説明

加圧ガス用安全装置

本発明は、危険な状況において加圧されたガスを放出するためのバルブを構成する安全装置に関し、加圧されたガス源(G)に接続される第1上流端と外部の大気に接続される第2下流端との間を長手方向に延びるガス流路を画定する本体を含み、装置は、平常状況で上流端と下流端の間のガスの流れを防ぐための流路に位置したプラグを含み、プラグは、所定の閾値を超える圧力および/または温度に晒される危険な状況の場合にガスのために経路を解放するように形成され、上流の方向から下流の方向へ、流路は、異なるそれぞれの横断寸法(d,D)を有している2つの上流及び下流の隣接流れ部をそれぞれ含み、下流部の横断寸法Dと上流部の横断寸法dとの間の比率D/dは1.4〜11であり、2つの隣接部の合流点は、流路の横断寸法において不連続を形成し、下流部の長さLとこの下流部の横断寸法Dとの間の比率L/Dは15〜100であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧ガス用安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この発明は、特に、水素のように特に燃えやすいガスのガス貯蔵施設またはガス輸送パイプラインが爆発することを防止することを可能にする安全装置に関する。
【0003】
それゆえ、発明は、圧力下においてガス源に接して位置決めされる上流第1端と外の大気に接して位置決めされた下流第2端の間を長手方向に流れるガスの流れ用の流路を決定する本体を含み、危険な状況下においてガスを開放する逃し弁を構成する安全装置に関する。この装置は、通常状態において上流と下流の間をガスが流れるのを防止するために流路に配置されるプラグを備える。このプラグは、決められた閾値を超えた圧力及び/または温度にさらされた危険な状況の場合にガスに通路を開放するように構成されている。
【0004】
自動車用途(乗り物)に使用される水素貯蔵ボンベは、一般に、ボンベが破裂することを防止するために、このボンベが火災に巻き込まれた場合にガス状の内容物を空にすることを許容する装置に適合している。この安全装置は、ボンベを空にすることで破裂を防止する制御されたガスの漏えいを引き起こすために火災の温度の作用で融ける熱ヒューズ(例えば、金属共晶)が一般に使用される。火災の多くの事例において、ヒューズが開放するので、水素は着火し、非常に長い炎をボンベの外に作る。
【0005】
いくつかの事例では、ヒューズの開放は、水素を放出するが、この水素には着火されない。水素は、周囲の空気と混ぜられ、その結果、大きい体積の雲を作る。このような可燃性ガスの雲は、爆発しそうであり、狭く塞がれた空間(例えば、地下駐車場やトンネル)において非常に危険であることがわかる。この点において、ガス雲を形成するよりも(非常に長い炎であっても)炎を形成するほうが望ましいだろう。なぜなら、炎(特に輻射)に伴う影響は、ガス雲が爆発することに伴う影響よりも望ましい。
【0006】
フランス国特許第2725008号明細書及び米国特許第2557199号明細書は、放出されたガスが電気式または触媒式の点火手段を用いて点火される安全装置を開示している。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの目的は、ガスを放出する際に作動し、(特に水素の場合には)ガスが空になるように炎を作ることを促進する安全装置を提供することである。
【0008】
このために、この発明に係る装置は、このほかについて上述の序文によって与えられた一般的な定義において、本質的には以下のことを特徴とする。上流から下流へ、流路は、それぞれ上流部及び下流部である隣接した2つの流れ部を含み、それぞれの横断寸法(d、D)はそれぞれ異なり、下流部の横断寸法Dと上流部の横断寸法dの間の比率D/dは、1.4から11の間に含まれ、2つの隣接部の間の合流部は、流路の横断寸法において不連続に形成され、下流部の長さLとこの下流部の横断寸法Dの間の比率L/Dは、15から100の間に含まれる。
【0009】
さらに、この発明のいくつかの実施形態は、以下の1以上の特長を含む。
【0010】
− 下流部分の横断寸法Dと上流部分の横断寸法との間の比率D/dは、1.5〜10の間、好ましくは1.8〜2.2の間に含まれる。
【0011】
− 下流部分の長さLと下流第2部分の横断寸法Dの間の比率L/Dは、20〜60の間、好ましくは38〜42の間に含まれる。
【0012】
− 上流部分の上流端は、圧力下のガス源と接するように配置される。
【0013】
− 下流部分の下流端は、大気圧に接するように配置される。
【0014】
− 2つの部分のそれぞれの横断寸法(d、D)は、それぞれ直径またはこれらの部分の平均径である。
【0015】
− 少なくとも下流部の一部は、大気に比べて酸素に富んでいるガスの貯留を含む。この貯留は、膜のような少なくとも1つの保持部材によって下流部分に維持される。保持膜は、決められた閾値を超える圧力及びまたは温度にさらされた場合に流路をガスに開放し貯留の富化ガスと混合されるように構成される。
【0016】
− 下流部分は、源から起こる加圧されたガスの循環がある場合に自発的吸気システムを構成するように、下流端の上流に、下流部と外部の大気との間を連通する少なくとも1つのオリフィスを含む。
