説明

加熱装置

【課題】基板を格段に薄くして温度変更を高速化した場合でも、球体の位置を安定させてウェハを適正位置に支持させておくことができる加熱装置を提供すること。
【解決手段】加熱装置は、ベースプレートと、ベースプレートの上方に位置してウェハが載置されるフェイスプレート3とを備え、フェイスプレート3は、アルミ基板31と、アルミ基板31に設けられたウェハWを加熱するフィルムヒータ32Bと、アルミ基板31に設けられてウェハWとの間に介装されるギャップボール6とを備え、アルミ基板31には、ギャップボール6が圧入される第2取付孔3Bが設けられ、ギャップボール6は、圧入により第2取付孔3B内の内壁面でのみ保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置に係り、例えば半導体ウェハを所定温度に加熱する加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハでのパターン焼付工程等に使用されるコータデベロッパ装置においては、ウェハが加熱装置により所定温度に加熱される。この際にウェハは、発熱部を有する基板上に球体(ギャップボール)を介して載置されており、ウェハと基板との間には所定の隙間が確保されるようになっている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1の加熱装置では、基板に複数の有底の球体受穴を設け、これらの球体受穴に球体を着脱可能に収容し、基板上から突出した球体部分により所定の隙間を確保している。
【0004】
特許文献2の加熱装置では、基板に設けられた有底の球体受穴内にガラスを主成分とした接合剤を充填し、球体を底部分に接触するまで落とし込んで球体受穴に嵌合させ、結合剤を焼成して球体を固定している。
また、特許文献2の別の実施例では、球体の径寸法を球体受穴の径寸法よりも大きくし、球体を球体受穴の周縁部分に当接させた状態にして、球体受穴内に充填した接合剤により球体を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−193833号公報
【特許文献2】特開2010−129709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2では、球体を収容または当接させる基板の球体受穴として、有底の形状になっており、底部分の厚さが薄いため、周囲に比較して底部分の熱膨張、収縮の影響を受け易く、このような底部分に接触している球体へおよぼす影響が大きくなる。従って、球体の発熱基板上からの突出量を一定に維持できず、発熱基板上の適正位置にウェハを載置できないという問題が生じる。
また、特許文献2では、球体が底部分に直接接触していないが、硬化した接合剤を介して間接的に接触していることになり、やはり厚さの薄い底部分の熱膨張や収縮に影響され、同様な問題が生じる。
【0007】
そして、基板を加熱したり、高温とされた加熱基板を冷却したりして基板温度を昇降させる時間はダウンタイムである。そのようなダウンタイムの低減のために、基板の熱容量の低減が必要であるが、基板をより薄くして熱容量を小さくすると、底部分の熱膨張、収縮が一層顕著となり、球体への影響がより深刻となる。特に、基板の材料として、セラミックなどよりも線膨張係数の大きいアルミを採用した場合には、問題となる。
【0008】
本発明の目的は、基板を格段に薄くして温度変更を高速化した場合でも、ギャップボールの位置を安定させてウェハを適正位置に支持させておくことができる加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る加熱装置は、ベースプレートと、前記ベースプレートの上方に位置してウェハが載置されるフェイスプレートとを備え、前記フェイスプレートは、アルミ基板と、前記アルミ基板に設けられて前記ウェハを加熱する加熱手段と、前記アルミ基板に設けられて前記ウェハとの間に介装される球体とを備え、前記アルミ基板には、前記球体が圧入される取付孔が設けられ、前記球体は、前記圧入により前記取付孔内の内壁面でのみ保持されていることを特徴とする
【0010】
第2発明に係る加熱装置では、前記取付孔は、前記アルミ基板を貫通して設けられていることを特徴とする。
第3発明に係る加熱装置では、前記取付孔の内壁面にはアルマイト処理が施され、前記球体は前記アルミ基板の板厚方向の中央よりも上方側の位置まで圧入さていることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る加熱装置は、ベースプレートと、前記ベースプレートの上方に位置してウェハが載置されるフェイスプレートと、前記ベースプレートおよび前記フェイスプレートの間に設けられて、前記フェイスプレートを冷却する冷媒ガスが流通する冷却パイプと、前記ベースプレートおよび前記フェイスプレートの間に設けられて、前記冷却パイプを通して噴出された前記冷媒ガスを案内するとともに、前記フェイスプレートから前記ベースプレートへの輻射熱を遮熱する遮熱整流プレートと、前記ベースプレートに取り付けられて、外部電源からの配線が結線されるターミナルブロックと、前記ベースプレートおよび前記フェイスプレートの間に立設されて該フェイスプレートを支持する複数の支柱と、前記フェイスプレートを前記ベースプレート側に引っ張る複数の引張部材とを備え、前記フェイスプレートは、アルミ基板と、前記アルミ基板に設けられて前記ウェハを加熱するとともに、前記ターミナルブロックに接続される給電用の端子を有した加熱手段と、前記アルミ基板に設けられて前記ウェハとの間に介装される球体とを備え、前記アルミ基板には、前記球体が圧入される取付孔が設けられ、前記球体は、前記圧入により前記取付孔内の内壁面でのみ保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1、第4発明によれば、球体は、取付孔内に圧入され、その内壁面でのみ保持されているため、基板として薄手のアルミ基板を用いた場合でも、取付孔の底部分の有無にかかわらず、そのような底部分の変形の影響を受けることがなく、球体位置を安定保持することができ、球体上のウェハを適正位置に確実に載置できる。
