説明

加熱ゲル化ポリマー、水混和性揮発性有機溶媒および有機UVスクリーニング剤を含む、水中油型または水中油中水型エマルションの形態の化粧用または皮膚科学的組成物

加熱ゲル化ポリマー、水混和性揮発性有機溶媒および有機UVスクリーニング剤を含む、水中油型または水中油中水型エマルションの形態の化粧用または皮膚科学的組成物。本発明は、生理的に許容できる媒体中に、a)少なくとも1つの連続水相、b)少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマー、c)組成物の全重量に対して1重量%から20重量%の範囲の濃度の少なくとも1つの水混和性揮発性溶媒、d)少なくとも1つの有機UVスクリーニング剤を含むこと特徴とする、水中油型エマルションまたは水中油中水型多相エマルションの形態の化粧用または皮膚科学的組成物に関する。本発明は、適用領域外への組成物の移行の影響を低減または解消することを目的とする、生理的に許容できる媒体中に、UV照射を吸収するための少なくとも1つの薬剤を含む、水中油型エマルションまたは水中油中水型多相エマルションの形態の化粧用組成物における、少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマーおよび少なくとも1つの水混和性揮発性有機溶媒の使用に関する。本発明はまた、美容上の心地よさおよび使用の快適性を向上させること;とりわけ、組成物の拡散性を向上させること、視覚上の快適性を向上させることおよびケラチン物質上での組成物の流れ落ちの影響を低減することを目的とする、生理的に許容できる媒体中に、UV照射を吸収するための少なくとも1つの薬剤を含む、水中油型エマルションまたは水中油中水型多相エマルションの形態の化粧用組成物における、少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマーおよび少なくとも1つの水混和性揮発性有機溶媒の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、とりわけ皮膚および毛髪を、UV照射の有害な影響から防護するための、生理的に許容できる媒体中に、少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマー、少なくとも1つの水混和性揮発性有機溶媒および少なくとも1つの有機UVスクリーニング剤を含む、水中油型または水中油中水型エマルションの形態の化粧用または皮膚科学的組成物に関する。
【0002】
本発明は、適用領域外への組成物の移行を低減または解消することを目的とする、生理的に許容できる媒体中に、UV照射を吸収するための少なくとも1つの薬剤を含む、水中油型または水中油中水型エマルションの形態の化粧用組成物における、少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマーおよび少なくとも1つの水混和性揮発性有機溶媒の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
280nmと400nmの間の波長を有する光放射は、ヒト表皮のタンニングを可能にする; 280nmと320nmの間の波長を有する光線は、UVB光線として知られており、自然な小麦色の発現を妨げ得る皮膚の日焼けおよび紅斑を引き起こす。320nmと400nmの間の波長を有する光線は、UVA光線として知られており、皮膚の損傷、特に弾力性の損失およびしわの出現の原因となり、早期皮膚老化をもたらす。
【0004】
したがってUVAおよびUVB光線は、遮蔽するべきであり、UVAおよびUVBスクリーニング剤を含む、ヒト表皮を防護するための組成物が現在、存在している。
【0005】
これらの光防護組成物は通常、水性連続相を有する組成物、とりわけ、有害なUV照射を選択的に吸収することができる1つまたは複数の標準的な油溶性有機スクリーニング剤および/または標準的な水溶性有機スクリーニング剤を、種々の濃度で含む水中油型または水中油中水型多相エマルションタイプのエマルションの形態であり、これらのスクリーニング剤(およびその濃度)は、所望の日光防御指数に応じて選択され、日光防御指数(SPF)は、UVスクリーニング剤無塗布時に紅斑形成閾値に達するのに必要なUV照射線量に対するUVスクリーニング剤塗布時に紅斑形成閾値に達するのに必要なUV照射線量の比率として数学的に表される。
【0006】
これらの組成物の大部分が、ミルク、クリーム、クリームゲルまたはペーストなどの粘度を高めた液体の形態で処方されている。このタイプの形状は、製品を顕著に損失することなく包装から取り出すことを容易にし、製品の局所適用領域への拡散を制限し、かつ、所望の美容的または皮膚科学的効果を得るために十分な量での製品の使用を可能にするところから、消費者から、高く評価されている。
【0007】
この特性は、光防護処方にとって重要である。光防護処方は、処理対象である局所表面において均一に広がらなくてはならず、かつ、この処理対象領域外への移行により、適用した活性成分の濃度が下がって、全般的な有効性を損なうことになってはならないからである。この挙動は、アンチサンおよび光防護製品の場合のように、製品が使用される間に、温度の上昇を被るときには、一層重要である。この温度上昇は、製品を液状化させ、かつ、適用領域外に製品を移行させる傾向がある。
【0008】
さらに、製品の適用領域外への移行は、特に眼領域への移行の場合(眼および/または眼粘膜のスティンギング)または唇への移行の場合(苦味感覚)、ある程度の不都合および不快感を引き起こすことがある。このことは、適正に広がり、かつケラチン線維上に均一に分配されなければならず、額、首筋または顔に流れ落ちたりあるいは眼に流れ込んだりしてはならない毛髪用組成物の場合にも、同様である。
【0009】
したがってこれらの条件を満たすために、粘度を高めた処方が使用され、組成物の粘度は増粘および/またはゲル化ポリマーを添加することにより、増大される。
【0010】
しかし、消費者は、適用が容易な軽い感触の化粧用組成物の使用をますます歓迎するようになっている。これらの製品の中で、液体組成物は一般に、その好ましい感触および適用のし易さから、粘度のより高いエマルションよりも消費者に高く評価されている。
【0011】
これら組成物の主要な欠点の1つは、好ましい感触およびかなりの適用し易さと、最終製品の良好な有効性とを、特に、適用領域外への製品の移行を制限しながら、両立させることが難しいという点である。製品の流動性は、その移行を助長し、したがって製品の有効性および使用時の快適さを損なう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許出願EP1307501
【特許文献2】特許出願EP1355990
【特許文献3】特許出願EP1355625
【特許文献4】特許出願FR2856923
【特許文献5】特許出願EP1493774
【特許文献6】特許出願WO04/006872
【特許文献7】特許US6878754
【特許文献8】特許US6689856
【特許文献9】特許出願EP1407791
【特許文献10】特許出願EP1416044
【特許文献11】特許出願FR2788008
【特許文献12】特許出願WO03/008462
【特許文献13】特許出願FR2694939
【特許文献14】特許出願EP0629649
【特許文献15】特許出願US6645476
【特許文献16】特許出願WO97/00275
【特許文献17】特許出願WO98/06438
【特許文献18】特許出願WO98/29487
【特許文献19】特許出願WO98/48768
【特許文献20】特許出願WO98/50005
【特許文献21】特許出願WO00/07603
【特許文献22】特許出願WO02/076392
【特許文献23】特許出願FR2820976
【特許文献24】特許出願WO00/35961
【特許文献25】特許出願WO02/032560
【特許文献26】特許出願EP0692506
【特許文献27】特許出願US6870012
【特許文献28】特許出願WO03/106536
【特許文献29】特許出願WO00/38651
【特許文献30】特許出願WO00/00222
【特許文献31】特許出願WO01/41735
【特許文献32】特許出願US2003/0099709
【特許文献33】特許出願GB2408510
【特許文献34】特許出願EP-l407719
【特許文献35】特許出願EP-A-692506
【特許文献36】特許出願FR-A-2840907
【特許文献37】特許出願WO03/106536
【特許文献38】特許出願US-A-2005/175573
【特許文献39】特許出願US-A-5702717
【特許文献40】特許出願EP-A-l407791
【特許文献41】特許EP669323
【特許文献42】特許US2463264
【特許文献43】特許出願US5237071
【特許文献44】特許出願US5166355
【特許文献45】特許出願GB2303549
【特許文献46】特許出願DE19726184
【特許文献47】特許出願EP893119
【特許文献48】特許出願EP0832642
【特許文献49】特許出願EP1027883
【特許文献50】特許出願EP1300137
【特許文献51】特許出願DE10162844
【特許文献52】特許出願WO93/04665
【特許文献53】特許出願DE19855649
【特許文献54】特許出願EP0967200
【特許文献55】特許出願DE19746654
【特許文献56】特許出願DE19755649
【特許文献57】特許出願EP-A-1008586
【特許文献58】特許出願EP1133980
【特許文献59】特許出願EP133981
【特許文献60】特許US6225467
【特許文献61】特許出願WO2004/085412
【特許文献62】特許出願WO06/035000
【特許文献63】特許出願WO06/034982
【特許文献64】特許出願WO06/034991
【特許文献65】特許出願WO06/035007
【特許文献66】特許出願WO2006/034992
【特許文献67】特許出願WO2006/034985
【特許文献68】特許出願EP518772
【特許文献69】特許出願EP518773
【特許文献70】特許US4234435
【特許文献71】特許US4708753
【特許文献72】特許US5129972
【特許文献73】特許US4931110
【特許文献74】特許GB2156799
【特許文献75】特許US4919179
【特許文献76】JP-A-2295912
【特許文献77】FR2315991
【特許文献78】FR2416008
【特許文献79】特許EP864320
【特許文献80】特許EP1093796
【特許文献81】特許出願WO02/44231
【特許文献82】特許出願WO98/42300
【特許文献83】特許出願WO98/42301
【特許文献84】特許出願EP98/7001
【特許文献85】特許出願EP98/7002
【特許文献86】特許出願EP98/7003
【特許文献87】特許出願EP98/7004
【特許文献88】特許出願EP98/7005
【特許文献89】特許出願EP98/7006
【特許文献90】特許出願EP98/7007
【特許文献91】特許出願EP98/7008
【特許文献92】特許出願WO2000/07548
【特許文献93】特許出願WO2000/07549
【特許文献94】特許出願EP99/2233
【特許文献95】特許US4077441
【特許文献96】特許US4850517
【特許文献97】特許出願EP1069142
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】D. Hourdet他、Polymer、1994年、Vol. 35、No. 12、2624-2630頁
【非特許文献2】F. L'Alloret他、Coll. Polym. Sci.、1995年、Vol. 273、No. 12、1163-1173頁
【非特許文献3】F. L'Alloret、Revue de 1'Institut Francais du Petrole[Review of the French Petroleum Institute]、1997年、Vol. 52、No. 2、117-128頁
【非特許文献4】Taylor他、Journal of Polymer Science、part A: Polymer Chemistry、1975年、13、2551頁
【非特許文献5】J. Bailey他、Journal of Applied Polymer Science、1959年、1、56頁
【非特許文献6】Heskins他、Journal of Macromolecular Science、Chemistry A2、1968年、Vol. 8、1441頁
【非特許文献7】「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM Journal、IP.COM INC WEST HENRIETTA、NY、US(2004年9月20日)
【非特許文献8】Cosmetics & Toiletries、1990年2月、Vol.105、53〜64頁
【非特許文献9】Bangham、Standish and Watkins、J. Mol. Biol. 13、238 (1965年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、液体組成物から程度の差はあれ粘度を高めた組成物まで、化粧品として使用および適用するのが心地よく、同時に有効性および耐久力の面で良好な化粧品としての性能品質、すなわち適用領域外への組成物の非移行性を有する、異なる粘度の広範なアンチサン組成物の必要性が、依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本出願人は、驚くべきことに、少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマーおよび1つの水混和性揮発性有機溶媒を含む、水中油型または水中油中水型エマルションの形態のアンチサン組成物がこの必要性を満たすことを発見した。
【0016】
したがって、本発明の課題の1つは、生理的に許容できる媒体中に:
a)少なくとも1つの連続水相、
b)少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマー、
c)組成物の全重量に対して1重量%から20重量%の範囲の濃度の少なくとも1つの水混和性揮発性溶媒、
d)少なくとも1つの有機UVスクリーニング剤
を含むこと特徴とする、水中油型エマルションまたは水中油中水型多相エマルションの形態の化粧用または皮膚科学的組成物である。
【0017】
本発明は、適用領域外への組成物の移行を低減または解消することを目的とする、生理的に許容できる媒体中に、UV照射を吸収するための少なくとも1つの薬剤を含む、水中油型エマルションまたは水中油中水型多相エマルションの形態の化粧用組成物における、少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマーおよび少なくとも1つの水混和性揮発性有機溶媒の使用に関する。
【0018】
