説明

力操作式の作動ユニットに用いられるハイドロリックアッセンブリ

本発明は、自動車に設けられた作動ユニットを操作するためのハイドロリックアッセンブリに関する。本発明によれば、少なくとも1つのハイドロリック式の操作ユニット(3)が設けられており、該操作ユニット(3)が、前記作動ユニットに作用するようになっており、少なくとも1つのピストンポンプ(7)が設けられており、該ピストンポンプ(7)が、ピストン(8)を備えており、該ピストン(8)が、ハウジング(9)内に可動に挿入されており、ピストン(8)の運動によって、操作ユニット(3)を負荷するためのハイドロリック圧が形成されるようになっており、駆動軸(12)が設けられており、該駆動軸(12)が、回転軸線(A)と偏心体(13)とを備えており、該偏心体(13)が、少なくとも1つのピストンポンプ(7)のピストン(8)に作用しており、駆動軸(12)の回転時に前記ハイドロリック圧が形成されるようになっている。さらに、本発明は、本発明によるハイドロリックアッセンブリ(2)を備えたクラッチアッセンブリに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に設けられた作動ユニットを操作するためのハイドロリックアッセンブリに関する。
【0002】
さらに、本発明は、自動車のパワートレーンに使用するためのハイドロリック的に操作可能なクラッチアッセンブリに関する。
【0003】
本発明は、自動車に設けられた力操作式の作動ユニットを操作するためのハイドロリックアッセンブリであって、該ハイドロリックアッセンブリが、ハイドロリックチャンバと、該ハイドロリックチャンバ内に移動可能に挿入された、前記作動ユニットに作用する作動ピストンとを備えたハイドロリック式の操作ユニットと、作動ピストンを負荷するためのハイドロリック圧を発生させるためのポンプとを有している形式のものに関する。前述した形式のハイドロリックアッセンブリは、種々異なる使用事例、たとえばディファレンシャル伝動装置に設けられたロッククラッチの操作または自動車の、必要に応じて駆動可能な駆動アクスルの接続に対して知られている。
【0004】
国際公開第2005/063542号パンフレットに基づき、自動車に設けられたハイドロリックシステムが公知である。この公知のハイドロリックシステムは、一次のハイドロリック回路と、この一次のハイドロリック回路に接続された二次のハイドロリック回路とを備えている。一次のハイドロリック回路は、一次の作動シリンダ、つまり、ブレーキシリンダを操作するためのポンプを有している。二次のハイドロリック回路は、二次の作動シリンダを有している。この二次の作動シリンダは、自動車のパワートレーンに設けられた摩擦クラッチに作用する。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10349030号明細書には、多板クラッチを操作するためのポンプを備えたハイドロリック式の軸方向調節装置が示されている。多板クラッチの操作ならびに多板クラッチの冷却もしくは潤滑のための共通の油充填手段が設けられている。ポンプは、電動モータを介して駆動される遊星歯車型ロータポンプの形で形成されている。
【0006】
英国特許出願公開第889244号明細書に基づき、自動車に用いられるハイドロリックシステムが公知である。この公知のハイドロリックシステムは、ハイドロリック式のトルクコンバータを駆動するための前方のポンプと、自動車のアクセルオフ運転のための後方のポンプとを有している。この後方のポンプはピストンポンプの形で形成されている。このピストンポンプは出力軸のカムに作用結合されている。このカムの回転によって、ピストンが昇降運動させられ、これによって、流体がハイドロリックシステムに圧送される。前方のポンプが停止している、たとえば自動車の機関が回転しておらず、自動車が押しがけされる場合には、流体が後方のポンプによって圧送される。こうして、この後方のポンプによって、自動車のアクセルオフ運転中の機関に対する始動補助が可能となる。
【0007】
本発明の課題は、簡単に形成されていて、僅かなスペースしか要求せず、僅かな重量を有する、自動車に設けられた力操作式の作動ユニットを操作するためのハイドロリックアッセンブリを提供することである。さらに、課題は、このようなハイドロリックアッセンブリを備えたクラッチアッセンブリを提案することにある。
【0008】
この課題を解決するために本発明のハイドロリックアッセンブリでは、少なくとも1つのハイドロリック式の操作ユニットが設けられており、該操作ユニットが、前記作動ユニットに作用するようになっており;少なくとも1つのピストンポンプが設けられており、該ピストンポンプが、ピストンを備えており、該ピストンが、ハウジング内に可動に挿入されており、ピストンの往復運動によって、操作ユニットを負荷するためのハイドロリック圧が形成されるようになっており;駆動軸が設けられており、該駆動軸が、回転軸線と偏心体とを備えており、該偏心体が、少なくとも1つのピストンポンプのピストンに作用しており、駆動軸の回転時に前記ハイドロリック圧が形成されるようになっているようにした。
【0009】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、少なくとも1つのピストンポンプのピストンが、駆動軸に向かってばね手段によってばね弾性的に負荷されており、ピストンに駆動軸の回転によってばね手段の力に抗してプリロードがかけられるようになっている。
【0010】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、ピストンポンプが、ピストンによって仕切られた第1のポンプチャンバを有しており、該第1のポンプチャンバが、操作ユニットにハイドロリック的に接続されており、ピストンが、ハイドロリック式の操作ユニットへの圧力供給のために、ばね手段によって第1のポンプチャンバの方向に負荷されるようになっている。
【0011】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、ばね手段が、ピストンの戻り行程運動時にハイドロリック液をハイドロリック式の操作ユニットに容積要求に応じて圧送するように設計されている。
【0012】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、ばね手段が、ハイドロリック式の操作ユニットに対する圧送圧を規定の値に制限するように設計されている。
【0013】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、第1のポンプチャンバが、ピストンの、ばね手段と反対の側に位置していて、特にピストンのピストンロッドによって貫通されるようになっている。
