説明

効率の良い色相染料を有する洗濯用洗剤組成物

洗濯用洗剤組成物は(a)界面活性剤と、(b)色相染料とを含み、前記色相染料が少なくとも10の色相効率と約30%〜約80%の範囲の洗浄除去値を示すことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯用洗剤組成物、特に好ましい布地付着を示し、例えば白い布地上の黄色がより白く現れ、例えば白い布地が「青味づけ」になる望ましくない色相染料の蓄積を回避する色相染料を含む洗濯用洗剤組成物を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
布地物品、特に白い布地物品の着用および洗濯は、もとの布地色からの変色の原因となるおそれがある。例えば、繰返し洗濯される白い布地は、色の外観が黄色を呈するおそれがあり、布地をより古く、着古して見せる。白い布地の望ましくない黄ばみおよび他の明るい色の布地の類似の変色を防ぐため、いくつかの洗濯用洗剤組成物には洗濯洗浄および/またはリンスサイクル中に布地に付着する色相染料または青味づけ染料が包含される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、青味づけ染料を包含する洗剤で布地が繰返し洗濯された後、青味づけ染料は、布地に蓄積する傾向があり、布地に青みがかった色合いを与える。白い布地物品のそのような繰返し洗濯は、物品に白い外観よりはむしろ青い外観を与える傾向がある。布地へのこの青味づけ染料の蓄積に対処するため、塩素処理が開発されている。塩素処理は蓄積された青味づけ染料を除くのに有効であるが、洗濯プロセスの追加であり、またしばしば不便な工程である。更に、塩素処理は洗濯コストの増加を伴い、布地にとって強すぎ、従って望ましくなく布地の悪化を進める。それ故に、白い布地の望ましくない黄ばみや他の明るい色の布地の類似の変色に対処できる改良された洗濯用洗剤に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の目的は改良された洗濯用洗剤組成物を提供することにある。更に、本発明の目的は白い布地の望ましくない黄ばみおよび他の明るい色の布地の類似の変色に対処できる洗濯用洗剤組成物を提供することにある。
【0005】
概して、本発明は、(a)界面活性剤と、(b)色相染料と、を含み、色相染料が少なくとも10の色相効率と約30%〜約80%の範囲の洗浄除去値を示す洗濯用洗剤組成物を提供することを目的とする。
【0006】
他の実施形態において、本発明は、(a)アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を含む約5重量%〜約40重量%の界面活性剤構成成分と、(b)約0.0001重量%〜約0.05重量%の色相染料と、を含んでなり、色相染料が少なくとも10の色相効率と約30%〜約80%の範囲の洗浄除去値を示す洗濯用洗剤組成物を提供することを目的とする。
【0007】
色相効率および洗浄除去値は本明細書に記載の手順により決定される。
【0008】
更なる実施形態において、本発明は布地物品を洗濯する方法を提供することを目的とし、この方法は本発明による洗濯用洗剤組成物を含む洗浄溶液中で布地物品を洗濯することを含んでなる。その他の実施形態において、本発明はそのような洗濯用洗剤組成物を作製する方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の組成物および方法は、布地への青味づけ染料の著しい蓄積を回避しながら白い布地を白くすることからなる改良された布地色相を提供する点で有利である。その他の目的と利点は本発明の詳細な説明を考慮すれば明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の洗濯用洗剤組成物はゲル形態を含む固体または液体の形態の状態であってよい。一つの具体的な実施形態において、組成物は形態が液体で、重質液体組成物を含む。組成物は界面活性剤と少なくとも10の色相効率と約30%〜約80%の範囲の洗浄除去値を示す色相染料とを含んでなる。そのような染料は、洗濯洗浄サイクル中良好な着色効率を示し、洗濯後過度の望ましくない蓄積を示さないことが見出されている。従って、繰返し洗浄後の望ましくない青味づけは本発明の洗剤組成物で回避され、高価で強すぎる塩素処理は不要である。
【0011】
洗濯用洗剤組成物には望ましい洗浄特性を与えるのに十分な量の界面活性剤が含まれる。一実施形態において、洗濯用洗剤組成物は、約5重量%〜約90重量%の界面活性剤、より具体的には約5重量%〜約70重量%の界面活性剤、更により具体的には約5重量%〜約40重量%の界面活性剤を含む。界面活性剤にはアニオン性、非イオン性、カチオン性、双性イオン性および/または両性界面活性剤が含まれてよい。より具体的な実施形態において、洗剤組成物にはアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤またはこれらの混合物が含まれる。
