説明

化合物

本発明は、以下の式の化合物および薬学的に許容されるその塩PKB活性調節において使用するための医薬の製造における使用を提供する:
【化1】


ここで、 R1はC1-5 アルコキシ、OCOC1-3アルキル、O(CH2)2O(CH2)2O(CH2)2OMe、O(CH2)2O(CH2)2O(CH2)2OHまたはOHであり;R2 は H、(CH2)nOH、OCH3、Hal または
【化2】


であり;R3は、Hまたは(CH2)nOHであり;およびR4は、1以上の Hal、OH、COCH3、NH2、NHCH3、NHMe、NMe2、OCOCH3、CO2Hまたはそのエステル若しくはアミドにより任意に置換されたC1-6 アルキルであり;ここでnは1〜5である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質キナーゼB(PKB/Akt)の阻害剤および/または活性化剤としての有用な新規化合物に関する。それとして、これらの化合物は癌の治療に有用であろう。
【背景技術】
【0002】
ホスホイノシチド3キナーゼ(以下、PI 3-キナーゼと記す)は、脂質キナーゼ活性を有する酵素の進化的な保存されたファミリーであり、これらは、細胞外刺激に対する刺激に対する応答において、シグナル伝達ポテンシャルを伴う3-リン酸化ホスホイノシチドのシリーズを生じることが可能である。得られるPI 3-キナーゼ活性の細胞効果は、多様であり、DNA合成、走化性、グルコース輸送および小胞輸送を含む。PI 3-キナーゼ自身の当該活性は、受容体チロシンキナーゼ、RasおよびヘテロトリマーG-タンパク質を含む多くのメカニズムを介して生じる。上述の効果の幾つかの原因であるPI-3キナーゼの一つのエフェクターは、タンパク質キナーゼB (PKB/Akt)であり、ウイルス腫瘍タンパク質v-aktの哺乳類の相同体である(Staal 1987)。PKBは、その二つの異なるサイトでのそのリン酸化と続く活性化を促進するそのPHドメインに対する3-ホスホイノシチドの結合を介して、成長因子の刺激に応答において原形質膜に補充される。第一のリン酸化サイト、トレオニン-308 (T308) は、PKBの活性化ループに位置し、ホスホイノシチド依存キナーゼ-1 (PDK-1) によりリン酸化される。第二のサイト、セリン-473 (S473) は、C末端の疎水性調節ドメインに位置し、未だ未知のキナーゼによりリン酸化される(Chang, Lee et al. 2003)。参考として、幾つかのS473候補キナーゼが想定され、PDK-1、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ2、インターグリン結合キナーゼ(intergrin-linked kinase; ILK)およびPKBそれ自身が含まれる (Brazil, Park et al. 2002; Hill, Feng et al. 2002)。これらの何れのキナーゼの何れか、またはこれまで未確認のキナーゼがこの特定のサイトのリン酸化の原因であるように見えるに留まる。AGCキナーゼファミリーの他のタンパク質キナーゼ、例えば、タンパク質キナーゼCd(PKCd)およびp70S6K は、それらの一致する残基のリン酸化を介す同じ活性化メカニズムを共有している(Newton 2003)。全ての前述のキナーゼの活性化が、LY294002およびウォルトマニン(wortmannin)によるPI-3キナーゼ阻害を受けやすい。
【0003】
全ての前述のキナーゼの活性は、LY294002およびウォルトマニンによるPI-3キナーゼ阻害に対して感受性である。PKBのエフェクターは、Bad、GSK-3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ3)およびmTOR (ラパマイシンの哺乳類のターゲット)を含む(Vivanco and Sawyers 2002)。mTORは、タンパク質合成のレギュレータであり、PKCdの活性化において機能する(Parekh, Ziegler et al. 2000)。PI3-キナーゼのように、mTORシグナリングの研究は、薬理学的薬剤の使用により助けられている。mTOR活性は、FKBP12へのその結合を介してラパマイシンにより阻害され、それにより阻害イベントは抹消からmTORに向かう(Sabers, Martin et al. 1995)。
【0004】
従って、ホスホイノシチドシグナリングは、細胞死、生存および運命の調節において重要な要素である。特に、細胞生存は、癌に対する自然防御の重要なメカニズムである。細胞生存は、ホスホイノシチド3-キナーゼ生成物により調節され、PKBまたはAktと称される特定のタンパク質キナーゼを次々に活性化する。PKB/Aktは、他のキナーゼによりリン酸化され、続いて、それ自身の触媒能力の完全な活性化が導かれ、従って、このタンパク質キナーゼカスケードを介して細胞生存シグナルが進行する。PKBリン酸化の制御における要素を解明することは、多くの研究グループおよび薬物開発チームの注目を集めている。
【発明の開示】
【0005】
今回、我々はPKBを阻害および/または活性化することができる化合物を確認した。
【0006】
従って、第一の側面において、本発明は、以下の式の化合物および薬学的に許容されるその塩のPKB活性の調節において使用される医薬の製造における使用を提供する:
【化28】

【0007】
ここで、 R1 は C1-5 アルコキシ、OCOC1-3アルキル、O(CH2)2O(CH2)2O(CH2)2OMe、 O(CH2)2O(CH2)2O(CH2)2OHまたはOHであり;
R2 は H、(CH2)nOH、OCH3、Hal または
【化29】

【0008】
であり、
R3 は Hまたは(CH2)nOHであり;および
R4 は C1-6 アルキルであり、これは任意に1以上の Hal、OH、COCH3、NH2、NHCH3、NHMe、NMe2、OCOCH3、CO2Hまたはそのエステルまたはそのアミドにより置換される;
ここで n は 1-5である。
【0009】
本発明に関連して、ハロゲンは、F、Cl、IまたはBrを意味し、好ましくは Cl、IまたはBrを意味する。
【0010】
本発明の目的のために、アルキルは、1〜6の炭素原子の直鎖および分枝のアルキルラジカルに関し、非限定的に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル n-ペンチル、n-ヘキシルを含む。特に、アルキルは、1、2、3、4、5または6 の炭素原子を有する基に関連する。用語アルキルはまた、シクロアルキルラジカルを含み、非限定的にシクロプロピル、シクロブチル、CH2-シクロプロピル、CH2-シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを含む。特に、シクロアルキルは、3、4、5または6 の炭素原子を有する基に関する。シクロアルキル基は、任意に1以上のカルボシクリルまたはヘテロシクリル基で置換されてもよく、または融合されてもよい。