【0014】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、2つのピストンポンプが設けられており、両ピストンポンプが、逆に作業するように駆動軸に配置されている。
【0015】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、アキュムレータアッセンブリが設けられており、該アキュムレータアッセンブリが、アキュムレータチャンバを備えており、該アキュムレータチャンバが、少なくとも1つのピストンポンプにハイドロリック的に接続されていて、パイロット圧の発生のために、少なくとも1つのピストンポンプによって前記ハイドロリック液で充填可能である。
【0016】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、アキュムレータアッセンブリが、蓄圧手段を有しており、該蓄圧手段が、特にアキュムレータチャンバ内に配置されている。
【0017】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、少なくとも1つのピストンポンプが、第2のポンプチャンバを有しており、該第2のポンプチャンバが、特に潤滑媒体として働く前記ハイドロリック液を前記作動ユニットに供給するための圧送チャンバとして形成されている。
【0018】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、第2のポンプチャンバが、第1のポンプチャンバにハイドロリック的に接続されていて、これによって、該第1のポンプチャンバへの圧力供給のための圧送チャンバとして働くようになっている。
【0019】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、少なくとも1つのピストンポンプとハイドロリック式の操作ユニットとの間の接続通路内に少なくとも1つの制御弁が設けられている。
【0020】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、前記ハイドロリック液のためのリザーバが設けられており、該リザーバが、少なくとも1つのピストンポンプにハイドロリック的に接続されている。
【0021】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、前記作動ユニットが、摩擦クラッチ、特にパワートレーンを接続するための油充填された多板クラッチまたはディファレンシャル伝動装置のロッククラッチを有している。
【0022】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、前記作動ユニットが、アクティブ走行機構制御部材、特にストラットの複数の作動部材を有している。
【0023】
本発明のハイドロリックアッセンブリの有利な態様によれば、前記作動ユニットが、スタビライザを有している。
【0024】
さらに、前述した課題を解決するために本発明のクラッチアッセンブリでは、本発明によるハイドロリックアッセンブリが設けられており;該ハイドロリックアッセンブリによって操作可能である作動ユニットとしての少なくとも1つの摩擦クラッチが設けられており、該摩擦クラッチが、第1のクラッチ部材と、該第1のクラッチ部材に対して相対的に回転軸線を中心として回動可能な第2のクラッチ部材と、両クラッチ部材を負荷するための押圧プレートとを有しており、ハイドロリックアッセンブリの駆動軸が、両クラッチ部材の一方に駆動結合されており;駆動軸の偏心体が、回転時に少なくとも1つのピストンポンプのピストンに作用しており、作動ピストンを負荷するためのハイドロリック圧が形成されるようになっているようにした。
【0025】
本発明のクラッチアッセンブリの有利な態様によれば、少なくとも1つのピストンポンプが、摩擦クラッチのハウジング内に収容されている。
【0026】
本発明のクラッチアッセンブリの有利な態様によれば、ハイドロリック式の操作ユニットが、摩擦クラッチのハウジング内に収容されていて、作動ピストンを有しており、該作動ピストンが、操作時に少なくとも間接的に押圧プレートに作用している。
【0027】
本発明のクラッチアッセンブリの有利な態様によれば、少なくとも1つのピストンポンプが、軸方向で作動ピストンに隣り合ってハウジング内に配置されていて、特に回転軸線に対して垂直に方向付けられている。
【0028】
本発明のクラッチアッセンブリの有利な態様によれば、駆動軸が、所属のクラッチ部材に一体に結合されており、該クラッチ部材が、特にクラッチハブとして形成されている。
【0029】
本発明のクラッチアッセンブリの有利な態様によれば、アキュムレータアッセンブリが、摩擦クラッチのハウジング内に配置されている。
【0030】
前記課題に対する解決手段は、自動車に設けられた作動ユニットを操作するためのハイドロリックアッセンブリにおいて、少なくとも1つのハイドロリック式の操作ユニットが設けられており、この操作ユニットが、作動ユニットに作用し;少なくとも1つのピストンポンプが設けられており、このピストンポンプが、ピストンを備えており、このピストンが、ハウジング内に可動に挿入されており、ピストンの往復運動によって、ハイドロリック式の操作ユニットを負荷するためのハイドロリック圧が形成され;駆動軸が設けられており、この駆動軸が、回転軸線と偏心体とを備えており、この偏心体が、少なくとも1つのピストンポンプのピストンに作用していて、駆動軸の回転時にハイドロリック圧を形成することにある。
【0031】
本発明によるハイドロリックアッセンブリの利点は、ピストンポンプを駆動し、ひいては、力操作式のサブアッセンブリとしての作動ユニットを操作するために、自動車の駆動軸の回転運動を利用することができることにある。したがって、別のユニット、たとえば電動モータが不要となり、これによって、アッセンブリが簡単に形成されていて、僅かなスペースしか要求しない。本発明によるハイドロリックアッセンブリは空間的に作動ユニットの近くに配置することができる。このことも同じくパッケージングおよび重量に有利な影響を与える。ハイドロリック式の操作ユニットは、たとえばピストン・シリンダユニットを有している。このピストン・シリンダユニットは、ハイドロリックチャンバと、このハイドロリックチャンバ内に移動可能に挿入された作動ピストンとを備えている。この作動ピストンは自動車の作動ユニットに作用する。
【0032】
