説明

制御弁

【課題】 弁体が高精度で高応答性を有し、且つ使用する作動流体により耐久性が低下するということがない制御弁を提供する。
【解決手段】 制御弁22は、腐食性作動流体が流れる弁通路47に介在しており、弁体43を備える。弁体43は、弁用ガイド部材42に挿入され、その一端側が弁通路47に配置され、他端側が弁側背圧力室59に配置され、その内部には、弁通路47と弁側背圧力室59とを連通する連通路61がある。弁体43は、第1の受圧面P1で弁通路47の二次側の二次圧pを受け、第2の受圧面P2で連通路61により弁側背圧力室59に導かれた二次圧pを受けるようになっている。弁用ガイド部材42と弁体43との間には、弁用軸受け部材44が設けられ、弁用軸受け部材44の両側にOリング57とダイアフラム58とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腐食性作動流体が流れる弁通路を有し、ガイドに挿入される弁体を動かすことで前記弁通路を開閉する制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流路を開閉し、そこに流れる作動流体の流量を調整する制御弁が実用に供されている。このような制御弁として、例えば特許文献1に記載されるような流量制御弁1がある。図11に示す、従来技術の流量制御弁1は、弁体2と、モータ3とを備えている。流量制御弁1は、モータ3に電流を流すことで、モータ3が弁体2を動かして流路4を開閉するようになっており、モータ3に流す電流を調整することで流路4の開度が調整され、流路4の二次側を流れる作動流体の流量が調整されるようになっている。
【0003】
弁体2には、ガイド部材5が外装されており、外装された状態でハウジング6内に収容されている。ハウジング6内には、シール部材7が設けられている。シール部材7は、ガイド部材5を流路4から隔離するように設けられている。
【0004】
このようにして構成される流量制御弁1で扱われる作動流体の種類は様々であり、水素ガス等の腐食性流体が用いられることもある。このような腐食性流体が用いられる場合、ガイド部材5の耐食性能が問題となる。しかし、流量制御弁1では、ガイド部材5がシール部材7により流路4から隔離されているため、ガイド部材5が腐食性流体に曝されることがない。それ故、耐食性能を有しない材料もガイド部材5に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−280819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の流量制御弁1の流路4には、弁の一次側流体圧力が作用しており、この流体圧力が流路4を開く方向に弁体2を押している。この押圧力に抗するべく、弁体2には、圧縮コイルばね8が設けられている。弁体2は、圧縮コイルばね8により流路4を閉じる方向に付勢されている。ところが、流路4を流れる作動流体の圧力が高いと、圧縮コイルばね8の付勢力を大きくしなければ流路4を閉じることができず、付勢力を大きくするためには、圧縮コイルばね8を大きくしなければならない。そうすると、モータ3の推力を大きくなければならない。
【0007】
また、弁体2は、流路4を閉じる方向に流路4の二次側の流体圧、即ち二次圧を受けており、この二次圧が高いと、流路4を閉じる方向の力が大きくなり、モータ3の推力を大きくしなければならない。その結果、流量制御弁1が大型化してしまう。
【0008】
そこで本発明は、腐食性作動流体に対する耐久性を有しつつ、弁の一次側圧力が高圧であっても、小型で且つ弁通路の開度を精度よく調整できる制御弁を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の制御弁は、腐食性作動流体が流れる弁通路を有し、ガイドに挿入される弁体を動かすことで前記弁通路を開閉する制御弁であって、前記弁体は、第1の受圧面で前記弁通路の二次圧を受圧し、第2の受圧面で該弁体に形成された弁側連通路により前記弁通路から弁側背圧力室に導かれた二次圧を受圧し、前記第1及び第2の受圧面で受圧する二次圧が互いに抗するようになっており、前記ガイドと前記弁体との間には、軸受け部材が介在し、前記軸受け部材の両側には、該軸受け部材と前記弁通路の一次側とを隔離する一次側シール部材と、該軸受け部材と前記背圧力室とを隔離する二次側シール部材とが夫々設けられているものである。
【0010】
本発明に従えば、第1及び第2の受圧面で受圧した二次圧が互いに抗するようになっている。それ故、各受圧面で受圧する二次圧が打ち消し合い、弁体に作用する作用力が小さくなる。これにより、小さな力で弁体を動かすことができるようになり、弁体の位置精度及び応答性が向上し、その結果、弁通路の開度を精度よく調整することができる。また、弁体に作用する作用力が小さくなることで、弁体を動かすための機構、例えばソレノイドや圧縮コイルばねを小形化することができ、制御弁の小型化を図ることができる。
【0011】
また、本発明では、軸受け部材が介在することで、弁体の動きが円滑になり、弁通路の開度をより精度よく調整することができるようになっている。この軸受け部材の両側には、一次側及び二次側シール部材が設けられており、これら一次側及び二次側シール部材より、軸受け部材を弁通路及び背圧力室から隔離し、それらに流れる腐食性作動流体に軸受け部材が曝露されることを防いでいる。これにより、腐食性作動流体に対する耐食性の低い材料を軸受け部材に使用しても制御弁の耐久性を低下させることがない。