本発明はまた、美容上の心地よさおよび使用の快適性を向上させること;とりわけ、組成物の拡散性を向上させること、ケラチン物質上での組成物の視覚上の快適性を向上させることおよび流れ落ちの影響を低減することを目的とする、生理的に許容できる媒体中に、UV照射を吸収するための少なくとも1つの薬剤を含む、水中油型エマルションまたは水中油中水型多相エマルションの形態の化粧用組成物における、少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマーおよび少なくとも1つの水混和性揮発性有機溶媒の使用にも関する。
【0019】
用語「有機UVスクリーニング剤」は、UV照射を遮蔽することができるあらゆる有機化合物を意味する。
【0020】
用語「ケラチン物質」は、皮膚、唇、毛髪、頭皮、睫毛、眉毛および爪を意味する。
【0021】
用語「生理的に許容できる媒体」は、皮膚、唇、毛髪、睫毛、眉毛および爪に適用されてよい、無毒性の媒体を意味する。本発明の組成物は特に、化粧用または皮膚科学的組成物であってよい。
【0022】
用語「水混和性有機溶媒」は、25℃において、50重量%超の水への溶解度を有するあらゆる有機溶媒を意味する。
【0023】
用語「揮発性有機溶媒」は、17.5mmHg超の、20℃における蒸気圧を有するあらゆる有機溶媒を意味する。
【0024】
優先的には、本発明の加熱ゲル化ポリマーは、水溶性ユニットおよび水中で下限臨界溶液温度LCSTを有するユニットを含む水溶性ポリマーであり、前記LCSTを有するユニットの水溶液中での加熱偏析温度は、前記ユニットの水中での質量濃度1%に対して5から40℃であり、前記組成物中の前記ポリマーの濃度は、組成物のゲル化点が5から40℃の範囲になるような濃度である。
【0025】
用語「水溶性ポリマー」は一般に、5から80℃の温度において、少なくとも10g/l、好ましくは少なくとも20g/lの割合まで水に溶解するポリマーを意味する。しかし、用語「水溶性ポリマー」はまた、必ずしも上記の溶解度を有さないポリマーをも意味するが、このポリマーは、5から80℃の1重量%の水溶液において、巨視的に均一かつ透明な溶液、すなわち、400nmと800nmとの間で波長に関係なく、1cm厚の試料で、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%の最大光線透過値を有する。
【0026】
用語「水溶性ユニット」は一般に、これらのユニットが、5から80℃の温度において、少なくとも10g/l、好ましくは少なくとも20g/lの割合まで水に溶解することを意味する。しかし、用語「水溶性ユニット」はまた、必ずしも上記の溶解度を有さないユニットをも意味するが、このユニットは、5から80℃の1重量%の水溶液において、巨視的に均一かつ透明な溶液、すなわち、400nmと800nmとの間で波長に関係なく、1cm厚の試料で、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%の最大光線透過値を有する溶液の生成を可能にする。これらの水溶性ユニットは、LCSTタイプの加熱偏析温度を有さない。
【0027】
この点において、表現「LCSTを有するユニット」は、好ましくは、一定の温度を超えると水への溶解度が変化するユニットを意味するということを想起することは有用である。これらユニットは、その水への溶解度領域を規定する加熱偏析温度(または曇り点)を有するユニットである。LCSTを有するユニットのみからなるポリマーの濃度の関数として得られる最低偏析温度は、「LCST」(下限臨界溶液温度)として知られている。LCSTを有する各濃度のポリマーに関して、加熱溶液温度を観察する。加熱溶液温度は、曲線の最小点であるLCSTよりも高い。この温度以下で、ポリマーは水に溶解し、この温度以上では、ポリマーは水に対する溶解度を失う。
【0028】
ポリマーのLCSTを有するこれらのユニットは、本発明によれば、好ましくは、前記LCSTを有するユニットの水中での質量濃度1重量%に対して5から40℃の加熱偏析温度を有する。
【0029】
より優先的には、ポリマーのLCSTを有するユニットの水溶液中での加熱偏析温度は、前記LCSTを有するユニットの水中での質量濃度1%に対して10から35℃である。
【0030】
より優先的には、ポリマーの濃度は、ゲル化点が、10から35℃の範囲であるような濃度である。
【0031】
水溶性ユニットおよび上記に定義のLCSTを有する特定のユニットによる上記に記載の構造を有するポリマーは、臨界温度を超えると水溶液中でのゲル化特性、または加熱ゲル化特性を有する。
【0032】
LCSTを有する鎖の偏析温度を超えると観察されるこれらの加熱ゲル化特性は、特に下記の文書に記載されている:
[1] D. Hourdet他、Polymer、1994年、Vol. 35、No. 12、2624-2630頁。
[2] F. L'Alloret他、Coll. Polym. Sci.、1995年、Vol. 273、No. 12、1163-1173頁。
[3] F. L'Alloret、Revue de 1'Institut Francais du Petrole[Review of the French Petroleum Institute]、1997年、Vol. 52、No. 2、117-128頁。
【0033】
これらは、偏析温度を超えた範囲での疎水性マイクロドメイン内でのLCSTを有する鎖の組合せであるため、主鎖との間で架橋ノードを形成している。
【0034】
これらのゲル化特性は、ポリマー濃度が、異なる巨大分子によって保持されているLCSTを有するユニット間での相互作用を可能にするのに十分である場合に、観察される。必要な最小濃度は、「臨界凝集濃度」、すなわちCAC、として知られており、レオロジー測定により評価される:CACは、それ以上の濃度で、本発明のポリマーの水溶液の粘度が、LCSTを有する鎖を含まない同等ポリマーの溶液の粘度よりも高くなる濃度である。
【0035】
CACを超えた範囲で、本発明のポリマーは、温度が「ゲル化点」、すなわちTgelとして知られている臨界値よりも高くなったとき、ゲル化特性を有する。文献データによれば、TgelとLCSTを有する鎖の偏析温度との間には、同一の濃度条件下で、良好な一致が見られる。本発明のポリマーの水溶液のゲル化点は、レオロジー測定によって決定される:ゲル化点は、それ以上の温度で、本発明のポリマーの溶液の粘度が、LCSTを有する鎖を含まない同等ポリマーの溶液の粘度よりも高くなる温度である。
【0036】
本発明のポリマーは、水中での質量濃度、例えば、2重量%に等しい濃度に対して、一般に5から40℃、好ましくは10から35℃の特定のゲル化点を特徴とすることが好ましい。
【0037】
本発明において使用されるポリマーは、一方で水溶性ユニットを含み、他方で上記に定義のLCSTを有するユニットを含む、ブロックポリマーまたはグラフトポリマーであってよい。
【0038】
本明細書の本文において、本発明に基づき使用されるポリマーの水溶性ユニットまたはLCSTを有するユニットは、一緒になって結合している基、一方で前記水溶性ユニットおよび他方で前記LCSTを有するユニットを含まないものと定義されることが指摘される。
【0039】
前記結合基は、ポリマーを調製する間に、一方では前記水溶性ユニットの前駆物質によって、他方では前記LCSTを有するユニットの前駆物質によって保持される、反応性部位の反応から誘導される。
【0040】
したがって、本発明の文脈において使用されるポリマーは、例えば、LCSTを有するブロックと交互に配置する水溶性ユニットからなるブロックを含むブロックポリマーであってよい。
【0041】
これらのポリマーはまた、骨格が水溶性ユニットから形成されているグラフトポリマーの形態であってもよく、前記骨格はLCSTを有するユニットからなるグラフトを保持している。
【0042】
前記ポリマーは、部分的に架橋していてもよい。
【0043】
表現「水溶性ユニット」は一般に、これらのユニットが、5から80℃の温度において、少なくとも10g/l、好ましくは少なくとも20g/lの割合まで水に溶解するユニットであることを意味する。
【0044】
しかし、表現「水溶性ユニット」はまた、必ずしも上記の溶解度を有さないユニットをも意味するが、このユニットは、5から80℃の1重量%の水溶液において、巨視的に均一かつ透明な溶液、すなわち、400nmと800nmとの間で波長に関係なく、1cm厚の試料で、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%の最大光線透過値を有する溶液の生成を可能にするユニットである。これらの水溶性ユニットは、LCSTタイプの加熱偏析温度を有さない。
【0045】
これらの水溶性ユニットは、重合、特にフリーラジカル重合、または重縮合によって全体的または部分的に得られてよく、あるいは既存の天然ポリマーまたは修飾天然ポリマーから全体的または部分的に構成されてよい。
【0046】
例として、水溶性ユニットは、下記のモノマー:
- (メタ)アクリル酸;
- 下記の式(I)のビニルモノマー:
【0047】
【化1】

【0048】
[式中、
- Rは、H、-CH3、-C2H5または-C3H7から選択され、
- Xは、
- -OR'タイプのアルキルオキサイド(R'は、少なくとも1つのハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素またはフッ素);スルホン酸(-S03-)基、硫酸(-S04-)基、リン酸(-P04H2)基;ヒドロキシル(-OH)基;第一級アミン(-NH2)基;第二級アミン(-NHR1)基、第三級アミン(-NR1R2)基または第四級アミン(-N+R1R2R3)基によって任意選択で置換された、1から6個の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和の炭化水素ベースの基であり、R1、R2およびR3は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和の炭化水素ベースの基であり、ただし、R'+R1+R2+R3の炭素原子の合計は7を超えない);および
- -NH2、-NHR4および-NR4R5基(互いに独立して、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和の、1から6個の炭素原子を含む炭化水素ベースの基であり、ただし、R4およびR5は、R4+R5の炭素原子の合計数は7を超えず、前記R4およびR5は、ハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素またはフッ素);ヒドロキシル(-OH)基;スルホン酸(-S03-)基、硫酸(-S04-)基、リン酸(-P04H2)基;第一級アミン(-NH2)基;第二級アミン(-NHR1)基、第三級アミン(-NR1R2)基および/または第四級アミン(-N+R1R2R3)基によって任意選択で置換されており、R1、R2およびR3は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和の炭化水素ベースの基であり、ただし、R4+R5+R1+R2+R3の炭素原子の合計は7を超えない)
から選択される];
- 無水マレイン酸;
- イタコン酸;
- 式CH2=CHOHのビニルアルコール;
- 式CH2=CH-OCOCH3の酢酸ビニル;
- N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタムおよびN-ブチロラクタムなどのN-ビニルラクタム;
- 式CH2=CHOR6のビニルエーテル(式中、R6は、1から6個の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和の炭化水素ベースの基である);
- 水溶性スチレン誘導体、特にスチレンスルホネート;
- ジメチルジアリルアンモニウムクロライド;および
- ビニルアセトアミド
から選択される少なくとも1つのモノマーの重合、特にフリーラジカル重合によって全体的または部分的に得られてよい。
【0049】
水溶性ユニットの全部または一部を構成してよい重縮合物および天然ポリマーまたは修飾天然ポリマーは、下記の成分:
- 水溶性ポリウレタン;
- キサンタンガム、特にKelcoによりKeltrol TおよびKeltrol SFの名称で販売されている製品;またはRhodiaのRhodigel SMおよびRhodigel 200;
- アルギネート(MonsantoのKelcosol)またはこれらの誘導体、例えば、プロピレングリコールアルギネート(KelcoのKelcoloid LVF);
- セルロース誘導体、特にカルボキシメチルセルロース(HerculesのAquasorb A500)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび四級化ヒドロキシエチルセルロース;
- ガラクトマンナンおよびこれらの誘導体、例えば、コンニャクガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、ナトリウムメチルカルボキシレート基により修飾されたヒドロキシプロピルグアー(RhodiaのJaguar XC97-1)、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド
の1つまたは複数から選択される。
【0050】
ポリエチレンイミンをもまた挙げることができる。
【0051】
水溶性ユニットは、グラフトポリマーの水溶性骨格を構成するとき、好ましくは1000g/molから5000000g/molの範囲のモル質量を有する。
【0052】
これらの水溶性ユニットは、マルチブロックポリマーのブロックを構成するとき、好ましくは500g/molから100000g/molの範囲のモル質量を有する。
【0053】
本発明において使用されるポリマーのLCSTを有するユニットは、一定の温度を超えると水への溶解度が変化するユニットとして定義され得る。これらユニットは、その水への溶解度領域を規定する加熱偏析温度(または曇り点)を有するユニットである。ポリマーの濃度の関数として得られる最低偏析温度は、「LCST」(下限臨界溶液温度)と称される。各濃度のポリマーに関して、加熱溶液温度を観察する;加熱溶液温度は、曲線の最小点であるLCSTよりも高い。この温度以下で、LCSTを有するユニットを構成するポリマーは水に溶解する;この温度以上で、LCSTを有するユニットを構成するポリマーは水に対する溶解度を失う。
【0054】
これらLCSTを有するポリマーのいくつかは、特に下記の論文に記載されている:
- Taylor他、Journal of Polymer Science、part A: Polymer Chemistry、1975年、13、2551頁;
- J. Bailey他、Journal of Applied Polymer Science、1959年、1、56頁;
- Heskins他、Journal of Macromolecular Science、Chemistry A2、1968年、Vol. 8、1441頁。
【0055】
表現「温度Tで水に溶解」は、ユニットが、少なくとも1g/l、好ましくは少なくとも2g/lというTでの溶解度を有することを意味する。
【0056】
LCSTの測定は、視覚的に行ってよい:水溶液の曇り点が現れる温度を決定する;この曇り点は、溶液の乳濁化、または透明性の喪失に反映される。
【0057】
一般に、透明な組成物は、400nmから800nmで波長に関係なく、1cm厚の試料で、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%の最大光線透過値を有することになる。