【0012】
アニオン性界面活性剤
本明細書で有用な好適なアニオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に使用されるいかなる種類の従来のアニオン性界面活性剤をも含むことができる。これらにはアルコキシル化または非アルコキシル化アルキルサルフェート物質に加えてアルキルベンゼンスルホン酸およびそれらの塩が挙げられる。
【0013】
代表的なアニオン性界面活性剤は、C10〜16アルキルベンゼンスルホン酸、好ましくは、C11〜14アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である。好ましくは、アルキル基は直鎖であり、そのような直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、「LAS」として既知である。アルキルベンゼンスルホネート、特にLASは、当該技術分野において周知である。そのような界面活性剤およびそれらの調製は、例えば、米国特許第2,220,099号および同第2,477,383号で記載されている。特に好ましいものは、アルキル基の炭素原子の平均数が約11〜14の直鎖線状アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびカリウムである。ナトリウムC11〜C14、例えば、C12、LASはそのような界面活性剤の具体的な例である。
【0014】
他の代表的な種類のアニオン性界面活性剤にはエトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤が含まれる。また、アルキルエーテルサルフェートまたはアルキルポリエトキシレートサルフェートとして周知のそのような物質は、式:R’−O−(CO)−SOM(式中、R’はC〜C20アルキル基であり、nは1〜20であり、Mは塩生成カチオンである)に該当するようなものである。具体的な実施形態において、R’はC10〜C18アルキルであり、nは約1〜15であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム、またはアルカノールアンモニウムである。より具体的な実施形態において、R’はC12〜C16であり、nは約1〜6であり、Mはナトリウムである。
【0015】
アルキルエーテルサルフェートは、一般に、種々のR’鎖長および種々のエトキシル化度を含む混合物の形態で使用される。しばしばそのような混合物は必然的にいくつかの非エトキシル化アルキルサルフェート物質、すなわち、上記エトキシル化アルキルサルフェート式(式中、n=0である)の界面活性剤も包含するであろう。非エトキシル化アルキルサルフェートも本発明の組成物に別途加えられ、存在してよい任意のアニオン性界面活性剤成分としてまたは成分に使用されてよい。非アルコキシラート化、例えば非エトキシル化、アルキルエーテルサルフェートの具体例は、高級C〜C20脂肪族アルコールの硫酸化により製造されるものである。従来の一級アルキルサルフェート界面活性剤は一般式:ROSO(式中、Rは直鎖または分枝鎖であってよい典型的に線状C〜C20ヒドロカルビル基であり、Mは水溶性化カチオンである)を有する。具体的な実施形態において、RはC10〜C15アルキルであり、Mはアルカリ金属であり、より具体的には、RはC12〜C14であり、Mはナトリウムである。
【0016】
本明細書で有用なアニオン性界面活性剤の具体的な非限定例としては、a)C11〜C18アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、b)C10〜C20一級、分枝鎖およびランダムアルキルサルフェート(AS)、c)式(I)および(II):
【化1】

(式中、式(I)および(II)中のMは電気的中性を与える水素またはカチオンであり、および界面活性剤と関連づけられるか補助剤と関連づけられる全てのM単位は熟練工により分離された形態または化合物が使用されている系の相対的なpHに依存し水素原子かカチオンのいずれかであり、ナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびこれらの混合物を包含する好ましいカチオンの非限定例としては化合物が使用され、xは少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9の整数であり、yは少なくとも約8、好ましくは少なくとも約9の整数である)を有するC10〜C18二級(2、3)アルキルサルフェート、d)C