説明

助手席用エアバッグ装置

【課題】エアバッグの内部に放出された圧力ガスの高温・高圧環境からエアバッグの車体側を保護しつつ、エアバッグの膨張圧力の最適化を図る。
【解決手段】助手席用エアバッグ装置10は、袋状のエアバッグ12の膨出方向に開放すると共に車体幅方向に長い略長方形の筐体形状となるように周壁部24を形成したリテーナ20と、エアバッグ12をリテーナ20とで挟持するバッグリング30と、圧力ガスをエアバッグ12の内部に放出するインフレータ40と、を備え、バッグリング30は、エアバッグ12の膨出方向に開放して周壁部24と所定間隔を空けて対向する起立壁34を備えた略筐体形状に形成され、起立壁34は、第1周壁部24Aと対向する第1起立壁34aよりも第2周壁部24Bと対向する第2起立壁34bの方が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両に備えられる助手席用エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、緊急時にガス発生器(インフレータ)が作動し、そのガス発生器から放出された圧力ガスによってエアバッグを膨張させ、助手席側の乗員を拘束する助手席用エアバッグ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この助手席用エアバッグ装置は、車体側に固定されて背面側でインフレータを保持するリテーナ(ケース)と、リテーナの表面とでエアバッグを挟持するバッグ保護部材と、を備えており、通常時にはリテーナの内部にエアバッグが折り畳まれて収納されている。そして自動車の衝突、横転などの緊急時にガス発生器が作動して圧力ガスを放出すると、その圧力ガスがエアバッグの内部に供給され、その圧力によりエアバッグが膨張して展開する。
【0004】
また、この助手席用エアバッグ装置では、バッグ保護部材には、エアバッグの内部に臨むインフレータの側周面を包囲する矩形(正面視略正方形)の起立壁が形成され、インフレータの側周面に形成されたガス放出口から放出された高温・高圧の圧力ガスからエアバッグの基部側を保護するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−001635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術においては、バッグ保護部材に設けられた起立壁が正面視略正方形状で均等にインフレータの側周面を包囲していることから、エアバッグの基部側(車体側)を高温・高圧環境から保護することができる。しかしながら、インフレータの側周面に形成されたガス放出口から放出された圧力ガスは、バッグ保護部材の起立壁のガイド作用によって、あたかもインフレータの挿入端面から放出されたように集中する。これにより、エアバッグの膨張展開方向が、乗員へ向かう方向に集中する、等の懸念があった。
【0007】
このような構成である助手席用エアバッグ装置の最適化を図る上では、エアバッグの車体側から内部に放出された圧力ガスの高温・高圧環境からエアバッグの車体側を保護しつつ、ガス発生器から放出された圧力ガスの圧力が極端に集中することなくエアバッグが膨張することが要求される。
【0008】
本発明の目的は、エアバッグの内部に放出された圧力ガスの高温・高圧環境からエアバッグの車体側を保護しつつ、エアバッグの膨張圧力の最適化を図ることができる助手席用エアバッグ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1発明の助手席用エアバッグ装置は、ガス発生器からのガスにより膨張するエアバッグと、乗員側に開口のあるリテーナと、前記リテーナの内側に設けられるバッグリングと、前記バッグリングの内側に設けられ、前記エアバッグの内部に挿入されたガス放出口から圧力ガスを前記エアバッグの内部に放出するガス発生器と、を有し、前記リテーナは、車体幅方向に長い略長方形の外縁形状となるベース壁と、前記ベース壁の、前記略長方形の2つの短辺側にそれぞれ位置する2つの第1周壁部と、前記ベース壁の、前記略長方形の2つの長辺側にそれぞれ位置する2つの第2周壁部と、を備えており、前記バッグリングは、前記リテーナの前記ベース壁との間に前記エアバッグの前記導入開口の周縁部を挟持する底壁部と、前記リテーナの前記第1周壁部に対し第1間隔を空けて対向するように前記底壁部に立設されるとともに、所定の第1高さ寸法を備えた第1起立壁と、前記リテーナの前記第2周壁部に対し前記第1間隔よりも小さな第2間隔を空けて対向するように前記底壁部に立設されるとともに、前記第1高さ寸法より大きな第2高さ寸法を備えた第2起立壁と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
