説明

効率的な緑色発光蛍光体、及び赤色発光蛍光体との組合せ

式(I)、Sr1−x3Gax3Ga:Eu:xGa(式中、xは0〜約0.2(又は約0.0001〜約0.2)であり、x3は0.0001〜1である)を有する、ユーロピウム成分の微小量が、効率を高めるのに有効な量のプラセオジムで置換されている蛍光体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑色発光蛍光体、赤色発光蛍光体及びこれらの混合物、並びに白色光源に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2004年7月6日に出願された米国特許出願第60/585,664号及び2004年9月3日に出願された米国特許出願第60/606,981号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
2価のユーロピウムで活性化されたアルカリ土類金属チオガレート蛍光体は、一般に、青色励起、緑色発光蛍光体である。このタイプの蛍光体は、白色光装置のようなLED装置のための優れた色変換器として使用することができる。
【0004】
このような蛍光体のうち1つは化学量論的組成(SrGa:Eu)から成り、Peters,「Electrochem. Soc. vol.」(119, 1972, p230)に開示されている。この蛍光体は発光効率が低い。近年、組成式(SrGa:Eu:xGa)を有する非化学量論的なチオガレートベースの蛍光体が、米国特許第6,544,438号に記載されている。STGと呼ばれるこの蛍光体は、約470nmの青色光励起を使用して90%以上の高い発光効率を有する。
【0005】
蛍光体粉末を用いてLED装置を製造する際には、一般的に、蛍光体がLEDからの光を効率的に吸収し、より長い波長で光を再放出するように、粒子状蛍光体の薄膜をLEDチップに被覆することが必要である。蛍光体粉末をLEDチップに塗布するプロセスは、液体ベースのスラリー又は溶融ポリマー中のスラリーのような流状の所与量の蛍光体粉末の送出を伴う。大量のLEDランプを製造するため、精密且つ高速の蛍光体スラリーの送出が重要である。一般的に、このようなプロセスは、粉末の粒子が狭い範囲のサイズ(一般的には、4〜7μmのサイズ分布)を有すること、又は5〜6μmのようなそれよりも小さく狭い範囲であることが必要である。このサイズ範囲内の粒子はインクジェット塗布に適している。
【0006】
発光効率は粒径に依存することがわかっている。より大きい粒子は、より小さい粒子よりも効率的に発光する傾向がある。最も効率的なSTG蛍光体は、一般的に、5〜9μmのメジアン粒径を有し、2μm又は1μm(メジアン)よりも小さいSTG粒子は許容可能な発光効率を保有しない場合が多い。より高い効率は、粒子を構成する微粒子のサイズを制御することによって、より小さい粒子において達成できることがわかった。メジアン粒径が2〜5μmである高い効率のSTG粒子は本発明の方法を用いて分離可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発光装置の作製では、ストロンチウムチオガレート蛍光体が、より長波長で発光する(低光子エネルギーを意味する)蛍光体と混合され得る。例えば、LEDが青色光を発する場合、この2種類の蛍光体による青色光の部分変換によって白色光をもたらすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[発明の概要]
本発明の一実施形態によれば、式:
Sr1−x3Gax3Ga:Eu:xGa (I)
(式中、xは0〜約0.2(又は約0.0001〜約0.2)であり、x3は0〜1である)を有する蛍光体であって、ユーロピウム成分の微小量が、効率を高めるのに有効な量のプラセオジムで置換されていることを特徴とする蛍光体蛍光体提供される。
【0009】
他の実施形態によれば、式:
Sr1−x3Gax3Ga:Eu:xGa (I)
(式中、xが0〜約0.2(又は約0.0001〜約0.2)であり、x3が0〜1である)を有する蛍光体であって、ユーロピウム成分の微小量が、効率を高めるのに有効な量のプラセオジムで置換されていてもよく、蛍光体組成物のメジアン粒径が2〜4.5μmであり、蛍光体組成物の量子効率が85%以上であり得る蛍光体組成物が提供される。
【0010】
別の実施形態によれば式:
Sr1−x3Gax3Ga:Eu:xGa (I)
(式中、xは0〜約0.2(又は約0.0001〜約0.2)であり、x3は0〜1である)有する蛍光体であって、ユーロピウム成分の微小量が、効率を高めるのに有効な量のプラセオジムで置換されていることができ、該蛍光体組成物のメジアン粒径が2〜12μmである蛍光体の製造方法であって、
該製造方法の製造物中に所望の平均粒径(後記の沈殿工程(1回又は複数回)の後で測定された成果)を実現するため適切であるとして選択された条件下でSrSO/CaSO及びEu(OH)を析出させること;
該第1の析出工程の製造物と共にGa(OH)を析出させること;
該第2の析出工程の生成物又はその後に繰り返されるこの工程の製造物を粉砕するサブ工程、及び粉砕された製造物を硫化水素中で焼成するサブ工程の2つのサブ工程を少なくとも1回実行すること;
少なくとも1回、該焼成された製造物をそれが溶けない溶媒中で懸濁させ、該焼成された製造物の一部分を、その第2の部分を懸濁させたまま、沈殿させるための時間を設けること;及び
懸濁された部分又は沈殿された部分の1つ以上の部分中の蛍光体を回収することを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法が提供される。上記の第1の析出は、例えば、水よりも低い極性を有する水溶性有機溶液中で実行することができる。或いは、(又は、付加的に)、第1の析出は界面活性剤を含有する水溶液中で実行してもよい。
【0011】
さらに別の実施形態では、
光出力;
光源;及び
光源と光出力との間に設けられ波長変換器であって、Sr1−x3Cax3Ga:Eu:xGa(式中、xは0〜約0.2(又は約0.0001〜約0.2)であり、x3は0〜1である)を含み、ユーロピウム成分の微小量が、効率を高めるのに有効な量のプラセオジムで置換されており、492nm〜577nmの波長を有する光出力における光を増加させるのに効果的である波長変換器を有することを特徴とする発光装置がさらに提供される。
【0012】
また、さらに別の実施形態では、
光出力;
光源;及び