【0013】
第2発明によれば、取付孔がアルミ基板を貫通しており、底部分が存在しないので、取付孔内では、球体の圧入部分の下方側に密閉空間が形成されない。従って、加熱時の密閉空間の膨張により球体が押し上げられることがなく、位置ずれが生じるおそれがない。
【0014】
第3発明によれば、球体は、アルミ基板の板厚方向の中央よりも上側で圧入されているので、圧入時にアルマイト層は変形するが、アルマイト層の剥離や欠落等は起こらず、圧入位置よりも上側で生じる程度に留まり、圧入位置から下側部分のアルマイト層が圧入時の外力によって欠落する心配がない。このため、下方側に残っているアルマイト層にて球体をより確実に保持でき、球体が取付孔内の壁面のみで保持されていても、ウェハの繰り返し載置により下方に位置ずれすることがなく、保持状態を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る加熱装置の概略構成を示す分解斜視図。
【図2】加熱装置を構成するフェイスプレートを示す断面図。
【図3】ベースプレートの外周側でのフェイスプレートの支持構造を示す断面図。
【図4】フェイスプレートのウェハ載置領域のベースプレートへの支持構造を示す断面図。
【図5】ギャップボールの保持構造を示す断面図。
【図6】アース部材による接地構造を示す断面図。
【図7】アース部材を示す斜視図。
【図8】ターミナルブロックおよび端子を示す分解斜視図。
【図9】本発明の変形例を示す図。
【図10】本発明の別の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔装置全体の説明〕
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、加熱装置1は、半導体製造工程に用いられるコータデベロッパ装置に搭載される装置であり、2点鎖線で示したシリコンウェハ等の半導体ウェハ(以下、単にウェハと称する)Wを、パターン焼付工程等の種々の工程に応じた所定温度に加熱するように構成されている。
【0017】
具体的に加熱装置1は、円板状のベースプレート2と、ベースプレート2の上方に支持された円板状のフェイスプレート3と、各プレート2,3の間に収容される冷却パイプ11および遮熱整流プレート12とを備え、フェイスプレート3の上面側に所定の隙間C(図4)を空けて載置されたウェハWが、フェイスプレート3を構成する後述のフィルムヒータ32(図2)によって加熱されるようになっている。
【0018】
フェイスプレート3には、ウェハWを昇降させる昇降ピン(図示略)用の挿通孔30が3箇所に設けられている。挿通孔30から昇降ピンが上昇した状態で、ウェハWが所定の温度に保持された加熱装置1にハンドロボットにより搬入され、該昇降ピンの上端に載せられる。さらに、ハンドロボットが退避した後に昇降ピンが下降し、これに伴って下降したウェハWがフェイスプレート3に球体としてのギャップボール6を介して載置される。
【0019】
ウェハWに加工が施されている間は、ウェハWが加熱装置1によって加熱され、所定温度に維持される。ウェハWに所定の処理が施された後では、再度昇降ピンが上昇し、これに伴って上昇したウェハWがハンドロボットによって加熱装置1から搬出され、次のウェハWと入れ換えられる。
また、ウェハWへ施す加工条件(レシピ)が変更となり、フェイスプレート3の温度を例えば高温から低温へ変更する場合には、冷却パイプ11に冷媒ガスが供給され、冷却パイプ11の噴出小孔(図示略)から噴出する冷媒ガスによってフェイスプレート3が冷却される。冷媒ガスはその後、遮断整流プレート12に案内されて、ベースプレート2の中央から排気される。フェイスプレート3が設定温度以下になると、冷媒ガスの供給が停止され、再びフェイスプレート3が加工条件に応じた設定温度に加熱保持される。
【0020】
〔ベースプレートの説明〕
ベースプレート2は金属製であり、本実施形態ではステンレスが採用されている。このようなベースプレート2には、軽量化のための複数の開口部21や、フェイスプレート3を冷却するために用いた冷媒ガスを中央から排出する排気開口22が設けられている。ベースプレート2が十分な板厚寸法を有することで、加熱装置1全体の剛性を保証している。また、ベースプレート2の外周側の下面には、8つのターミナルブロック9が等周間隔で設けられ、外部から給電されている(図1に破線にて4つを図示)。
【0021】
そのようなターミナルブロック9には、フィルムヒータ32からチャンネル(コ字)形状に延設された端子33と、図示略の外部電源からの配線24(図8)とが結線されており、ターミナルブロック9を介して互いを導通させることで、フィルムヒータ32へ給電するようになっている。ターミナルブロック9および端子33の具体的な構造については、後述する。
