動き監視システム
【課題】監視エリアが広範囲、対象物が複数になると比較対象となるデータ量が増加する。
【解決手段】監視対象1に取り付けた無線IDタグ5は一定時間毎にパイロット信号を送信する。監視エリアに亘りメッシュ状に配置センサメッシュネットワーク2を構成するセンサノード2aは、パイロット信号を受信して受信レベルおよびID情報を自己のIPアドレスと共に送信する。集中管理装置3は、各センサノード2aから送信されてくる情報を処理して監視対象1の位置を測定する。そして、集中管理装置3は、センサノード2aにおける送受信を停止させるためのスリープモードと、センサノードにおける送受信を機能させるための測定モードを受信レベルに応じて各センサノード2aに設定する。
【解決手段】監視対象1に取り付けた無線IDタグ5は一定時間毎にパイロット信号を送信する。監視エリアに亘りメッシュ状に配置センサメッシュネットワーク2を構成するセンサノード2aは、パイロット信号を受信して受信レベルおよびID情報を自己のIPアドレスと共に送信する。集中管理装置3は、各センサノード2aから送信されてくる情報を処理して監視対象1の位置を測定する。そして、集中管理装置3は、センサノード2aにおける送受信を停止させるためのスリープモードと、センサノードにおける送受信を機能させるための測定モードを受信レベルに応じて各センサノード2aに設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人等の動きを監視する監視システム、特に、監視対象が発する電波をセンサメッシュネットワークでキャッチし、これに基づいて監視対象の動きを監視する動き監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
目の離せない幼児、アクシデントに遭遇しかねない通学学童、行方不明の惧れがある動物、更には金庫といった監視対象の動きを監視する直接的な方法は、監視対象をカメラで撮影し続けることであろう。しかし、この方法では、監視は視覚情報に頼らざるを得ず、また、得られる情報が画像情報であることから、情報の正確性やデータ量またはデータ保存が問題となる。
【0003】
こうした問題の解決を図るべく、監視対象に無線タグを取り付け、無線タグが放射する電波の強度を読み取るためのアクセスポイントを監視エリアに複数個設置して、監視エリア内の監視対象の移動を三角測量方式により監視するシステムが提案されている。この監視システムは、監視対象が発する電波の強度を3つのアクセスポイントで比較することで、監視対象の位置を精度良く推定することを可能とするものである。
【0004】
しかしながらこの方法では、三角測定を基準にしているため、比較対象となるデータ量が多くなる、という問題点がある。従って、監視エリアが広範囲であったり、監視対象が複数の場合は、この方式では位置を特定するために計算に関わる装置の処理速度や容量などに高レベルのものが要求されることになり、簡易性に欠けることとなってしまう。また、監視エリアに設置するアクセスポイントの数が多くなると、位置を特定するために行われる計算に時間がかかり、システムの消費電力も大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−266859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、監視エリアが広範囲であったり監視対象が複数の場合に監視対象の位置を精度良く推定するためには、処理に関わる装置の処理速度や容量などに高レベルのものが要求されるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、監視対象が発する電波の受信レベルに応じてセンサノードの動作モードをスリープモードと測定モードに切り替えることを最も主要な特徴とする。
【0008】
即ち、本発明の動き監視システムは、監視対象に装着され一定時間毎に該監視対象のID情報を含んだパイロット信号を送信するセンサノード用信号発生装置と、パイロット信号を受信して受信レベルおよびID情報を自己のIPアドレスと共に送信するためのセンサノードを監視対象の監視エリアに亘りメッシュ状に配置したセンサメッシュネットワークと、センサメッシュネットワークとネットワークで接続され各センサノードから送信されてくる情報を処理して監視対象の位置を測定する集中管理装置を有し、該集中管理装置は、センサノードにおける送受信を停止させるためのスリープモードと、センサノードにおける送受信を機能させるための測定モードを各センサノードに設定できる。
【0009】
そして、各センサノードから送信されてくる受信レベルが所定の閾値を超えれば当該センサノードを測定モード、所定の閾値以下ならスリープモードに設定する。このとき、測定モードに設定されたセンサノードの受信レベルが閾値より高い第2の閾値を超えると、当該センサノードの周囲のセンサノードを測定モードに設定するようにしてもよい。更に、周囲は所定の閾値から第2の閾値に到る受信レベルの傾斜が緩ければ狭く、急ならば広く設定するようにしてもよい。更に、スリープモードに設定されたセンサノードの周囲に第2の閾値を超えるセンサノードが存在するときは当該センサノードを測定モードに設定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、監視対象が発する電波をセンサメッシュネットワークでキャッチし、これに基づいて監視対象の動きを監視する動き監視システムにおいて、電波の受信レベルに応じてセンサノードの動作モードをスリープモードと測定モードに切り替えることにより、監視エリアが広かったり監視対象の数が多くても、扱う情報量を軽減できるので、処理に要する時間と消費電力を軽減できるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の動き監視システムの実施例1を示す全体構成図である。
【図2】本発明における受信レベルテーブルを例示する図である。
【図3】本発明における履歴情報を例示する図である。
【図4】本発明における間取りGUIを示す模式図である。
【図5】本発明におけるパイロット信号を示す模式図である。
【図6】センサノードから集中管理装置に送信されるデータ構造を示す図である。
【図7】センサノードのモード設定の流れを説明するフローチャートである。
【図8】受信レベルの時間的な変化と動作モードの関係の例示する図である。
【図9】作成された情報をユーザに表示する流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の動き監視システムの実施例2を示す全体構成図である。