光源と光出力との間に設けられ波長変換器であって、Sr1−x3Cax3rGa:Eu:xGa(式中、xは0〜約0.2(又は約0.0001〜約0.2)であり、x3は0〜1である)を含み、ユーロピウム成分の微小量が、効率を高めるのに有効な量のプラセオジムで置換されていることができ、該蛍光体組成物のメジアン粒径が2〜4.5μmであり、該蛍光体組成物の量子効率が85%以上であり、492nm〜577nmの波長を有する光出力における光を増加させるのに効果的である波長変換器を有することを特長とする発光装置もまた提供される。
【0013】
さらに、 第1の発光エネルギーを有する蛍光体及びより低い発光エネルギーを有する第2の蛍光体を含む2種以上の蛍光体の混合物であって、式:
Sr1−x3Cax3Ga:Eu:xGa (I)
(式中、xは0〜約0.2(又は約0.0001〜約0.2)であり、x3は0〜1である)を有し、ユーロピウム成分の微小量が、効率を高めるのに有効な量のプラセオジムで置換されている第1の蛍光体;及び式:
Srx2Ca1−x2S:Eu2+,Y (II)
(式中、x2は0〜1(又は約0.3〜約0.8)の数であり、Yは、原子形態又はイオン形態の1種以上のハロゲン化物である)を有する第2の蛍光体を含むことを特徴とする蛍光体混合物を提供する。
【0014】
なおさらに、光出力を有する発光装置であって、光源;及び光源と光出力との間に設置され、SrGa:Eu:xGa(式中、xは0〜約0.2(又は約0.0001〜約0.2)であり、x3は0〜1である)を有する第1の波長変換器であって、ユーロピウム成分の微小量が、効率を高めるのに有効な量のプラセオジムで置換されている第1の波長変換器;及び光源と光出力との間に設置され、Srx2Ca1−x2S:Eu2+,Y(式中、x2は約0〜1(又は約0.3〜約0.8)の数であり、Yは、原子形態又はイオン形態の1種以上ハロゲン化物である)を有する第2の波長変換器を有することを特徴とする発光装置を提供する。下記のような第3の波長変換器、又は他の波長変換器が適用されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[発明の詳細な説明]
以下の用語は、本出願の目的のため、以下に記載されたそれぞれの意味を有する。
・粒子
粒子は蛍光体の単結晶又は単結晶状成分の凝集体であり得る。
・微粒子
微粒子は蛍光体の単結晶又は単結晶状成分である。
【0016】
<緑色発光蛍光体>
本発明の方法は、第1の蛍光体形成プロセスと第2の分粒プロセスとを含む。
【0017】
形成プロセスは、例えば、以下の工程を含み得る。
1.(硝酸塩のような)可溶性のストロンチウム塩又はカルシウム塩と、(硝酸塩のような)可溶性の3価のユーロピウム塩との(希硝酸のような)溶液を形成する工程。任意で、少量の3価のプラセオジムが(Pr11のような)可溶性塩又は鉱物として添加される。
2.(水酸化アンモニウムによる中和のように)ストロンチウム/カルシウム/ユーロピウム溶液を十分に中和し、同時に(硫酸又は硫酸アンモニウムのような)硫酸塩の供給源を添加する工程。この場合の「同時に」とは、所望の形態の析出物を得るため十分に連動して、という意味である。ストロンチウム/カルシウムは、硫酸塩を形成すると考えられ、中和と共に、以下の(ストロンチウムと思われる)析出物:
Sr(SO)+Eu(NO+NHOH→SrSO↓+Eu(OH)↓+NHOH
を形成する。析出物の形成は、ユーロピウム水酸化物で被覆された硫酸ストロンチウム微粒子であると考えられる。この析出工程では、粒子内の微粒子のサイズは、析出の或る特定のパラメータを用いて調整可能である。例えば、アセトン又はエタノールのような有機溶媒への水溶性媒体の添加は、溶媒の極性を低下させ、小さい微粒子を有する微粉を生じさせる。ソルビタンモノラウレートのような有機界面活性剤を水溶性媒体中に分散させることにより、非常に小さい微粒子の析出物が得られる。より小さい粒径は、より小さい粒子において高い効率を可能にすると考えられる。このような効率的なより小さい粒子は本発明のプロセスを用いて実現することができる。
3.硝酸塩のような酸可溶性ガリウム塩の第2の溶液を形成する工程。例えば、金属ガリウムは硝酸中で溶解することができる(例えば、一晩かけて)。ガリウム酸化物は硫化物に転換することが困難であるため、その使用はあまり好ましくない。
4.第2の析出は、第1のSr/Ca/Eu析出の懸濁液と、以下の(ストロンチウムと思われる)式:
Sr(SO):Eu:(2.0+x)Ga(OH)
において過剰量xのガリウムを与えるため添加されたガリウム溶液との混合後に実行される。析出は、(例えば、アンモニアで)十分に中和することによって、又は、(尿素のような)カオトロピック剤を添加することによって実行される。
5.第2の析出物から生じた微粉は、乾燥、粉砕、硫化水素中で焼成される。焼成は環状炉内の(アルミナボートのような)耐火ボートで行われ得る。適切な焼成は、例えば、800℃、5時間であり得る。第2の粉砕及び硫化水素下での焼成工程は、均一性を確実にするため適用され得る。適切な第2の焼成は、例えば、900℃、2時間であり得る。X線分析は、“x”が組成式(I)で使用されるので、xを決定するため使用され得る。
【0018】
析出で使用するための水混和性(Sr/Eu析出のために最終的に構成されるように水溶性溶媒中の混和性を含む)溶媒は、例えば、アルコール及びケトンを含む。
【0019】
本明細書に記載された中和は、pH7にならなくても、問題の析出を可能にするために十分に中性(又は、やや塩基性)であればよい。大量の気相を含むプロセスのため本明細書に記載された温度は、問題となっている炉又はその他の反応容器の温度であり、反応物質それ自体の温度ではない。
【0020】
或る特定の実施形態では、xの範囲は、以下の下限(数値自体を含む)のうちの1つから、又は、以下の上限(数値自体を含む)のうちの1つから与えられる。下限は、0、0.0001、0.001、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18及び0.19である。上限は、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19及び0.2である。例えば、範囲は、0.001〜0.2、又は、0.001〜0.1であり得る。
【0021】
或る特定の実施形態では、x3の範囲は、以下の下限(数値自体を含む)のうちの1つから、又は、以下の上限(数値自体を含む)のうちの1つから与えられる。下限は、0、0.0001、0.001、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8及び0.9である。上限は、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9及び1である。