【0012】
上記発明において、前記第1及び第2の受圧面は、それらの有効面積が等しくなるように構成されていることが好ましい。
【0013】
上記構成に従えば、第1及び第2受圧面で受圧する二次圧が完全に打ち消されて略ゼロになり、二次圧の圧力変動の影響を受けることがなくなる。これにより、弁通路の開度が精度よく調整される。
【0014】
上記発明において、前記弁体は、付勢部材により押されることで前記弁通路を閉じるようになっており、前記第1の受圧面は、そこで受圧する二次圧が前記付勢部材の付勢力に抗し、且つその有効面積が前記第2の受圧面の有効面積より小さくなるように構成されていることが好ましい。
【0015】
上記構成に従えば、第1の受圧面より第2の受圧面のほうが大きいため、弁体が弁通路を閉じる方向に押される。それ故、弁通路を閉じるために必要な付勢力を小さくすることができ、制御弁の小型化を図ることができる。
【0016】
上記発明において、前記二次側シール部材は、前記弁体の他端と共に第2の受圧面を構成することが好ましい。上記構成に従えば、二次側シール部材で受圧する二次圧も第2の受圧面で受圧する二次圧により打ち消すことができ、二次側シール部材で受圧する二次圧の影響を抑えることができる。
【0017】
上記発明において、前記二次側シール部材は、ダイアフラムであり、前記一次側シール部材は、Oリングであることが好ましい。
【0018】
上記構成に従えば、一次側シール部材がOリングであるため、弁通路の一次側の内圧、即ち一次圧が高圧であっても、一次側シール部材が一次圧に耐え得ることができる。逆に、背圧力室の二次圧は低圧であるため、二次側シール部材をダイアフラムにしても、二次側シール部材が二次圧に耐え得ることができる。二次側シール部材をダイアフラムにすることで、弁体に生じる摩擦力を低減することができ、弁体にシール部材を設けても弁体を円滑に移動させることができる。これにより、弁体の位置精度及び応答性が著しく低下するということを防ぐことができ、弁通路の開度を精度よく調整することができる。
【0019】
上記発明において、前記一次側シール部材は、一次圧を受圧する第3の受圧面を構成し、前記弁体は、前記第3の受圧面で受圧する一次圧に抗するように一次圧を受圧する第4の受圧面を有し、前記第3及び4の受圧面の面積は、等しくなっていることが好ましい。
【0020】
上記構成に従えば、一次側シール部材で受圧する一次圧を第4の受圧面で受圧する一次圧により完全に打ち消して略ゼロにすることができ、弁体を動かす際に、一次側シール部材で受圧する一次圧の圧力変動の影響を受けないようにすることができる。これにより、弁通路の開度を精度よく調整することができる。
【0021】
上記発明において、前記一次側及び二次側シール部材は、ダイアフラムであることが好ましい。上記構成に従えば、弁体がダイアフラムに対して摺動することがなく、弁体に生じる摩擦力を低減することができる。これにより、弁体にシール部材を設けても、弁体を円滑に移動させることができ、弁体の位置精度及び応答性が著しく低下するということがない。即ち、弁通路の開度を精度よく調整することができる。
【0022】
上記発明において、前記一次側及び二次側シール部材は、Oリングであることが好ましい。上記構成に従えば、一次圧及び二次圧が高圧であっても耐えることができる。
【0023】
上記発明において、前記軸受け部材は、転がり軸受け部材であることが好ましい。上記構成に従えば、弁体を円滑に移動することができ、弁体の位置精度及び応答性が向上する。即ち、弁通路の開度を精度よく調整することができる。
【0024】
上記発明において、前記軸受け部材は、グリス潤滑されていることが好ましい。上記構成に従えば、グリス潤滑により軸受け部材の耐久性を向上させることができる。また、グリス潤滑により弁体の動きが円滑になり、弁体の位置精度及び応答性が向上し、弁通路の開度を精度よく調整することができる。このようにして、耐久性、位置精度及び応答性を向上させるグリスであるが、このグリスが腐食性作動流体に曝露されると、この腐食性作動流体に混入することが考えられる。しかし、軸受け部材の両側が一次側及び二次側シール部材により塞がれているので、グリスが腐食性作動流体に曝露されることがなく、腐食性作動流体に混入することを防ぐことができる
上記発明において、前記軸受け部材は、すべり軸受け部材であることが好ましい。上記構成に従えば、弁体を円滑に移動することができ、弁体の位置精度及び応答性が向上する。即ち、弁通路の開度を精度よく調整することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、腐食性作動流体に対する耐久性を有し、弁通路の開度を精度よく調整でき、且つ小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態である制御弁を備える流体制御アセンブリを示す断面図である。
【図2】第1の実施形態の制御弁を拡大して示す断面図である。
【図3】第2実施形態の制御弁を示す断面図である。
【図4】第3実施形態の制御弁を示す断面図である。
【図5】第4実施形態の制御弁を示す断面図である。
【図6】第5実施形態の制御弁を示す断面図である。
【図7】第6実施形態の制御弁を示す断面図である。
【図8】第7実施形態の制御弁を示す断面図である。
【図9】第8実施形態の制御弁を示す断面図である。
