説明

包装体、薬剤包装体、ヒートシール装置、および薬剤分包装置

【課題】 切断目の場所がわかり易い薬剤分包体の提供。
【解決手段】 分包紙どうしを向い合わせ、その外側縁部aをヒートシールして薬剤収納部3cを形成する薬剤包装体2であって、外側縁部から切断して薬剤収納部3cを開放するための切断目40を形成するとともに、切断目40の場所の目安となる第三ヒートシール部分50を形成した構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体、薬剤包装体、ヒートシール装置、および薬剤分包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤包装体として、例えば特許文献1に示すものがある。この薬剤包装体は、向かい合わせた熱溶着性シートの外側縁部をヒートシールしてヒートシール部を設けることでヒートシール部の内側に薬剤を収納している。薬剤の服用者が薬剤を服用する際には薬剤包装体の縁部を手指で切断することで薬剤を服用するようにしている。しかしながら、上記薬剤包装体は熱溶着性シートを合わせてなるから、薬剤の服用のために薬剤包装体をその縁部から切断する際に二枚分の熱溶着性シートを切断しなければならない。このため、服用者によっては手指の力で切断することが難しい場合がある。そこで薬剤包装体をその縁部に切断目を形成し、この切断目から切断を開始することで薬剤包装体を切断し易くすることが考えられる。
【特許文献1】実公平1−37635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、切断目は長く(大きく)形成すればその分だけ目立つから、薬剤の服用者には確認し易い。しかしながら切断目を大きくしてしまうと、そこに不測にわずかな力が掛かった場合にも極めて容易に薬剤包装体が切断されてしまい、この場合、薬剤が不要にこぼれてしまうことが考えられる。このような観点からは切断目は短い方がよい。しかし切断目が短いとそれが目立たず、薬剤の服用者に分かり難いといった不都合がある。このような不都合は、薬剤包装体に限らず、薬剤以外のものを収納部に収納した包装体についても同様である。
【0004】
そこで本発明は、切断目の場所がわかり易い包装体および包装体用のヒートシール装置、並びにヒートシール装置を備えた薬剤分包装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の包装体は、熱溶着性シートどうしを向い合わせてその外側縁部をヒートシールしてヒートシール部を設けることで該ヒートシール部の内側に収納部が形成され、前記外側縁部にヒートシール部を切断して収納部を開放するための切断目が設けられるとともに、該切断目の場所の目安となる目安部が設けられたことを特徴としている。
【0006】
上記構成の包装体によれば、目安部を目安にすることで極めて容易に切断目の場所がわかる。これにより、切断目の部分を手指で把持して外側縁部から包装体を切断するようにして、収納部を開放する。
【0007】
本発明の包装体では、ヒートシール部は外側縁部の外端辺から収納部側に位置ずれしているとともに外端辺に沿って形成され、目安部は、前記ヒートシール部に対して外端辺側に形成した別のヒートシール部とされていることが好ましい。
【0008】
上記構成によれば、外端辺側に形成した別のヒートシール部に手指が接触すれば手指にヒートシール部の感触が伝わることになるから、ヒートシール部を目安として切断目の場所がわかり易い。また、一般にヒートシール部は他の部分に比べて硬度が高いから、その分だけ手指で把持し易い。
【0009】
本発明の包装体は、ヒートシールによって目安部を形成することで、該目安部がヒートシール前の熱溶着性シートとは異色となっていることが好ましい。この構成によれば、異色とした目安部は目立つから、切断目の場所がわかり易い。
【0010】
本発明の薬剤包装体は、熱溶着性シートどうしを向い合わせてその外側縁部をヒートシールしてヒートシール部を設けることで該ヒートシール部の内側に薬剤を収納する収納部が形成され、前記外側縁部にヒートシール部を切断して収納部を開放するための切断目が設けられるとともに、該切断目の場所の目安となる目安部が設けられたことを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、目安部を目安にすることで極めて容易に切断目の場所がわかる。これにより、切断目を手指で把持して外側縁部から包装体を切断するように収納部を開放して、薬剤を服用する。