1つの有利な構成によれば、少なくとも1つのピストンポンプのピストンが、駆動軸に向かってばね手段によってばね弾性的に負荷されていて、しかも、駆動軸の偏心的な外面に向かって負荷されている。駆動軸の回転時には、ピストンにばね手段の力に抗してプリロードがかけられる。こうして、ピストンの戻り行程運動時にハイドロリック液が操作ユニットに圧送され、しかも、間接的にばね手段によって操作ユニットの容積要求に関連して圧送される。この場合、ばね手段のばね力は、やはり作動ピストンに作用する操作ユニットを負荷するための最大限に発生可能な圧力を規定している。これは、ばね手段を要求に即して、発生させたい圧力に応じて、設計することができる限り有利である。この構成によって、最大の圧力が調整される。なぜならば、圧送出力がばね手段に基づき要求に即して調整され、これによって、操作ユニットに対する圧力制限が付与されているからである。有利には、ピストンポンプが、ピストンによって仕切られた第1のポンプチャンバを有している。この第1のポンプチャンバは操作ユニットにハイドロリック的に接続されている。この場合、ピストンは、ハイドロリック式の操作ユニットへの圧力供給のために、ばね手段によって第1のポンプチャンバの方向に負荷される。有利には、第1のポンプチャンバは、ピストンの、ばね手段と反対の側に位置していて、特にピストンのピストンロッドによって貫通される。
【0033】
有利には、偏心体が、駆動軸の回転軸線に対して偏心的な外面を有している。この外面に向かってピストンにプリロードがかけられている。第1の可能性によれば、偏心体は別個のスリーブとして形成されていてよい。このスリーブは駆動軸の偏心的な外面に、たとえば針状ころ軸受けまたは滑り軸受けによって回転可能に支承されている。これに対して択一的には、偏心体が、駆動軸に設けられたカムのような滑り面によって形成されていてもよい。
【0034】
本発明によれば、ハイドロリック圧を発生させるための1つまたはそれ以上のピストンポンプが設けられてよい。2つのピストンポンプの使用時には、両ピストンポンプが、逆に作業するように駆動軸に配置されていると有利である。これは、一方のピストンポンプが吸込み行程にある場合に、他方のピストンポンプは吐出し行程に位置しており、逆に、一方のピストンポンプが吐出し行程にある場合に、他方のピストンポンプは吸込み行程に位置していることを意味している。これは、たとえば両ピストンポンプが互いに反対の側に位置して、特に直径方向で互いに反対の側に位置して駆動軸に配置されていることによって達成することができる。この場合、両ピストンポンプは同じ偏心面に接触する。これに対して択一的な解決手段によれば、両ピストンポンプが軸方向で互いに隣り合って配置されていてもよい。この場合には、ピストンが駆動軸のそれぞれ異なる偏心面に当付け接触させられていてもよい。2つまたはそれ以上のピストンポンプの使用の利点は、ハイドロリック流体が連続的にハイドロリック式の操作ユニットに圧送されることにある。したがって、1つのピストンポンプの使用時に圧送行程によって得られる圧送効果は、複数のピストンポンプの使用時には生ぜしめられない。
【0035】
1つの有利な構成によれば、アキュムレータチャンバを備えたアキュムレータアッセンブリが設けられている。この場合、アキュムレータチャンバは少なくとも1つのピストンポンプにハイドロリック的に接続されていて、パイロット圧を発生させるために、ピストンポンプによってハイドロリック液で充填可能である。アキュムレータアッセンブリは、特にピーク負荷時にハイドロリック液をハイドロリック式の操作ユニットに供給するために使用可能である。なぜならば、これによって、ピストンポンプの圧送体積を上回る要求をカバーすることができるからである。アキュムレータアッセンブリは、有利には蓄圧手段を有している。この蓄圧手段は、特にアキュムレータチャンバ内に配置されている。蓄圧手段は種々異なる構成を有していてよく、たとえばばね手段またはガスアキュムレータを包含していてよい。
【0036】
アキュムレータアッセンブリは、有利には圧力ピストンを有している。この圧力ピストンはアキュムレータチャンバ内に可動に挿入されている。また、圧力ピストンには、パイロット圧を発生させるために、アキュムレータチャンバ内へのハイドロリック液の圧送によってプリロードをかけることができる。有利には、圧力ピストンはばねによって負荷されている。このばねは圧力ピストンにハイドロリック液の圧力に対してプリロードをかける。これに対して択一的には、ダイヤフラムが設けられていてもよい。このダイヤフラムはアキュムレータチャンバ内に挿入されていて、ハイドロリック液と蓄え媒体との間のシステム境界を形成している。蓄え媒体として、ガス、たとえば窒素が適している。
【0037】
少なくとも1つのピストンポンプのピストンは、ハウジング内に軸方向可動に挿入されている。この場合、ピストンポンプピストンの第1の端面は第1のポンプチャンバを仕切っており、逆方向に向けられた第2の端面は第2のポンプチャンバを仕切っている。ピストンによって貫通される第1のポンプチャンバは高圧チャンバとして働き、作動ピストンにハイドロリック圧を供給する。第2のポンプチャンバは別の機能を果たすことができ、特に潤滑媒体としてのハイドロリック液を力操作式のサブアッセンブリに供給するための圧送チャンバとして形成することができる。これに対して択一的または補足的には、第2のポンプチャンバが第1のポンプチャンバにハイドロリック的に接続されていてもよく、これによって、第1のポンプチャンバへの圧力供給のためのローディングチャンバとして働く。この構成によって、高圧チャンバ、すなわち、第1のポンプチャンバの充填度が改善される。
【0038】
少なくとも1つのピストンポンプと操作ユニットのハイドロリックチャンバとの間の接続通路内には、少なくとも1つの作動弁が設けられている。この作動弁は比例弁、すなわち、連続動作弁として形成されていてもよいし、方向制御弁として形成されていてもよい。制御弁はハイドロリック圧ひいては作動ピストンの作動ストロークを調整する。さらに、接続通路内には、少なくとも1つの圧力制限弁が設けられていてよい。接続通路に設けられた1つまたはそれ以上の逆止弁は、圧送されたハイドロリック液の望ましくない逆流を阻止する。1つの有利な構成によれば、ハイドロリック液のためのリザーバが設けられている。このリザーバは少なくとも1つのピストンポンプにハイドロリック的に接続されている。リザーバとポンプとの間には、有利には別の逆止弁が設けられている。
【0039】
1つの可能な改良態様によれば、力操作式の作動ユニットが摩擦クラッチ、特にパワートレーンを接続するための油充填された多板クラッチまたはディファレンシャル伝動装置のロッククラッチを有している。これに対して択一的には、力操作式の作動ユニットが、アクティブ走行機構制御部材、特にストラットの作動部材を有していてもよいし、スタビライザを有していてもよい。
