説明

加工装置及び加工装置における作動プログラム管理方法

【課題】加工装置が確実に特定されるとともに正しい作動プログラムの経歴が分かる加工装置及び作動プログラム管理方法を提供する。
【解決手段】被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物に加工を施す加工手段とを備えた加工装置であって、加工装置を特定する製品番号及び加工装置を作動する複数の作動プログラムを特定する複数のパーツ番号とを記憶した記憶手段と、該記憶手段に記憶されている該製品番号と該パーツ番号とを二次元コードに変換すると共に自動更新するコード更新手段と、該二次元コードを表示する表示手段と、を具備し、表示手段上の二次元コードを撮像し、メーカーに送信してメーカー側で加工装置の製品番号及び作動プログラムのパーツ番号を取得し、製品番号によって加工装置を確認するとともに加工装置にインストールされている複数の作動プログラムパーツ番号を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置(ダイシング装置)、研削装置等の加工装置及び加工装置における作動プログラム管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC,LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成された半導体ウエーハは、研削装置によって裏面が研削されて所定の厚さに薄化された後、切削装置(ダイシング装置)によって個々のデバイスに分割され、分割されたデバイスは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
研削装置は、カセットに対してウエーハを搬出入する搬送ロボットと、搬出されたウエーハの中心出しを行う仮置きテーブルと、該仮置きテーブルからウエーハを吸引保持するチャックテーブルにウエーハを搬入する搬入手段と、チャックテーブルに保持されたウエーハを研削する研削手段と、研削されたウエーハを搬出する搬出手段と、搬出されたウエーハを洗浄する洗浄手段とから概ね構成されていて、ウエーハの裏面を高精度に研削することができる(例えば、特開2008−183659号公報参照)。
【0004】
また、切削装置は、カセットに対してウエーハを搬出入する搬出入手段と、搬出されたウエーハの中心出しを行う仮置きテーブルと、仮置きテーブルからウエーハを搬送する搬送手段と、搬送されたウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削手段と、切削されたウエーハを搬出する搬出手段と、搬出されたウエーハを洗浄する洗浄手段とから概ね構成されていて、ウエーハを高精度に個々のデバイスに分割することができる(例えば、特開平7−45556号公報参照)。
【0005】
研削装置、切削装置等の加工装置は複数の作動プログラムによって制御されており、加工装置のメーカーはトラブル対応、機能変更、センサーの追加等のユーザーからの要望に従って作動プログラムの修正又はバージョンアップ等を行い、ユーザーに納めた加工装置の作動プログラムを適宜変更している。
【0006】
また、ユーザーから作動プログラムの修正又はバージョンアップの依頼を受けたメーカーは、過去の修正又はバージョンアップの経歴を見ながらどの作動プログラムの修正又はバージョンアップすればよいかを確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−183659号公報
【特許文献2】特開平7−45556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ユーザーから又はメーカーのサービスマンから加工装置を特定する製品番号が間違えて報告される場合があり、修正又はバージョンアップの経歴を確認して必要な修正又はバージョンアップを行っても、所望の修正、バージョンアップができないという問題がある。
【0009】
また、ユーザーに納められた全ての加工装置に標準の修正ソフトをインストールしなければならない場合に、インストール漏れが生じてメーカーが管理する経歴と加工装置にインストールされている作動プログラムとが一致せず、メーカー側で混乱が生じて作業が手間取り生産性が悪いという問題がある。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加工装置が確実に特定されるとともに、正しい作動プログラムの経歴が分かる加工装置及び加工装置の作動プログラム管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明によると、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物に加工を施す加工手段とを備えた加工装置であって、加工装置を特定する製品番号及び加工装置を作動する複数の作動プログラムを特定する複数のパーツ番号とを記憶した記憶手段と、該記憶手段に記憶されている該製品番号と該パーツ番号とを二次元コードに変換すると共に自動更新するコード更新手段と、該二次元コードを表示する表示手段と、を具備したことを特徴とする加工装置が提供される。