【0012】
本発明の薬剤包装体では、ヒートシール部は外側縁部の外端辺から収納部側に位置ずれしているとともに外端辺に沿って形成され、目安部は、前記ヒートシール部に対して外端辺側に形成した別のヒートシール部とされたことを特徴としている。
【0013】
上記構成において、外端辺側に形成した別のヒートシール部に手指が接触すれば手指にヒートシール部の感触が伝わることになるから、ヒートシール部を目安として切断目の場所がわかり易い。また、一般にヒートシール部は他の部分に比べて硬度が高いから、その分だけ手指で把持し易い。
【0014】
本発明の薬剤包装体では、ヒートシールによって目安部を形成することで、該目安部がヒートシール前の熱溶着性シートとは異色となっていることが好ましい。この構成によれば、異色とした目安部は目立つから、切断目の場所がわかり易い。
【0015】
本発明のヒートシール装置は、熱溶着性シートどうしを向い合わせてその外側縁部をヒートシールしてヒートシール部を設けることで該ヒートシール部の内側に収納部が形成された包装体を製造するために、前記外側縁部にヒートシール部を切断して収納部を開放するための切断目を形成する切断目形成部材が設けられるとともに、前記切断目の場所の目安となる目安部を包装体に形成するための目安部形成部材が設けられたことを特徴としている。
【0016】
上記構成において、熱溶着性シートの外側縁部をヒートシールすることで収納部を形成し、切断目形成部材によって切断目を形成し、目安部形成部材によって目安部を形成する。このようにして製造された包装体によれば、目安部を目安にすることで極めて容易に切断目の場所がわかる。これにより、切断目を手指で把持して外側縁部から包装体を切断するようにする。
【0017】
本発明のヒートシール装置は、熱溶着性シートどうしを向い合わせてその外側縁部をヒートシールしてヒートシール部を設けることで該ヒートシール部の内側に薬剤を収納する収納部が形成された薬剤包装体を製造するために、前記外側縁部にヒートシール部を切断して収納部を開放するための切断目を形成する切断目形成部材が設けられるとともに、前記切断目の場所の目安となる目安部を薬剤包装体に形成するための目安部形成部材が設けられたことを特徴としている。
【0018】
上記構成において、熱溶着性シートの外側縁部をヒートシールすることで収納部を形成し、切断目形成部材によって切断目を形成し、目安部形成部材によって目安部を形成する。このようにして製造された薬剤包装体によれば、目安部を目安にすることで極めて容易に切断目の場所がわかる。これにより、切断目を手指で把持して外側縁部から薬剤包装体を切断するようにする。
【0019】
本発明の薬剤分包装置は、前記ヒートシール装置と、薬剤を所定量毎に分配し且つ所定量毎の薬剤を排出する薬剤分配装置と、該薬剤分配装置から排出される薬剤を熱溶着性シートに供給する薬剤供給装置とを備え、前記熱溶着性シートの外側縁部にヒートシール部を切断して収納部を開放するための切断目を形成する切断目形成部材が設けられるとともに、前記切断目の場所の目安となる目安部を形成するための目安部形成部材が設けられたことを特徴としている。
【0020】
上記構成において、ヒートシール装置で熱溶着性シートの外側縁部をヒートシールすることで収納部を形成し、薬剤分配装置で分配排出された薬剤は熱溶着性シートに供給される。この薬剤分包装置によって製造された薬剤包装体によれば、切断目形成部材によって形成された目安部を目安にすることで極めて容易に切断目の場所がわかる。これにより、切断目形成部材によって形成された切断目の部分を手指で把持して外側縁部から薬剤包装体を切断するようにする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の包装体および薬剤包装体は、切断目の場所の目安となる目安部があるから、切断目の場所が極めて容易に分かる。また本発明のヒートシール装置によれば、目安部形成部材によって包装体または薬剤包装体に切断目の目安となる目安部を形成できるから、切断目の場所が極めて容易に分かる包装体または薬剤包装体を製造することができる。