説明

分析装置および反応容器における液温調節方法

【課題】反応容器に分注された液体を目標温度に保持し、分析値の信頼性に優れた分析装置および反応容器における液温調節方法を提供すること。
【解決手段】液体を攪拌して反応させ、反応液を分析する分析装置と反応容器における液温調節方法。分析装置は、反応容器9に取り付けられ、液体を攪拌する音波を出射する音波発生素子21と、音波発生素子の駆動を制御する駆動制御回路24と、反応容器内の液体の温度を検知する温度センサ7と、温度センサが検知した液体の温度をもとに駆動制御回路による音波発生素子の駆動を制御し、液体の温度を目標温度に調節する温度調節回路25とを備え、音波発生素子21は、出射する音波の音響エネルギーによって液体を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置および反応容器における液温調節方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、分析装置、例えば、血液等の生体試料を分析する自動分析装置は、検体と試薬とを保持した複数の反応容器を収容する反応ホイールを備え、検体と試薬とが反応した反応液を光学的に測定することにより検体の成分濃度等を分析している。自動分析装置は、通常、試薬の劣化防止のため冷蔵庫に試薬容器を収容しており、分析の際に試薬容器中の試薬が反応容器に分注され、検体と混合されて所定温度(例えば、37℃)に保温された条件下で反応させられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−308132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動分析装置で使用する試薬は、一般に、検体に比べて量が多く、測定項目毎に異なっている。このため、自動分析装置は、分注した試薬を所定温度まで保温するのに時間を要し、検体との反応が不十分な状態で分析されることがあり、分析値の信頼性に欠ける場合があった。このような問題は、検体の量が少ない場合や、洗浄液の温度によって洗浄後の温度が低下した反応容器を用いて分析する場合等にも発生する。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、反応容器に分注された液体を目標温度に保持し、分析値の信頼性に優れた分析装置および反応容器における液温調節方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る分析装置は、液体を攪拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、反応容器に取り付けられ、前記液体を攪拌する音波を出射する音波発生手段と、前記音波発生手段の駆動を制御する駆動制御手段と、前記反応容器内の液体の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段が検知した前記液体の温度をもとに前記駆動制御手段による前記音波発生手段の駆動を制御し、前記液体の温度を目標温度に調節する温度調節手段と、を備え、前記音波発生手段は、出射する前記音波の音響エネルギーによって前記液体を加熱することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る分析装置は、上記の発明において、前記温度調節手段は、前記音波発生手段による攪拌時に前記液体の温度を検知することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る分析装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、圧電基板上に櫛型電極からなる振動子が形成された表面弾性波素子であることを特徴とする。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項4に係る反応容器における液温調節方法は、反応容器に保持した液体を目標温度に調節する反応容器における液温調節方法であって、前記液体の攪拌時に検知した前記液体の温度をもとに前記液体を攪拌する音波の音響エネルギーによって前記液体を加熱し、目標温度に調節することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る反応容器における液温調節方法は、上記の発明において、前記音波は、表面弾性波であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の分析装置は、反応容器に取り付けられ、前記液体を攪拌する音波を出射する音波発生手段と、前記音波発生手段の駆動を制御する駆動制御手段と、前記反応容器内の液体の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段が検知した前記液体の温度をもとに前記駆動制御手段による前記音波発生手段の駆動を制御し、前記液体の温度を目標温度に調節する温度調節手段と、を備え、前記音波発生手段は、出射する前記音波の音響エネルギーによって前記液体を加熱する。