説明

制振ワッシャ

【課題】弾性率選定等の設計自由度が広く、インジェクターの支持部のように繰り返し振動荷重が負荷される部分での応用適性に優れた制振ワッシャを提供する。
【解決手段】荷重が負荷される2つの部材1,2の対向する2平面1b,2a間に挟装される制振ワッシャ3であって、環状に形成されたコイルスプリング4とゴム又は樹脂からなる制振基材層5とを一体とした環状複合体6からなり、上記コイルスプリング4は、その巻き径が環状複合体の周方向に沿って大小交互に繰り返すものとされ、巻き径の大径部分4aではその外径面が制振基材層5より露出乃至は制振基材層5の薄膜で覆われ、巻き径の小径部分4bは制振基材層内に埋入するよう構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エンジン等の内燃機関における直噴式の燃料噴射装置(インジェクター)をシリンダヘッドにおいて支持する部分に挟装される制振ワッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用エンジンにおいては、ロッカーカバーやオイルパン等のカバー部材のシリンダヘッド或いはシリンダブロックに対するボルトによる取付部にシールワッシャが挟装される。また、シリンダヘッドにインジェクターをその燃料噴射口が燃焼室に臨むよう支持し、この支持部分には燃焼ガスの外部への漏出を防止するシールワッシャが挟装される。これらのシールワッシャは、挟装部をシールすると共に、防音防振効果が期待されるものであり、特許文献1及び特許文献2には、このようなシール部材としてのシールワッシャが開示されている。特許文献1及び特許文献2に開示されたシールワッシャは、いずれも金属製のバネ性芯材にゴム等の弾性材を一体としたものであり、長期にわたりシール性及び防振性を維持し得るものである。特に、特許文献2のシールワッシャは、エンジンヘッド部の2平面間の隙間に挟装されるもので、インジェクター自体が燃焼圧の影響で軸方向上下に振動することによる上記隙間の広狭変動に対する追随性を維持し、長期間にわたりシールできるものとされている。
【0003】
また、特許文献3には、金網の空隙をゴムで充填した複合材料シートからなるインジェクター用ガスケットが開示されている。更に、特許文献4には、エンドレスト化した金属コイルスプリングの外周にエラストマーをライニングしてなるOリングが開示されている。
【特許文献1】実開昭63−158615号公報
【特許文献2】特開2004−36775号公報
【特許文献3】特開2006−71023号公報
【特許文献4】実開昭63−119965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2のシールワッシャは、シール部(リップ部)のつぶし代範囲とバネ性芯材(ワッシャ座金)のU字状曲折部とにより上記隙間の広狭変動に追随させんとするもので、その変形幅が大きいことから、隙間の広狭変動が大きくてもシール性の維持が図られる。而して、これらの場合、荷重を受ける部分にゴムが介在する為、ゴムのへたりが発生し軸力の低下が起こる。また、特許文献3に開示されたインジェクター用ガスケットは、ゴムが金網の空隙に充填されるから、金網の担持力によりそのへたりが抑えられるが、荷重方向に対する金網の弾性範囲が狭く制振機能を高めるには、上記シートを複数枚重ねることが必要となる。
【0005】
そこで、特許文献4に開示されるように、エンドレス化した金属コイルスプリングとエラストマーとを一体としたOリングを、インジェクターの支持部に応用することも試みられている。このようなOリングをインジェクターの支持部に応用した場合、金属コイルスプリングに対しその巻き心に直交する方向より荷重が負荷されることになるから、金属コイルスプリングが巻き方向に変形し、その復元弾力が常時作用して荷重が負荷される2平面が高面圧に維持される。また、エラストマー自体にはそのへたりを助長するような力が軽減される。従って、制振機能とシール機能との持続性が図られ、その実用化が期待されるところであった。
【0006】
上記のように、金属コイルスプリングとエラストマーとを複合したOリングは、インジェクターの支持部のように繰り返し振動荷重が負荷される部分の制振ワッシャとしての応用が期待されるが、その制振機能等は、コイルスプリングの仕様(線径、巻径、巻きピッチ等)に大きく依存する為、その弾性率選定等の設計自由度が狭く、上記のような制振ワッシャへの応用には、一層の改善が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記のような実情に鑑みなされたもので、弾性率選定等の設計自由度が広く、インジェクターの支持部のように繰り返し振動荷重が負荷される部分での応用適性に優れた制振ワッシャを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る制振ワッシャは、荷重が負荷される2つの部材の対向する2平面間に挟装される制振ワッシャであって、環状に形成されたコイルスプリングとゴム又は樹脂からなる制振基材層とを一体とした環状複合体からなり、上記コイルスプリングは、その巻き径が環状複合体の周方向に沿って大小交互に繰り返すものとされ、巻き径の大径部分ではその外径面が制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、巻き径の小径部分では制振基材層内に埋入するよう構成されていることを特徴とする。この場合、前記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位には金属製リング部材が一体とされているものとすることができる。