【図11】本発明の動き監視システムの実施例3を示す全体構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の動き監視システムは、監視対象が発する電波を受信するセンサノードが任意に配置されたセンサメッシュネットワークにより、監視対象の存在する場所を感知して、集中管理装置に送り、集中管理装置でその情報を処理して、ユーザ操作によりディスプレイに表示させたり、またはネットワークを介してユーザ端末に表示させたりする。そして、電波の受信レベルに応じてセンサノードの動作モードをスリープモードと測定モードに切り替えることにより、処理に要する消費電力および扱う情報量の軽減を可能とするものである。
【実施例1】
【0013】
[構成の説明]
以下、本発明の実施例1について図面を参照して詳細に説明する。図において、共通の要素には同一の符号を用いることとする。
【0014】
図1は、本発明の動き監視システムの実施例1を示す全体構成図である。この動き監視システムは、監視対象1に装着され電波を放射するセンサノード用信号発生装置5と、電波の受信につきスリープモードと測定モードのモード設定が可能なセンサノード2aをメッシュ状に配置したセンサメッシュネットワーク2と、これらを制御する集中管理装置3を有し、ユーザはディスプレイまたはネットワークを介して外部端末4から集中管理装置3のデータにアクセスし、監視対象1の位置に関する情報を確認することができる。ネットワークはインターネットであってもよい。
【0015】
集中管理装置3は、測定モードのセンサノード2aでのみ測定された受信レベルを比較し、センサノード用信号発生装置5に割り振られた識別IDとセンサノード2aのIPアドレスから監視対象1の位置を推定する。このため、受信レベルの比較対象数が少なくて済み、計算工程およびデータ量の軽減が可能であり、システムの消費電力も軽減できる。そして、センサノード2aにおけるスリープモードと測定モードは、電波の受信レベルに応じて切り替えられる。
【0016】
監視対象1は、目の離せない幼児、アクシデントに遭遇しかねない通学学童、行方不明の惧れがあるペットや飼育動物、更には金庫等であって、センサノード用信号発生装置5が取り付けられている。センサノード用信号発生装置5は、例えば無線IDタグであり、以下、簡単に無線IDタグ5と記すこととする。無線IDタグ5は、監視対象1固有のID情報を有し、ID情報を含んだパイロット信号を一定時間毎に送信する。
【0017】
センサメッシュネットワーク2は、監視対象1の移動範囲(監視エリア)、例えば、幼児や金庫であれば部屋単位、学童であれば通学路、ペットであれば敷地内、放牧動物であれば牧場をカバーするように配置されよう。また、センサメッシュネットワーク2は、複数のセンサノード2aをメッシュ状に配置したものである。これにより、センサメッシュネットワーク2上の一部のポイントで故障などの通信障害が発生しても、障害箇所を迂回しての通信が可能である。
【0018】
センサノード2aは、極小型の送受信機であって、固有のIPアドレスが設定されており、無線IDタグ5が送信するパイロット信号を受信すると、ID情報と共にその受信レベルとIPアドレス情報を集中管理装置3に送信する。また、他のセンサノード2aからのパイロット信号を受信し、それを送信することができる。なお、センサノード2aの個数や配置間隔は、監視エリアの広さ、監視対象1の位置検出精度、電波強度およびコストのトレードオフにより定められる。
【0019】
センサメッシュネットワーク2と集中管理装置3とはIPネットワークを介して相互接続されている。センサノード2aには、集中管理装置3に設定した閾値に応じて、スリープモードと測定モードの設定が行われる。スリープモードでは、無線IDタグ5からのパイロット信号の受信および集中管理装置3への送信を行わず、測定モードでは無線IDタグ5からのパイロット信号の受信および集中管理装置3への情報送信を行う。この2種類のモード設定により、システムの消費電力および扱う情報量の軽減が可能となる。
【0020】
集中管理装置3は、センサノード2aから受信した受信レベル、IPアドレスおよびID情報を元に、監視対象1の位置情報のユーザへの提供、およびセンサノード2aのモード設定を行う。集中管理装置3は、計算および抽出処理を行う制御部3a、データ格納を行うデータベース部3b、外部ポート部3cおよびディスプレイ3dから構成され、外部ポート部3cを介して既存のネットワークないしインターネット網へも接続することができる。
【0021】
集中管理装置3は、センサノード2aからの情報を受信すると、受信レベルとセンサノード2aのIPアドレスと無線IDタグ5のID情報をデータベース部3bのテーブル上に時刻と共に保存する。また、集中管理装置3は、センサノード2aの配置情報を含んだ間取り、あるいは地図情報、およびスリープモードと測定モードとをセンサノード2aに指示するための受信レベルの閾値情報を有する。
【0022】
データベース部は、センサノード2aから受信した受信レベルとセンサノード2aのIPアドレスをID毎に作成される受信レベルテーブル(図2)と、受信レベルテーブルを元に制御部3aにて時間毎の受信レベルの最も高いセンサノード2aのIPアドレスを抽出した履歴情報(図3)と、センサノード2aの配置情報を含んだ間取り・地図情報(図4)とを有している。
【0023】
図4は間取り・地図情報の一例を示す間取りGUI7であり、センサノード2aが設置される部屋6の間取りをセンサメッシュネットワーク2と共に示している。これにより、各部屋6とセンサメッシュネットワーク2との関係が視覚的に認識できる。この間取りGUI7はディスプレイ3dに表示するか、またはユーザが外部端末4を操作し、ネットワークを介して外部ポート部3cからアクセスすることにより外部端末4に表示することも可能である。
【0024】
制御部3aは、受信レベルテーブルにおける受信レベルと閾値との比較およびセンサノード2aへのモード設定、受信レベルテーブルを抽出処理しての履歴情報の作成、無線IDタグ5の位置に関する情報の地図情報への紐付け、ユーザに対する表示画面の作成を行う。
【0025】
外部ポート部3cは、ディスプレイ3dへの情報の表示またはネットワークとの接続を行う。これにより、ユーザは制御部3aで作成された監視対象1の位置に関する情報をディスプレイ3dで確認するか、または外部端末4からネットワークを介して集中管理装置3にアクセスして確認することが可能である。
【0026】