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(AES)(式中、好ましくはxは1〜30である)、e)好ましくは1〜5のエトキシ単位を含むC10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート、f)米国特許第6,020,303号および同第6,060,443号で説明されたような中鎖分枝状アルキルサルフェート、g)米国特許第6,008,181号および同第6,020,303号で説明されたような中鎖分枝状アルキルアルコキシサルフェート、h)WO99/05,243、WO99/05,242、WO99/05,244、WO99/05,082、WO99/05,084、WO99/05,241、WO99/07,656、WO00/23,549、およびWO00/23,548で説明されたような変性されたアルキルベンゼンスルホネート(MLAS)、i)メチルエステルスルホネート(MES)、およびj)α−オレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。
【0017】
非イオン性界面活性剤
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に使用される従来の種類のいかなる非イオン性界面活性剤をも含むことができる。これらにはアルコキシル化脂肪族アルコールおよびアミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書の液体洗剤製品に用いるのに好適なものは、通常液体である非イオン性界面活性剤である。
【0018】
本明細書に用いるのに適した非イオン性界面活性剤としてはアルコールアルコキシラート非イオン性界面活性剤が挙げられる。アルコールアルコキシラートは一般式:R(C2mO)OH(式中、RはC〜C16アルキル基であり、mは2〜4であり、nは約2〜12の範囲である)に相当する物質である。好ましくは、Rは、第一級または第二級でもよいアルキル基であり、約9〜15個の炭素原子、より好ましくは約10〜14個の炭素原子を含有する。一実施形態において、アルコキシル化脂肪族アルコールはまた分子当り約2〜12のエチレンオキシド部分、より好ましくは分子当り約3〜10のエチレンオキシド部分を包含するエトキシ化物質である。
【0019】
本明細書の液体洗剤組成物に有用なアルコキシル化脂肪アルコール物質はしばしば約3〜17の範囲の親水性−親油性バランス(HLB)を有する。より好ましくは、この物質のHLBは、約6〜15、最も好ましくは約8〜15の範囲である。アルコキシル化脂肪族アルコール非イオン性界面活性剤はシェルケミカル社(Shell Chemical Company)による商標名ネオドール(Neodol)およびドバノール(Dobanol)のもとに市販されている。
【0020】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の他の好適な種類にはアミンオキシド界面活性剤が含まれる。アミンオキシド類は、しばしば当該技術分野において「半極性」非イオン性物質と呼ばれる物質である。アミンオキシド類は、式:R(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’).qHOを有する。(式中、Rは、飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖であることができる相対的に長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20個、好ましくは10〜16個の炭素原子を含有することができ、より好ましくはC12〜C16第一級アルキルである。)R’は短鎖部分で、好ましくは水素、メチルおよび−CHOHから選択される。x+y+zが0と異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ、BOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤類は、C12〜14アルキルジメチルアミンオキシドで表される。
【0021】