【0022】
プラセオジムが組成物中に存在するとき、プラセオジムは、蛍光体の量子効率を高めるのに効果的な量で、ユーロピウムの少量を置換する。この量は、例えば、ユーロピウムの0.001モル%〜10モル%又は、0.05モル%〜4モル%である。或る特定の実施形態では、この割合の範囲は、以下の下限(数値自体を含む)のうちの1つから、又は、以下の上限(数値自体を含む)のうちの1つから与えられる。下限は、0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、3.2、3.4、3.6、3.8、5、6、7、8及び9モル%である。上限は、0.005、0.01、0.02、0.03、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、5、6、7、8、9及び10モル%である。
【0023】
或る特定の実施形態では、メジアン径の範囲は、以下の下限(数値自体を含む)のうちの1つから、又は、以下の上限(数値自体を含む)のうちの1つから与えられる。下限は、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0及び11.5である。上限は、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5及び12.0である。
【0024】
或る特定の実施形態では、波長変換器によって増大される光の波長の範囲は、以下の下限(数値自体を含む)のうちの1つから、又は、以下の上限(数値自体を含む)のうちの1つから与えられる。下限は、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、56、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、543、574、575及び576nmである。上限は、493、494、495、496、497、498、499、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、56、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、543、574、575、576及び577nmである。
【0025】
或る特定の実施形態では、蛍光体の量子効率は、85%、86%、87%、88%、89%、又は、それ以上である。
【0026】
<赤色発光蛍光体>
本発明は、組成式
Srx2Ca1−x2S:Eu2+,Y (II)
(式中、x2は0〜1(例えば、約0.3〜0.8等)の数であり、Yは、その原子又はイオンいずれかの形態の1つ又は複数のハロゲンである)を有する赤色ストロンチウム−カルシウム硫化物蛍光体、及びその製造方法に関する。これら蛍光体は、95%までの高い量子効率を有する。これらの発光体は、光をエレクトロルミネセント装置から種々の波長の異なる発光に変化させるか、又は変換するのに有用である。
【0027】
ホスト結晶であるSrx2Ca1−x2Sは固溶体であり、Sr:Ca比を任意に変化させ得る。この物質の発光スペクトルは、そのピークが、ストロンチウム/カルシウム比の変化に伴って、一般的に605〜670nmの間でシフトする。
【0028】
或る特定の実施形態では、第2の波長変換器によって増大される光の波長の範囲は、以下の下限(数値自体を含む)のうちの1つから、又は、以下の上限(数値自体を含む)のうちの1つから与えられる。下限は、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668及び669nmである。上限は、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669及び670nmである。
【0029】
或る特定の実施形態では、x2の範囲は、以下の下限(数値自体を含む)のうちの1つから、又は、以下の上限(数値自体を含む)のうちの1つから与えられる。下限は、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7及び0.75である。上限は、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75及び0.8である。
【0030】
或る特定の実施形態では、x2の範囲は、以下の下限(数値自体を含む)の1つから、又は、以下の上限(数値自体を含む)の1つから与えられる。下限は、0、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8及び0.9である。上限は、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、0.95、0.97、0.98、0.99、0.995、0.999、0.9995、0.9999及び1である。
【0031】
本発明の赤色蛍光体を緑色蛍光体及び青色LEDと組み合わせることにより、フルカラーの白色光が得られ得る。
【0032】
これらの赤色蛍光体は、
a) ストロンチウム及びカルシウムの硫酸塩の混合物を形成すること;
b) 酸化ユーロピウムの溶液を硫酸塩沈殿物に添加すること;
c) 固体を、約900℃の温度までフォーミングガス雰囲気中で焼成すること;
d) 約1,000℃の温度まで硫化水素雰囲気中で焼成し、硫酸塩を対応する硫化物に変換すること;
e) 適量のハロゲン化物活性剤を添加すること;及び
f) 工程e)の混合物を約1,100℃まで窒素雰囲気中で焼成すること
により製造される。
【0033】
本発明の蛍光体は、青色光LED又は他のエレクトロルミネセント装置の放射線によって効率的に励起し、赤色発光をもたらし得て、適切な蛍光体を組み合わせて、フルカラーの白色光をもたらし得る。
【0034】
本発明のカルシウム−ストロンチウム硫化物蛍光体は、所望量のカルシウム及びストロンチウム硫酸塩を組み合わせることにより製造することができる。
【0035】
硫酸カルシウムは、可溶性塩溶液(例えば、炭酸カルシウムのもの)を形成すること、対応する硫酸塩を硫酸により沈殿させること、液体をデカントすること、過剰の酸を除去するために硫酸塩をリンス処理すること、及び沈殿物を乾燥させることにより製造することができる。
【0036】
乾燥後、硫酸カルシウム及び硫酸ストロンチウムを活性剤としての酸化ユーロピウムと組み合わせ、硝酸に溶解させる。活性剤は、不溶性硫酸塩を用いてスラリー状にし、当該スラリーを約100℃で12〜24時間乾燥させる。