本願第1発明においては、エアバッグの内部に放出された圧力ガスの高温・高圧環境からエアバッグの車体側を保護しつつ、エアバッグの膨張圧力の最適化を図ることができる。
【0011】
第2発明の助手席用エアバッグ装置は、前記バッグリングは、前記第1起立壁が前記ガス放出口よりも低い位置となり、前記第2起立壁は前記ガス放出口よりも高い位置となるように構成されていることを特徴としている。
【0012】
本願第2発明においては、リテーナの第2周壁部に近い第2起立壁では圧力ガスの高温・高圧環境からの保護機能を高く確保すると共に、リテーナの第1周壁部に近く第2周壁部から遠い第1起立壁では圧力ガスの放出機能を高く確保することがきる。
【0013】
第3発明の助手席用エアバッグ装置は、前記バッグリングの前記第1起立壁と第2起立壁とが接続される角部は、外径側に向けて突出するR形状に形成されると共に、第2起立壁の前記第2高さ寸法を備えた前記第2起立壁と前記第1高さ寸法を備えた前記第1起立壁とが滑らかなR形状の段差部により接続されるように、構成されていることを特徴とする。
【0014】
本願第3発明においては、エアバッグが膨張する際にバッグリングに引っ掛かることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エアバッグの内部に放出された圧力ガスの高温・高圧環境からエアバッグの車体側を保護しつつ、エアバッグの膨張圧力の最適化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置の概略構造を示し、(A)はエアバッグ膨張前の車体設置状態の側断面図、(B)はエアバッグ膨張状態の車体設置状態の側断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置の断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置に適用されるエアバッグの斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置のエアバッグ省略状態の要部の斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置のエアバッグ省略状態の要部の断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置に適用されるリテーナの斜視図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置に適用されるバッグリングの斜視図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置に適用されるバッグリングの正面図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置に適用されるバッグリングを示し、(A)はバッグリングの長手方向の側面図、(B)はバッグリングの短手方向の側面図である。
【図10】インフレータの詳細構造を表す斜視図である。
【図11】リテーナ短手方向の要部の拡大断面図である。
【図12】リテーナ長手方向の要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、車両前後方向及び車両左右方向とは、車両の助手席に着座した乗員から見た車両の前後方向及び左右方向をいう。また、空間内の方向を示す場合においても、車両の助手席に着座した乗員から見た前後方向、上下方向、左右方向をそのまま用いる。
【0018】
図1(A)は、本実施形態に係る助手席用エアバッグ装置の、エアバッグ膨張前の車体設置状態の側断面図であり、図1(B)はエアバッグ膨張状態の車体設置状態の側断面図である。図2は助手席用エアバッグ装置の断面図であり、図3はエアバッグの斜視図である。
【0019】
図1(A)及び図1(B)において、助手席Sに着座している乗員Fの前方(図1中紙面左方)には、車体Cの内壁の一部を構成するインストルメントパネルPが配置されている。また、インストルメントパネルPの内部には本実施形態の助手席用エアバッグ装置10が設置されている。この助手席用エアバッグ装置10は、図2に示すように、エアバッグ12と、リテーナ20と、バッグリング30と、略円盤形のインフレータ40(ガス発生器)と、を有している。尚、図示の煩雑を避けるために、助手席用エアバッグ装置10を車体(インストルメントパネルPなど)に固定するためのブラケット等の固定部材の図示は省略している。
