説明

加工機械の送込みステーション内において板状要素を位置決めする装置

本発明は、所定の中間位置に配置された板状要素(7a,7b,7c)を把持して板状要素(7a,7b,7c)を連続して位置する加工ステーション(3,4,6)中に定格走行状態で運搬するコンベヤ(8,9)を備えた板状要素の加工機械の送込みステーション(2)内において板状要素(7)を位置決めする装置であって、‐上流側位置から下流側位置に、そして下流側位置から上流側位置に交互(A)に長手方向に移動している板状要素(7a,7b,7c)を一時的に保持して板状要素(7a,7b,7c)を後側位置でピックアップし、これを中間位置に運ぶようにし、そして空の状態で戻る手段(18)と、‐定格走行状態の関数として保持手段(18)を上流側位置から下流側位置に、そして下流側位置から上流側位置に長手方向に移動させるモータ(23)と、‐板状要素(7,7a,7b,7c)の後側長手方向位置を検出して位置信号を出力する手段(27)とを有する形式の装置に関する。モータ(23)は、板状要素(7,7a,7b,7c)を後側位置から中間位置に移動させるよう保持手段(18)を検出手段(27)により出力された信号に従って上流側位置から種々の下流側位置に移動(A,Aa,Ab,Ac)させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送込みステーション内において板状要素を位置決めする装置に関する。本発明は、板状要素を位置決めするかかる装置を有する送込みステーションに関する。本発明は又、かかる送込みステーションを有する加工機械に関する。
【背景技術】
【0002】
加工機械、例えばプラテン又は圧盤を用いて切断を行うためのコンバート加工機(converting machine)が特に、例えばボール箱を板状要素、例えばシートから製造するための印刷・包装業界において用いられている。
【0003】
板状要素は、機械の上流側に位置していて、送込みステーション内のフィーダによりピックアップされてスタックから取り出される。これら板状要素は、コンベヤにより把持され、コンベヤは、無端グリッパバーチェーンに一定間隔で取り付けられたグリッパバーの形態をしている。無端グリッパバーチェーンにより、板状要素を機械の種々の次の加工ステーション内に送り込むことができる。グリッパバーチェーンは、定格走行状態で定期的に動いたり停止したりし、その結果、各運動中、板状要素を把持しているグリッパバーの全てが上流側ステーションから次の隣接の下流側ステーションに移される。
【0004】
切断機械では、これらステーションは、連続的に、切断ダイで板状要素を切断するステーション、屑をストリッピング(屑取り)ダイで取り出すステーション及びこれら切断板状要素パイルの状態で送り出すステーションである。
【0005】
高品質の切れ目を得るため、種々の連続したステーション内における板状要素の位置決めは、極めて重要な作業である。既に印刷済みの又は折り目線があらかじめ付けられている板状要素を切断する場合、板状要素の位置決めは、切断工具が印刷又はあらかじめ板状要素に対して実施されている加工と完全に位置合わせ状態にあるよう正確でなければならない。コンベヤは、その構成に鑑みて、種々のステーションのところで板状要素の極めて正確な運搬及び停止を実施する。したがって、この位置決めは、コンベヤにより把持されている板状要素への自由な状態にある板状要素の移行精度で決まり、この移行は、送込みステーションで行われる。
【0006】
かかる位置決めを得るため、位置決め装置は、板状要素を前進部材例えばローラ又はベルトによって給送台又は種々の形式のフィーダ上に前側停止部及び横側停止部又はレイに当てて載せるステップを実施する。未加工板状要素の場合、用いられる前側及び横側レイは、次のステーションに対して的確に配置される。したがって、板状要素は、前進部材によって迅速にジョグ送りされ、次に、グリッパバーにより把持される。次に、レイが引っ込められ、グリッパバーは、板状要素を次の加工ステーションに運び込み、そしてこれをそのステーションのプラテンの後部に対して正確に位置決めする。
【0007】
スイス国特許第676,695号明細書によれば、光電子式読み取り手段、例えばカメラが給送台の上方に配置されたかかる位置決め装置が知られている。カメラは、板状要素の前側縁部及び横側縁部を読み取り又は先の加工の印刷マーク又は他の識別印により印刷ゾーンを読み取ることができる。レイは、カメラにより受け取られた情報に応じて且つメモリに記録されたパラメータに従ってこれらレイの位置及びかくして板状要素の位置の変化及び調節を制御することができるよう動力化されている。