【図10】第9実施形態の制御弁を示す断面図である。
【図11】従来技術の制御弁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(流体制御アセンブリ)
図1は、本発明の実施形態である流体制御アセンブリ20を示す断面図である。流体制御アセンブリ20は、水素ガス等の腐食性を有する高圧可燃ガス(以下、単に「作動流体」ともいう)の流量(又は圧力)を制御するようになっている。流体制御アセンブリ20は、ソレノイド21と制御弁22とを備えている。
【0028】
以下では、説明の便宜上、流体制御アセンブリ20の軸線に平行な方向を軸線方向といい、図1において右側を軸線方向一方側、その反対側を軸線方向他方側という。なお、これらの方向の概念は、流体制御アセンブリ20に備わる各構成の位置及び向きを限定するものでない。
【0029】
[ソレノイド]
ソレノイド21は、制御弁22を駆動すべく構成され、図1に示すようにソレノイドコイル23、可動部材24、軸受け部材25及びケーシング26を備える。ケーシング26は、制御弁22のハウジング41に装着されている。ケーシング26内は、ハウジング41に形成される弁通路47に連通し、ケーシング26内にはソレノイドコイル23、可動部材24及び軸受け部材25が収容されている。
【0030】
ソレノイドコイル23は、ボビン27とコイル28とを備えている。ボビン27は、ケーシング26内に嵌合されており、その外周部の軸線方向一端部及び他端部に外方に突出する外向きフランジ27a,27bを有する。これら2つの外向きフランジ27a,27bの間には、コイル線が巻きつけることで構成されるコイル28が設けられている。このように構成されるソレノイドコイル23は、その軸線方向一端部がケーシング26の底部26aに当接しており、その他端部には、ヨーク29が設けられている。
【0031】
ヨーク29は、磁性材料、例えば電磁ステンレス鋼から成り、ケーシング26内に嵌合されている。ヨーク29は、ケーシング26を制御弁22のハウジング41に装着することで、ケーシング26内に押し込まれ、底部26aと共にソレノイドコイル23を挟持するようになっている。ヨーク29及びソレノイドコイル23には、可動部材24が挿通されている。
【0032】
可動部材24は、磁性材料、例えば電磁ステンレス鋼から成り、挿通部24aとロッド24bとを有する。挿通部24aは、ソレノイドコイル23に挿入されている。挿通部24aの軸線方向一端部(図1において右端部)は、ソレノイドコイル23から突出しており、ケーシング26の底部26aに形成される挿入孔26bに挿入されている。挿入孔26bは、ケーシング26の底部26aを貫通しており、外側の開口が蓋体26cによって塞がれている。挿通部24aの軸線方向一端部と蓋体26cとの間には、圧縮コイルばね31が設けられおり、この圧縮コイルばね31により挿通部24aがヨーク29の方へと付勢されている。挿通部24aの軸線方向他端部(図1において左端部)にロッド24bが一体的に設けられている。ロッド24bの外径は、挿通部24aの外径よりも小径になっている。
【0033】
挿通部24aの他端部は、ヨーク29の内孔よりも大径であるためヨーク29に対向しており、そこに設けられるロッド24bは、ヨーク29を挿通して制御弁22の弁通路47まで延びている。ロッド24bの先端は、後述する制御弁22の弁体43に当接しており、挿通部24aをヨーク29から離すような力を弁体43から受けている。つまり、可動部材24は、圧縮コイルばね31から互いに抗する力を弁体43から受けている。これにより、挿通部24aが蓋体26cから第1の所定距離d1離され、またヨーク29から第2の所定距離d2離される。第1の所定距離d1は、第2の所定距離d2のおおよそ3倍以上の距離になっている。それ故、コイル28に電流を流すと、ヨーク29が磁化して、挿通部24aがヨーク29へと吸い寄せられる。
【0034】
また、挿通部24aには、ガイド部材30が設けられている。ガイド部材30は、SUS316L等のオーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材料から成り、挿通部24aの外周部の中間部分に嵌まり込んでいる。ガイド部材30の外周面は、挿通部24aの外周面と面一状になっており、ガイド部材30の外径は、ソレノイドコイル23の内径より小さくなっている。それ故、ガイド部材30とソレノイドコイル23との間には、円環状の間隙32が形成される。この間隙32には、軸受け部材25が配置されている。
【0035】
軸受け部材25は、転がり軸受けであり、本実施形態では、ボールガイドである。但し、ボールガイドに限定するものではなく、ボールベアリングであってもよい。軸受け部材25は、グリス等の潤滑剤が塗布された状態でガイド部材30に外装され、ガイド部材30とソレノイドコイル23との間に介在する。軸受け部材25は、可動部材24を軸線方向に摺動可能に支持してソレノイドコイル23とガイド部材30との間で生じる摩擦力を低減し、可動部材24の動きを円滑にしている。このように可動部材24の動きを円滑にする軸受け部材25の両側には、第1及び第2のダイアフラム33,34が夫々設けられている。
【0036】