非イオン性界面活性剤の非限定例としては、a)シェル(Shell)からのネオドール(NEODOL)(登録商標)非イオン性界面活性剤などのC12〜C18アルキルエトキシレート、b)C〜C12アルキルフェノールアルコキシラート(式中、アルコキシラート単位はエチレンオキシおよびプロピレンオキシ単位の混合物である)、c)バスフ(BASF)からのプルロニック(登録商標)などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーを有するC12〜C18アルコールおよびC〜C12アルキルフェノール縮合体、d)米国特許第6,150,322号で説明されたようなC14〜C22中鎖分枝状アルコール、BA、e)米国特許第6,153,577号、同第6,020、303号および同第6,093,856号で説明されたようなC14〜C22中鎖分枝状アルキルアルコキシラート、BAE(式中、xは1〜30である)、f)米国特許第4,565,647号(レナード(Llenado)、1986年1月26日発行)で説明されたアルキル多糖、具体的には米国特許第4,483,780号および同第4,483、779号で説明されたアルキルポリグリコシド、g)米国特許第5,332,528号、WO92/06,162、WO93/19,146、WO93/19,038、およびWO94/09,099で説明されたポリヒドロキシ脂肪酸アミド、およびh)米国特許第6,482,994号およびWO01/42,408で説明されたエーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0022】
アニオン性/非イオン性の組合せ
本明細書の洗濯用洗剤組成物において、洗浄性界面活性剤成分はアニオン性および非イオン性物質の組合せを含んでよい。この場合、アニオン性と非イオン性の重量比は典型的に10対90から90対10の範囲であり、より典型的には30対70から70対30の範囲である。
【0023】
カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、これらの非限定例としては四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、26までの炭素原子を有することができる。その他の例としてはa)米国特許第6,136,769号で説明されたようなアルコキシラート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤、b)米国特許第6,004,922号で説明されたようなジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム、c)WO98/35,002、WO98/35,003、WO98/35,004、WO98/35,005、およびWO98/35,006で説明されたようなポリアミンカチオン性界面活性剤、d)米国特許第4,228,042号、同第4,239,660号、同第4,260、529号、および同第6,022,844号で説明されたようなカチオン性エステル界面活性剤、並びにe)米国特許第6,221,825号およびWO00/47,708で説明されたようなアミノ面活性剤、具体的にはアミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0024】
双極性界面活性剤
双極性界面活性剤の非限定的な例としては、二級および三級アミン類の誘導体、複素環式二級および三級アミン類の誘導体、あるいは四級アンモニウム化合物や四級ホスホニウム化合物または三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双極性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)、19段38行〜22段48行を参照のこと;アルキルジメチルベタインおよびココジメチルアミドプロピルベタイン、C〜C18(好ましくはC12〜C18)アミンオキシド並びにスルホおよびヒドロキシベタインを含めたベタイン、例えば、アルキル基がC〜C18、好ましくはC10〜C14であることができるN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネートが挙げられる。
【0025】
両性界面活性剤
両性界面活性剤の非限定的な例としては、二級または三級アミン類の脂肪族誘導体、あるいは複素環式二級および三級アミン類の脂肪族誘導体が挙げられ、ここで、脂肪族基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。脂肪族置換基のうち一つは、少なくとも約8個の炭素原子、通常は約8〜約18個の炭素原子を含有し、そして少なくとも一つが、アニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する。両性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)の19段18行〜35行を参照のこと。
【0026】
色相染料