【0012】
請求項2記載の発明によると、請求項1記載の加工装置における作動プログラム管理方法であって、該表示手段に表示された該二次元コードを撮像する撮像工程と、該撮像工程で撮像された二次元コードを送信手段によって加工装置の作動プログラムを管理するメーカーに送信する送信工程と、受信した二次元コードを復号して加工装置の製品番号及び作動プログラムのパーツ番号を取得する復号工程と、復号された該製品番号によって加工装置を確認すると共に該加工装置にインストールされている複数の作動プログラムのパーツ番号を確認する確認工程と、作動プログラムの修正又はバージョンアップを行う修正プログラムインストール工程と、を具備したことを特徴とする作動プログラム管理方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の作動プログラム管理方法によると、携帯電話等により表示手段上に表示された二次元コードを撮像してこの二次元コードをメーカーに送信し、メーカー側では受信した二次元コードを復号してバージョンアップすべき加工装置又は修正すべき作動プログラムを特定できるとともに、正しい作動プログラムの経歴を認識して作動プログラムの修正又はバージョンアップを円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の作動プログラム管理方法が適用可能な切削装置の外観斜視図である。
【図2】コード更新手段の模式図である。
【図3】表示手段上に表示された二次元コードを示す図である。
【図4】携帯電話で撮像した二次元コードを切削装置のメーカーに送信する様子を示す模式図である。
【図5】復号装置による復号工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の作動プログラム管理方法が適用可能な、半導体ウエーハをダイシングして個々のチップ(デバイス)に分割することのできるダイシング装置(切削装置)2の外観を示している。
【0016】
切削装置2の前面側には、オペレータが加工条件等の装置に対する指示を入力するための操作手段4が設けられている。装置上部には、オペレータに対する案内画面や後述する撮像手段によって撮像された画像が表示されるCRT等の表示手段6が設けられている。
【0017】
ダイシング対象のウエーハWは粘着テープであるダイシングテープTに貼着され、ダイシングテープTの外周縁部は環状フレームFに貼着されている。これにより、ウエーハWはダイシングテープTを介してフレームFに支持された状態となり、図1に示したウエーハカセット8中にウエーハが複数枚(例えば25枚)収容される。ウエーハカセット8は上下動可能なカセットエレベータ9上に載置される。
【0018】
ウエーハカセット8の後方には、ウエーハカセット8から切削前のウエーハWを搬出するとともに、切削後のウエーハをウエーハカセット8に搬入する搬出入手段10が配設されている。ウエーハカセット8と搬出入手段10との間には、搬出入対象のウエーハが一時的に載置される領域である仮置き領域12が設けられており、仮置き領域12には、ウエーハWを一定の位置に位置合わせする位置合わせ手段14が配設されている。
【0019】
仮置き領域12の近傍には、ウエーハWと一体となったフレームFを吸着して搬送する旋回アームを有する搬送手段16が配設されており、仮置き領域12に搬出されたウエーハWは、搬送手段16により吸着されてチャックテーブル18上に搬送され、このチャックテーブル18に吸引されるとともに、複数のクランプ19によりフレームFがクランプされることでチャックテーブル18上に保持される。
【0020】
チャックテーブル18は、回転可能且つX軸方向に往復動可能に構成されており、チャックテーブル18のX軸方向の移動経路の上方には、ウエーハWの切削すべきストリートを検出するアライメント手段20が配設されている。
【0021】
アライメント手段20は、ウエーハWの表面を撮像する撮像手段22を備えており、撮像により取得した画像に基づき、パターンマッチング等の処理によって切削すべきストリートを検出することができる。撮像手段22によって取得された画像は、表示手段6に表示される。
【0022】
アライメント手段20の左側には、チャックテーブル18に保持されたウエーハWに対して切削加工を施す切削手段24が配設されている。切削手段24はアライメント手段20と一体的に構成されており、両者が連動してY軸方向及びZ軸方向に移動する。
【0023】
切削手段24は、回転可能なスピンドル26の先端に切削ブレード28が装着されて構成され、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能となっている。切削ブレード28は撮像手段22のX軸方向の延長線上に位置している。