第1及び第2のダイアフラム33,34は、円環状のシール部材であり、軸受け部材25の軸線方向両側に配置され、挿通部24aとソレノイドコイル23とに架け渡されるように固定されている。これにより、軸受け部材25の軸線方向両側を塞いでいる。即ち、第1のダイアフラム33により、背圧力室37と間隙32との間が封止され、第2のダイアフラム34により間隙32と圧力室38との間が封止される。なお、背圧力室37は、ケーシング26と可動部材24の軸線方向一方側の端部とによって規定される空間であり、間隙32よりも軸線方向一方側にある空間である。また、圧力室38は、ヨーク29と可動部材24の軸線方向他方側の端部とによって規定される空間であり、間隙32よりも軸線方向他方側にある空間である。
【0037】
このように規定された背圧力室37と圧力室38とを繋ぐべく、可動部材24内部には、連通路35が形成されている。連通路35は、挿通部24aの軸線方向一端部(図1において、右端部)に第1の開口35aを有し、ロッド24bの外周部に第2及び第3の開口35b,35cを夫々有している。連通路35は、第1の開口35aを第2及び第3の開口35b,35cを繋ぎ、背圧力室37と圧力室38とを連通している。圧力室38は、制御弁22の弁通路47に繋がっているので、背圧力室37は、連通路35により制御弁22の弁通路47に連通することになる。
【0038】
[第1実施形態の制御弁]
図2は、第1の実施形態の制御弁22を拡大して示す断面図である。以下では、図1も参照しつつ、制御弁22を説明する。制御弁22は、ハウジング41、弁用ガイド部材42、弁体43及び弁用軸受け部材44を備えている。ハウジング41には、水素ガス等の燃料ガス供給側である一次ポート45と弁の出力側である二次ポート46が形成されている。また、ハウジング41には、一次ポート45と二次ポート46とを繋ぐ弁通路47が形成されており、この弁通路47を通って一次ポート45に供給された作動流体が二次ポート46に流れるようになっている。弁通路47は、二次ポート46に繋がる挿通孔48と、一次ポート45に繋がる弁体室49とを有する。
【0039】
挿通孔48は、軸線方向一方側に開口を有しており、その開口からソレノイド21の可動部材24のロッド24bが挿入されるようになっている。挿通孔48の軸線方向他方側は、弁口51を介して弁体室49に繋がっており、弁口51の周りには、弁座52が形成されている。弁体室49は、弁口51より大径に形成されており、そこには、弁用ガイド部材42が収容されている。弁体49の軸線方向他方側の開口は、弁用ガイド部材42を収容した状態で弁側蓋体53により塞がれている。
【0040】
弁用ガイド部材42は、その軸線方向他方側の端部(図2において左端部)が弁側蓋体53に当接するように配置されており、その軸線方向一方側の端部(図2において右端部)には、円環状のばね受け部材54が配置されている。このばね受け部材54は、後述する弁用圧縮コイルばね55によって弁用ガイド部材42の方に付勢されており、弁用ガイド部材42は、ばね受け部材54と弁側蓋体53とによって挟持されている。弁用ガイド部材42内には、弁体43が挿通されている。
【0041】
弁体43は、摺動部43a、ばね受け部43b、弁部43c及び当接部43dを有する。摺動部43aの軸線方向一端部(図2において右端部)には、ばね受け部43bが一体的に設けられている。ばね受け部43bの外径は、挿通孔48の内径より大径に形成されている。ばね受け部43bには、弁部43cが一体的に設けられている。弁部43cは、ばね受け部43bから離れるに従って内方に縮径するテーパ状になっており、その先端には、軸線方向一方に突出する当接部43dが形成されている。
【0042】
このように形成される弁体43は、弁用ガイド部材42を挿通しており、その摺動部43aが弁用ガイド部材42内にあり、ばね受け部43bより先が弁用ガイド部材42から出ている。ばね受け部43bは、ばね受け部材54に対向しており、弁部43cは、弁座52に着座している。ばね受け部43bとばね受け部材54との間には、弁用圧縮コイルばね55が設けられており、この弁用圧縮コイルばね55により弁部43cが弁座52に向かって付勢されている。また、当接部43dは、挿通孔48まで延びており、ソレノイド21のロッド24bの先端部に当接している。
【0043】
弁体43の摺動部43aの外径は、弁用ガイド部材42の内径より小径となっており、摺動部43aと弁用ガイド部材42との間には、円環状の弁側間隙56が形成される。この弁側間隙56には、弁用軸受け部材44が配置されている。弁用軸受け部材44は、弁体43を軸線方向に摺動可能に支持する転がり軸受けであり、本実施形態では円筒状に形成されたボールガイドである。但し、ボールガイドに限定するものではなく、ボールベアリングであってもよい。弁用軸受け部材44は、グリス等の潤滑剤が塗布された状態で摺動部43aに外装され、摺動部43aと弁用ガイド部材42との間に介在する。弁用ガイド部材42の内壁の軸線方向一方側には、凸部42aが形成されており、弁用軸受け部材44は、弁用ガイド部材42に対して動かないように凸部42aによって規制されている。このように設けられた軸受け部材44は、弁用ガイド部材42と摺動部43aとの間で生じる摩擦力を低減し、弁体43の動きを円滑にしている。
【0044】