【0022】
〔フェイスプレートの説明〕
フェイスプレート3は、図2(A)に示すように、アルミ基板31の上下両面にフィルムヒータ32(32A,32B)をホットプレスにより貼り付けた構造である。このようなフェイスプレート3は、図1に示すように、最も外周側に等周間隔で配置された8箇所のウェハガイド4、およびその内側の適宜な位置に複数配置された支柱5を介してベースプレート2に支持されている。ウェハガイド4および支柱5による具体的な支持構造についても、後述する。
【0023】
アルミ基板31は、薄板状であり、本実施形態では1.5mmの板厚寸法を有している。アルミ基板31には、全体にわたってアルマイト処理によるアルマイト層34が形成されている。このようなアルマイト処理は、アルミ基板31の上下両面の他、外周端面、および種々設けられた貫通孔の内部にも施されている。
【0024】
フィルムヒータ32は、ベースフィルム35の表面にステンレス箔36による発熱用の回路パターンを形成し、この回路パターンをカバーフィルム37で覆った構成である。フィルム35,37としては、ポリイミド樹脂が用いられている。なお、ベースプレート2と対向するようアルミ基板31の下面に貼られたフィルムヒータ32Aには、端子33(図1)が設けられることで給電されるが、ウェハWと対向するようアルミ基板31の上面に貼られたフィルムヒータ32Bには、給電のための端子が設けられておらず、給電されない。
【0025】
すなわち、上面のフィルムヒータ32Bは、フィルムヒータ32Aと略同じ回路パターンを有したダミー部材である。アルミ基板31の上下両面に略同構造のフィルムヒータ32A,32Bを貼り付けることにより、アルミ基板31の両側での線膨張係数を同じにでき、加熱時の熱膨張による撓みを抑制できる。この結果、フェイスプレート3には主に、中央から外方に向けての面内方向(径方向と同じ)の膨張が生じることになる。なお、フィルムヒータ32Bの回路パターンは、フィルムヒータ32Aとの線膨張係数差がなくなれば任意であり、フィルムヒータ32Aと略同じ回路パターンに限定されない。
さらに、図2(B)に示すように、ダミーのフィルムヒータ32Bを設ける代わりに、線膨張係数差をなくす程度の厚さを有したアルマイト層34′をアルミ基板31の上面に形成してもよい。また、この場合には、アルミ基板31の下面には、アルマイト層を施さなくともよい。
【0026】
また、図示を省略するが、加熱手段としてのフィルムヒータ32の回路パターンとしては、フィルムヒータ32の発熱面が中心部の円部とその外側の円環部とで、それぞれ任意に分割された小領域に区画されており、小領域毎に独立して給電されるように回路が形成されている。発熱面が複数の小領域に区画され、独立して発熱させることで、加熱されたウェハWの温度分布をより均一にでき、加熱ムラを少なくできる。
【0027】
各小領域に応じた複数の回路パターンが形成されている本実施形態では、ターミナルブロック9は8つ設けられ、給電用の端子33も8対分として16箇所に設けられている。16箇所のうち複数領域に給電を行わない端子33はダミーとされ、発熱用の回路パターンとは導通していない。
【0028】
ウェハWを均一に加熱するには、フィルムヒータ32の発熱面を複数の小領域に区画することが望ましく、端子33としても本来であれば、給電する領域に対応した数で足りる。一方、端子33の反力(弾性力)による薄板状のアルミ基板31への応力の影響を考慮すると、各対の端子33は周方向に沿って等周間隔で配置されるのが好ましい。しかし、給電する領域に対応した数の端子33を等周間隔に配置することが製造上の理由で一般的でないため、端子33としてはダミーを含めて8対設けることとし、等周間隔に配置している。
【0029】
以上のフェイスプレート3では、下側のフィルムヒータ32Aのステンレス箔36への給電により該フィルムヒータ32Aが発熱し、アルミ基板31が加熱される。アルミ基板31が加熱されると、フェイスプレート3全体の直上に存在するガスを介してフェイスプレート3上に載置されたウェハWが加熱される。この際の温度制御は、アルミ基板31に埋め込まれた図示略の温度センサからの信号に基づき、フィルムヒータ32Aへの給電を調整することで行われる。
【0030】
また、このようなフェイスプレート3は、導電性のアルミ基板31を絶縁性のポリイミド樹脂で挟持した構造であるから、フェイスプレート3全体がコンデンサとして作用して帯電する。さらに、ベースフィルム35にピンホールが存在する場合では、アルミ基板31に帯電した電荷が容易に漏電する可能性がある。このため、本実施形態では、フェイスプレート3の下面中央において、アルミ基板31の素地面を一部露出させ、この露出部分をベースプレート2に対してアース部材8(図6、図7)を介して短絡させ、接地している。アース部材8による接地構造の詳細についても、後述する。
【0031】
〔冷却パイプの説明〕
その他、ベースプレート2とフェイスプレート3との間には、環状の冷却パイプ11および遮熱整流プレート12が配置されている。冷却パイプ11には、中央の排気開口22を通して供給パイプ13が接続され、供給パイプ13から冷却パイプ11内に冷媒ガスが供給される。冷媒ガスは、冷却パイプ11に設けられた複数の噴出小孔(図示略)から中央に向けて噴出し、フェイスプレート3を下側から冷却する。
