加熱調理器
【課題】 油分やにおい成分による異臭の発生を抑制し、ロースタ筐体と取外し可能なグリルケースとの間に空気層が形成される加熱調理器を提供する。
【解決手段】 外装1内部に配置されたロースタ部4は、ロースタ筐体19の内部に取外し自在に収納されるグリルケース90と、受け皿11の網棚に載置した食品を加熱するヒータ26と、前記グリルケース90の底面に、内側に凸となるように座押し形成された、受け皿11のレール用の前記グリルケース90底面の凸部90C、90Dと、ロースタ筐体19の底面と前記グリルケース90との間に空気層を形成するために、ロースタ筐体19の底面のうちグリルケース90底面の凸部90C、90Dと垂直方向に同じ位置にない位置に形成された凸部190G、190Hと、を有する構成である。
【解決手段】 外装1内部に配置されたロースタ部4は、ロースタ筐体19の内部に取外し自在に収納されるグリルケース90と、受け皿11の網棚に載置した食品を加熱するヒータ26と、前記グリルケース90の底面に、内側に凸となるように座押し形成された、受け皿11のレール用の前記グリルケース90底面の凸部90C、90Dと、ロースタ筐体19の底面と前記グリルケース90との間に空気層を形成するために、ロースタ筐体19の底面のうちグリルケース90底面の凸部90C、90Dと垂直方向に同じ位置にない位置に形成された凸部190G、190Hと、を有する構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関し、特に、本体を有し、当該本体の内部構造に特徴のある加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、調理室を備え当該調理室内で食品を加熱するロースタと、ガスバーナや誘導加熱コイルとを組合せて構成した、つまり、複数の加熱手段が組合された、加熱調理器が存在している。たとえば、特開平10−300102号公報には、ロースタと誘導加熱コイルとを備えた加熱調理器が開示されている。
【0003】
当該公報に開示された加熱調理器は、図21に示すように、本体100と、本体100の上面に設けられた耐熱性を有するセラミック製のトッププレート101、誘導加熱部102a、102bを備えている。誘導加熱部102a、102bの下部には、誘導加熱コイルが配置されている。これにより、誘導加熱部102a、102b上に誘導加熱が可能な調理鍋を載置すると、当該調理鍋が誘導加熱される。
【0004】
また、当該加熱調理器は、ロースタ部103を有している。ロースタ部103には、調理室104、調理室104の入り口106を構成する前板105、扉107、調理物を載せる網棚109を取付けるために扉107に固定された受け皿108、および、前板105に固定された操作部110を備えている。
【特許文献1】特開平10−300102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、ロースタ部103で魚の焼き料理を行なうとき、魚から発する蒸気には、油分やにおい成分、場合によっては魚の欠片が含まれ、この蒸気が調理室104内の壁面に結露する。水分は、調理室104内のヒータ熱により蒸発するが、油分やにおい成分、魚の欠片は、そのまま放置されると異臭を放ち、ユーザが使用する度またはユーザが本体100に近づく度に、異臭による不快感を感じることになる。そこで、通常、ユーザは、調理室104内を清掃することになるが、調理室104自体は狭く、また、ふき取り掃除のみなので、十分な清掃がなされることは困難であった。
【0006】
また、調理室104内に充満した煙や熱気は、調理室104の筐体に隙間があれば当該隙間から噴出する。そして、特に、前板105と扉107との隙間から噴出する煙や熱気は、ユーザに直接吹きかけられるため、ユーザの不快感を増大させる。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従った加熱調理器は、上面に調理鍋載置用のセラミック製トッププレートを有する外装と、前記トッププレート上に載置した調理鍋を誘導加熱するために、前記トッププレート下部に配置した誘導加熱コイルと、食品を収納して加熱するための調理室を有し、前記外装内部に配置されたロースタ部と、前記外装内の前記ロースタ部側方に配置され、前記誘導加熱コイルを駆動制御する制御ユニットと、前記外装に形成された吸気口から吸気し、前記制御ユニットに冷却風を供給する冷却ファンと、を備え、前記ロースタ部は、前記調理室の外郭を覆い、前部に開口を有するロースタ筐体と、前記ロースタ筐体の後面側に取付けられ、前記調理室内で生じた煙等を前記外装に形成された排気孔から外部に排出するための排出管と、前記ロースタ筐体の前方から嵌め込まれ、前記ロースタ筐体の内部に取外し自在に収納されるグリルケースと、前記ロースタ筐体の開口を閉塞する扉と、前記扉に取付けられ、前記食品を載置する網棚を設置する受け皿とを含み、前記グリルケース内に前記受け皿が収納されるトレイと、前記ロースタ筐体内に前記グリルケースが収納された際に前記グリルケース内に位置し、前記受け皿の網棚に載置した前記食品を加熱するヒータと、前記グリルケースの底面に、内側に凸となるように座押し形成された、前記受け皿が前記グリルケース内に収納される際のレールとして機能する凸部と、前記ロースタ筐体の底面と前記グリルケースの底面との間に空気層を形成するために、前記ロースタ筐体の底面のうち前記受け皿収納用レールと垂直方向に同じ位置にない位置に形成された前記ロースタ筐体底面の凸部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、グリルケースとロースタ筐体との間に空気層を形成しつつ、グリルケースを、グリル筐体内に収納できるようになる。
【0010】
また、グリルケース壁面にこびりついた食品の油分やにおい成分、食品の欠片が従来のようにふき取りによる清掃だけでなく、グリルケースをグリル筐体から取り外して、グリルケースを水で洗い流しながらの清掃が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1および図2は、本発明の加熱調理器の一例の、据え置き型グリル付電磁調理器の斜視図である。当該電磁調理器は、外装となる本体1、本体1の上面に設けられた耐熱性セラミック製のトッププレート2、トッププレート2上面に表示された誘導加熱部3a、3b、魚や肉などの食品を収納して加熱するロースタ部4、左操作部5、右操作部6、および、排気孔7を備えている。排気孔7は、本体1の上面であってトッププレート2の後部に位置し、ロースタ部4からの排気や後述するインバータを冷却した冷却風を排気するためのものである。
【0012】
ロースタ部4は、食品を収納し加熱する調理室8、食品を載置して調理室8内に収納するトレイ9、調理室8内に設置されているヒータ(後述するヒータ26)を含む。
【0013】
トレイ9は、調理室8の開口を閉塞する扉10、および、扉10に取付けられ、食品を載置する網棚を設置する受け皿11を含む。該受け皿11は、網棚に載置された食品を調理室8内で加熱調理する際、水を入れておくためのものである。網棚に載置された食品が加熱されると、食品から油や水分などが吹き出て、受け皿11上に滴下する。受け皿11に水がないと、この滴下した食品の油や水分が受け皿11上に焼け付いた状態となり、異臭の原因や受け皿11の腐食の原因となる。そして、受け皿11内に水が入れられていると、この食品の油や水分は、受け皿11の水の上に滴下されるため、直接受け皿11が汚されることを回避できる。また、調理終了時、この受け皿11上の水を廃棄することにより、受け皿11内に食品の油や汚れが残ることを抑制できるのである。
【0014】
扉10は、調理室8を閉塞したときに当該調理室8内を覗けるようにガラスなどの透明部材が嵌込まれた窓部12、および、トレイ9を調理室8から引出したり収納したりする際にユーザが持つ取手13を含む。図1は、トレイ9が調理室8内に収納されている状態を示し、図2は、トレイ9が調理室8から引出された状態を示している。
【0015】
左操作部5は、誘導加熱部3aの出力を制御するためのものであり、誘導加熱部3aの出力調整用操作つまみ14が配置されている。また、右操作部6は、誘導加熱部3bの出力を制御するためのものであり、誘導加熱部3bの出力調整用操作つまみ15が配置されている。なお、右操作部6には、ロースタ部4の出力を調整するロースタ操作部16も配置されている。
【0016】
図3は、図1の電磁調理器を、トッププレート2等の種々の要素を省略した状態で示す図である。誘導加熱調理部3a、3bのそれぞれの下部には、誘導加熱コイル17、18が配置されている。また、ロースタ部4は、調理室8の外郭を覆うロースタ筐体19を備えている。左操作部5の後方であって、本体1とロースタ筐体19との間には、第1スペース20が形成されている。また、右操作部6の後方であって、本体1とロースタ筐体19との間には、第2スペース21が形成されている。