弁用軸受け部材44の軸線方向両側には、一次側及び二次側シール部材であるOリング57及びダイアフラム58が夫々設けられ、Oリング57及びダイアフラム58によって弁側間隙56の軸線方向両側が塞がれている。これにより、弁体43の軸線方向一方側に弁側圧力室60が形成され、弁体43の軸線方向他方側に弁側背圧力室59が形成される。即ち、Oリング57により弁側圧力室60と弁側間隙56との間が封止され、ダイアフラム58により弁側背圧力室59と弁側間隙56との間が封止される。なお、弁側圧力室60は、一次ポート45から一次圧pが供給される弁通路47の一次側の空間であり、弁体室49において弁側間隙56よりも軸線方向一方側の空間である。また、弁側背圧力室59は、弁側蓋体53及び弁体43により規定される空間であり、弁体室49において弁側間隙56よりも軸線方向他方側の空間である。Oリング57及びダイアフラム58を設けることで、Oリング57によって弁用軸受け部材44が弁通路47の一次側である弁側圧力室60から隔離され、またダイアフラム58によって弁用軸受け部材44が弁側背圧力室59から隔離される。
【0045】
一次側シール部材であるOリング57は、円環状のシール部材であり、弁用ガイド部材42の凸部42aの内周面には、Oリング用溝42cが形成されている。Oリング用溝42cは、凸部42aの周方向全周にわたって延在しており、そこには、Oリング57が嵌合している。Oリング57は、弁体43に摺動可能に当接しており、弁体43が静止状態及び移動状態のどちらの状態であっても弁体43と弁用ガイド部材42との間をシールし、弁用軸受け部材44の軸線方向一方側をOリング57によって塞いでいる。なお、Oリング用溝42cは、弁体43の外周部に形成しても、同様の効果を得ることができる。
【0046】
二次側シール部材であるダイアフラム58は、円環状のシール部材であり、内縁部分58aが弁体43の摺動部43aに固定されている。固定方法としては、例えば摺動部43aを分割体にし、内縁部分58aを分割体の間に入れて分割体を締結し、これら分割体により内縁部分58aを挟持して固定する方法がある。また、ダイアフラム58の外縁部分58bは、弁用ガイド部材42と弁側蓋体53との間に挟まれて固定されている。
【0047】
このように固定されるダイアフラム58は、半径方向中間部分が弁用軸受け部材44に向って突出するように湾曲している。この湾曲する部分が余剰部分となっているため、弁体43は、弁用ガイド部材42に対して相対変位することができる。また、弁用ガイド部材42には、弁側間隙56を大気に連通するための大気連通孔42bが形成されている。
【0048】
このように構成される弁体43には、弁側連通路61が形成されている。弁側連通路61は、摺動部43aの軸線方向他方側の端部に第1の開口61aを有し、当接部43dの外周部に第2及び第3の開口61b,61cを夫々有している。弁側連通路61は、これらの第1の開口61aを第2及び第3の開口61b,61cに繋ぎ、弁側背圧力室59と弁通路47の二次側である挿通孔48とを連通している。
【0049】
[流体制御アセンブリの動作]
流体制御アセンブリ20は、ノーマルクローズ型の電磁比例制御弁装置であり、ソレノイドコイル23に電流が流れていない状態では、弁体43が弁座52に着座し、弁通路47が閉じられている。ソレノイドコイル23に電流が流されると、ソレノイドコイル23が励磁する。これにより、ヨーク29が磁化されて可動部材24がヨーク29に吸い寄せられる。可動部材24が吸い寄せられることで弁体43が軸線方向他方側に押される。ソレノイドコイル23に流される電流が所定の電流値以上となる、即ち可動部材24に作用する吸着力が所定値以上になると、弁体43が軸線方向他方側に移動し、弁体43が弁座52から離れる。これにより、塞がれていた弁通路47が開き、一次ポート45から流れる一次圧pの作動流体が弁口51で二次圧pとなり、二次ポート46へと流れる。なお、弁通路47の開度は、ソレノイドコイル23に流す電流に応じて制御される。
【0050】
ソレノイドコイル23に流す電流がなくなると、可動部材24に作用していた吸着力がなくなる。圧縮コイルばね31より弁用圧縮コイルばね55の付勢力の方が大きいため、弁体43及び可動部材24が弁用圧縮コイルばね55により軸線方向一方側に押され、弁体43が弁座52に向かって移動する。やがて、弁体43が弁座52に着座して弁通路47が閉じられると、可動部材24の移動が止まる。
【0051】
[弁体に対する作用力]
制御弁22では、弁体43が弁側圧力室60の作動流体から軸線方向一方および他方に夫々向かう一次圧pを受けている。また、制御弁22では、弁側連通路61により挿通孔48の作動流体が弁側背圧力室59に導かれ、弁側背圧力室59に二次圧pが導かれる。そのため、弁体43は、挿通孔48の作動流体から軸線方向他方の二次圧pを受圧すると共に、弁側背圧力室59の作動流体から軸線方向一方の二次圧pを受圧する。なお、これら一次圧p及び二次圧pは、互いに打ち消し合うように弁体43に作用する。
【0052】
本実施形態では、ばね受け部43bにおいて一次圧pを軸線方向他方に受圧し、弁部43cにおいて一次圧pを軸線方向一方に受圧している。ばね受け部43b及び弁部43cにおいて、一次圧pを夫々受圧する受圧面の有効面積は、弁体43の摺動部43aの外径が弁口51の口径と一致しているため等しくなっている。そのため、互いに打ち消し合い、弁体43が一次圧pから受ける作用力は、略ゼロになる。
【0053】
