50は、図5に示すように、図示しないエア供給源と連結されるバルブ50aと、供給されるエアを4つの経路に分ける4つのバルブ51、52、53、54を備えている。そして、バルブ51はエア供給管51aによって供給装置25の電磁フィーダ26と連結され、バルブ52はエア供給管52aによってホッパ20と連結され、バルブ53はエア供給管53aによってシュータ27と連結され、バルブ54はエア供給管54aによって微粉砕機30と連結されている。そして、エア排気管55によってホッパ20と集塵機60とが連結され、エア排気管56によってシュータ27と集塵機60とが連結され、後述するエア排気管57によって微粉砕機30と集塵機60とが連結され、各バルブ51、52、53、54から供給されるエアをそれぞれ排気するようになっている。これにより、系内に残存する分析用試料、いわゆる「居付き」を吹き飛ばして集塵機60によって除去して系内をきれいに清浄するようになっている。清浄の際のエアブローは居付きの除去のためには少なくとも1kg/mの空気圧によって行うことが好ましい。
【0028】
ここで、清浄装置50は、容器受部45に当接することによりホッパ20から容器受部45に至るまでを密閉状態とするキャップ部71を有する清浄用閉塞機70を備えている。キャップ部71は回収用容器41とほぼ同様の形状を有しており、エアシリンダ73によって上下移動して容器受部45に当接するように形成されている。そして、キャップ部71はエア排気管57によって集塵機60と連結されており、このキャップ部71が回収用容器41と交互に容器受部45と当接することによって微粉砕された分析用試料の回収と系内の清浄を行うようになっている。すなわち、ホッパ20内に投入された分析用試料を微粉砕して回収用容器41に回収する場合は図3に示す状態となって容器受部45には回収用容器41が当接され、ホッパ20から容器受部45に至る系内を清浄する場合は図4に示す状態となって容器受部45にはキャップ部71が当接される。これを交互に繰り返しながら粉砕・清浄が行われる。
【0029】
集塵機60は、エア排気管55、56、57を通って送られてくる排気エアに含まれる微粉砕された分析用試料等を含む系内のダストをろ過して回収する装置である。この集塵機60によってきれいに清浄された排気エアは大気中に排気される。
【0030】
尚、投入用容器11による分析用試料のホッパ20への投入、微粉砕機30への供給、粉砕、回収、系内の清浄の一連の動作は操作盤80内に設けられた図示しない制御装置によって自動的に行われるようになっていると共に、各タイミングの調整も操作盤80内に設置された図示しない制御装置によって行うように構成されている。
【0031】
次に、上述した分析用試料の自動微粉砕装置1の動作について説明する。まず、故銅、銅滓、銅屑、金銀滓、金銀屑等の分析を行うべき試料を所定のロットごとに硫化物とし、それを1mm以下のサイズに祖粉砕して分析用試料の前処理を行う。そして、各ロットごとの分析用試料を投入装置10の投入用容器11内に所定量ずつ収容する。そして、分析用試料の自動微粉砕装置1の操作盤80により運転の開始する。運転が開始された後は、以下に説明するホッパ20への投入、微粉砕、回収、清浄が連続的且つ自動的に行われる。
【0032】
運転が開始されると投入装置10の駆動モータ13bが作動して駆動チェーン13を回転させ、それによって投入用容器11がホッパ20側に移動する。投入用容器11がホッパ20近傍に至ると傾倒されて内部に収容されている分析用試料がホッパ20内に投入される。投入後の投入用容器11が転倒した状態でホッパ20から離れると図示しないシャッタが閉じてホッパ20を密閉する。これと同時に回収装置40の回収用容器41がエアシリンダ47によって上方に押し上げられて容器受部45に当接しホッパ20から回収用容器41に至るまでが外部とは遮断された密閉系となる。
【0033】
ホッパ20内に投入された分析用試料は所定量ずつ供給装置25の電磁フィーダ26によりシュータ27へ搬送され、シュータ27によって微粉砕機30へ供給される。微粉砕機30に投入された分析用試料は粉砕ポット31内で回転するローターストーン33によって微粉砕され、100メッシュアンダーのものはスクリーン35を通過して角穴37から第一の試料排出シュート30aを通って回収用容器41内へ排出される。一方、スクリーン35を通過せず粉砕ポット31内に残った100メッシュオーバーの分析用試料は図示しない開閉機構を開いて排出口39から第二の試料排出シュート30bを通って回収用容器41内へ排出される。微粉砕された分析用試料が回収用容器41内に収容された後も微粉砕機30の空運転を行い、系内に存在する分析用試料の完全回収を図る。
【0034】
微粉砕した分析用試料の回収が終了した回収用容器41は、容器受部45から離れ、回収用容器41に替わって今度は清浄用閉塞機70のキャップ部71が容器受部45に押し当てられる。そして、系内がを密閉した状態で清浄装置50によって加圧エアが吹き込まれホッパ20から容器受部45に至るまでをエアブローによって清浄する。図示しないエア供給源から供給される加圧エアは、図5に示すように、バルブ51、52、53、54によってそれぞれホッパ20、電磁フィーダ26、シュータ27、微粉砕機30へ吹き込まれ、系内に存在する居付きを吹き飛ばし、エア排気管55、56、57によって集塵機60へ送られる。
【0035】
加圧エアによって系内の清浄が終了すると容器受部45からキャップ部71が離れ、新たな投入用容器11が容器受部45に当接される。そして、ホッパ20の図示しないシャッタが開くと共に、投入装置10が動作して新たな投入用容器11がホッパ20内に新たな分析用試料を投入し、以下上述した、粉砕、回収、清浄を順次繰り返す。尚、分析用試料の自動微粉砕装置1にタイマを設けて分析用試料の粉砕を夜間に自動的に行われるようにすれば次の日の朝には試料調整が完了し直ちに分析を開始することができ時間の有効利用を図ることができる。
【実施例】
【0036】
