説明

切削加工用硬質ポリウレタン樹脂形成性組成物

【課題】 従来の模型用材料では、切削加工後、マスターモデルや検査治具として使用する際に吸湿による寸法増加で、該モデルが歪んだり、検査治具としての用をなさなくなるという問題があったため、吸湿による寸法増加の小さい切削加工用硬質ポリウレタン樹脂を与える、硬質ポリウレタン樹脂形成性組成物を提供する。
【解決手段】 ポリオール、ポリイソシアネートおよびフッ素含有撥水剤からなることを特徴とする切削加工用硬質ポリウレタン樹脂形成性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工用硬質ポリウレタン樹脂形成性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、模型用素材としては、天然木材や、合成木材(ビスフェノールのアルキレンオキ
サイド付加物、脂肪族ポリオール、芳香族ポリイソシアネートおよび脱水剤の混合物を、
メカニカルフロス法により発泡させて得られる発泡ポリウレタン成形品等)(例えば、特
許文献1参照)が使用されている。
【特許文献1】特開平6−329747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の材料では切削加工後、マスターモデルや検査治具として使用する
際に空気中の湿気を吸着して年間0.05%程度寸法が増加することから、該モデルが歪
んだり、検査治具としての用をなさなくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果本発明に到達した。すなわち、本
発明は、ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)およびフッ素含有撥水剤(C)か
らなることを特徴とする切削加工用硬質ポリウレタン樹脂形成性組成物;該組成物を硬化
させてなる切削加工用硬質ポリウレタン樹脂;並びに、該硬質ポリウレタン樹脂を切削加
工してなる模型である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の切削加工用硬質ポリウレタン樹脂形成性組成物は下記の効果を奏する。
(1)長期保存時の寸法安定性に優れる切削加工用硬質ポリウレタン樹脂を与える。
(2)該切削加工用硬質ポリウレタン樹脂を切削加工してなる模型は吸湿による歪みや寸
法変化が極めて小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ポリオール(A)には、2価〜8価またはそれ以上の、高分子ポリオール[250以上
のOH当量(OH価に基づく、OH当たりの分子量)を有する]、低分子ポリオール(2
50未満のOH当量を有する)、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
低分子ポリオールには、多価アルコール、並びに低分子OH末端ポリマー[ポリエーテ
ルポリオール(以下PTポリオールと略記)、ポリエステルポリオール(以下PSポリオ
ールと略記)等]が含まれる。
【0007】
上記多価アルコールには、以下のものが含まれる。
2価アルコール[炭素数(以下Cと略記)2〜20またはそれ以上)、例えばC2〜12
の脂肪族2価アルコール[(ジ)アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−、2,
3−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチ
ルグリコールおよび3−メチルペンタンジオール(以下それぞれEG、DEG、PG、D
PG、BD、HD、NPGおよびMPDと略記)、ドデカンジオール等];C6〜10の
脂環含有2価アルコール[1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノー
ル等];C8〜20の芳香環含有2価アルコール[キシリレングリコール、ビス(ヒドロ
キシエチル)ベンゼン等];
3価〜8価またはそれ以上の多価アルコール、例えば(シクロ)アルカンポリオールおよ
びそれらの分子内もしくは分子間脱水物[グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ソルビトールおよびジペンタエリスリトール(以下それぞれGR、TM
P、PE、SOおよびDPEと略記)、1,2,6−ヘキサントリオール、エリスリトー
ル、シクロヘキサントリオール、マンニトール、キシリトール、ソルビタン、ジグリセリ
ンその他のポリグリセリン等]、糖類およびその誘導体[例えばショ糖、グルコース、フ
ラクトース、マンノース、ラクトース、およびグリコシド(メチルグルコシド等)];
【0008】
含窒素ポリオール(3級アミノ基含有ポリオールおよび4級アンモニウム基含有ポリオー
ル):含窒素ジオール、例えばC1〜12の脂肪族、脂環式および芳香環含有1級モノア
ミン[メチルアミン、エチルアミン、1−および2−プロピルアミン、ヘキシルアミン、
1,3−ジメチルブチルアミン、1−,2−および3−アミノヘプタン、ドデシルアミン
、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ベンジルアミン等]のビス
ヒドロキシアルキル(C2〜4)化物[ビス(2−ヒドロキシエチル)化物、ビス(ヒド
ロキシプロピル)化物等、例えば米国特許第4,271,217号明細書に記載の3級窒
素原子含有ポリオール]、およびそれらの4級化物[上記米国特許明細書に記載の4級化
剤またはジアルキルカーボネート(C1〜4のアルキル基を有するもの、例えばジメチル
、ジエチルおよびジ−i−プロピルカーボネート)が含まれる。)による4級化物]、例
えば上記米国特許明細書に記載の4級窒素原子含有ポリオール;および3価〜8価または
それ以上の含窒素ポリオール、例えばトリアルカノール(C2〜4)アミン(トリエタノ
ールアミン等)およびC2〜12の脂肪族、脂環式、芳香族および複素環ポリアミン[例
えばエチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、トリレンジアミン、アミノエチルピペ