【0011】
ここで、記載したとおり、本発明の当該化合物は、PKBの阻害剤および/またはアクチベーターとしての使用を見出したものであり、それにより癌の治療において使用される医薬を見出した。
【0012】
特に、当該化合物は、ここで記載されたようにPKBのアップレギュレーションが関連する癌、特にPTENの変異が共にアップレギュレーションすることが関連する癌における使用の発見を記載する。従って、癌、例えば、卵巣癌、乳癌、前立腺(プロストレート;prostrate)癌、甲状腺癌および膵臓癌などが特に本化合物の標的となる。
【0013】
ここでアクチベーターとして記載されたこれらの化合物は、癌死を阻止することにおいての使用が見出された。従って、それらは、再生できない組織、即ち、ニューロン(アルツハイマー、脳卒中など)または心臓(梗塞、低酸素)および骨格筋(スポーツ障害)(それぞれ、Glass 2003; Matsui, Nagoshi et al. 2003; Tatton, Chen et al. 2003)の退行性の障害、退行性の疾患の治療における使用を見出された。
【0014】
従って、第二の側面において、本発明は、ここで規定する一つまたは化合物と、任意に1以上の薬学的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤を含む医薬製剤を提供する。
【0015】
本発明の組成物は、投与用量あたり予め決められた量の各活性成分を単位用量形態で存在されてもよい。そのような単位は、化合物の5〜100mgを一日当たりで、更に5〜15mgを一日当たりで、10〜30mgを一日当たりで、25〜50mgを一日当たりで、40〜80mgを一日当たりで、または60〜100mgを一日当たりで提供するように適応されてもよい。式Iの化合物について、一日当たり100〜1000mgの範囲の用量、好ましくは一日当たり100〜400mg、一日当たり300〜600gmまたは一日当たり500〜1000mgの範囲の用量で提供される。そのような用量は、一回の投与量で、または多回の個別の投与量として提供されてもよい。最終的な投与量は、当然、治療される状態、投与経路および患者の年齢、体重および状態に依存するであろうし、医師の選択にもよるであろう。
【0016】
本発明の当該対象は、最も好ましくは適切な組成物の形態において投与される。適切な組成物として、それらは全身投与または局所投与する薬物のために通常使用される全ての組成物が引用されてもよい。薬学的に許容される担体は、実質的に不活性な、当該活性成分と作用しないようにするべきである。適切な化学作用を起こさない適切な不活性な担体には、水、アルコール、ポリエチレングリコール、鉱物油または石油ゲル、プロピレングリコールなどを含む。前記医薬製剤は、ヒトまたは獣医科用医薬において使用するために、何れかの都合のよい方法で投与されるために製剤化されてもよい。
【0017】
以下に詳細を記載する通り、本発明の当該医薬組成物は、固体または液体形態で投与されるために特に製剤化されてもよく、そのようなものは以下のためにアレンジされたものを含む:(1)経口投与、例えば、水薬(水性または非水溶液または懸濁液)、錠剤、巨丸剤、粉末、顆粒、舌に対して適用するためのペーストなど;(2)非経口投与、例えば、皮下、筋肉内または静脈内注射、例えば、滅菌溶液または懸濁液など;(3)局所適用、例えば、皮膚に適用するためのクリーム、軟膏またはスプレーなど;または(4)膣内または直腸内、例えば、ペッサリー、クリームまたはフォームなど。しかしながら、ある態様において、当該対象薬剤が単に滅菌水に溶解または懸濁されてもよい。ある態様においては、医薬製剤は非パイロジェンである、即ち、患者の体温を上げない。ここで使用される「有効量」は1以上の薬剤、物質または1以上の本発明の薬剤を含む組成物の動物におけるある所望の効果を生ずるために有効な量を意味する。薬物が使用されて治療効果を達成する場合に、「有効量」を含む活性用量は、治療される特定の状態を含む多くの状態、疾患の重症度、患者の大きさおよび健康、投与の経路などに依存して変化するであろうことが理解される。熟練した医者は、医薬分野において周知の方法を使用して容易に適切な用量を容易に決定することが可能である。「薬学的に許容される」の語は、ここで使用される場合、健全な医療判断の範囲において、過度の毒性、刺激、アレルギー性反応または他の問題または合併症、適切な利益/リスク比に相応しい、ヒトおよび動物の組織との接触における使用に適切なそれらの化合物、原料、組成物および/または投与量形態をいう。
【0018】
用語「薬学的に許容される担体」はここで使用される場合、薬学的に供される物質、組成物または媒体、例えば、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤または封入物質、当該対象薬剤を、収容する、または1つの器官または体の一部分から他の器官または体の部分に輸送することに関する包入材料などを意味する。それぞれの担体は、当該製剤の他の成分と混和しても化学反応を起こさないという意味において「許容できる」べきである。薬学的に許容される担体として役に立つ幾つかの材料の例は以下を含む:(1)糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロースなど; (2) デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなど; (3) セルロースおよびその誘導体、例えば、ナトリウム カルボキシメチル セルロース、エチル セルロースおよびセルロース アセテート; (4) 粉末化トラガカント; (5) モルト; (6) ゼラチン; (7) タルク; (8) 賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐薬ワックスなど; (9) オイル、例えば、ピーナツオイル、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーンオイルおよび大豆油など; (10) グリコール、例えば、プロピレングリコールなど; (11) ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール; (12) エステル、例えば、エチルオレエートおよびエチルラウラートなど; (13) 寒天; (14) 緩衝剤、例えば、 マグネシウムヒドロキシド(水酸化物)およびアルミニウムヒドロキシド(水酸化物); (15) アルギン酸; (16) パイロジェンフリーの水; (17) 等浸透圧塩; (18) リンガー溶液(Ringer's solution); (19) エチルアルコール; (20) リン酸緩衝液;および(21) 医薬製剤において使用される物質と他の無毒な混和しても化学反応を起こさない物質。ある態様において、1以上の薬剤は、基本の官能基、例えば、アミノまたはアルキルアミノを含んでもよく、従って、薬学的に許容される酸との薬学的に許容される塩を形成してもよい。