さらに本発明の薬剤分包装置によれば、切断目の場所が極めて容易に分かる包装体または薬剤包装体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る薬剤分包装置を、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態を示す薬剤分包体(包装体)の薬剤分包装置の構造を示す概略斜視図、図2は薬剤分包装置を用いて薬剤分包体を製造する際の要部拡大斜視図、図3はヒートシール装置の斜視図、図4はヒートシール装置の概略平面図、図5は薬剤分包体の正面図である。
【0023】
これらの図に示すように、薬剤分包装置1は、連続した薬剤分包体2に加工される長尺の分包紙(熱溶着性シート)3をロール状に巻き回されてなるロール体4を支持する支持部5と、ロール体4からシート6を繰り出す駆動部7と、薬剤8を所定量毎に分配し且つ所定量毎の薬剤8を下方に供給する薬剤分配装置9と、薬剤分配装置9から供給された薬剤8をロール体4から繰り出された分包紙3が折り畳まれた後に該分包紙3のシート片部10,11間に薬剤8を投入するための投入部(薬剤供給装置)12と、折り畳まれた分包紙3に対してヒートシールを行うヒートシール装置13とを備えている。図中の符号15は、ヒートシール装置13を覆う保護カバーを示す。
【0024】
前述したように、薬剤分包体2は分包紙3を用いて形成されており、分包紙3は基材3aとこの基材3aの片面に積層された熱融着層3bからなる熱溶着性シートである。分包紙3は、基材3aとこの基材3aの片面に積層された熱融着層3bからなる熱溶着性シートを予めその幅方向中心で折り畳んで、熱融着層3bどうしが対向するよう熱溶着性シートを長さ方向に沿って折られている。すなわち分包紙3の対向するシート片部10,11の外側縁部10a,11aの外端辺10b,11bどうしが一致するよう重なっている。ロール体4はこのような分包紙3を支持部5に巻き回して形成されている。尚、例えば基材3aとして、気密性や強度に優れるグラシン紙が用いられ、熱融着層3bとしてポリエチレンが用いられている。
【0025】
ここで図2を参照しつつ、薬剤分包装置1における各部材の概略構成について説明する。支持部5は、ロール体4を軸線回り回転自在に支持するもので、好ましくは、支持部5は中空筒状の紙管19を有する。ロール体4は、紙管19の外周面に巻き回されてなる。そして前記支持部5は、紙管19を軸線回り相対回転自在に支持し得るように構成される。
【0026】
なお支持部5を、軸線回りに回転自在とされた支持軸とし、該支持軸回りに直接に長尺の熱溶着性シートを巻き回すことも可能である。又、支持部5には、ブレーキ機構等の分包紙搬送制御機構を備えることができ、必要及び/又は所望により、分包紙の搬送停止又は搬送速度制御を行えるように構成し得る。
【0027】
前記駆動部7は、ロール体4から分包紙3を繰り出し得る限り種々の構成を採用し得る。本実施の形態においては、駆動部7は、図2に示すように、ヒートシール装置13のシート6搬送方向後流側に配設された一対の駆動ローラ20,21を備えている。
【0028】
前記案内部8は、前記ロール体4から繰り出される分包紙3を前記投入部12等の後続する各部材へ向けて案内するように構成されている。具体的には、該案内部8は、シート6の搬送方向に沿って配設された複数のガイドバー22を備えている。
【0029】
前記投入部12は、上端開口及び下端開口を有する中空状のホッパー7a,7bを備えている(図2においては、ホッパー7bのみを図示している)。ホッパー7bの上端開口は、処方箋に基づき、自動又は手動で分配され且つ供給される薬剤8を受け入れ得るようになっている。ホッパー7bの下端開口は、シート6のシート片部10,11の間に挿入される。薬剤8は、処方箋に基づき自動又は手動で供給される。
【0030】
ヒートシール装置13は、分包紙3に対し投入部12によって収納された薬剤8を薬剤収納部3cに密封して薬剤分包体2とするように分包紙3を熱融着するヒートシール部材23を備えている。本実施の形態においては、該ヒートシール部材23は、2つ折りにされた分包紙3のシート片部10,11どうしを熱融着すべく三叉状に形成されたヒータ台25と、分包紙3を挟んでヒータ台25に対向配置されたヒータ受け台26とを備えている。ヒータ台25およびヒータ受け台26は、分包紙3の紙面に直交する方向へ移動可能に構成されている。