集中管理装置3には、受信レベルの低いものと高いものの2種類の閾値が設定される。システム起動時の初期状態においては、全てのセンサノード2aは測定モードに設定され、全てのセンサノード2aから集中管理装置3に受信レベルが送信される。集中管理装置3の制御部3aでは、上記2種類の閾値のうち、低い方の閾値と、全てのセンサノード2aから受信した受信レベルとを比較し、受信レベルが閾値を下回る場合には、該当するセンサノード2aをスリープモードに設定し、受信レベルが閾値を上回る場合には、該当するセンサノード2aを測定モードに設定する。
【0027】
測定モードとなったセンサノード2aは、無線IDタグ5から受信するパイロット信号の受信レベルと、ID情報を集中管理装置3に送信し、集中管理装置3の制御部3aは、これら測定モードのセンサノード2aから受信する情報を元に、測定結果を表す受信レベルテーブルと、時間毎の受信レベルの最も高いセンサノードのIPアドレスを抽出した履歴情報を作成し、データベース部3bに保管する。
【0028】
制御部3aでは、受信レベルテーブルと閾値の高い方とを比較し、受信レベルが高い方の閾値を上回る場合、該当するセンサノード2aの周囲にあるスリープモードのセンサノード2aを測定モードに設定変更する。測定モードに設定されたセンサノード2aから送信される受信レベルが閾値の低い方を下回る場合は、該当するセンサノード2aをスリープモードに設定する。
【0029】
これらスリープモードと測定モードの切替を行うことにより、システムの消費電力を下げることが可能であり、また、集中管理装置3では測定モードのセンサノード2aから送信されてくる情報だけを収集・処理することになるため、扱う情報量の軽減化が可能となる。
【0030】
[動作の説明]
(1)集中管理装置への受信レベル情報の伝達
監視対象1に取り付けられた無線IDタグ5は、図5に示すように、ID情報を含んだパイロット信号を定期的に発信している。センサノード2aは、図6に示すように、無線IDタグ5から受信したパイロット信号の受信レベルとID情報に、自身のIPアドレスを追加して、センサメッシュネットワーク2を通じて集中管理装置3へ送信する。
【0031】
集中管理装置3では、図2に示したように、センサノード2aから受信した情報を無線IDタグ5のID毎に作成する受信レベルテーブルとしてデータベース部3bに格納する。格納された受信レベルテーブルから履歴情報を作成する流れに関しては後述する。
【0032】
データベース部3bに保存された履歴情報は、ユーザからの要求がある場合、制御部3aで間取りGUI情報へのプロットを行うために使用され、外部ポート3cを通じて集中管理装置3のディスプレイ3d、もしくはネットワークを経由して携帯電話やPDAなどの外部端末4に表示させることが可能である。
(2)センサノードのモード設定の流れ
集中管理装置3は、無線IDタグ5からセンサノード2aが受信するパイロット信号の受信レベルに応じて、スリープモードと測定モードの設定変更を行う。モードの変更は、集中管理装置3に設定された2種類の閾値に基づき、閾値を上回るか下回るかにより行われる。
【0033】
スリープモードでは、無線IDタグ5からのパイロット信号の受信および集中管理装置3への情報送信を行わず、測定モードでは無線IDタグ5からのパイロット信号の受信および集中管理装置3への情報送信を行う。
【0034】
図7は、センサノード2aのモード切替のフローチャートを示している。また、図8は、センサノード2aにおける受信レベルの時間的な変化と動作モードの関係の例示している。閾値は、図8に示すように、低い値と高い値の2種類の値が設定されており、それぞれをTh1、Th2とする。
【0035】
先ず、システム起動時の初期状態では、集中管理装置3は全てのセンサノード2aを測定モードに設定し、センサノード2aからの情報を収集する(図7のステップS1)。集中管理装置3の制御部3aでは、収集した受信レベルが、閾値Th1を上回る場合には(ステップS2)、該当センサノード2aを測定モードに設定し(ステップS3)、閾値Th1を下回る場合には(ステップS2)、該当センサノード2aをスリープモードに設定する(ステップS5)。
【0036】
次に、測定モードに設定されたセンサノード2aは、無線IDタグ5から受信するパイロット信号の受信レベルとID情報とセンサノードの2aのIPアドレスを集中管理装置3へ送信する。集中管理装置3の制御部3aは、測定結果を表す受信レベルテーブルにおける受信レベルと閾値Th2とを比較し(ステップS4)、閾値Th2を上回る場合は、該当するセンサノード2aの周囲にあるスリープモードのセンサノード2aを測定モードに設定変更する(ステップS7)。一方、閾値Th2を上回っていない場合は、ステップS2へ戻って、再度、閾値Th1を上回っているかのチェックが行なわれる。
【0037】
閾値Th2を上回るということは、監視対象1が注目しているセンサノード2aに近づいてきている状態を示しているため、近接のスリープモードのセンサノード2aを測定モードに切り替えて、より多くのセンサノード2aから情報を収集するのである。ここで、センサノード2aの周囲とは、センサノード2aの近傍の周囲であって、図4の例では、監視対象1に最寄りのセンサノード2aを取り囲む8つのセンサノード2aを指す。しかし、監視対象1の急激(図8に示した曲線の傾斜が急峻)な接近によっては、近傍の周囲を拡大するようにしてもよい。
【0038】
一方、スリープモードに設定された(ステップS5)センサノード2aであっても、閾値Th2を上回るセンサノード2aが周囲にある場合には、そのセンサノード2aを測定モードに設定する(ステップS3)。これは、周囲のセンサノード2aの受信レベルが強まったことから、当該センサノード2aの受信レベルも強まるであろうことが予測できるので、情報収集の対象に加えるためである。
【0039】
このように、本発明は、センサノード2aの数が多くなっても、スリープモードと測定モードの切り替えにより集中管理装置3の負荷を軽減させることが可能であるため、適用できるシチュエーションは、一般家庭といった狭い範囲だけではなく、保育園、公園、通学路、牧場などの広範囲であっても差し支えない。
(3)データベースの更新処理
次に、集中管理装置3がセンサノード2aから受信した情報のデータベース部3bでの更新処理について説明する。図7に示した処理の結果、測定モードに設定されたセンサノード2aから送信されたパイロット信号の受信レベル情報、無線IDタグ5のID情報、センサノード2aのIPアドレスは、ID情報毎に集中管理装置3のデータベース部3bに保存される。
【0040】