また、弁体43では、弁部43c及び当接部43dの弁口51に臨む部分によって第1の受圧面P1が構成され、弁体43の軸線方向他方側の端面とダイアフラム58とにより第2の受圧面P2が構成される。それ故、軸線方向一端側にある第1の受圧面P1で二次圧pを軸線方向他方に受圧し、軸線方向他端側にある第2の受圧面P2で二次圧pを軸線方向一方に受圧している。第1の受圧面P1の有効面積A1は、弁口51の口径により規定され、第2の受圧面P2の有効面積A2は、ダイアフラム58の受圧面の有効径により規定される。弁口51の口径及びダイアフラム58の受圧面の有効径は、共にrになっている。即ち、第1及び第2の受圧面P1,P2の有効面積A1,A2は、共にA1=A2=π/4×rになっている。それ故、第1及び第2の受圧面P1,P2で受圧する二次圧pは互いに打ち消し合い、弁体43が二次圧pから受ける作用力は略ゼロになる。なお、弁体43の摺動部43aの軸線方向他方側の端部の外径は、有効径rのダイアフラム58を設けるべく、弁口51の口径rより小径になっている。
【0054】
このように、一次圧p及び二次圧pから弁体43が受ける作用力が略ゼロになるので、小さな駆動力で弁体43を動かすことができるようになり、弁用圧縮コイルばね55の付勢力を小さくすることができ、制御弁22を小形化することができる。また、一次圧p及び二次圧pの圧力変動等の影響を受けることなく、弁体43を精度よく動かすことができ、弁通路47の開度をソレノイド23に流す電流に応じた開度に精度よく調整することができる。これにより、二次ポート46に流れる流量を精度よく調整することができる。
【0055】
[制御弁の作用効果]
このように構成された制御弁22では、弁用軸受け部材44により弁体43が支持されているので、弁体43の動きが円滑になり、弁体43の位置精度及び応答性が向上する。それ故、弁通路47の開度をより精度よく調整することができるようになる。このような作用効果を奏する弁用軸受け部材44の両側には、Oリング57及びダイアフラム58が設けられており、Oリング57及びダイアフラム58により弁側背圧力室59及び弁側圧力室60を流れる作動流体から弁用軸受け部材44が隔離されている。それ故、軸受け部材44が作動流体に曝露されることを防ぐことができる。そうすると、作動流体によって侵食(特に水素では水素脆化)を生じやすいが、摺動抵抗が小さい高硬度材料を弁用軸受け部材44に採用しても、制御弁22の耐久性を低下させることがない。それ故、耐久性を維持しつつ、弁通路47の開度を精度よく調整することができる。
【0056】
また、弁用軸受け部材44を弁側背圧力室59及び弁側圧力室60から隔離することで、弁用軸受け部材44に付着したグリスが作動流体に混入することがない。それ故、軸受け部材44のグリス潤滑が可能となり、このグリス潤滑により弁用軸受け部材44の耐久性を向上させることができる。また、グリス潤滑により弁体の動きがより円滑になり、弁体43の位置精度及び応答性が向上し、弁通路47の開度をより精度よく調整することができる。
【0057】
弁用軸受け部材44を弁側背圧力室59及び弁側圧力室60から隔離する際、Oリング57を弁側圧力室60側に配置することで、一次ポート45に供給される一次圧pが高圧であっても耐え得ることができる。また、弁側背圧力室59に導かれる流体圧は二次圧pであり、一次圧pに比べて低圧であるので、ダイアフラム58であっても耐え得ることができる。ダイアフラム58は、余剰部分を有しているので、ダイアフラム58が変形しやすく、ダイアフラム58が弁体43の摺動変位の妨げとならない。ダイアフラム58を用いることで弁体43との間の摩擦抵抗を抑え、弁体43を円滑に移動させることができる。それ故、ダイアフラム58を設けても弁体43の位置精度及び応答性が著しく低下するということがない。
【0058】
[第2実施形態の制御弁]
図3は、第2実施形態の制御弁22Aを示す断面図である。第2実施形態の制御弁22Aは、第1実施形態の制御弁22と構成が類似している。以下では、第2実施形態の制御弁22Aの構成について、類似する第1実施形態の制御弁22と異なる点についてだけ説明し、同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。第3乃至第9実施形態の制御弁22B〜22Hについても同様である。
【0059】
制御弁22Aは、弁用軸受け部材44の軸線方向一方側(図3において右側)に一次側シール部材であるダイアフラム57Aが設けられ、2つのダイアフラム57A、58によって弁側間隙56の軸線方向両側が塞がれている。以下では、軸線方向一方側に設けられるダイアフラム57Aを一次側ダイアフラム57Aといい、軸線方向他方側に設けられるダイアフラム58を二次側ダイアフラム58という。
【0060】
一次側ダイアフラム57Aは、二次側ダイアフラム58と同じ形状になっており、内縁部分57aが弁体43Aの摺動部43aに固定されている。一次側ダイアフラム57Aと二次側ダイアフラム58の固定方法としては、例えば摺動部43aを3つの分割体にし、第1及び第2の分割体の間に内縁部分57aをいれ、第2及び第3の分割体の間に内縁部分58aを入れる。そして、3つの分割体を締結して分割体により内縁部分57a,58aを挟持して固定する方法がある。一次側ダイアフラム57Aの外縁部57bは、弁用ガイド部材42とばね受け部材54との間に挟まれて固定されている。
【0061】