【0040】
上述した課題の別の解決手段は、自動車のパワートレーンに使用するためのハイドロリック的に操作可能なクラッチアッセンブリにおいて、前述した態様の1つにより形成されていてよい本発明によるハイドロリックアッセンブリが設けられており、このハイドロリックアッセンブリによって操作可能である作動ユニットとしての少なくとも1つの摩擦クラッチが設けられており、この摩擦クラッチが、第1のクラッチ部材と、この第1のクラッチ部材に対して相対的に回転軸線を中心として回動可能な第2のクラッチ部材と、摩擦クラッチを負荷するための押圧プレートとを有しており、ハイドロリックアッセンブリの駆動軸が、両クラッチ部材の一方に駆動結合されており、駆動軸の偏心体が、回転時に少なくとも1つのピストンポンプのピストンに作用しており、作動ピストンを負荷するためのハイドロリック圧が形成されることにある。この解決手段は、簡単な構造と、僅かなスペース要求との上述した利点を提供する。本発明によるクラッチアッセンブリは、本発明によるハイドロリックアッセンブリによって操作される2つまたはそれ以上の摩擦クラッチを有していてもよい。これに対する例は、ツインクラッチを備えたアッセンブリまたはハングオンクラッチとディファレンシャルロックとを備えた組み合わされたアッセンブリである。
【0041】
1つの有利な構成によれば、少なくとも1つのピストンポンプが摩擦クラッチのハウジング内に収容されている。有利には、ハイドロリック式の操作ユニットも摩擦クラッチのハウジング内に収容されている。この場合、作動ピストンは操作時に少なくとも間接的に押圧プレートに作用している。「少なくとも間接的に」とは、作動ピストンと押圧プレートとの間にさらに減摩性の構成部材、たとえばスラスト軸受けが介在されていてよいことを意味している。存在する限り、蓄圧器としてのアキュムレータアッセンブリも摩擦クラッチのハウジング内に配置されている。少なくとも1つのピストンポンプは、有利には軸方向で作動ピストンに隣り合ってハウジング内に配置されていて、特に回転軸線に対して垂直に方向付けられている。僅かな部材数を伴う簡単な構造に対して、駆動軸が所属のクラッチ部材に一体に結合されていると有利である。この場合、このクラッチ部材は、特にクラッチハブとして形成されていてよい。上述した構成は、全体的にコンパクトな構造に寄与している。このことは、最終的に重量に有利な影響を与える。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明によるハイドロリックアッセンブリの第1の実施形態を示す図である。
【図2】2つのポンプを備えた本発明によるハイドロリックアッセンブリの第2の実施形態を示す図である。
【図3】蓄圧器を備えた本発明によるハイドロリックアッセンブリの第3の実施形態を示す図である。
【図4】蓄圧器と方向制御弁とを備えた本発明によるハイドロリックアッセンブリの第4の実施形態を示す図である。
【図5】ポンプの低圧チャンバの付加機能を備えた本発明によるハイドロリックアッセンブリの第5の実施形態を示す図である。
【図6】ポンプの低圧チャンバの付加機能を備えた本発明によるハイドロリックアッセンブリの第6の実施形態を示す図である。
【図7】本発明によるハイドロリックアッセンブリを備えた本発明によるクラッチアッセンブリを示す図であり、a)は、図7b)に示した切断線A−Aによる横断面図であり、b)は、図7a)に示した切断線B−Bによる、僅かな変更を伴った縦断面図であり、c)は、図7aに示したC−C切断線による、僅かな変更を伴った縦断面図である。
【0043】
本発明の有利な実施例を図示し、以下に図面につき説明する。
【0044】
図1には、自動車の力操作式の作動ユニット(図示せず)またはサブアッセンブリ(図示せず)を操作するための本発明のハイドロリックアッセンブリ2が示してある。このハイドロリックアッセンブリ2は少なくとも1つのハイドロリック式の操作ユニット3を有している。この操作ユニット3は、ハイドロリックチャンバ4と、このハイドロリックチャンバ4内に移動可能に挿入された作動ピストン5とを備えている。この作動ピストン5は、その周方向溝内に挿入された環状シール部材6によってシリンダ壁に対してシールされていて、作動ユニット(図示せず)を操作するために働く。さらに、ハイドロリックアッセンブリ2は、作動ピストン5に加えられるハイドロリック圧を発生させるためのピストンポンプ7を有している。このピストンポンプ7はピストン8を有している。このピストン8はポンプハウジング9内に軸方向可動に挿入されている。コイルばね10の形のばね手段を認めることができる。このばね手段はピストン8をシリンダの底から離れる方向で駆動軸12の方向に負荷している。この駆動軸12は、その回転軸線Aに対して偏心的な外面を備えた偏心体13を有している。この偏心体13の外面には、ピストン8が当付け接触させられている。ピストンポンプ7が、ピストン8によって仕切られた第1のポンプチャンバ32と、第2のポンプチャンバ33とを有していることが明らかである。第1のポンプチャンバ32は操作ユニット3に接続通路16を介してハイドロリック的に接続されている。第2のポンプチャンバ33内には、ばね手段10が挿入されている。第1のポンプチャンバ32は、ピストン8の、ばね手段10と反対の側に配置されていて、ピストン8のピストンロッドによって貫通される。別の構成部材として、接続通路15,16内に、ハイドロリック液の逆流を阻止する逆止弁17と、フィルタエレメント18と、ハイドロリック式の操作ユニット3ごとに1つの制御弁19とを認めることができる。この制御弁19は戻し通路20を介してリザーバ14にハイドロリック的に接続されている。
【0045】
前述した構造によって、回転軸線Aを中心とした駆動軸12の回転と同時に制御弁19の相応の開放時にハイドロリック流体がリザーバ14から接続通路15,16を通ってハイドロリックチャンバ4内に圧送され、これによって、作動ピストン5が、作動ユニットの操作のために、軸方向に移動させられる。偏心体13の回転によって、ピストン8にばね手段10のばね力に抗してプリロードがかけられる、つまり、予備荷重が加えられる。ピストン8の戻り行程運動時には、ばね手段10によって所定の圧力が発生させられ、これによって、ハイドロリック液が操作ユニット3に圧送される。この場合、ばね手段10は、操作ユニット3に対する圧送圧が最大の値に制限されているように設計されている。こうして、圧送出力がばね手段10に基づき要求に即して調整され、これによって、操作ユニット3に対する圧力制限が付与されている。
【0046】