【0009】
第2の発明に係る制振ワッシャは、荷重が負荷される2つの部材の対向する2平面間に挟装される制振ワッシャであって、環状に形成されたコイルスプリングとゴム又は樹脂からなる制振基材層とを一体とした環状複合体からなり、上記コイルスプリングは、その外径面の一部が制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、上記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位には金属製リング部材が一体とされ、該金属製リング部材にはその周方向に沿って複数の切欠又は凹部が隔設され、この切欠又は凹部内に上記制振基材層の一部が係入していることを特徴とする。
【0010】
第3の発明に係る制振ワッシャは、荷重が負荷される2つの部材の対向する2平面間に挟装される制振ワッシャであって、巻き径が大きく巻きピッチが疎な第1コイルスプリングに、巻き径が小さく巻きピッチが密な第2コイルスプリングを同心的に嵌挿して複合コイルスプリングとなし、この複合コイルスプリングを環状に形成しゴム又は樹脂からなる制振基材層と一体として環状複合体となし、上記第1コイルスプリングの外径面は制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、且つ上記第2コイルスプリングは制振基材層内に埋入するよう構成されていることを特徴とする。この場合、前記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位には金属製リング部材が一体とされているものとすることができる。また、前記第1及び第2のコイルスプリングは巻き方向が互いに異なるものであることが望ましい。
【0011】
第4の発明に係る制振ワッシャは、荷重が負荷される2つの部材の対向する2平面間に挟装される制振ワッシャであって、環状に形成され環状径が異なる複数のコイルスプリングを同心的に配し、このコイルスプリングをゴム又は樹脂からなる制振基材層と一体として環状複合体となし、当該環状複合体は、上記コイルスプリングの巻き径が大きい部分と巻き径が小さな部分を含み、巻き径の大径部分ではその外径面が制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、巻き径の小径部分では制振基材層内に埋入するよう構成されていることを特徴とする。この場合、前記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位には金属製リング部材が一体とされているものとすることができる。また、前記複数のコイルスプリングにおける隣合うコイルスプリングの巻き方向が互いに異なるものであることが望ましい。
【0012】
そして、上記いずれかの発明において、前記環状複合体の内周部に、前記制振基材層によるグロメット部が形成されているものとしても良い。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係る制振ワッシャは、インジェクターのような振動する装置を支持する部位、即ち、荷重が負荷される2つの部材の対向する2平面間にこれを挟装するよう用いれば、コイルスプリングとこれに一体とされたゴム又は樹脂からなる制振基材層との相乗作用によって、振動が吸収され、振動による異音発生が抑制される。また、コイルスプリングと制振基材層とが相乗したゴム弾性又は樹脂特有の弾性作用により、挟装時の2平面間の相互の面圧が発現し、そのシール性が得られる。しかも、コイルスプリングは、その巻き径が環状複合体の周方向に沿って大小交互に繰り返すものとされ、コイルスプリングの巻き径の大径部分では、その外径面が制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、コイルスプリングの巻き径の小径部分では制振基材層内に埋入するよう構成されているから、上記荷重のコイルスプリングに負荷される割合が大きく、制振基材層のへたりが大幅に軽減され、長く振動吸収機能及びシール性が維持される。そして、コイルスプリングの大径部分及び小径部分の比率を変えることにより、制振基材層内に埋入される部分の比率を変えることができる。これにより、コイルスプリングと制振基材層とが複合した環状複合体の弾性率(ばね定数)の適宜選定が可能となり、設計自由度が広がり、インジェクターの支持部のように振動荷重の負荷態様が多様な部分での応用適性が増大する。
【0014】
この場合、前記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位に金属製リング部材を一体としたものとすれば、荷重負荷時におけるコイルスプリングの倒れ、捩れ、圧潰が生じにくくなり、耐荷重性が向上し、高い反発力により高周波域での振動にも優れた制振性が得られる。
【0015】