本洗剤組成物に包含される色相染料は少なくとも10の色相効率と約30%〜約80%の範囲の洗浄除去値とを示す。そのような染料は、洗濯洗浄サイクル中好ましい着色効率を示し、洗濯後過度の望ましくない蓄積を示さないことがわかった。染料の色相効率は染料を包含しない溶液中で洗浄された布地サンプルを染料を包含する溶液中で洗浄された布地サンプルと比較することにより測定され、色相染料が望ましい着色を付与するのに有効な場合、例えば白くなることを示す。具体的に言うと、25cm×25cmの布地片が使用され、その例には453.6g(16オンス)綿両面メリヤス生地(270g/平方メートル、ユビテックス(Uvitex)BNB蛍光増白剤で漂白、ペンシルバニア州、ウエストン、18643、私書箱26のテストファブリック(Test Fabrics)から取得)が含まれてよい。白い綿材料が使用されるのが好ましいが、他の布地サンプルが使用されてよい。サンプルは表1に示されるようなAATCC標準重質液(HDL)試験用洗剤1.55gを包含する1リットルの蒸留水中で45分間室温で洗浄され、リンスされる。各サンプルは染料を包含しない(コントロール)洗剤および30ppm洗浄濃度の染料を包含する洗剤を使用して調整され、テストされる。各布地サンプルをリンス・乾燥後、洗濯物の色相効率、DE*eff、が以下の式により評価される。
DE*eff=((L*−L*+(a*−a*+(b*−b*1/2
(式中、添字cおよびsは各々、コントロール、すなわち染料のない洗剤中で洗浄された布地サンプル、および染料を包含する洗剤中で洗浄された布地サンプルについて測定されたL*,a*およびb*値を参照し、審査される)。L*,a*およびb*値の測定は、D65照度、10度観測器および遮断UVフィルターを有するハンターカラークエスト(Hunter Colorquest)反射分光光度計を使用し行われる。本洗剤組成物用に好適な色相染料は少なくとも10の色相効率を示す。より具体的な実施形態において、色相染料は少なくとも15の色相効率を示す。
【0027】
洗浄除去値は、色相染料の布地への蓄積に対する耐性の表示であり、従って、色相染料が着色には有効であるが繰返し洗濯した後望ましくない布地の青味づけを引き起こさないことを表している。洗浄除去値は以下のように決定される。上記した色相効率テストでもたらされた15cm×5cmの大きさの布地サンプル片がランダロメーター(Launderometer)中で45分間49℃で表1に示されたHDL洗剤溶液150mlでAATCC試験法61−2003、テスト2Aに従って洗浄される。洗剤濃度は1.55g/リットルの蒸留水のAATCC HDL処方である。リンスし暗所で風乾後、残留着色の量が以下の式:
DE*res=((L*−L*+(a*−a*+(b*−b*1/2(式中、添字cおよびsは各々、コントロール、すなわち最初に染料のない洗剤中で洗浄された布地サンプル、および染料を包含する洗剤中で最初に洗浄された布地サンプルについて測定されたL*,a*およびb*値を参照し、審査される)で与えられるDE*resを測定することにより評価される。
【0028】
次に、染料に対する洗浄除去値は式:除去(%)=100x(1−DE*res/DE*eff)に従って計算される。本洗剤組成物用に好適な色相染料は約30%〜約80%の範囲の洗浄除去値を示す。より具体的な実施形態において、色相染料は約35%〜約75%の範囲の洗浄除去値を示す。
【表1】

処方pHを8.5に調整
ジエチレントリアミン五酢酸、五ナトリウム塩
【0029】
色相染料は洗濯用洗剤組成物中に洗剤を包含する溶液中で洗浄される布地に着色効果を与えるのに十分な量が含まれる。一実施形態において、洗剤組成物には約0.0001重量%〜約0.05重量%、より具体的には約0.001重量%〜約0.01重量%の色相染料が含まれる。
【0030】
本発明による色相効率と洗浄除去値の組合せを示す代表的な染料としては表2に示されるようないくつかのトリアリールメタンブルーおよびバイオレット塩基性染料、表3に示されるようなメチンブルーおよびバイオレット塩基性染料、表4に示されるようなアントラキノン染料、アントラキノン染料塩基性ブルー35および塩基性ブルー80、アゾ染料塩基性ブルー16、塩基性ブルー65、塩基性ブルー66、塩基性ブルー67、塩基性ブルー71、塩基性ブルー159、塩基性バイオレット19、塩基性バイオレット35、塩基性バイオレット38、塩基性バイオレット48、オキサジン染料塩基性ブルー3、塩基性ブルー75、塩基性ブルー95、塩基性ブルー122、塩基性ブルー124、塩基性ブルー141、ナイルブルーおよびキサンテン染料塩基性バイオレット10、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【表2−5】

【表2−6】

【表3】

【表4】

【0031】