【0008】
しかしながら、レイを用いたこの位置決め装置は、各板状要素を前進させることがジョグ送り及び調節の時点で実際に止められるということを示唆している。これにより、機械内における板状要素の可能走行速度が制限される。
【0009】
加うるに、板状要素をレイに押し付けることにより、相当損傷して対応の縁部上に目に見えるゾーンが生じる。この損傷したゾーンは、次に、ブランク上に見られる場合がある。この損傷ゾーンにより、機械内における板状要素のつかえが生じる。
【0010】
独国特許第2520232号明細書は、機械に板状要素を給送する装置を開示している。ピックアップ箇所から来た板状要素は、棚の前に位置している前側レイ上に押し上げられる。板状要素は、棚の表面に設けられている吸引ノズルによって保持される。レイの平面内にはマイクロスイッチが設けられ、かかるマイクロスイッチは、マイクロスイッチ及びレイに対する板状要素の前側縁部の正確な位置決めをモニタする。他のレイは、板状要素が前側レイ上に押し上げられている間、板状要素を保持する。
【0011】
棚は、単一方向に回転するモータによって駆動されるカムによって動かされることにより前方に動き、次に後方に動く。カムは、端部のところに玉継手を備えた回動アームを押し、玉継手は、棚の下に設けられているハウジング内に配置されている。棚は、ばねにより引っ張られることによりアームと一緒に戻る。カムが丸一回転すると、アーム及びかくして棚は、前後運動を交互に行う。
【0012】
しかしながら、カムは、棚をその最大前側位置に動かし、次にこの棚をその後側開始位置に戻すよう常に丸一回転する必要がある。カム及びレイの存在に起因して、棚の交互運動ストロークは、常時固定状態且つ完全にカムの形状に依存したままである。フォーマット、この場合、板状要素の長さを変化させるにはカムの交換が必要であり、このことは、機械の生産性に関して、調節時間をできるだけ短くするという現行の要件と両立しない。
【0013】
この先行技術の文献では、棚及びかくして板状要素の位置の変化又は長手方向調節を行うことは不可能である。板状要素の長手方向配置が不正確である場合、棚は、修整を行うことができない。
【0014】
さらに、接触しないで板状要素の前側縁部を検出するための手段が設けられておらず又は記載されていない。したがって、板状要素は、これらの前ジョグ送りに鑑みて、損傷する。この状況は、加工されなければならない板状要素が積層波形厚紙又は段ボールである場合により一層際立つ。積層底部シートの前側縁部は、波形部及び頂部シートに対して突き出ている。かかる厚紙をジョグ送りすることは、底部シートが所与の長さにわたって損傷すると共に/或いは上下に折れ曲がり又は厚紙の前側縁部に当たって折れ曲がることを示唆している。
【0015】
さらに、積層波形厚紙の板状要素の場合、後側長手方向位置に対応した開始基準系は、板状要素が開始ゲージに対して位置決めされた場合又は板状要素がレイに当接した場合、積層底部シートの柔軟性に鑑みて、失われ又は極めて不正確である。したがって、コンベヤにより把持されている板状要素の位置決めは、不正確になり、機械による不正確な加工が行われる。
【0016】
また、欧州特許第1,044,908号明細書から、板状要素、例えばプラテンプレス用の厚紙の板状要素を位置決めする方法及び装置が知られている。この位置決め装置は、レイを用いないで作動し、かかる位置決め装置は、位置決めされるべき板状要素の一時的取り付け部を備えた可動棚の形態をしている一時的保持手段を有する。
【0017】
この棚は、一方において、プラテンプレスのクランクにより前から後への長手方向運動を行い、他方において、是正運動を行う。これら運動は、各々がキャリジ、長手方向スライダ内で摺動する中央キャリジ及び横方向スライダ内で摺動する2つの横側キャリジに固定された3つの垂直ピボット回りに行われる。この棚の是正運動は、光電子式検出手段により制御される3つの特定のリニアモータによって生じる。
【0018】
是正は、板状要素の前側縁部をグリッパバーの形態をしたコンベヤ内に正確な基準位置に運ぶよう可動棚による板状要素の駆動中に行われる。次に、棚の一時的取り付け部は、板状要素をリリースし、別の板状要素をピックアップするために棚を開始位置に戻すのが良い。板状要素を運搬している間ずっと板状要素の連続した正確な位置決めを行うこの装置は、板状要素をジョグ送りするのに必要な時間を節約し、それにより、加工機械の速度を実質的に増大させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】スイス国特許第676,695号明細書