【0037】
混合物を約900℃の温度のフォーミングガス中で焼成し、それで約6時間保持する。次いで、固形物を硫化水素雰囲気中で約1,000℃の温度まで焼成し、硫酸塩から硫化物塩を形成する。所望量のハロゲン化物、すなわち、フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素を添加し、温度を約1,100℃まで窒素中で上昇させる。蛍光体を冷却後、これを、粉砕して粉末にしてもよい。
【0038】
本発明の蛍光体とともに使用することのできる他の赤色発光蛍光体としては、これらに限定されないが、YS:Eu3+,Ce3+;YS:Eu3+,Sb2+;CaMgSi:Eu2+,Mn2+;BaSiO:Ce2+,Li,Mn2+;SrS:Eu2+,Cl;MgBaP:Eu2+,Mn2+;CaS:Eu2+,Cl;ZnGaMn;6MgO・AsMn4+が挙げられる。
【0039】
<黄色発光蛍光体>
第3の波長変換器として使用するのに適切な蛍光体は、当業者に既知である。そのようなものとしては、米国特許第6,783,700号(参考のため、その全体が本明細書中に取り込まれる)に記載されたものが挙げられる。さらに、式I(Prでの置換の有無)を有する適切に選択された蛍光体、特に、2004年4月15日に出願されたPCT出願WO2004US11927(これも、参考のために、その全体が本明細書中に取り込まれる)に記載されたものが挙げられる。
【0040】
或る特定の実施形態では、波長変換器によって増大される光の波長の範囲は、以下の下限(数値自体を含む)のうちの1つ又は以下の上限(数値自体を含む)のうちの1つから与えられる。下限は、530nmで波長609nmまで(例えば、1nmきざみ)である。上限は、611nmで波長610nmまで(例えば、1nmきざみ)である。例えば、この範囲は、530〜610nm又は570〜580nmであり得る。
【0041】
<概要>
照明装置に使用する場合、蛍光体は、一次光源、例えば、300〜420nmの波長を発光する半導体光源、又は二次光、例えば、同じ波長範囲で発光する他の蛍光体(1種以上)の発光による光によって励起され得ることが認識されるであろう。励起光が、本発明の蛍光体に関して二次的である場合、励起誘導光は、関連する光源である。本発明の蛍光体を使用する装置としては、蛍光体により生成した光を、装置内部(例えば、一次光源等)でなく光出力に指向させるミラー(例えば、誘電ミラー等)が挙げられる。
【0042】
半導体光源は、或る特定の実施形態では、300nm以上、305nm以上、又は310nm以上等の光を5nmきざみで400nm以上まで発光し得る。半導体光源は、或る特定の実施形態では、420nm以下、415nm以下、又は410nm以下等の光を5nmきざみで350nm以下まで発光し得る。
【0043】
蛍光体粒子を、結合剤又は固化剤、分散剤(すなわち、光散乱材料)、充填剤等とともに照明装置内に分散させてもよい。結合剤は、例えば、光硬化性ポリマー、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ガラス、石英等であり得る。蛍光体は、結合剤中に、本技術分野で既知の方法によって分散し得る。例えば、ある場合には、蛍光体を溶媒中に懸濁し、ポリマーを懸濁し、溶媒中に溶解又は部分的に溶解し、スラリーを照明装置上に分散させ、溶媒を蒸発させることができる。ある場合には、蛍光体を液体の予備硬化前駆物質を樹脂に懸濁し、スラリーを分散させ、ポリマーを硬化させることができる。硬化は、例えば、加熱、UV、又は前駆物質に混合された硬化剤(例えば、フリーラジカル開始剤等)によるものであり得る。すなわち、別の例では、結合剤を加熱により液状化し、スラリーを形成し、スラリーを分散させ、そのままその場で固化させることができる。分散剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、二酸化ケイ素等が挙げられる。
【0044】
本発明の照明装置には、励起エネルギーをもたらすため、又は別の系を励起させて蛍光体に励起エネルギーを提供するためのいずれかで、半導体光源、例えば、LEDが用いられる。本発明を用いる装置としては、例えば、白色光発生照明装置、インジゴ光発生照明装置、青色光発生照明装置、緑色光発生照明装置、黄色光発生照明装置、オレンジ色光発生照明装置、ピンク色光発生照明装置、赤色光発生照明装置、又は本発明の蛍光体の色度と1つ又は複数の第2の光源の色度との間の線によって規定される出力色度を有する照明装置が挙げられ得る。車両用のヘッドライト又は他のナビゲーション光は、本発明の装置を用いて作製され得る。当該装置は、小型の電子装置、例えば、携帯電話及びPDA用の出力インジケータであってもよい。また、照明装置は、携帯電話、PDA及びラップトップコンピュータの液晶ディスプレイのバックライトであり得る。適切な電源が与えられれば、室内照明器具は、本発明の装置を基部とし得る。照明装置の温覚(warmth)(すなわち、黄色/赤色色度の量)は、第2の光源からの光に対する本発明の蛍光体からの光の比率を選択することにより調整し得る。
【0045】
好適な半導体光源は、蛍光体を励起する光、又は順番に本発明の蛍光体を励起する蛍光体を励起する光をもたらす任意のものである。このような半導体光源は、例えば、Ga−N型半導体光源、In−Al−Ga−N型半導体光源等であり得る。一部の実施形態では、青色又は近UV発光半導体光源が使用される。
【0046】
少なくとも2つの異なる蛍光体が用いられた半導体光源は、蛍光体を別々に分散させ、蛍光体を一緒に1つのマトリックス中に分散させる代わりに、蛍光体層を重ね合わせるのに有用であり得る。このような積層は、複数の色変換プロセスによって最終光発光の色を得るために使用され得る。例えば、光発光プロセスは、第1の蛍光体による半導体光源の光発光の吸収、第1の蛍光体による光発光、第2の蛍光体による第1の蛍光体の光発光の吸収、及び第2の蛍光体による光発光である。
【0047】
図3は、半導体光源の例示的な層構造示す。青色半導体光は、基材Sb、例えばサファイア基材を含む。例えば、緩衝層B、n型接触層NCt、n型クラッド層NCd、多重量子井戸活性層MQW、p型クラッド層PCd、及びp型接触層PCtが、この順に、窒化物半導体層として形成されている。これらの層は、例えば、有機金属化学蒸着(MOCVD)によって基材Sb上に形成され得る。その後、光透過性電極LtEをp型接触層PCtの表面全体に形成し、p電極PElを光透過性電極LtE上の一部に形成し、n電極NElをn型接触層NCt上の一部に形成する。これらの層は、例えば、スパッタリング又は真空蒸着によって形成され得る。