本明細書に参考として組み込まれるミリケンリサーチ社(Milliken Research Corporation)の米国特許第3,157,663号、同第3,927,044号、同第4,113,721号、同第4,400,320号、同第4,601,725号、同第4,871,371号、同第5,766,268号、同第5,770,552号、同第5,770,557号、同第5,773,405号および同第6,417,155号は極性溶媒に可溶のポリオキシアルキレンを包含する着色剤について記載している。合成された着色剤が少なくとも10の色相効率と約30%〜約80%の範囲の洗浄除去値を示す場合、そのような材料が本発明に使用されてよい。
【0032】
発明の洗剤組成物の一実施形態において、非色相染料も色相染料と組合せて使用される。非色相染料は天然に非実在であるかもしれない。色相染料と非色相染料を組合せて製品の色および布地色合いのカスタマイズが可能となる。
【0033】
上述のように、組成物は粒子またはフレーク等からなるこれに限定されない錠剤形態か粒子状形態かのいずれかの固体の形態であってよく、また組成物は液体の形態であってよい。液体洗剤組成物は水性非界面活性液体キャリアを含む。一般的に、本明細書の組成物中に使用される水性非界面活性液体キャリアの量は、組成物成分を可溶化し、懸濁しまたは分散するのに有効である。例えば、組成物は約5重量%から約90重量%、より具体的には約10重量%から約70重量%、および更により具体的には約20重量%から約70重量%の水性非界面活性液体キャリアを含んでよい。
【0034】
最もコスト的に有効な種類の水性非界面活性液体キャリアは言うまでもなく水自体である。それ故に、水性非界面活性液体キャリア成分は一般に完全でないとしても大抵水が含まれる。従来からそのようなアルカノール類、ジオール類、他のポリオール類、エーテル類およびアミン類等の他の種類の水相溶性液体が共溶媒または安定剤として液体洗剤組成物に添加されているが、本発明の目的のため、そのような水相溶性液体の利用は組成物コストを抑制するため最小限にされるべきである。それ故に、本明細書における液体洗剤組成物の水性液体キャリア成分には一般に組成物の重量で約5%〜約90%、より好ましくは約20%〜約70%が含まれる。
【0035】
本発明の洗剤組成物には任意の数のその他の任意成分が包含されてよい。これらには洗浄性ビルダー、酵素、酵素安定剤(プロピレングリコール、ホウ酸および/またはホウ砂など)、泡抑泡剤、土壌懸濁剤、汚れ放出剤、他の布地ケア有益剤、pH調整剤、キレート化剤、スメクタイト粘土、溶媒、向水性物質および相安定剤、構造剤、転染抑止剤、蛍光増白剤、香料、および着色剤等の従来の洗濯用洗剤組成物成分が挙げられる。種々の任意の洗剤組成物成分は、本明細書の組成物中に存在する場合、それらの望ましい寄与を組成物または洗濯操作にもたらすため、慣習的に使用されている濃度で利用されるべきである。しばしば、そのような任意の洗剤組成物成分の合計量は組成物の重量で約0.1%〜約50%、より好ましくは約1%〜約30%である。
【0036】
本明細書における液体洗剤組成物は、界面活性剤、色相染料およびいくつかの任意の他の成分の水溶液、均一分散または懸濁液であり、そのいくつかは通常固形形態であってよく、液体アルコールエトキシレート非イオン性、水性液体キャリアおよび任意の他の通常液体の任意成分などの通常液体の組成物成分と組合されている。そのような溶液、分散または懸濁液は一応相安定で、典型的に約0.1〜0.6Pa/s(100〜600cps)、より好ましくは約0.15〜0.4Pa/s(150〜400cps)の範囲の粘度を有する。本発明の目的のため、粘度は#21スピンドルを使用したブルックフィールド(Brookfield)LVDV−II+粘度計で測定される。
【0037】
本明細書の液体洗剤組成物は、任意の都合のよい順番でそれらの組成物を組合せおよび生じた成分の組合せを混合、例えば攪拌、することにより調製でき、相安定液体洗剤組成物を形成する。そのような組成物を調製する好ましい方法において、例えば非イオン性界面活性剤、非界面活性液体キャリアおよび他の任意の液体成分の少なくとも主要部分、好ましくは実質的にすべてを包含し、この液体を組合せたものに剪断力攪拌を与えることにより完全に混合される液体成分で液体マトリックスが形成される。例えば、機械的攪拌器での高速攪拌は、有用に用いられる。剪断力攪拌が維持される間に、実質的に任意のアニオン性界面活性剤および固体形態成分のすべてが加えられてよい。混合物の攪拌を継続し、必要ならその時点で増大し、液相中に不溶性固相粒子の溶液または均一分散を形成する。固形形態の物質のいくらかまたは全てがこの攪拌混合物に添加された後、包含される任意の酵素物質の粒子、例えば酵素プリル、が組み込まれる。以上で記載した組成物調製法の変形として、1つ以上の固形成分が攪拌混合物に1つ以上の液体成分の微量成分部分とプレミックスされた粒子の溶液またはスラリーとして添加されてよい。全ての組成物成分が加えられた後、混合物の攪拌は、必要な粘度および相安定度特性を有する組成物を形成するために十分な時間継続される。しばしば、これには約30分〜60分の間の攪拌を伴う。