ラジン]のポリヒドロキシアルキル(C2〜4)化物〔ポリ(2−ヒドロキシエチル)化
物、ビス(ヒドロキシプロピル)化物等[例えばテトラキス(2−ヒドロキシプロピル)
エチレンジアミン、ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン]〕、
およびこれらの上記と同様の4級化物。
【0009】
低分子OH末端ポリマーには、後述のような、PTポリオール、PSポリオールおよび
ポリウレタン(以下PUと略記)ポリオールで250未満のOH当量を有するものが含ま
れる。例えば、低重合度のアルキレンオキシド(以下AOと略記)開環重合物および活性
水素原子含有多官能化合物の低モルAO付加物[例えば後述のポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール(以下それぞれPEG、PP
G、PTMGと略記)等、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよびビスフェノールA
のエチレンオキシド(以下EOと略記)2〜4モル付加物]、低縮合度の縮合PSポリオ
ールおよびポリオールの低モルラクトン付加物[ポリカルボン酸と過剰(カルボキシル基
1個当り1モル)の多価アルコールとの縮合物(例えばジヒドロキシエチルアジペート)
およびEGのカプロラクトン1モル付加物]、並びに低重合度のPUポリオール[後述の
ポリイソシアネート(以下PIということがある。)と過剰(イソシアネート基1個当り
1モル)の多価アルコールとの反応生成物(例えば後述のTDI1モルとEG2モルとの
反応生成物)]が挙げられる。
【0010】
AOには、C2〜12またはそれ以上(好ましくはC2〜4)のAO、例えばエチレン
オキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−、2,3−および1,3−ブチレンオ
キシド、テトラヒドロフランおよび3−メチル−テトラヒドロフラン(以下それぞれEO
、PO、BO、THFおよびMTHFと略記)、1,3−プロピレンオキシド、イソBO
、C5〜12のα−オレフィンオキシド、置換AO、例えばスチレンオキシドおよびエピ
ハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)、並びにこれらの2種以上の併用(ランダム付加
および/またはブロック付加)が含まれる。
【0011】
高分子ポリオールは、通常250〜3,000またはそれ以上のOH当量を有する。該
ポリオールは、通常500〜5,000またはそれ以上、好ましくは700〜4,500
の数平均分子量(以下Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(G
PC)法による。]を有し;好ましくは500〜6,000、とくに700〜4,000
の重量平均分子量 (以下Mwと略記。測定はGPC法による。)を有する。その例には
、OH末端のポリマー[PT、PS、ポリアミド(以下PDと略記)、PU、ビニル系ポ
リマー(以下VPと略記) およびポリマーポリオール(以下P/Pと略記)]、および
これらの2種以上の混合物が含まれる。
OH末端のPTには、AOの開環重合物、少くとも2個(2個〜8個またはそれ以上)
の活性水素原子を有する開始剤に1種または2種以上のAOを付加させた構造を有するP
Tポリオール(AO付加物)、およびそれら(同一または異なる)の2分子またはそれ以
上をカップリング剤でカップリングさせてなるPTポリオールが含まれる。
【0012】
AO付加の開始剤には、例えば多価アルコール(前記)、ヒドロキシルアミン、アミノ
カルボン酸およびヒドロキシカルボン酸;多価フェノール;並びにポリカルボン酸(後述
)が含まれる。
【0013】
ヒドロキシルアミンには、C2〜10の、(ジ)アルカノールアミン、シクロアルカノ
ールアミンおよびアルキルアルカノールアミン、例えば2−アミノエタノール、3−アミ
ノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペ
ンタノール、6−アミノヘキサノール、ジエタノールアミン、ジ−n−およびi−プロパ
ノールアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、メチル
エタノールアミンおよびエチルエタノールアミンが含まれる。好ましいのは、2−アミノ
エタノールである。
【0014】
アミノカルボン酸には、C2〜12のもの、例えばアミノ酸[グリシン、アラニン、バ
リン、(イソ)ロイシン、フェニルアラニン等]、ω−アミノアルカン酸(例えばω−ア
ミノカプロン、ω−アミノエナント、ω−アミノカプリル、ω−アミノペルゴン、ω−ア
ミノカプリン、11−アミノウンデカンおよび12−アミノドデカン酸)、および芳香族
アミノカルボン酸(例えばo−、m−およびp−アミノ安息香酸)が含まれる。
ヒドロキシカルボン酸には、上記アミノカルボン酸に相当する(NHがOに置換った)
もの(例えばω− ヒドロキシカプロン酸、サリチル酸、p−およびm−ヒドロキシ安息
香酸)、並びにグリコール酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸およびベ
ンジル酸が含まれる。好ましいのは12−アミノドデカン酸である。
【0015】
多価フェノールには、C6〜18の2価フェノール、例えば単環2価フェノール(ハイ
ドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ウルシオール等)、ビスフェノール(ビスフ
ェノールA、F、C、B、ADおよびS、ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニル−2,2−ブタン等)、および縮合多環2価フェノール[ジヒドロキシナ
フタレン(例えば1,5−ジヒドロキシナフタレン)、ビナフトール等];並びに3価〜
8価またはそれ以上の多価フェノール、例えば単環多価フェノール(ピロガロール、フロ
ログルシノール、および1価もしくは2価フェノール(フェノール、クレゾール、キシレ
ノール、レゾルシノール等)のアルデヒドもしくはケトン(ホルムアルデヒド、グルター