【0032】
フェイスプレート3では、板厚寸法の小さい薄板状のアルミ基板31を用いることで、熱容量が小さく抑えられているため、フィルムヒータ32Aへの給電のオン、オフによって、加熱、冷却の高速な温度変更を実現可能であるが、さらに冷却パイプ11から噴出する冷媒ガスによってフェイスプレート3を効果的に冷却することで、より迅速な温度変更を可能にしている。
【0033】
〔遮熱整流プレートの説明〕
遮熱整流プレート12は、冷却パイプ11から噴出した冷媒ガスをベースプレート2に設けられた開口部21より流出するのを防ぎ、中央の排気開口22に案内し、排気を促進するとともに、発熱中のフェイスプレート3からベースプレート2への輻射熱を遮断する。これにより、ベースプレート2の熱膨張や、ベースプレート2に取り付けられた各種部品への熱影響を抑制できる。
【0034】
〔ウェハガイドによるフェイスプレートの支持構造の説明〕
以下には、図1、図3を参照し、フェイスプレート3の外周側でのウェハガイド4による支持構造について説明する。
先ず、ベースプレート2の外周側の8箇所には、アルマイト処理が施された上下に貫通する第1貫通孔2Aが設けられている。これに対してウェハガイド4は、第1貫通孔2Aに上方から挿通される支持ボルト41と、フェイスプレート3の上面に配置されてウェハWの外周縁が当接される樹脂製のガイド部材42とを備えている。
【0035】
支持ボルト41は、ベースプレート2の第1貫通孔2Aを貫通する雄ねじ部43と、雄ねじ部43の上部に一体に設けられて、フェイスプレート3が載置される載置部44とを有している。このような支持ボルト41は、載置部44がベースプレート2の上面に置かれた状態にて、第1貫通孔2Aの下面から突出した雄ねじ部43に平ワッシャ45およびスプリングワッシャ45′を通し、ナット46との螺合により、ベースプレート2に固定される。
【0036】
支持ボルト41の載置部44の上面は平坦とされ、上面の一部分には極小径のセラミック製の第1支持ボール47が圧入されている。第1支持ボール47の一部は、載置部44の上面から所定寸法突出している。すなわち、載置部44に載置されるフェイスプレート3は詳細には、第1支持ボール47上に点接触した状態で載置される。このような点接触によりフェイスプレート3との接触面積を小さくできるため、フェイスプレート3からの熱伝達を抑制でき、また、フェイスプレート3の径方向での熱膨張、収縮を妨げないようにできる。そして、第1支持ボール47がセラミック製であることから、フェイスプレート3に用いられるアルミよりも熱伝導が低く、この点でもフェイスプレート3からの熱伝達を抑制でき、さらに、クリーンな環境にも対応している。
【0037】
載置部44にフェイスプレート3が載置された状態において、フェイスプレート3のアルマイト処理が施された第1取付孔3A内には、金属製のリング部材48が落とし込まれており、載置部44の上面に置かれている。このリング部材48をも貫通して、載置部44の雌ねじ部44Aに螺入される皿ビス49により、ガイド部材42が載置部44に固定される。
【0038】
このような構造では、ガイド部材42の下面と第1支持ボール47との間にフェイスプレート3が挟持され、固定される。そして、皿ビス49の締付によってフェイスプレート3が挟持される過程では、ガイド部材42の下面がリング部材48に当接するため、皿ビス49の過度の締付を防止できる。皿ビス49を締め付け過ぎると、その箇所でフェイスプレート3が波打つように変形し、ウェハWを適正な位置に載置できなくなる。なお、フェイスプレート3の第1取付孔3Aは、フェイスプレート3の径方向に沿った所定長さの長孔として形成され、径方向でのフェイスプレート3の熱膨張、伸縮を許容している。また、ガイド部材42は、フェイスプレート3上において、ベースプレート2側に付勢された状態で、任意の固定手段で固定されてよく、ねじ止めに限定されない。
【0039】
〔支柱によるフェイスプレートの支持構造の説明〕
次に、図1、図4を参照し、フェイスプレート3の支柱5による支持構造について説明する。
フェイスプレート3は、複数の支柱5を介してベースプレート2に支持されている。支柱5としては、2点鎖線で示したウェハWの外側にて等周間隔に配置された8本の支柱5Aと、その内側であるウェハWの載置領域にて等周間隔に配置された8本の支柱5Bと、さらにその内側にて等周間隔に配置された3本の支柱5Cとが設けられている。
【0040】
ベースプレート2の支柱5に対応した位置には、上下に貫通した第2貫通孔2Bが設けられている。支柱5は、第2貫通孔2Bに上方から挿通されるボルトである。支柱5は、第2貫通孔2Bを貫通する雄ねじ部51と、雄ねじ部51の上部に一体に設けられて、フェイスプレート3が載置される載置部52とを有しており、載置部52がベースプレート2の上面に置かれた状態にて、第2貫通孔2Bの下面から突出した雄ねじ部51に平ワッシャ53およびスプリングワッシャ53′を通し、ナット54との螺合により、ベースプレート2に固定されている。
【0041】
載置部52の上面も平坦とされ、上面の中央には第1支持ボール47よりも大きいセラミック製の第2支持ボール55が圧入されている。第2支持ボール55の一部は、載置部52の上面から所定寸法突出している。すなわち、載置部44に載置されるフェイスプレート3は、ウェハガイド4による支持構造と同様、第2支持ボール55に点接触した状態で載置されることになる。このような点接触による効果も、ウェハガイド4による支持構造と同様である。