図2においては、無線IDタグ5のID情報が(あ)から(う)の3種類存在していることを示しており、時刻13:00:00の場合、ID情報(あ)の無線IDタグ5に関しては、IPアドレスAのセンサノード2aでは受信レベルが5[dB]と測定され、IPアドレスBのセンサノード2aでは1[dB]、IPアドレスCのセンサノード2aでは2[dB]、そしてIPアドレスDのセンサノード2aでは3[dB]であることを示している。この結果から、無線IDタグ5のID情報(あ)が付けられた監視対象1は、受信レベルが最大であったセンサノードA付近に存在することが分かる。また同様に、次の時刻13:00:01では、監視対象1がセンサノードB付近に存在することが分かる。
【0041】
次に、制御部3aでは、上記受信レベルテーブルをもとに、時間毎に受信レベルの最も高いIPアドレスを抽出して履歴情報を作成する。図3は、作成された履歴情報の例を示している。この履歴情報は、図2に示した受信レベルテーブル例から作成されるものであり、例えば、ID情報(あ)の無線IDタグ5において、各時刻において受信レベルの最も高かったセンサノードのIPアドレスが抽出されている。この結果より、監視対象1がどのセンサノード2aの近くに移動したかの履歴を知ることができる。
(4)ユーザへの表示
次に、処理された情報がディスプレイ3dあるいは外部端末4に表示される流れを説明する。図9は、上記(3)の手順で作成された情報をユーザに表示する流れを示している。
【0042】
受信レベルテーブルが作成されると(図9のステップS8)、制御部3aによって時間毎に受信レベルの最も高いセンサノードのIPアドレスが抽出され、履歴情報が作成される(ステップS9)。外部ポート部3cを通してユーザからデータの要求があった場合には(ステップS10)、制御部3aは履歴情報と間取り情報と紐付けたGUI画面を作成して表示する(ステップS11)。ユーザからの要求が無い場合は、ステップS8の手順に戻る。
【0043】
ユーザに表示するGUI画面のイメージは図4に例示したとおりである。間取りGUI7はセンサノード2aが設置される部屋の間取りを示しており、各部屋6とセンサノード2aのメッシュネットワークを示している。制御部3aでは、ステップS9で作成された履歴情報(図3)を、この間取りGUI7上にプロットし、GUI画面上に監視対象1の移動履歴が表示される。
【実施例2】
【0044】
図10に示すように、集中管理装置3の外部ポート部3cに警告器3eを接続することで、履歴を確認するだけではなく、監視対象1がセンサメッシュネットワーク2から出ることを防ぐことも可能である。例えば、監視対象1が子供であるとすると、子供に無線IDタグ5を付けて、天井にセンサノード2aから構成されるセンサメッシュネットワーク2を構築する。子供がセンサメッシュネットワーク2外に出よう(監視エリアから出よう)とすると,警告器3eが音を出して親に知らせることが可能である。
【実施例3】
【0045】
また、図11に示すように、監視対象1の行動を抑制する抑制装置5aを監視対象1に取り付けることで、監視対象1の動きを抑制することも可能である。例えば、ペットがいる家庭では、家の中に檻などを置くと景観にも良くないし場所も取る。そこで、無線IDタグ5に行動を抑制するための抑制装置5aを付加し、行動させたい範囲を集中管理装置3側に設定しておく。
【0046】
集中管理装置3では、受信レベルの変化から、ペットが設定した範囲を出ようとしているかを判断して、抑制装置5aを作動させることで、ペットが範囲外に出ることを防ぐことができる。なお、このとき、集中管理装置3の間取り情報を利用して、監視対象1毎に異なる監視エリアの範囲を設定することも可能である。
【0047】
また、無線IDタグ5に周辺の他装置を起動する機能を付加することで、例えば、自動給餌や自動撮影などに応用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 監視対象
2 センサメッシュネットワーク
3 集中管理装置
4 外部端末
5 センサノード用信号発生装置(無線IDタグ)
6 部屋
7 間取りGUI
2a センサノード
3a 制御部
3b データベース部
3c 外部ポート部
3d ディスプレイ
3e 警告器
5a 抑制装置
Th1 閾値
Th2 閾値
【技術分野】
【0001】
本発明は、人等の動きを監視する監視システム、特に、監視対象が発する電波をセンサメッシュネットワークでキャッチし、これに基づいて監視対象の動きを監視する動き監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
目の離せない幼児、アクシデントに遭遇しかねない通学学童、行方不明の惧れがある動物、更には金庫といった監視対象の動きを監視する直接的な方法は、監視対象をカメラで撮影し続けることであろう。しかし、この方法では、監視は視覚情報に頼らざるを得ず、また、得られる情報が画像情報であることから、情報の正確性やデータ量またはデータ保存が問題となる。
【0003】
こうした問題の解決を図るべく、監視対象に無線タグを取り付け、無線タグが放射する電波の強度を読み取るためのアクセスポイントを監視エリアに複数個設置して、監視エリア内の監視対象の移動を三角測量方式により監視するシステムが提案されている。この監視システムは、監視対象が発する電波の強度を3つのアクセスポイントで比較することで、監視対象の位置を精度良く推定することを可能とするものである。
【0004】
しかしながらこの方法では、三角測定を基準にしているため、比較対象となるデータ量が多くなる、という問題点がある。従って、監視エリアが広範囲であったり、監視対象が複数の場合は、この方式では位置を特定するために計算に関わる装置の処理速度や容量などに高レベルのものが要求されることになり、簡易性に欠けることとなってしまう。また、監視エリアに設置するアクセスポイントの数が多くなると、位置を特定するために行われる計算に時間がかかり、システムの消費電力も大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−266859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、監視エリアが広範囲であったり監視対象が複数の場合に監視対象の位置を精度良く推定するためには、処理に関わる装置の処理速度や容量などに高レベルのものが要求されるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、監視対象が発する電波の受信レベルに応じてセンサノードの動作モードをスリープモードと測定モードに切り替えることを最も主要な特徴とする。
【0008】