【0048】
緩衝層Bは、例えば、AlNから成り、n型接触層NCtは、例えば、GaNから成り得る。
【0049】
n型クラッド層NCdは、例えば、AlGa1−rN(式中、0≦r<1)から成り、p型クラッド層PCdは、例えば、AlGa1−qN(式中、0<q<1)から成り、p型接触層PCtは、例えば、AlGa1−SN(式中、0≦s<1及びs<q)から成り得る。p型クラッド層PCdのバンドギャップはn型クラッド層NCdのバンドギャップより大きくなる。n型クラッド層NCd及びp型クラッド層PCdは、各々、単一組成の構成を有してもよく、又は、10nm(100オングストローム)以下の厚さを有し、組成が互いに異なる上記の窒化物半導体層が、超格子構造が提供されるように互いの上部に積層するような構成を有してもよい。層の厚さは、10nm(100オングストローム)以下である場合、層内での亀裂又は結晶欠陥の発生が抑制され得る。
【0050】
多重量子井戸活性層MQWは、複数のInGaN井戸層及び複数のGaNバリア層で構成され得る。井戸層及びバリア層は、超格子構造が構成されるように、10nm(100オングストローム)以下、好ましくは、6〜7nm(60〜70オングストローム)の厚さを有し得る。InGaNの結晶は、他のアルミニウム含有窒化物半導体(例えば、AlGaN等)よりも軟質であるため、活性層MQWを構成する層におけるInGaNの使用は、すべての積層窒化物半導体層が亀裂を起こしにくいという利点を提供し得る。多重量子井戸活性層MQWはまた、複数のInGaN井戸層及び複数のAlGaNバリア層で構成され得る。すなわち、多重量子井戸活性層MQWは、複数のAlInGaN井戸層及び複数のAlInGaNバリア層で構成され得る。この場合、バリア層のバンドギャップエネルギーは、井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きくなり得る。
【0051】
反射層を、多重量子井戸活性層MQWの基材Sb側、例えば、n型接触層NCtの緩衝層B側上に設けてもよい。また、反射層を、基材Sb上に積層された多重量子井戸活性層MQWから遠い基材Sbの表面上に設けてもよい。反射層は、活性層MQWから発する光に対して最大反射率を有し、例えば、アルミニウムから成るか、又は薄いGaN層の多層構造を有し得る。反射層を設けることにより、活性層MQWから発する光の反射層からの反射が可能になり、活性層MQWから発する光の内部吸収が低減され、上方への光出力の量が増加して、光源のマウント(mount)上への光の入射が低減され、劣化が抑制され得る。
【0052】
図1〜2に、一部の例示的なLED−蛍光体構造を示す。図1は、発光装置10を示し、これは、リード2によって電力供給されるLEDチップ1を有し、LEDチップと光出力6との間に固定される蛍光体含有物質4を有する。反射体4は、光出力を集光させる機能を果たし得る。透明なエンベロープ5は、LED及び蛍光体を環境から隔離及び/又はレンズを提供し得る。図2の照明装置20は、複数のLEDチップ11、リード12、補助リード12’、蛍光体含有物質14、及び透明なエンベロープ15を有する。
【0053】
半導体光源からの光が、蛍光体との相互作用によって管理されるように、蛍光体を半導体光源と関連付けるあらゆる数の方法が存在することは、当業者に理解されよう。米国特許出願公開第2004/0145289号及び同第2004/0145288号には、蛍光体が半導体光源の光出力から離れて配置される照明装置が示されている。さらに、米国特許出願公開第2004/01450307号及び同第2004/0159846には、これらに限定されないが、本発明において使用することができる照明装置が示されている。
【0054】
半導体光源を基部とする白色光装置は、例えば、オーディオシステム、家庭用電化製品、測定機器、医療器具等のディスプレイ部分に、所定のパターン又はグラフ設計図を表示するための自己発光型ディスプレイにおいて使用することができる。また、このような半導体光源を基部とする光装置は、例えば、LCDディスプレイ、プリンターヘッド、ファクシミリ、コピー機等のバックライトの光源として使用することができる。
【0055】
本発明の蛍光体と混合し得るさらなる蛍光体のうち、いくつかの有用であると考えられるものとしては、YAl12:Ce3+(YAG)、LuGa(A1O:Ce3+;LaIn(A1O:Ce3+;CaGa12:Ce3+;SrAl12:Tb3+;BaYSiA1O12:Ce3+;CaGa:Eu2+;SrCaSiO:Eu2+;ZnS:Cu,CaSiN:Eu2+;SrSiN:Eu2+;SrSiAl:Eu2+;BaMgSi:Eu2+;BaSiO:Eu2+;La.11AlMn2+;CaMg(SiOCl:Eu2+,Mn2+;(CaM)(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+,Tb3+,Yb3+;YBO:Ce3+:Tb3+;BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+;(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga):Eu2+;BaCaSi10:Eu2+;(SrBa)MgSi:Eu2+;(SrBa):Eu2+;(SrBa)Al1425:Eu2+;LaSi:Ce3+;(BaSr)MgAl1017:Eu2+;及びCaMgSi:Eu2+が挙げられる。
【0056】
大量の気相を伴うプロセスに関して本明細書に記載の温度は、問題になっている炉又は他の反応容器のものであって、反応体自体のものではない。
【0057】
「白色」光は、本技術分野で既知であり、十分に公開された或る一定の色度値の光である。
【0058】
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0059】
(調整剤を用いない蛍光体形成)
蛍光体形成プロセスの1つの例示的な工程は以下の通りであった。
1.Eu+/Sr+溶液の調製:1.408グラムのEuを200mLの希硝酸中に溶解した。その溶液に28.34グラムのSrCOを徐々に添加した。硝酸は必要に応じて添加した。0.6mLの0.01M Pr11溶液をこの系に添加した。脱イオン水を300mLになるまで添加した。
2.硫酸塩溶液の調製:60グラムの(NHSOを300mLの溶液にするため、270mLの脱イオン水中に溶解した。