【0019】
用語「薬学的に許容される塩」は、この関係において、本発明の化合物の比較的非毒性の無機および有機酸付加塩をいう。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間の状況において、または本発明の精製されたその遊離塩基形態の化合物を適切な有機または無機酸と別々に反応させること、それにより形成された塩を単離することにより製造されてもよい。代表的な塩は、以下を含む;ハイドロブロミド、ハイドロクロライド、スルフェート、ビスルフェート、フォスフェート、ニトラート、アセテート、ヴァレレート、オレート、パルミテート、ステアレート、ラウレート、ベンゾエート、ラクテート、ホスフェート、トシレート、シトレート、マレエート、フマレート、スクシネート、タルトレート、ナフチレート、メシレート、グルコヘプトネート、ラクトビオネート、およびラウリルスルホネート塩など(Berge, Bighley et al. 1977)。当該薬剤の薬学的に許容される塩は、当該化合物の非毒性有機酸または無機酸からの慣習的な非毒性の塩または四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような慣習的な非毒性塩は、無機酸に由来する塩を含み、例えば、ハイドロクロライド、臭化水素、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など;および有機酸から調製された塩、例えば、酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸(salicyclic)、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、蓚酸、イソチオン酸などの酸から調製された塩。他の場合、1以上の薬剤が1以上の酸性官能基を含んでよく、従って、薬学的に許容される塩基と共に薬学的に許容される塩が形成されることも可能である。これらの塩は、同じく、化合物の最終的な単離および精製の間に、または遊離酸の形態にあるその精製された化合物と適切な塩基、例えば、薬学的に許容される金属カチオンのヒドロキシド(水酸化物)、カルボナートまたはビカルボナート、アンモニアまたは薬学的に許容される有機一級、二級または三級アミンなどとを別々に反応させることによりインサイチューで製造される。
【0020】
代表的なアルカリまたはアルカリ土類塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム塩などを含む。塩基付加塩の形成のために有用な代表的な有機アミンエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどを含む(例えば、Berge et al.、前出を参照されたい)。湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムなど、並びに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味料、および香料、保存剤および抗酸化剤が当該組成物において存在してもよい。薬学的に許容される抗酸化剤の例は以下を含む: (1) 水可溶性の抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システインハイドロクロライド、重硫酸ナトリウム、ナトリウムメタバイスルファイト、亜硫酸ナトリウムなど; (2) オイル可溶性の酸化防止剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル(ascorbyl palmitate)、ブチル化ヒドロキシアニソール(butylated hydroixyanisole )(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン (BHT)、レクチン、プロピルガラート、アルファ−トコフェロールなど;および(3) 金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸 (EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
【0021】
本発明の製剤は、適切な経口、経鼻、局所用(バッカルおよび舌下)、直腸、膣および/または非傾向的投与を含む。当該製剤は、都合よく単位投与形態であってよく、および薬学の分野においてそれ自身周知の何れかの方法により製造されてよい。担体物質と組み合わされて単一投与形態を形成する活性成分の量は、治療されるホスト、投与の詳細な様式に依存して変更されるであろう。担体物質と組み合わされて単一投与形態を形成する活性成分の量は、一般的に、治療効果を生じる当該化合物の量であるだろう。一般的に、100パーセント中、この量は、約1パーセントから約99パーセントの活性成分、好ましくは約5パーセントから約70パーセント、最も好ましくは約10パーセントから約30パーセントの範囲であろう。これらの製剤または組成物の製造方法は、薬剤と当該担体と、任意の1以上の付帯成分のアソシエーションに持ち込む工程を含む。一般的に、当該製剤は、一様におよび本質的に、本発明の薬物と液体担体または細かく分けられた固体担体またはその両方のアソシエーションに持ち込むこと、次に、必要であれば製品を形作ることにより製造される。
【0022】