第2の発明に係る制振ワッシャは、第1の発明における巻き径が環状複合体の周方向に沿って大小交互に繰り返すコイルスプリングに代え、巻き径がその長手方向に亘り等径のコイルスプリングを用い、上記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位に一体とされた金属製リング部材に、その周方向に沿って複数の切欠又は凹部を隔設し、この切欠又は凹部内に上記制振基材層の一部が係入するようにしたものである。従って、切欠又は凹部の形成個数或いは大きさを変えることにより、上記と同様に、コイルスプリングと制振基材層とが複合した環状複合体の弾性率(ばね定数)の適宜選定が可能となり、設計自由度が広がり、インジェクターの支持部のように振動荷重の負荷態様が多様な部分での応用適性が増大する。コイルスプリングと制振基材層とを複合したことによる作用・効果は上記と同様である。また、金属製リング部材を環状複合体に一体としたことによって、耐荷重性が向上し、高い反発力により高周波域での振動にも優れた制振性が得られる点も上記と同様である。
【0016】
第3の発明に係る制振ワッシャは、第1の発明における巻き径が環状複合体の周方向に沿って大小交互に繰り返すコイルスプリングに代え、巻き径が大きく巻きピッチが疎な第1コイルスプリングに、巻き径が小さく巻きピッチが密な第2コイルスプリングを同心的に嵌挿した複合コイルスプリングを用い、この複合コイルスプリングを環状に形成し制振基材層と一体とし、第1コイルスプリングの外径面は制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、且つ第2コイルスプリングは制振基材層内に埋入するようにしたものである。従って、第1コイルスプリング及び第2コイルスプリングの巻きピッチを変えることにより、上記と同様に、コイルスプリングと制振基材層とが複合した環状複合体の弾性率(ばね定数)の適宜選定が可能となり、設計自由度が広がり、インジェクターの支持部のように振動荷重の負荷態様が多様な部分での応用適性が増大する。コイルスプリングと制振基材層とを複合したことによる作用・効果は上記と同様である。
【0017】
この場合にも、前記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位には金属製リング部材を一体とすれば、耐荷重性が向上し、高い反発力により高周波域での振動にも優れた制振性が得られる。また、前記第1及び第2のコイルスプリングの巻き方向が互いに異なるものとすれば、2つのコイルスプリング同士の噛み合いを抑制し、形状保持性が良く制振基材層との複合した弾性特性が維持される。
【0018】
第4の発明に係る制振ワッシャは、第1の発明における巻き径が環状複合体の周方向に沿って大小交互に繰り返すコイルスプリングに代え、環状に形成され環状径が異なる複数のコイルスプリングを同心的に配したものとし、このコイルスプリングを制振基材層と一体とした環状複合体が、コイルスプリングの巻き径が大きい部分と巻き径が小さな部分を含み、巻き径の大径部分ではその外径面が制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、巻き径の小径部分では制振基材層内に埋入するようにしたものである。ここに、巻き径が大きい部分と巻き径が小さな部分は、各コイルスプリングとして環状複合体の周方向に沿って大小交互に繰り返すものを用いる場合の他、隣合うコイルスプリングの巻き径が異なるものを用いることにより形成される。従って、この巻き径が大きい部分と巻き径が小さな部分の適宜比率を変えることにより、上記と同様に、コイルスプリングと制振基材層とが複合した環状複合体の弾性率(ばね定数)の適宜選定が可能となり、設計自由度が広がり、インジェクターの支持部のように振動荷重の負荷態様が多様な部分での応用適性が増大する。コイルスプリングと制振基材層とを複合したことによる作用・効果は上記と同様である。
【0019】
この場合にも、前記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位には金属製リング部材を一体とすれば、耐荷重性が向上し、高い反発力により高周波域での振動にも優れた制振性が得られる。また、複数のコイルスプリングにおける隣合うコイルスプリングの巻き方向が互いに異なるものとすれば、隣合うコイルスプリング同士の噛み合いを抑制し、形状保持性が良く制振基材層との複合した弾性特性が維持される。
【0020】
上記いずれかの発明において、前記環状複合体の内周部に、前記制振基材層によるグロメット部が形成されているものとすれば、荷重が負荷される2つの部材の対向する2平面間に挟装した場合、このグロメット部の圧縮弾性変形により、シール性がより向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1発明に係る制振ワッシャの一実施形態を示す部分破断平面図、図2は図1におけるX−X線矢視断面図、図3は同制振ワッシャを介してシリンダヘッドにインジェクターを支持させた状態を示す縦断面図、図4は本発明の第2発明に係る制振ワッシャの一実施形態を示す図2と同様図、図5は同制振ワッシャの他の実施形態を示し、(a)は制振基材層の図示を省略した縦断正面図、(b)は同実施形態に用いられる金属製リング部材の展開図、図6は同制振ワッシャの他の実施形態の制振基材層の図示を省略した部分破断正面図、図7は同制振ワッシャの他の実施形態の制振基材層の図示を省略した部分破断斜視図、図8は本発明の第3発明に係る制振ワッシャの一実施形態の制振基材層の図示を省略した縦断正面図、図9は本発明の第4発明に係る制振ワッシャの一実施形態の図2と同様図、図10は同制振ワッシャの他の実施形態の図2と同様図である。