ルアルデヒド、グリオキザール、アセトン)低縮合物(例えばフェノールもしくはクレゾ
ールノボラック樹脂、レゾールの中間体、フェノールとグリオキザールもしくはグルター
ルアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノール、およびレゾルシンとアセトン
の縮合反応によって得られるポリフェノール)が含まれる。
【0016】
開始剤へのAOの付加は、通常の方法で行うことができ、無触媒、または触媒(アルカ
リ触媒、アミン触媒、酸性触媒等)の存在下(とくにAO付加の後半の段階で)に常圧ま
たは加圧下に1段階または多段階で行なわれる。2種以上のAOは、ランダム付加、ブロ
ック付加、両者の組合せ(例えばランダム付加に次いでブロック付加)のいずれでもよい

AO付加物のカップリング剤には、ポリハライド、例えばC1〜6のアルカンポリハラ
イド(例えばC1〜4のアルキレンジハライド:メチレンジクロラ イド、1,2−ジブ
ロモエタン等);エピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等);およびポリエポキシドが
含まれる。
【0017】
OH末端のPTの例には、PTジオール、例えばポリアルキレングリコール(以下PA
Gと略記)[例えばPEG、PPGおよびPTMG、ポリ−3−メチルテトラメチレンエ
ーテルグリコール]、共重合ポリオキシアルキレンジオール〔EO/PO共重合ジオール
、THF/EO共重合ジオール、THF/MTHF共重合ジオール等(重量比、例えば1
/9〜9/1)〕、芳香環含有ポリオキシアルキレンジオール[ポリオキシアルキレンビ
スフェノールA(ビスフェノールAのEOおよび/またはPO付加物等)];および3官
能以上のPTポリオール、例えばポリオキシプロピレントリオール(GRのPO付加物等
);並びにこれらの1種以上をメチレンジクロライドでカップリングしたものが含まれる

【0018】
OH末端のPSには、縮合PSポリオール、ポリラクトン(以下PLと略記 )ポリオ
ール、ヒマシ油系ポリオール[ヒマシ油(リシノール酸トリグリセリド)およびそのポリ
オール変性物]、およびポリカーボネートポリオールが含まれる。
縮合PSポリオールは、ポリオールとポリカルボン酸類(酸もしくはそのエステル形成
性誘導体を指す。以下同様。)(および必要によりヒドロキシカルボン酸)との重縮合ま
たはポリオールとポリカルボン酸無水物およびAOとの反応により、PLポリオールはポ
リオールを開始剤とするラクトンの開環付加(またはポリオールとヒドロキシカルボン酸
との重縮合)により、ヒマシ油のポリオール変性物はヒマシ油とポリオールとのエステル
交換反応により、そしてポリカーボネートポリオールはポリオールを開始剤とするアルキ
レンカーボネートの開環付加/重縮合、ポリオールとジフェニルもしくはジアルキルカー
ボネートの重縮合(エステル交換)、またはポリオールもしくは2価フェノール(前記の
もの:ビスフェノールA等)のホスゲン化により、製造することができる。
【0019】
PSの製造に用いるポリオールは、通常1,000以下、好ましくは30〜500のO
H当量(OH当たりのMn)を有する。その例には、上記の多価アルコ ール[ジオール
(例えばEG、1,4−BD、NPG、HDおよびDEG)および3価以上のポリオール
(GR、TMP、PE等)]、上記PTポリオール(PEG、PPG、PTMG等)、お
よびこれらの2種以上の混合物が含まれる。縮合PSポリオールの製造に好ましいのは、
ジオール、およびそれと少割合(例えば10当量%以下)の3価以上のポリオールとの併
用である。
【0020】
ポリカルボン酸には、ジカルボン酸および3価〜4価またはそれ以上のポリカルボン酸
が含まれる。それらの例には、C2〜30またはそれ以上(好ましくはC2〜12)の飽
和および不飽和の脂肪族ポリカルボン酸、例えばC2〜15ジカルボン酸(例えばシュウ
、コハク、マロン、アジピン、スベリン、アゼライン、セバチン、ドデカンジカルボン、
マレイン、フマルおよびイタコン酸)、C6〜20トリカルボン酸(例えばトリカルバリ
ルおよびヘキサントリカルボン酸)];C8〜15の芳香族ポリカルボン酸、例えばジカ
ルボン酸(例えばテレフタル、イソフタルおよびフタル酸)、トリ−およびテトラ−カル
ボン酸(例えばトリメリットおよびピロメリット酸);C6〜40の脂環式ポリカルボン
酸(ダイマー酸等);およびスルホ基含有ポリカルボン酸[上記ポリカルボン酸にスルホ
基を導入してなるもの、例えばスルホコハク、スルホマロン、スルホグルタル、スルホア
ジピンおよびスルホイソフタル酸、およびそれらの塩(アルカリ金属、アルカリ土類金属
およびIIB族金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、並びに4級アンモニウム塩等)];
並びにカルボキシ末端のポリマーが含まれる。
【0021】
カルボキシ末端のポリマーには、PTポリカルボン酸、例えばポリオール[上記の多価
アルコール、PTポリオール等]のカルボキシメチルエーテル(アルカリの存在下にモノ
クロル酢酸を反応させて得られる);およびPD、PSおよび/またはPUポリカルボン
酸、例えば上記ポリカルボン酸を開始剤としてラクタムもしくはラクトン(前記)を開環
重合させてなるポリラクタムポリカルボン酸およびPLポリカルボン酸、上記ポリカルボ
ン酸類の2分子またはそれ以上をポリオール(前記)またはポリアミンもしくはポリイソ
シアネート(PI、後述)でカップリング(エステル化またはアミド化)させてなる縮合
PSポリカルボン酸および縮合PDポリカルボン酸、および上記のポリカルボン酸類およ
びポリオールとPIを反応(ウレタン化およびエステル化もしくはアミド化)させてなる
PUポリカルボン酸が含まれる。
【0022】
ラクタムには、C4〜15(好ましくはC6〜12)のもの、例えばカプロラクタム、
エナントラクタム、ラウロラクタムおよびウンデカノラクタム;ラクトンには、上記ラク
タムに相当する(NHがOに置換った)もの(例えばε−カプロラクトン、γ−ブチロラ
クトン、γ−バレロラクトン)が含まれる。
【0023】
エステル形成性誘導体には、酸無水物、低級アルキル(C1〜4)エステルおよび酸ハ