【0031】
そして、ヒートシールを行う際には、ヒータ台25およびヒータ受け台26が互いに近接する方向へ移動し、ヒータ台25およびヒータ受け台26によって挟圧される分包紙3の熱溶着面(熱融着層3b)どうしをヒートシールするものである。
【0032】
前記ヒータ台25は、分包紙3の幅方向に延び、且つ分包紙3を個々に仕切るための幅シール部27と、この幅シール部27の上端から上流側に、且つ分包紙3の上側端部に沿って延び、分包紙3の外側縁部10a,11a間である上方開口部3cを閉塞するための第一シール部28と、幅シール部27の上端から下流側に、且つ分包紙3の上側端部に沿って延び、分包紙3の上方開口部3cを閉塞するための第二シール部30とからなり、正面視略T字形(三叉状)に形成されている。
【0033】
第一シール部28と第二シール部30とはその長さが異なっており、第一シール部28は第二シール部30よりも短く形成されている。なお、ヒータ受け台26は、ヒータ台25に鏡像的に重なるように、ヒータ台25と略同一形状に形成して配置されている。
【0034】
ヒータ台25は、両端がリード線31aを介して不図示の電源に接続された発熱体31(例えば電熱線等)を有し、この発熱体31はヒータ台25に埋設されている。すなわち発熱体31は、ヒータ台25の形状に沿ってT字状(三叉状)に形成されており、この発熱体31は、ヒータ台25の第一シール部28、幅シール部27、第二シール部30に亙るように配置されている。すなわち発熱体31は、ヒータ台25の第一シール部28に埋設される第一発熱部35と、この第一発熱部35から幅シール部27に延び幅シール部27で反転するU字形の湾曲発熱部36と、この湾曲発熱部36から第二シール部30に延びる第二発熱部37とを有する。
【0035】
第一発熱部35はその端部に、上方に向けて折曲げ延長された立上げ発熱部38が一体に設けられ、該立上げ発熱部38を目安部形成部材としている。第一発熱部35および第二発熱部37は、第一発熱部35および第二発熱部37は同一平面内にあり、ヒータ台25の上面25bから分包紙3の薬剤収納部3c側に相当する方向である方向、すなわち下方に位置ずれして配置されているとともに上面25bに沿って配置されている。
【0036】
ヒータ台25には、その下流側に上面25bから上方に突出する突出部25Aが一体的に形成されている。この突出部25Aは角柱状に形成されており、その前面25aに、薬剤分包体2に上下方向の切断目40を形成するための切断目形成部材としての押圧片41が形成されている。この押圧片41は、突出部25Aの前面で前記立上げ発熱部38に対向する領域に対して下流側に配置されている。押圧片41は、その先端に縦方向の刃部41aを有し、全体として例えば先端ほど薄くなる平面視三角形に形成されている。
【0037】
図4に示すように、前記ヒータ受け台26は、突出部25Aに対向する位置に突出部26Aを有し、突出部26Aの押圧片41に対応する個所に、押圧片41とともに切断目40を形成するための受け凹部42を有する。この受け凹部42は押圧片41が挿入される挿入隙間43を有する。ヒータ台25とヒータ受け台26とは、押圧片41、受け凹部42以外の部分は、挟圧用の平面25d,26dとされ、これら平面25d,26dでもって分包紙3を挟圧する。なお、押圧片41の先端の刃部41aは挟圧用の平面25dに対してヒータ受け台26側へ突出している。また挿入隙間43は、平面26dに対して凹となっている。
【0038】
上記構成の薬剤分包装置1において、駆動部7の駆動力によってロール体4から繰り出された分包紙3は、ヒートシール装置13に至る前に、予め熱融着層3bどうしが対向するよう長さ方向に沿って幅方向中心で折られている。したがって、分包紙3をロール体4から繰り出している途中で折り曲げる必要がなく、例えば折り畳みガイド等の部材を必要とせず、折り畳みガイド等を必要としない分だけ薬剤分包装置1の構成は簡素化されている。
【0039】