図2には、本発明によるハイドロリックアッセンブリ2が第2の実施形態で示してある。この第2の実施形態は、図1に示した実施形態にほぼ相当している。この限りにおいて、上記説明を適用することができる。この場合、同じ構成部材は同じ符号を備えている。以下、特に図2に示した本実施形態の特殊性を説明する。
【0047】
2つのピストンポンプ7,7’が設けられていることが明らかである。両ピストンポンプ7,7’は互いに反対の側に配置されている。この場合、両ピストンポンプ7,7’は、逆に作業するように配置されている。第1のピストンポンプ7の吐出し行程の間、第2のピストンポンプ7’は吸込み行程に位置しており、逆に、第1のピストンポンプ7の吸込み行程の間、第2のピストンポンプ7’は吐出し行程に位置している。こうして、ピストン・シリンダユニットのハイドロリックチャンバ4への連続的な流体流が発生させられ、これによって、作動ユニットをより迅速に操作することができる。両ピストンポンプ7,7’は、図示のように、互いに反対の側に配置されていて、同一の偏心面11と協働する。しかし、駆動軸12が、軸方向にかつ周方向に互いにずらされた複数の偏心面を有しており、これによって、ポンプが相並んで配置されていてもよいことも可能である。
【0048】
図3には、本発明によるハイドロリックアッセンブリ2が第3の実施形態で示してある。この第3の実施形態は、図1に示した実施形態にほぼ相当している。この限りにおいて、上記説明を適用することができる。この場合、同じ構成部材は同じ符号を備えている。以下、特に図3に示した本実施形態の特殊性を説明する。
【0049】
本実施形態は、蓄圧器としてのアキュムレータアッセンブリ22がハイドロリックシステムに組み込まれていることによって特徴付けられている。アキュムレータアッセンブリ22はアキュムレータチャンバ23を有している。このアキュムレータチャンバ23は接続通路16を介してポンプ7とハイドロリックチャンバ4とにハイドロリック的に接続されている。回転軸線Aを中心とした駆動軸12の回転時には、ピストンポンプ7がハイドロリック液をアキュムレータチャンバ23内に弾性的なばね手段24の力に抗して圧送する。この場合、圧力シリンダ26内に軸方向可動に挿入された圧力ピストン25が、アキュムレータチャンバ23とばね手段24のための収容室との間のシステム境界を形成している。アキュムレータアッセンブリ22によって、より大きな体積のハイドロリック液が提供される。このハイドロリック液は、必要な場合にハイドロリック式の操作ユニット3を負荷するために使用することができる。これによって、特にハイドロリック的な圧油供給における高められた要求を伴うピーク負荷を克服することもできる。
【0050】
図4には、本発明によるハイドロリックアッセンブリ2が第4の実施形態で示してある。この第4の実施形態はその構造および機能形式に関して、図1に示した実施形態にほぼ相当している。この限りにおいて、上記説明を適用することができる。この場合、同じ構成部材は同じ符号を備えている。ただ1つの違いは、図4に示した本実施形態では、制御弁が、比例弁の代わりに、方向制御弁27の形で形成されていることにある。作動ピストン5ごとに、それぞれ1つの方向制御弁27を備えた導入通路16,16’と導出通路20,20’とが設けられていることを認めることができる。方向制御弁27は2ポート2位置弁として形成されている。図示の弁位置では、導入通路16,16’に設けられた方向制御弁27が閉鎖されているのに対して、導出通路20,20’に設けられた方向制御弁27は開放されている。この位置では、作動ピストン5がハイドロリック液で負荷されず、これによって、自動車の力操作式の作動ユニットが作動させられていない。
【0051】
図5には、本発明によるハイドロリックアッセンブリ2が第5の実施形態で示してある。この第5の実施形態はその構造および機能形式に関して、図4に示した実施形態にほぼ相当している。この限りにおいて、上記説明を適用することができる。この場合、同じ構成部材は同じ符号を備えている。以下、特に図5に示した本実施形態の特殊性を説明する。
【0052】
ピストンポンプ7に2つの接続通路15,30が設けられていることを認めることができる。両接続通路15,30は第1のポンプチャンバ32もしくは第2のポンプチャンバ33をリザーバ14にハイドロリック的に接続している。さらに、別の通路31が設けられている。この通路31は第2のポンプチャンバ33に開口していて、第2の端部(図示せず)で力操作式の作動ユニットに接続されており、これによって、たとえば可動の構成部材が潤滑されるかもしくは冷却される。ピストン8によって貫通される第1のポンプチャンバ32は、作動ピストン5に圧力供給するための高圧チャンバを形成している。この限りにおいて、本実施形態のピストンポンプ7は二重の機能、つまり、ハイドロリック式の操作ユニット3のハイドロリックチャンバ4内へのハイドロリック液の圧送ひいては作動ユニットの操作と、この作動ユニットへの、特に潤滑媒体としてのハイドロリック液の供給とを果たしている。この場合、第1のポンプチャンバ32に関して、吐出し行程時には、ハイドロリック液がアキュムレータチャンバ22もしくは作動ピストン5の方向に圧送されるのに対して、吸込み行程では、ハイドロリック液は通路31を通って作動ユニットに圧送される。
【0053】
図6には、本発明によるハイドロリックアッセンブリ2が第6の実施形態で示してある。この第6の実施形態はその構造および機能形式に関して、図5に示した実施形態にほぼ相当している。この限りにおいて、上記説明を適用することができる。この場合、同じ構成部材は同じ符号を備えている。以下、特に図6に示した本実施形態の特殊性を説明する。
【0054】
本実施形態では、第1のポンプチャンバ32の圧送通路15が第2のポンプチャンバ33にハイドロリック的に接続されており、これによって、第2のポンプチャンバ33が第1のポンプチャンバ32に対するローディングチャンバとして働く。この構成によって、高圧チャンバとして形成された第1のポンプチャンバ32の充填度が改善される。このことは、作動ユニットを操作するための反応時間に全体的にプラスの影響を与える。
【0055】