【0022】
図3は、エンジン等の内燃機関のシリンダヘッド1に、本発明の制振ワッシャ3を介してインジェクター2を支持した状態を示し、白抜矢示方向先側が燃料の噴射口であり、この噴射口が燃焼室(不図示)に臨むものである。尚、インジェクター2の内部には、燃料の流通管路等が形成されるが、図では便宜上この図示を省略している。インジェクター2は途中に段差部2aを有する円柱形であり、シリンダヘッド1に形成された支持孔1aに挿入され、支持孔1a周囲の肩部1bに制振ワッシャ3を介して段差部2aを担持させることによりシリンダヘッド1に支持される。従って、肩部1bと、段差部2aとが、制振ワッシャ3が挟装される2つの部材(シリンダヘッド1及びインジェクター2)の対向する2平面とされる。
【0023】
インジェクター2は、燃料噴射時には、その噴射動作に伴い白抜矢示方向及びその反方向に振動を繰り返す。従って、上記2平面1b、2a間では、その振動に伴う衝撃音が発生し、エンジン駆動時の騒音の一因となる。然るに、この2平面1b、2a間には、制振ワッシャ3が挟装されるから、制振ワッシャ3によってその振動が抑えられ、騒音の発生が抑制される。この制振ワッシャ3の構成について、以下にその詳細を述べる。
【0024】
図1乃至図3に示すように、本実施形態の制振ワッシャ3は、環状に形成されたコイルスプリング4とゴム又は樹脂からなる制振基材層5とを一体とした環状複合体6と、この環状複合体6の前記2平面1b、2aに対面する部位(荷重が負荷される部位)に一体とされた円環状金属板(金属製リング部材)7とよりなる。環状複合体6の内周部には、制振基材層5によるグロメット部5aが厚み方向両側(前記2平面1b、2a側)に突出する山形ビード状に形成されている。上記コイルスプリング4は、その巻き径が環状複合体6の周方向に沿って大小交互に繰り返すものとされ、巻き径の大径部分4aでは、少なくとも上記2平面1b、2aに対面する側の外径面が制振基材層5より露出乃至は制振基材層5の薄膜で覆われ、巻き径の小径部分4bでは制振基材層5内に埋入するよう構成されている。大径部分4aは2平面1b、2aに対面する側の外径面が制振基材層5より露出乃至は制振基材層5の薄膜で覆われているから、環状複合体6に一体とされた円環状金属板7と直接若しくは制振基材層5の薄膜を介して接し、この部分ではコイルスプリング4に対して負荷される荷重の割合が大きくなる。また、小径部分4bは制振基材層5内に埋入した状態であるから、コイルスプリング4に対する荷重の負荷は制振基材層5を介してなされる。
【0025】
本発明において、制振基材層5を構成するゴム又は樹脂としては、ゴム状の弾性体を意味する広義のエラストマー(ゴム及び熱可塑性エラストマーが含まれる)や樹脂が対象とされる。ゴムとしては、FKM、NBR、H−NBR、EPDM、CR、ACM、AEM、VMQ及びFVMQ等のゴム材が用いられる。また、熱可塑性エラストマー(以下、TPEという)としては、塩素化ポリエチレン系TPE、官能基付与型スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、ランダムタイプの水素添加型スチレン−ブタジエンコポリマー、イソブラント化ポリオレフィン系TPE、シンジオタクチック−1,2ポリブタジエン系TPE、スチレン系TPE、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー、ブレンド型ポリオレフィン系TPE、ポリアミド系TPE、ポリエステル系TPE、トランス−1,4ポリイソプレン系TPE、天然ゴム系TPE、ポリオレフィン系TPE、ポリウレタン系TPE、動的加硫型ポリオレフィン系TPE、ポリ塩化ビニル系TPE等のTPE材が用いられる。更に、樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン;テフロン樹脂(登録商標))、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエチレンエーテルケトン)、PA(ナイロン;ポリアミド)等の樹脂材が用いられる。制振基材層5は、これらのゴム材、TPE材或いは樹脂材をベースとして形成され、環状に形成された上記コイルスプリング4及び円環状金属板7を所定の金型(不図示)内に配し、未加硫或いは未硬化の上記ゴム材、TPE材或いは樹脂材を金型のキャビティ内に注入して加硫或いは硬化させることにより、環状複合体6と円環状金属板7とが一体とされた制振ワッシャ3が得られる。
【0026】
上記制振ワッシャ3は、図3に示すように、エンジン等の内燃機関のシリンダヘッド1にインジェクター2を支持する部位に挟装される。この挟装状態ではグロメット部5aが圧縮弾性変形(図3の拡大部分参照)し、その復元弾力に伴う弾性面圧によって、支持孔1a内の燃焼ガスの漏出が阻止される。また、インジェクター2の噴射動作に伴う白抜矢示方向の振動荷重は、円環状金属板7を介して環状複合体6に負荷される。従って、円環状金属板7に荷重が直接負荷されることになるから、耐荷重が大となる。また、この負荷は、コルスプリング4の巻き径方向及び制振基材層5の厚み方向に作用し、その複合した弾性によって吸収され、振動が抑えられて騒音の発生が抑制される。特に、環状複合体6は、コイルスプリング4の巻き径方向の弾性と制振基材層5の厚み方向の弾性とが複合した弾性を発現するから、コイルスプリング4のみに依存しないばね定数の小さな構造の弾性体とされる。