即ち、本発明の動き監視システムは、監視対象に装着され一定時間毎に該監視対象のID情報を含んだパイロット信号を送信するセンサノード用信号発生装置と、パイロット信号を受信して受信レベルおよびID情報を自己のIPアドレスと共に送信するためのセンサノードを監視対象の監視エリアに亘りメッシュ状に配置したセンサメッシュネットワークと、センサメッシュネットワークとネットワークで接続され各センサノードから送信されてくる情報を処理して監視対象の位置を測定する集中管理装置を有し、該集中管理装置は、センサノードにおける送受信を停止させるためのスリープモードと、センサノードにおける送受信を機能させるための測定モードを各センサノードに設定できる。
【0009】
そして、各センサノードから送信されてくる受信レベルが所定の閾値を超えれば当該センサノードを測定モード、所定の閾値以下ならスリープモードに設定する。このとき、測定モードに設定されたセンサノードの受信レベルが閾値より高い第2の閾値を超えると、当該センサノードの周囲のセンサノードを測定モードに設定するようにしてもよい。更に、周囲は所定の閾値から第2の閾値に到る受信レベルの傾斜が緩ければ狭く、急ならば広く設定するようにしてもよい。更に、スリープモードに設定されたセンサノードの周囲に第2の閾値を超えるセンサノードが存在するときは当該センサノードを測定モードに設定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、監視対象が発する電波をセンサメッシュネットワークでキャッチし、これに基づいて監視対象の動きを監視する動き監視システムにおいて、電波の受信レベルに応じてセンサノードの動作モードをスリープモードと測定モードに切り替えることにより、監視エリアが広かったり監視対象の数が多くても、扱う情報量を軽減できるので、処理に要する時間と消費電力を軽減できるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の動き監視システムの実施例1を示す全体構成図である。
【図2】本発明における受信レベルテーブルを例示する図である。
【図3】本発明における履歴情報を例示する図である。
【図4】本発明における間取りGUIを示す模式図である。
【図5】本発明におけるパイロット信号を示す模式図である。
【図6】センサノードから集中管理装置に送信されるデータ構造を示す図である。
【図7】センサノードのモード設定の流れを説明するフローチャートである。
【図8】受信レベルの時間的な変化と動作モードの関係の例示する図である。
【図9】作成された情報をユーザに表示する流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の動き監視システムの実施例2を示す全体構成図である。
【図11】本発明の動き監視システムの実施例3を示す全体構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の動き監視システムは、監視対象が発する電波を受信するセンサノードが任意に配置されたセンサメッシュネットワークにより、監視対象の存在する場所を感知して、集中管理装置に送り、集中管理装置でその情報を処理して、ユーザ操作によりディスプレイに表示させたり、またはネットワークを介してユーザ端末に表示させたりする。そして、電波の受信レベルに応じてセンサノードの動作モードをスリープモードと測定モードに切り替えることにより、処理に要する消費電力および扱う情報量の軽減を可能とするものである。
【実施例1】
【0013】
[構成の説明]
以下、本発明の実施例1について図面を参照して詳細に説明する。図において、共通の要素には同一の符号を用いることとする。
【0014】
図1は、本発明の動き監視システムの実施例1を示す全体構成図である。この動き監視システムは、監視対象1に装着され電波を放射するセンサノード用信号発生装置5と、電波の受信につきスリープモードと測定モードのモード設定が可能なセンサノード2aをメッシュ状に配置したセンサメッシュネットワーク2と、これらを制御する集中管理装置3を有し、ユーザはディスプレイまたはネットワークを介して外部端末4から集中管理装置3のデータにアクセスし、監視対象1の位置に関する情報を確認することができる。ネットワークはインターネットであってもよい。
【0015】
集中管理装置3は、測定モードのセンサノード2aでのみ測定された受信レベルを比較し、センサノード用信号発生装置5に割り振られた識別IDとセンサノード2aのIPアドレスから監視対象1の位置を推定する。このため、受信レベルの比較対象数が少なくて済み、計算工程およびデータ量の軽減が可能であり、システムの消費電力も軽減できる。そして、センサノード2aにおけるスリープモードと測定モードは、電波の受信レベルに応じて切り替えられる。
【0016】
監視対象1は、目の離せない幼児、アクシデントに遭遇しかねない通学学童、行方不明の惧れがあるペットや飼育動物、更には金庫等であって、センサノード用信号発生装置5が取り付けられている。センサノード用信号発生装置5は、例えば無線IDタグであり、以下、簡単に無線IDタグ5と記すこととする。無線IDタグ5は、監視対象1固有のID情報を有し、ID情報を含んだパイロット信号を一定時間毎に送信する。
【0017】
センサメッシュネットワーク2は、監視対象1の移動範囲(監視エリア)、例えば、幼児や金庫であれば部屋単位、学童であれば通学路、ペットであれば敷地内、放牧動物であれば牧場をカバーするように配置されよう。また、センサメッシュネットワーク2は、複数のセンサノード2aをメッシュ状に配置したものである。これにより、センサメッシュネットワーク2上の一部のポイントで故障などの通信障害が発生しても、障害箇所を迂回しての通信が可能である。
【0018】
センサノード2aは、極小型の送受信機であって、固有のIPアドレスが設定されており、無線IDタグ5が送信するパイロット信号を受信すると、ID情報と共にその受信レベルとIPアドレス情報を集中管理装置3に送信する。また、他のセンサノード2aからのパイロット信号を受信し、それを送信することができる。なお、センサノード2aの個数や配置間隔は、監視エリアの広さ、監視対象1の位置検出精度、電波強度およびコストのトレードオフにより定められる。
【0019】
センサメッシュネットワーク2と集中管理装置3とはIPネットワークを介して相互接続されている。センサノード2aには、集中管理装置3に設定した閾値に応じて、スリープモードと測定モードの設定が行われる。スリープモードでは、無線IDタグ5からのパイロット信号の受信および集中管理装置3への送信を行わず、測定モードでは無線IDタグ5からのパイロット信号の受信および集中管理装置3への情報送信を行う。この2種類のモード設定により、システムの消費電力および扱う情報量の軽減が可能となる。