3.SrSO微粉の析出:工程2で調製した硫酸塩溶液を、工程1の溶液に10分間に亘って撹拌しながら添加してSrSO微粉を形成した。pHは2.2に調整した。
4.Ga溶液の調製:28.72グラムのガリウム金属を200mLの濃硝酸中に溶解した。溶液は硝酸が蒸気を発生する(及び、調製物が茶色がかる)まで加温した。溶液を室温まで冷却し、一晩放置した。この一晩の放置後、溶液は透明な緑色となった。溶液を、黄色になり次に透明になるまで加熱した。脱イオン水を、500mL溶液を作るために添加した。pHを、水酸化アンモニウム(約40mL)を用いて2.02にし、その後、600mLになるまで脱イオン水を添加した。
5.Ga(OH)の析出:工程4で調製したGa溶液を工程3からの懸濁液に添加し、pHを7.0に調整した。懸濁液を17時間室温で撹拌し、次に、2時間放置した。白色微粉からなる生成物を濾過した。
6.粉末をアセトンで洗い流し、次いで、粉末を回収するためのもう1回の濾過の前に1,400mLのアセトンを用いて1時間にわたって50℃で撹拌した。粉末を乾燥した。
7.粉末を5時間ボールミルで微粉砕し、濾過し、一晩かけて乾燥した。
8.粉末をHSガス中で5時間にわたって800℃で焼成した。室温まで冷却した後、粉末を40分間微粉砕した(又はボールミル粉砕でもよい)。
9.蛍光体をHSガス中で2時間にわたって900℃で再度焼成した。
【0060】
このサンプルのX線粉末回折データは、一方がSrGaであり、他方がGaである2つの結晶相の共存を示した。堀場製作所製のCAPA−700粒度分布測定装置で測定されたメジアン径は4.66μmであり、粒径は1〜8.5μmの間であった。量子効率は450nm励起である537nmの発光バンドを使用して、89%であることが測定された。
【実施例2】
【0061】
(有機調整剤を用いた蛍光体形成)
蛍光体形成プロセスの1つの例示的な工程は以下の通りであった。
1.Eu+/Sr+溶液の調製:2.815グラムのEuを400mLの希硝酸中に溶解した。56.69グラムのSrCOをその溶液にゆっくり添加した。追加の硝酸は必要に応じて添加した。1.2mLの0.01M Pr11溶液をこの系に添加した。脱イオン水を600mLの溶液となるまで添加した。次に、600mLのエチルアルコールを1,200mLになるまで添加した。
2.硫酸溶液の調製:50mLの97%濃硫酸を300mLの脱イオン水で希釈した。
3.SrSO微粉の析出:工程2で調製した硫酸溶液を、工程1で調製したEu+/Sr+溶液に10分間撹拌しながら添加し、SrSO微粉を生成した。pHを1.3に調整した。
4.Ga溶液の調製:57.17グラムのガリウム金属を400mLの濃硝酸中に溶解した。溶液を硝酸が発煙する(茶色がかる)まで加温した。溶液を室温まで冷却し、一晩放置された後、溶液は透明な緑色となった。溶液は、黄色になり次に透明になるまで、加熱した。脱イオン水を1,000mL溶液になるまで添加した。pHを、水酸化アンモニウム(約80mL)を用いて1.2に調整し、その後、脱イオン水を1,200mLになるまで添加した。
5.工程4で調製しGa溶液を、工程3で得られた懸濁液に強力に撹拌しながら添加した。エチルアルコールを3.4Lの総体積になるまで懸濁液に添加した。pHを7.0に調整した。懸濁液を2時間撹拌し、その後、一晩放置した。上澄みをデカントし、粉末を濾過した。粉末をアセトンで数回洗浄した。粉末を55℃で一晩かけて乾燥した。
6.粉末を5時間にわたってアルミナボールを用いてアセトン中でボールミル粉砕し、次に濾過し、一晩かけて乾燥した。
7.粉末をHSガス中で5時間にわたって800℃で、前駆物質として焼成した。焼成した蛍光体生成物を粉砕した。
8.蛍光体をHSガス中で1時間にわたって900℃で再焼成した。
【0062】
この蛍光体サンプルのX線粉末回折データは、一方がSrGaであり、他方がGaである2つの結晶相の共存を示した。堀場製作所製のCAPA−700粒度分布測定装置で測定した粒径は1〜7μmの間であり、平均サイズは3.40μmであった。量子効率は450nm励起による537nmの発光バンドを使用して、90%であった。
【実施例3】
【0063】
(界面活性調整剤あり)
蛍光体形成プロセスの1つの例示的な工程は以下の通りであった。
1.Eu+/Sr+溶液の調製:2.815グラムのEuを400mLの希硝酸中に溶解した。56.69グラムのSrCOをその溶液にゆっくり添加した。追加の硝酸を必要に応じて添加した。1.2mLの0.01M Pr11溶液をこの系に添加した。脱イオン水を600mLになるまで添加した。SrCO重量(1.4mL)の2重量%のソルビタンモノラウレートを添加した。次に、600エチルアルコールを1,200mLになるまで添加した。
2.硫酸塩溶液の調製:120グラムの(NHSOを600mL溶液とするため540mLの脱イオン水中に溶解した。
3.SrSO微粉の析出:工程2で調製した硫酸塩溶液を、工程1の溶液に10分間撹拌しながら添加してSrSO微粉が形成した。pHは1.75に調整した。
4.Ga溶液の調製:57.54グラムのガリウム金属を400mLの濃硝酸中に溶解した。溶液を硝酸が発煙する(茶色がかる)まで加温した。溶液を室温まで冷却し、一晩放置した。この放置後、溶液は透明な緑色となった。溶液を、黄色になり次に透明になるまで加熱した。脱イオン水を1,000mLになるまで添加した。pHは、水酸化アンモニウム(約80mL)を用いて2.02に調整した。その後、脱イオン水を1,200mLになるまで添加した。
5.Ga(OH)の析出:工程4で調製したGa溶液を、工程3からの懸濁液に添加し、pHを7.0に調整した。懸濁液を2時間室温で攪拌し、次いで15時間放置した。白色微粉を濾過によって回収した。
6.粉末をアセトンで洗い、濾過し、1,400mLのアセトンと共に1時間にわたって50℃で混合し、再度濾過した。粉末を乾燥した。
7.粉末を12時間ボールミルで微粉砕した。
8.粉末をHSガス中で5時間にわたって800℃で焼成した。室温まで冷却した後、粉末を40分間微粉砕した(又はボールミル粉砕でもよい)。
9.蛍光体をHSガス中で2時間にわたって900℃で再度焼成した。
【0064】
この蛍光体サンプルのX線粉末回折データは、一方がSrGaであり、他方がGaである2つの結晶相の共存を示した。堀場製作所製のCAPA−700粒度分布測定装置で測定した粒径は1〜12μmの間であり、平均サイズは6.8μmであった。量子効率は、450nm励起による537nmの発光バンドを使用して88%であることが測定された。
【実施例4】
【0065】
(分粒)
分粒プロセスの1つの例示的な工程は以下の通りであった。