分包紙3はその繰出し途中位置に配置した投入部12のホッパー7bから薬剤8が投入され、その後、ヒートシール装置13によってヒートシールされることで繰出し方向に沿う第一ヒートシール部分45と、第一ヒートシール部分45の両側から下方に向かう上下方向の第二ヒートシール部分46とからなる略下側開放コ字形のヒートシール部47が形成され、これによって分包紙3の三方向がヒートシールされて薬剤収納部3cが形成され、この薬剤収納部3cに薬剤8が収納された薬剤分包体2となる。さらに詳述すると、分包紙3はヒータ台25とヒータ受け台26との挟圧用の平面25d,26dで挟圧されるとともに、通電して加熱された発熱体31の熱によって、分包紙3のシート片部10,11の熱融着層3bどうしが上下流方向(長さ方向)に所定間隔置きに熱融着され、薬剤8を薬剤収納部3cに内包して連続した薬剤分包体2が製造されるものである。
【0040】
分包紙3はヒータ台25とヒータ受け台26とで挟圧されるとき、第一シール部28の下流側上部で立上げ発熱部38に対向する領域のわずかに下流側に押圧片41が配置され、ヒータ受け台26の押圧片41に対応する個所に、受け部材42,42が設けられているから、押圧片41が受け凹部42の挿入隙間43に入ることで、分包紙3のシート片部10,11の外側縁部10a,11aに、縦方向の切断目40が切り込むように形成される。このような切断目40は、第一ヒートシール部分45(ヒートシール部47)に至らない。すなわち、ヒータ台25に突出部25Aを設け、突出部25Aに押圧片41を設け、第一発熱部35を、ヒータ台25の上面25bから下方に位置ずれして配置していることで、切断目40を第一ヒートシール部45に到達させないようにしている。切断目40は切断のきっかけになる長さを有すればよく、これを長くしすぎてしまうと、不要に分包紙3が切断されてしまうことが考えられるからである。
【0041】
そして、発熱体31の立上げ発熱部38が第一発熱部35に連続しているから、立上げ発熱部38を目安部形成部材としてその熱により第一ヒートシール部分45に連続して、外側縁部10a,11aを上下に亙って横切る第三ヒートシール部分50が第一ヒートシール部分45に連続して形成される。そして、第一シール部28は第二シール部30よりも短く形成されているから、第三ヒートシール部分50は薬剤分包体2の長さ方向中心から一方側(この場合、下流側)に偏心した位置に形成される。また、第三ヒートシール部分50の下流側近傍に切断目40が第三ヒートシール部分50に平行に存在することになる。なお、上記のような連続した薬剤分包体2において隣合う第二ヒートシール部分46,46の間には、ミシン目51が上下方向(幅方向)全域に亙って形成されており、このようなミシン目51が薬剤分包体2を製造する途中で形成される。なお、第三ヒートシール部分50と切断目40とは平行になるよう、立上げ発熱部38と押圧片41の刃部41aとが平行に設定されている。
【0042】
上記のようにして製造された薬剤分包体2はミシン目51を例えば手指で切断してひとつひとつの薬剤分包体2に容易に分割することができる。ところで、ひとつの薬剤分包体2に収納された薬剤8は、薬剤分包体2を切断(開封)して服用される。このとき、薬剤分包体2には上記のような切断目40があるから、この切断目40から薬剤分包体2の切断を開始することで、薬剤分包体2を容易に切断して薬剤収納部3c内の薬剤8を服用することができる。
【0043】
このように切断目40を用いることで薬剤分包体2は容易に切断することができるが、この種の薬剤分包体2を製造するための熱溶着性シートは、薬剤8が見てとれるよう透明である(透光性を有する)ことが一般的である。このような透明なシートに切断目40を形成してもその切断目40を見つけにくい場合がある。しかし、本発明の実施形態では、切断目40は第三ヒートシール部分50の近傍に形成されている。そして、分包紙3(熱溶着性シート)をヒートシールすると、ヒートシールによってその部分は変色する。例えば薬剤分包体2を形成する分包紙3としてグラシン紙を用いればヒートシール部分は濃い白色に変色する。また、分包紙3としてセロファンにポリエチレンをラミネートしたセロポリ紙を用いれば、ヒートシール部分は透明になる。
【0044】