ライド、例えばコハク、マレイン、イタコンおよびフタル酸無水物 、テレフタル酸ジメ
チル、並びにマロニルジクロライドが含まれる。
縮合PSポリオールの製造に好ましいのは、ジカルボン酸類、およびそれと少割合(例
えば10当量%以下)の3価〜4価またはそれ以上のポリカルボン酸類との併用である。
ラクトンおよびヒドロキシカルボン酸には前掲のものが含まれる。
アルキレンカーボネートには、C2〜6のアルキレン基を有するもの、例えばエチレン
およびプロピレンカーボネートが含まれる。ジアルキルカーボネートには、C1〜4のア
ルキル基を有するもの、例えばジメチル、ジエチルおよびジ−i−プロピルカーボネート
が含まれる。
【0024】
OH末端のPSの具体例には、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポ
リヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレン/プロピレン
アジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリブチレン/ヘキサメチレンアジペ
ート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポ
リエチレンアゼレート、ポリエチ レンセバケート、ポリブチレンアゼレート、ポリブチ
レンセバケート、ポリカプロラクトンジオールおよびポリヘキサメチレンカーボネートジ
オールが含まれる。
【0025】
OH末端のPDには、ポリカルボン酸類(上記)を、ヒドロキシルアミン(前記)また
はポリオール(上記)およびポリアミン(PA)(後述)と重縮合させてなる、ポリ (
エステル)アミドポリオールが含まれる。
【0026】
OH末端のPUには、ポリオールをPIで変性してなるOH末端ウレタンプレポリマー
が含まれる。ポリオールには、前記の、多価アルコール、高分子ポリオール(上記OH末
端のPTおよびPS、並びに後述のOH末端のVPおよびP/P)、並びにこれらの2種
以上の併用が含まれる。ポリオールのうち、好ましいのは高分子ポリオール(とくにOH
末端のPSおよびとくにPT)およびこれと低分子ポリオール(とくに多価アルコール)
との併用である。併用する低分子ポリオールの量は、要求される性能に応じて適宜変える
ことができるが、一般に、高分子ポリオール1当量に対して、0.01〜0.5当量、さ
らに0.02〜0.4当量とくに0.1〜0.2当量が好ましい。
OH末端ウレタンプレポリマー製造に当り、ポリオールとPIとの当量比(OH/NC
O比)は、通常1.1/1〜10/1、好ましくは1.4/1〜4/1とくに 1.4/
1〜2/1である。ポリオールとPIとは、1段で反応させても、多段で反応(例えばポ
リオールもしくはPIの一部を反応させたのち残部を反応)させてもよい。
【0027】
OH末端のVPには、ポリブタジエン系ポリオール、例えばOH末端のブタジエンホモ
ポリマーおよびコポリマー(スチレン−ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル−ブタ
ジエンコポリマー等)[1,2−ビニル構造を有するもの、1,4−トランス構造を有す
るもの、1,4−シス構造を有するもの、およびこれらの2種以上を有するもの(1,2
−ビニル/1,4−トランス/1,4−シスのモル比100〜0/100〜0/100〜
0、好ましくは10〜30/50〜70/10〜30]、並びにこれらの水素添加物(水
素添加率:例えば20〜100%);アクリルポリオール、例えばアクリル共重合体[ア
ルキル(C1〜20)(メタ)アクリレート、またはこれらと他のモノマー(スチレン、
アクリル酸等)との共重合体]にヒドロキシル基を導入したもの[ヒドロキシル基の導入
は主としてヒドロキシエチル(メタ)アクリレートによる];および部分鹸化エチレン/
酢酸ビニル共重合体が含まれる。
【0028】
P/Pは、ポリオール(前述のOH末端のPTおよび/またはPS、またはこれと前記
の多価アルコールとの混合物)中でエチレン性不飽和モノマーをその場で重合させること
により得られる。エチレン性不飽和モノマーには、アクリル系モノマー、例えば(メタ)
アクリロニトリルおよびアルキル(C1〜20またはそれ以上)(メタ)アクリレート(
メチルメタクリレート等);炭化水素(以下HCと略記)系モノマー、例えば芳香族不飽
和HC(スチレン等)および脂肪族不飽和HC(C2〜20またはそれ以上のアルケン、
アルカジエン等、例えばα−オレフィンおよびブタジエン);並びにこれらの2種以上の
併用[例えばアクリロニトリル/スチレンの併用(重量比100/0〜80/20)]が
含まれる。P/Pは、例えば5〜80%またはそれ以上、好ましくは30〜70%の重合
体含量を有する。
上記の高分子ポリオールのうちで好ましいのはPTポリオールおよびPSポリオールであ
る。
【0029】
本発明におけるポリイソシアネート(B)には、2〜6個またはそれ以上(好ましくは
2〜3個とくに2個)のイソシアネート基を有する、下記のポリイソシアネート(PI)
、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
(1)C(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族PI:
ジイソシアネート(以下DIと略記)、例えばエチレンDI、テトラメチレンDI、ヘ
キサメチレンDI(HDI)、ヘプタメチレンDI、オクタメチレンDI、デカメチレン
DI、ドデカメチレンDI、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンDI、リジンDI、2,6−ジイソシアナトメチ ルカプロエート、2,6−ジイソシアナトエチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレートおよびビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート;
3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば1,6,1 1−ウンデカントリイ
ソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3
,6−ヘキサメチレントリイソシアネートおよびリジンエステルトリイソシアネート(リ
ジンとアルカノールアミンとの反応生成物のホスゲン化物、2−イソシアナトエチル−2
,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−および/または3−イソシアナトプロピル−
2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等);
【0030】
(2)C4〜15の脂環式PI:
DI、例えばイソホロンDI(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−DI
(水添MDI)、シクロヘキシレンDI、 メチルシクロヘキシレンDI、ビス(2−イ
ソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレートおよび2,5
−および/または2,6−ノルボルナンDI;
3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えばビシクロヘプタントリイソシアネー
ト;
(3)C8〜15の芳香脂肪族PI:
m−および/またはp−キシリレンDI(XDI)、ジエチルベンゼンDIおよびα,
α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDI(TMXDI);
(4)C6〜20の芳香族PI:
DI、例えば1,3−および/または1,4−フェニレンDI、2,4−および/また
は2,6−トリレンDI(TDI)、4, 4’−および/または2,4’−ジフェニル
メタンDI(MDI)、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート
、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナ
トビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよび
1,5−ナフチレンDI;
3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば粗製TDI、粗製MDI(ポリメチ
レンポリフェニレンポリイソシアネ ート);
【0031】
(5)PIの変性体:
上記PIの変性体、例えばカルボジイミド、ウレタン、ウレア、イソシアヌレート、ウ
レトイミン、アロファネート、ビウレット、オキサゾリドンおよび/またはウレトジオン
基を有する変性体)、例えばMDI、TDI、HDI、IPDI等のウレタン変性物(ポ
リオールと過剰のPIとを反応させて得られるNCO末端ウレタンプレポリマー)、ビウ
レット変性物、イソシアヌレート変性物、トリヒドロカルビルホスフェート変性物、およ
びこれらの混合物。
ウレタン変性に用いるポリオールには、前記の多価アルコール、PTポリオールおよび
/またはPSポリオールが含まれる。好ましいのは、500以下とくに30〜200のO
H当量を有するポリオール、例えばグリコール(EG、PG、DEG、DPG等)、トリ
オール(TMP、GR等)、4官能以上の高官能ポリオール(PE、SO等)およびこれ
らのAO(EOおよび/またはPO)(1〜40モル)付加物、とくにグリコールおよび
トリオールである。ウレタン変性におけるPIとポリオールとの当量比(NCO/OH比
)は、通常1.1/1〜10/1、好ましくは1.4/1〜4/1とくに1.4/1〜2
/1である。
上記変性PIの遊離イソシアネート基含量は通常8〜33%、好ましくは1 0〜30
%、とくに好ましくは12〜29%である。
【0032】
ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)から硬質ポリウレタン樹脂を形成させる
に際して、(A)と(B)の割合をイソシアネート指数[(NCO基/OH基の当量比)
×100]で表した場合、該指数は種々変えることができるが、樹脂強度および硬質ポリ
ウレタン樹脂の切削加工のしやすさの観点から、好ましくは80〜140、さらに好まし
くは85〜120、とくに好ましくは90〜115である。
また(A)と(B)の反応方法としては、ワンショット法であっても、予め(A)の一
部と(B)を反応させてNCO末端プレポリマーを形成させた後、残りの(A)と反応さ
せるか、あるいは予め(A)と、(B)の一部を反応させてOH末端プレポリマーを形成
させた後、残りの(B)と反応させるプレポリマー法であってもよい。
【0033】
本発明のフッ素含有撥水剤(C)としては、1,000〜1×107のMn、および0
.5〜500μmの体積平均粒径を有するもの、例えば四フッ化エチレン樹脂[商品名「
ポリフロンPTFE」(商品名略称「PTFE」)]、四フッ化エチレン−パーフルオロ
ビニルエーテル共重合体[商品名「ネオフロンPFE」(商品名略称「PFE」)]、四
フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(商品名略称「FEP」)、四フッ化エチ
レン−エチレン共重合体(商品名略称「ETFE」)、ポリビニリデンフルオライド(商
品名略称「PVDF」)、三フッ化塩化エチレン樹脂(商品名略称「PCTFE」)、六
フッ化プロピレン樹脂(商品名略称「HFP」)、およびこれらの混合物が挙げられる。
これらのうち撥水性の観点から好ましいのは「PTFE」、「FEP」および「HFP
」である。
【0034】
(C)の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、ポリウレタン樹脂の吸湿性
、並びに組成物の流動性とポリウレタン樹脂の機械強度の観点から好ましくは0.01〜
15%、さらに好ましくは0.05〜10%、とくに好ましくは0.07〜9%、最も好ましくは0.1〜8%である。
(A)と(B)から形成されてなる切削加工用硬質ポリウレタン樹脂は、(A)および/または(B)に(C)を含有させることにより、該切削加工用硬質ポリウレタン樹脂の寸法安定性を改良することができる。(C)は、(A)、(B)または(A)と(B)の混合物のいずれに含有させてもよい。