また、本発明の反応容器における液温調節方法は、液体を攪拌する音波の音響エネルギーによって前記液体を加熱して目標温度に調節する。このため、本発明の分析装置および反応容器における液温調節方法は、反応容器に分注された液体を目標温度に保持することができるうえ、検体を優れた信頼性の下に分析することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の分析装置および反応容器における液温調節方法にかかる実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の自動分析装置を示す概略構成図である。図2は、図1に示す自動分析装置のA部拡大図である。図3は、図1に示す自動分析装置の反応ホイールを反応容器と共に拡大して攪拌装置の概略構成と共に示す図である。
【0013】
自動分析装置1は、図1及び図2に示すように、作業テーブル2上に検体テーブル3、反応ホイール6及び試薬テーブル13が互いに離隔してそれぞれ周方向に沿って回転、かつ、位置決め自在に設けられ、攪拌装置20を備えている。また、自動分析装置1は、検体テーブル3と反応ホイール6との間に検体分注機構5が設けられ、反応ホイール6と試薬テーブル13との間には試薬分注機構12が設けられている。
【0014】
検体テーブル3は、図1に示すように、駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室3aが複数設けられている。各収納室3aは、検体を収容した検体容器4が着脱自在に収納される。
【0015】
検体分注機構5は、反応容器9に試薬よりも少量の尿,血液等の検体を分注する手段であり、図1に示すように、分注ノズルによって検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次反応ホイール6のホルダ6bに収納された反応容器9に分注する。
【0016】
反応ホイール6は、図1に示すように、検体テーブル3とは異なる駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、隔壁6aによって周方向に沿って等間隔で区画されるホルダ6bが複数設けられている。隔壁6aは、下部が開放され、隣接するホルダ6bの下部が周方向に連通している。各ホルダ6bには、攪拌容器として検体を試薬と反応させる反応容器9が着脱自在に収納され、半径方向両側に光が透過する開口が形成されている。このとき、各ホルダ6bの反応容器9には温度センサ7が挿通され、反応容器9に分注される液体の温度を検知する。
【0017】
温度センサ7は、試薬分注機構12による試薬分注位置の近傍に鉛直方向に昇降自在に配置され、反応容器9内の試薬と検体の攪拌時に反応容器9に挿通されて攪拌された液体の温度を検知する。温度センサ7は、各反応容器9内の液体の温度を測定した後、図示しない洗浄装置によって洗浄される。そして、反応ホイール6は、周方向に連通している複数のホルダ6b内を所定温度(例えば、37℃)に保持するヒータが設けられると共に、試薬分注機構12による試薬分注位置近傍の外周に端子基板22が配置されている。また、各ホルダ6bは、図2及び図3に示すように、反応ホイール6の外側壁6cを半径方向に貫通する一組の引き出し電極6dが設けられている。反応ホイール6は、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4分回転し、四周期で反時計方向に反応容器9の1個分回転する。反応ホイール6には、測定光学系10及び排出装置11が設けられている。
【0018】
反応容器9は、容量が数nL〜数十μLと微量な容器であり、光源10aから出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器9は、図4に示すように、側壁9aと底壁9bとによって上部に開口9cを有する四角筒状に成形され、検体や試薬等の液体を保持する内面には液体に対する親和性処理が施されている。反応容器9は、平行に対向する一組の側壁9aの一部が分析光を透過させる窓として利用される。反応容器9は、側壁9aに図5に示す表面弾性波素子21が音響整合層を介して取り付けられる。
【0019】
測定光学系10は、試薬と検体とが反応した反応容器9内の液体を分析するための分析光(340〜800nm)を光源10aから出射する。光源10aから出射された分析用の光ビームは、反応容器9内の液体を透過し、光源10aと対向する位置に設けた受光素子10bによって受光される。一方、排出装置11は、排出ノズルを備えており、反応容器9から反応終了後の液体を前記排出ノズルによって吸引し、排出容器(図示せず)に排出する。ここで、排出装置11を通過した反応容器9は、図示しない洗浄装置に移送されて洗浄された後、再度、新たな検体の分析に使用される。
【0020】
試薬分注機構12は、試薬を分注する手段であり、図1に示すように、試薬テーブル13の所定の試薬容器14から試薬を順次反応ホイール6のホルダ6bに収納した反応容器9に分注する。
【0021】