【0058】
透過率は、光スペクトルの波長で作動する分光光度計の光ビームの中に1cm厚のサンプルを配置することによって測定してよい。
【0059】
本発明において使用されるポリマーのLCSTを有するユニットは、下記のポリマー:
- ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、またはエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とのランダムコポリマーなどのポリエーテル、
- ポリビニルメチルエーテル、
- LCSTを有するユニットを含むN置換アクリルアミド誘導体のポリマーおよびコポリマー、例えばポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)およびポリ-N-エチルアクリルアミド;ならびに
- ポリビニルカプロラクタムおよびビニルカプロラクタムコポリマー
から選択される1つまたは複数のポリマーからなってよい。
【0060】
好ましくは、LCSTを有するユニットは、ポリプロピレンオキサイド(PPO)n(式中、nは10から50の整数である)または式:
(EO)m(PO)n
(式中、mは1から40、好ましくは2から20の範囲の整数であり、nは10から60、好ましくは20から50の範囲の整数である)
により表されるエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とのランダムコポリマーからなる。
【0061】
好ましくは、LCSTを有するこれらのユニットは、500g/molから5300g/mol、より優先的には1500g/molから4000g/molのモル質量を有する
【0062】
EOおよびPOユニットのランダムな分布は、それを超えると巨視的な相分離が観察される温度である下限臨界溶液温度の存在に反映される。この挙動は、ミセル化温度として知られている臨界温度を超えるとミセルを形成(微視的凝集)するブロック(EO)(PO)コポリマーの挙動とは異なる。
【0063】
したがって、LCSTを有するユニットは、アミノ、特にモノアミノ、ジアミノまたはトリアミノ、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマーから特に誘導されてよい。反応前に、これらのポリマーは、水溶性ポリマーの反応性部位、例えばカルボキシル基、と反応する反応性部位、この場合にはアミノ基を保持し、本発明において使用される最終ポリマーをもたらす。最終ポリマーにおいて、水溶性ユニットは、反応性部位または、LCSTを有するユニットおよび水溶性ユニットの前駆物質によってそれぞれ保持されている基の反応から誘導される結合基を介して、LCSTを有するユニットと結合する。これらの結合基は、例えば、アミド、エステル、エーテルまたはウレタン基であろう。
【0064】
これらの市販されているLCSTを有するユニットの中で、HuntsmanによりJeffamineの名称で販売されているコポリマー、特にJeffamine XTJ-507(M-2005)、Jeffamine D-2000およびJeffamine XTJ-509(またはT-3000)を挙げることができる。
【0065】
LCSTを有するユニットはまた、OH末端基を含むランダムEO/POコポリマー、例えばClariantによりPolyglycols P41およびB11の名称で販売されているものなど、から誘導されてもよい。
【0066】
LCSTを有するユニットを含むN置換アクリルアミド誘導体のポリマーおよびコポリマー、ならびにポリビニルカプロラクタムおよびビニルカプロラクタムコポリマーもまた、本発明において、LCSTを有するユニットとして使用されてよい。
【0067】
LCSTを有するユニットを含むN置換アクリルアミド誘導体のポリマーおよびコポリマーの例として、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリ-N-エチルアクリルアミドならびにN-イソプロピルアクリルアミド(またはN-エチルアクリルアミド)と上記に示した式(I)を有するモノマー、無水マレイン酸、イタコン酸、ビニルピロリドン、スチレンおよびその誘導体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ビニルアセトアミド、ビニルエーテルおよび酢酸ビニル誘導体から選択されるビニルモノマーとのコポリマーを挙げることができる。
【0068】
これらポリマーのモル質量は、好ましくは1000g/molから500000g/mol、好ましくは2000g/molから50000g/molである
【0069】
これらのポリマーは、反応性のアミノ末端基を有する前駆体オリゴマーを得るために、アミノエタンチオールハイドロクロライドなどの一組の開始剤を用いて、過硫酸カリウムの存在下で、フリーラジカル重合によって合成されてよい。
【0070】
ビニルカプロラクタムコポリマーの例として、ビニルカプロラクタムと上記に示した式(I)のビニルモノマーとの、または無水マレイン酸、イタコン酸、ビニルピロリドン、スチレンおよびその誘導体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ビニルアセトアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルエーテルおよび酢酸ビニル誘導体から選択されるモノマーとのコポリマーを挙げることができる。
【0071】
これらのビニルカプロラクタムポリマーのモル質量は一般に、1000g/molから500000g/mol、好ましくは2000g/molから50000g/molである。
【0072】
これらの化合物は、反応性のアミノ末端基を含むLCSTを有するユニットを得るために、アミノエタンチオールハイドロクロライドなどの一組の開始剤を用いて、過硫酸カリウムの存在下で、フリーラジカル重合によって合成されてよい。
【0073】
最終ポリマーにおけるLCSTを有するユニットの質量比は、最終ポリマーに対して、好ましくは5重量%から70重量%、特に20重量%から65重量%、特に30重量%から60重量%である。
【0074】
本発明において使用されるポリマーの前記LCSTを有するユニットの加熱偏析温度は、前記LCSTを有するユニットの水中での質量濃度1重量%に対して、5から40℃、好ましくは10から35℃であることは、上記に示している。
【0075】
本発明の文脈において使用されるポリマーは、当業者によって、一般的知識に基づき、グラフト化、共重合またはカップリング反応プロセスを用いて、容易に調製されてよい。
【0076】
最終ポリマーが、特にLCSTを有する側鎖またはグラフトを有する水溶性骨格を有するグラフトポリマーの形態であるとき、少なくとも1つの反応性末端基または反応性部位、特にアミノ末端基または部位、を含むLCSTを有するユニットを、カルボン酸官能基などの反応性基の少なくとも10%(モルベースで)を保持している骨格を形成している水溶性ポリマーに、グラフト化することにより最終ポリマーを調製することが可能である。この反応は、N-メチルピロリドンまたは水などの溶媒中で、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドハイドロクロライドなどのカルボジイミドの存在下で行ってよい。
【0077】
グラフトポリマーを調製するためのもう1つの可能性は、例えば、LCSTを有するマクロモノマー(ビニル末端基を有する上記に記載のLCSTを有する鎖)とアクリル酸または式(I)のビニルモノマーなどの水溶性ビニルモノマーとを共重合反応させることを本質とする。
【0078】
最終ポリマーがブロックポリマーの形態であるとき、最終ポリマーを、水溶性ユニットとLCSTを有するユニットとの間のカップリングによって調製することが可能であり、これらユニットは相補反応性部位を各末端に有する。
【0079】
グラフト化プロセスおよびカップリングプロセスの場合、LCSTを有するユニットの反応性部位は、アミン官能基、特に、モノアミン、ジアミンまたはトリアミン、およびOH官能基であってよい。この場合、水溶性ユニットの反応性部位はカルボン酸官能基であってよい。水溶性ユニットとLCSTを有するユニットとを結合している基は、したがって、例えばアミド基またはエステル基であることになる。
【0080】
本発明の加熱ゲル化ポリマーは、下記の特許および特許出願において記載されているものから選択されてよい:
特許出願EP1307501、EP1355990、EP1355625、FR2856923、EP1493774およびWO04/006872、特許US6878754およびUS6689856;特許出願EP1407791、EP1416044、FR2788008、WO03/008462、FR2694939、EP0629649、US6645476、WO97/00275、WO98/06438、WO98/29487、WO98/48768、WO98/50005、WO00/07603、WO02/076392、FR2820976、WO00/35961、WO02/032560、EP0692506、US6870012、WO03/106536、WO00/38651、WO00/00222、WO01/41735、US2003/0099709、GB2408510。
【0081】
特に有利である加熱ゲル化ポリマーは、下記から選択されてよい:
(1)ポリエチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイド(すなわちPEO-PPO-PEO)基を含むポリウレタン、例えば特許出願EP-l407791(実施例1は、ヘキサメチレンジイソシアナートを有するPluronic F-127の重縮合から誘導されるポリウレタンを記載している)、EP-A-692506、FR-A-840907、WO03/106536、US-A-2005/175573およびUS-A-5702717に記載されているものなど。
【0082】
このようなポリウレタンは既知の方法でジイソシアナートと熱応答性PEO-PPO-PEOトリブロックジオールの重縮合によって得られ、特に前記の特許出願において記載されている。
【0083】
挙げることができるジイソシアナートには、脂肪族ジイソシアナート、例えば、エチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、デカメチレンジイソシアナート、ならびにメチレン-4,4'-ビス(ジシクロヘキシル)ジイソシアナート、ジフェニルメタン4,4'-ジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナートおよびジメチルジフェニレンジイソシアナートが含まれる。
【0084】
使用されるPEO-PPO-PEOトリブロックジオールは、下記の式(I):
HO-(CH2-CH2-0)x- (CH2-CH(CH3)-0)y-(CH2-CH2-0)x-H
ここで、20<x<120および20<y<120
例えば、Pluronic製品、特にPluronic F-127などに相当してよい。
【0085】
ポリウレタンは、特許出願WO03/106536およびUS-A-5702717に記載のように、尿素および/またはアロファネート基を含んでよい。
【0086】
重縮合はまた、他の反応性化合物、例えば、1つまたは複数のカルボン酸基を含むジオールまたは第三級アミン基(特にアミノメチル)あるいは別法として、モノヒドロキシル化ポリエチレンオキサイドなどの存在下で行われてよい。重縮合は特に、水の存在下で行われてよい。
【0087】
ポリウレタンは直鎖状でも分枝状でもよい
【0088】
(2)ランダムに分布するポリ-N-イソプロピルアクリルアミドブロックおよびn-ブチルアクリレートならびにポリエチレングリコールブロック、例えば特許出願EP-A-1407791において記載されているものなど、を含むマルチブロックコポリマー。
【0089】
Mebiol社によりTGP-20の商品名で販売されている製品を、特に使用してよい。
【0090】
(3)特許US6645476およびUS6689856に記載のものなどのアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(すなわちAMPS)およびこれらの塩(特にナトリウムまたはアンモニウム塩)と(メタ)アクリル酸およびアルコキシル化C2-C4アルキル(特にエチレンオキサイド(EO)および/またはプロピレンオキサイド(PO)(特に1から500個、より優先的には3から50個、さらに良好には7から30個のアルコキシル化アルキルユニット)のエステルのマクロモノマーとのコポリマー。
【0091】
このようなマクロモノマーは、特に、(メタ)アクリル酸と、ポリエチレンおよびプロピレングリコールのエーテルまたはポリグリコール(8〜25EO)および、ClariantのGenapol C-080またはUD-080、あるいはLA-070またはLA-110またはT-080またはT-150またはT-110またはT-200またはT-250から選択される、C10〜C22脂肪アルコールのエーテルとのエステルから選択される。
【0092】
このようなマクロモノマーはまた、アミノEO/PO統計コポリマー、特にHuntsmanのJeffamineタイプのモノ-、ジ-またはトリアミノコポリマー、特にJeffamine XTJ-507 (M-2005)、Jeffamine D-2000およびJeffamine XTJ-509 (またはT-3000)から誘導されてもよい。
【0093】
このようなマクロモノマーはまた、OH末端基を有するEO/PO統計コポリマー、例えばClariantによりPolyglycols P41およびB11の名称で販売されているものなどから誘導されてもよい。
【0094】
アンモニア水溶液で中和したポリアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS) (ポリマーの全重量に対して40重量%)と、ポリエーテルが5.5モルのエチレンオキサイド(EO)ユニットおよび31モルのプロピレンオキサイドユニットとを含むPEO/PPO統計コポリマーであるポリエーテルメタクリレートマクロモノマー(60重量%)とのコポリマー。
【0095】
(4)特許出願EP1307501において記載のものなどの、LCSTを有するユニットからなる側鎖またはグラフトを保持するポリアクリル酸(PAA)骨格からなるコポリマーであって、
(i)式:
(EO)m(PO)n
(式中、mは1から40、好ましくは2から20の範囲の整数であり、かつnは10から60、好ましくは20から50の範囲の整数である)によって表される、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)との統計コポリマーなどのタイプのコポリマー(LCSTを有するこれらのユニットのモル質量は、好ましくは500から5300g/mol、より優先的には1500から4000g/molの範囲である);
(ii)モル質量が、好ましくは1000g/molから500000g/mol、より優先的には、2000から50000g/molであるポリ-N-イソプロピルアクリルアミドポリマー
から選択されるコポリマー。
【0096】
本発明の組成物における加熱ゲル化ポリマーの含有量は、組成物の全重量に対して、好ましくは0.01%と20%との間、さらに良好には0.1%と10%との間である。