【0042】
また、フェイスプレート3は、外周側のウェハガイド4のみならず、ウェハW載置領域内の複数箇所においても、支柱5B,5Cによって下方から支持されるので、薄板状とされた剛性の小さいアルミ基板31を用いたフェイスプレート3でありながら、下方へ凸型となる自重での撓みを防止でき、ウェハWを適正位置に確実に載置できる。
【0043】
ここで、フェイスプレート3の支柱5による支持箇所の近傍には、上下のフィルムヒータ32A,32Bおよびアルミ基板31を貫通した第2取付孔3Bが設けられている。本実施形態では、第2取付孔3Bは、下面側のフィルムヒータ32Aをも貫通しているが、フィルムヒータ32Aについては貫通していなくても問題ない。このような第2取付孔3B内には、上方からセラミック製のギャップボール6が圧入され、保持されている。
【0044】
ギャップボール6は、フェイスプレート3の上面から所定量突出している。この突出量は、図4での隙間Cに対応している。つまり、ウェハWは、これらのギャップボール6上に点接触した状態で支持されており、フェイスプレート3の上面から所定寸法の隙間Cを均一に保った適正位置に載置されている。ただし、図4では、フェイスプレート3の板厚寸法に対し、ギャップボール6、第2取付孔3Bの孔径、および隙間Cの大きさは、見易さを考慮して大きく誇張して図示されている。
【0045】
また、ギャップボール6は、支柱5による全ての支持箇所近傍に設けられている訳ではなく、支柱5Bで支持される支持箇所では、8本の支柱5Bのうち、1つおきの4本の支柱5Bに近接して設けられている。しかし、全ての支柱5に対応させてギャップボール6を設けてもよく、ギャップボール6をいずれの箇所に設けるかは、その実施にあたって適宜決められてよい。
【0046】
〔引張部材の説明〕
支柱5による支持箇所近傍には、フェイスプレート3を下方に付勢する引張部材7が近接して設けられている。引張部材7は、支柱5による全ての支持箇所近傍に設けられる訳ではないが、支柱5としては、ギャップボール6および引張部材7が組み合わされて用いられている箇所では、必須である。支柱5は、単独での使用、または近傍にギャップボール6および引張部材7のいずれか一方が存在する箇所での使用が可能である。
【0047】
図4において、ベースプレート2には、第3貫通孔2Cが設けられ、フェイスプレート3には、第3貫通孔2Cに対応した位置に第3取付孔3Cが設けられている。第3貫通孔2Cは、下方からの座ぐり部分を有した段付形状とされ、第3取付孔3Cは、上方からの座ぐり部分を有した段付形状とされている。
【0048】
引張部材7は、ベースプレート2の第3貫通孔2Cおよびフェイスプレート3の第3取付孔3Cの両方に挿通されたシャフト71と、第3貫通孔2Cから下方に突出したシャフト71に挿通され、第3貫通孔2C内に位置するワッシャ72と、同じくシャフト71に挿通されてワッシャ72の下方に位置する付勢手段としてのコイルばね73と、シャフト71に挿通されてベースプレート2の下面に当接されるワッシャ74と、シャフト71下部側の雄ねじ部76に螺入されるナット75とで構成される。
【0049】
ワッシャ72は、ナット75の締付によりワッシャ74およびコイルばね73を介して第3貫通孔2C内の段差部分まで押し上げられ、当接される。コイルばね73は圧縮ばねであり、ベースプレート2側に設けられてナット75との間に配置されることにより、ナット75のさらなる締付によって圧縮される。ワッシャ74がベースプレート2の下面に当接されるまでナット75を螺入した後、さらにナット75を締め付けることにより、圧縮したコイルばね73の反力でシャフト71下部側のワッシャ74およびナット75が下方に付勢され、シャフト71全体が下方に付勢される。
【0050】
フェイスプレート3の第3取付孔3C内では、シャフト71の上端に設けられたフランジ状の頭部77が段差部分に係止され、頭部77を介してフェイスプレート3が下方に付勢される。つまり、引張部材7によれば、フェイスプレート3をベースプレート2側から下方に向けて引っ張るのであり、フェイスプレート3の上面から突出する部分が一切存在しない。従って、フェイスプレート3でのウェハWの載置領域を下方に付勢させているのにかかわらず、引張部材7がウェハWと干渉することはない。
【0051】
以上の構造により、フェイスプレート3では、引張部材7によって下方に引っ張られながら、その下面が支柱5の第2支持ボール55に点接触して支持されるから、自重による下方への凸型の撓みが抑制される他、熱膨張による上方への凸型の変形も抑制される。その結果、フェイスプレート3の平面度を高精度に維持でき、ウェハWを適正位置に確実に載置できる。また、引張部材7がフェイスプレート3の上面から突出しないうえ、フェイスプレート3を構成するアルミ基板31の薄型化が図られていることから、加熱装置1全体の薄型化をも実現している。
【0052】
〔ギャップボールの保持構造の説明〕
図5に基づき、ギャップボール6の保持構造を説明する。
ギャップボール6は、フェイスプレート3を貫通する第2取付孔3Bの内壁面に圧入され、保持されている。詳細には、ギャップボール6は、アルミ基板31での第2取付孔3Bに対応した内壁面のみで保持されているのであり、その第2取付孔3Bでのギャップボール6の保持位置は、アルミ基板31の板厚方向の中央よりも上方側であって、本実施形態では、アルミ基板31の板厚寸法よりも大きい径寸法のギャップボール6を厚さ方向中央よりも僅かに高い位置に圧入し、ギャップボール6の所定の突出量を確保している。