【0027】
環状複合体6は、コイルスプリング4と制振基材層5との一体化により、安定な変形が得られ、ゴム状弾性或いは樹脂特有の弾性と減衰性とが相乗し優れた制振効果を発揮する。また、ゴム材ゴム材、TPE材或いは樹脂材の使用により、シール機能の為のグロメット部5aの形成が容易であり、図3に示すようなインジェクター2の支持部に用いれば、支持孔1aからの燃焼ガスの漏出阻止も確実になされる。また、円環状金属板7との組合せ構造とすることにより、コイルスプリング4は安定して撓み、倒れ難い構造となる。そして、コイルスプリング4の復元弾力により、制振基材層5のへたりが抑えられるから、長く振動吸収機能及びシール性が維持される。しかも、コイルスプリング4は、巻き径の大径部分4aと巻き径の小径部分4bとが、環状複合体6の周方向に交互に繰り返すものとされているから、コイルスプリング4の一部のみが荷重を受ける構造となり、これによって、環状複合体6のばね定数の設定がし易く、使用条件に応じた設計自由度が広くなる。また、大径部分4aが制振基材層5より露出乃至は制振基材層5の薄膜で覆われるよう構成されるから、この大径部分4aにより荷重の多くを受けることになり、制振基材層5のへたり抑止効果が助長される。
【0028】
図4乃至図7は、本発明の第2発明に係る制振ワッシャの実施形態を示す。図4の制振ワッシャ3Aにおいては、環状に形成されたコイルスプリング4Aの巻き径が周方向に亘り等径とされ、このコイルスプリング4Aと上記と同様の制振基材層5とが一体とされてなる環状複合体6のコイルスプリング4Aは、少なくとも前記2平面1b、2aに対面する側の外径面が制振基材層5より露出乃至は制振基材層5の薄膜で覆われる。そして、環状複合体6の2平面1b、2aに対面する部位には一対の円環状金属板(金属製リング部材)8が一体とされ、該円環状金属板8の環状複合体6側の面にはその周方向に沿って複数の凹部8aが隔設され、この凹部8a内に上記制振基材層5の一部が係入し、この部分ではコイルスプリング4Aの外径面が係入した制振基材層5により覆われている。
【0029】
このような構成の制振ワッシャ3Aを、図3に示すように、シリンダヘッド1に対するインジェクター2の支持部に挟装状態で用いた場合、上記同様環状複合体6の特有の弾性特性により、振動荷重を吸収し、優れた制振効果が発揮される。また、コイルスプリング4Aと制振基材層5とを複合したことにより、制振基材層5のへたりが抑えられ、長期的な弾性特性が維持される。更に、円環状金属板8が一体とされていることにより、上記と同様の効果が得られる。そして、この実施形態では、円環状金属板8にはその周方向に沿って複数の凹部8aが隔設され、この凹部8a内に上記制振基材層5の一部が係入してこの部分のコイルスプリング4Aの外径面が制振基材層5によって覆われるから、コイルスプリング4Aには、円環状金属板8を介して荷重が直接負荷される部分と、係入した制振基材層5によって荷重が直接負荷されない部分とが存在することになる。従って、この凹部8aの大きさ、個数等を適宜設定することにより、使用条件に応じた環状複合体6のばね定数の設定が任意になされ、設計自由度が広げられる。
【0030】
図5は、第2発明の制振ワッシャ3Aの別の実施形態を示し、上記一対の円環状金属板8に代え、櫛歯状の金属製リング部材8Aを用いた点で異なる。この金属製リング部材8Aは、図5(b)の展開図で示すように、帯状金属板の幅方向両側より複数の切欠8Aaを略等間隔で形成し、幅方向両側に延びる複数の櫛歯状爪片部8Abを長手方向に沿って両側に並設したものである。この金属製リング部材8Aを環状にし、環状に形成されたコイルスプリング4Aの内周部に沿うよう配し、各爪片部8Abを環状コイルスプリング4Aの外周部側に折り曲げ、その外径面を包持するよう加締加工してコイルスプリング4Aと金属製リング部材8Aとを一体化する。これを所定の金型内に配置し、未加硫或いは未硬化の上記ゴム材、TPE材或いは樹脂材を注入し加硫或いは硬化一体として制振基材層を形成する。図5(a)ではこの制振基材層の図示を省略している。
【0031】
この実施形態の場合、図3のような使用状態では、切欠8Aaが上記2平面1b、2aに対面する部位に位置し、且つこの切欠8Aa内に制振基材層の一部が係入する状態となり、これにより、コイルスプリング4Aには、金属製リング部材8Aの爪片部8Abを介して荷重が直接負荷される部分と、係入した制振基材層によって荷重が直接負荷されない部分とが存在することになる。従って、この切欠8Aaの大きさ、個数等を適宜設定することにより、上記同様使用条件に応じた環状複合体6のばね定数の設定が任意になされ、設計自由度が広げられる。
【0032】
図6に示す例は、帯状金属板の幅方向片側より複数の切欠8Baを略等間隔で形成し、幅方向片側に延びる複数の櫛歯状爪片部8Bbを長手方向に沿って片側に並設した櫛歯状の金属製リング部材8Bを用いた点で図5の例と異なる。この例では、上記のように複数の切欠8Ba及び櫛歯状爪片部8Bbを有する金属製リング部材8Bを、環状に形成されたコイルスプリング4Aの外周部に沿うよう環状にし、爪片部8Bbを含む上下片部を内周部側に折り曲げ、コイルスプリング4Aの外径面を包持するよう加締加工してコイルスプリング4Aと金属製リング部材8Bとを一体化する。これを所定の金型内に配置し、未加硫或いは未硬化の上記ゴム材、TPE材或いは樹脂材を注入し加硫或いは硬化一体として制振基材層を形成する。図6ではこの制振基材層の図示を省略している。