図7a)〜図7c)を以下に一緒に説明する。自動車(図示せず)のパワートレーンに設けられた、第1のクラッチ部材35と、この第1のクラッチ部材35に対して相対的に回動可能な第2のクラッチ部材36とを断続するための本発明によるクラッチアッセンブリ34が明らかである。この場合、このクラッチアッセンブリ34は、自動車の第2の駆動アクスルを接続するために働く。第1のクラッチ部材35はクラッチハブの形で形成されている。このクラッチハブは第1の駆動軸12に一体に結合されている。この駆動軸12は、摩擦クラッチ41と反対の側の端部に、トルクを導入するためのフランジ38を有している。第2のクラッチ部材36はクラッチケースの形で形成されている。このクラッチケースは、内側歯列40を備えたハブ39を有している。このハブ39内には、第2の駆動軸(図示せず)を相対回動不能に差し込むことができる。第2のクラッチ部材36は第1のクラッチ部材35に対してラジアル軸受け42によって回転軸線Aに対して相対回動可能に支承されている。このためには、クラッチケース36のハブ39が軸方向の突出部を有している。この突出部は第1のクラッチ部材35の軸方向の孔43内に相対回動可能に保持されている。第1のクラッチ部材35もしくは第1の駆動軸12は転がり軸受け45によって、固定のハウジング46内に回転軸線Aを中心として相対回動可能に支承されていて、位置固定リング47によって転がり軸受け45に対して軸方向に支持されている。外部に対して、このハウジング46と第1の駆動軸12の間に形成された環状室は回転軸用シールリング48によってシールされている。
【0056】
摩擦クラッチ41は、油充填された多板クラッチの形で形成されていて、第1のクラッチ部材35に相対回動不能にかつ軸方向移動可能に結合された第1の摩擦板49と、第2のクラッチ部材36に相対回動不能にかつ軸方向移動可能に結合された第2の摩擦板50とを有している。第1の摩擦板49と第2の摩擦板50とは軸方向に交互に配置されていて、一緒に1つの摩擦板セットを形成している。この摩擦板セットは軸方向で支持ディスク52に支持されている。この支持ディスク52は位置固定リング53によって第1のクラッチ部材35に取り付けられている。
【0057】
摩擦クラッチ41を操作するためには、軸方向移動可能な押圧プレート54が設けられている。この押圧プレート54は回転軸線Aに対して同軸的に配置されていて、摩擦板セット49,50に作用することができる。摩擦クラッチ41を操作するためには、本発明によるハイドロリックアッセンブリ2が働く。このハイドロリックアッセンブリ2は、原理的には、図1〜図6に概略的に示した各実施例により形成されていてよい。図示のクラッチアッセンブリ34では、1つのピストンポンプ7と蓄圧器22とを備えたハイドロリックアッセンブリ2が設けられている。
【0058】
ハイドロリックチャンバ4と、このハイドロリックチャンバ4内に移動可能に挿入された作動ピストン5とを備えたハイドロリック式の操作ユニット3が明らかである。作動ピストン5は環状ピストンの形で形成されている。この場合、ハイドロリックチャンバ4は相応に同じく回転軸線Aを中心として環状に形成されている。押圧プレート54を負荷するためには、スラスト軸受け55が設けられている。このスラスト軸受け55は押圧プレート54の環状の切欠き51内に半径方向で保持されている。作動ピストン5の内外の周面は、それぞれ環状シール部材6によってシリンダ壁に対してシールされている。
【0059】
さらに、図7a)および図7b)には、ハイドロリックアッセンブリ2のピストンポンプ7が明らかである。この場合、ピストン8は段付きピストンとして形成されている。この段付きピストンは、小さい方の直径を備えた第1の区分56と、この第1の区分56に続く、大きい方の直径を備えた第2の区分57とを有している。ポンプシリンダ9は相応に同じく段状に形成されていて、小さい方の直径の第1のシリンダ区分62と、大きい方の直径の第2のシリンダ区分63とを有している。この場合、シリンダ9は、ハウジング46に設けられた孔の形で形成されている。この孔は、ハウジング46の外周面から半径方向内向きに延びている。環状シール部材58,59が設けられている。この環状シール部材58,59は、ハウジング46に設けられた環状溝内に挿入されていて、ピストン8をシリンダ壁に対してシールしている。ピストン8はその下面に切欠き60を有している。この切欠き60内には、コイルばねとして形成されたばね手段10が部分的に収容されている。このばね手段10は、図7a)に示した実施形態では、ねじ61の底に支持されている。このねじ61はシリンダ孔内にねじ込まれている。図7b)に示した実施形態では、ばね手段10がカバー64に支持されている。このカバー64はシリンダ孔内に挿入されていて、位置固定リング65によって位置固定されている。
【0060】
駆動軸12は、図7b)に示した構成によれば、回転軸線Aに対して偏心的な周面44を有している。この周面44には、ラジアル軸受け66によってスリーブが相対回動可能に支承されている。この限りにおいて、このスリーブは偏心体13を形成している。この偏心体13に対して、ピストン8にその端面でばね手段10によってプリロードがかけられている。原理的には、偏心体13は、図7a)に示したように、駆動軸12の純粋な偏心的な滑り面として、すなわち、支承部材およびスリーブなしに形成されていてもよい。
【0061】
図7a)に示した横断面図には、アキュムレータアッセンブリ22の充填時のハイドロリック流体の流体流が矢印で示してある。駆動軸12の回転時には、ピストンポンプ7がハイドロリック流体をリザーバ14から逆止弁66と、接続通路15と、逆止弁67とを通してアキュムレータアッセンブリ22のアキュムレータチャンバ23内に圧送する。この場合、このアキュムレータチャンバ23内にハイドロリック圧が形成される。このハイドロリック圧の高さはアキュムレータアッセンブリ22のばね手段24のばね力に関連している。このばね手段24に最大にプリロードがかけられている場合には、ピストンポンプ7のピストン8が駆動軸12の回転時に下死点位置(図示せず)にとどまっている。摩擦クラッチ41が接続され、アキュムレータチャンバ23内の圧力が相応に減少した後初めて、ピストンポンプ7が再びハイドロリック液を圧送する。
【0062】
図7a)に示した切断線C−Cに相当する図7c)に示した縦断面図には、電気的に制御される制御弁19を認めることができる。この制御弁19は接続通路16を介してアキュムレータアッセンブリ22に接続されていて、接続通路21を介してハイドロリック式の操作ユニット3のハイドロリックチャンバ4に接続されている。さらに、戻し通路20が明らかである。この戻し通路20はハイドロリックチャンバ4を弁チャンバを介してリザーバ14に接続している。このリザーバ14は、ここでは、アキュムレータアッセンブリ22内に形成されている。ピストンポンプ7をアキュムレータアッセンブリ22に接続する通路は別の切断平面に位置していて、したがって、ここに見ることはできない。アキュムレータアッセンブリ22のうち、アキュムレータチャンバ23と、軸方向可動の圧力ピストン25と、ばね手段24とを認めることができる。このばね手段24は圧力ピストン25をアキュムレータチャンバ23の方向に負荷する。ばね手段24はコイルばねの形で形成されている。このコイルばねは支持ディスク28と位置固定リング29とを介してハウジング壁46に軸方向で支持されている。