【0020】
集中管理装置3は、センサノード2aから受信した受信レベル、IPアドレスおよびID情報を元に、監視対象1の位置情報のユーザへの提供、およびセンサノード2aのモード設定を行う。集中管理装置3は、計算および抽出処理を行う制御部3a、データ格納を行うデータベース部3b、外部ポート部3cおよびディスプレイ3dから構成され、外部ポート部3cを介して既存のネットワークないしインターネット網へも接続することができる。
【0021】
集中管理装置3は、センサノード2aからの情報を受信すると、受信レベルとセンサノード2aのIPアドレスと無線IDタグ5のID情報をデータベース部3bのテーブル上に時刻と共に保存する。また、集中管理装置3は、センサノード2aの配置情報を含んだ間取り、あるいは地図情報、およびスリープモードと測定モードとをセンサノード2aに指示するための受信レベルの閾値情報を有する。
【0022】
データベース部は、センサノード2aから受信した受信レベルとセンサノード2aのIPアドレスをID毎に作成される受信レベルテーブル(図2)と、受信レベルテーブルを元に制御部3aにて時間毎の受信レベルの最も高いセンサノード2aのIPアドレスを抽出した履歴情報(図3)と、センサノード2aの配置情報を含んだ間取り・地図情報(図4)とを有している。
【0023】
図4は間取り・地図情報の一例を示す間取りGUI7であり、センサノード2aが設置される部屋6の間取りをセンサメッシュネットワーク2と共に示している。これにより、各部屋6とセンサメッシュネットワーク2との関係が視覚的に認識できる。この間取りGUI7はディスプレイ3dに表示するか、またはユーザが外部端末4を操作し、ネットワークを介して外部ポート部3cからアクセスすることにより外部端末4に表示することも可能である。
【0024】
制御部3aは、受信レベルテーブルにおける受信レベルと閾値との比較およびセンサノード2aへのモード設定、受信レベルテーブルを抽出処理しての履歴情報の作成、無線IDタグ5の位置に関する情報の地図情報への紐付け、ユーザに対する表示画面の作成を行う。
【0025】
外部ポート部3cは、ディスプレイ3dへの情報の表示またはネットワークとの接続を行う。これにより、ユーザは制御部3aで作成された監視対象1の位置に関する情報をディスプレイ3dで確認するか、または外部端末4からネットワークを介して集中管理装置3にアクセスして確認することが可能である。
【0026】
集中管理装置3には、受信レベルの低いものと高いものの2種類の閾値が設定される。システム起動時の初期状態においては、全てのセンサノード2aは測定モードに設定され、全てのセンサノード2aから集中管理装置3に受信レベルが送信される。集中管理装置3の制御部3aでは、上記2種類の閾値のうち、低い方の閾値と、全てのセンサノード2aから受信した受信レベルとを比較し、受信レベルが閾値を下回る場合には、該当するセンサノード2aをスリープモードに設定し、受信レベルが閾値を上回る場合には、該当するセンサノード2aを測定モードに設定する。
【0027】
測定モードとなったセンサノード2aは、無線IDタグ5から受信するパイロット信号の受信レベルと、ID情報を集中管理装置3に送信し、集中管理装置3の制御部3aは、これら測定モードのセンサノード2aから受信する情報を元に、測定結果を表す受信レベルテーブルと、時間毎の受信レベルの最も高いセンサノードのIPアドレスを抽出した履歴情報を作成し、データベース部3bに保管する。
【0028】
制御部3aでは、受信レベルテーブルと閾値の高い方とを比較し、受信レベルが高い方の閾値を上回る場合、該当するセンサノード2aの周囲にあるスリープモードのセンサノード2aを測定モードに設定変更する。測定モードに設定されたセンサノード2aから送信される受信レベルが閾値の低い方を下回る場合は、該当するセンサノード2aをスリープモードに設定する。
【0029】
これらスリープモードと測定モードの切替を行うことにより、システムの消費電力を下げることが可能であり、また、集中管理装置3では測定モードのセンサノード2aから送信されてくる情報だけを収集・処理することになるため、扱う情報量の軽減化が可能となる。
【0030】
[動作の説明]
(1)集中管理装置への受信レベル情報の伝達
監視対象1に取り付けられた無線IDタグ5は、図5に示すように、ID情報を含んだパイロット信号を定期的に発信している。センサノード2aは、図6に示すように、無線IDタグ5から受信したパイロット信号の受信レベルとID情報に、自身のIPアドレスを追加して、センサメッシュネットワーク2を通じて集中管理装置3へ送信する。
【0031】
集中管理装置3では、図2に示したように、センサノード2aから受信した情報を無線IDタグ5のID毎に作成する受信レベルテーブルとしてデータベース部3bに格納する。格納された受信レベルテーブルから履歴情報を作成する流れに関しては後述する。
【0032】
データベース部3bに保存された履歴情報は、ユーザからの要求がある場合、制御部3aで間取りGUI情報へのプロットを行うために使用され、外部ポート3cを通じて集中管理装置3のディスプレイ3d、もしくはネットワークを経由して携帯電話やPDAなどの外部端末4に表示させることが可能である。
(2)センサノードのモード設定の流れ
集中管理装置3は、無線IDタグ5からセンサノード2aが受信するパイロット信号の受信レベルに応じて、スリープモードと測定モードの設定変更を行う。モードの変更は、集中管理装置3に設定された2種類の閾値に基づき、閾値を上回るか下回るかにより行われる。
【0033】
スリープモードでは、無線IDタグ5からのパイロット信号の受信および集中管理装置3への情報送信を行わず、測定モードでは無線IDタグ5からのパイロット信号の受信および集中管理装置3への情報送信を行う。
【0034】
図7は、センサノード2aのモード切替のフローチャートを示している。また、図8は、センサノード2aにおける受信レベルの時間的な変化と動作モードの関係の例示している。閾値は、図8に示すように、低い値と高い値の2種類の値が設定されており、それぞれをTh1、Th2とする。
【0035】
先ず、システム起動時の初期状態では、集中管理装置3は全てのセンサノード2aを測定モードに設定し、センサノード2aからの情報を収集する(図7のステップS1)。集中管理装置3の制御部3aでは、収集した受信レベルが、閾値Th1を上回る場合には(ステップS2)、該当センサノード2aを測定モードに設定し(ステップS3)、閾値Th1を下回る場合には(ステップS2)、該当センサノード2aをスリープモードに設定する(ステップS5)。