【特許文献2】独国特許第2520232号明細書
【特許文献3】欧州特許第1,044,908号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、このようにして得られる生産性の向上では、相当な投資が必要である。確かに、従来型ジョグ送りシステムとかかる連続位置決め装置との間におけるコストの増大は、かなりものであり、或る特定の形式の機械についてのみ経済的に許される。加工されるべき板状要素の種類に応じて、ユーザは、必ずしも、同じほど効率的であり且つ同じほど複雑な位置決め装置を必要とする訳ではない。
【0021】
本発明の主目的は、板状要素を加工する機械の送込みステーション内において板状要素位置決めする装置を開発することにある。第2の目的は、構築及び実施が特に簡単であり且つそれほどコスト高ではない位置決め装置を構築することにある。第3の目的は、送込みステーションに正確且つ迅速に作動させるうえで必要な改造がほんの最小限に抑えられた板状要素の位置決め装置を装備することにある。更に別の目的は、次のコンベヤが正確に位置合わせされた板状要素を送込みステーション及び位置決め装置により把持し、板状要素を効果的に加工されるようにステーション内に送り込むことができるようにする板状要素の加工機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の要旨は、板状要素を加工する機械の送込みステーション内において板状要素を位置決めする装置にある。加工機械は、所定の中間位置に見出されるこの板状要素を把持し、この板状要素を次の加工ステーションに定格走行状態で送り込むコンベヤを備えている。この装置は、所定の中間位置に見出された板状要素を把持して板状要素を連続加工ステーション中に定格走行状態で運搬するコンベヤを備えた板状要素の加工機械の送込みステーション内において板状要素を位置決めする装置であって、
‐上流側位置から下流側位置に、そして下流側位置から上流側位置に交互に長手方向に移動している板状要素を一時的に保持して板状要素を後側位置でピックアップしてこれを中間位置に運ぶようにし、そして空の状態で戻る手段と、
‐定格走行状態の関数として保持手段を上流側位置から下流側位置に、そして下流側位置から上流側位置に長手方向に移動させるモータと、
‐板状要素が見出される後側長手方向位置を検出して位置信号を出力する手段とを有する形式のものである。
【0023】
本発明の一観点によれば、この装置は、モータが、板状要素を後側位置から中間位置に運ぶよう保持手段を検出手段により出力された信号の関数として上流側位置から種々の下流側位置に移動させることができることを特徴としている。
【0024】
本明細書全体を通じて、板状又はシート状要素は、あくまで非網羅的な例としてであるが、例えば紙、扁平な厚紙、段ボール、積層波形厚紙、軟質プラスチック、例えばポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)若しくは他のポリマーのような材料又は更に別の材料で作られるものとして定義される。
【0025】
板状要素には、加工機械における加工方法が実施される。加工は、切断プロセスであるのが良い。加工は、印刷プロセスであっても良く、図形記号を板状要素の表面上に施すと共に/或いは板状要素の表面に魅力的な外観を与えるために、かかる印刷プロセス中、1種類又は2種類以上の色が板状要素の表面に施される。加工は、折り目入れ、エンボス加工、構造化、ホットスタンピング(箔押しとも呼ばれている)、ラベル又はホログラムの貼付又は付着その他のプロセスであっても良い。この加工済み板状要素は、印刷面のうちの何割か又は全てを覆うワニスの層を有するのが良い。
【0026】
加工機械は、あくまで非網羅的な例としてであるが、プラテン切断機械、例えばフレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷による少なくとも1つの印刷ユニット又はエンボス加工ユニット、折り目入れユニット又はホットスタンピングユニットを備えた印刷機、ディジタル印刷機、インクジェット印刷機等であるものとして定義される。
【0027】