【0017】
誘導加熱コイル17、18は、本体1内で左右対象の位置に配置されている。また、ロースタ筐体19は、耐熱性等の観点から、ステンレスやホーロー等の金属などの金属で構成され、本体1の中心位置に配置されている。つまり、ロースタ筐体19は、その中心が、本体1の左右方向の中心とほぼ一致するように、本体1内に配置されている。
【0018】
これにより、誘導加熱コイル17、18とロースタ筐体19との上下方向での重なりは同じになる。つまり、本実施の形態では、誘導加熱コイル17とロースタ筐体19とが重なり合っている部分の面積と、誘導加熱コイル18とロースタ筐体19とが重なり合っている部分の面積が等しい。
【0019】
斯かる誘導加熱コイル17、18とロースタ筐体19とが重なり合っている面積が等しいことにより、ロースタ筐体19の存在することによる誘導加熱コイル17、18のそれぞれへのインピーダンスの影響が等しくなるため、製品設計時にロースタ筐体19の影響分を考慮する必要がなくなり、設計時の負担が軽減される。
【0020】
なお、誘導加熱コイル17および18は、通常コイル台上に渦巻き状に巻かれて載置され固定されている。このコイル台では、トッププレート2の裏面と誘導加熱コイルとの距離を一定に保つために、トッププレート2と誘導加熱コイルとの間にスペーサが設けられ、かつ、コイル台が下方からスプリングなどの付勢手段でトッププレートに押し付けられている。なお、このスペーサの高さは、インバータの回路方式や誘導加熱コイルの温度上昇値などにより、変更する必要がある。そこで、スペーサの上下部に異なる高さのスペーサ部を設け、他方をコイル台に嵌合させる構成とされている。これにより、それぞれ高さの異なるスペーサを設ける必要がなく、部品の削減およびコストダウンが可能となる。
【0021】
誘導加熱部3a、3bの下部、つまり、トッププレート2の裏面には、載置した鍋の温度を検出するためのサーミスタが取付けられている。このサーミスタとトッププレート2との密着性を高めるために、板バネ等の金属製弾性板を使い、サーミスタと絶縁を図りながら、トッププレートにサーミスタを押付ける構成とすることで、トッププレート裏面により密着させることができ、鍋の熱の伝達をより良好にすることができる。
【0022】
本体1の内部では、ロースタ筐体19の左方に、誘導加熱コイル17を駆動制御する第1制御ユニット32が備えられ、ロースタ筐体19の右方に、誘導加熱コイル18を駆動制御する第2制御ユニット34が備えられている。第1、第2制御ユニット32、34の前方にはそれぞれ、冷却風を第1、第2制御ユニット32、34の内部に供給するための第1、第2冷却ファン33、35が取付けられている。また、本体1には、第1、第2冷却ファン33、35が外部から吸気するための吸気孔36、37が形成されている。
【0023】
次に、調理室8の構成について、図4〜図7を参照して説明する。調理室8は、その外郭を覆うロースタ筐体19と、当該ロースタ筐体19の内部に嵌込まれ調理室8の内壁の大部分を構成するグリルケース90と、グリルケース90内に収納されるトレイ9とを含む。図4は、ロースタ筐体19の、一部破断された斜視図であり、図5は、グリルケース90の一部破断された斜視図であり、図6は、トレイ9の斜視図である。そして、図7は、ロースタ筐体19とグリルケース90とトレイ9が組合された状態の右側面を模式的に示す図である。
【0024】
まず、図4を参照して、ロースタ筐体19の前面には、前面板190が取付けられている。ロースタ筐体19は、底面、左右側面、上面、後面を有する筐体であり、前面板190は、当該底面、左右側面、および、上面にほぼ垂直の面を有する。前面板190の端縁部分には、後方に向けて折り返された、折り返し部190Bが形成備えられている。また、前面板190上部には、水平方向に線状に伸びる線状に凹部190Aが形成されている。ロースタ筐体19の内部であってその上部には、ヒータ26が取付けられている。ヒータ26は、取付具26Aによって、ロースタ筐体19の上面に取付けられている。
【0025】
ロースタ筐体19の壁面には、座押しされることにより、内側に凸となる凸部が複数形成されている。つまり、ロースタ筐体19の、左右側面には凸部190E、190Fが形成され、後面には190C、190D、190Mが形成され、底面には190G、190H、190J、190K、190Lが形成されている。また、ロースタ筐体19の後面には、サーミスタ192が取付けられ、凸部190Lの裏面にも、サーミスタが取付けられている。本実施の形態の電磁調理器では、調理室8内の食品をヒータ26で加熱するが、調理室8内の温度をサーミスタ192により検出し、調理室8内が高温となった場合には、ヒータ26による加熱は禁止される。なお、凸部190Lの裏にもサーミスタが配置されており、該サーミスタは、グリルケースの凸部90Hおよび受け皿11の凹部11Aを介して受け皿11の水の有無を検出している。つまり、受け皿11内に水が存在するときは、凸部190Lの裏のサーミスタの検出温度が100℃以上に上昇しないが、水がなくなるとサーミスタの検出温度が100℃以上に上昇する。この温度の違いが検出されることにより、受け皿11内の水の有無が検出される。
【0026】
次に、図5を参照して、グリルケース90は、底面、左右両側面、上面および後面を有する筐体である。ただし、後面は、側面よりも低く、上面には接続されていない。グリルケース90の上面中央には、後面側端部が開放され、前後方向に伸びるスロット90Xが形成されている。斯かる構成により、調理室8を構成する壁面のうち、ヒータ26に最も近いヒータ26の上面を、スリット90Xを除いたグリルケース90の上面で覆うことができる。グリルケース90の壁面には、座押しされることにより、内側に凸となる凸部が複数形成されている。
【0027】
グリルケース90の底面には凸部90C、90Dが前後方向に伸びるように形成されている。また、グリルケース90の底面であって凸部90Dの後方には、凸部90Kが形成されている。凸部90Cの後方にも凸部90Kと同型の凸部が形成されているが、図示を省略している。また、グリルケース90の底面後部には、凸部90Hが形成されている。グリルケース90の左右側面には、それぞれ、凸部90E、90Fが形成されている。また、グリルケース90の底面前部には、座押しされることにより外側に凸形状を有する凹部90A、90Bが、左右方向に並んで形成されている。
【0028】
グリルケース90の後面の上端部には、グリルケース90より後方側に伸びるフランジ92、93が備えられている。
【0029】
次に、図6を参照して、トレイ9は、扉10と、取手13と、受け皿11とを含む。受け皿11の底面後部には、外側に凸形状を有する凹部11Aが形成されている。また、凹部11Aの、左側に凹部11Dが、右側に凹部11Dと同型の凹部(図6では図示略、後述する凸部11Eに相当)が形成されている。
【0030】
次に、図7を参照して、ロースタ筐体19内にグリルケース90が収納され、グリルケース90内に受け皿11が収納されている。ロースタ筐体19の前部の開口は、扉10によって塞がれている。なお、図7では、グリルケース90の内部を示すため、ロースタ筐体19およびグリルケース90の右側面は省略されている。
【0031】
グリルケース90がロースタ筐体19内に収納されると、ヒータ26は、グリルケース90の内部に位置している。グリルケース90は、ロースタ筐体19の前方より嵌め込まれて、ロースタ筐体19内に収納されるが、このとき、取付具26Aは、スリット90Xの後面側開放からスリット90X内に通される。つまり、図7に示す状態では、取付具26Aは、スリット90Xを介して、グリルケース90内のヒータ26を支持している。
【0032】
また、グリルケース90は、調理室の内壁を構成することになるが、本実施の形態の加熱調理器では、グリルケース90がロースタ筐体19から取外すことが出来る。したがって、グリルケース90の壁面にこびりついた食品の油分やにおい成分、食品の欠片が、従来のようにふき取りによる清掃だけでなく、例えばキッチンのシンクで、水道の水で洗い流しながらの清掃が行なえるため、容易にかつ隅々まで、きれいに、グリルケース90の清掃が行なえる。さらに、ヒータ26に近い上面を覆っている部分のグリルケース90は、ヒータ26の熱で食品の油やにおい成分、食品の欠片が焼き付けられやすいが、当該グリルケース90を本体1から取外して洗い流せるため、当該グリルケース90から異臭が発生することを抑制できる。
【0033】