【0038】
液体洗剤組成物を形成する他の実施形態において、色相染料は先ず1つ以上の液体成分と組合され色相染料プレミックスを形成し、この色相染料プレミックスが相当な部分、例えば50重量%を超える、より具体的には70重量%を超える、更により具体的には90重量%を超える洗濯用洗剤組成物の残部成分、を包含する組成物処方物に添加される。例えば、上述した方法において、色相染料プレミックスと酵素成分の両方が成分付加の最終段階で添加される。更なる実施形態において、色相染料は洗剤組成物に添加される前に閉じ込められ、閉じ込められた染料は構造化液体(structured liquid)中で懸濁され、懸濁液が洗濯用洗剤組成物の残部成分の相当な部分を包含する組成物処方物に添加される。
【0039】
これより前に注記したように、洗剤組成物は固形形態の状態でよい。好適な固形形態としては錠剤形態および粒子状形態、例えば粒状粒子またはフレークが挙げられる。そのような固形形態の洗剤組成物を形成する種々の技術は当該技術分野において周知であり、本明細書で使用されてよい。一実施形態において、例えば、組成物が粒状粒子の形態の場合、色相染料は所望により追加的ではあるが洗濯用洗剤組成物の全てではない成分からなる粒子状形態で提供される。色相染料粒子は洗濯用洗剤組成物の残部成分を包含する1つ以上の追加の粒子と組合される。更に、追加的ではあるが洗濯用洗剤組成物の全てではない成分を任意に包含する色相染料は閉じ込められた形態で提供されてよく、色相染料の内包は洗濯用洗剤組成物のかなりの残部成分を包含する粒子と組合される。
【0040】
前述のように調製された本発明の組成物は、布地の洗濯に使用される水性洗浄溶液を形成するために使用できる。一般に、そのような水性洗濯溶液を形成するため、好ましくは従来の布地洗濯自動洗濯機の水にそのような組成物の有効量が添加される。そのように形成された水性洗浄溶液は、次に、好ましくは攪拌下で、それにより洗濯される布地と接触する。水性洗濯溶液を形成するため水に添加された本明細書の液体洗剤組成物の有効量には水性洗浄溶液中で約500〜7,000ppmの組成物を形成するのに十分な量が含まれてよい。より好ましくは、本明細書において約1,000〜3,000ppmの洗剤組成物が水性洗浄溶液中に与えるであろう。本開示による色相効率と洗浄除去値を示す界面活性剤と色相染料とを含む本洗剤組成物は洗濯洗浄サイクル中好ましい着色効率を示し、洗濯後過度の望ましくない蓄積を示さないことが見出されている。
【実施例】
【0041】
以下の実施例は本発明の組成物を説明するが、本明細書の発明の範囲を限定するまたは別の方法で定義することを必ずしも意味しない。
【0042】
実施例1
以下の液体処方は本発明の範囲内にある。
【表5】

ジエチレントリアミン五酢酸、ナトリウム塩
ジエチレントリアミンペンタキス(pentakis)メチレンホスホン酸、ナトリウム塩
エチレンジアミン四酢酸、ナトリウム塩
処方色調節のために使用される非着色性染料
ポリビニルアルコールフィルム中で単位容量に別けられた投与量としてパッケージされたコンパクト処方
【0043】
実施例2
下記の粒状洗剤処方は本発明の範囲内にある。
【表6】

1%染料、34%タローアルコール(EO)25.65%硫酸ナトリウムおよび水分を包含する粒子として処方された
0.5%繊維、99.5%ポリエチレングリコール4000を包含する粒子として処方された
【0044】
実施例3
この例は染料の色相効率および洗浄除去値を決定する手順を実証する。
【0045】
具体的に言うと、評価される染料毎に、25cm×25cmの453.6g(16オンス)綿両面メリヤス生地(270g/平方メートル、ユビテックス(Uvitex)BNB蛍光増白剤で漂白、ペンシルバニア、ウエストン、18643、私書箱26のテストファブリック(Test Fabrics)から取得)が使用される。サンプルは1.55gのAATCC標準HDL検査用洗剤(表1に示される)を包含する1リットルの蒸留水中で45分間室温で洗浄され、リンスされる。各サンプルは染料を包含しない(コントロール)洗剤および30ppm洗浄濃度の染料を包含する洗剤を使用して調整され、テストされる。前に定義したように、リンスおよび乾燥後、色相染料効率はDE*effを測定することにより算定される。
【0046】
次に、洗浄除去値は上述した色相効率テストでもたらされた15cm×5cmの布地サンプル片を洗浄することにより評価される。サンプルはラウンデロメーター(Launderometer)中で45分間49℃洗剤溶液150mlで(AATCC試験法61−2003、テスト2Aによって)洗浄される。洗剤濃度は1.55g/リットルの蒸留水の表1に示したAATCC HDL処方であるリンス、暗所での風乾後、前に定義したように、残留着色の量がDE*resを測定することにより評価された。表5に示された染料を評価するため、これらの手順が使用され、その結果も表5に示される。