長手方向は、機械内におけるその長手方向中心線上における要素の移動方向に関して定められる。上流側の方向及び下流側の方向は、送込みステーション及び加工機械全体中における長手方向における要素の移動方向に関して定められる。
【0028】
換言すると、モータは、一時的保持手段に機械的に連結されている。このモータにより、一時的保持手段が板状要素と共に上流側から下流側に動き、次に、板状要素なしで空の状態で下流側から上流側に移動するだけでなく、これら同じ一時的保持手段は、一時的保持手段上に見出される板状要素の不正確な又は間違った後側位置決めを考慮に入れながら板状要素と共に上流側から下流側に移動する。
【0029】
長手方向位置決めは、一時的保持手段を動かす単一のモータにより正確且つ十分な仕方で達成される。レイによる前ジョグ送りは、行われない。検出手段により出力された信号は、要素の瞬時後側位置、即ち、次に基準位置と比較される位置を計算するために用いられる。次に、この信号により、要素を後側位置から選択された中間位置に運ぶことができる。
【0030】
既存の位置決め装置の更新又はレトロフィット(改造)は、前側レイを取り外し、制御されると共に保持手段を長手方向に動かすモータを用いるという形態を取る。位置決め装置のための既存の機械的駆動装置は、機械の全体的駆動装置から切り離され、これに代えてこのモータが用いられる。
【0031】
本発明の別の観点では、板状要素を加工する機械用の送込みステーションは、これが上述すると共に特許請求の範囲に記載された1つ又は2つ以上の技術的特徴を備えた装置を有するという特徴を備えている。
【0032】
本発明の更に別の観点によれば、板状要素を加工する機械は、これが上述すると共に特許請求の範囲に記載されている1つ又は2つ以上の技術的特徴を備えた送込みステーションを有するという特徴を備えている。
【0033】
本発明の内容は、添付の図面を参照して行われる実施形態の非限定的な例の以下の説明から明らかに理解されると共にその種々の利点及び特徴も又良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】板状要素を加工する機械の概略側面図である。
【図2】本発明の板状要素の位置決め装置を備えた図1の加工機械の送込みステーションの部分斜視図である。
【図3】図2の板状要素の位置決め装置を1つの上流側位置及び3つの下流側位置で示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に示されているように、板状要素を加工する機械、この場合、プラテンプレス(1)は、順番に種々の加工ステーション(2,3,4,6)、即ち、送込みステーション(2)、切断ステーション(3)、屑取りステーション(4)及び受取りステーション(6)を有している。板状要素、即ち、切断されるべき厚紙のシート(7)は、把持されてコンベヤによりプレス(1)を横切って運搬される。
【0036】
コンベヤは、通常、把持部材、この場合、横方向グリッパバー(8)に取り付けられた一連のグリッパによって構成されるのが良く、横方向グリッパバー(8)は、点線で概略的に示されていて、切断されるべきシート(7)を長手方向(矢印Lの方向)に駆動するグリッパバーチェーン(9)に固定されるのが良い。グリッパバー(8)は、所定の中間位置にある切断されるべきシート(7)を把持し、グリッパバーチェーン(9)は、これらを定格走行状態で連続して位置する加工ステーション(2,3,4,6)に運ぶ。
【0037】
グリッパバーチェーン(9)は、定格走行状態で運搬されたり定期的に停止させられたりし、その結果、運搬中、各グリッパバー(8)は、そのシート(7)と共に、上流側ステーションからその隣りの下流側ステーションに移されるようになる。グリッパバー(8)の停止位置は、一定距離にわたるグリッパバーチェーン(9)の運搬によって定められる。
【0038】
通常、切断ステーション(3)は、切断カウンターフォーマ(カウンター型)が取り付けられた下側可動プラテン(11)及び上側固定ビーム(12)を有し、この上側固定ビームの下面には、切断工具が取り付けられ、又は切断ステーション(3)は、これとは逆に、下側固定ビーム及び上側可動プラテンを有する。切断されたシート(13)は、受取りステーション(6)のところでグリッパバー(8)から分離され、グリッパバー(8)は、前側屑を依然として保持している。受け取りステーション(6)の上には、切断されたシート(13)の前側屑を排出するようになったコンベヤベルト(14)が設けられている。次に、切断シート(13)は、パイルをなしてプレス(1)から排出される。