図7では、トレイ9の受け皿11の後部に形成されている凸部11Eが示されている。トレイ9がグリルケース90内に収納されている状態では、凸部11Eが凸部90Kに引っかかる。また、受け皿11の凹部11Dを構成する、受け皿の下面側に突出した部分も、グリルケース90の底面の、凸部90Kと同型の凸部に引っかかる。これらの引っかかりにより、トレイ9は、グリルケース90内に、固定される。なお、トレイ9を前方に引出す際には、ユーザは、受け皿11の後端を多少上方にずらすことにより、凸部11Eの下端を凸部90Kの上端よりも上方に位置させ、凸部11Eの凸部90Kに対するひっかかり等の引っかかりを解除できる。
【0034】
扉10と受け皿11は、接続部材11B、11Cで接続されている。また、グリルケース90がロースタ筐体19に収納されている状態では、凹部90A、90Bの裏面側の凸部(凸部90A、90Bとする)が、それぞれ、凸部190J、190Kにひっかかっている。なお、グリルケース90の前方を上方に移動されることにより、これらの引っかかりは解除される。
【0035】
ロースタ筐体19の上面の内側には板バネ193が取付けられている。グリルケース90の上面には外側に凸形状を有する凸部90Lが形成されている。グリルケース90がロースタ筐体19に収納されている状態では、板バネ193の後端によって凸部90Lが押さえられている。なお、板バネ193を上方に付勢することにより、板バネ193の後端による凸部90Lの押さえ込みが解除される。すなわち、グリルケース90が板バネ193によりロースタ筐体19に押圧固定されることになる。なお、板バネ193は、これに限定されるものではなく、グリルケース90を押圧する付勢部材であれば、すべてに適用される。また、板バネ193と同様の作用を有する付勢部材は、グリルケース90側に備えられていてもよい。つまり、グリルケース90に備えられた付勢部材がロースタ筐体19を押圧することにより、グリルケース90がロースタ筐体19に固定されるよう構成してもよい。
【0036】
さらに、グリルケース90がロースタ筐体19に収納されている状態では、フランジ92、93が、それぞれ、凸部190C、190Dによって下方に付勢される。なお、グリルケース90の後端を下方に移動されることにより、この付勢は解除される。
【0037】
前述のフランジ92、93は、凸部190C、190Dに係合することで、グリルケース90が前方に傾くことを防止する機能を有している。つまり、グリルケース9は、ロースタ筐体19に対して着脱自在な構成であり、ある程度がたつきを有する構成となっている。そして、トレイ9は、受け皿11上に載置する網棚に食品を載置されたり、ひっくり返されたりする際、グリルケース9から引き抜かれず、ユーザに対して前方に引出された状態で固定されて、当該ひっくり返す等の作業をなされる。
【0038】
そのため、トレイ9が前方に引出された状態では、グリルケース90の前方にトレイ9の荷重がかかるため、グリルケース90には、ロースタ筐体19の前面板190近傍の下部を中心に回転しようとする力が加えられる。この力により、グリルケース90自身が前方を低くするように傾くと、トレイ9を必要以上に前方に傾かせ、トレイ9がグリルケース90から滑り落ちる、または、滑り落ちなくとも受け皿11内の水がこぼれる、というおそれがある。このような事態を回避すべく、フランジ92、93をロースタ筐体19の凸部190C、190Dの下部に係合させて、グリルケース90の傾きを防止しているのである。
【0039】
つまり、凸部90A、90B、凸部190J、190K、凸部90L、板バネ193、フランジ92、93、および、凸部190C、190Dにより、ケース部材(グリルケース90)をグリル庫(ロースタ筐体19)に取外し可能に固定する固定部材が構成されている。
【0040】
また、グリルケース90の底面の凸部90C、90Dと、ロースタ筐体19の底面の凸部190G、190Hとは、垂直方向には同じ位置にはない。これにより、凸部190G、190Hの高さ分だけ、グリルケース90とロースタ筐体19との底面の間に、空気層が形成されている。
【0041】
また、グリルケース90の右側面の凸部90Fとロースタ筐体19の右側面の凸部190Fとは、水平方向に同じ位置になく、左側面の凸部90Eと190Eも、水平方向に同じ位置にはない。これにより、凸部190E、190Fの水平方向の寸法分だけ、グリルケース90とロースタ筐体19との左右方向にそれぞれ空気層が形成されている。前述の凸部190E、190F、190G、190Hは、グリルケース90をロースタ筐体19内に収納したときの位置決め部材として機能する。
【0042】
凸部90C、90D、90E、90Fは、それぞれ、トレイ9の受け皿がグリルケース90内に収納される際のレールとして機能する。
【0043】
扉10の上端であって、裏面側(受け皿11の取付けられている側)には、凹部190Aに対応するように、水平方向に伸びるように、シリコンゴム10Aが取付けられている。扉10が調理室8を塞ぐ状態とされているとき、つまり、トレイ9の受け皿11がグリルケース90内に収納されているとき、シリコンゴム10Aは、凹部190Aに当接する。これにより、調理室8内において加熱調理中に発生した煙等を、扉10の上方から漏らすことを確実に回避できる。調理室8内で生じた煙等は、グリルケース90の後部上方から、ロースタ筐体19の後面側に取付けられた排出管191、および、排気孔7を介して、本体1の外へ排出される。
【0044】
図8〜図11は、図7を用いて説明した、受け皿11後部とグリルケース90後部との固定機構(凸部11Eと凸部90Kとの引っかかり)の第1の変形例を示す図である。
【0045】
まず、図8〜図9を参照して、第1の変形例では、グリルケース90の後面の内側に、板バネ95が設けられている。板バネ95は、折り曲げられることにより凸部95Aを形成されている。図8および図9は、まだ、受け皿11がグリルケース90に固定されていない状態を示す図である。
【0046】
そして、図10〜図11を参照して、受け皿11の後端がグリルケース90の後面に近づけられることにより、板バネ95の凸部95Aが、受け皿11の内部に入り込み、受け皿11の後端に引っかかることにより、トレイ9がグリルケース90に固定される。
【0047】
なお、トレイ9が前方へとある程度以上の力を加えられて引出されると、受け皿11の後端により板バネ95の凸部95Aが上方に付勢され、板バネ95が上方に向けてしなるため、凸部95による受け皿11の引っかかりが解除される。
【0048】
図12〜図15は、図7を用いて説明した、受け皿11後部とグリルケース90後部との固定機構の第2の変形例を示す図である。
【0049】
グリルケース90の後面の内側には、固定部材96が取付けられている。固定部材96は、ローラ96A、96Bをそれぞれ先端に備えた2本の挟み用部材により構成される。また、受け皿11の後端には、凸部11Wが取付けられている。なお、図12および図14では、受け皿11の後端が、一部破断して記載されている。図12および図13は、受け皿11がまだグリルケース90に固定されていない状態を示している。
【0050】
トレイ9がグリルケース90内に収納される際、凸部11Wがローラ96A、96Bに当接する。そして、さらに、トレイ9が後方へと(グリルケース90側へと)移動されることにより、ローラ96A、96Bが回転し、凸部11Wが、固定部材96の2本の挟み用部材に挟み込まれる。これにより、トレイ9がグリルケース90に固定される。
【0051】
なお、トレイ9がある程度の強さ以上前方に引出されることにより、固定部材96の2本の挟み用部材による凸部11Wの挟みこみが解除される。
【0052】
ここで、再度、ロースタ筐体19の構成について説明する。
【0053】
ロースタ筐体19は、汚れ防止および断熱等のため、ホーロー等によって構成されている。なお、ロースタ筐体19は、図16および図17に示すように、シールド板99を取付けられている。図16は、ロースタ筐体19の平面図であり、図17は、ロースタ筐体19の右側面図である。
【0054】
シールド板99は、コ字状に、つまり、ロースタ筐体19の右側面、上面および左側面を覆うように取付けられている。シールド板99は、たとえばアルミ板等、磁界を遮断するような物質によって構成される。これにより、誘導加熱コイル17、18(図3参照)において発生した磁界によりロースタ筐体19が誘導加熱され発熱が生じる、という事態を回避できる。
【0055】
ロースタ筐体19の後部は、排気孔7の下方に位置する(図1、図3参照)。なお、ロースタ筐体19の後面には、配線98や、ヒータ26の端子26Xが設置されている。そして、本実施の形態では、排気孔7を介して入り込んだ水分が、配線98や端子26Xに付着することを回避するため、ロースタ筐体19の後部に、保護カバー97が取付けられている。また、該保護カバー97は、排気孔7から端子26Xや配線98が見えて加熱調理器の美観を損ねたり、いたずらなどで排気孔7から手や異物を挿入して端子26Xや配線98に触れることの内容に保護する機能も有している。図18(A)は保護カバー97の平面図、図18(B)は保護カバー97の正面図、図18(C)は図18(A)のC−C線の矢視断面図である。