1.STG蛍光体のエチルアルコール懸濁液の調製:135グラムのSTG蛍光体粉末を450mLのエチルアルコール中に懸濁した。粉末の粒径は1〜14μmの範囲内であり、平均が7.6μm(ミクロン)であった。
2.懸濁液を12分間超音波処理した。
3.懸濁液を30分間静置した。粉末の一部分は沈殿したが、粉末の別の部分は懸濁状態のままであった。
4.懸濁液を別の容器へ移し、沈殿した部分は粒径の大きい部分として分離した。
5.中間粒径の部分(第2の沈殿部分)及び最も粒径の小さい部分(第2の上澄み)を得るため工程3及び工程4を繰り返した。
【0066】
3種のサンプルの粒径を堀場製作所製のCAPA−700粒度分布測定装置で測定した。大粒径部分は、平均粒径7.74μm、84グラム、量子効率91%であり、中間粒径部分は、4.58μm、量子効率87%であり、小粒径部分は、2.67μm、量子効率92%であった。
【実施例5】
【0067】
(焼成後のボールミル粉砕)
平均粒径が10.5μmである一定量のSTG蛍光体をアセトン中に懸濁する。懸濁液を、次に0.635cm(1/4インチ)ガラス玉を収容するアルミナ製ミリングジャーに入れた。次いで粉砕を40分間続けた。粉砕後、粉末を55℃で乾燥した。粒径は7.2μm(平均)であることが測定された。粉体化されたサンプルの量子効率は39%であり、一方、粉体化されていないサンプルの量子効率は91%であった。粉体化された蛍光体の500℃で2時間のアニーリングは、部分的に発光効率を45%まで回復させた。
【実施例6】
【0068】
(パートA. 硫酸カルシウムの調製)
炭酸カルシウム(300グラム)を水と攪拌し、硝酸を添加して炭酸塩を溶解した。わずかに過剰な炭酸カルシウムを添加し、5以上のpHを有する溶液を得た。得られた硝酸カルシウム溶液は、外観が乳状であった。
【0069】
1.5グラムのマグネシウム金属片を希硝酸で洗浄し、すすぎ処理し、硝酸カルシウム溶液に添加し、金属不純物を除去した。この混合物を攪拌しながら、約85℃まで加熱し、冷却した。攪拌は一晩継続してもよい。この溶液を透明になるまで濾過した。
【0070】
180mLの硫酸を、この硝酸塩溶液にゆっくりと添加し、硫酸カルシウム塩の沈殿中、攪拌した。混合物を2時間(これは、より長時間でもよい)、約60℃の温度で攪拌した。
【0071】
この液をデカントし、固形物を、これが酸無含有となるまで水でリンス処理した。最後にメタノールでリンス処理すると固形物の乾燥が補助され、これは、100℃の炉内で一晩行なわれた。
【0072】
(パートB. ストロンチウム−カルシウム硫化物蛍光体の調製)
等モル量(4.76mol)のパートAで調製した硫酸カルシウム及び硫酸ストロンチウムを、希硝酸に溶解してスラリー状にした酸化ユーロピウムと合わせた。得られた固形物を粉砕し、一晩オーブン乾燥し、乳鉢及び乳棒で粉砕した。
【0073】
合わせた塩を、石英ボート内でN/H(フォーミングガス)中で焼成し(温度は、15度/分の速度で約600℃まで上昇)、約3時間保持した。温度を同じ速度で900℃まで上げ、約3時間保持した。次いで、固形物を乳鉢及び乳棒で粉砕した。
【0074】
温度を約20℃/分の速度で、硫化水素雰囲気中、1,000℃まで上昇させ、6時間保持した。次いで、固形物を乳鉢及び乳棒で粉砕した。
【0075】
ハロゲン化物ドーパント(例えば、塩化アンモニウム)を添加し、石英管内で焼成し、U字型石英管内に入れ、温度を1,100℃まで、約1時間、窒素中にて20度/分の速度で上昇させた。固形物を乳鉢及び乳棒で粉砕し、100メッシュスクリーンにより分級し、乾燥条件下で保存した。
【0076】
得られた蛍光体はオレンジ色であり、約4.3〜4.8g/mlの粉体密度、x=0.600±0.025及びy=0.350±0.025の波長可変(tunable)CIE色度座標、>80%の波長可変外部量子効率、約635〜645波長可変発光ピーク(広帯域)、68nmの半分の高さの帯域幅及び475nmの励起ピークを有した。
【0077】
US2003/0132433の図1は、蛍光体の発光強度対波長のグラフである。「A」で標示した励起スペクトルを左側に示す。ストロンチウム:カルシウム比が約10の比から0.1に変化するにつれて、発光の色が黄色から深い赤色に変化する。カルシウム含量が増加するにつれて、励起スペクトルは、その最大位置が長波長側に変化する。
【0078】
図1(US2003/0132433)の右側に示されている発光スペクトルは、カルシウム含量が増加するにつれて、ピークが618nmから655nmにシフトしている。「1」で標示したピークは、0.8:0.2のSr:Ca比を有する蛍光体である。
【0079】
「2」で標示したピークは0.75:0.25のSr:Ca比を有する蛍光体である。
【0080】
「3」で標示したピークは0.50:0.50のSr:Ca比を有する蛍光体である。
【0081】
「4」で標示したピークは0.25:0.75のSr:Ca比を有する蛍光体である。
【0082】
「5」で標示したピークは0.20:0.80のSr:Ca比を有する蛍光体である。
【実施例7】
【0083】
実施例6の手順に従って、式Sr0.75Ca0.25:Eu0.075Clを有する蛍光体を作製した。
【0084】
塩化物含量を変化させ、その効果を図2(US2003/0132433)に示す。図2(US2003/0132433)は、発光強度対この蛍光体の波長のグラフである。「1」で標示したスペクトル曲線は、1.5%の塩化物含量を有する蛍光体のものである。「2」で標示したスペクトル曲線は、0.5%の塩化物含量を有する蛍光体のものである。「3」で標示したスペクトル曲線は、塩化物を有しない蛍光体のものである。塩化物含量が減少するにつれて、発光強度は低下することがわかる。
【0085】
本明細書において引用した各刊行物及び参考文献(特許及び特許出願を含むがそれらに限定されない)は、個々の刊行物又は参考文献のそれぞれが完全に列挙されたものとして本明細書に参照として援用されることが具体的且つ個別に示される場合と同様に、引用された部分の全体がそのまま参照として本明細書に援用される。本出願が優先権を主張するあらゆる特許出願も、刊行物及び参考文献に関して既に説明したように、同様に参照として本明細書に援用される。
【0086】
本発明は好ましい実施形態に重点を置いて記載されているが、当業者に明らかであるように、好ましい装置及び方法の変形形態が使用されてもよく、本明細書に特に記載されていなければその本発明が実施されることが意図されている。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定された発明の精神及び範囲に含まれるすべての変更形態を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】発光装置を示す図である。