そして第一シール部28は、ヒータ台25の上面25bから薬剤収納部3c側(下方)に位置ずれして配置するとともに、上面25bに沿って配置した構成とすることで、これに応じて、形成された第一ヒートシール部分45は、薬剤分包体2の外側縁部10a,11aの外端辺10b,11bから薬剤収納部3c側(下方)に位置ずれして形成されている。すなわち、薬剤分包体2の外側縁部10a,11aの外端辺10b,11b側は、熱溶着性シート本来の色であり、外側縁部10a,11aの中途部に異色の第三ヒートシール部分50があるから、第三ヒートシール部分50は目立つ。そして、切断目40は第三ヒートシール部分50の近傍にあるから、薬剤8の服用者は、第三ヒートシール部分50を切断目40の場所の目安として、切断目40の場所を容易に見つけることができ(切断目40の場所を認知し易く)、薬剤分包体2を切断することができる。このとき、ヒートシールされた部分は分包紙2本来の硬度に比べて該硬度が高くなるから手指で把持し易く、切断がし易い。
【0045】
あるいは、熱溶着性シートにヒートシールを施すと、その部分は硬化するから、ヒートシールを施していない薬剤分包体2の外側縁部10a,11aの外端辺10b,11b側部分に比べて手指で触れた際の感触が異なる。したがって、視力の良好でない服用者にも切断目40の場所が分かり易い。
【0046】
本発明は上記実施形態に限定されるものではく、下記のように、本発明の範囲内で種々の変更を加え得る。例えば、上記実施形態では、発熱体31はヒータ台25に埋設した構成としたが、図8に示すように、発熱体31をヒータ台25の挟圧用の平面25dに露出するよう設けることも可能である。この場合、例えば発熱体31はステンレス等を用いて略均一な幅と厚みとなるよう板状に形成する。このような発熱体31は、ヒータ台25の第一シール部28に固定される第一発熱部35と、第一発熱部35から幅シール部27に延び幅シール部27に固定されて反転するU字形の湾曲発熱部36と、湾曲発熱部36から第二シール部30に延びて固定される第二発熱部37とを有し、第一発熱部35の端部に、上方に向けて折曲げ延長された立上げ発熱部38を一体に形成する。他の構成は上記実施形態と同様である。立上げ発熱部38、第二発熱部37の端部には放熱量を大にする放熱用拡大部36a,37a,38aを一体形成している。
【0047】
上記構成のように、第一発熱部35の端部に、上方に向けて折曲げ延長された立上げ発熱部38を一体に形成するこのような発熱体31によれば、発熱体31が熱溶着性シートに直接的に接触してヒートシール部47を形成することになり、切断目40の近傍にその切断の目安となる第三ヒートシール部分50が形成される。これによって、切断目40の場所が分かり易くなる。
【0048】
上記各実施形態では、目安部形成部材としての立上げ発熱部38は、第一発熱部35の端部に一体に設けたがこれに限定されるものではなく、第一発熱部35(発熱体31)とは別体に設けて、立上げ発熱部38に独自に通電してこれを加熱する構成とすることも可能である。
【0049】
切断目40としては、薬剤8の服用者にとって薬剤分包体2を切断し易い形状のものであればよく、上記実施形態のように、分包紙2を切り込むものでなくともよい。さらに、上記実施形態では切断目40は第三ヒートシール部分50(目安部)の下流側に形成したが、切断目40は第三ヒートシール部分50の上流側に形成するようにしてもよいし、第三ヒートシール部分50の上流側および下流側の双方に形成するようにしてもよい。また第三ヒートシール部分50を目安部として切断目40はその近傍に形成した。
【0050】
しかし、発熱体31をヒータ台25に埋設する場合では、図9に示すように、第三ヒートシール部分50内(第三ヒートシール部分50の長さ方向領域内)に切断目40を形成することも考えられる。図10はこのような薬剤分包体2を形成するためのヒートシール装置13を示す斜視図である。このヒートシール装置13は、支持台60に支持されたT字型のヒータ台25の平面25d(外側面)に、発熱体(不図示)によって加熱されて三方に延びる加熱部62が突出するよう形成されている。この加熱部62は、ヒータ台25の第一シール部28、幅シール部27、第二シール部30に亙るように配置されている。加熱部62は、ヒータ台25の第一シール部28から突出する第一横突出部63と、この第一横突出部63から幅シール部27に延びる幅突出部64と、第二シール部30から突出する第二横突出部66と、この第二横突出部66から幅シール部27に延びる別の幅突出部65とを備える。第一横突出部63の途中に上方に向けて延長された一対の立上げ突出部67,68が一体的に形成されている。これら立上げ突出部67,68は長さ方向に所定間隔だけ離間して配置されている。