【0056】
保護カバー97は、中央部分97A、左羽根部97B、右羽根部97Cにより構成される。保護カバー97は、ロースタ筐体19に、中央部分97Aをネジ100、101によって固定されている。左羽根部97Bおよび右羽根部97Cは、それぞれ、中央部分97Aに接続された部分から先端に向けて、下方に傾斜している。左羽根部97Bは配線98を覆い、右羽根部97Cは端子26Xを覆っている。また、図18(C)に示すように、右羽根部97Cは、右方にある線Lにおいてさらに下方に傾斜している。これにより、より確実に、端子26Xを覆っている。
【0057】
ここで、第2制御ユニット34の構成について詳細に説明する。なお、第1制御ユニット32は、第2制御ユニット34と同様の構成である。図19は、本体1の内部を模式的に示す図である。なお、図19は、図1のA−A線の矢視模式的な断面図であって、本体1の内部を左から見た状態を模式的に示す図である。
【0058】
図19を参照して、第2制御ユニット34は、その外郭を、断面がロ字状であり、風路ダクトとなる耐熱樹脂製のユニットケース38で覆われている。ユニットケース38の内部は、分離板39により、上下方向に分離されている。分離板39上には、ダイオードブリッジ等の回路部品が載置された回路基板40が固定されている。分離板39の下方には、インバータの駆動制御用のマイクロコンピュータ等が載置された回路基板41が固定されている。
【0059】
ユニットケース38の側面には、通気孔38A、38B等、適宜、通気孔が形成されている。また、ユニットケース38の前面および上面は、蓋部材43として、ユニットケース38の他の面に対して分離可能となっている。図20を参照して、蓋部材43の構造を詳細に説明する。図20(A)は、蓋部材43の平面図、図20(B)は、図20(A)のB−B線に沿う矢視断面図、図20(C)は蓋部材43の正面図である。
【0060】
蓋部材43は、ユニットケース39の上面を構成する部分を主体とし、ユニットケース38の前面を構成する前面部42、および、ユニットケース38の後部にひさしのように突出する部分である突出部44が接続されている。
【0061】
蓋部材43には、複数の孔43A、43B、43Cが形成されている。また、蓋部材43の後端には、壁43Eが取付けられている。壁43Eの左右方向(図20Aでは上下方向に対応)の寸法は、蓋部材43の寸法と同じとされている。前面部42の大部分には、孔42Aが形成されている。
【0062】
蓋部材43の後部であって、壁43Eより後方に存在する突出部44は、蓋部材43に接続された部分から後方(図20では右方)に向うほど、下方に傾斜している。さらに、突出部44には、リブ44A、44B、44C、44D、44E、44Fが取付けられている。
【0063】
図1および図3をさらに参照して、ファン35から送られた風は、孔42Aを介してユニットケース38内に導入される。ユニットケース38内に導入された風は、分離板39により上下に分離され、また、通気孔38A、38B、孔43A、43B、43Cを介して、ユニットケース38外に排出される。
【0064】
また、ユニットケース38の後部は、排気孔7に対向している。なお、排気孔7を介して水分が本体1内に入り込んだ場合でも、ユニットケース38の後部には突出部44が設けられているため、当該水分は、ユニットケース38内に侵入することなく、速やかに、突出部44の傾斜に沿って、下方に導かれる。また、突出部44には、リブ44A〜44Fが取付けられていることにより、より速やかに、入り込んだ水分を、ユニットケース38から離れるよう誘導できる。
【0065】
さらに、ユニットケース38の上部には壁43Eが取付けられていることから、排気孔7から針金等の細長い物体が本体1内に挿入された場合でも、当該物体を壁43Eでブロックできる。したがって、壁43Eにより、異物の本体1の奥への侵入を確実に回避できる。
【0066】
なお、突出部44に沿って下方に導かれた水分は、本体1の底面に設けられた排出孔より、本体1の下方へ排出される。また、ヒータ26は、輻射加熱ヒータに限定されるものではなく、たとえば、誘導加熱により金属板を加熱し、当該金属板から発する熱で加熱調理を行なうもの等、食品を加熱する熱源すべてを含むものであり、本発明では、当該熱源をヒータと呼ぶ。さらに、本発明において、トレイ9は載置部材、ロースタ筐体19はグリル庫、グリルケース9はケース部材、ユニットケース38は制御ボックスに相当する。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の加熱調理器の一例である据え置き型グリル付電磁調理器の斜視図である。
【図2】本発明の加熱調理器の一例である据え置き型グリル付電磁調理器の斜視図である。
【図3】図1の電磁調理器を、トッププレート等の種々の要素を省略した状態で示す図である。
【図4】図1の調理室を構成するロースタ筐体の斜視図である。
【図5】図1の調理室を構成するグリルケースの斜視図である。
【図6】図1の調理室を構成するトレイの斜視図である。
【図7】図4のロースタ筐体と図5のグリルケースと図6のトレイが組合された状態の右側面を模式的に示す図である。
【図8】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第1の変形例を示す図である。
【図9】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第1の変形例を示す図である。
【図10】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第1の変形例を示す図である。
【図11】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第1の変形例を示す図である。
【図12】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第2の変形例を示す図である。
【図13】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第2の変形例を示す図である。
【図14】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第2の変形例を示す図である。
【図15】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第2の変形例を示す図である。
【図16】図3のロースタ筐体の平面図である。
【図17】図3のロースタ筐体の右側面図である。
【図18】図16の保護カバーを示す図である。
【図19】図1の本体の内部を模式的に示す図である。
【図20】図19の蓋部材を示す図である。
【図21】従来の加熱調理器を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 本体、2 トッププレート、3a、3b 誘導加熱部、4 ロースタ部、7 排気孔、8 調理室、9 トレイ、10 扉、11 受け皿、12 窓、13 取手、19 ロースタ筐体、32 第1制御ユニット、33、35 ファン、34 第2制御ユニット、38 ユニットケース、90 グリルケース、99 シールド板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関し、特に、本体を有し、当該本体の内部構造に特徴のある加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、調理室を備え当該調理室内で食品を加熱するロースタと、ガスバーナや誘導加熱コイルとを組合せて構成した、つまり、複数の加熱手段が組合された、加熱調理器が存在している。たとえば、特開平10−300102号公報には、ロースタと誘導加熱コイルとを備えた加熱調理器が開示されている。
【0003】
当該公報に開示された加熱調理器は、図21に示すように、本体100と、本体100の上面に設けられた耐熱性を有するセラミック製のトッププレート101、誘導加熱部102a、102bを備えている。誘導加熱部102a、102bの下部には、誘導加熱コイルが配置されている。これにより、誘導加熱部102a、102b上に誘導加熱が可能な調理鍋を載置すると、当該調理鍋が誘導加熱される。
【0004】
また、当該加熱調理器は、ロースタ部103を有している。ロースタ部103には、調理室104、調理室104の入り口106を構成する前板105、扉107、調理物を載せる網棚109を取付けるために扉107に固定された受け皿108、および、前板105に固定された操作部110を備えている。