経口投与に適切な本発明の製剤は、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、口内錠(香味付けた基礎原料、通常スクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントを使用する)、粉末、顆粒、または水性または非水性液体での溶液または懸濁液として、または水中油または油中水乳剤として、またはエリキシル剤またはシロップとして、またはトローチ(不活性な基礎材料、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムなどを使用して)、および/または口内洗浄剤などであってよく、各々は予め決定された量の本発明の化合物を活性成分として含有する。本発明の化合物はまた、食塊(bolus)、舐剤またはペーストとして投与されてもよい。本発明の経口投与用の固体投与量形態において(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒など)、当該活性成分は1以上の薬学的に許容される担体、例えば、ナトリウムシトラートまたはリン酸二カリルシウムなどと、および/または以下の何れかと混合される: (1) 充填剤またはエキステンダー、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸など; (2) 結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、オリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアラビアゴム; (3) 保湿剤、例えば、グリセロールなど; (4) 崩壊剤、例えば、寒天、カルシウムカルボナート、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、あるシリカート、および炭酸ナトリウム; (5) 溶液緩染剤、例えば、パラフィン; (6) 吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物; (7) 湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート; (8) 吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト白土; (9) 滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびその混合物;および(10) 着色剤。カプセル、錠剤、丸剤の場合、当該医薬組成物は、また緩衝剤を含んでもよい。同じ種類の固体組成物が、軟および硬充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として、例えば、賦形剤、例えば、ラクトースまたは乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用してよい。錠剤は、加圧またはモールディングにより、任意に1以上の付属の成分と共に作られてもよい。加圧された錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、ナトリウムデンプングリコーレートまたは架橋結合ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤または分散剤を使用して製造されてよい。成形された錠剤は、適切な機械において不活性液体希釈剤で示させた当該粉末化合物の混合物をモールディングすることにより形成されてよい。
【0023】
本発明の医薬組成物の錠剤および他の固体投与量形態、例えば、糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒剤は、任意にコーディングおよび外殻と共にスコアまたは製造してもよく、例えば、腸溶コーティングおよび薬学的製剤技術の分野において周知の他のコーティングなどと共にスコアまたは製造してもよい。それらはまた、製剤化されて、当該活性成分を緩徐または制御された放出が提供されるようにされてもよく、そこにおいて、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが所望の放出プロフィールを提供するように割合を変えて使用されてもよく、他の重合体マトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアが使用されてもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルターを経ての濾過により、または使用直前に滅菌水または何れか他の滅菌注射可能媒体に溶解できる滅菌固体組成物の形態において滅菌剤を組み込むことにより、滅菌されてもよい。これらの組成物はまた、任意に乳白剤を含んでもよく、任意に遅延されて単数または複数の当該活性成分をある部分の胃腸環においてのみまたは優先的に放出するものであってもよい。使用可能な抱埋組成物の例は、重合体物質およびワックスを含む。当該活性成分はまた、適切であれば、上述の賦形剤の1以上と共にマイクロカプセル形態に封入されてもよい。本発明の化合物の経口投与のための液体投与形態は、薬学的に許容されるエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含む。当該活性成分に加えて、当該液体投与形態が当該分野で通常使用される不活性な希釈剤、例えば、水、他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルボナート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プルオピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、オイル(特に、綿実油、ピーナッツ油、コーンオイル、胚芽油、オリーブオイル、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステルのソルビタン、およびその化合物などを含む。不活性化希釈剤の他にも、経口組成物はまた、補助剤、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味剤、着色剤、香料および保存剤などを含んでもよい。当該活性化合物に対して添加する懸濁液は、懸濁剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、マイクロ結晶セルロース、アルミニウムヒドロキシド(水酸化物)、ベトナイト、寒天およびトラガカントおよびその混合物などを含んでもよい。
【0024】
本発明の直腸投与または膣投与のための医薬組成物の製剤は、坐薬としてあってもよく、本発明の化合物を1以上を混合して、1以上の適切な非刺激性の賦形剤または担体と調製されてもよく、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコールなど、坐薬用ワックスまたはサリチラートなどを含んでもよく、室温で固体であり、体温で液体となってもよく、それにより直腸または膣腔において融解し、当該薬剤を放出してもよい。膣投与に適切な本発明の製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレーの製剤であってよく、前述のような適切な従来公知の担体を含んでよい。本発明の化合物の局所または経皮投与のための投与量形態は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤を含む。当該活性化合物は、滅菌条件下で、所望される薬学的に許容される担体および何れかの保存剤、緩衝剤またはプロペラントと混合されてもよい。