【0039】
送込みステーション(2)は、切断されるべきシートを位置決めし、切断されるべきシート(7)を送込みステーション(2)から切断ステーション(3)に運ぶ装置(15)を備えている。送込みステーション(2)では、切断されるべきシート(7)は、パイル(16)の状態で配置され、このパイルは、特に、ゲージ(17)に圧接する。位置決め装置(15)は、一方において、切断されるべきシート(7)を一時的に保持する手段又は送込み装置(18)を有している。ゲージ(17)の底部のところに残されている隙間により、切断されるべきシート(7)は、送込み装置(18)によってパイル(16)の底部から1枚ずつ取り出される。
【0040】
送込み装置(18)は、長手方向に、上流側位置から下流側位置に、そしてこれとは逆に、下流側位置から上流側位置(図2及び図3において矢印A,Aa,Ab,Ac)に交互に移動する。送込み装置(18)は、切断されるべきシート(7)をパイル(16)の底部のところで後方位置でピックアップし、このシートを所定の中間位置、即ち、シートを把持するグリッパバー(8)が見出されるべき正確な場所に運ぶ。送込み装置(18)は、次に、その上流側位置に空の状態で戻る。
【0041】
第1の実施形態では、有利には、インサータは、長手方向(A)に移動することができる棚(18)の形態をしているのが良い。棚(18)は、好都合には、フレーム(21)に取り付けられた2つの下側長手方向スライダ(19)上で長手方向に(A)摺動することができる。
【0042】
第1の実施形態の第1の変形例では、棚(18)は、切断されるべきシート(7)をこれらの下面に作用することによってピックアップするために真空源(図示せず)に連結された吸引穴(22)を有しても良い。グリッパバー(8)が切断されるべきシート(7)を把持すると、かかるシート(7)を的確な時点でリリースする真空吸引力制御手段も又設けられている。
【0043】
位置決め装置(15)は、送込み装置(18)をプレス(1)の定格走行状態に応じて、上流側位置から下流側位置に、そして下流側位置から上流側位置に長手方向に(A)動かすモータ(23)を更に有している。送込み装置(18)のモータ(23)は、通常プレス(1)のクランクの出力シャフトの角度により検出されるプレス(1)のグリッパバーチェーン(9)の定格走行状態に従って位置的に従動する。
【0044】
本発明によれば、モータ(23)は、切断されるべきシート(7)を後側位置から中間位置に運ぶようにするために上述の一時的保持手段、即ち、送込み装置(18)を検出手段により出力された信号に応じて上流側位置から種々の下流側位置に動かす(A,Aa,Ab,Ac)ことができる。
【0045】
位置決め装置(15)は、好ましくは、駆動アーム(24)を有するのが良い。関節連結部分(25)がアーム(24)と送込み装置(18)との間の機械的リンクとなる。アーム(24)は、送込み装置(18)をモータ(23)の駆動シャフト(26)に機械的に固定するのが良い。
【0046】
位置決め装置(15)は、切断されるべきシート(7)が見出されるべき後側長手方向位置を検出し、位置決め信号を出力する手段(27)を更に有する。これら検出手段(27)は、ゲージ(17)のすぐ下流側に配置されている。これら検出手段(27)は、光電子センサ形式のものである。これら手段(27)は、切断されるべきシート(7)の前側縁部及び/又は切断されるべきシート(7)の上面にあらかじめ印刷されているマーク及び/又は切断されるべきシート(7)の下面にあらかじめ印刷されているマークを検出することができ、この場合、検出手段(27)は、送込み装置(18)の下に配置される。
【0047】
モータ23は、角度移動量に従ってその駆動シャフト(26)を回動させ(図2及び図3における矢印T,Ta,Tb,Tc)、この角度移動量は、プレス(1)のグリッパバーチェーン(9)の定格走行状態及び切断されるべきシート(7)の正確な位置を検出する検出手段(27)により出力された信号の関数である。
【0048】
先行技術においては、プレス(1)のクランクは、切断ステーション(3)の下側可動プラテン(11)を駆動するだけでなく、送込み装置(18)を上流側から下流側に、そして下流側から上流側に動かすシャフト(26)を駆動する。本発明では、シャフト(26)は、プレス(1)の主モータから機械的に分離され、送込み装置(18)の運動は、プレス(1)の定格走行状態の関数と検出手段(27)により出力された信号の関数の両方としてコンピュータ処理ユニット(28)により制御される。