【0036】
次に、測定モードに設定されたセンサノード2aは、無線IDタグ5から受信するパイロット信号の受信レベルとID情報とセンサノードの2aのIPアドレスを集中管理装置3へ送信する。集中管理装置3の制御部3aは、測定結果を表す受信レベルテーブルにおける受信レベルと閾値Th2とを比較し(ステップS4)、閾値Th2を上回る場合は、該当するセンサノード2aの周囲にあるスリープモードのセンサノード2aを測定モードに設定変更する(ステップS7)。一方、閾値Th2を上回っていない場合は、ステップS2へ戻って、再度、閾値Th1を上回っているかのチェックが行なわれる。
【0037】
閾値Th2を上回るということは、監視対象1が注目しているセンサノード2aに近づいてきている状態を示しているため、近接のスリープモードのセンサノード2aを測定モードに切り替えて、より多くのセンサノード2aから情報を収集するのである。ここで、センサノード2aの周囲とは、センサノード2aの近傍の周囲であって、図4の例では、監視対象1に最寄りのセンサノード2aを取り囲む8つのセンサノード2aを指す。しかし、監視対象1の急激(図8に示した曲線の傾斜が急峻)な接近によっては、近傍の周囲を拡大するようにしてもよい。
【0038】
一方、スリープモードに設定された(ステップS5)センサノード2aであっても、閾値Th2を上回るセンサノード2aが周囲にある場合には、そのセンサノード2aを測定モードに設定する(ステップS3)。これは、周囲のセンサノード2aの受信レベルが強まったことから、当該センサノード2aの受信レベルも強まるであろうことが予測できるので、情報収集の対象に加えるためである。
【0039】
このように、本発明は、センサノード2aの数が多くなっても、スリープモードと測定モードの切り替えにより集中管理装置3の負荷を軽減させることが可能であるため、適用できるシチュエーションは、一般家庭といった狭い範囲だけではなく、保育園、公園、通学路、牧場などの広範囲であっても差し支えない。
(3)データベースの更新処理
次に、集中管理装置3がセンサノード2aから受信した情報のデータベース部3bでの更新処理について説明する。図7に示した処理の結果、測定モードに設定されたセンサノード2aから送信されたパイロット信号の受信レベル情報、無線IDタグ5のID情報、センサノード2aのIPアドレスは、ID情報毎に集中管理装置3のデータベース部3bに保存される。
【0040】
図2においては、無線IDタグ5のID情報が(あ)から(う)の3種類存在していることを示しており、時刻13:00:00の場合、ID情報(あ)の無線IDタグ5に関しては、IPアドレスAのセンサノード2aでは受信レベルが5[dB]と測定され、IPアドレスBのセンサノード2aでは1[dB]、IPアドレスCのセンサノード2aでは2[dB]、そしてIPアドレスDのセンサノード2aでは3[dB]であることを示している。この結果から、無線IDタグ5のID情報(あ)が付けられた監視対象1は、受信レベルが最大であったセンサノードA付近に存在することが分かる。また同様に、次の時刻13:00:01では、監視対象1がセンサノードB付近に存在することが分かる。
【0041】
次に、制御部3aでは、上記受信レベルテーブルをもとに、時間毎に受信レベルの最も高いIPアドレスを抽出して履歴情報を作成する。図3は、作成された履歴情報の例を示している。この履歴情報は、図2に示した受信レベルテーブル例から作成されるものであり、例えば、ID情報(あ)の無線IDタグ5において、各時刻において受信レベルの最も高かったセンサノードのIPアドレスが抽出されている。この結果より、監視対象1がどのセンサノード2aの近くに移動したかの履歴を知ることができる。
(4)ユーザへの表示
次に、処理された情報がディスプレイ3dあるいは外部端末4に表示される流れを説明する。図9は、上記(3)の手順で作成された情報をユーザに表示する流れを示している。
【0042】
受信レベルテーブルが作成されると(図9のステップS8)、制御部3aによって時間毎に受信レベルの最も高いセンサノードのIPアドレスが抽出され、履歴情報が作成される(ステップS9)。外部ポート部3cを通してユーザからデータの要求があった場合には(ステップS10)、制御部3aは履歴情報と間取り情報と紐付けたGUI画面を作成して表示する(ステップS11)。ユーザからの要求が無い場合は、ステップS8の手順に戻る。
【0043】
ユーザに表示するGUI画面のイメージは図4に例示したとおりである。間取りGUI7はセンサノード2aが設置される部屋の間取りを示しており、各部屋6とセンサノード2aのメッシュネットワークを示している。制御部3aでは、ステップS9で作成された履歴情報(図3)を、この間取りGUI7上にプロットし、GUI画面上に監視対象1の移動履歴が表示される。
【実施例2】
【0044】
図10に示すように、集中管理装置3の外部ポート部3cに警告器3eを接続することで、履歴を確認するだけではなく、監視対象1がセンサメッシュネットワーク2から出ることを防ぐことも可能である。例えば、監視対象1が子供であるとすると、子供に無線IDタグ5を付けて、天井にセンサノード2aから構成されるセンサメッシュネットワーク2を構築する。子供がセンサメッシュネットワーク2外に出よう(監視エリアから出よう)とすると,警告器3eが音を出して親に知らせることが可能である。
【実施例3】
【0045】
また、図11に示すように、監視対象1の行動を抑制する抑制装置5aを監視対象1に取り付けることで、監視対象1の動きを抑制することも可能である。例えば、ペットがいる家庭では、家の中に檻などを置くと景観にも良くないし場所も取る。そこで、無線IDタグ5に行動を抑制するための抑制装置5aを付加し、行動させたい範囲を集中管理装置3側に設定しておく。
【0046】
集中管理装置3では、受信レベルの変化から、ペットが設定した範囲を出ようとしているかを判断して、抑制装置5aを作動させることで、ペットが範囲外に出ることを防ぐことができる。なお、このとき、集中管理装置3の間取り情報を利用して、監視対象1毎に異なる監視エリアの範囲を設定することも可能である。
【0047】
また、無線IDタグ5に周辺の他装置を起動する機能を付加することで、例えば、自動給餌や自動撮影などに応用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 監視対象
2 センサメッシュネットワーク
3 集中管理装置
4 外部端末
5 センサノード用信号発生装置(無線IDタグ)
6 部屋
7 間取りGUI
2a センサノード
3a 制御部
3b データベース部
3c 外部ポート部
3d ディスプレイ