【0033】
この実施形態の場合、図3のような使用状態では、切欠8Baが上記2平面1b、2aの内のインジェクター2の段差面2aに対面する部位に位置し、且つこの切欠8Ba内に制振基材層の一部が係入する状態となり、これにより、コイルスプリング4Aには、金属製リング部材8Bの爪片部8Bbを介して荷重が直接負荷される部分と、係入した制振基材層によって荷重が直接負荷されない部分とが存在することになる。従って、この場合も、切欠8Baの大きさ、個数等を適宜設定することにより、上記同様使用条件に応じた環状複合体6のばね定数の設定が任意になされ、設計自由度が広げられる。
【0034】
図7に示す例は、内径がコイルスプリング4Aの外径に略等しい断面半円形の山形部8Caを長手方向に沿って有し、この山形部8Caに複数の切欠孔8Cbを周方向に略等間隔で形成した2個の金属製リング部材8Cを用いた点で、図5及び図6の例と異なる。この例では、上記のように山形部8Ca及び複数の切欠孔8Cbを有する2個の金属製リング部材8Cを、環状に形成されたコイルスプリング4Aの上下に配し、山形部8Caの内径面でコイルスプリング4Aの外径面を包持するよう加締合体させることによって、コイルスプリング4Aと2個の金属製リング部材8Cとを一体とさせる。これを所定の金型内に配置し、未加硫或いは未硬化の上記ゴム材、TPE材或いは樹脂材を注入し加硫或いは硬化一体として制振基材層を形成する。図7ではこの制振基材層の図示を省略している。
【0035】
この実施形態の場合、図3のような使用状態では、切欠孔8Cbが上記2平面1b、2aに対面する部位に位置し、且つこの切欠孔8Cb内に制振基材層の一部が係入する状態となり、これにより、コイルスプリング4Aには、金属製リング部材8Cの山形部8Caを介して荷重が直接負荷される部分と、係入した制振基材層によって荷重が直接負荷されない部分とが存在することになる。従って、この場合も、切欠孔8Cbの大きさ、個数等を適宜設定することにより、上記同様使用条件に応じた環状複合体6のばね定数の設定が任意になされ、設計自由度が広げられる。また、山形部8Caはビード部のように作用し、荷重が負荷された状態では、コイルスプリング4A及び制振基材層と共に圧縮弾性変形し、前記2平面1b、2aとの間で面圧が高く維持され、ばね性が更に付与される。
尚、第2発明に係る上記各実施形態におけるその他の構成及び作用・効果は上記と同様であるので、共通部分に同一の符号を付し、その説明を割愛する。
【0036】
図8は、本発明の第3発明に係る制振ワッシャの実施形態を示す。図示の制振ワッシャ3Bは、巻き径が大きく巻きピッチが疎な第1コイルスプリング4Bに、巻き径が小さく巻きピッチが密な第2コイルスプリング4Cを同心的に嵌挿して複合コイルスプリング40となし、この複合コイルスプリング40を環状に形成し上記同様の制振基材層(図8では制振基材層の図示を省略している)と一体として環状複合体6となし、上記第1コイルスプリング4Bの少なくとも前記2平面1b,2aに対面する側の外径面は制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、且つ上記第2コイルスプリング4Cは制振基材層内に埋入するよう構成されているものである。環状複合体6の上下両面には、第1発明の実施形態(図1乃至図3)と同様に、円環状金属板(金属製リング部材)7が一体とされている。従って、第1コイルスプリング4Bの外径面が円環状金属板7に略接する状態とされ、円環状金属板7と第2コイルスプリング4Cの外径面との間の空域には、制振基材層の一部が係入された状態となる。両コイルスプリング4B、4Cは、その巻き方向が互いに逆とされ、これによって、巻き線の相互の噛み合いを抑え、また倒れ方向をバランスさせて倒れ難くしている。
【0037】
この第3発明に係る実施形態の制振ワッシャ3Bを、図3のようなインジェクター2の支持部に使用した場合、円環状金属板7を介して荷重が負荷される第1コイルスプリング4Bの外径面に直接荷重が負荷される部分と、円環状金属板7と第2コイルスプリング4Cの外径面との間の空域に係入された制振基材層の一部によって荷重が直接負荷されない部分とが存在することになる。従って、第1コイルスプリング4Bの巻きピッチや線径等を適宜設定することにより、上記同様使用条件に応じた環状複合体6のばね定数の設定が任意になされ、設計自由度が広げられる。その他の構成及び作用・効果は上記と同様であるので、共通部分に同一の符号を付し、ここでもその説明を割愛する。
【0038】
図9及び図10は、本発明の第4発明に係る制振ワッシャの実施形態を示す。これらは、環状に形成され環状径が異なる複数のコイルスプリングを同心的に配(径方向に並設)した点で上記各実施形態と異なる。図9に示す制振ワッシャ3Cは、巻き径の大きなコイルスプリング4Dを環状にして内側に、巻き径の小さなコイルスプリング4Eを環状にして外側に配し、これらを上記同様の制振基材層5と一体として環状複合体6となし、巻き径の大きなコイルスプリング4Dは、少なくとも前記2平面1b,2a側の外径面が制振基材層5より露出乃至は制振基材層5の薄膜で覆われ、巻き径の小さなコイルスプリング4Eは制振基材層5内に埋入するよう構成されている。そして、この環状複合体6の上下両面には、第1発明及び第3発明の実施形態(図1乃至図3、図8)と同様に、円環状金属板(金属製リング部材)7が一体とされている。従って、巻き径の大きなコイルスプリング4Dの外径面が円環状金属板7に略接する状態とされ、円環状金属板7と巻き径の小さなコイルスプリング4Eの外径面との間の空域には、制振基材層5の一部が係入された状態となる。両コイルスプリング4D,4Eは、その巻き方向が互いに逆とされ、これによって、巻き線の相互の噛み合いを抑え、また倒れ方向をバランスさせて倒れ難くしている。環状複合体6の内周部には、制振基材層5によるグロメット部5aが形成されている。