【0035】
本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じてシリコーン整泡剤
(D1)、シリコーン消泡剤(D2)、脱水剤(D3)、中空微小球(D4)およびその
他の添加剤(D5)からなる群から選ばれる添加剤(D)を含有させることができる。
【0036】
後述する本発明の硬質ポリウレタン樹脂は、切削加工後に模型として使用されるため切
削後の表面が均質である必要がある。このため本発明の組成物を硬化させる際に発生また
は後述のメカニカルフロス法で注入する気泡を均一に分散、保持する目的でシリコーン整
泡剤(D1)を組成物に含有させてもよい。
(D1)としては、整泡効果を有するジメチルポリシロキサンや主鎖、側鎖および/ま
たは末端をポリオキシアルキレン鎖、フェニル、アルキル、アラルキルまたはアリールア
ルキル基等で変性した非反応性ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
(D1)のMnは整泡効果の観点から好ましくは5,000〜100,000、さらに
好ましくは10,000〜50,000である。
(D1)の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常6%以下、整泡効果
および硬質ポリウレタン樹脂の強度の観点から好ましくは0.05〜5%、さらに好まし
くは0.3〜3%、とくに好ましくは0.5〜2%である。
【0037】
上記のように、気泡を整泡するのではなく、逆に存在する気泡を減圧除去して切削後の
表面を均質にすることを目的にシリコーン消泡剤(D2)を組成物に含有させてもよい。
(D2)としては、消泡効果を有するジメチルポリシロキサンや主鎖、側鎖および/ま
たは末端をポリオキシアルキレン鎖、フェニル、アルキル、アラルキルまたはアリールア
ルキル基等で変性した非反応性ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
(D2)のMnは消泡効果の観点から好ましくは500〜10,000、さらに好まし
くは1,000〜5,000である。
(D2)の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常4%以下、消泡効果
および硬質ポリウレタン樹脂の強度の観点から好ましくは0.01〜3%、さらに好まし
くは0.5〜2%、とくに好ましくは0.7〜1.5%である。
【0038】
本発明における(A)中に水分や湿分が混入してウレタン化反応における発泡剤となる
ことを防止し、得られた成形品を切削加工した際に表面を緻密にすることを目的に脱水剤
(D3)を組成物に含有させてもよい。
(D3)としては、通常用いられる脱水効果を有する化合物が使用できるが、中性また
はアルカリ性で体積平均粒径が0.1〜50μmである脱水剤が好ましい。
(D3)の具体例としては、例えば酸化カルシウム、硫酸カルシウム(半水石膏)、塩
化カルシウム、モレキュラーシーブが挙げられる。これらのうち粒径が小さく組成物中へ
の微分散、および脱水効果の安定性の観点から好ましいのは硫酸カルシウム(半水石膏)
およびモレキュラーシーブ、さらに好ましいのはモレキュラーシーブである。
(D3)の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常20%以下、脱水効
果および組成物の適度な流動性の観点から好ましくは0.3〜15%、さらに好ましくは
0.5〜10%である。
【0039】
成形品の軽量化や切削加工性を向上させることを目的に中空微小球(D4)を組成物に
含有させてもよい。(D4)としては、例えば、熱可塑性樹脂(ポリ塩化ビニリデン、ポ
リメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等)、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、尿素樹脂等)および無機物(ガラス、アルミナ、シラス、カーボン等)か
らなる各中空微小球が挙げられる。
中空微小球の体積平均粒径は、組成物の流動性の観点および硬質ポリウレタン樹脂のき
めの細かさの観点から好ましくは0.5〜200μm、さらに好ましくは1〜150μm
;かさ比重は、取り扱い性と組成物の流動性、および軽量化の観点から好ましくは0.0
05〜0.5、さらに好ましくは0.01〜0.4である。市場から入手できる(D4)
の具体例としては、マツモトマイクロスフェアーF−80EDおよびMFLシリーズ[い
ずれも松本油脂製薬(株)製]、フェノリックマイクロバルーンBJO−0930[ユニ
オンカーバイド(株)製]、スコッチライトK−15、K−37[いずれもスコッチライ
ト(株)製]等が挙げられる。
(D4)の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常30%以下、成形品
の軽量化や切削加工性および組成物の流動性の観点から好ましくは3〜25%、さらに好
ましくは5〜20%である。
【0040】
組成物に(D4)を含有させる場合、(D4)は通常、(A)側に配合して用いるが、
ポリイソシアネート(B)側に含有させてもよい。(A)側に配合するだけでは低密度化
に限度があるが、(B)側にも配合することでさらなる低密度化が図れる。また、組成物
全体として必要な(D4)の配合量を(A)と(B)のそれぞれの側に分配することで組
成物の粘度を同程度に調整でき、両者の混合操作が容易になる。分配の比率は(D4)の
体積分配率で(A)に対して30〜100%、(B)に対して0〜70%が好ましい。こ
の範囲であると(A)と(B)の流動性が近く、混合操作が容易になる。
この場合、保存中に(D4)の表面に吸着されている水分とポリイソシアネート(B)
との反応を防ぐために、(B)側に(D3)を同時に配合してもよい。
【0041】
本発明の組成物には成形性や成形品の保存性その他の機能を向上させるために、さらに
その他の添加剤(D5)を含有さてもよい。
(D5)としては、無機フィラー(炭酸カルシウム、タルク等)、滑剤(ステアリン酸
カルシウム、エチレンジアミンジステアリルアミド等)、ウレタン化触媒[アミン(トリ