【特許文献1】特開平10−300102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、ロースタ部103で魚の焼き料理を行なうとき、魚から発する蒸気には、油分やにおい成分、場合によっては魚の欠片が含まれ、この蒸気が調理室104内の壁面に結露する。水分は、調理室104内のヒータ熱により蒸発するが、油分やにおい成分、魚の欠片は、そのまま放置されると異臭を放ち、ユーザが使用する度またはユーザが本体100に近づく度に、異臭による不快感を感じることになる。そこで、通常、ユーザは、調理室104内を清掃することになるが、調理室104自体は狭く、また、ふき取り掃除のみなので、十分な清掃がなされることは困難であった。
【0006】
また、調理室104内に充満した煙や熱気は、調理室104の筐体に隙間があれば当該隙間から噴出する。そして、特に、前板105と扉107との隙間から噴出する煙や熱気は、ユーザに直接吹きかけられるため、ユーザの不快感を増大させる。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従った加熱調理器は、上面に調理鍋載置用のセラミック製トッププレートを有する外装と、前記トッププレート上に載置した調理鍋を誘導加熱するために、前記トッププレート下部に配置した誘導加熱コイルと、食品を収納して加熱するための調理室を有し、前記外装内部に配置されたロースタ部と、前記外装内の前記ロースタ部側方に配置され、前記誘導加熱コイルを駆動制御する制御ユニットと、前記外装に形成された吸気口から吸気し、前記制御ユニットに冷却風を供給する冷却ファンと、を備え、前記ロースタ部は、前記調理室の外郭を覆い、前部に開口を有するロースタ筐体と、前記ロースタ筐体の後面側に取付けられ、前記調理室内で生じた煙等を前記外装に形成された排気孔から外部に排出するための排出管と、前記ロースタ筐体の前方から嵌め込まれ、前記ロースタ筐体の内部に取外し自在に収納されるグリルケースと、前記ロースタ筐体の開口を閉塞する扉と、前記扉に取付けられ、前記食品を載置する網棚を設置する受け皿とを含み、前記グリルケース内に前記受け皿が収納されるトレイと、前記ロースタ筐体内に前記グリルケースが収納された際に前記グリルケース内に位置し、前記受け皿の網棚に載置した前記食品を加熱するヒータと、前記グリルケースの底面に、内側に凸となるように座押し形成された、前記受け皿が前記グリルケース内に収納される際のレールとして機能する凸部と、前記ロースタ筐体の底面と前記グリルケースの底面との間に空気層を形成するために、前記ロースタ筐体の底面のうち前記受け皿収納用レールと垂直方向に同じ位置にない位置に形成された前記ロースタ筐体底面の凸部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、グリルケースとロースタ筐体との間に空気層を形成しつつ、グリルケースを、グリル筐体内に収納できるようになる。
【0010】
また、グリルケース壁面にこびりついた食品の油分やにおい成分、食品の欠片が従来のようにふき取りによる清掃だけでなく、グリルケースをグリル筐体から取り外して、グリルケースを水で洗い流しながらの清掃が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1および図2は、本発明の加熱調理器の一例の、据え置き型グリル付電磁調理器の斜視図である。当該電磁調理器は、外装となる本体1、本体1の上面に設けられた耐熱性セラミック製のトッププレート2、トッププレート2上面に表示された誘導加熱部3a、3b、魚や肉などの食品を収納して加熱するロースタ部4、左操作部5、右操作部6、および、排気孔7を備えている。排気孔7は、本体1の上面であってトッププレート2の後部に位置し、ロースタ部4からの排気や後述するインバータを冷却した冷却風を排気するためのものである。
【0012】
ロースタ部4は、食品を収納し加熱する調理室8、食品を載置して調理室8内に収納するトレイ9、調理室8内に設置されているヒータ(後述するヒータ26)を含む。
【0013】
トレイ9は、調理室8の開口を閉塞する扉10、および、扉10に取付けられ、食品を載置する網棚を設置する受け皿11を含む。該受け皿11は、網棚に載置された食品を調理室8内で加熱調理する際、水を入れておくためのものである。網棚に載置された食品が加熱されると、食品から油や水分などが吹き出て、受け皿11上に滴下する。受け皿11に水がないと、この滴下した食品の油や水分が受け皿11上に焼け付いた状態となり、異臭の原因や受け皿11の腐食の原因となる。そして、受け皿11内に水が入れられていると、この食品の油や水分は、受け皿11の水の上に滴下されるため、直接受け皿11が汚されることを回避できる。また、調理終了時、この受け皿11上の水を廃棄することにより、受け皿11内に食品の油や汚れが残ることを抑制できるのである。
【0014】
扉10は、調理室8を閉塞したときに当該調理室8内を覗けるようにガラスなどの透明部材が嵌込まれた窓部12、および、トレイ9を調理室8から引出したり収納したりする際にユーザが持つ取手13を含む。図1は、トレイ9が調理室8内に収納されている状態を示し、図2は、トレイ9が調理室8から引出された状態を示している。
【0015】
左操作部5は、誘導加熱部3aの出力を制御するためのものであり、誘導加熱部3aの出力調整用操作つまみ14が配置されている。また、右操作部6は、誘導加熱部3bの出力を制御するためのものであり、誘導加熱部3bの出力調整用操作つまみ15が配置されている。なお、右操作部6には、ロースタ部4の出力を調整するロースタ操作部16も配置されている。
【0016】
図3は、図1の電磁調理器を、トッププレート2等の種々の要素を省略した状態で示す図である。誘導加熱調理部3a、3bのそれぞれの下部には、誘導加熱コイル17、18が配置されている。また、ロースタ部4は、調理室8の外郭を覆うロースタ筐体19を備えている。左操作部5の後方であって、本体1とロースタ筐体19との間には、第1スペース20が形成されている。また、右操作部6の後方であって、本体1とロースタ筐体19との間には、第2スペース21が形成されている。
【0017】
誘導加熱コイル17、18は、本体1内で左右対象の位置に配置されている。また、ロースタ筐体19は、耐熱性等の観点から、ステンレスやホーロー等の金属などの金属で構成され、本体1の中心位置に配置されている。つまり、ロースタ筐体19は、その中心が、本体1の左右方向の中心とほぼ一致するように、本体1内に配置されている。
【0018】
これにより、誘導加熱コイル17、18とロースタ筐体19との上下方向での重なりは同じになる。つまり、本実施の形態では、誘導加熱コイル17とロースタ筐体19とが重なり合っている部分の面積と、誘導加熱コイル18とロースタ筐体19とが重なり合っている部分の面積が等しい。
【0019】
斯かる誘導加熱コイル17、18とロースタ筐体19とが重なり合っている面積が等しいことにより、ロースタ筐体19の存在することによる誘導加熱コイル17、18のそれぞれへのインピーダンスの影響が等しくなるため、製品設計時にロースタ筐体19の影響分を考慮する必要がなくなり、設計時の負担が軽減される。
【0020】
なお、誘導加熱コイル17および18は、通常コイル台上に渦巻き状に巻かれて載置され固定されている。このコイル台では、トッププレート2の裏面と誘導加熱コイルとの距離を一定に保つために、トッププレート2と誘導加熱コイルとの間にスペーサが設けられ、かつ、コイル台が下方からスプリングなどの付勢手段でトッププレートに押し付けられている。なお、このスペーサの高さは、インバータの回路方式や誘導加熱コイルの温度上昇値などにより、変更する必要がある。そこで、スペーサの上下部に異なる高さのスペーサ部を設け、他方をコイル台に嵌合させる構成とされている。これにより、それぞれ高さの異なるスペーサを設ける必要がなく、部品の削減およびコストダウンが可能となる。
【0021】
誘導加熱部3a、3bの下部、つまり、トッププレート2の裏面には、載置した鍋の温度を検出するためのサーミスタが取付けられている。このサーミスタとトッププレート2との密着性を高めるために、板バネ等の金属製弾性板を使い、サーミスタと絶縁を図りながら、トッププレートにサーミスタを押付ける構成とすることで、トッププレート裏面により密着させることができ、鍋の熱の伝達をより良好にすることができる。
【0022】
本体1の内部では、ロースタ筐体19の左方に、誘導加熱コイル17を駆動制御する第1制御ユニット32が備えられ、ロースタ筐体19の右方に、誘導加熱コイル18を駆動制御する第2制御ユニット34が備えられている。第1、第2制御ユニット32、34の前方にはそれぞれ、冷却風を第1、第2制御ユニット32、34の内部に供給するための第1、第2冷却ファン33、35が取付けられている。また、本体1には、第1、第2冷却ファン33、35が外部から吸気するための吸気孔36、37が形成されている。
【0023】