一次側ダイアフラム57Aは、第3の受圧面P3を有しており、この第3の受圧面P3において、弁側圧力室60の作動流体から一次圧pを軸線方向他方に受圧している。一次側ダイアフラム57Aの受圧面の有効径がrであり、摺動部43aの外径がrである。それ故、第3の受圧面P3の有効面積A3は、π/4×(r2―)になる。摺動部43aの外径がrになっているため、弁体43Aが受圧する一次圧pを全て打ち消すことができない。それ故、ばね受け部43bにある第4の受圧面P4において、前記一次圧pを軸線方向一方に受圧する。この第4の受圧面P4の有効面積A4は、π/4×(r2―)であり、第3の受圧面P3の有効面積A3と一致している。それ故、一次側シール部材として一次側ダイアフラム57Aを用いても、第3の受圧面P3で受圧する一次圧pを第4の受圧面P4で受圧する一次圧pにより完全に打ち消すことができ、一次側ダイアフラム57Aで受圧する一次圧pの圧力変動の影響を受けないようにすることができる。これにより、弁通路47の開度を精度よく調整することができる。従って、制御弁22Aは、第1の実施形態の制御弁22と同様に、二次ポート46に流れる流量をソレノイド23に流す電流に応じた流量に精度よく調整することができる。
【0062】
[第3実施形態の制御弁]
図4は、第3実施形態の制御弁22Bを示す断面図である。制御弁22Bは、弁用軸受け部材44の軸線方向他方側(図4において左側)に二次側シール部材であるOリング58Bが設けられ、2つのOリング57、58Bによって弁側間隙56の軸線方向両側が塞がれている。以下では、軸線方向一方側に設けられるOリング57を一次側Oリング57といい、軸線方向他方側に設けられるOリング58Bを二次側Oリング58Bという。
【0063】
二次側Oリング58Bは、一次側Oリング57と同じ形状になっている。この二次側Oリング58Bを配置すべく、弁用ガイド部材42Bの内壁の軸線方向他方側には、凸部42dが形成されている。凸部42dの内周部には、Oリング用溝42eが形成されている。このOリング用溝42eは、凸部42aの周方向全周にわたって延在しており、そこには、二次側Oリング58Bが嵌合されている。二次側Oリング58Bは、弁体43Bの摺動部43aに摺動可能に当接しており、弁体43Bが静止状態及び移動状態のどちらの状態であっても弁体43Bと弁用ガイド部材42Bとの間をシールし、弁用軸受け部材44の軸線方向他方側を二次側Oリング58Bによって塞いでいる。なお、Oリング用溝42eは、弁体43の外周部に形成しても、同様の効果を得ることができる。
【0064】
制御弁22Bでは、弁体43Bの摺動部43aの軸線方向他端面が第2の受圧面P2をなしている。弁体43Bの外径は、弁口51の口径と同じくrになっており、第2の受圧面P2の有効面積A2は、第1の受圧面P1の有効面積A1と等しく、A2=A1=π/4×rになっている。なお、二次側Oリング58Bが二次圧pを受圧する受圧面は、第1の受圧面P1に含まれない。
【0065】
このように、第1及び第2の受圧面P1,P2の有効面積が一致しているため、各受圧面P1,P2で受圧する二次圧pが互いに打ち消しあい、二次圧pから弁体43が受ける作用力は、略ゼロになる。従って、制御弁22Bは、第1実施形態の制御弁22と同様に、弁通路47の開度を精度よく調整できる。即ち、二次ポート46に流れる流量をソレノイド23に流す電流に応じた流量に精度よく調整することができる。制御弁22Bは、その他、第1実施形態の制御弁22と同様の作用効果を奏する。
【0066】
[第4実施形態の制御弁]
図5は、第4実施形態の制御弁22Cを示す断面図である。制御弁22Cでは、第3実施形態の制御弁22Bと同様に弁体43Bの摺動部43aの外径が弁口51の口径と同じくrになっている。また、ダイアフラム58Cの外径が弁口51の口径rより大きいrになっている。それ故、第2の受圧面P2の有効面積A2が第1の受圧面P1の有効面積A1より大きくなっており、A1<A2=π/4×rとなる。これにより、弁体43に軸線方向一方の作用力を作用させることができ、弁用圧縮コイルばね55の付勢力を小さくすることができる。それ故、弁用圧縮コイルばね55を小さくすることができ、制御弁22Cの小型化を図ることができる。ところで、この軸線方向一方の作用力は、第1及び第2の受圧面P1,P2の面積差A2−A1に二次圧pを乗じたものである。この意味するところは、ソレノイド23に流す電流に応じた二次圧pを制御できるということである。つまり、制御弁22Cは、ノーマルクローズ形の電磁式減圧弁となる。
【0067】
[第5実施形態の制御弁]
図6は、第5実施形態の制御弁22Dを示す断面図である。制御弁22Dは、第2実施形態の制御弁22Aに類似している。制御弁22Dでは、第4実施形態の制御弁22Cと同様に二次側ダイアフラム58Cの有効径が半径rとなっており、それに伴って、弁側蓋体53の内径及び弁用ガイド部材42の軸線方向他端側(図9の左端側)の内径が大きくなっている。制御弁22Dは、制御弁22Cと同様、ノーマルクローズ形の電磁式減圧弁であり、作用効果は、第4実施形態の制御弁22Cと同様である。
【0068】
[第6実施形態の制御弁]
図7は、第6実施形態の制御弁22Eを示す断面図である。制御弁22Eは、第3実施形態の制御弁22Bに類似している。制御弁22Eでは、弁体43E
の摺動部43aの軸線方向他方側の外径rが残余部分の外径rよりも大きくなっている。制御弁22Eは、制御弁22Cと同様に、ノーマルクローズ形の電磁式減圧弁であり、作用効果は、第4実施形態の制御弁22Cと同様である。
【0069】
[第7〜9実施形態の制御弁]