【図2】発光装置を示す図である。
【図3】近UV発光半導体光源の例示的な層構造を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
Sr1−x3Gax3Ga:Eu:xGa (I)
(式中、xは0〜約0.2(又は約0.0001〜約0.2)であり、x3は0.0001〜1である)を有する蛍光体であって、ユーロピウム成分の微小量が、効率を高めるのに有効な量のプラセオジムで置換されていることを特徴とする蛍光体。
【請求項2】
492nm〜560nmの波長を有する発光ピークを伴って発光する請求項1に記載の蛍光体。
【請求項3】
光出力を発生する光源;及び
前記光出力の少なくとも一部をより長波長に変換するよう配置された請求項1に記載の蛍光体を有することを特徴とする発光装置。
【請求項4】
前記光源が、215nm〜515nmの範囲内の光を発するLEDである請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光出力の少なくとも一部をより長波長に変換するように配置された1つ以上のさらなる蛍光体を有している請求項3に記載の発光装置。
【請求項6】
前記蛍光体が、前記装置の総光出力が白色色度を有するように前記光出力を充分に変換するように選択されたものである請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記蛍光体組成物のメジアン粒径が2〜4.5μmである請求項1に記載の粒子組成物。
【請求項8】
前記蛍光体が、492nm〜560nmの波長を有する発光ピークを伴って発光する請求項7に記載の蛍光体。
【請求項9】
前記蛍光体組成物の量子効率が85%以上である請求項7に記載の粒子組成物。
【請求項10】
光出力を有する発光装置であって、
光源;及び
前記光出力の少なくとも一部をより長波長に変換するように配置された請求項9に記載の蛍光体を有することを特徴とする発光装置。
【請求項11】
第1の発光エネルギーを有する蛍光体及びより低い発光エネルギーを有する第2の蛍光体を含む2種以上の蛍光体の混合物であって、式:
Sr1−x3Cax3Ga:Eu:xGa (I)
(式中、xは0〜約0.2であり、x3は0.0001〜1である)を有し、ユーロピウム成分の微小量が、効率を高めるのに有効な量のプラセオジムで置換されている第1の蛍光体;及び式:
Srx2Ca1−x2S:Eu2+,Y (II)
(式中、x2は0〜1.0の数であり、Yは、原子形態又はイオン形態の1種以上のハロゲン化物である)を有する第2の蛍光体を含むことを特徴とする蛍光体混合物。
【請求項12】
xが約0.0001〜約0.2である請求項11に記載の蛍光体混合物。
【請求項13】
前記式Iの蛍光体のメジアン粒径が2〜4.5μmである請求項11に記載の蛍光体混合物。
【請求項14】
前記第1の蛍光体が、492nm〜560nmの波長を有する発光ピークを伴って発光する請求項11に記載の蛍光体混合物。
【請求項15】
前記第2の蛍光体が、605nm〜650nmの波長を有する発光ピークを伴って発光する請求項14に記載の蛍光体混合物。
【請求項16】
前記第2の蛍光体が、605nm〜650nmの波長を有する発光ピークを伴って発光する請求項11に記載の蛍光体混合物。
【請求項17】
x2が0.3〜0.8の数である請求項11に記載の蛍光体混合物。
【請求項18】
光出力を発生する光源;及び
前記光出力の少なくとも一部をより長波長に変換するように配置された請求項11に記載の蛍光体混合物を有することを特徴とする発光装置。
【請求項19】
前記光出力の少なくとも一部をより長波長に変換するように配置される1つ又は複数のさらなる蛍光体をさらに備える、請求項18に記載の発光装置。
【請求項20】
前記蛍光体が、前記装置の総光出力が白色色度を有するように光出力を充分に変換するように選択されたものである請求項18に記載の発光装置。
【請求項21】
前記第2の蛍光体が、光出力を変換して605nm〜660nmの波長を有する光を増加させるのに効果的なものである請求項18に記載の発光装置。
【請求項22】
前記第1の蛍光体が、光出力を変換して492nm〜560nmの波長を有する光を増加させるのに効果的なものである請求項18に記載の発光装置。
【請求項23】
第3の蛍光体であって、光出力を変換して530nm〜610nmの波長を有する光を増加させるのに効果的なものである第3の蛍光体をさらに含む請求項18に記載の発光装置。
【請求項24】
前記光源が215nm〜515nmの範囲内の光を発するLEDである請求項18に記載の発光装置。
【請求項25】
式:
Sr1−x3Gax3Ga:Eu:xGa (I)
(式中、xは0〜約0.2であり、x3は0.0001〜1である)有する蛍光体であって、ユーロピウム成分の微小量が、効率を高めるのに有効な量のプラセオジムで置換されていることができ、該蛍光体組成物のメジアン粒径が2〜12μmである蛍光体の製造方法であって、
該製造方法の製造物中に所望の平均粒径を実現するため適切であるとして選択された条件下でSrSO/CaSO及びEu(OH)を析出させること;
該第1の析出工程の製造物と共にGa(OH)を析出させること;
該第2の析出工程の生成物又はその後に繰り返されるこの工程の製造物を粉砕するサブ工程、及び粉砕された製造物を硫化水素中で焼成するサブ工程の2つのサブ工程を少なくとも1回実行すること;
少なくとも1回、該焼成された製造物をそれが溶けない溶媒中で懸濁させ、該焼成された製造物の一部分を、その第2の部分を懸濁させたまま、沈殿させるための時間を設けること;及び
懸濁された部分又は沈殿された部分の1つ以上の部分中の蛍光体を回収することを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−506011(P2008−506011A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520406(P2007−520406)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/023537
【国際公開番号】WO2006/005005
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(599134012)サーノフ コーポレーション (59)
【Fターム(参考)】