【0053】
ギャップボール6は、第2取付孔3Bに対して上方から圧入されるが、その際には、アルミ基板31の内壁面に施されたアルマイト層34の表面が圧入部分で薄く削り取られるが残存する。ギャップボール6を第2取付孔3Bに対してアルミ基板31の板厚方向の中央以下にまで深く圧入してしまうと、上方からの外力によりアルマイト層34は、圧入部位から下方側の全ての部分で内壁面から剥離してしまい、一気に欠落する可能性がある。こうなると、ギャップボール6の下方側での保持力が低下するため、ギャップボール6を安定して保持することができず、隙間Cを維持できなくなる。これに対して本実施形態では、ギャップボール6をアルミ基板31の板厚方向の中央よりも上方位置で保持することとし、欠落を生じないようにして隙間Cをより確実に維持できるようにしている。
【0054】
また、本実施形態によれば、アルミ基板31を貫通するように第2取付孔3Bを設けることで、第2取付孔3Bには、アルミ基板31の一部として形成される底部分が存在しないし、そのような底部分にギャップボール6が載置されることもない。従って、そのような薄手の底部分での変形がギャップボール6に与える熱影響をなくすことができる。なお、第2取付孔3Bがアルミ基板31を貫通しておらず、アルミ基板31に底部分が存在しても、底部分にギャップボール6が接触していなければよく、このような場合でも、底部分の熱膨張、収縮がギャップボール6に与える影響を少なくできる。
【0055】
加えて、第2取付孔3Bにアルミ基板31による底部分が存在しないことにより、ギャップボール6の下方には密閉空間が形成されないので、加熱時に密閉空間内の空気が膨張してギャップボール6を押し上げるといった現象も生じることがなく、やはり隙間Cを良好に維持できる。
【0056】
〔アース部材による接地構造の説明〕
図1、図6、図7に基づき、アース部材8による接地構造を説明する。
図1、図6において、ベースプレート2の中央には、表裏を貫通する第4貫通孔2Dが設けられ、第4貫通孔2D内には雌ねじが形成されている。また、ベースプレート2の第4取付孔2Dから所定寸法だけ離間した位置には、ねじ穴2Eが設けられている。
一方、フェイスプレート3の前記第4貫通孔2Dに対応した位置には、表裏を貫通する第4取付孔3Dが設けられている。
【0057】
ベースプレート2の第4貫通孔2Dには、上方から保持ボルト81が螺入されている。保持ボルト81は、第4貫通孔2Dに螺入される雄ねじ部82と、雄ねじ部82の上端に一体に設けられた円柱状の頭部83とを有している。保持ボルト81の内部中央には、軸方向に沿って貫通したガイド孔81Aが設けられている。ガイド孔81Aの頭部83に対応した部分は、雄ねじ部82に対応した部分よりも径方向に広がっており、平面視で六角形状とされた保持部81Bになっている。
【0058】
保持部81Bには、六角形状のナット89が上下にスライド自在に嵌合している。ナット89には、フェイスプレート2の第4取付孔3Dに対して上方から挿通された長ビス84が螺入している。長ビス84は、下端側に設けられて保持ボルト81のガイド孔81Aに挿通されるロッド部84Aと、ロッド部84Aの上端に一体に設けられてナット89に螺入される雄ねじ部84Bと、雄ねじ部84Bの上端に一体に設けられてフェイスプレート3の第4取付孔3D内の座ぐり部分で係止される頭部84Cとを有している。このような長ビス84は、フェイスプレート3の下面とナット89との間に介装されるアース部材8の一端側(上端側)を貫通している。
【0059】
図6、図7に示すように、アース部材8は、ステンレスなどの導電性を有する金属製の帯体であり、山谷交互に折曲した第1〜第4折曲部8A,8B,8C,8Dを有する階段状に形成されている。アース部材8の一端側には、長ビス84が挿通される挿通孔8Eが設けられ、他端側(下端側)には、ビス85が挿通される挿通孔8Fが設けられている。ビス85は、アース部材8の他端側をベースプレート2の上面とワッシャ86との間で挟持するようにしてねじ穴2Eに螺入される。
【0060】
アース部材8の一端側において、フェイスプレート3の下面とアース部材8との間には、導電性を有した金属製のワッシャ87が配置されており、長ビス84に挿通されている。このワッシャ87に対向したフィルムヒータ32A(図2)の部分は、ワッシャ87の径よりもやや大きい開口とされ、また、アルミ基板31(図2)では、やはりワッシャ87の径よりもやや大きい部分でアルマイト処理が施されていない。そして、ワッシャ87の厚さは、アルマイト層34およびフィルムヒータ32Aからなる絶縁層の厚さ以上である。その結果、長ビス84が所定の締付力で締め込まれた状態では、ワッシャ87はアルミ基板41の素地部分と接触して導通することになり、ワッシャ87を介してアース部材8がアルミ基板31と導通し、このアース部材8を介してアルミ基板31がベースプレート2に接地される。
【0061】
ここで、アース部材8とナット89との間には、断熱性および絶縁性を有した樹脂ワッシャ88が配置され、長ビス84に挿通されている。従って、フェイスプレー3からの熱を、ナット89や保持ボルト81に伝えにくくでき、熱伝達を抑制できる。また、アース部材8を中央に設けることで、熱逃げがあっても、端部に設けるより均一性の観点で影響を受け難い。