【0097】
水混和性有機溶媒は、好ましくはC1〜C5低級モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノールおよびt-ブタノールなど、とりわけエタノールから選択される。
【0098】
(1つまたは複数の)水混和性揮発性有機溶媒は、組成物の全重量に対して、1重量%から20重量%、好ましくは1重量%から15重量%、さらにより優先的には1%から10%の範囲の濃度で存在する。
【0099】
有機UVスクリーニング剤は、ケイ皮酸誘導体;アントラニレート;サリチル酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体;カンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;ジフェニルアクリレート誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;特許EP669323およびUS2463264に記載されているような、ビス-ベンザゾリル誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;特許出願US5237071、US5166355、GB2303549、DE19726184およびEP893119に記載されているような、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;特許出願EP0832642、EP1027883、EP1300137およびDE10162844に記載されているような、ベンズオキサゾール誘導体;特に特許出願WO93/04665に記載されているようなものなどの、スクリーニングポリマーおよびスクリーニングシリコーン;特許出願DE19855649に記載されているものなどの、α-アルキルスチレンベースのダイマー;特許出願EP0967200、DE19746654、DE19755649、EP-A-1008586、EP1133980およびEP133981に記載されているものなどの、4,4-ジアリールブタジエン、ならびにこれらの混合物から特に選択される。
【0100】
追加の有機光防護剤の例として、下記にINCI名により示したものを挙げることができる:
【0101】
ケイ皮酸誘導体:
特にParsol MCXの商品名でHoffmann LaRocheにより販売されているEthylhexyl methoxycinnamate(エチルヘキシルメトキシシンナメート)、
Isopropyl methoxycinnamate(イソプロピルメトキシシンナメート)、
Neo Heliopan E 1000の商品名でHaarmann and Reimerにより販売されているIsoamyl methoxycinnamate(イソアミルメトキシシンナメート)、
Cinoxate(シノキサート)、
DEA methoxycinnamate(DEAメトキシシンナメート)、
Diisopropyl methylcinnamate(ジイソプロピルメチルシンナメート)、
Glyceryl ethylhexanoate dimethoxycinnamate(グリセリルエチルへキサノエートジメトキシシンナメート)。
【0102】
ジベンゾイルメタン誘導体:
特にParsol 1789の商品名でHoffmann LaRocheにより販売されているButylmethoxydibenzoylmethane(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、
Isopropyldibenzoylmethane(イソプロピルジベンゾイルメタン)。
【0103】
パラ-アミノ安息香酸誘導体:
PABA、
Ethyl PABA(エチルPABA)、
Ethyl dihidroxypropyl PABA(エチルジヒドロキシプロピルPABA)、
特にEscalol 507の名称でISPにより販売されているEthylhexyl dimethyl PABA(エチルヘキシルジメチルPABA)、
Glyceryl PABA(グリセリルPABA)、
Uvinul P25の名称でBASFにより販売されているPEG-25 PABA。
【0104】
サリチル酸誘導体:
Eusolex HMSの名称でRona/EM Industriesにより販売されているHomosalate(ホモサレート)、
Neo Heliopan OSの名称でHaarmann and Reimerにより販売されているEthylhexyl salicylate(エチルヘキシルサリチレート)、
Dipsalの名称でScherにより販売されているDipropylene glycol salicylate(ジプロピレングリコールサリチレート)、
Neo Heliopan TSの名称でHaarmann and Reimerにより販売されているTEA salicylate(TEAサリチレート)。
【0105】
ジフェニルアクリレート誘導体:
Uvinul N539の商品名でBASFにより販売されているOctocrylene(オクトクリレン)、
Uvinul N35の商品名でBASFにより販売されているEtocrylene(エトクリレン)。
【0106】
ベンゾフェノン誘導体:
Uvinul 400の商品名でBASFにより販売されているBenzophenone-1(ベンゾフェノン-1)、
Uvinul D50の商品名でBASFにより販売されているBenzophenone-2(ベンゾフェノン-2)、
Uvinul M40の商品名でBASFにより販売されているBenzophenone-3(ベンゾフェノン-3)またはOxybenzone(オキシベンゾン)、
Uvinul MS40の商品名でBASFにより販売されているBenzophenone-4(ベンゾフェノン-4)、
Benzophenone-5(ベンゾフェノン-5)、
Helisorb 11の商品名でNorquayにより販売されているBenzophenone-6(ベンゾフェノン-6)、
Spectra-Sorb UV-24」の商品名でAmerican Cyanamidにより販売されているBenzophenone-8(ベンゾフェノン-8)、
Uvinul DS-49の商品名でBASFにより販売されているBenzophenone-9(ベンゾフェノン-9)、
Benzophenone-12(ベンゾフェノン-12)、
n-hexyl 2-(4-diethylamino-2-hydroxybenzoyl)benzoate(n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート。
【0107】
ベンジリデンカンファー誘導体:
Mexoryl SDの名称でChimexにより製造されている3-Benzylidenecamphor(3-ベンジリデンカンファー)、
Eusolex 6300の名称でMerckにより販売されている4-Methylbenzylidenecamphor(4-メチルベンジリデンカンファー)、
Mexoryl SLの名称でChimexにより製造されているBenzylidenecamphorsulfonic acid(ベンジリデンカンファースルホン酸)、
Mexoryl SOの名称でChimexにより製造されているCamphor benzalkonium methosulfate(カンファーベンザルコニウムメトサルフェート)、
Mexoryl SXの名称でChimexにより製造されているTerephtalylidenedicamphorsulfonic acid(テレフタリリデンジカンファースルホン酸)、
Mexoryl SWの名称でChimexにより製造されているPolyacrylamidomethylbenzylidenecamphor(ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー)。
【0108】
フェニルベンズイミダゾール誘導体:
特にEusolex 232の商品名でMerckにより販売されているPhenylbenzimidazolesulfonic acid(フェニルベンズイミダゾールスルホン酸)、
Neo Heliopan APの商品名でHaarmann and Reimerにより販売されているDisodium phenyl dibenzimidazole tetrasulfonate(フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム)。
【0109】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体:
Silatrizoleの名称でRhodia Chimieにより販売されているDrometrizole trisiloxiane(ドロメトリゾールトリシロキサン)、
MIXXIM BB/100の商品名でFairmount Chemicalにより固体形態で販売、またはTinosorb Mの商品名でCiba Specialty Chemicalsにより水性ディスパージョンとして微粒子形態で販売されているMethylenebis(benzotriazolyl)tetramethylbutylphenol(メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール)。
【0110】
トリアジン誘導体:
Tinosorb Sの商品名でCiba Geigyにより販売されているbis-Ethylhexyloxyphenol Methoxyphenyl Triazine(ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、
Uvinul T150の商品名でBASFにより販売されているEthylhexyl triazone(エチルヘキシルトリアゾン)、
Uvasorb HEBの商品名でSigma 3Vにより販売されているDiethylhexyl butamido triazone(ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン)、
2,4,6-tris(diisobutyl 4'-aminobenzalmalonate)-s-triazine(2,4,6-トリス(ジイソブチル-4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン)、
特許US6225467、特許出願WO2004/085412(化合物6および9を参照)または文書「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM Journal、IP.COM INC WEST HENRIETTA、NY、US(2004年9月20日)に記載の対称型トリアジンスクリーニング剤、特に2,4,6-tris(biphenyl)-1,3,5-triazines(2,4,6-トリス(ビフェニル)-1,3,5-トリアジン)(特に2,4,6-tris(biphenyl-4-yl-1,3,5-triazine(2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル-1,3,5-トリアジン))および、特許出願WO06/035000、WO06/034982、WO06/034991、WO06/035007、WO2006/034992およびWO2006/034985においても言及されている2,4,6-tris(terphenyl)-1,3,5-triazine(2,4,6-トリス(ターフェニル)-1,3,5-トリアジン)。
【0111】
アントラニル酸誘導体:
Neo Heliopan MAの商品名でHaarmann and Reimerにより販売されているMenthyl anthranilate(アントラニル酸メチル)。
【0112】
イミダゾリン誘導体:
Ethylhexyldimethoxybenzylidenedioxoimidazoline propionate(エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート)。
【0113】
ベンザルマロネート誘導体:
ベンザルマロネート官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えばParsol SLXの商品名でHoffmann LaRocheにより販売されているPolysilicone-15(ポリシリコーン-15)。
【0114】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:
1,1-Dicarboxy(2,2'-dimethylpropyl)-4,4-diphenylbutadiene(1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン)。
【0115】
ベンズオキサゾール誘導体:
Uvasorb K2Aの名称でSigma 3Vにより販売されている2,4-bis[5-1(-dimethylpropyl)benzoxazol-2-yl(4-phenyl)imino]-6-(2-ethylhexyl)imino-1,3,5-triazine(2,4-ビス[5-1(-ジメチルプロピル)ベンズオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン)
およびその混合物。
【0116】
優先的な追加の有機光防護剤は:
Ethylhexyl Methoxycinnamate(エチルヘキシルメトキシシンナメート)、
Ethylhexyl salicylate(エチルヘキシルサリチレート)、
Homosalate(ホモサレート)、
Octocrylene(オクトクリレン)、
Phenylbenzimidazolesulfonic acid(フェニルベンズイミダゾールスルホン酸)、
Benzophenone-3(ベンゾフェノン-3)、
Benzophenone-4(ベンゾフェノン-4)、
Benzophenone-5(ベンゾフェノン-5)、
n-Hexyl 2-(4-diethylamino-2-hydroxybenzoyl)benzoate(n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート)、
4-Methylbenzylidenecamphor(4-メチルベンジリデンカンファー)、
Terephthalylidenedicamphorsulfonic acid(テレフタリリデンジカンファースルホン酸)、
Disodium phenyldibenzimidazoletetrasulfonate(フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム)、
Methylenebis(benzotriazolyl)tetramethylbutylphenol(メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール)、
bis-Ethylhexyloxyphenol Methoxyphenyl Triazine(ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、
Ethylhexyl Triazone(エチルヘキシルトリアゾン)、