【0020】
エアバッグ12は、例えば、ポリエステル系やナイロン系等の複数の基布パネルを縫い合わせることによって袋状に形成されている。また、エアバッグ12は、当初は折り畳まれた状態でリテーナ20の内部に収納されており、車両の衝突時等には、インフレータ40から放出された圧力ガスの圧力によって膨張する。さらに、エアバッグ12には、図3に示すように、車体側に略円形の導入開口12aと、その周囲に複数(例えば、4箇所)のボルト貫通孔12bとが形成されており、このボルト貫通孔12bを含めた導入開口12aの開口周辺部には同じ素材の補強用の基布パネル(図示せず)が設けられている。そして、エアバッグ12は、インストルメントパネルPに設けられた開口部14から膨張しつつ車内に出現し、インストルメントパネルPと乗員Fとの間に膨張して展開する(図1(B)参照)。
【0021】
図4はエアバッグ省略状態の要部の斜視図、図5はエアバッグ省略状態の要部の断面図、図6はリテーナの斜視図である。図4〜図6及び前述の図2において、リテーナ20は、車体Cの幅方向に横長の略長方形の外縁形状となる底壁22(ベース壁)と、底壁22の周囲から立ち上げられた枠形状の周壁部24と、複数の鉤型のフック26と、を一体に備え、エアバッグ12の膨出方向に開放された筐体形状となっている。周壁部24は、上記長方形の短辺側に位置する2つの第1周壁部24A,24Aと、長辺側に位置する2つの第2周壁部24B,24Bとから構成されている。また、底壁22の中央部には、インフレータ40をエアバッグ12の内部に案内するための開口22aが形成されている。さらに、底壁22には、開口22aの周囲に複数のボルト貫通孔22bが設けられている。
【0022】
フック26は、リテーナ20を車両(例えば、インストルメントパネルPや図示しないクロスメンバ等)へ取り付けた状態における、本体部22の車両前後方向にそれぞれ設けられている。また、フック26は、インストルメントパネルPに固定された枠状の支持部材16に設けられたフック孔(図示省略)に貫通して係止することにより、リテーナ20を支持部材16(図2参照)に係合させる。
【0023】
この支持部材16は、インストルメントパネルPの一部を構成すると共に、エアバッグ12が膨出するために開裂可能なリッド18の外周部に上端部が取り付けられている。また、支持部材16は、折り畳まれた状態のエアバッグ12の側方を覆うように配置されている。さらに、支持部材16の開放端でもある開口部14は、通常時(図2に示す状態)においてリッド18によって閉塞されている。そして、インフレータ40が作動すると、リッド18に形成された破断開裂可能なティアライン18aに沿ってリッド18が開裂しつつ回動し(図2の矢印参照)、開口部14を開放すると同時にエアバッグ12が乗員F側へ膨張して出現する。
【0024】
また、フック26は、第2周壁部24Bの開口縁部から側外方へ向かって一体に設けられている。また、このフック26には、外周側が凹形状でかつ内周側が凸形状である強度補強用のリブ24aが、フック26の突出する方向に沿って設けられている。尚、リブ24aは、フック26から第2周壁部24Bに跨って形成されており、第2周壁部24Bにおいては、内方が凹形状かつ外方が凸形状である。また、第1周壁部24A及び第2周壁部24Bは、その全周にわたる高さ寸法が同一とされている。なお、周壁部24の開口縁部は、外側に向けて緩やかなR形状に屈曲されている。
【0025】
バッグリング30は、例えば、冷間圧延鋼又は熱間圧延鋼等の鋼板をプレス加工して形成され、エアバッグ12の導入開口12aの周縁部を、リテーナ20との間で挟持するものである。バッグリング30の材料となる鋼板としては、バネ材のように高弾性のものではなく、バネ材よりも弾性が低い一般的な鋼板を用いている。
【0026】
図7はバッグリングの斜視図、図8はバッグリングの正面図、図9(A)はバッグリングの長手方向の側面図、図9(B)はバッグリングの短手方向の側面図である。バッグリング30は、図7乃至図9に示すように、車体Cの幅方向にやや横長な底壁部32と、底壁部32の周囲から立ち上げられた枠形状の起立壁34と、を一体に備え、エアバッグ12の膨出方向に開放している。また、底壁部32の中央部には、インフレータ40をエアバッグ12の内部に案内するための開口32aが形成されている。さらに底壁部32には、開口32aの周囲に複数のボルト50が設けられている。