【0049】
駆動シャフト(26)により、アーム(24)は、上流側から下流側に、そして下流側から上流側に傾動して(T,Ta,Tb,Tc)送込み装置(18)を上流側位置から種々の下流側位置に動かし(A,Aa,Ab,Ac)、それにより切断されるべきシート(7)を種々の長手方向後側位置からグリッパバー(8)のところの単一の中間位置に至らせる。
【0050】
図3に示されているように、切断されるべきシート(7a)がパイル(16)中の正確な後側位置に配置されると、検出手段(27)は、モータ(23)を制御する対応の信号をコンピュータ処理ユニット(28)に送る。アーム(24)は、傾動され(Ta)、送込み装置(18)は、切断されるべきシート(7a)をまさに後側の位置から正確な中間位置に運ぶようコンピュータ計算された移動量に基づいてモータ(23)によって動かされる(Aa)。
【0051】
切断されるべきシート(7b又は7c)がパイル(16)中のはるかに後ろ過ぎるほどの位置に配置されると、検出手段(27)は、モータ(23)を制御する対応の信号をコンピュータ処理ユニット(28)に送る。アーム(24)は、傾動され(Tb又はTc)、送込み装置(18)は、コンピュータ計算された移動量に基づいてモータ(23)によって動かされ(Ab又はAc)、それにより、切断されるべきシート(7b又は7c)をはるかに後ろ過ぎるほどの位置からグリッパバー(8)のところの正確且つ是正された中間位置に運ぶ。
【0052】
第1の実施形態の第2の変形例では、棚(18)の形態をしたインサータは、切断されるべきシート(7)をその前縁部に作用して一時的にピックアップするよう回動可能に取り付けられた把持グリッパを有するのが良い。グリッパバー(8)が切断されるべきシート(7)を把持すると、かかるシート(7)を的確な時点でリリースする真空吸引力制御手段も又設けられている。
【0053】
第2の実施形態では、切断されるべきシート(7)の一時的保持手段は、例えば、欧州特許第0,501,213号明細書に記載された無端ベルトと実質的に同様のモータにより駆動される無端ベルト付きの真空コンベヤの形態をしているのが良い。このような形式の一時的保持手段は、1つの面に多くの吸引穴が設けられている吸引チャンバを有し、この吸引チャンバは、真空源、例えば真空吸込みポンプに連結される。1組の無端コンベヤバンド又はベルトがチャンバの前側端部及び後側端部のところに配置されたプーリにより案内されると共に駆動され、かかるバンド又はベルトは、チャンバの有孔面に沿って進んで反対側の面に戻る。
【0054】
本発明に従って制御されるモータは、エンドプーリのうちの1つを駆動する。かくして、切断されるべきシート(7)は、吸引力により無端ベルトに張り付けられ、次に、正確な中間位置に運ばれ、ここで、コンベヤ(8)により把持される。切断されるべきシート(7)の移動距離は、検出手段(27)により検出されるこれらの開始長手方向後側位置の関数である。
【0055】
第3の実施形態では、切断されるべきシート(7)の一時的保持手段は、モータにより駆動され、例えば、欧州特許第0,363,662号明細書に記載されているローラと実質的に同じローラを備えた真空コンベヤの形態をしているのが良い。このような形式の一時的保持手段は、一連のクロスメンバにより互いに連結された2本のビームで構成されるフレームから成る。これら側部ビームは、一体形支承体を介して、切断されるべきシート(7)の移動方向に対して直角をなす互いに平行な一連のシャフトを支持する。これらシャフトは、ブロックから切り出された一連の駆動ローラを有している。プレートが長方形開口部のところを除きフレームの下面を覆っており、ローラの下側部分は、これら長方形開口部を通過し、かくして、かかるローラの下側部分は、プレートから出る。
【0056】
本発明に従って制御されるモータは、シャフト及びかくしてローラを駆動する。かくして、切断されるべきシート(7)は、吸引力によりローラに張り付けられ、次に、正確な中間位置に運ばれ、ここで、コンベヤ(8)により把持される。切断されるべきシート(7)の移動距離は、検出手段(27)により検出されるこれらの開始長手方向後側位置の関数である。
【0057】