試薬テーブル13は、図1に示すように、検体テーブル3及び反応ホイール6とは異なる駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、扇形に成形された収納室13aが周方向に沿って複数設けられている。各収納室13aは、試薬の劣化防止のため低温に保持されており、試薬容器14が着脱自在に収納される。複数の試薬容器14は、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬に関する情報を表示するバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。
【0022】
ここで、試薬テーブル13の外周には、読取装置15が設置されている。読取装置15は、試薬容器14に貼付した前記バーコードラベルに記録された試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を読み取り、制御部16へ出力する。
【0023】
制御部16は、検体分注機構5、受光素子10b、排出装置11、読取装置15、分析部17、入力部18、表示部19及び攪拌装置20等と接続され、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、前記バーコードラベルの記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットや有効期限等が設置範囲外の場合、分析作業を規制するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する。制御部16は、例えば、分析結果を記憶する記憶機能を備えたマイクロコンピュータ等が使用される。制御部16は、入力部18から入力される反応容器9に分注された液体、例えば、検体と試薬の混合液の目標温度を記憶し、この目標温度を温度調節回路25に出力する。この場合、複数の反応容器9は、試薬や混合液等を含む液体の目標温度を任意に設定することができ、例えば、それぞれ個々に設定し、或いは複数まとめて設定することも可能である。
【0024】
分析部17は、制御部16を介して受光素子10bに接続され、受光素子10bが受光した光量に基づく反応容器9内の試薬と検体が反応した反応液の吸光度から検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部16に出力する。入力部18は、制御部16へ検査項目,液体の目標温度等の入力操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。表示部19は、分析内容、分析結果或いは警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0025】
攪拌装置20は、反応容器9に保持される液体を音波によって攪拌する装置であり、反応容器9に取り付けられる表面弾性波素子21の他、図3に示すように、端子基板22、信号発生器23、駆動制御回路24及び温度調節回路25を備えている。
【0026】
表面弾性波素子21は、図5に示すように、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の圧電素材からなる圧電基板21a上に櫛型電極(IDT)からなる振動子(発音部)21bが形成されている。振動子21bは、一組の電気端子21cを有している。ここで、表面弾性波素子21は、圧電基板21a及び振動子21bの素材として測定光学系10による反応容器9内の液体の光学測定に支障がない透明なものを使用する。
【0027】
端子基板22は、図1〜図3に示すように、反応ホイール6の外側に配置され、対向する各ホルダ6bに保持された反応容器9の表面弾性波素子21との間を電気的に接続する一組の接触電極22aが設けられている。一組の接触電極22aは、一組の引き出し電極6dを介して振動子21bの電気端子21cと接続される。
【0028】
信号発生器23は、駆動制御回路24からの制御信号に基づいて数十MHz〜数百MHz程度の高周波信号を表面弾性波素子21に出力し、振動子21bに音波を発振させる。
【0029】
駆動制御回路24は、メモリとタイマを内蔵した電子制御手段(ECU)が使用され、信号発生器23を制御することによって、例えば、表面弾性波素子21が発する音波の特性(周波数,強度,位相,波の特性)、波形(正弦波,三角波,矩形波,バースト波等)或いは変調(振幅変調,周波数変調)等を制御する。また、駆動制御回路24は、内蔵したタイマに従って信号発生器23が発振する発振信号の周波数を切り替えることができる。
【0030】
温度調節回路25は、温度センサ7の出力信号が入力され、例えば、電子制御手段(ECU)が使用される。温度調節回路25は、温度センサ7の出力信号から検知した試薬や混合液等を含む液体の温度と制御部16から入力される試薬や混合液等を含む液体の目標温度との比較に基づいて駆動制御回路24を制御し、反応容器9に保持された液体の温度を調節する。この温度調節に際し、温度調節回路25は、駆動制御回路24によって表面弾性波素子21を駆動する駆動周波数を制御することにより、表面弾性波素子21が発する音波の音響エネルギーによって反応容器9内の液体を目標温度に加熱する。