【0062】
このようなアース部材8では、長手方向の途中に第1〜第4折曲部8A〜8Dが設けられているので、アース部材8に作用する外力は、これら第1〜第4折曲部8A〜8Dでの屈曲により吸収され、アース部材8の両端では、外力に対する反力が生じ難い。従って、特にアース部材8の一端側を介してフェイスプレート3の下面が上方に押圧されるといったことがなく、フェイスプレート3の中央が上方に押し上げられるように変形するのを防止できる。 また、アース部材8によれば、第1〜第4折曲部8A〜8Dでの屈曲により、アース部材8の熱膨張や収縮による長手方向に沿った変位に対応できる。
【0063】
以上に説明した構造では、フェイスプレート3をベースプレート2に支持させる前工程において、アース部材8の他端側をビス85によってベースプレート2に固定しておく。また、ナット89なども、ベースプレート2に螺入された保持ボルト81の保持部81B内に収容しておき、ナット89の上方にアース部材8の一端側を位置させ、各ワッシャ87,88を配置しておく。
【0064】
そして、フェイスプレート3をベースプレート2に支持させる段階において、長ビス84をフェイスプレート3の第4取付孔3Dに挿通すると同時に、アース部材8、各ワッシャ87,88、ナット89、保持ボルト81にも挿通する。この後、長ビス84のロッド部84Aを保持ボルト81のガイド孔81Aにガイドさせながら回転させると、ナット89が長ビス84に螺入しつつ、無回転状態で保持部81内を上方にスライドし、最終的にフェイスプレート3の下面とナット89との間で、アース部材8および各ワッシャ87,88を挟持することになる。
【0065】
〔ターミナルブロックおよび端子の説明〕
図8において、ターミナルブロック9は、ベースプレート2の下面に固定される絶縁性を有した樹脂製の基台91と、基台91に取り付けられる導電性を有した一対の金属製の導通プレート92と、導通プレート92の外方側の端部に取り付けられる押さえ部材93とを備えている。
【0066】
基台91の外方側の端縁は、ベースプレート2の端面と略面一とされている。基台91には、内外方向(ベースプレート2の径方向と同じ)に沿った2条の取付溝91Aが設けられ、取付溝91Aに導通プレート92が配置される。取付溝91Aおよび導通プレート92の長手方向の中央には、表裏を貫通する貫通孔91B、92Aが設けられている。これらの貫通孔91B,92Aには、絶縁性を有する樹脂製の筒状部材94が挿通される。
【0067】
筒状部材94には、平ワッシャ95およびスプリングワッシャ95′に通されたビス96が挿通されており、ビス96はベースプレート2に設けられたねじ穴2Fに螺入される。このビス96により、基台91はベースプレート2に固定され、導通プレート92は基台91に取り付けられる。この際、ベースプレート2に螺入されるビス96は、筒状部材94に挿通されることで導通プレート92に対して絶縁されているため、導通プレート92がベースプレート2と導通することはない。
【0068】
導通プレート92において、貫通孔92Aの両側には、ねじ孔92Bが設けられ、ねじ孔92Bのそれぞれには、ビス97が螺入される。基台92には、ねじ孔92Bに対応した位置に丸孔91Cが設けられるが、この丸孔91Cは、ねじ孔92Bから突出したビス97の先端と基台91との干渉を回避するための孔である。
【0069】
導通プレート92の内方側で螺入されるビス97は、平ワッシャ98およびスプリングワッシャ98′を介して配線24の圧着端子24Aに挿通される。ビス97をねじ穴92Bに螺入することで、配線24が導通プレート92上に結線される。
導通プレート92の外方側で螺入されるビス97は、平ワッシャ98およびスプリングワッシャ98′を介して押さえ部材93に挿通され、また、フィルムヒータ32A(図2)の端子33に挿通される。ビス97をねじ穴92Bに螺入することで、端子33が押さえ部材93で押さえ込まれるようにして導通プレート92上に結線される。
なお、図8では、ベースプレート2やターミナルブロック9を下方から見た図として示されているが、ベースプレート2へのターミナルブロック9の取付作業や、配線24、端子33の結線作業は、ベースプレート2の下面を上方にして行われる。
【0070】
このようなターミナルブロック9に結線される端子33は、長手方向の途中に第1、第2折曲部33A、33Bを有したチャンネル形状(コ字形状)である。従って、第1,第2折曲部33A,33Bを有することで、端子33に作用する外力は、前述したアース部材8と同様に、第1、第2折曲部33A,33Bでの屈曲により吸収され、端子33の両端では、外力に対する反力が生じ難い。従って、特に端子33基端側を介してフェイスプレート3の下面が上方に押圧されたり、下方に引き下げられたりするといったことがなく、フェイスプレート3の外周が上方に押し上げられたり、下方に引き下げられたりするように変形するのを防止できる。また、何らかの理由により、フェイスプレート3が押し上げられる場合や、引き下げられる場合でも、端子33が等周間隔で配置されているので、不規則な形状に変形することがなく、変形による影響を少なくできる。
【0071】
また、ターミナルブロック9は、ベースプレート2の下面に取り付けられているので、ベースプレート2の下面を上方に向けることで、端子33の結線作業等を容易にでき、作業性が良好である。