第4の実施形態では、切断されるべきシート(7)の一時的保持手段は、プレート及びモータにより駆動される歯付きベルトを備えた真空コンベヤの形態をしているのが良い。このような形式の一時的保持手段は、三角形の形態に配置された少なくとも3つのピニオンを有する。これらピニオンには、互いに平行に配置されることにより1本又は2本以上のベルトが取り付けられている。吸引開口部を備えた真空プレートがこのベルト又はこれらベルトに取り付けられている。
【0058】
本発明に従って制御されるモータは、ピニオンのうちの1つである駆動ピニオン、1本又は複数本のベルト及びかくして真空プレートを駆動する。かくして、切断されるべきシート(7)は、吸引力により真空プレートに張り付けられ、次に、正確な中間位置に運ばれ、ここで、コンベヤ(8)により把持される。切断されるべきシート(7)の移動距離は、検出手段(27)により検出されるこれらの開始長手方向後側位置の関数である。
【0059】
第5の実施形態では、切断されるべきシート(7)の一時的保持手段は、プレート並びにモータにより駆動されるラック及びピニオンを備えた真空コンベヤの形態をしているのが良い。このような形式の一時的保持手段は、ピニオンにより動かされるラックを有する。吸引開口部を備えた真空プレートがこのラックに取り付けられている。
【0060】
本発明に従って制御されるモータは、この駆動ピニオン及びかくして真空プレートを駆動する。かくして、切断されるべきシート(7)は、吸引力により真空プレートに張り付けられ、次に、正確な中間位置に運ばれ、ここで、コンベヤ(8)により把持される。切断されるべきシート(7)の移動距離は、検出手段(27)により検出されるこれらの開始長手方向後側位置の関数である。
【0061】
第6の実施形態では、切断されるべきシート(7)の一時的保持手段は、プレート及びモータの役割を果たす電動式シリンダを備えた真空コンベヤの形態をしているのが良い。このような形式の一時的保持手段は、固定シャフト及び固定シャフト上に嵌められていて、運動の際に駆動される可動部分を備えた電動式シリンダを有する。吸引開口部を備えた真空プレートがこの可動部分に取り付けられている。
【0062】
駆動シリンダは、本発明に従って制御され、かくして、真空プレートを駆動する。かくして、切断されるべきシート(7)は、吸引力により真空プレートに張り付けられ、次に、正確な中間位置に運ばれ、ここで、コンベヤ(8)により把持される。切断されるべきシート(7)の移動距離は、検出手段(27)により検出されるこれらの開始長手方向後側位置の関数である。
【0063】
第7の実施形態では、切断されるべきシート(7)の一時的保持手段は、プレート、カム及びモータの役割を果たす電動式シリンダを備えた真空コンベヤの形態をしているのが良い。このような形式の一時的保持手段は、第1の実施形態、第1の変形例及び第2の変形例について説明した交互運動と同様に交互運動状態で回動するアームを有する。真空開口部を備えた真空プレートがこのアームの端部に取り付けられている。カム制御装置がアームを駆動する。さらに、電動式シリンダがアームとカム制御装置との間に挿入される。
【0064】
カムが丸一回転すると、アーム及びかくして棚は、定格走行状態に従って交互運動を行う。駆動シリンダは、本発明に従って制御され、かくして、真空プレートを駆動する。かくして、切断されるべきシート(7)は、吸引力により真空プレートに張り付けられ、次に、正確な中間位置に運ばれ、ここで、コンベヤ(8)により把持される。切断されるべきシート(7)の移動距離は、検出手段(27)により検出されるこれらの開始長手方向後側位置の関数である。
【0065】
第8の実施形態では、切断されるべきシート(7)の一時的保持手段は、プレート及びモータの役割を果たすボールねじを備えた真空コンベヤの形態をしているのが良い。このような形式の一時的保持手段は、回転ウォームギヤ及びウォームギヤ上に嵌められていて、運動の際に駆動される可動ナットを備えたボールねじを有する。吸引開口部を備えた真空プレートがナットに取り付けられる。
【0066】
本発明に従って制御されるモータは、ウォームギヤ、このナット及びかくして真空プレートを駆動する。かくして、切断されるべきシート(7)は、吸引力により真空プレートに張り付けられ、次に、正確な中間位置に運ばれ、ここで、コンベヤ(8)により把持される。切断されるべきシート(7)の移動距離は、検出手段(27)により検出されるこれらの開始長手方向後側位置の関数である。
【0067】