次に、調理室8の構成について、図4〜図7を参照して説明する。調理室8は、その外郭を覆うロースタ筐体19と、当該ロースタ筐体19の内部に嵌込まれ調理室8の内壁の大部分を構成するグリルケース90と、グリルケース90内に収納されるトレイ9とを含む。図4は、ロースタ筐体19の、一部破断された斜視図であり、図5は、グリルケース90の一部破断された斜視図であり、図6は、トレイ9の斜視図である。そして、図7は、ロースタ筐体19とグリルケース90とトレイ9が組合された状態の右側面を模式的に示す図である。
【0024】
まず、図4を参照して、ロースタ筐体19の前面には、前面板190が取付けられている。ロースタ筐体19は、底面、左右側面、上面、後面を有する筐体であり、前面板190は、当該底面、左右側面、および、上面にほぼ垂直の面を有する。前面板190の端縁部分には、後方に向けて折り返された、折り返し部190Bが形成備えられている。また、前面板190上部には、水平方向に線状に伸びる線状に凹部190Aが形成されている。ロースタ筐体19の内部であってその上部には、ヒータ26が取付けられている。ヒータ26は、取付具26Aによって、ロースタ筐体19の上面に取付けられている。
【0025】
ロースタ筐体19の壁面には、座押しされることにより、内側に凸となる凸部が複数形成されている。つまり、ロースタ筐体19の、左右側面には凸部190E、190Fが形成され、後面には190C、190D、190Mが形成され、底面には190G、190H、190J、190K、190Lが形成されている。また、ロースタ筐体19の後面には、サーミスタ192が取付けられ、凸部190Lの裏面にも、サーミスタが取付けられている。本実施の形態の電磁調理器では、調理室8内の食品をヒータ26で加熱するが、調理室8内の温度をサーミスタ192により検出し、調理室8内が高温となった場合には、ヒータ26による加熱は禁止される。なお、凸部190Lの裏にもサーミスタが配置されており、該サーミスタは、グリルケースの凸部90Hおよび受け皿11の凹部11Aを介して受け皿11の水の有無を検出している。つまり、受け皿11内に水が存在するときは、凸部190Lの裏のサーミスタの検出温度が100℃以上に上昇しないが、水がなくなるとサーミスタの検出温度が100℃以上に上昇する。この温度の違いが検出されることにより、受け皿11内の水の有無が検出される。
【0026】
次に、図5を参照して、グリルケース90は、底面、左右両側面、上面および後面を有する筐体である。ただし、後面は、側面よりも低く、上面には接続されていない。グリルケース90の上面中央には、後面側端部が開放され、前後方向に伸びるスロット90Xが形成されている。斯かる構成により、調理室8を構成する壁面のうち、ヒータ26に最も近いヒータ26の上面を、スリット90Xを除いたグリルケース90の上面で覆うことができる。グリルケース90の壁面には、座押しされることにより、内側に凸となる凸部が複数形成されている。
【0027】
グリルケース90の底面には凸部90C、90Dが前後方向に伸びるように形成されている。また、グリルケース90の底面であって凸部90Dの後方には、凸部90Kが形成されている。凸部90Cの後方にも凸部90Kと同型の凸部が形成されているが、図示を省略している。また、グリルケース90の底面後部には、凸部90Hが形成されている。グリルケース90の左右側面には、それぞれ、凸部90E、90Fが形成されている。また、グリルケース90の底面前部には、座押しされることにより外側に凸形状を有する凹部90A、90Bが、左右方向に並んで形成されている。
【0028】
グリルケース90の後面の上端部には、グリルケース90より後方側に伸びるフランジ92、93が備えられている。
【0029】
次に、図6を参照して、トレイ9は、扉10と、取手13と、受け皿11とを含む。受け皿11の底面後部には、外側に凸形状を有する凹部11Aが形成されている。また、凹部11Aの、左側に凹部11Dが、右側に凹部11Dと同型の凹部(図6では図示略、後述する凸部11Eに相当)が形成されている。
【0030】
次に、図7を参照して、ロースタ筐体19内にグリルケース90が収納され、グリルケース90内に受け皿11が収納されている。ロースタ筐体19の前部の開口は、扉10によって塞がれている。なお、図7では、グリルケース90の内部を示すため、ロースタ筐体19およびグリルケース90の右側面は省略されている。
【0031】
グリルケース90がロースタ筐体19内に収納されると、ヒータ26は、グリルケース90の内部に位置している。グリルケース90は、ロースタ筐体19の前方より嵌め込まれて、ロースタ筐体19内に収納されるが、このとき、取付具26Aは、スリット90Xの後面側開放からスリット90X内に通される。つまり、図7に示す状態では、取付具26Aは、スリット90Xを介して、グリルケース90内のヒータ26を支持している。
【0032】
また、グリルケース90は、調理室の内壁を構成することになるが、本実施の形態の加熱調理器では、グリルケース90がロースタ筐体19から取外すことが出来る。したがって、グリルケース90の壁面にこびりついた食品の油分やにおい成分、食品の欠片が、従来のようにふき取りによる清掃だけでなく、例えばキッチンのシンクで、水道の水で洗い流しながらの清掃が行なえるため、容易にかつ隅々まで、きれいに、グリルケース90の清掃が行なえる。さらに、ヒータ26に近い上面を覆っている部分のグリルケース90は、ヒータ26の熱で食品の油やにおい成分、食品の欠片が焼き付けられやすいが、当該グリルケース90を本体1から取外して洗い流せるため、当該グリルケース90から異臭が発生することを抑制できる。
【0033】
図7では、トレイ9の受け皿11の後部に形成されている凸部11Eが示されている。トレイ9がグリルケース90内に収納されている状態では、凸部11Eが凸部90Kに引っかかる。また、受け皿11の凹部11Dを構成する、受け皿の下面側に突出した部分も、グリルケース90の底面の、凸部90Kと同型の凸部に引っかかる。これらの引っかかりにより、トレイ9は、グリルケース90内に、固定される。なお、トレイ9を前方に引出す際には、ユーザは、受け皿11の後端を多少上方にずらすことにより、凸部11Eの下端を凸部90Kの上端よりも上方に位置させ、凸部11Eの凸部90Kに対するひっかかり等の引っかかりを解除できる。
【0034】
扉10と受け皿11は、接続部材11B、11Cで接続されている。また、グリルケース90がロースタ筐体19に収納されている状態では、凹部90A、90Bの裏面側の凸部(凸部90A、90Bとする)が、それぞれ、凸部190J、190Kにひっかかっている。なお、グリルケース90の前方を上方に移動されることにより、これらの引っかかりは解除される。
【0035】
ロースタ筐体19の上面の内側には板バネ193が取付けられている。グリルケース90の上面には外側に凸形状を有する凸部90Lが形成されている。グリルケース90がロースタ筐体19に収納されている状態では、板バネ193の後端によって凸部90Lが押さえられている。なお、板バネ193を上方に付勢することにより、板バネ193の後端による凸部90Lの押さえ込みが解除される。すなわち、グリルケース90が板バネ193によりロースタ筐体19に押圧固定されることになる。なお、板バネ193は、これに限定されるものではなく、グリルケース90を押圧する付勢部材であれば、すべてに適用される。また、板バネ193と同様の作用を有する付勢部材は、グリルケース90側に備えられていてもよい。つまり、グリルケース90に備えられた付勢部材がロースタ筐体19を押圧することにより、グリルケース90がロースタ筐体19に固定されるよう構成してもよい。
【0036】
さらに、グリルケース90がロースタ筐体19に収納されている状態では、フランジ92、93が、それぞれ、凸部190C、190Dによって下方に付勢される。なお、グリルケース90の後端を下方に移動されることにより、この付勢は解除される。
【0037】
前述のフランジ92、93は、凸部190C、190Dに係合することで、グリルケース90が前方に傾くことを防止する機能を有している。つまり、グリルケース9は、ロースタ筐体19に対して着脱自在な構成であり、ある程度がたつきを有する構成となっている。そして、トレイ9は、受け皿11上に載置する網棚に食品を載置されたり、ひっくり返されたりする際、グリルケース9から引き抜かれず、ユーザに対して前方に引出された状態で固定されて、当該ひっくり返す等の作業をなされる。
【0038】
そのため、トレイ9が前方に引出された状態では、グリルケース90の前方にトレイ9の荷重がかかるため、グリルケース90には、ロースタ筐体19の前面板190近傍の下部を中心に回転しようとする力が加えられる。この力により、グリルケース90自身が前方を低くするように傾くと、トレイ9を必要以上に前方に傾かせ、トレイ9がグリルケース90から滑り落ちる、または、滑り落ちなくとも受け皿11内の水がこぼれる、というおそれがある。このような事態を回避すべく、フランジ92、93をロースタ筐体19の凸部190C、190Dの下部に係合させて、グリルケース90の傾きを防止しているのである。