3e 警告器
5a 抑制装置
Th1 閾値
Th2 閾値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象に装着され一定時間毎に該監視対象のID情報を含んだパイロット信号を送信するセンサノード用信号発生装置と、
前記パイロット信号を受信して受信レベルおよび前記ID情報を自己のIPアドレスと共に送信するためのセンサノードを前記監視対象の監視エリアに亘りメッシュ状に配置したセンサメッシュネットワークと、
前記センサメッシュネットワークとネットワークで接続され前記各センサノードから送信されてくる情報を処理して前記監視対象の位置を測定する集中管理装置を有し、
該集中管理装置は、前記センサノードにおける前記送受信を停止させるためのスリープモードと、前記センサノードにおける前記送受信を機能させるための測定モードを前記各センサノードに設定できることを特徴とする動き監視システム。
【請求項2】
前記集中管理装置は、前記各センサノードから送信されてくる受信レベルが所定の閾値を超えれば当該センサノードを前記測定モード、前記所定の閾値以下ならスリープモードに設定することを特徴とする請求項1に記載の動き監視システム。
【請求項3】
前記集中管理装置は、前記測定モードに設定されたセンサノードの前記受信レベルが前記閾値より高い第2の閾値を超えると、当該センサノードの周囲のセンサノードを前記測定モードに設定することを特徴とする請求項2に記載の動き監視システム。
【請求項4】
前記周囲は前記所定の閾値から前記第2の閾値に到る前記受信レベルの傾斜が緩ければ狭く、急ならば広く設定されることを特徴とする請求項3に記載の動き監視システム。
【請求項5】
前記集中管理装置は、前記スリープモードに設定されたセンサノードの周囲に前記第2の閾値を超えるセンサノードが存在するときは当該センサノードを前記測定モードに設定することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の動き監視システム。
【請求項6】
前記集中管理装置は、前記測定モードのセンサノードから送信されてくる前記IPアドレスと前記受信レベルと前記ID情報を前記ID情報ごとにテーブルに記録し、該テーブルは前記パイロット信号に応答して更新することを特徴とする請求項1に記載の動き監視システム。
【請求項7】
前記集中管理装置は、前記テーブルにおいて同時刻で前記受信レベルの最も高いセンサノードのIPアドレスを抽出し前記ID情報ごとにテーブル化して保存することを特徴とする請求項6に記載の動き監視システム。
【請求項8】
前記テーブルの内容は、前記集中管理装置のディスプレイまたは前記ネットワークを介した外部端末に抽出し表示できることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の動き監視システム。
【請求項9】
前記集中管理装置は、前記抽出したテーブルの内容を前記監視エリアの間取りもしくは地図情報内にプロットすることで前記監視対象の現在位置と移動履歴の参照を可能とすることを特徴とする請求項8に記載の動き監視システム。
【請求項1】
監視対象に装着され一定時間毎に該監視対象のID情報を含んだパイロット信号を送信するセンサノード用信号発生装置と、
前記パイロット信号を受信して受信レベルおよび前記ID情報を自己のIPアドレスと共に送信するためのセンサノードを前記監視対象の監視エリアに亘りメッシュ状に配置したセンサメッシュネットワークと、
前記センサメッシュネットワークとネットワークで接続され前記各センサノードから送信されてくる情報を処理して前記監視対象の位置を測定する集中管理装置を有し、
該集中管理装置は、前記センサノードにおける前記送受信を停止させるためのスリープモードと、前記センサノードにおける前記送受信を機能させるための測定モードを前記各センサノードに設定できることを特徴とする動き監視システム。
【請求項2】
前記集中管理装置は、前記各センサノードから送信されてくる受信レベルが所定の閾値を超えれば当該センサノードを前記測定モード、前記所定の閾値以下ならスリープモードに設定することを特徴とする請求項1に記載の動き監視システム。
【請求項3】
前記集中管理装置は、前記測定モードに設定されたセンサノードの前記受信レベルが前記閾値より高い第2の閾値を超えると、当該センサノードの周囲のセンサノードを前記測定モードに設定することを特徴とする請求項2に記載の動き監視システム。
【請求項4】
前記周囲は前記所定の閾値から前記第2の閾値に到る前記受信レベルの傾斜が緩ければ狭く、急ならば広く設定されることを特徴とする請求項3に記載の動き監視システム。
【請求項5】
前記集中管理装置は、前記スリープモードに設定されたセンサノードの周囲に前記第2の閾値を超えるセンサノードが存在するときは当該センサノードを前記測定モードに設定することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の動き監視システム。
【請求項6】
前記集中管理装置は、前記測定モードのセンサノードから送信されてくる前記IPアドレスと前記受信レベルと前記ID情報を前記ID情報ごとにテーブルに記録し、該テーブルは前記パイロット信号に応答して更新することを特徴とする請求項1に記載の動き監視システム。
【請求項7】
前記集中管理装置は、前記テーブルにおいて同時刻で前記受信レベルの最も高いセンサノードのIPアドレスを抽出し前記ID情報ごとにテーブル化して保存することを特徴とする請求項6に記載の動き監視システム。
【請求項8】
前記テーブルの内容は、前記集中管理装置のディスプレイまたは前記ネットワークを介した外部端末に抽出し表示できることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の動き監視システム。
【請求項9】
前記集中管理装置は、前記抽出したテーブルの内容を前記監視エリアの間取りもしくは地図情報内にプロットすることで前記監視対象の現在位置と移動履歴の参照を可能とすることを特徴とする請求項8に記載の動き監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−13129(P2011−13129A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158412(P2009−158412)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】
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