【0024】
切削ブレード28による切削が終了したウエーハWはY軸方向に移動可能な搬送手段25により把持されて洗浄装置27まで搬送される。洗浄装置27では、洗浄ノズルから水を噴射しながらウエーハWを低速回転させることによりウエーハを洗浄する。
【0025】
以下、上述した切削装置2の作動プログラムを管理する本発明実施形態の作動プログラム管理方法について説明する。切削装置2の記憶手段(メモリ)には、切削装置の製品番号(例えば、DSA1120550)及びインストールした複数の作動プログラム番号(パーツ番号)がテーブル32として記憶されている。
【0026】
本発明の作動プログラム管理方法では、図2に示すように、コード更新手段30がテーブル32として記憶手段に記憶されている製品番号とパーツ番号とを二次元コード34に変換すると共にプログラムの修正等があった場合には二次元コード34を自動更新する。
【0027】
切削装置2のメーカーでは、トラブル対応、機能変更、センサーの追加等のユーザーからの要望に従って行う作動プログラム修正又はバージョンアップ等のデータを常に管理している。よって、二次元コード34のデータとメーカー側で管理しているデータとは通常は一致するはずである。
【0028】
製品番号とパーツ番号とが変換された二次元コード34及び二次元コード34の更新は、図3に示すように切削装置2の表示手段6上に表示される。本発明の作動プログラム管理方法では、この表示手段6上に表示された二次元コード34を例えば携帯電話36で撮像し、図4に示すように、撮像した二次元コード34を切削装置のメーカー38に送信する。
【0029】
メーカー38側では、図5に示すように、受信した二次元コード34を復号装置40で復号して、切削装置2の製品番号及び作動プログラムのパーツ番号を取得する。取得した製品番号及び作動プログラムのパーツ番号を自社で管理しているデータベースと比較することにより、復号された製品番号によってユーザーの切削装置を確認できるとともに、切削装置にインストールされている複数の作動プログラムのパーツ番号を確認することができる。
【0030】
この確認作業により、製品番号及び全てのパーツ番号が一致していれば何ら問題なく、サービスマンをユーザーの元に派遣して作動プログラムの修正又はバージョンアップを行う修正プログラムをインストールすることができる。
【0031】
もし上述した確認作業で、作動プログラムのインストール忘れ等の何らかの不一致が発見された場合には、そのインストール忘れのプログラムとともに新たにインストールすべき修正プログラムをサービスマンがユーザーの元に持参し、これらのプログラムをインストールすることにより問題を解決することができる。
【0032】
上述した説明では、本発明の作動プログラム管理方法を切削装置2に適用した例について説明したが、本発明の作動プログラム管理方法はこれに限定されるものではなく、研削装置、研磨装置等の他の加工装置にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
2 切削装置
6 表示手段
18 チャックテーブル
24 切削手段
30 コード更新手段
32 テーブル
34 二次元コード
36 携帯電話
40 復号手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物に加工を施す加工手段とを備えた加工装置であって、
加工装置を特定する製品番号及び加工装置を作動する複数の作動プログラムを特定する複数のパーツ番号とを記憶した記憶手段と、
該記憶手段に記憶されている該製品番号と該パーツ番号とを二次元コードに変換すると共に自動更新するコード更新手段と、
該二次元コードを表示する表示手段と、
を具備したことを特徴とする加工装置。
【請求項2】
請求項1記載の加工装置における作動プログラム管理方法であって、
該表示手段に表示された該二次元コードを撮像する撮像工程と、
該撮像工程で撮像された二次元コードを送信手段によって加工装置の作動プログラムを管理するメーカーに送信する送信工程と、
受信した二次元コードを復号して加工装置の製品番号及び作動プログラムのパーツ番号を取得する復号工程と、
復号された該製品番号によって加工装置を確認すると共に該加工装置にインストールされている複数の作動プログラムのパーツ番号を確認する確認工程と、
作動プログラムの修正又はバージョンアップを行う修正プログラムインストール工程と、
を具備したことを特徴とする作動プログラム管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−59045(P2012−59045A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202037(P2010−202037)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】