【0039】
つまり、凸部90A、90B、凸部190J、190K、凸部90L、板バネ193、フランジ92、93、および、凸部190C、190Dにより、ケース部材(グリルケース90)をグリル庫(ロースタ筐体19)に取外し可能に固定する固定部材が構成されている。
【0040】
また、グリルケース90の底面の凸部90C、90Dと、ロースタ筐体19の底面の凸部190G、190Hとは、垂直方向には同じ位置にはない。これにより、凸部190G、190Hの高さ分だけ、グリルケース90とロースタ筐体19との底面の間に、空気層が形成されている。
【0041】
また、グリルケース90の右側面の凸部90Fとロースタ筐体19の右側面の凸部190Fとは、水平方向に同じ位置になく、左側面の凸部90Eと190Eも、水平方向に同じ位置にはない。これにより、凸部190E、190Fの水平方向の寸法分だけ、グリルケース90とロースタ筐体19との左右方向にそれぞれ空気層が形成されている。前述の凸部190E、190F、190G、190Hは、グリルケース90をロースタ筐体19内に収納したときの位置決め部材として機能する。
【0042】
凸部90C、90D、90E、90Fは、それぞれ、トレイ9の受け皿がグリルケース90内に収納される際のレールとして機能する。
【0043】
扉10の上端であって、裏面側(受け皿11の取付けられている側)には、凹部190Aに対応するように、水平方向に伸びるように、シリコンゴム10Aが取付けられている。扉10が調理室8を塞ぐ状態とされているとき、つまり、トレイ9の受け皿11がグリルケース90内に収納されているとき、シリコンゴム10Aは、凹部190Aに当接する。これにより、調理室8内において加熱調理中に発生した煙等を、扉10の上方から漏らすことを確実に回避できる。調理室8内で生じた煙等は、グリルケース90の後部上方から、ロースタ筐体19の後面側に取付けられた排出管191、および、排気孔7を介して、本体1の外へ排出される。
【0044】
図8〜図11は、図7を用いて説明した、受け皿11後部とグリルケース90後部との固定機構(凸部11Eと凸部90Kとの引っかかり)の第1の変形例を示す図である。
【0045】
まず、図8〜図9を参照して、第1の変形例では、グリルケース90の後面の内側に、板バネ95が設けられている。板バネ95は、折り曲げられることにより凸部95Aを形成されている。図8および図9は、まだ、受け皿11がグリルケース90に固定されていない状態を示す図である。
【0046】
そして、図10〜図11を参照して、受け皿11の後端がグリルケース90の後面に近づけられることにより、板バネ95の凸部95Aが、受け皿11の内部に入り込み、受け皿11の後端に引っかかることにより、トレイ9がグリルケース90に固定される。
【0047】
なお、トレイ9が前方へとある程度以上の力を加えられて引出されると、受け皿11の後端により板バネ95の凸部95Aが上方に付勢され、板バネ95が上方に向けてしなるため、凸部95による受け皿11の引っかかりが解除される。
【0048】
図12〜図15は、図7を用いて説明した、受け皿11後部とグリルケース90後部との固定機構の第2の変形例を示す図である。
【0049】
グリルケース90の後面の内側には、固定部材96が取付けられている。固定部材96は、ローラ96A、96Bをそれぞれ先端に備えた2本の挟み用部材により構成される。また、受け皿11の後端には、凸部11Wが取付けられている。なお、図12および図14では、受け皿11の後端が、一部破断して記載されている。図12および図13は、受け皿11がまだグリルケース90に固定されていない状態を示している。
【0050】
トレイ9がグリルケース90内に収納される際、凸部11Wがローラ96A、96Bに当接する。そして、さらに、トレイ9が後方へと(グリルケース90側へと)移動されることにより、ローラ96A、96Bが回転し、凸部11Wが、固定部材96の2本の挟み用部材に挟み込まれる。これにより、トレイ9がグリルケース90に固定される。
【0051】
なお、トレイ9がある程度の強さ以上前方に引出されることにより、固定部材96の2本の挟み用部材による凸部11Wの挟みこみが解除される。
【0052】
ここで、再度、ロースタ筐体19の構成について説明する。
【0053】
ロースタ筐体19は、汚れ防止および断熱等のため、ホーロー等によって構成されている。なお、ロースタ筐体19は、図16および図17に示すように、シールド板99を取付けられている。図16は、ロースタ筐体19の平面図であり、図17は、ロースタ筐体19の右側面図である。
【0054】
シールド板99は、コ字状に、つまり、ロースタ筐体19の右側面、上面および左側面を覆うように取付けられている。シールド板99は、たとえばアルミ板等、磁界を遮断するような物質によって構成される。これにより、誘導加熱コイル17、18(図3参照)において発生した磁界によりロースタ筐体19が誘導加熱され発熱が生じる、という事態を回避できる。
【0055】
ロースタ筐体19の後部は、排気孔7の下方に位置する(図1、図3参照)。なお、ロースタ筐体19の後面には、配線98や、ヒータ26の端子26Xが設置されている。そして、本実施の形態では、排気孔7を介して入り込んだ水分が、配線98や端子26Xに付着することを回避するため、ロースタ筐体19の後部に、保護カバー97が取付けられている。また、該保護カバー97は、排気孔7から端子26Xや配線98が見えて加熱調理器の美観を損ねたり、いたずらなどで排気孔7から手や異物を挿入して端子26Xや配線98に触れることの内容に保護する機能も有している。図18(A)は保護カバー97の平面図、図18(B)は保護カバー97の正面図、図18(C)は図18(A)のC−C線の矢視断面図である。
【0056】
保護カバー97は、中央部分97A、左羽根部97B、右羽根部97Cにより構成される。保護カバー97は、ロースタ筐体19に、中央部分97Aをネジ100、101によって固定されている。左羽根部97Bおよび右羽根部97Cは、それぞれ、中央部分97Aに接続された部分から先端に向けて、下方に傾斜している。左羽根部97Bは配線98を覆い、右羽根部97Cは端子26Xを覆っている。また、図18(C)に示すように、右羽根部97Cは、右方にある線Lにおいてさらに下方に傾斜している。これにより、より確実に、端子26Xを覆っている。
【0057】
ここで、第2制御ユニット34の構成について詳細に説明する。なお、第1制御ユニット32は、第2制御ユニット34と同様の構成である。図19は、本体1の内部を模式的に示す図である。なお、図19は、図1のA−A線の矢視模式的な断面図であって、本体1の内部を左から見た状態を模式的に示す図である。
【0058】
図19を参照して、第2制御ユニット34は、その外郭を、断面がロ字状であり、風路ダクトとなる耐熱樹脂製のユニットケース38で覆われている。ユニットケース38の内部は、分離板39により、上下方向に分離されている。分離板39上には、ダイオードブリッジ等の回路部品が載置された回路基板40が固定されている。分離板39の下方には、インバータの駆動制御用のマイクロコンピュータ等が載置された回路基板41が固定されている。
【0059】
ユニットケース38の側面には、通気孔38A、38B等、適宜、通気孔が形成されている。また、ユニットケース38の前面および上面は、蓋部材43として、ユニットケース38の他の面に対して分離可能となっている。図20を参照して、蓋部材43の構造を詳細に説明する。図20(A)は、蓋部材43の平面図、図20(B)は、図20(A)のB−B線に沿う矢視断面図、図20(C)は蓋部材43の正面図である。
【0060】
蓋部材43は、ユニットケース39の上面を構成する部分を主体とし、ユニットケース38の前面を構成する前面部42、および、ユニットケース38の後部にひさしのように突出する部分である突出部44が接続されている。
【0061】
蓋部材43には、複数の孔43A、43B、43Cが形成されている。また、蓋部材43の後端には、壁43Eが取付けられている。壁43Eの左右方向(図20Aでは上下方向に対応)の寸法は、蓋部材43の寸法と同じとされている。前面部42の大部分には、孔42Aが形成されている。
【0062】
蓋部材43の後部であって、壁43Eより後方に存在する突出部44は、蓋部材43に接続された部分から後方(図20では右方)に向うほど、下方に傾斜している。さらに、突出部44には、リブ44A、44B、44C、44D、44E、44Fが取付けられている。
【0063】