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、動物性および植物性脂肪、オイル、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ケイ素、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび亜鉛オキシドまたはその混合物を含んでもよい。粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、アルミニウム、ヒドロキシド(水酸化物)、カルシウムシリカートおよびポリアミド粉末またはこれらの物質の混合物を含んでよい。スプレーは、加えて、慣習的なプロペラント、例えば、クロロフルオロ炭化水素、揮発性の無置換炭化水素、例えば、ブタンおよびプロパンなどを含んでもよい。経皮用パッチは本発明の化合物を体に対して制御されたデリバリーを提供する付加的な利点を有してもよい。そのような投与量形態は、適切な媒体に当該薬剤を溶解または分散することにより製造され得る。吸収強化剤も使用され、皮膚を経て当該薬剤の流動を増加してもよい。そのような流動の速度は、速度制御膜を提供すること、または重合体マトリックスまたはゲルに当該化合物を分散することの何れかにより制御されてもよい。
【0025】
眼科用製剤、眼軟膏、粉末、溶液などもまた、本発明の範囲内であると意図される。本発明の適切な非経口投与のための医薬組成物は、1以上の本発明の化合物を1以上の薬学的に許容される滅菌等張性水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、または使用直前に滅菌注射可能な溶液または分散液に対して再構成され得る滅菌粉末と組み合わせにおいて含まれてよく、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、当該製剤を目的のレシピエントの血液と等張にする溶質、または沈殿防止剤または増粘剤を含んでもよい。本発明の医薬組成物において使用されてよい適切な水性および非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびその適切な混合物、植物油、例えば、オリーブオイルおよび注射可能な有機エステル、例えば、エチルオレエートなどを含む。適切な流動性が、例えば、コーティング物質、例えば、レクチンなどの使用により、分散液の場合において必要な粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持されてもよい。
【0026】
これらの組成物はまた、補助剤、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤なども含んでよい。微生物の活動の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの含有により確保すればよい。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを当該組成物に含めることも望ましい。加えて、遅延された吸収の注射可能な薬学的形態は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、アルミニウム、モノステアレートおよびゼラチンなどの含有により齎されてもよい。ある場合には、薬剤の効果を延長するために、望ましくは、皮下または筋肉内から当該薬剤の吸収を緩徐にする。これは、水可溶性に乏しい結晶または非晶形の原料の液体懸濁液の使用により達成されてよい。当該薬剤の吸収速度は従って、その溶解速度に依存し、同様に結晶サイズおよび結晶形態に依存してもよい。或いは、遅延された吸収の非経口投与される薬剤形態は、オイルベヒクル中に薬剤を溶解または懸濁することにより達成される。注射可能なデポ形態は、生分解性の重合体、例えば、ポリラクチド−ポリグリコリドなどにおいて対象化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより製造される。重合体に対する薬剤の割合および使用される特定の重合体に依存して、薬剤の放出速度が制御される。他の生分解性重合体の例は、ポリ(オルトエステル)およびポリ(アンヒドライド)を含む。デポの注射可能な製剤はまた、当該薬剤を体組織と適合するリポソームまたはミクロエマルジョンに封入することにより製造される。
【0027】
ここで記載される化合物が、医薬として、ヒトおよび動物に投与される場合、それらは、それ自体で、または例えば、0.1から99.5%(より好ましくは0.5から90%)の活性成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物として与えられる。上述の組成物から離れて、用途は、治療薬の適切な量を含むカバー、例えば、プラスター、バンデージ、ドレッシング、カーゼパッドなどからなされてもよい。上述で詳細を記載したとおり、治療学的組成物は、ステント、デバイス、補装具およびインプラントで投与/デリバリーされてもよい。
【0028】
第三の側面において、本発明は、医薬、特に癌治療における医薬において使用するためのここで規定された通りの化合物を提供する。
【0029】
ここで記載される化合物は、商業的な供給者より入手することが可能、または標準的な化学的方法および通常の知識をを用いて用意に合成することが可能である。
【0030】
加えて、以下の化合物は新規であり、本発明の更なる側面を形成する:
【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【0031】
および
【化44】

【0032】
最後に、本発明は式
【化45】

【0033】
の化合物、および薬学的に許容されるその塩を提供する;
ここで、 R5 は C1-5 アルコキシまたはOHであり;
R6 は C1-5 アルキルであり、任意にHal、NHCH3、CO2Hまたはそのエステルまたはアミドで置換される; 並びに
R7およびR8 は 独立して (CH2)qOH であり、ここで q は 2-5である。このような化合物のPKB活性の調節において使用するための医薬の製造における使用も提供される。
【0034】
本発明は、次の例に関してこれから記載するが、これらは本発明の範囲を限定するものとして作られたものではない。本発明の各側面の好ましい特徴は、必要な変更を加えた他の各側面のためのものでもある。
【0035】