【0051】
ヒータ受け台26は、支軸70(図の一点鎖線で示す)回りに回動開閉自在な支持台61に支持されている。そして、加熱部62に対応する形状の受け部73が、該ヒータ受け部26から突出して設けられ、さらに立上げ突出部67,68に対応する一対の出退部71,72がヒータ受け台26に出退自在に設けられている。これら、一対の出退部71,72間に、切断目40を形成するための押圧片41がヒータ受け台26に固定されている。
【0052】
このような構成のヒートシール装置13では、ヒータ台25及びヒータ受け台26が前後方向(分包紙3の紙面に対して垂直な方向)に相対的に接近することで、ヒータ台25およびヒータ受け台26によって分包紙3が挟圧され、その熱溶着面どうしがヒートシールされて第一ヒートシール部分45、第二ヒートシール部分46,46、及び第三ヒートシール部分50が形成される。このとき、立上げ突出部67,68が出退部71,72に当接してこれを押圧すると、出退部71,72が後退し、刃部41aが露出して立上げ突出部67,68の間の隙間に入り、これにより分包紙3に切断目40が形成される。そして立上げ突出部67,68の間に押圧片41が入ることになるから切断目40は第三ヒートシール部分50の長さ方向の途中に形成されることになる。すなわち、切断目形成部材は、立上げ突出部67,68、出退部71,72、及び押圧片41から構成されている。
【0053】
この場合、薬剤8の服用者は、第三ヒートシール部分50を切断目40の場所の目安として、切断目40の場所を容易に見つけることができ、第三ヒートシール部分50を切断する感覚でもって薬剤分包体2を切断することができる。そして、ヒートシールされた部分は分包紙2本来の硬度に比べて該硬度が高くなるから手指で把持し易く、切断がし易い。あるいは、熱溶着性シートにヒートシールを施すとその部分は硬化するから、ヒートシールを施していない薬剤分包体2の外側縁部10a,11aの外端辺10b,11b側部分に比べて手指で触れた際の感触が異なる。したがって、視力の良好でない服用者にも切断目40の場所が分かり易い。
【0054】
また、上記各実施形態では切断目40は、ヒートシール装置13に押圧片41および受け凹部42を設けてヒートシールと同時に切断目40を形成するようにしたがこれに限定されるものではない。例えば、コスト等を考慮して可能であれば、ヒートシール装置13とは別に切断目形成部材を設けて、例えばヒートシールの後に、ヒートシールとは別に切断目40を形成することも可能である。
【0055】
なお、上記各実施形態では薬剤分包体2(包装体)は長尺の熱溶着性シートをその幅方向中心で折り畳むようにして形成したがこれに限定されることはなく、薬剤分包体2は別々の枚葉紙どうしを重ね合せるようにてその周囲四方をヒートシールすることで薬剤収納部3c(収納部)を形成して製造することも可能である。
【0056】
本発明の実施形態では、包装体として薬剤分包体2を例に説明したが薬剤8としては散薬、錠剤何れにも適用可能であることは勿論であり、また、分包体としては薬剤分包体2に限定されず、収納部に収納するものとしては薬剤8の代わりに種々の収納物が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態を示す薬剤分包装置の内部構造の概略を示す斜視図。
【図2】同じく薬剤分包装置を用いて薬剤分包体を製造する際の要部拡大斜視図。
【図3】同じくヒータ台の斜視図。
【図4】同じくヒートシール装置の概念平面図。
【図5】同じく薬剤分包体の側面図。
【図6】図5におけるA−A線断面図。
【図7】図5におけるB−B線断面図。
【図8】別の実施形態を示す薬剤分包体の斜視図。
【図9】さらに別の実施形態を示す薬剤分包体の正面図。
【図10】図9の薬剤分包体製造するためのヒートシール装置の概略斜視図。
【符号の説明】
【0058】