エチレンジアミン等)、金属触媒(ジ−n−ブチル錫ジラウレート等)等]、着色剤[金
属酸化物(ベンガラ等)、ジスアゾピグメント等]、老化防止剤(ジブチルジチオカルバ
ミン酸ニッケル、ヒンダードフェノール等)、可塑剤[フタル酸エステル(ジブチルフタ
レート、ジオクチルフタレート等)、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル等]等が挙げら
れる。
【0042】
(D5)の各添加剤の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、無機フィラー
は、通常45%以下、好ましくは0.5〜30%、さらに好ましくは2〜25%、とくに
好ましくは4〜20%;滑剤は、通常25%以下、好ましくは0.2〜20%、さらに好
ましくは2〜15%、とくに好ましくは3〜10%;可塑剤は、通常25%以下、好まし
くは1〜20%、さらに好ましくは2〜15%、とくに好ましくは3〜10%;触媒は、
通常1%以下、好ましくは0.001〜0.5%、さらに好ましくは0.005〜0.3
%、とくに好ましくは0.008〜0.2%;着色剤、老化防止剤は、それぞれ通常5%
以下、好ましくは0.01〜3%、さらに好ましくは0.05〜2.5%、とくに好まし
くは0.1〜2%である。
(D5)の合計使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常50%以下、好
ましくは0.001〜40、さらに好ましくは0.05〜35、とくに好ましくは0.0
8〜30である。
【0043】
本発明の組成物を硬化させてなる切削加工用硬質ポリウレタン樹脂には、微小気泡を全
く含まない樹脂、中空微小球の微小気泡のみで軽量化されたシンタクチックフォーム、後
述のメカニカルフロス法によって形成された不活性気体の微小気泡で軽量化されたフォー
ム、及び中空微小球の微小気泡とメカニカルフロス法によって形成された不活性気体の微
小気泡を同時に含むフォームが含まれる。
微小気泡を全く含まない樹脂成形品は密度が約1.2g/cm3以上と高く、とくに大
きな機械強度が必要な模型用材料や検査治具に使用される。求められる機械強度が通常レ
ベルの場合は、シンタクチックフォームや発泡体にすることで軽量化して切削加工性を良
好なものとし、通常レベルの機械強度が求められる一般的な模型用材料等に使用される。
本発明の組成物を発泡させる方法には、ポリオール(A)を含有する成分[以下ポリオ
ール成分という]とポリイソシアネート(B)を含有する成分[以下イソシアネート成分
という]の混合中および/または混合前にフルオロカーボン、水素原子含有ハロゲン化炭
化水素、低沸点炭化水素等の揮発性の発泡剤や、炭酸ガス発生源となる水などを投入する
発泡剤発泡法と、上記成分を混合中に空気や窒素等の不活性ガスを吹き込むメカニカルフ
ロス発泡法が挙げられるが、模型用材料に必要な緻密な切削面を有する切削加工用材料を
得るにはメカニカルフロス発泡法が適している。
【0044】
メカニカルフロス発泡法とは 、内面に多数の歯の付いた円筒状のステーターと、ステ
ーター内部に同じく多数の歯の付いたローターからなるメカニカルフロス発泡機のロータ
ーが回転中に、発泡させたい材料と不活性ガスを同時に連続的に当該発泡機に注入するこ
とにより、当該発泡機の吐出口から発泡材料を連続的に吐出させる方法(特許第3083
751号公報の選択図3参照)である。
材料や不活性ガスの注入口が任意の数だけ設けられるため、2種類以上の材料と不活性
ガスの混合が可能である。また材料は硬化性があっても発泡機から出た後に硬化するので
あればかまわない。
吐出口から吐出される材料と不活性ガスの混合物は25〜120℃に予め温度調整され
た型(開放型や密閉型)、あるいはこぼれないように両側を仕切られたベルトコンベア上
に注型される。
型やベルトコンベアの材質は金属(アルミニウム、ステンレス等)やプラスチック(ポ
リプロピレンやポリカーボネート等)が通常使用される。
発泡後の気泡径が小さく、得られる硬化物内の密度分布が均一であるという点でメカニ
カルフロス発泡法は模型用材料を作製する方法としては発泡剤発泡法より好ましい。
【0045】
メカニカルフロス発泡法による微小気泡径は、微小気泡の安定性およびポリウレタン樹
脂のきめの細かさの観点から好ましくは0.5〜300μm、さらに好ましくは1〜20
0μmである。
メカニカルフロス発泡法による微小気泡の量(体積%)は、中空微小球(D4)を含有
しない成形体の場合は、成形体(ポリウレタン樹脂)の体積に対する不活性ガスの体積の
割合であり、中空微小球(D4)を含有させた成形体の場合は成形体(ポリウレタン樹脂
)の体積に対する、[中空微小球(D4)の体積+不活性ガスの体積]の割合であって、
切削加工性および切削面のきめの細かさの観点から好ましくは10〜95、より好ましく
は12〜85、さらに好ましくは15〜80、とくに好ましくは20〜75である。
【0046】
本発明における切削加工用硬質ポリウレタン樹脂は、例えば「模型作製技術マニュアル
」(財団法人 素形材センター発行)に記載されているようにNCマシンと呼ばれるコン
ピュータ制御の工作機械のうち、通常、NCフライス盤やマシニングセンタによって切削
加工(機械加工)されたり、のこぎり、のみ、かんな等を使用して切削加工(手加工)さ
れ、最後に仕上がり面をサンドペーパーで平滑にされて模型となる。
機械加工において使用される刃物は、ボールエンドミルやフラットエンドミルであり一
般にハイス、超硬と呼ばれる材質のものが使用される。
機械加工は主として3段階の切削工程からなり、初期が粗加工、中期が中加工、最後が
仕上げ加工と呼ばれる。本発明における硬質ポリウレタン樹脂は、粗加工では好ましくは
刃物の直径が20〜30mm、刃物送り速度1,000〜3,000mm/分、刃物回転
数200〜5,000rpmで切削される。次に、中加工では好ましくは刃物直径10〜
20mm、送り速度1,000〜2,000mm/分、回転数1,000〜3,000r
pm、仕上げ加工では刃物直径5〜10mm、送り速度500〜1,500mm/分、回
転数1,000〜2,000rpmで切削される。
得られた模型が自動車等のデザインモデルに使用される場合はさらに塗装されて仕上げ