例は図面に言及する:ここで、
図1は本願発明の化合物を示す;
図2はウェスタンブロットの結果を示し、本発明の種々の化合物で処理した場合のPKBのリン酸化について例証する:
図3は、本発明の化合物QがPKBのリン酸化を含むことを示す。緑色および青色の蛍光チャンネルのオーバーレイは、そこにおいて、S473におけるPKBのリン酸化がFITC標識されたリン酸特異的抗体による緑色染色の増加により示され、DAPI染色された核が疑似色の赤色で示される。上部のパネル:スターブドCo6細胞を血漿および/または15μg/ml cQで10分間処理したものを示す。下部のパネル:e)スターブドCo6細胞を非刺激濃度(0.2μg/ml)のインスリンで処理した。f) インスリンチャレンジの前の500nMのPTET阻害剤RV001での前処理は、PKBのリン酸化を誘導するために充分であった。これに対して、g)15μg/mlのcQは、PI(3,4,5)P3に媒介されるPKB活性を阻害した。h)PI3−キナーゼ阻害剤LY29400の100μMとの30分間のプレインキュベーションは(cと比較して)cQ誘導PKBリン酸化を増加した:
図4は、化合物Qがインスリン刺激アクチンリモデリングを阻害することを示す。赤(Fアクチン)およびブルー(核)の蛍光チャネルのオーバーレイ。表されるところは、スターブドCo6細胞を15μg/ml cQおよび/または5μg/mlインスリンで10分間刺激したところである。c)細胞を、100μM LY294002で30分間、刺激の前にプレインキュベーションした。ローダミン標識化ファロイジン染色は以下を示す;d) インスリンの重合体化Fアクチンへの刺激は形質膜に対して並列させ、後に、a)スターブド Cos6 繊維芽細胞は、リモデリングされたストレスファイバーを形成する。b)cAはまた、スターブド繊維芽細胞におけるストレスファイバーの減少も誘導する。しかしながら、インスリンとは異なり、cQは、c)PI3−キナーゼに依存せずに細胞骨格の再編成が可能であり、およびe)インスリン刺激によるストレスファイバーの崩壊を妨げる:および
図5は、更なるウェスタンブロットの結果を示し、本発明の種々の化合物でのPKBの活性化を示す。
【0036】
実験 ― 本発明の種々の化合物の合成
出発物質は、別に規定してなければ、商業的な供給者から得て、更なる精製なしで使用した。無水溶媒はHPLCグレードであった。全ての非水性反応は窒素雰囲気下で、オーブンまたはフレームドライグラスウェアを使用して行った。水は、脱イオン水をいい、塩水は飽和した塩化ナトリウム溶液をいう。溶媒は、減圧下、Buchi ロータリーエバポレーターを使用して除去した。フラッシュクロマトグラフィは、シリカゲル(35-70μm粒子)を使用して行った。薄層クロマトグラフィは、商業的に入手可能なプレコートアルミニウムプレートを使用して行った。プレートの視覚化は、蛍光クエンチング、またはKMnO4またはホスホモリブデン酸での染色により行った。
【0037】
1Hおよび13C NMR スペクトルは、Bruker Avance AMX-300 Fourier Transform spectrometerで記録した。ケミカルシフト値は、テトラメチルシランの100万分の1(ppm) ダウンフィールドで示し、およびカップリング定数(J)の値はHzの値で示した。NMRスペクトルは、別に規定していなければ300Kで記録した。
赤外スベクトルは、Shamadazu FTIR-8700赤外分光光度計を使用して記録した。融点は、Gallenkamp melting point apparatusで測定し、修正はしなかった。マススペクトルはマイクロマス LCT-KA111 エレクトロスプレーマススペクトロメーター(Micromass LCT-KA111 electrospray mass spectrometer)を使用して記録した。正確な分子量は、ロンドン大学化学部(the Department of chemistry,University College London)でスタッフにより実施された。
【0038】
3,3'-メチレンビス[1-(2-クロロエチル)-4-ヒドロキシベンゼン] − 化合物 C
全ての化学物質および試薬は、商業的な供給者;Sigma Aldrich Company Ltd、Avocado Research Chemicals LtdおよびLancaster Synthesisから入手し、更なる精製は行わなかった。溶媒は、他に記載がない限り、更なる精製を行わずに直接使用した。洗浄のために使用した水は脱イオンした。塩水は、飽和した水性塩化ナトリウムをいう。1H NMRおよび13C NMR 分光法は、Bruker instrument AMXを用いて300MHzおよび75MHzでそれぞれ実行した。IR スペクトルは、Nicolet FT-IRマシーンで得た。融点はGallenkamp melting point apparatusを使用して測定した。
【化46】

【0039】
硫酸(水中で25% w/w; 50ml、142.7 mmol)およびホルムアルデヒド(水中で37% w/v;1.2 ml、14.8 mmol)を4-ヒドロキシフェネチル塩化物(1.96 ml、12.5 mmol)に添加した。当該反応物をメカニカルスターラーを用いて攪拌し、還流下で2時間70℃で加温した。冷却後、水層を注ぎ出し、その残渣の白色固体をエチルアセテート(60 ml)に溶解した。その有機層を水(2 x 30 ml)と塩水(2 x 30 ml)で洗浄した。その有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)し、減圧下で蒸発して固体を得た。その生成物をクロロホルムから再結晶化することにより精製し表題化合物を白色粉末として得た(49%、0.987 g)。
【0040】
mp 161-165 ℃ (クロロホルム);
IR (nujol)/cm-1 1591m、1608m、2932w、3020w、3225s (O-H);
H(300 MHz; CDCl3) 3.01 (4H、t、J 7.4 Hz、2-H)、3.72 (4H、t、J 7.4 Hz 1-H)、3.93 (2H、s、CH2)、6.36 (2H、br、OH)、6.81 (2H、d、J 8.2 Hz、5-H)、7.00 (2H、dd、J 8.2および2.2 Hz、6-H)、7.15 (2H、d、J 2.2 Hz、2-H);
C(75 MHz; CDCl3) 32.5 (2H、ArCH2Ar)、38.5 (CH2CH2Cl,)、45.4 (CH2CH2Cl)、116.3、126.8、128.5、131.2、131.3、151.7;
m/z (FAB) 324 (M+、52%)、307 ([M-OH]、24)、289 ([M-OH-OH2]、24).