【0027】
起立壁34は、エアバッグ12の膨出方向に開放して周壁部24と所定間隔を空けて対向して配置されている。この際、起立壁34は、リテーナ20が車体Cの幅方向に横長であることから、第1周壁部24A,24Aとそれぞれ対向する第1起立壁34a,34aは第1周壁部24Aから遠い位置にあり、第2周壁部24B,24Bと対向する第2起立壁34b,34bは第2周壁部24Bから近い位置にある。また、起立壁34は、第1周壁部24Aと対向する第1起立壁34aの高さ寸法(第1高さ寸法)よりも短手方向両端側と対向する第2起立壁34bの高さ寸法(第2高さ寸法)のほうが大きく形成されている。この際、第1周壁部24Aと対向する第1起立壁34aは後述するインフレータ40のガス放出口46よりも低く、第2周壁部24Bと対向する第2起立壁34bはガス放出口46よりも高く設定されている。さらに、起立壁34の角部、すなわち第1起立壁34aと第2起立壁34bとの接続部である四隅は、外側に向けて突出するR形状に形成されている(図8参照)と共に、第1起立壁34aと第2起立壁34bとが滑らかなR形状の段差部34cにより接続されている。
【0028】
インフレータ40は、本体部22の底壁22に形成された開口22aからガス放出端側端面42が突出するように底壁22の背面側に固定され、エアバッグ12の内部に圧力ガスを供給する。したがって、インフレータ40は、車両の衝突時等に図示しないエアバッグ制御ユニットからの電気的信号を受けて圧力ガスを発生するガス発生手段である。また、インフレータ40は、燃焼時にガスを発生するガス発生剤や、電気信号を受けてガス発生剤に点火するイグナイタ等を備えている。
【0029】
図10はインフレータの詳細構造を表す斜視図であり、インフレータ40は、図10及び前述の図4〜図6等に示すように、外形が厚手の円盤状に形成されるとともに、開口22aからガス放出端側端面42が突出している状態のリテーナ20の表面側に位置する側周面44に、周方向に離間して複数のガス放出口46を設けた、いわゆるディスクタイプが採用されている。
【0030】
インフレータ40は、その中心軸方向がリテーナ20の法線方向とほぼ一致した姿勢で、リテーナ20の開口22a、エアバッグ12の導入開口12a、バッグリング30の開口32a、を貫通して、エアバッグ12の内部にガス放出端側端面42が位置するように挿入される。これにより、ガス放出口46は、インフレータ40のガス放出端側端面42がエアバッグ12の内部に挿入される部分の側周面44に形成されている。さらに、インフレータ40は、側周面44からつば状に張り出したフランジ48を有する。このフランジ48には、ボルト貫通孔48aと、補強用の屈曲部48bと、が形成されている。
【0031】
ボルト50は、バッグリング30の裏面側にネジ部52が突出した状態でバッグリング30に溶接等で固定されており、エアバッグ12のボルト貫通孔12bと、リテーナ20のボルト貫通孔22bと、インフレータ40のボルト貫通孔48aと、を貫通した状態でナット54をネジ部52に螺合することでエアバッグ12、リテーナ20、バッグリング30、インフレータ40が結合される。
【0032】
上記のように、助手席用エアバッグ装置10は、ボルト50とナット54との締結によりエアバッグ12、リテーナ20、バッグリング30、インフレータ40が結合された状態で支持部材16及び車体に固定される。
【0033】
以上のように構成された助手席用エアバッグ装置10にあっては、通常時においては、図1(a)に示すように、エアバッグ12は折り畳まれてリテーナ20の内部に収納されている。そして、車両の衝突時等の緊急時には、インフレータ40が図示しない制御装置から制御信号が入力されて作動することにより、内部のガス発生剤が点火して圧力ガスを放出し、これにより内部圧力が上昇して折り畳み状態であったエアバッグ12が膨張し展開する動作を開始する。そして、図1(b)に示すように、エアバッグ12は、その膨張力によりティアライン18aを開裂させてリッド18を開放させ、リテーナ20及びインストルメントパネルPの外部へ膨出し、助手席Sに着座している乗員Fへ向けて膨張して展開する。これにより、膨張して展開したエアバッグ12が、乗員Fの上半身を拘束する。
【0034】