図8〜10は、第7〜9実施形態の制御弁22F〜22Hを示す断面図である。制御弁22F〜22Hの構成は、第1、第2及び第3実施形態の制御弁22,22A,22Bの構成に夫々類似しており、弁用軸受け部材44に代えて弁用すべり軸受け部材101が設けられている点が異なる。弁用すべり軸受け部材101は、所謂すべり軸受けである。弁用すべり軸受け部材101は、円環状に形成されており、弁体43に外装された状態で弁体43と弁用ガイド部材42との間に介在している。弁用すべり軸受け部材101は、グリス潤滑され、弁用ガイド部材42に形成される凸部42aにより軸線方向他方への移動が阻止されている。
【0070】
このように配置される弁用すべり軸受け部材101は、弁体43と弁用ガイド部材42との摩擦力を低減し、弁体43の摺動変位を円滑にしている。制御弁22F〜22Hは、その他、第1、第2及び第3実施形態の制御弁22,22A,22B等と同様の作用効果を奏する。
【0071】
また、本実施形態の制御弁22〜22Hは、電磁比例制御弁であるが、弁通路47の開度及び二次圧pが電流値に比例しない電磁切換弁、電磁開閉弁であっても適用することができる。
【0072】
なお、第1乃至第9実施形態では、制御弁22〜22Hを駆動する装置としてソレノイド21を挙げているが、必ずしもソレノイド21に限られない。例えば、フォースモータであってもよく、弁体43を直線運動させることができる電気駆動装置であればよい。
【0073】
なお、本発明は、実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ガイドに弁体が挿入され、前記ガイドと前記弁体との間に軸受け部材が介在する制御弁に適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
22〜22H 制御弁
42,42B 弁用ガイド部材
43,43A,43B,43E 弁体
44 弁用軸受け部材
47 弁通路
55 弁用圧縮コイルばね
57 Oリング
57A ダイアフラム
58 ダイアフラム
58B Oリング
58C ダイアフラム
59 弁側背圧力室
60 弁側圧力室
61 弁側連通路
101 弁用軸受け部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食性作動流体が流れる弁通路を有し、ガイドに挿入される弁体を動かすことで前記弁通路を開閉する制御弁であって、
前記弁体は、第1の受圧面で前記弁通路の二次圧を受圧し、該弁体に形成された弁側連通路により前記弁通路から弁側背圧力室に導かれた二次圧を第2の受圧面で受圧し、前記第1及び第2の受圧面で受圧する二次圧が互いに抗するようになっており、
前記弁体と前記ガイドとの間には、軸受け部材が介在し、
前記軸受け部材の両側には、該軸受け部材と前記弁通路の一次側とを隔離する一次側シール部材と、該軸受け部材と前記背圧力室とを隔離する二次側シール部材とが夫々設けられていることを特徴とする制御弁。
【請求項2】
前記第1及び第2の受圧面は、それらの有効面積が等しくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記弁体は、付勢部材により押されることで前記弁通路を閉じるようになっており、
前記第1の受圧面は、そこで受圧する二次圧が前記付勢部材の付勢力に抗し、且つその有効面積が前記第2の受圧面の有効面積より小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項4】
前記二次側シール部材は、前記弁体の他端と共に第2の受圧面を構成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の制御弁。
【請求項5】
前記一次側シール部材は、Oリングであり、
前記二次側シール部材は、ダイアフラムであることを特徴とする請求項4に記載の制御弁。
【請求項6】
前記一次側シール部材は、前記弁通路の一次側の一次圧を受圧する第3の受圧面を構成し、
前記弁体は、前記第3の受圧面で受圧する一次圧に抗するように一次圧を受圧する第4の受圧面を有し、
前記第3及び4の受圧面の有効面積は、等しくなっていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の制御弁。
【請求項7】
前記一次側及び二次側シール部材は、ダイアフラムであることを特徴とする請求項6に記載の制御弁。
【請求項8】
前記一次側及び二次側シール部材は、Oリングであることを特徴とする請求項1乃至3に記載の制御弁。
【請求項9】
前記軸受け部材は、転がり軸受け部材であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1つに記載の制御弁。
【請求項10】
前記軸受け部材は、グリス潤滑されていることを特徴とする請求項9に記載の制御弁。
【請求項11】
前記軸受け部材は、すべり軸受け部材であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1つに記載の制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−52751(P2011−52751A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201982(P2009−201982)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(592216188)株式会社カワサキプレシジョンマシナリ (67)
【Fターム(参考)】