m/z HRMS 理論値 C17H18Cl2O2 [M] 324.06838、実測値 324.06843。
【0041】
4-(4-メトキシフェニル)-2-アミノブタン ハイドロクロライド − 化合物 M (MGN-M253) (S. K. Chattopadhyay、K. V. Sashidhara、V. Koneni、V.Tripathi、A. K.Tripathi、V. Prajapati、S. Kumar、U.S. (2001) 6252114)。
【化47】

【0042】
4-(4-メトキシフェニル)-2-ブタノン(2.09 g、11.74 mmol)、アンモニウムアセテート(9.06 g、11.75 mmol)およびナトリウムシアノボロ水素化物(0.52 g、0.82 mmol)のメタノール(30 ml)中の混合物を室温で72時間攪拌した。その反応混合物を濃HCl (10 ml)で酸性化し、その溶媒を減圧下で除去した。水を次に添加し、未反応の出発物質をジエチルエーテル(3 x 50 ml)を用いて抽出した。その水溶液をカリウムヒドロキシドペレットで塩基性にし、塩化ナトリウム(2 g)で飽和し、ジエチルエーテル(3 x 100 ml)で抽出した。その合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で蒸発させ、3-(4-メトキシフェニル)-1-メチルプロピルアミンを無色粘調性液体として得た。そのハイドロクロライドを次に20% HCl-メタノール(3 ml)をそのアミンに添加することにより調製した。その混合物を蒸発し乾燥しジクロロメタンから再結晶化して3-(4-メトキシフェニル)-1-メチルプロピルアミンハイドロクロライドを白色固体として得た(0.31 g、68%)。
【0043】
vmax(film)/cm-1 1514、1612、2937、2997、3423 (N-H stretch)。
【0044】
1H NMR (300 MHz; CDCl3) 1.52 (3H、d、J 6.6 Hz)、2.09 (2H、m)、2.88 (2H、m)、3.66 (1H、m)、4.01 (3H、s)、7.17 (2H、d、J 8.7 Hz)、7.45 (2H、d、J 8.7 Hz);
13C NMR (75 MHz; CDCl3) 17.7、30.1、36.0、47.6、55.7、114.5、129.8、133.9、157.5;m/z (ES+) 180 ([M-Cl]+、100 %);
m/z HRMS C11H18NO の理論値 [M + H ]+ 180.13883、実測値 180.13863。
【0045】
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-アニソール − 化合物 Fおよび化合物 Vの合成における使用のため(合成はB. Masci、S. Saccheo、tetrahedron、1993、49、10739 を参照されたい)
【化48】

【0046】
mp 98-100 ℃ (クロロホルム) (lit、103-104 ℃)
vmax (film)/cm-1 1475w、2835w、2850w、2910w、2935w、3180br、3290br (O-H stretch);
1H NMR (300 MHz; CDCl3) 2.32 (3H、s、1-H)、3.84 (3H,s、7-H)、4.70 (4H、s、6-H)、7.13 (2H、s、3-H);
13C NMR (75 MHz; CDCl3) 20.9 (CH3)、61.2、62.4、129.7、133.8、134.5、154.2;
m/z (ES+) 182 (M+、100%)、165 ([M-CH3]+、98).
[3-(3-ヒドロキシメチル-2-メトキシ-5-メチルベンジルオキシメチル)-2-メトキシ-5-メチルフェニル]-メタノール − 化合物 V (MGN-V481(di)).
【化49】

【0047】
工程 1: ワン(wang) (重合体結合 p-ベンジルオキシベンジル アルコール)樹脂(3.07 g、4.5 mmol)の乾燥ジクロロメタン(30 ml)中懸濁液に対して、トリクロロアセトニトリル (4.5 ml、44.88 mmol)を添加した。その混合物を0℃まで冷却し、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン (DBU) (0.3 ml、2.00 mmol)を滴下で添加し、その反応混合物を1時間0℃で振盪した。当該樹脂を、焼結ガラス漏斗に回収し、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン/メタノール (1:1)、メタノール、テトラヒドロフラン/メタノール (1:1)、テトラヒドロフランおよびジクロロメタンで連続して洗浄した。
【0048】
工程 2: 得られた樹脂(0.83 g、1.22 mmol)をテトラヒドロフラン(2 x 3 ml)で窒素下で洗浄し、および次に乾燥テトラヒドロフラン (20 ml)に懸濁した。アルコール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-アニソール(3.30 g、18.13 mmol)を添加し、その反応混合物を20分間振盪した。次に、ホウ素-トリフルオリドジエーテレート(0.093 ml、0.76 mmol)を滴下で添加し、その樹脂懸濁液を室温で18時間振盪した。その樹脂を焼結ガラス漏斗に回収し、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン/メタノール (1:1)、メタノール、テトラヒドロフラン/メタノール (1:1)、テトラヒドロフランおよびジクロロメタンで連続して洗浄した。
【0049】
工程 3: 当該樹脂の乾燥ジクロロメタン中の懸濁液に対して、当該樹脂を前段として洗浄した。その樹脂(0.17 g、0.25 mmol)を1% トリフルオロ酢酸/ ジクロロメタン (5.0 ml) 溶液に再懸濁した。その樹脂懸濁液を4時間振盪し、次に、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン/メタノール (1:1)、メタノール、テトラヒドロフラン/メタノール (1:1)、テトラヒドロフランおよびジクロロメタンで連続して洗浄した。その有機層を水 (2 x 50 ml)および塩水(2 x 40 ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、および減圧下で還元した。その生成物をHPLCで精製し、[3-(3-ヒドロキシメチル-2-メトキシ-5-メチル-ベンジルオキシメチル)-2-メトキシ-5-メチル-フェニル]-メタノール (MGN-V481(di))を得た (86%)。