ここで、前述したように、周壁部24から遠く且つ側周面44からも遠い(図8の間P1参照)第1起立壁34aはガス放出口46よりも低く、周壁部24から近く且つ側周面44からも近い(図8の間P2参照)第2起立壁34bはガス放出口46よりも高く設定されている。これにより、リテーナの短手方向の要部拡大断面図である図11に示すように、ガス放出口46に近いエアバッグ12の車体側は第2起立壁34bによって圧力ガスの高温・高圧環境から保護される(図11中の太矢印参照)。その一方で、リテーナの長手方向の要部の拡大断面図である図12に示すように、ガス放出口46に遠いエアバッグ12の車体側は第1起立壁34aを通過して圧力ガスの圧力により車体Cの幅方向への膨張を促進する(図12中の太矢印参照)。すなわち、エアバッグ12の内部に放出された圧力ガスの高温・高圧環境からエアバッグ12の車体側を保護しつつ、エアバッグ12の膨張圧力の最適化を図ることができる。
【0035】
また、本実施の形態においては特に、バッグリング30の起立壁34のうち、第1周壁部24Aと対向する第1起立壁34aはガス放出口46よりも低く、第2周壁部24Bと対向する第2起立壁34bはガス放出口46よりも高いことにより、リテーナ20の第2周壁部24Bに近い第2起立壁34bでは圧力ガスの高温・高圧環境からの保護機能を高く確保できると共に、第1周壁部24Aに近く第2周壁部24Bに遠い第1起立壁34aでは圧力ガスの放出機能を高く確保することがきる。
【0036】
また、本実施の形態においては特に、バッグリング30の四隅は外側に向けて突出するR形状に形成され、第1起立壁34aと第2起立壁34bとが滑らかなR形状の段差部34cにより接続されている。これにより、エアバッグ12が膨張する際にバッグリング30に引っ掛かることを抑制することができる。
【0037】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0038】
12 エアバッグ
12a 導入開口
20 リテーナ
24 周壁部
24A 第1周壁部
24B 第2周壁部
30 バッグリング
34 起立壁
34a 第1起立壁
34b 第2起立壁
34c 段差部
40 インフレータ(ガス発生器)
44 側周面
46 ガス放出口
F 乗員

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生器からのガスにより膨張するエアバッグと、
乗員側に開口のあるリテーナと、
前記リテーナの内側に設けられるバッグリングと、
前記バッグリングの内側に設けられ、前記エアバッグの内部に挿入されたガス放出口から圧力ガスを前記エアバッグの内部に放出するガス発生器と、
を有し、
前記リテーナは、
車体幅方向に長い略長方形の外縁形状となるベース壁と、
前記ベース壁の、前記略長方形の2つの短辺側にそれぞれ位置する2つの第1周壁部と、
前記ベース壁の、前記略長方形の2つの長辺側にそれぞれ位置する2つの第2周壁部と、
を備えており、
前記バッグリングは、
前記リテーナの前記ベース壁との間に前記エアバッグの前記導入開口の周縁部を挟持する底壁部と、
前記リテーナの前記第1周壁部に対し第1間隔を空けて対向するように前記底壁部に立設されるとともに、所定の第1高さ寸法を備えた第1起立壁と、
前記リテーナの前記第2周壁部に対し前記第1間隔よりも小さな第2間隔を空けて対向するように前記底壁部に立設されるとともに、前記第1高さ寸法より大きな第2高さ寸法を備えた第2起立壁と、
を備えている
ことを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【請求項2】
前記バッグリングは、
前記第1起立壁が前記ガス放出口よりも低い位置となり、前記第2起立壁は前記ガス放出口よりも高い位置となるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置。
【請求項3】
前記バッグリングの前記第1起立壁と第2起立壁とが接続される角部は、
外径側に向けて突出するR形状に形成されると共に、第2起立壁の前記第2高さ寸法を備えた前記第2起立壁と前記第1高さ寸法を備えた前記第1起立壁とが滑らかなR形状の段差部により接続されるように、構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の助手席用エアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−153288(P2012−153288A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15092(P2011−15092)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(306009581)タカタ株式会社 (812)
【Fターム(参考)】