【0039】
この第4発明に係る実施形態の制振ワッシャ3Cを、図3のようなインジェクター2の支持部に使用した場合、円環状金属板7を介して荷重が負荷される巻き径の大きなコイルスプリング4Dの外径面に直接荷重が負荷される部分と、円環状金属板7と巻き径の小さなコイルスプリング4Eの外径面との間の空域に係入された制振基材層5の一部によって荷重が直接負荷されない部分とが存在することになる。従って、両コイルスプリング4D,4Eの巻き径や線径等を適宜設定することにより、上記同様使用条件に応じた環状複合体6のばね定数の設定が任意になされ、設計自由度が広げられる。
【0040】
図10に示す制振ワッシャ3Dは、環状径が異なる複数の環状コイルスプリングの夫々が、第1発明のように、巻き径が環状複合体の周方向に沿って大小交互に繰り返すものとされている点で図9の例と異なる。図例では、内側コイルスプリング4Fと、外側コイルスプリング4Gを同心的に配(径方向に並設)し、各コイルスプリング4F,4Gは、その環状径方向に沿って巻き径の大径部分4Fa,4Ga及び巻き径の小径部分4Fb,4Gbが交互に繰り返すよう形成されている。これらを上記と同様の制振基材層5と一体として環状複合体6となし、巻き径の大径部分4Fa,4Gaは、少なくとも前記2平面1b,2a側の外径面が制振基材層5より露出乃至は制振基材層5の薄膜で覆われ、巻き径の小径部分4Fb,4Gbは制振基材層5内に埋入するよう構成されている。この環状複合体6の上下両面には、上記と同様に、円環状金属板(金属製リング部材)7が一体とされている。従って、各コイルスプリング4F,4Gの大径部分4Fa,4Gaの外径面が円環状金属板7に略接する状態とされ、円環状金属板7と小径部分4Fb,4Gbの外径面との間の空域には、制振基材層5の一部が係入された状態となる。両コイルスプリング4F、4Gは、上記と同様、その巻き方向が互いに逆とされ、これによって、巻き線の相互の噛み合いを抑え、また倒れ方向をバランスさせて倒れ難くしている。環状複合体6の内周部には、制振基材層5によるグロメット部5aが形成されている。
【0041】
この第4発明に係る実施形態の制振ワッシャ3Dを、図3のようなインジェクター2の支持部に使用した場合、円環状金属板7を介して荷重が負荷される各コイルスプリング4F,4Gの大径部分4Fa,4Gaの外径面に直接荷重が負荷される部分と、円環状金属板7と小径部分4Fb,4Gbの外径面との間の空域に係入された制振基材層5の一部によって荷重が直接負荷されない部分とが存在することになる。従って、両コイルスプリング4F,4Gにおける大径部分4Fa,4Ga及び小径部分4Fb,4Gbの形成態様を適宜変更することにより、上記同様使用条件に応じた環状複合体6のばね定数の設定が任意になされ、設計自由度が広げられる。特に、これら第4発明に係る制振ワッシャ3C,3Dにおいては、高い荷重の要求に対し、厚みを変えることなく対応することができる。
第4発明に係る上記各実施形態におけるその他の構成及び作用・効果は上記と同様であるので、共通部分に同一の符号を付し、ここでもその説明を割愛する。
【0042】
尚、本発明の制振ワッシャは、インジェクターの支持部に用いればその制振・防音効果により、自動車のエンジンにおける騒音低減化に大きく寄与するので、この分野での応用が特に望ましいが、これに限らず、その他の振動発生部位にも用いれば同様の効果を得ることができる。また、第1、第3及び第4発明の実施形態では、環状複合体の外周部に金属製リング部材7を一体とした例を示したが、使用条件によってはこの金属製リング部材7をなしとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1発明に係る制振ワッシャの一実施形態を示す部分破断平面図である。
【図2】図1におけるX−X線矢視断面図である。
【図3】同制振ワッシャを介してシリンダヘッドにインジェクターを支持させた状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第2発明に係る制振ワッシャの一実施形態を示す図2と同様図である。
【図5】同制振ワッシャの他の実施形態を示し、(a)は制振基材層の図示を省略した縦断正面図、(b)は同実施形態に用いられる金属製リング部材の展開図である。
【図6】同制振ワッシャの他の実施形態の制振基材層の図示を省略した部分破断正面図である。
【図7】同制振ワッシャの他の実施形態の制振基材層の図示を省略した部分破断斜視図である。
【図8】本発明の第3発明に係る制振ワッシャの一実施形態の制振基材層の図示を省略した縦断正面図である。
【図9】本発明の第4発明に係る制振ワッシャの一実施形態の図2と同様図である。
【図10】同制振ワッシャの他の実施形態の図2と同様図である。