【表7】

【0047】
サンプルは通常製紙産業で非常に有効な着色剤として使用される直接染料である。それはこのテストで好ましい着色効率を示すが洗浄除去性は低く、従って、過度の多サイクル蓄積となる。サンプルbは米国特許第3,958,928号、同第4,110,238号、同4,144,024号用に開示される、効率の低い酸性染料色相剤である。サンプルcからwはサンプルbと比較してより高い着色効率およびサンプルaと比較してより高い除去性を示し、本発明の着色効率および洗浄除去値の要求を満足する。
【0048】
「発明を実施するための最良の形態」において引用される全ての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【0049】
本発明の特定の実施形態が説明および記載されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の様々な変更および修正を行えることが当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更および修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)界面活性剤と、(b)色相染料とを含む洗濯用洗剤組成物であって、前記色相染料が少なくとも10、好ましくは少なくとも15の色相効率、および約30%〜約80%の範囲、好ましくは約35%〜約75%の範囲の洗浄除去値を示すことを特徴とする、洗濯用洗剤組成物。
【請求項2】
(a)約5重量%〜約90重量%の前記界面活性剤と、(b)約0.0001重量%〜約0.05重量%の前記色相染料とを含む、請求項1に記載の洗濯用洗剤組成物。
【請求項3】
前記色相染料が、トリアリールメタンブルー塩基性染料;トリアリールメタンバイオレット塩基性染料;メチンブルー塩基性染料;メタンバイオレット塩基性染料;アントラキノンブルー塩基性染料;アントラキノンバイオレット塩基性染料;アゾ染料塩基性ブルー16、塩基性ブルー65、塩基性ブルー66、塩基性ブルー67、塩基性ブルー71、塩基性ブルー159、塩基性バイオレット19、塩基性バイオレット35、塩基性バイオレット38または塩基性バイオレット48;オキサジン染料塩基性ブルー3、塩基性ブルー75、塩基性ブルー95、塩基性ブルー122、塩基性ブルー124、塩基性ブルー141またはナイルブルーA;キサンテン染料塩基性バイオレット10;あるいはそれらの混合物、好ましくはメチン塩基性ブルー染料またはメチン塩基性バイオレット染料である、請求項1に記載の洗濯用洗剤組成物。
【請求項4】
前記組成物が液体の形態である、請求項1に記載の洗濯用洗剤組成物。
【請求項5】
前記組成物が固体の形態である、請求項1に記載の洗濯用洗剤組成物。
【請求項6】
非着色性染料を更に含む、請求項1に記載の洗濯用洗剤組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤がアニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを含む、請求項1に記載の洗濯用洗剤組成物。
【請求項8】
洗剤ビルダー、酵素、酵素安定剤、泡抑泡剤、土壌懸濁剤、汚れ放出剤、pH調整剤、キレート化剤、スメクタイト粘土、溶媒、向水性物質、相安定剤、構造剤、転染抑止剤、蛍光増白剤、および香料より成る群から選択される1つ以上の追加成分を更に含む、請求項1に記載の洗濯用洗剤組成物。
【請求項9】
前記色相染料を液体成分と組合わせて色相染料プレミックスを形成し、前記色相染料プレミックスを、前記洗濯用洗剤組成物成分残部のかなりの部分を包含する組成物処方物に添加することを含んでなる、請求項4に記載の液体洗濯用洗剤組成物を調製する方法。
【請求項10】
前記色相染料を粒子状形態で付与し、所望により全てではない追加の前記洗濯用洗剤組成物の成分を含み、前記色相染料粒子を前記洗濯用洗剤組成物成分残部を包含する第二の粒子と組合わせることを含んでなる、請求項5に記載の固体洗濯用洗剤組成物を調製する方法。

【公表番号】特表2008−503647(P2008−503647A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518377(P2007−518377)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/023183
【国際公開番号】WO2006/004876
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】