られ、デザインの評価に供される。成形用金型等の原型であるマスターモデルとして使用
される場合は鋳物砂や樹脂、石膏等での形状反転に供される。
【0047】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。なお、以下において部は重量部を表す。
【0048】
実施例および比較例に使用した原料の組成、記号等は次の通りである。
ポリオール(A1):グリセリンのPO付加物、OH価400のポリエーテルポリオール
ポリイソシアネート(B1):ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート[商品名
「ミリオネートMR−200」、日本ポリウレタン工業(株)製]
フッ素含有撥水剤(C1):四フッ化エチレン樹脂[商品名「ポリフロンPTFE M−
33」、体積平均粒径300μm、ダイキン工業(株)製]
シリコーン整泡剤(D1):商品名「SZ−1671」、日本ユニカー(株)製
脱水剤(D3):モレキュラーシーブ[商品名「PURMOL 3」、CU Chemi
e Uetikon AG製]
中空微小球(D4):アクリルマイクロバルーン[商品名「マツモトマイクロスフェアM
FL−80 GCA」、体積平均粒径20μm、密度0.24g/
cm3、松本油脂製薬(株)製]
ウレタン化触媒(D5):ジ−n−ブチル錫ジラウレート[商品名「Stann BL」
、三共有機合成(株)製]
【0049】
実施例1〜6
表1に記載の処方で、各原料をプラネタリーミキサーに投入し、130rpmで10分
間撹拌後、5分間30mmHg以下で撹拌脱泡してポリオール成分を得た。イソシアネー
ト成分も同様にして得た。各成分とも25±1℃となるよう温度調整した。
次に、メカニカルフロス機[MF−350型メカニカルフロス発泡装置、東邦機械工業
(株)製]のローターを300rpmで回転させながら、ポリオール成分およびイソシア
ネート成分を合計で3L/分となる流量、および乾燥空気をポリオール成分、イソシアネ
ート成分および乾燥空気の合計体積に基づいて30体積%(表1における空気量)となる
ような流量でミキシングヘッド入り口部に連続供給した。混合、吐出された液をミキシン
グヘッド出口から、内径19mm、長さ1mのビニールホースを通し下記に記載の容器お
よび金型に注型した。評価結果を表1に示す。
【0050】
実施例7〜8
表1に記載の処方で実施例1〜6と同様にメカニカルフロス機を用いて成形した。ただ
し乾燥空気は供給しなかった。評価結果を表1に示す。
【0051】
寸法安定性の評価は次のとおり行った。
メカニカルフロス機で混合、吐出された、(A)〜(D)および乾燥空気の混合液を内
寸が幅100mm、長さ1,000mm、高さ120mmのアルミ金型に底面から液面高
さが110mmとなるように注型した。ウレタン化反応により注型液が硬化した直後、循
風乾燥機に金型ごと入れ、90℃で2時間加熱した。次に一時間当たり2℃ずつ温度を下
げ、40℃になったところで循風乾燥機から取り出し、硬化物(硬質ポリウレタン樹脂)
を脱型した。
NCマシン[NCE23−1H型ルータ、(株)菊川鉄工所製]で硬化物の高さが10
0mmになるよう切削し、幅約100mm、長さ約1,000mm、高さ100mmの硬
質ポリウレタン樹脂とした。該硬質ポリウレタン樹脂の重量を3辺の長さの積より算出し
た体積で除して密度とした。
該硬質ポリウレタン樹脂を23℃、相対湿度55%の恒温恒湿の室内に保存した後、該
恒温恒湿の室内で三次元測定機[BHN710型、(株)ミツトヨ製]を用いて、経時的
に該硬質ポリウレタン樹脂の長さを測定した。
該硬質ポリウレタン樹脂を恒温恒湿室に保存開始から24時間後の長さ(a)を基準と
して、長さ変化率(%)を下記式によって求めた。

長さ変化率=(b−a)×100/a (1)

[式中、aは基準長さ、bは所定期間(3、6および12カ月)経過後の長さ]
【0052】
比較例1
表2に記載の処方で、実施例1〜6と同様にして成形品を得た。評価結果を表2に示す。
【0053】
比較例2〜3
表2に記載の処方で、実施例7〜8と同様にして成形品を得た。評価結果を表2に示す

【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
表1、2の結果から、実施例の切削加工用硬質ポリウレタン樹脂成形品は比較例のものに比べて、吸湿による長さ変化率が極めて小さく、長期保存時の寸法安定性に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の切削加工用硬質ポリウレタン樹脂形成性組成物を硬化させてなる硬質ポリウレ
タン樹脂は、吸湿による寸法増加が極めて小さいことから、デザインモデル、マスターモ
デル等の模型や検査治具等の切削加工材料等として幅広く用いられ極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)およびフッ素含有撥水
剤(C)からなることを特徴とする切削加工用硬質ポリウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項2】
(C)の使用量が(A)と(B)の合計重量に基づいて0.01〜15%である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の組成物を硬化させてなる切削加工用硬質ポリ
ウレタン樹脂。
【請求項4】
請求項3記載の硬質ポリウレタン樹脂を切削加工してなる模型。
【請求項5】
ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)から形成されてなる切削加工用硬質ポリウレタン樹脂において、(A)および/または(B)に、フッ素含有撥水剤(C)を含有させることを特徴とする該切削加工用硬質ポリウレタン樹脂の寸法安定性改良方法。

【公開番号】特開2007−262395(P2007−262395A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49020(P2007−49020)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】