Diethylhexyl Butamido Triazone(ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン)、
2,4,6-tris(biphenyl-4-yl)-1,3,5-triazine(2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、
2,4,6-tris(terphenyl)-1,3,5-triazine(2,4,6-トリス(ターフェニル)-1,3,5-トリアジン)、
Drometrizole trisiloxane(ドロメトリゾールトリシロキサン)、
Polysilicone-15(ポリシリコーン-15)、
1,1-Dicarboxy(2,2'-dimethylpropyl)-4,4-diphenylbutadiene(1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン)、
2,4-Bis[5-1(dimethylpropyl)benzoxazol-2-yl(4-phenyl)imino]-6-(2-ethylhexyl)imino-1,3,5-triazine(2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンズオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン)、
およびこれらの混合物
から選択される。
【0117】
有機UVスクリーニング剤は、好ましくは本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して0.01重量%から20重量%の範囲、好ましくは組成物の全重量に対して0.1重量%から10重量%の範囲の割合で存在する。
【0118】
本発明の組成物は、無機UVスクリーニング剤をさらに含んでよい。これらの薬剤は、一般に5nmから100nm、好ましくは10nmから50nmの平均一次粒子サイズを有する被覆または無被覆の金属酸化物の顔料、例えば、(非晶質のまたはルチルおよび/またはアナターゼ型に結晶化した)酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム顔料などから選択され、これらは全てそれ自体でよく知られたUV光防護剤である。このような標準的被覆剤は、さらにアルミナおよび/またはステアリン酸アルミニウムである。このような被覆または無被覆の金属酸化物顔料は、特に特許出願EP518772およびEP518773に記載されている。
【0119】
顔料は被覆されていても無被覆であってもよい。
【0120】
被覆顔料は、例えば、Cosmetics & Toiletries、1990年2月、Vol.105、53〜64頁に記載されているように、アミノ酸、ミツロウ、脂肪酸、脂肪アルコール、アニオン界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄またはアルミニウム塩、(チタンまたはアルミニウムの)金属アルコキシド、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物またはヘキサメタリン酸ナトリウムなどの化合物による化学的、電気的、メカノケミカルおよび/または機械的な種類の1つまたは複数の表面処理を受けた顔料である。
【0121】
周知のように、シリコーンは、直鎖状または環状、分枝状または架橋構造の、分子量可変の、適度に官能基化されたシランの重合および/または重縮合によって得られる有機ケイ素ポリマーまたはオリゴマーであり、かつ、本質的に、ケイ素原子が酸素原子を介して、一緒に結合している(シロキサン結合)主ユニット、前記ケイ素原子に炭素原子を介して直接付加している任意選択で置換された炭化水素ベースの基の繰り返しからなる。
【0122】
用語「シリコーン」はまた、その調製のために必要なシラン、特にアルキルシランをも含む。
【0123】
本発明に適切な顔料を被覆するために使用されるシリコーンは、好ましくはアルキルシラン、ポリジアルキルシロキサンおよびポリアルキルハイドロジェンシロキサンを含む群から選択される。さらにより優先的には、シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサンおよびポリメチルハイドロジェンシロキサンを含む群から選択される。
【0124】
言うまでもなく、シリコーンで処理する前に、金属酸化物顔料は、他の表面処理剤、特に酸化セリウム、アルミナ、ケイ素、アルミニウム化合物またはケイ素化合物、またはこれらの混合物によって処理されていてよい。
【0125】
被覆顔料は、とりわけ、
- Ikeda社の製品Sunveilなどのシリカで被覆された酸化チタン、
- Ikeda社の製品Sunveil Fなどのシリカおよび酸化鉄で被覆された酸化チタン、
- Tayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 500 SAおよびMicrotitanium Dioxide MT 100 SA、Tioxide社の製品TioveilならびにRhodia社の製品Mirasun TiW 60などのシリカおよびアルミナで被覆された酸化チタン、
- Ishihara社の製品Tipaque TTO-55 (B)およびTipaque TTO-55 (A)ならびにKemira社の製品UVT 14/4などのアルミナで被覆された酸化チタン、
- Tayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 ZおよびMT-01、ならびにUniqema社の製品Solaveil CT-10 WおよびSolaveil CT 100、ならびにMerckの製品Eusolex T-AVOなどのアルミナおよびステアリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、
- Tayca社の製品MT-100 AQなどのシリカ、アルミナおよびアルギン酸で被覆された酸化チタン、
- Tayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 Sなどのアルミナおよびラウリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、
- Tayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 Fなどの酸化鉄およびステアリン酸鉄で被覆された酸化チタン、
- Tayca社の製品BR351などの酸化亜鉛およびステアリン酸亜鉛で被覆された酸化チタン、
- Tayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 600 SAS、Microtitanium Dioxide MT 500 SASまたはMicrotitanium Dioxide MT 100 SASなどのシリカおよびアルミナで被覆された酸化チタンならびにシリコーンで処理された酸化チタン、
- Titan Kogyo社の製品STT-30-DSなどのシリカ、アルミナおよびステアリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタンならびにシリコーンで処理された酸化チタン、
- Kemira社の製品UV-Titan X 195などのシリカで被覆された酸化チタンおよびシリコーンで処理された酸化チタン、
- Ishihara社の製品Tipaque TTO-55 (S)またはKemira社の製品UV Titan M 262などのアルミナで被覆された酸化チタンおよびシリコーンで処理された酸化チタン、
- Titan Kogyo社の製品STT-65-Sなどのトリエタノールアミンで被覆された酸化チタン、
- Ishihara社の製品Tipaque TTO-55 (C)などのステアリン酸で被覆された酸化チタン、
- Tayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 150 Wなどのヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆された酸化チタン
である。
【0126】
シリコーンで処理された他の酸化チタン顔料は、好ましくは、T 805の商品名でDegussa Silices社により販売されている製品など、オクチルトリメチルシランで処理され、かつ基本粒子の平均サイズが25nmと40nmとの間であるTiO2、70250 Cardre UF TiO2SI3の商品名でCardre社により販売されている製品など、ポリジメチルシロキサンで処理され、かつ基本粒子の平均サイズが21nmであるTiO2、Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobicの商品名でColor Techniques社により販売されている製品など、ポリジメチルハイドロジェンシロキサンで処理され、かつ基本粒子の平均サイズが25nmであるアナターゼ/ルチルTiO2である。
【0127】
無被覆酸化チタン顔料は、例えば、Microtitanium Dioxide MT 500 BまたはMicrotitanium Dioxide MT 600 Bの商品名でTayca社により、P 25の名称でDegussa社により、Transparent titanium oxide PWの名称でWackher社により、UFTRの名称でMyoshi Kasei社により、ITSの名称でTomen社により、およびTioveil AQの名称でTioxide社により、販売されている。
【0128】
無被覆酸化亜鉛顔料は、例えば、
- Z-Coteの名称でSunsmart社により販売されているもの;
- Nanoxの名称でElementis社により販売されているもの;
- Nanogard WCD 2025の名称でNanophase Technologies社により販売されているもの
である。
【0129】
被覆された酸化亜鉛顔料は、例えば、
- Zinc Oxide CS-5の名称でToshibi社により販売されているもの(ポリメチルハイドロジェンシロキサンで被覆したZnO);
- Nanogard Zinc Oxide FNの名称でNanophase Technologies社により販売されているもの(Finsolv TN、C12〜C15アルキル安息香酸中40%ディスパージョンとして);
- Daitopersion ZN-30およびDaitopersion ZN-50の名称でDaito社により販売されているもの(シリカおよびポリメチルハイドロジェンシロキサンで被覆したナノ酸化亜鉛30%または50%を含む、シクロポリメチルシロキサン/オキシエチレン化ポリジメチルシロキサンへのディスパージョン);
- NFD Ultrafine ZNOの名称でDaikin社により販売されているもの(シクロペンタシロキサンへのディスパージョンとしての、パーフルオロアルキルリン酸およびパーフルオロアルキルエチルベースのコポリマーで被覆したZnO);
- SPD-Z1の名称でShin-Etsu社により販売されているもの(シクロジメチルシロキサンに分散した、シリコーングラフト化アクリルポリマーで被覆したZnO);
- Escalol Z100の名称でISP社により販売されているもの(エチルヘキシルメトキシシンナメート/PVP-ヘキサデセン/メチコンコポリマー混合物に分散したアルミナ処理ZnO);
-「Fuji ZNO-SMS-10」の名称でFuji Pigment社により販売されているもの(シリカおよびポリメチルシルセスキオキサンで被覆したZnO);
- Nanox Gel TNの名称でElementis社により販売されているもの(C12〜C15アルキル安息香酸とヒドロキシステアリン酸との重縮合物中に55%濃度で分散したZnO)
である。
【0130】
無被覆酸化セリウム顔料は、Colloidal Cerium Oxideの名称でRhone-Poulenc社により販売されている。
【0131】
無被覆酸化鉄顔料は、例えば、Nanogard WCD 2002 (FE 45B)およびNanogard Iron FE 45 BL AQ、Nanogard FE 45R AQ、Nanogard WCD 2006 (FE 45R)の名称でArnaud社により、またはTY-220の名称でMitsubishi社により販売されている。
【0132】
被覆酸化鉄顔料は、例えば、Nanogard WCD 2008 (FE 45B FN)、Nanogard WCD 2009 (FE 45B 556)、Nanogard FE 45 BL 345、Nanogard FE 45 BLの名称でArnaud社により、またはTransparent Iron Oxideの名称でBASF社により販売されている。
【0133】
金属酸化物の混合物、特に、Sunveil Aの名称でIkeda社により販売されている、二酸化チタンと二酸化セリウムのシリカ被覆同重量混合物を含む、二酸化チタンと二酸化セリウムの混合物、ならびにまた、Kemira社により販売されている製品M 261など、二酸化チタンと二酸化亜鉛のアルミナ、シリカおよびシリコーン被覆混合物、またはKemira社により販売されている製品M 211など、二酸化チタンと二酸化亜鉛のアルミナ、シリカおよびグリセロール被覆混合物をも挙げることもできる。
【0134】
非晶質形態または結晶形態(ルチルおよび/またはアナターゼ型)の、処理または無処理の酸化チタン粒子が、最も特に好ましい。
【0135】
無機UVスクリーニング剤は、好ましくは、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して0.01重量%から20重量%の範囲、好ましくは組成物の全重量に対して0.1重量%から10重量%の範囲の割合で存在する。
【0136】
組成物は、水中油型エマルション(直接エマルション)または水中油中水型エマルション(多相エマルション)の形態である。
【0137】
本発明の組成物は、通常化粧品に使用されるいかなる添加物を含んでもよく、かつ、ケア、メークアップおよびアンチサン製品の分野において応用されるであろう。
【0138】
本発明に基づく組成物はまた、特に脂肪物質、水混和性揮発性有機溶媒以外の有機溶媒、イオン性または非イオン性の、親水性または親油性増粘剤、柔軟剤、湿潤剤、乳白剤、安定化剤、エモリエント、シリコーン、消泡剤、香料、防腐剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、双極性または両性界面活性剤、活性剤、フィラー、ポリマー、噴射剤、酸性化剤または塩基性化剤あるいは化粧品および/または皮膚科学において通常使用される他のあらゆる成分から選択される標準的な化粧用アジュバントをも含んでよい。
【0139】