【0063】
すでに上述したように、ピストンポンプ7は、回転軸線Aを中心とした駆動軸12の回転時にハイドロリック液をアキュムレータチャンバ23内に弾性的なばね手段24の力に抗して圧送する。トルクを伝達するために両駆動軸を互いに結合したい走行状況、すなわち、摩擦クラッチ41が接続されなければならない走行状況が生ぜしめられると、制御弁19が、アキュムレータチャンバ23をハイドロリックチャンバ4に接続する位置に移行される。これによって、ピストン5が摩擦クラッチ41の方向に運動させられ、摩擦板セット49,50をスラスト軸受け56と押圧プレート54とを介して負荷する。この位置は、図7c)に示してある。この場合、アキュムレータチャンバ23から制御弁19を介してハイドロリックチャンバ4へのハイドロリック液の流体流は矢印によって示してある。摩擦クラッチ41を切断するためには、制御弁19が、ハイドロリックチャンバ4をリザーバ14に接続する位置に移行され、これによって、押圧プレート54がばね手段(図示せず)によって再び出発位置に軸方向で移動させられる。
【0064】
本発明によるハイドロリックアッセンブリ2を備えた本発明によるクラッチアッセンブリ34の利点は、ピストンポンプ7を駆動し、ひいては、クラッチ41を操作するために、駆動軸12の回転運動が使用されることにある。これによって、クラッチアッセンブリ34が簡単に形成されていて、スペースを僅かしか必要としない。ピストンポンプ7のばね手段10もしくはアキュムレータアッセンブリ22のばね手段24の相応の寸法設定によって、摩擦クラッチ41を操作するために提供したい圧力を規定することができる。
【符号の説明】
【0065】
2 ハイドロリックアッセンブリ
3 ハイドロリック式の操作ユニット
4 ハイドロリックチャンバ
5 作動ピストン
6 環状シール部材
7 ピストンポンプ
8 ピストン
9 ポンプハウジング
10 ばね手段
11 外面
12 駆動軸
13 偏心体
14 リザーバ
15 接続通路
16 接続通路
17 逆止弁
18 フィルタエレメント
19 圧力調整弁
20 戻し通路
21 接続通路
22 アキュムレータアッセンブリ
23 アキュムレータチャンバ
24 ばね手段
25 圧力ピストン
26 圧力シリンダ
27 方向制御弁
28 支持ディスク
29 位置固定リング
30 接続通路
31 接続通路
32 ポンプチャンバ
33 ポンプチャンバ
34 クラッチアッセンブリ
35 第1のクラッチ部材
36 第2のクラッチ部材
38 フランジ
39 ハブ
40 内側歯列
41 摩擦クラッチ
42 ラジアル軸受け
43 孔
44 周面
45 転がり軸受け
46 ハウジング
47 位置固定リング
48 軸用シールリング
49 第1の摩擦板
50 第2の摩擦板
51 切欠き
52 支持ディスク
53 位置固定リング
54 押圧プレート
55 スラスト軸受け
56 第1の区分
57 第2の区分
58 環状シール部材
59 環状シール部材
60 切欠き
61 ねじ
62 第1のシリンダ区分
63 第2のシリンダ区分
64 カバー
65 位置固定リング
66 ラジアル軸受け
67 逆止弁
68 逆止弁
A 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に設けられた作動ユニットを操作するためのハイドロリックアッセンブリにおいて、
少なくとも1つのハイドロリック式の操作ユニット(3)が設けられており、該操作ユニット(3)が、前記作動ユニットに作用するようになっており;
少なくとも1つのピストンポンプ(7)が設けられており、該ピストンポンプ(7)が、ピストン(8)を備えており、該ピストン(8)が、ハウジング(9)内に可動に挿入されており、ピストン(8)の往復運動によって、操作ユニット(3)を負荷するためのハイドロリック圧が形成されるようになっており;
駆動軸(12)が設けられており、該駆動軸(12)が、回転軸線(A)と偏心体(13)とを備えており、該偏心体(13)が、少なくとも1つのピストンポンプ(7)のピストン(8)に作用しており、駆動軸(12)の回転時に前記ハイドロリック圧が形成されるようになっていることを特徴とする、自動車に設けられた作動ユニットを操作するためのハイドロリックアッセンブリ。
【請求項2】
少なくとも1つのピストンポンプ(7)のピストン(8)が、駆動軸(12)に向かってばね手段(10)によってばね弾性的に負荷されており、ピストン(8)に駆動軸(12)の回転によってばね手段(10)の力に抗してプリロードがかけられるようになっている、請求項1記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項3】
ピストンポンプ(7)が、ピストン(8)によって仕切られた第1のポンプチャンバ(32)を有しており、該第1のポンプチャンバ(32)が、操作ユニット(3)にハイドロリック的に接続されており、ピストン(8)が、ハイドロリック式の操作ユニット(3)への圧力供給のために、ばね手段(10)によって第1のポンプチャンバ(32)の方向に負荷されるようになっている、請求項2記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項4】
ばね手段(10)が、ピストン(8)の戻り行程運動時にハイドロリック液をハイドロリック式の操作ユニット(3)に容積要求に応じて圧送するように設計されている、請求項2または3記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項5】
ばね手段(10)が、ハイドロリック式の操作ユニット(3)に対する圧送圧を規定の値に制限するように設計されている、請求項2または3記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項6】
第1のポンプチャンバ(32)が、ピストン(8)の、ばね手段(10)と反対の側に位置していて、特にピストン(8)のピストンロッドによって貫通されるようになっている、請求項2から5までのいずれか1項記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項7】
2つのピストンポンプ(7,7’)が設けられており、両ピストンポンプ(7,7’)が、逆に作業するように駆動軸(12)に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項8】