【符号の説明】
【0044】
1 シリンダヘッド(部材)
1b 肩部(平面)
2 インジェクター(部材)
2a 段差部(平面)
3,3A,3B,3C,3D 制振ワッシャ
4 コイルスプリング
4a 大径部分
4b 小径部分
4A コイルスプリング
4B 第1コイルスプリング
4C 第2コイルスプリング
40 複合コイルスプリング
4D,4E,4F,4G コイルスプリング
5 制振基材層
5a グロメット部
6 環状複合体
7 円環状金属板(金属製リング部材)
8 円環状金属板(金属製リング部材)
8a 凹部
8A 金属製リング部材
8Aa 切欠
8B 金属製リング部材
8Ba 切欠
8C 金属製リング部材
8Ca 切欠孔(切欠)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重が負荷される2つの部材の対向する2平面間に挟装される制振ワッシャであって、
環状に形成されたコイルスプリングとゴム又は樹脂からなる制振基材層とを一体とした環状複合体からなり、上記コイルスプリングは、その巻き径が環状複合体の周方向に沿って大小交互に繰り返すものとされ、巻き径の大径部分ではその外径面が制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、巻き径の小径部分では制振基材層内に埋入するよう構成されていることを特徴とする制振ワッシャ。
【請求項2】
請求項1に記載の制振ワッシャにおいて、
前記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位には金属製リング部材が一体とされていることを特徴とする制振ワッシャ。
【請求項3】
荷重が負荷される2つの部材の対向する2平面間に挟装される制振ワッシャであって、
環状に形成されたコイルスプリングとゴム又は樹脂からなる制振基材層とを一体とした環状複合体からなり、上記コイルスプリングは、その外径面の一部が制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、上記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位には金属製リング部材が一体とされ、該金属製リング部材にはその周方向に沿って複数の切欠又は凹部が隔設され、この切欠又は凹部内に上記制振基材層の一部が係入していることを特徴とする制振ワッシャ。
【請求項4】
荷重が負荷される2つの部材の対向する2平面間に挟装される制振ワッシャであって、
巻き径が大きく巻きピッチが疎な第1コイルスプリングに、巻き径が小さく巻きピッチが密な第2コイルスプリングを同心的に嵌挿して複合コイルスプリングとなし、この複合コイルスプリングを環状に形成しゴム又は樹脂からなる制振基材層と一体として環状複合体となし、上記第1コイルスプリングの外径面は制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、且つ上記第2コイルスプリングは制振基材層内に埋入するよう構成されていることを特徴とする制振ワッシャ。
【請求項5】
請求項4に記載の制振ワッシャにおいて、
前記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位には金属製リング部材が一体とされていることを特徴とする制振ワッシャ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の制振ワッシャにおいて、
前記第1及び第2のコイルスプリングは巻き方向が互いに異なることを特徴とする制振ワッシャ。
【請求項7】
荷重が負荷される2つの部材の対向する2平面間に挟装される制振ワッシャであって、
環状に形成され環状径が異なる複数のコイルスプリングを同心的に配し、このコイルスプリングをゴム又は樹脂からなる制振基材層と一体として環状複合体となし、当該環状複合体は、上記コイルスプリングの巻き径が大きい部分と巻き径が小さな部分を含み、巻き径の大径部分ではその外径面が制振基材層より露出乃至は制振基材層の薄膜で覆われ、巻き径の小径部分では制振基材層内に埋入するよう構成されていることを特徴とする制振ワッシャ。
【請求項8】
請求項7に記載の制振ワッシャにおいて、
前記環状複合体の外周部の少なくとも前記2平面に対面する部位には金属製リング部材が一体とされていることを特徴とする制振ワッシャ。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の制振ワッシャにおいて、
前記複数のコイルスプリングにおける隣合うコイルスプリングの巻き方向が互いに異なることを特徴とする制振ワッシャ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の制振ワッシャにおいて、
前記環状複合体の内周部に、前記制振基材層によるグロメット部が形成されていることを特徴とする制振ワッシャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−256193(P2008−256193A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112869(P2007−112869)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【Fターム(参考)】