挙げることができる親水性増粘剤には、Carbopol製品(カルボマー)およびPemulen製品(アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートコポリマー)などのカルボキシビニルポリマー;メタクリル酸/メチルアクリレート/エトキシレーテッドアルキルジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアナートターポリマー(INCI名:Polyacrylate-3)(ポリアクリレート-3)、例えばAmercholによりViscophobe DB 1000の名称で販売されている製品;ポリアクリルアミド、例えばSeppic社によりSepigel 305の名称で販売されている架橋コポリマー(CTFA名:polyacrylamide/C13-14 isoparaffin/Laureth 7)(ポリアクリルアミド/C13-14イソパラフィン/ラウレス7)またはSimulgel 600の名称で販売されている架橋コポリマー(CTFA名:acrylamide/sodium acryloyldimethyltaurate copolymer/isohexadecane/polysorbate 80)(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80);任意選択で架橋および/または中和されている、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマーおよびコポリマー、例えばHostacerin AMPS (CTFA名: ammonium polyacryloyldimethyltauramide)(アンモニウムポリアクリロイルジメチルタウラミド)の商品名でClariant社により販売されているポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸);ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;多糖類、特にキサンタンガムなどのガム類、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0140】
挙げることができる親油性増粘剤には、Landec社によりDoresco IPA 13-1の名称で販売されているポリ(C10〜C30アルキルアクリレート)などの合成ポリマー、またはヘクトライトおよびその誘導体などの修飾クレイ、例えばBentoneの名称で販売されている製品が含まれる。
【0141】
追加の有機溶媒は、不揮発性親水性有機溶媒、親油性有機溶媒および両親媒性溶媒、ならびにこれらの混合物から選択されてよい。
【0142】
挙げることができる親水性有機溶媒の例には、6から80個のエチレンオキサイドを含むポリエチレングリコール;プロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセロールまたはソルビトールなどのポリオール;アルキル基が1から5個の炭素原子を含むものアルキルまたはジアルキルイソソルバイド、例えばジメチルイソソルバイド;グリコールエーテル、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテルまたはモノエチルエーテルおよびプロピレングリコールエーテル、例えばジプロピレングリコールメチルエーテルが含まれる。
【0143】
挙げることができる両親媒性有機溶媒には、ポリプロピレングリコール(PPG)誘導体、例えばポリプロピレングリコールの脂肪酸エステルなど、およびPPGおよび脂肪アルコールの誘導体、例えばPPG-23オレイルエーテル、およびPPG-36オレエート、が含まれる。
【0144】
挙げることができる親油性有機溶媒の例には、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチルまたはアルキル安息香酸が含まれる。
【0145】
挙げることができる防腐剤には、Parabens(登録商標)(特にメチルパラベン、エチルパラベンおよびプロピルパラベン)としても知られているパラヒドロキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド発生剤、例えばイミダゾリジニル尿素またはジアゾリジニル尿素、クロルヘキシジンジグルコネート、安息香酸ナトリウム、カプリリルグリコール、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ペンチレングリコール、アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、例えば、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTFA名:myrtrimonium bromide)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなど、ならびにFEF Chemicals社によりCetrimide(登録商標)の名称で販売されている混合物などのこれらの混合物などが含まれる。防腐剤は、好ましくは、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して0.001重量%から10重量%の範囲、特に0.1重量%から5重量%の範囲、特に0.2重量%から3重量%の範囲の含有量で存在してよい。
【0146】
本発明の組成物に使用してよいフィラーとして、挙げることができる例には、顔料;シリカパウダー;タルク;ポリアミド粒子特にAtochem社によりOrgasolの名称で販売されているもの;ポリエチレンパウダー;デンプンパウダーなどの天然有機物質のパウダー、特に架橋または非架橋のトウモロコシデンプン、コムギデンプンまたはコメデンプン、例えばNational Starch社によりDry-Floの名称で販売されているオクテニルコハク酸無水物と架橋したデンプンパウダーなど;アクリルコポリマーベースのマイクロスフィア、例えばDow Corning社によりPolytrapの名称で販売されているエチレングリコールジメチルアクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマーからなるものなど; Matsumoto社によりMicropearl M 100の名称で販売されているものなどのポリメチルメタクリレートパウダー;中空マイクロスフィアなどの発泡パウダー、特にKemanord Plast社によりExpancelの名称で、またはMatsumoto社によりMicropearl F 80 EDの名称で販売されているマイクロスフィア; Toshiba Silicone社によりTospearlの名称で販売されているものなどのシリコーン樹脂マイクロビーズ;Toshiba Pigment社によりPlastic Powder D-400の名称で販売されているヘキサメチレンジイソシアナート/トリメチロールヘキシルラクトーンコポリマーパウダー(CTFA名:HDI/Trimethylol Hexyllactone Crosspolymer)などのポリウレタンパウダー;ならびにこれらの混合物が含まれる。これらのフィラーは、存在する場合、組成物の全重量に対して0.001重量%から20重量%、好ましくは0.1重量%から10重量%、さらに良好には1重量%から5重量%の範囲の量で存在してよい。
【0147】
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の組成物に本来付随する優位性が、想定される添加により悪影響を全く、または実質上受けることがないように、前述の任意選択の追加的化合物、および/またはその量を選択するよう注意を払うであろう。
【0148】
水中油型単純エマルションがとりわけ使用されることになる。
【0149】
乳化性界面活性剤は、選択されたエマルションのタイプに応じて適切な方法で選択される。エマルションが、3相エマルションであるとき、エマルションは一般に、第一のエマルションに1つの乳化剤を、かつ第一のエマルションが導入される外相に1つの乳化剤を含む。
【0150】
水中油型単純エマルションの場合、分散された油相は、単純エマルションの全重量に対して1重量%から70重量%、好ましくは5重量%から60重量%、さらに良好には10重量%から50重量%に相当してよい。
【0151】
水中油中水型3相エマルションの場合、W/O第一エマルションは、3相エマルションの全重量に対して、例えば、5重量%から70重量%、好ましくは10重量%から60重量%、さらに良好には15重量%から50重量%に相当してよい。W/O第一エマルションの内水相は、第一エマルションの全重量に対して、好ましくは5重量%から90重量%、さらに良好には30重量%から90重量%、さらに一層より良好には40重量%から80重量%に相当してよい。
【0152】
乳化性界面活性剤は一般に、組成物の全重量に対して0.5重量%の最低濃度で存在する。
【0153】
乳化性界面活性剤は、好ましくは、組成物の全重量に対して0.5重量%から30重量%、好ましくは0.5重量%から20重量%、さらに良好には0.5重量%から15重量%の範囲の割合で使用される。
【0154】
O/Wエマルションを調製するために使用されてよい乳化剤として、挙げることができる例には、オキシアルキレン化(とりわけポリオキシエチレン化)されたポリオールなどのノニオン性乳化剤、例えばポリエチレングリコールステアレート、例えばステアリン酸PEG-100、ステアリン酸PEG-50、ステアリン酸PEG-40;例えば20から100個のEOを含むオキシアルキレン化ソルビタンの脂肪酸エステル、例えばTween 20またはTween 60の商品名でUniqema社により販売されているもの;オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)された脂肪アルキルエステル;アルコキシル化または非アルコキシル化糖エステル、例えばPEG-20メチルグルコースセスキステアレートなどのステアリン酸スクロース;Span 40の名称でUniqema社により販売されているパルミチン酸ソルビタンなどのソルビタンエステル;脂肪アルコールの二酸エステル、例えば酒石酸ジミリスチル;これら乳化剤の混合物、例えば、Uniqema社によりArlacel 165の名称でおよびSEPPIC社によりSimulsol 165の名称で販売されているステアリン酸グリセリルとステアリン酸PEG-100の混合物(CTFA名: Glyceryl Stearate/PEG-100 Stearate);またはSasol社によりCosmacol PSEの名称で販売されている、酒石酸ジミリスチル、セテアリルアルコール、パレス-7およびPEG-25ラウレス-25の混合物(CTFA名: Dimyristyl tartrate/cetearyl alcohol/12-15 Pareth-7/PPG 25 laureth 25)が含まれる。
【0155】
例えば、8から26個の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、およびこれらの混合物(セテアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノールまたはオレイルアルコール、あるいは脂肪酸などの乳化助剤をこれら乳化剤に加えてもよい。
【0156】
本発明のW/O/W3相エマルションにおいて、W/O第一エマルションは有利には、10未満のHLB(HLB=Hydrophilic Lipophilic Balance(親水性親油性バランス))を含む少なくとも1つの乳化剤を含む。乳化剤は、例えば、アルコキシル化された、特にエトキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化された、特にエトキシル化脂肪エステル、グリセロール化エステルまたはエーテル(例えばポリグリセリル-4イソステアレート)、ステアリン酸アルミニウムなどの脂肪酸塩、イソステアリン酸メチルグルコースなどの糖ベースの界面活性剤、ポリオレフィンベースのポリマー界面活性剤およびシリコーン乳化剤、ならびにこれらの混合物から選択されてよい。
【0157】
ポリオレフィンベースのポリマー界面活性剤に関して、無極性部分は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセンおよび1-オクタデセンポリマーおよび/またはコポリマーなどのポリオレフィンから選択される。ポリマー鎖は、水素添加されていてもいなくてもよい。ポリマー鎖は、少なくとも40個の炭素、好ましくは60から700個の炭素からなる。
【0158】
これらポリマー界面活性剤の極性部分は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、双極性または両性であってよい。極性部分は、例えば、アクリル、ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレンイミン誘導体からなる。カルボン酸極性部分を含むポリマー界面活性剤は、例えば、ポリオレフィンとマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸およびアコニチン酸などのカルボン酸との反応から誘導される。好ましくは、極性部分は、コハク酸あるいはその無水物、エステルまたはアミド誘導体、アルカリ金属、アルカリ土類金属イオンの、あるいは別法としてポリオキシエチレンの対応する塩からなる。
【0159】
ポリオレフィンベースのポリマー界面活性剤はまた、特許US4234435、US4708753、US5129972、US4931110、GB2156799およびUS4919179に記載のコハク酸のポリオレフィン誘導体からも選択される。
【0160】
ポリオレフィン部分は、水添ポリイソブテンまたは未水添ポリイソブテンから構成されてよい。コハク酸または無水コハク酸は、アルコール、アミン、アルカノールアミンまたはポリオールで修飾されてよく、あるいは別法として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン、例えばジエタノールアンモニウムまたはトリエタノールアンモニウムイオンの形態であってよい。特に、修飾コハク酸末端基を含むポリイソブテン、例えば、L2724、L2721、L2722、OS156565およびLubrizol 5603の名称でLubrizolにより販売されている製品、またはChemcinnate 2000の名称でChemron社により販売されている製品などを挙げることができる。本発明において使用されてよいポリマー界面活性剤のもう1つの例は、無水マレイン酸とポリイソブテンとの反応生成物、例えばBASFの販売するGlissopal SAなどである。
【0161】
シリコーン乳化剤は、例えば、ジメチコンコポリオール、場合によりフッ素などのヘテロ原子を含むアルキルジメチコンコポリオールを含む基、およびこれらを含む混合物、例えばAbil WE 09の名称でGoldschmidt社により販売されているポリグリセリル-4イソステアレート/セチルジメチコンコポリオール/ヘキシルラウレートの混合物、Abil EM 90の名称でGoldschmidt社により販売されているセチルジメチコンコポリオール、およびQ2-3225Cの名称でDow Corning社により販売されているシクロメチコン/ジメチコンコポリオールの混合物から選択されてよい。第一のエマルションにおける乳化剤の含有量は一般に、第一のエマルションの全重量に対して活性成分として0.1重量%から10重量%、好ましくは0.5重量%から5重量%の範囲である。
【0162】
本発明に基づくエマルションは一般に、少なくとも1つの油、特に化粧用油を含む少なくとも1つの油相を含む。用語「油」は、室温(25℃)で液体である脂肪物質を意味する。
【0163】