【0017】
− 流路を定義する本体は、分離できる少なくとも2つの部品で形成される。
【0018】
この発明は、加圧されたガス、特に水素を含んだ可燃性ガスの容器にも関連し、上述または以下のいかなる1つの特徴に関する少なくとも1つの安全装置を含む。
【0019】
この発明は、上記または以下の特徴の組み合わせを含むいかなる代替装置または方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
他の詳細及び利点は、図面を参照して以下の説明を読むことで明らかになる。その図面において、
【図1】図1は、貯蔵容器に適用される安全装置の構造及び動作を示す長手方向の断面の概略図である。
【図2】図2は、本発明に係る安全装置の第2の実施形態を示す長手方向の断面の概略図である。
【図3】図3は、本発明に係る安全装置の構造の一例を示す長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示された安全装置の実施形態は、上流第1端11と下流第2端12の間を長手方向に流れるガスの流れのための流路1,2を画定する本体を備える。上流端11は、加圧されたガスGに接続している。その一部の下流端12は、外部の大気に接続している。
【0022】
安全装置は、いかなるタイプのガス貯蔵設備(圧力容器、ボンベ、ガス輸送パイプラインなど)にも搭載される。安全装置は、貯蔵設備7またはボンベの栓やバルブまたは加圧ガスを制御するために使用されるほかの機器のような補助機器に直接搭載され得る。
【0023】
慣習上、装置は、平常状態において上流端11と下流端12の間をガスが流れるのを防ぐために流路1,2に設置されたプラグ3を有する。プラグ3は、ダイヤフラム、共晶ヒューズ、または、圧力および/または温度の閾値以下のガスに対する障壁を作る適切なシステムの中から少なくとも1つを含む。
【0024】
慣習上、プラグ3は、例えば、決められた閾値を超える圧力及びまたは温度にさらされるような、危険な状況下においてガスに対して経路を開放するように構成される。
【0025】
1つの有利な特徴によれば、上流から下流へ、流路1,2は、2つの隣接した流れ部分を備え、これらはそれぞれ上流流れ部1及び下流流れ部2であり、それらのそれぞれの横断寸法d,Dは、異なっており、以下のように定義される。下流部2の横断寸法D及び上流部1の横断寸法dの間の比率D/dは、1.4〜11の間に含まれる。
【0026】
下流部2の横断寸法Dと上流部1の横断寸法dの間の比率D/dは、1.5〜10の間であることがより好ましく、1.9〜2.2の間に含まれることがさらに好ましい。例えば、下流部2の横断寸法Dと上流部1の横断寸法dの間の比率D/dは、2に等しい。プラグ3は、部分1,2の間の合流点又はその近傍に設置される。
【0027】
2つの隣接する部分1,2の間の合流点は、流路1,2の横断寸法において不連続に形成される。
【0028】
流路のこの急激な拡幅は、ガスと空気の予混合物が自己発火するのに十分高い温度に上昇する間にガスを空気と混合する衝撃波を集中させる。
【0029】
さらに、下流部2の長さLと下流部の横断寸法Dの間の比率L/Dは、15〜100の間に含まれる。
【0030】
下流部2の長さLと下流部2の横断寸法Dの間の比率L/Dは、例えば、20〜60の間、好ましくは38〜42の間、より好ましくは40のオーダーに含まれる。
【0031】
部分1,2の各々の横断寸法d,Dは、例えば、前記部分1,2のそれぞれの直径または平均径である。特に、流路の部分1,2が円筒形である場合、それぞれの横断寸法d,Dは、関連寸法である。
【0032】
このような構成は、水素ガスまたは水素を含有する混合物の自然発火を著しく促進する。
【0033】
さらに自然発火を促進するために、下流部2に含まれる少なくともある程度の空気を酸素又は酸素富化空気で置き換えることも可能である。例えば、下流部2は、酸素を封じる1以上の流体密封膜によって密封される。作動(プラグ3の開封)する場合、膜は、破裂し、放出された可燃性ガスと混合される酸素を放出する。そして酸素は、水素(または他のガス)の着火を活性する触媒として機能する。この場合、ガスを放出するための自然発火時間を減少させることができる(この着火時間は10と同じ高さの変数によって著しく減少される)。
【0034】
可燃性ガスが放出される場合、装置内に予混合物(G+A)を作るべく空気Aの巻き込みを生じさせるためにガスが流れる速度を利用することができる。それをするために、図2に概略的に図示されるように、大気に連通するオリフィス4は、流路の下流部2に設けられる。下流部2に補給された空気Aの流れは、矢印によって示される。これは、炎8の形成を促進する。
【0035】
同様に、作り出される炎の長さを短くしたい場合、長手流れ軸を中心にガスG(または空気A)を回転させるシステムを考えることもできる。例えば、フィンは、混合および火炎の短縮を促進させる回転動作をガスGまたは混合物G+Aに与える。
【0036】
図3は、ガス流路のための1つの可能な構造の非限定的な例を示す。ガス流路1,2は、取り外せるように(例えばネジを用いて)組み立てることができる2つの管状部品5,6によって形成される。上流部1及び可能な下流部2の一部は、第1の管5に形成される。下流部2を第2の管に形成することができる。