【0031】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応ホイール6によって搬送されてくる複数の反応容器9に検体分注機構5が検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次分注する。検体が分注された反応容器9は、反応ホイール6によって試薬分注機構12の近傍へ搬送されて所定の試薬容器14から試薬が分注される。そして、試薬が分注された反応容器9は、反応ホイール6によって搬送される間に攪拌装置20によって試薬と検体とが攪拌されて反応し、光源10aと受光素子10bとの間を通過する。このとき、反応容器9内の試薬と検体とが反応した反応液は、受光素子10bによって測光され、分析部17によって成分濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器9は、排出装置11によって反応終了後の反応液が排出されて図示しない洗浄装置によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0032】
このような検体の一連の分析動作に際し、自動分析装置1は、以下のようにして、各反応容器9に分注される液体を目標温度に調節する。先ず、検体容器4から検体が分注された反応容器9は、反応ホイール6の間欠回転によって端子基板22と対向する試薬分注位置へ搬送されて停止する。これにより、反応容器9は、試薬分注機構12によって低温の試薬が分注されると共に、ホルダ6bの引き出し電極6dが端子基板22の接触電極22aと接触する。
【0033】
この結果、試薬分注位置に移動された各ホルダ6bに収容された反応容器9は、表面弾性波素子21の振動子21bが引き出し電極6dを介して接触電極22aと接続され、信号発生器23から出力される高周波信号によって振動子21bが駆動される。これにより、反応容器9においては、図3に示すように、発生した音波Waが検体と試薬の混合液L中に漏れ出す。この混合液L中に漏れ出した音波Waによって生ずる音響流によって検体と試薬の混合液Lが均一に攪拌されて無駄なく反応すると共に、混合液L中に漏れ出した音波Waの音響エネルギーによって混合液L中に熱を発生し、混合液Lが加熱される。
【0034】
このとき、温度調節回路25は、反応容器9に挿通された温度センサ7の出力信号から混合液Lの温度を検知し、検知した混合液Lの温度と制御部16から入力される混合液Lの目標温度とを比較して駆動制御回路24による信号発生器23を介した表面弾性波素子21の駆動を制御し、混合液Lの温度が目標温度となるように調節する。このとき、反応容器9においては、図6に示すように、音波Waの音響エネルギーによる熱の発生位置PHは保持した混合液L中となり、加熱源が温度センサ7の位置と接近している。このため、温度センサ7は、混合液Lの温度を高精度に検知することができる。
【0035】
自動分析装置1においては、混合液Lが、攪拌に際して表面弾性波素子21が出射する音波Waの音響エネルギーによって目標温度となるように加熱されるため、反応容器9内の混合液Lは、図7に実線で示すように、試薬分注後における温度の低下が小さく(B部参照)、短時間で混合液Lの目標温度TL(点線参照)に到達する。このため、自動分析装置1の反応ホイール6は、反応容器9へ低温の試薬を分注したことによる影響は見られず、図8に実線で示すように、前記ヒータによる加熱に起因して反応ホイール6の目標温度TH(点線参照)を挟んで高温側と低温側との間で温度変化が見られるだけであり、他の反応容器9に保持された混合液Lの温度も略同様となる。
【0036】
このとき、音波Waの音響エネルギーを利用した加熱をしないと、混合液Lは、反応ホイール6に設けたヒータの熱によって反応容器9が加熱されるものの、低温の試薬の量が検体よりも多いので急激に液温が低下し、図9に実線で示すように、混合液Lの目標温度TLに到達する時間が、図7に示す場合と比べて極端に長くなる。この場合、急激な液温低下を急速に回復させるため、ヒータを更に加熱して反応ホイール6の温度を急速に上げようとすると、図10に実線で示すように、反応ホイール6の温度がオーバーシュートしてしまう(B部参照)。しかも、反応ホイール6においては、図11に示すように、他の反応容器9に保持された混合液Lの温度が、図10のB部に対応する部分で混合液Lの目標温度TLよりも上昇してしまい、恒温槽としての温度安定性が低下してしまう。
【0037】
従って、本発明の自動分析装置1および反応容器における液温調節方法は、反応容器9に保持された混合液Lを目標温度TLに保持し、優れた信頼性の下に検体を分析することができ、検体の分析精度を一層向上させることが可能となる。しかも、本発明の反応容器における液温調節方法は、表面弾性波素子21が発生する液体攪拌用の音波を液体の加熱にも使用するため、自動分析装置の構成が複雑化することなく、設計上の自由度が増す。