本発明の組成物において使用されてよい油として、例えば、ペルヒドロスクワレン(またはスクワラン)などの動物由来の炭化水素ベースの油、植物由来の炭化水素ベースの油、例えば、Stearineries Dubois社により販売されているものまたはDynamit Nobel社によりMiglyol 810、812および818の名称で販売されているものなどのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなど、あるいは別法として、例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ油、へーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、コリアンダー油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、およびシアバター油などの植物由来の油;合成油、例えば、室温で液体またはペースト状であり、直鎖状または環状シリコーン鎖を含む、揮発性または不揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS);フッ素油、例えば、部分的に炭化水素ベースおよび/またはシリコーンベースのフッ素油、例えば、文書JP-A-2 295 912に記載されているものなど;エーテル、例えばジカプリリルエーテル(CTFA名: Dicaprylyl ether);エステル、例えば、C12〜C15脂肪アルキル安息香酸(FinetexのFinsolv TN);アリールアルキル安息香酸、例えば、2-フェニルエチル安息香酸(ISPのX-Tend 226);およびアミド化された油、例えば、イソプロピルN-ラウロイルサルコシネート(AjimotoのEldew SL-205);これらの混合を使用することが可能である。
【0164】
油相はまた、例えば、脂肪アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコールまたはセテアリルアルコール)、脂肪酸(ステアリン酸)またはワックス(パラフィン、ポリエチレンワックス、カルナウバワックスまたはミツロウ)から選択される1つまたは複数の脂肪物質をも含んでよい。油相は、親油性ジェル剤、界面活性剤、有機または無機粒子を含んでよい。油相は、好ましくは、組成物の全重量に対して、2重量%から70重量%に相当してよい。
【0165】
エマルションの場合、前記エマルションの水相は、既知のプロセス(Bangham、Standish and Watkins、J. Mol. Biol. 13、238 (1965年)、FR 2315991およびFR 2416008)に従って調製した非イオン性ベシキュラディスパーションを含んでよい。
【0166】
本発明の特定の一実施形態によれば、水中油エマルションは、わずかに1重量%以下の乳化性界面活性剤を含んでよく、さらには乳化性界面活性剤を含まなくてもよく、同時に貯蔵に対して安定である。この場合、エマルションは、種々の手法、例えば特許EP864320に記載のものなどの親水性または親油性増粘剤、特許EP1093796または特許出願WO02/44231に記載のものなどの両親媒性ポリマー、および特許出願WO98/42300、WO98/42301、EP98/7001、EP98/7002、EP98/7003、EP98/7004、EP98/7005、EP98/7006、EP98/7007、EP98/7008、WO2000/07548、WO2000/07549およびEP99/2233に記載のエマルションなどの固体粒子(Pickering-タイプエマルション)の使用などの種々の技法によって、安定化してよい。エマルション安定化剤の中で、とりわけ、イソフタル酸およびスルホイソフタル酸、および特にEastman Chemical社によりEastman AQ Polymer (AQ35S、AQ38S、AQ55SおよびAQ48 Ultra)の名称で販売されているフタレート/スルホイソフタレート/グリコールコポリマー(例えばジエチレングリコール/フタレート/イソフタレート/1,4-シクロヘキサンジメタノール)が使用されるであろう。
【0167】
本発明のもう1つの課題は、皮膚、唇、爪、毛髪、睫毛、眉毛および/または頭皮を処理するための化粧用製品、特にケア製品、アンチサン製品およびメークアップ製品を製造するための、上記に定義の本発明の組成物の使用からなる。
【0168】
本発明に基づく製品は、スキンケア製品、特に顔、首、眼および身体の輪郭部のためのスキンケア製品;または肌の色つや用製品(特にファンデーション)などのメークアップ製品、コンシーラー製品、アンチサン製品または皮膚クレンジング製品であってよい。本発明の組成物は、優先的にはアンチサン製品であろう。
【0169】
本発明の化粧用組成物は、例えば、顔および/または身体用のケアおよび/またはアンチサン製品として使用されてよい。組成物は、任意選択でエアロゾル形態に調節してよく、かつムースまたはスプレー形態であってもよい。
【0170】
本発明による蒸発性の流動性ローションの形態の本発明の組成物は、加圧装置を用いて微粒子の形態で、毛髪部分の皮膚に適用される。本発明の装置は、当業者には周知であり、かつ、非エアロゾルポンプすなわち「アトマイザー」、噴射剤を含むエアロゾル容器ならびに加圧空気を噴射剤として用いるエアロゾルポンプをも含む。後者の装置は、特許US4077441およびUS4850517に記載されており(これら特許は記載内容の不可欠な部分を形成する)。
【0171】
本発明によるエアロゾル形態に調節した組成物は、一般に、従来の噴射剤、例えば、ハイドロフルオロ化合物、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n-ブタン、プロパンまたはトリクロロフルオロメタンを含む。噴射剤は好ましくは、組成物の全重量に対して15重量%から50重量%の範囲の量で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0172】
本発明は、ここで、下記に続く実施例を参照して記載されることになるが、実施例は、非限定的な例証として示されるものである。これら実施例において、特に他に記述のない限り、量は、重量パーセントで表す。下記のアンチサン処方を調製した。量は、重量パーセントで示す。
【0173】
(実施例)
(実施例1)
組成物1 重量%
シリカ処理微粒子酸化チタン(ルチル)/アルミニウムハイドロオキサイド/アルギン酸(Tayca社のMT-100 AQ) 5
防腐剤 1
96°エチルアルコール 10
水 46.19
4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(DSMのParsol 1789) 2.5
グリセロール 4
エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸五ナトリウム塩 0.3
イソヘキサデカン 4
テレフタリリデンジカンファースルホン酸(ChimexがMexoryl SXの名称で製造) 1.5
香料 0.5
プロピレングリコール 4
トリエタノールアミン 0.26
シクロヘキサジメチルシロキサン 2
オクトクリレン(特に、BASFがUvinul N539の商品名で販売のもの) 9
ドロメトリゾールトリシロキサン 0.75
イソノナン酸イソノニル 6
ポリエチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイド基を含む加熱ゲル化ポリウレタン 3
【0174】
(実施例2)
組成物2 重量%
シリカ処理微粒子酸化チタン(ルチル)/アルミニウムハイドロオキサイド/アルギン酸(Tayca社のMT-100 AQ) 5
防腐剤 1
96°エチルアルコール 10
水 46.19
4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(DSMのParsol 1789) 2.5
グリセロール 4
エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸五ナトリウム塩 0.3
イソヘキサデカン 4
テレフタリリデンジカンファースルホン酸(ChimexがMexoryl SXの名称で製造) 1.5
香料 0.5
プロピレングリコール 4
トリエタノールアミン 0.26
シクロヘキサジメチルシロキサン 2
オクトクリレン(特に、BASFがUvinul N539の商品名で販売のもの) 9
ドロメトリゾールトリシロキサン 0.75
イソノナン酸イソノニル 6
(*)NH3(40重量%)で中和したAMPSとポリエーテルメタクリレート(PEO(5.5モル)PPO(31モル)統計ポリマー) 3
【0175】
(*)本実施例で使用する加熱ゲル化ポリマーは、アンモニア水(40重量%)で中和したポリアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)および/またはポリエーテルが5.5モルのエチレンオキサイド(EO)ユニットおよび31モルのプロピレンオキサイドユニットを含むPEO/PPO統計コポリマーであるポリエーテルメタクリレートマクロモノマー(60%)のコポリマーである。
【0176】
ポリエーテルメタクリレートマクロモノマーは、標準的手法に基づき、メタクリル酸と上記に記載のようにLaporte社によりA286の商品名で製造されているポリエーテルのエステル化によって得られる。
【0177】
このコポリマーは、特許出願EP1069142に記載の合成プロセスに基づいて、AMPSおよび上記に記載の「ポリエーテルメタクリレート」マクロモノマーのtert-ブタノール中での沈殿重合によって得られる。
【0178】
【表1】

【0179】
この組合せの優位性を実証するために、下記のプロトコールに基づき、拡散試験を行う:
【0180】
本試験の原理は、吸取紙状の製品の付着の変化を測定することを本質とする。
- 70gのトレーシングペーパーを使用する
- 2.5×2cmの長方形、すなわち5cm2の領域をこの紙の上に描く
- 1処方に付き3回の試験を想定する
- 100mgの均一に広げた製品を適用する
- 製品をオーブンに入れ45℃で24時間、乾燥させる。
【0181】
紙をオーブンから取り出して分析する:
- 製品が拡散しているとき、一定の透明性が適用領域の外側に観察される:この領域の外周の範囲を定める。
【0182】
拡散効果を、312および365nmのチューブを備えたVilber-Lourmatタイプの120Wランプを用いて、UV光の下で観察する。
【0183】
Vilber-Lourmatランプの十分な照明下で視覚化した紙は、下記の状態を有している:
【0184】
下記の結果が、24時間後に、2つの組成物について観察された:
【0185】
【表2】

【0186】
アルコール存在下で加熱ゲル化ポリマーを含む組成物4は、加熱ゲル化ポリマーを全く含まない組成物1とは異なり、45℃のオーブンに24時間入れた後でさえも、紙の上で全く移行していない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型エマルションまたは水中油中水型多相エマルションの形態であり、生理的に許容できる媒体中に、
a)少なくとも1つの連続水相、
b)少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマー、
c)組成物の全重量に対して1重量%から20重量%の範囲の濃度の少なくとも1つの水混和性揮発性溶媒、
d)少なくとも1つの有機UVスクリーニング剤
を含むこと特徴とする、光防護化粧用組成物。
【請求項2】
加熱ゲル化ポリマーが、水溶性ユニットおよび水中で下限臨界溶液温度LCSTを有するユニットを含む水溶性ポリマーであり、前記LCSTを有するユニットの水溶液中での加熱偏析温度が、前記ユニットの水中での質量濃度1%に対して5から40℃であり、前記組成物中の前記ポリマー濃度が、組成物のゲル化点が5から40℃の範囲になるような濃度である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリマーのLCSTを有するユニットが、前記LCSTを有するユニットの水中での質量濃度1重量%に対して、5から40℃の加熱偏析温度を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリマーのLCSTを有するユニットの水溶液中での加熱偏析温度が、前記LCSTを有するユニットの水中での質量濃度1%に対して10から35℃である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ポリマー濃度が、ゲル化点が10から35℃の範囲になるような濃度である、請求項2から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリマーが、LCSTを有するユニットからなるブロックと交互に配置する水溶性ユニットからなるブロックを含むブロックポリマーの形態であるか、または骨格が水溶性ユニットの形態であるグラフトポリマーの形態であり、前記骨格がLCSTを有するユニットからなるグラフトを保持し、前記ポリマーが場合により、部分的に架橋している、請求項2から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
水溶性ユニットが、重合、特にフリーラジカル重合、または重縮合によって全体的または部分的に得られてよいか、あるいは別法として、既存の天然ポリマーまたは修飾天然ポリマーから全体的または部分的に構成されてよい、請求項2から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
水溶性ユニットが、下記のモノマー:
- (メタ)アクリル酸;
- 下記の式(I)のビニルモノマー:
【化1】

[式中、
- Rは、H、-CH3、-C2H5または-C3H7から選択され、
- Xは、
- -OR'タイプのアルキルオキサイド(R'は、少なくとも1つのハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素またはフッ素);スルホン酸(-SO3-)基、硫酸(-SO4-)基、リン酸(-PO4H2)基;ヒドロキシル(-OH)基;第一級アミン(-NH2)基;第二級アミン(-NHR1)基、第三級アミン(-NR1R2)基または第四級アミン(-N+R1R2R3)基によって任意選択で置換された、1から6個の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和の炭化水素ベースの基であり、R1、R2およびR3は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和の炭化水素ベースの基であり、ただし、R'+R1+R2+R3の炭素原子の合計が7を超えない);および
- -NH2、-NHR4および-NR4R5基(R4およびR5は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和の炭化水素ベースの基であり、ただし、R4+R5の炭素原子の合計数が7を超えず、前記R4およびR5は、ハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素またはフッ素);ヒドロキシル(-OH)基;スルホン酸(-SO3-)基、硫酸(-SO4-)基、リン酸(-PO4H2)基;第一級アミン(-NH2)基;第二級アミン(-NHR1)基、第三級アミン(-NR1R2)基および/または第四級アミン(-N+R1R2R3)基によって任意選択で置換されており、R1、R2およびR3は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和の炭化水素ベースの基であり、ただし、R4+R5+R1+R2+R3の炭素原子の合計が7を超えない)