アキュムレータアッセンブリ(22)が設けられており、該アキュムレータアッセンブリ(22)が、アキュムレータチャンバ(23)を備えており、該アキュムレータチャンバ(23)が、少なくとも1つのピストンポンプ(7)にハイドロリック的に接続されていて、パイロット圧の発生のために、少なくとも1つのピストンポンプ(7)によって前記ハイドロリック液で充填可能である、請求項1から7までのいずれか1項記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項9】
アキュムレータアッセンブリ(22)が、蓄圧手段(24)を有しており、該蓄圧手段(24)が、特にアキュムレータチャンバ(23)内に配置されている、請求項8記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項10】
少なくとも1つのピストンポンプ(7)が、第2のポンプチャンバ(33)を有しており、該第2のポンプチャンバ(33)が、特に潤滑媒体として働く前記ハイドロリック液を前記作動ユニットに供給するための圧送チャンバとして形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項11】
第2のポンプチャンバ(33)が、第1のポンプチャンバ(32)にハイドロリック的に接続されていて、これによって、該第1のポンプチャンバ(32)への圧力供給のための圧送チャンバとして働くようになっている、請求項8から10までのいずれか1項記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項12】
少なくとも1つのピストンポンプ(7)とハイドロリック式の操作ユニット(3)との間の接続通路(16)内に少なくとも1つの制御弁(19,27)が設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項13】
前記ハイドロリック液のためのリザーバ(14)が設けられており、該リザーバ(14)が、少なくとも1つのピストンポンプ(7)にハイドロリック的に接続されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項14】
前記作動ユニットが、摩擦クラッチ(41)、特にパワートレーンを接続するための油充填された多板クラッチまたはディファレンシャル伝動装置のロッククラッチを有している、請求項1から13までのいずれか1項記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項15】
前記作動ユニットが、アクティブ走行機構制御部材、特にストラットの複数の作動部材を有している、請求項1から13までのいずれか1項記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項16】
前記作動ユニットが、スタビライザを有している、請求項1から13までのいずれか1項記載のハイドロリックアッセンブリ。
【請求項17】
自動車のパワートレーンに使用するためのハイドロリック的に操作可能なクラッチアッセンブリにおいて、
請求項1から16までのいずれか1項記載のハイドロリックアッセンブリ(2)が設けられており;
該ハイドロリックアッセンブリ(2)によって操作可能である作動ユニットとしての少なくとも1つの摩擦クラッチ(41)が設けられており、該摩擦クラッチ(41)が、第1のクラッチ部材(35)と、該第1のクラッチ部材(35)に対して相対的に回転軸線(A)を中心として回動可能な第2のクラッチ部材(36)と、両クラッチ部材(35,36)を負荷するための押圧プレート(54)とを有しており、ハイドロリックアッセンブリ(2)の駆動軸(12)が、両クラッチ部材(35,36)の一方に駆動結合されており;
駆動軸(12)の偏心体(13)が、回転時に少なくとも1つのピストンポンプ(7)のピストン(8)に作用しており、作動ピストン(5)を負荷するためのハイドロリック圧が形成されるようになっていることを特徴とする、自動車のパワートレーンに使用するためのハイドロリック的に操作可能なクラッチアッセンブリ。
【請求項18】
少なくとも1つのピストンポンプ(7)が、摩擦クラッチ(41)のハウジング(46)内に収容されている、請求項17記載のクラッチアッセンブリ。
【請求項19】
ハイドロリック式の操作ユニット(3)が、摩擦クラッチ(41)のハウジング(46)内に収容されていて、作動ピストン(5)を有しており、該作動ピストン(5)が、操作時に少なくとも間接的に押圧プレート(54)に作用している、請求項18記載のクラッチアッセンブリ。
【請求項20】
少なくとも1つのピストンポンプ(7)が、軸方向で作動ピストン(5)に隣り合ってハウジング(46)内に配置されていて、特に回転軸線(A)に対して垂直に方向付けられている、請求項18または19記載のクラッチアッセンブリ。
【請求項21】
駆動軸(12)が、所属のクラッチ部材(35)に一体に結合されており、該クラッチ部材(35)が、特にクラッチハブとして形成されている、請求項17から20までのいずれか1項記載のクラッチアッセンブリ。
【請求項22】
アキュムレータアッセンブリ(22)が、摩擦クラッチ(41)のハウジング(46)内に配置されている、請求項18から21までのいずれか1項記載のクラッチアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a)】
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【図7b)】
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【図7c)】
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【公表番号】特表2011−508857(P2011−508857A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540043(P2010−540043)
【出願日】平成20年12月6日(2008.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010363
【国際公開番号】WO2009/083095
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(504467521)ゲー カー エヌ ドライブライン インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】GKN Driveline International GmbH
【住所又は居所原語表記】Hauptstrasse 130, D−53797 Lohmar, Germany
【Fターム(参考)】