しかも、ターミナルブロック9は従来、ベースプレート2の上面に取り付けられ、フェイスプレート3との間の空間に収容されていたが、ベースプレート2の下面に取り付けられることにより、ベースプレーと2とフェイスプレート3との間隔を全体的に狭めることができ、加熱装置1の全体的な薄型化を促進できる。
【0072】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、支柱5による全ての支持箇所近傍に対応して引張部材7が設けられていたが、全ての支持箇所近傍ではなく、適宜選択された幾つかの支持箇所近傍にのみ引張部材7を設けた場合でも本発明に含まれるし、支柱5での支持箇所近傍以外の箇所に引張部材7を設けた場合にも本発明に含まれる。要するに、フェイスプレート3のウェハW載置領域に対応した部分が、ベースプレート2側から引張部材7によって下方に付勢されていればよい。
【0073】
前記実施形態では、本発明に係る加熱手段としてフィルムヒータ32Aが用いられていたが、基板自身に発熱用の回路パターンを形成できる場合であれば、フィルムヒータを用いる必要はない。
前記実施形態では、引張部材7に係る付勢手段としてコイルばね73が用いられていたが、弾性力を有した円柱状のゴム部材等であってもよい。
【0074】
前記実施形態では、アース部材8の形状は、平面視において、加熱装置1の中心から径方向の外側に向けて延びた直線状であるが、このような形状に限定されない。例えば図9(A)、(B)に示すように、第2折曲部8Bにて延出方向を90度変更することで、平面視でL字形状に形成してもよく、図10(A)、(B)に示すように、第2折曲部8Bに加えて、第4折曲部8Dにて再度延出方向を90°変更して戻すことで、平面視でクランク形状に形成してもよい。
これらの形状を有したアース部材8では、第1、第2折曲部8A,8Bが屈曲することと、第3、第4折曲部8C,8Dが屈曲することとにより、互いに直交する2方向の変位に対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、半導体ウェハの加熱に利用できる。
【符号の説明】
【0076】
1…加熱装置、2…ベースプレート、3…フェイスプレート、3B…取付孔である第2取付孔、5…支柱、6…球体であるギャップボール、7…引張部材、9…ターミナルブロック、11…冷却パイプ、12…遮熱整流プレート、24…配線、32,32A…加熱手段であるフィルムヒータ、33…端子、W…ウェハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
前記ベースプレートの上方に位置してウェハが載置されるフェイスプレートとを備え、
前記フェイスプレートは、
アルミ基板と、
前記アルミ基板に設けられて前記ウェハを加熱する加熱手段と、
前記アルミ基板に設けられて前記ウェハとの間に介装される球体とを備え、
前記アルミ基板には、前記球体が圧入される取付孔が設けられ、
前記球体は、前記圧入により前記取付孔内の内壁面でのみ保持されている
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱装置において、
前記取付孔は、前記アルミ基板を貫通して設けられている
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の加熱装置において、
前記取付孔の内壁面にはアルマイト処理が施され、
前記球体は前記アルミ基板の板厚方向の中央よりも上方側の位置まで圧入さている
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項4】
ベースプレートと、
前記ベースプレートの上方に位置してウェハが載置されるフェイスプレートと、
前記ベースプレートおよび前記フェイスプレートの間に設けられて、前記フェイスプレートを冷却する冷媒ガスが流通する冷却パイプと、
前記ベースプレートおよび前記フェイスプレートの間に設けられて、前記冷却パイプを通して噴出された前記冷媒ガスを案内するとともに、前記フェイスプレートから前記ベースプレートへの輻射熱を遮熱する遮熱整流プレートと、
前記ベースプレートに取り付けられて、外部電源からの配線が結線されるターミナルブロックと、
前記ベースプレートおよび前記フェイスプレートの間に立設されて該フェイスプレートを支持する複数の支柱と、
前記フェイスプレートを前記ベースプレート側に引っ張る複数の引張部材とを備え、
前記フェイスプレートは、
アルミ基板と、
前記アルミ基板に設けられて前記ウェハを加熱するとともに、前記ターミナルブロックに接続される給電用の端子を有した加熱手段と、
前記アルミ基板に設けられて前記ウェハとの間に介装される球体とを備え、
前記アルミ基板には、前記球体が圧入される取付孔が設けられ、
前記球体は、前記圧入により前記取付孔内の内壁面でのみ保持されている
ことを特徴とする加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−204825(P2012−204825A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71243(P2011−71243)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】