から選択される];
- 無水マレイン酸;
- イタコン酸;
- 式CH2=CHOHのビニルアルコール;
- 式CH2=CH-OCOCH3の酢酸ビニル;
- N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタムおよびN-ブチロラクタムなどのN-ビニルラクタム;
- 式CH2=CHOR6のビニルエーテル(式中、R6は、1から6個の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和の炭化水素ベースの基である);
- 水溶性スチレン誘導体、特にスチレンスルホネート;
- ジメチルジアリルアンモニウムクロライド;および
- ビニルアセトアミド
から選択される少なくとも1つのモノマーの重合、特にフリーラジカル重合によって全体的または部分的に得られてよい、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ポリマーの水溶性ユニットが、下記の成分:
- 水溶性ポリウレタン;
- キサンタンガム;
- アルギネートまたはこれらの誘導体、例えば、プロピレングリコールアルギネート;
- セルロース誘導体、特にカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび四級化ヒドロキシエチルセルロース;
- ガラクトマンナンおよびこれらの誘導体、例えば、コンニャクガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、ナトリウムメチルカルボキシレート基により修飾されたヒドロキシプロピルグアー、およびグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド;ならびに
- ポリエチレンイミン
の1つまたは複数から選択される重縮合物あるいは天然ポリマーまたは修飾された天然ポリマーから全体的または部分的に構成される、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
ポリマーの水溶性ユニットが、グラフトポリマーの水溶性骨格を構成するとき、1000g/molから5000000g/molの範囲のモル質量を有し、またはマルチブロックポリマーのブロックを構成するとき、500g/molから100000g/molの範囲のモル質量を有する、請求項7から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
加熱ゲル化ポリマーのLCSTを有するユニットが、下記のポリマー:
- ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、およびエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)との統計コポリマーなどのポリマー、
- ポリビニルメチルエーテル、
- LCSTを有するアクリルアミドのN置換ポリマーおよびコポリマー誘導体、ならびに
- ポリビニルカプロラクタムおよびビニルカプロラクタムコポリマー
から選択される1つまたは複数のポリマーからなる、請求項2から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
LCSTを有するユニットが、ポリプロピレンオキサイド(PPO)n(式中、nは10から50の整数である)または式:
(EO)m(PO)n
(式中、mは1から40、好ましくは2から20の範囲の整数であり、nは10から60、好ましくは20から50の範囲の整数である)
により表されるエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)との統計コポリマーからなる、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ポリプロピレンオキサイド(PPO)nまたはエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)との統計コポリマーからなる、LCSTを有するユニットが、500g/molから5300g/mol、より優先的には1500g/molから4000g/molの範囲のモル質量を有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
加熱ゲル化ポリマーのLCSTを有するユニットが、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリ-N-エチルアクリルアミド、ならびにN-イソプロピルアクリルアミドまたはN-エチルアクリルアミドと、請求項8に記載の式(I)を有するモノマー、無水マレイン酸、イタコン酸、ビニルピロリドン、スチレンおよびこれらの誘導体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ビニルアセトアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルエーテルおよび酢酸ビニル誘導体から選択されるビニルモノマーとのコポリマーから選択されるポリマーからなる、請求項2から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ポリマーのLCSTを有するユニットのモル質量が、1000g/molから500000g/mol、好ましくは2000g/molから50000g/molである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
最終ポリマーにおけるLCSTを有するユニットの質量比が、最終ポリマーに対して、好ましくは5重量%から70重量%、特に20重量%から65重量%、特に30重量%から60重量%である、請求項2から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
加熱ゲル化ポリマーが、
(1)ポリエチレンオキサイド/ポリオキシプロピレン/ポリエチレンオキサイド(すなわちPEO-PPO-PEO)基を含むポリウレタン;
(2)ランダムに分布するポリ-N-イソプロピルアクリルアミドブロックおよびn-ブチルアクリレートならびにポリエチレングリコールブロックを含むマルチブロックコポリマー;
(3)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(すなわちAMPS)またはこれらの塩と(メタ)アクリル酸およびエトキシル化および/またはプロポキシル化アルキルのエステルのマクロモノマーとのコポリマー;
(4)LCSTを有するユニットからなる側鎖またはグラフトを保持するポリアクリル酸(PAA)骨格からなるコポリマーであって、
(i)式:
(EO)m(PO)n
(式中、mは1から40、好ましくは2から20の範囲の整数であり、かつnは10から60、好ましくは20から50の範囲の整数である)によって表される、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)との統計コポリマーなどのタイプのコポリマー(LCSTを有するこれらのユニットのモル質量は、好ましくは500から5300g/mol、より優先的には1500から4000g/molの範囲である);
(ii)モル質量が、好ましくは1000g/molから500000g/mol、より優先的には、2000から50000g/molであるポリ-N-イソプロピルアクリルアミドポリマー
から選択されるコポリマー
から選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
本発明の組成物における加熱ゲル化ポリマーの含有量が、組成物の全重量に対して0.01%と20%との間、さらに良好には0.1%と10%との間である、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
水混和性有機溶媒がC1〜C5低級モノアルコールから選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
水混和性揮発性有機溶媒がエタノールである、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
(1つまたは複数の)水混和性揮発性有機溶媒が、組成物の全重量に対して1重量%から15重量%、さらに優先的には1重量%から10重量%の範囲の濃度で存在する、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
(1つまたは複数の)有機UVスクリーニング剤が、ケイ皮酸誘導体;アントラニレート;サリチル酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体;カンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;ジフェニルアクリレート誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロネート誘導体、ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;ビス-ベンザゾリル誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;ベンズオキサゾール誘導体;スクリーニングポリマーおよびスクリーニングシリコーン;アルキルスチレンベースのダイマー;4,4-ジアリールブタジエン誘導体;ならびにこれらの混合物から選択される、請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
(1つまたは複数の)有機UVスクリーニング剤が:
エチルヘキシルメトキシシンナメート、
エチルヘキシルサリチレート、
ホモサレート、
オクトクリレン、
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、
ベンゾフェノン-3、
ベンゾフェノン-4、
ベンゾフェノン-5、
n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
4-メチルベンジリデンカンファー、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸、
フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、
2,4,6-トリス(ターフェニル)-1,3,5-トリアジン、
ドロメトリゾールトリシロキサン、
ポリシリコーン-15、
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、
2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンズオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、
およびこれらの混合物
から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
(1つまたは複数の)有機UVスクリーニング剤が、組成物の全重量に対して0.01重量%から20重量%の範囲、好ましくは組成物の全重量に対して0.1重量%から10重量%の範囲の割合で存在する、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
無機UVスクリーニング剤をさらに含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
無機スクリーニング剤が、平均一次粒子径が5nmから100nm、好ましくは10nmから50nmである被覆または無被覆の金属酸化物顔料から選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
無機スクリーニング剤が、被覆または無被覆の酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム顔料から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
無機スクリーニング剤が、非晶質形態または結晶形態(ルチルおよび/またはアナターゼ型)の、処理または非処理の酸化チタン粒子から選択される、請求項25から27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
無機スクリーニング剤が、組成物の全重量に対して0.01重量%から20重量%の範囲、好ましくは組成物の全重量に対して0.1重量%から10重量%の範囲の割合で存在する、請求項1から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
脂肪物質、有機溶媒、イオン性または非イオン性の、親水性または親油性増粘剤、柔軟剤、湿潤剤、乳白剤、安定化剤、エモリエント、シリコーン、消泡剤、香料、防腐剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、双極性または両性界面活性剤、活性剤、フィラー、ポリマー、噴射剤および酸性化剤または塩基性化剤から選択される少なくともひとつの化粧用アジュバントをさらに含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
適用領域外への組成物の移行の影響を低減または解消することを目的とする、生理的に許容できる媒体中に、UV照射を吸収するための少なくとも1つの薬剤を含む、水中油型エマルションまたは水中油中水型多相エマルションの形態の化粧用組成物における、請求項1から30のいずれか一項に規定の少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマーおよび少なくとも1つの水混和性揮発性有機溶媒の使用。
【請求項32】
美容上の心地よさおよび使用の快適性を向上させること;とりわけ、組成物の拡散性を向上させること、視覚上の快適性を向上させることおよびケラチン物質上での組成物の流れ落ちの影響を低減することを目的とする、生理的に許容できる媒体中に、UV照射を吸収するための少なくとも1つの薬剤を含む、水中油型エマルションまたは水中油中水型多相エマルションの形態の化粧用組成物における、請求項1から31のいずれか一項に規定の少なくとも1つの加熱ゲル化ポリマーおよび少なくとも1つの水混和性揮発性有機溶媒の使用。

【公表番号】特表2009−542758(P2009−542758A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518821(P2009−518821)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056199
【国際公開番号】WO2008/006687
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】