【0037】
例えば、上流部1は、筒状であって、0.1〜15mmの間、好ましくは2.2〜10mmの間、より好ましくはほぼ5mmの直径dを有している。下流部2は、好ましくは筒状であって、3〜50mmの間、好ましくは5〜15mmの間、より好ましくはほぼ10mmの直径Dを有している。好ましくは、下流部2は、100〜300mmの間の長さを有している。この構成によって、ガスとして、特に水素、圧力が200〜700バール[bar]、自然発火は、従来技術よりも大きく促進される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険な状況下において加圧されたガスを放出する逃し弁を形成する安全装置であって、加圧されたガス(G)の源に接続して配置されることを意図した上流第1端(11)と外部の大気に接続して配置されることを意図した下流第2端(12)の間を長手方向にガスを流すための流路(1,2)を画定する本体を含み、前記装置は、平常状態において前記上流端(11)と前記下流端(12)との間をガスが流れることを防止するために前記流路(1,2)に設置されるプラグ(3)を備え、前記プラグは、決められた閾値を超えた圧力および/または温度に晒される危険な状況下において経路をガスに開放するように構成されており、
上流から下流へ、前記流路(1,2)は、2つの隣接した流れ部を含み、これらはそれぞれ上流及び下流流れ部であって、各々の横断寸法(d,D)は異なっており、下流部(2)横断寸法Dと上流部(1)の横断寸法dとの間の比率D/dは、1.4から11の間であり;
2つの隣接部分(1,2)は、流路(1,2)の横断寸法において不連続に形成し;
下流部(2)の長さLとこの下流部(2)の横断寸法Dとの間の比率L/Dは、15から100の間である
ことを特徴とする安全装置。
【請求項2】
請求項1に記載された装置において、
前記下流部(2)の横断寸法Dと前記上流部(1)の横断寸法dとの間の前記比率D/dは、1.5から10の間、好ましくは1.8から2.2の間であることを特徴とする。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された装置において、
前記下流部(2)の長さLと前記下流第2部(2)との間の前記比率L/Dは、20から60の間、好ましくは38から42の間であることを特徴とする。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置において、
前記上流部(1)の前記上流端(11)は、加圧されたガス(G)の源に接続して配置されることを意図されることを特徴とする。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置において、
前記下流部(2)の前記下流端(12)は、大気に接続して配置されることを意図されることを特徴とする。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置において、
2つの前記部分(1,2)のそれぞれの横断寸法(d,D)は、それぞれの直径または前記部分(1,2)の平均径であることを特徴とする。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置において、
前記下流部(2)の少なくとも一部は、大気に比べて酸素富化されたガスの予備を備え、前記予備は、膜のような少なくとも1つの保持部材によって下流部(2)に保存され、前記保持膜は、決められた閾値を超える圧力および/または温度に晒されると前記ガスに経路を開放し前記予備の富化ガスと混合することを許容するように構成される、ことを特徴とする。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置において、
前記下流部(2)は、下流端(12)の上流、下流部(2)と外部の大気を連通する少なくとも1つのオリフィス(4)を備え、源から発する加圧されたガス(G)の循環がある場合に自発的空気(A)吸気システムを形成することを特徴とする。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置において、
前記流路(1,2)を画定する前記本体は、少なくとも2つの分離可能な部品(5,6)で造られることを特徴とする。
【請求項10】
加圧されたガス、特に水素を含んだ可燃性ガスの容器であって、請求項1から請求項9のいずれか1つに記載された少なくとも1つの安全装置を備えることを特徴とする加圧ガスの容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−528281(P2012−528281A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512425(P2012−512425)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050884
【国際公開番号】WO2010/136692
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】