分析用試料である金銀滓、金銀屑、故銅を硫化物とした後、1mm以下に粗粉砕したものを投入用容器11に約150g投入し、28個の分析用試料を自動微粉砕装置1によって微粉砕を行った。分析用試料の自動微粉砕装置1の運転は、最初の分析用試料の投入準備に約2分、そして、各投入用容器11についての粉砕・清浄が粉砕工程約4分、清浄工程約40秒で、そのうち実際の清浄は1kg/mの空気圧の加圧エアをエアブロー3秒、待機10秒、エアブロー3秒行った。従って、28個の分析試料の微粉砕処理には粉砕・清浄4分40秒の時間を要し、全体としては約5分×28個=約2時間20分を要した。そしてこの条件による運転を2回行った。このときの分析用試料の回収率をそれぞれ表1及び表2に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
表1及び表2に示された投入前の分析用試料の重量(元量)と微粉砕後に回収された分析用試料の重量(回収量)との比(回収率)を見れば明らかなように、平均の回収率がそれぞれ99.36%、99.27%と高い回収率を確保することができた。
【0040】
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る分析用試料の自動微粉砕装置の一実施形態の正面図である。
【図2】図1に示す分析用試料の自動微粉砕装置の平面図である。
【図3】微粉砕した分析用試料を回収する場合の状態を示す側面図である。
【図4】エアブローにより清浄を行う場合の状態を示す側面図である。
【図5】エアの流れを示すブロック図である。
【図6】微粉砕機の概略構造を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 分析用試料の自動微粉砕装置
3 フレーム
5 階段
10 投入装置
11 投入用容器
13 駆動チェーン
13a スプロケット
13b 駆動モータ
20 ホッパ
25 供給装置
26 電磁フィーダ
27 シュータ
30 微粉砕機
30a 第一の試料排出シュート
30b 第二の試料排出シュート
31 粉砕ポット
33 ローターストーン
35 スクリーン
37 角穴
39 排出口
40 回収装置
41 回収用容器
41a 開口部
43 コンベア
43a 回転軸
43b 駆動モータ
45 容器受部
47 エアシリンダ
50 清浄装置
50a バルブ
51、52、53、54 バルブ
51a、52a、53a、54a エア供給管
55、56、57 エア排気管
60 集塵機
70 清浄用閉塞機
71 キャップ部
73 エアシリンダ
80 操作盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の投入用容器内に収容された所定量の分析用試料をそれぞれ順番にホッパに投入する投入装置と、
ホッパ内に投入された分析用試料を所定量ずつ送り出して微粉砕機へ供給する供給装置と、
前記供給装置によって供給された分析用試料を微粉砕すると共に、微粉砕した分析用試料を所定サイズの篩によって篩い分けを行い、篩別された所定サイズ以下の分析用試料及び篩上に残った所定サイズ以上の分析用試料をそれぞれ排出する微粉砕装置と、
前記微粉砕装置からそれぞれ排出された所定サイズ以下の分析用試料及び所定サイズ以上の分析用試料を共に回収用容器に収容する回収装置と、
微粉砕した分析用試料を前記回収用容器に回収した後であって次の分析用試料の前記ホッパへの投入前に、前記ホッパから前記回収装置までを一旦密閉状態としてエアブローによって清浄し、系内に残存する居付きを集塵装置によって除去する清浄装置と、
を備えて構成されてなる分析用試料の自動微粉砕装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分析用試料の自動微粉砕装置において、
前記回収装置は、前記回収用容器を当接させることにより前記回収用容器の開口部を閉塞する容器受部を備え、それによって微粉砕された分析用試料の飛散を防止しつつ回収が行われるようにしたことを特徴とする分析用試料の自動微粉砕装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分析用試料の自動微粉砕装置において、
前記清浄装置は、前記容器受部に当接することにより前記ホッパから当該容器受部に至るまでを密閉状態とするキャップ部であって、前記集塵機と連結されたキャップ部を有する清浄用閉塞機を備え、前記容器受部に前記キャップ部を当接させた状態でエアブローすることによって系内に残存する居付きを吹き飛ばして前記集塵装置で除去することにより清浄を行うことを特徴とする分析用試料の自動微粉砕装置。
【請求項4】
請求項1に記載の分析用試料の自動微粉砕装置において、
前記清浄装置は、
前記ホッパへ清浄用のエアを送るホッパ用エア供給手段及び当該ホッパを清浄したエアを前記集塵装置へ送るホッパ用エア排出手段と、
前記供給装置へ清浄用のエアを送る供給装置用エア供給手段及び当該供給装置を清浄したエアを前記集塵装置へ送る供給用エア排出手段と、
前記微粉砕装置へ清浄用のエアを送る微粉砕装置用エア供給手段及び当該微粉砕装置を清浄したエアを前記集塵装置へ送る分粉砕装置用エア排出手段と、
を備えて構成されてなることを特徴とする分析用試料の自動微粉砕装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の分析用試料の自動微粉砕装置において、
前記清浄装置によるエアブローは、少なくとも1kg/mの空気圧で行うことを特徴とする分析用試料の自動微粉砕装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の分析用試料の自動微粉砕装置において、
前記微粉砕装置による分析用試料の粉砕は、100メッシュ以上のサイズのものが少なくとも0.5%以下となるように粉砕することを特徴とする分析用試料の自動微粉砕装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−36567(P2009−36567A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199416(P2007−199416)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(500483219)パンパシフィック・カッパー株式会社 (109)
【Fターム(参考)】