1…薬剤分包装置、2…薬剤分包体、3…分包紙(熱溶着性シート)、3c…薬剤収納部、4…ロール体、7…駆動部、8…薬剤、10,11…シート片部、10a,11a…外側縁部、10b,11b…外端辺、12…薬剤投入部、13…ヒートシール装置、23…ヒートシール部材、25…ヒータ台、26…ヒータ受け台、27…幅シール部、28…第一シール部、30…第二シール部、31…発熱体、35…第一発熱部、36…湾曲発熱部、37…第二発熱部、38…立上げ発熱部(目安部形成部材)、40…切断目、41…押圧片、41a…刃部、42…受け部材、43…挿入隙間、50…第三ヒートシール部分(目安部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱溶着性シートどうしを向い合わせてその外側縁部をヒートシールしてヒートシール部を設けることで該ヒートシール部の内側に収納部が形成された包装体であって、前記外側縁部にヒートシール部を切断して収納部を開放するための切断目が設けられるとともに、該切断目の場所の目安となる目安部が設けられたことを特徴とする包装体。
【請求項2】
ヒートシール部は外側縁部の外端辺から収納部側に位置ずれしているとともに外端辺に沿って形成され、目安部は、前記ヒートシール部に対して外端辺側に形成した別のヒートシール部とされたことを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項3】
ヒートシールによって目安部を形成することで、該目安部がヒートシール前の熱溶着性シートとは異色となっていることを特徴とする請求項2記載の包装体。
【請求項4】
熱溶着性シートどうしを向い合わせてその外側縁部をヒートシールしてヒートシール部を設けることで該ヒートシール部の内側に薬剤を収納する収納部が形成された薬剤包装体であって、前記外側縁部にヒートシール部を切断して収納部を開放するための切断目が設けられるとともに、該切断目の場所の目安となる目安部が設けられたことを特徴とする薬剤包装体。
【請求項5】
ヒートシール部は外側縁部の外端辺から収納部側に位置ずれしているとともに外端辺に沿って形成され、目安部は、前記ヒートシール部に対して外端辺側に形成した別のヒートシール部とされたことを特徴とする請求項4記載の薬剤包装体。
【請求項6】
ヒートシールによって目安部を形成することで、該目安部がヒートシール前の熱溶着性シートとは異色となっていることを特徴とする請求項5記載の薬剤包装体。
【請求項7】
熱溶着性シートどうしを向い合わせてその外側縁部をヒートシールしてヒートシール部を設けることで該ヒートシール部の内側に収納部が形成された包装体を製造するためのヒートシール装置であって、前記外側縁部にヒートシール部を切断して収納部を開放するための切断目を形成する切断目形成部材が設けられるとともに、前記切断目の場所の目安となる目安部を包装体に形成するための目安部形成部材が設けられたことを特徴とするヒートシール装置。
【請求項8】
熱溶着性シートどうしを向い合わせてその外側縁部をヒートシールしてヒートシール部を設けることで該ヒートシール部の内側に薬剤を収納する収納部が形成された薬剤包装体を製造するためのヒートシール装置であって、前記外側縁部にヒートシール部を切断して収納部を開放するための切断目を形成する切断目形成部材が設けられるとともに、前記切断目の場所の目安となる目安部を薬剤包装体に形成するための目安部形成部材が設けられたことを特徴とするヒートシール装置。
【請求項9】
請求項8記載のヒートシール装置と、薬剤を所定量毎に分配し且つ所定量毎の薬剤を排出する薬剤分配装置と、該薬剤分配装置から排出される薬剤を熱溶着性シートに供給する薬剤供給装置とを備え、前記熱溶着性シートの外側縁部にヒートシール部を切断して収納部を開放するための切断目を形成する切断目形成部材が設けられるとともに、前記切断目の場所の目安となる目安部を形成するための目安部形成部材が設けられたことを特徴とする薬剤分包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−306419(P2006−306419A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129354(P2005−129354)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】