本発明は、説明すると共に図示した実施形態には限定されない。それにも関わらず、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲により定められる内容から逸脱しないで、多くの改造例を想到できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機械(1)の送込みステーション(2)内において板状要素(7)を位置決めし、コンベヤ(8,9)を備え、所定の中間位置に見出された前記板状要素(7)を把持し、前記板状要素(7)を次の加工ステーション(3,4,6)中に定格走行状態で運搬するための装置であって、
‐上流側位置から下流側位置に、そして下流側位置から上流側位置に交互(A)に長手方向に移動している前記板状要素(7)を一時的に保持して前記板状要素(7)を後側位置でピックアップし、これを中間位置に運ぶようにし、そして空の状態で戻る手段(18)と、
‐前記定格走行状態の関数として前記保持手段(18)を上流側位置から下流側位置に、そして下流側位置から上流側位置に長手方向に移動させるモータ(23)と、
‐前記板状要素(7,7a,7b,7c)が見出される後側長手方向位置を検出して位置信号を出力する手段(27)とを有する形式の装置において、
前記モータ(23)は、前記板状要素(7,7a,7b,7c)を前記後側位置から前記中間位置に運ぶように、前記保持手段(18)を前記検出手段(27)により出力された前記信号の関数として前記上流側位置から種々の下流側位置に移動(A,Aa,Ab,Ac)させることができる、装置。
【請求項2】
前記保持手段は、長手方向に動くことができる棚(18)の形態をしている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、前記保持手段(18)を前記モータ(23)の駆動シャフト(26)に機械的に固定する駆動アーム(24)を有する、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記棚(18)は、2つの下側長手方向スライダ(19)上で長手方向に摺動する、請求項2又は3記載の装置。
【請求項5】
前記棚(18)は、前記板状要素(7,7a,7b,7c)をピックアップするよう真空源に連結された吸引穴(22)を有する、請求項2〜4のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項6】
前記棚は、前記板状要素(7,7a,7b,7c)をその前側縁部に作用してピックアップするよう回動可能に取り付けられた把持グリッパを有する、請求項2〜4のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項7】
前記保持手段は、前記モータ(23)によって駆動される無端ベルト付きの真空コンベヤの形態をしている、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記保持手段は、前記モータ(23)によって駆動されるローラ付きの真空コンベヤの形態をしている、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記コンベヤは、側方チェーン(9)に固定された横方向バー(8)に取り付けられている一連のグリッパを有する、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項10】
板状要素(7,7a,7b,7c)を加工する機械(1)用の送込みステーションにおいて、前記送込みステーションは、請求項1〜9のうちいずれか一に記載の装置(15)を有する、送込みステーション。
【請求項11】
板状要素(7,7a,7b,7c)を加工する機械において、前記機械は、請求項10記載の送込みステーション(2)を有する、機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−516275(P2012−516275A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546667(P2011−546667)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000170
【国際公開番号】WO2010/086087
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(592233428)ボブスト ソシエテ アノニム (31)
【Fターム(参考)】