【0038】
尚、上述の実施の形態は、音波発生手段として圧電基板上に櫛型電極(IDT)からなる振動子を形成した表面弾性波素子を使用したが、音波による液体の攪拌と、音波の音響エネルギーによって液体を加熱することができれば上記表面弾性波素子に限定されるものではなく、例えば、厚み縦振動子等を使用してもよい。
【0039】
また、温度検知手段である温度センサ7は、鉛直方向に昇降して反応容器9に挿通されたが、反応容器9の外面に直接取り付けるか、或いは反応容器9を収容するホルダ6b内に設けて間接的に液体の温度を検知するようにしてもよい。更に、表面弾性波素子21は、反応容器9の側壁9aに取り付けたが、底壁に取り付けてもよい。
【0040】
また、上述の実施の形態は、低温の試薬を検体に分注することによる温度低下を音波の音響エネルギーによって加熱する場合について説明した。しかし、本発明の反応容器における液温調節方法は、上述の場合に限定されるものではなく、液体の温度低下を音波の音響エネルギーによる加熱によって補完する総ての場合に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す自動分析装置のA部拡大図である。
【図3】図1に示す自動分析装置の反応ホイールを反応容器と共に拡大して攪拌装置の概略構成と共に示す図である。
【図4】本発明の自動分析装置で使用する反応容器の斜視図である。
【図5】反応容器に取り付ける本発明の表面弾性波素子の正面図である。
【図6】反応容器における音波の音響エネルギーによる熱の発生位置と温度センサの位置とを示す断面図である。
【図7】図1の自動分析装置において表面弾性波素子を駆動した場合の、反応ホイールに収容した反応容器に保持された混合液の温度と目標温度とを示す温度変化図である。
【図8】図1の自動分析装置において表面弾性波素子を駆動した場合の、反応ホイールの温度と目標温度とを示す温度変化図である。
【図9】表面弾性波素子を駆動しない場合における図7に対応した混合液の温度と目標温度とを示す温度変化図である。
【図10】表面弾性波素子を駆動しない場合における図8に対応した反応ホイールの温度と目標温度とを示す温度変化図である。
【図11】表面弾性波素子を駆動しない場合における反応ホイールに収容した他の反応容器に保持された混合液の温度と目標温度とを示す温度変化図である。
【符号の説明】
【0042】
1 自動分析装置
2 作業テーブル
3 検体テーブル
4 検体容器
5 検体分注機構
6 反応ホイール
7 温度センサ
9 反応容器
10 測定光学系
11 排出装置
12 試薬分注機構
13 試薬テーブル
14 試薬容器
15 読取装置
16 制御部
17 分析部
18 入力部
19 表示部
20 攪拌装置
21 表面弾性波素子
22 端子基板
23 信号発生器
24 駆動制御回路
25 温度調節回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を攪拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、
反応容器に取り付けられ、前記液体を攪拌する音波を出射する音波発生手段と、
前記音波発生手段の駆動を制御する駆動制御手段と、
前記反応容器内の液体の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段が検知した前記液体の温度をもとに前記駆動制御手段による前記音波発生手段の駆動を制御し、前記液体の温度を目標温度に調節する温度調節手段と、
を備え、
前記音波発生手段は、出射する前記音波の音響エネルギーによって前記液体を加熱することを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記温度調節手段は、前記音波発生手段による攪拌時に前記液体の温度を検知することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記音波発生手段は、圧電基板上に櫛型電極からなる振動子が形成された表面弾性波素子であることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
反応容器に保持した液体を目標温度に調節する反応容器における液温調節方法であって、
前記液体の攪拌時に検知した前記液体の温度をもとに前記液体を攪拌する音波の音響エネルギーによって前記液体を加熱し、目標温度に調節することを特徴とする反応容器における液温調節方法。
【請求項5】
前記音波は、表面弾性波であることを特徴とする請求項4に記載の反応容器における液温調節方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−303965(P2007−303965A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132558(P2006−132558)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】