図1および図3をさらに参照して、ファン35から送られた風は、孔42Aを介してユニットケース38内に導入される。ユニットケース38内に導入された風は、分離板39により上下に分離され、また、通気孔38A、38B、孔43A、43B、43Cを介して、ユニットケース38外に排出される。
【0064】
また、ユニットケース38の後部は、排気孔7に対向している。なお、排気孔7を介して水分が本体1内に入り込んだ場合でも、ユニットケース38の後部には突出部44が設けられているため、当該水分は、ユニットケース38内に侵入することなく、速やかに、突出部44の傾斜に沿って、下方に導かれる。また、突出部44には、リブ44A〜44Fが取付けられていることにより、より速やかに、入り込んだ水分を、ユニットケース38から離れるよう誘導できる。
【0065】
さらに、ユニットケース38の上部には壁43Eが取付けられていることから、排気孔7から針金等の細長い物体が本体1内に挿入された場合でも、当該物体を壁43Eでブロックできる。したがって、壁43Eにより、異物の本体1の奥への侵入を確実に回避できる。
【0066】
なお、突出部44に沿って下方に導かれた水分は、本体1の底面に設けられた排出孔より、本体1の下方へ排出される。また、ヒータ26は、輻射加熱ヒータに限定されるものではなく、たとえば、誘導加熱により金属板を加熱し、当該金属板から発する熱で加熱調理を行なうもの等、食品を加熱する熱源すべてを含むものであり、本発明では、当該熱源をヒータと呼ぶ。さらに、本発明において、トレイ9は載置部材、ロースタ筐体19はグリル庫、グリルケース9はケース部材、ユニットケース38は制御ボックスに相当する。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の加熱調理器の一例である据え置き型グリル付電磁調理器の斜視図である。
【図2】本発明の加熱調理器の一例である据え置き型グリル付電磁調理器の斜視図である。
【図3】図1の電磁調理器を、トッププレート等の種々の要素を省略した状態で示す図である。
【図4】図1の調理室を構成するロースタ筐体の斜視図である。
【図5】図1の調理室を構成するグリルケースの斜視図である。
【図6】図1の調理室を構成するトレイの斜視図である。
【図7】図4のロースタ筐体と図5のグリルケースと図6のトレイが組合された状態の右側面を模式的に示す図である。
【図8】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第1の変形例を示す図である。
【図9】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第1の変形例を示す図である。
【図10】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第1の変形例を示す図である。
【図11】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第1の変形例を示す図である。
【図12】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第2の変形例を示す図である。
【図13】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第2の変形例を示す図である。
【図14】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第2の変形例を示す図である。
【図15】図7を用いて説明した、受け皿後部とグリルケース後部との固定機構の第2の変形例を示す図である。
【図16】図3のロースタ筐体の平面図である。
【図17】図3のロースタ筐体の右側面図である。
【図18】図16の保護カバーを示す図である。
【図19】図1の本体の内部を模式的に示す図である。
【図20】図19の蓋部材を示す図である。
【図21】従来の加熱調理器を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 本体、2 トッププレート、3a、3b 誘導加熱部、4 ロースタ部、7 排気孔、8 調理室、9 トレイ、10 扉、11 受け皿、12 窓、13 取手、19 ロースタ筐体、32 第1制御ユニット、33、35 ファン、34 第2制御ユニット、38 ユニットケース、90 グリルケース、99 シールド板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に調理鍋載置用のセラミック製トッププレートを有する外装と、
前記トッププレート上に載置した調理鍋を誘導加熱するために、前記トッププレート下部に配置した誘導加熱コイルと、
食品を収納して加熱するための調理室を有し、前記外装内部に配置されたロースタ部と、
前記外装内の前記ロースタ部側方に配置され、前記誘導加熱コイルを駆動制御する制御ユニットと、
前記外装に形成された吸気口から吸気し、前記制御ユニットに冷却風を供給する冷却ファンと、
を備え、
前記ロースタ部は、
前記調理室の外郭を覆い、前部に開口を有するロースタ筐体と、
前記ロースタ筐体の後面側に取付けられ、前記調理室内で生じた煙等を前記外装に形成された排気孔から外部に排出するための排出管と、
前記ロースタ筐体の前方から嵌め込まれ、前記ロースタ筐体の内部に取外し自在に収納されるグリルケースと、
前記ロースタ筐体の開口を閉塞する扉と、前記扉に取付けられ、前記食品を載置する網棚を設置する受け皿とを含み、前記グリルケース内に前記受け皿が収納されるトレイと、
前記ロースタ筐体内に前記グリルケースが収納された際に前記グリルケース内に位置し、前記受け皿の網棚に載置した前記食品を加熱するヒータと、
前記グリルケースの底面に、内側に凸となるように座押し形成された、前記受け皿が前記グリルケース内に収納される際のレールとして機能する凸部と、
前記ロースタ筐体の底面と前記グリルケースの底面との間に空気層を形成するために、前記ロースタ筐体の底面のうち前記受け皿収納用レールと垂直方向に同じ位置にない位置に形成された前記ロースタ筐体底面の凸部と、
を有することを特徴とする加熱調理器。
【請求項1】
上面に調理鍋載置用のセラミック製トッププレートを有する外装と、
前記トッププレート上に載置した調理鍋を誘導加熱するために、前記トッププレート下部に配置した誘導加熱コイルと、
食品を収納して加熱するための調理室を有し、前記外装内部に配置されたロースタ部と、
前記外装内の前記ロースタ部側方に配置され、前記誘導加熱コイルを駆動制御する制御ユニットと、
前記外装に形成された吸気口から吸気し、前記制御ユニットに冷却風を供給する冷却ファンと、
を備え、
前記ロースタ部は、
前記調理室の外郭を覆い、前部に開口を有するロースタ筐体と、
前記ロースタ筐体の後面側に取付けられ、前記調理室内で生じた煙等を前記外装に形成された排気孔から外部に排出するための排出管と、
前記ロースタ筐体の前方から嵌め込まれ、前記ロースタ筐体の内部に取外し自在に収納されるグリルケースと、
前記ロースタ筐体の開口を閉塞する扉と、前記扉に取付けられ、前記食品を載置する網棚を設置する受け皿とを含み、前記グリルケース内に前記受け皿が収納されるトレイと、
前記ロースタ筐体内に前記グリルケースが収納された際に前記グリルケース内に位置し、前記受け皿の網棚に載置した前記食品を加熱するヒータと、
前記グリルケースの底面に、内側に凸となるように座押し形成された、前記受け皿が前記グリルケース内に収納される際のレールとして機能する凸部と、
前記ロースタ筐体の底面と前記グリルケースの底面との間に空気層を形成するために、前記ロースタ筐体の底面のうち前記受け皿収納用レールと垂直方向に同じ位置にない位置に形成された前記ロースタ筐体底面の凸部と、
を有することを特徴とする加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−346480(P2006−346480A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228240(P2006−228240)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【分割の表示】特願2001−327830(P2001−327830)の分割
【原出願日】平成13年10月25日(2001.10.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【分割の表示】特願2001−327830(P2001−327830)の分割
【原出願日】平成13年10月25日(2001.10.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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