【0050】
vmax(film)/cm-1 1385m、1614m、1682s、1714m、2928w、2964w、3418b (O-H stretch);
1H NMR (300 MHz; CDCl3) 2.32 (6H、s)、3.80 (6H、s)、4.62 (4H、s)、4.71 (4H、s)、7.13 (2H、s)、7.21 (2H、s);
13C NMR (75 MHz; CDCl3) 20.8、61.4、62.4、67.4、129.5、130.4、131.0、132.5、134.0、154.3;
m/z (ES+) 369 (M+ Na、100%);
m/z HRMS C20H26O5 の理論値 [M + Na] 369.16725、実測値 369.16726。
【0051】
[5-(2-クロロエチル)-3-ヒドロキシメチル-2-メトキシフェニル]-メタノール − 化合物 Z (MGN-Z594)
【化50】

【0052】
4-メトキシフェネチル塩化物 (5 ml)のジクロロメタン(40 ml)の溶液に対して、アルミニウム塩化物(9.67 g、72.52 mmol)を添加した。その混合物を氷中で冷却し、次にアセチル塩化物 (5.16 ml、72.46 mmol)を滴下により添加した。その反応混合物を還流下で55℃で18時間過熱した。一度冷却し、その反応混合物を氷中に用心深く注ぎ入れ、その生成物をジクロロメタン (3 x 80 ml)を使用して抽出した。その有機層を塩水(2 x 100 ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィ (溶出液: ジエチル エーテル/ヘキサン (1:3))で精製し、ビス-アセチル化中間体(4.05 g、64%)を得た。
当該中間体(2.58 g、10.73 mmol)およびカリウムカルボナート(3.00 g、21.72 mmol)のアセトン(30 ml)中の溶液に、ヨードメタン (1.34 g、21.44 mmol)を添加した。その反応物を還流下18時間加温した。一度冷却し、当該カリウムカルボナートを濾過し、多量のアセトン (3 x 100 ml)で完全に洗浄し、次に当該アセトンを減圧下除去した。その生成物をジエチルエーテル(60 ml)に再溶解し、水(2 x 40 ml)および塩水(2 x40 ml)で洗浄した。その生成物を減圧下で濃縮し、O-メトキシビス-アセチル化中間体(2.13 g、78%)を得た。
【0053】
無水物メタノール(7 ml)を当該O-メトキシ中間体(0.65 g、2.55 mmol)に窒素下添加し、次に0℃まで氷中で冷却した。13% 次亜塩素酸ナトリウム (24 ml、20.55 mmol)を滴下で添加し、その混合物を室温で18時間攪拌した。次に18.5%の塩酸水溶液(5 ml)をゆっくりと添加し、その混合物を室温で3時間攪拌した。その反応混合物を次に減圧下で濃縮し、無水物メタノール (10 ml)に窒素下再溶解した。その混合物を氷中で冷却し、チオニル塩化物(056 ml、7.64 mmol)を滴下により添加した。その混合物を次に18時間攪拌し、その溶媒および過剰なチオニル塩化物を減圧下で除去し、水(10 ml)を添加した。その中間体をジクロロメタン(3 x 15 ml)を用いて抽出し、塩水(2 x 20 ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。リチウムアルミニウム水素化物(0.17 g、4.52 mmol)のテトラヒドロフラン(8 ml)中の混合物に窒素下(予め30分間攪拌した)、テトラヒドロフラン(4 ml)中の中間体(0.41 g、1.42 mmol)を滴下により添加した。反応物を4時間室温で攪拌した。水(2 ml)、続いて2Mの水酸化ナトリウム(1.5 ml)および続いて再度水(2 ml)を注意深く添加した。その生成物をジクロロメタン(3 x 30 ml)で抽出し、[5-(2-クロロ-エチル)-3-ヒドロキシメチル-2-メトキシ-フェニル]-メタノールを青白黄色の粘性液体として得て(0.25 g、57%)、これをフラッシュクロマトグラフィにより精製した(溶出液:ジクロロメタン/メタノール、10:1)。
【0054】
1H NMR (300 MHz; CDCl3) 3.04 (2H、t、J 7.3 Hz)、3.66 (2H、t、J 7.3 Hz)、3.85 (3H,s)、4.73 (4H、s)、7.20 (2H、s);
13C NMR (75 MHz; CDCl3) 38.7、45.0、61.1、62.3、129.3、134.2、134.7、155.1;
m/z (ES+) 253 (M+ Na、100%)、219 ([(M-OH2) +Na]+、50);
m/z HRMS C11H15ClO3 の理論値 [M + Na] 253.06019、実測値253.06017。
【0055】
[3-ヒドロキシメチル-2-メトキシ-5-(2-メチルアミノ-エチル)-フェニル]-メタノール ハイドロクロライド − 化合物 A1 (MGN-A1598)
【化51】

【0056】
化合物 Z (72 mg、0.27 mmol)の溶液に対して、エタノール(2 ml、13.37 mmol)中で33 % のメチルアミンを添加し、その反応物を10日間室温で攪拌した。当該溶媒を減圧下で除去し、当該反応混合物に水を添加し、続いて1Mの塩酸 (1 ml)を添加した。その有機層をジエチルエーテルを用いて抽出した。その水層を2Mカリウムヒドロキシド(0.5 ml)で塩基性化し、その生成物を減圧下で濃縮して、オレンジ色の液体を得た。18.5%の塩酸/メタノール (0.1 ml)を当該アミン生成物に添加し、30分間攪拌した。当該溶液を減圧下で還元し、その生成物を水 (30 ml)とジクロロメタン (2 x 20 ml)との間で分離した。水層を減圧下で還元し、化合物 A1、3-ヒドロキシメチル-2-メトキシ-5-(2-メチルアミノエチル)-フェニル]-メタノールハイドロクロライド (63 mg、89%)を得た。
【0057】
vmax(film)/cm-1 1477s、1633w、1649w、1710w、2885w、2962w、3362br (N-H stretch);
1H NMR (300 MHz; CDCl3) 2.61 (3H、s)、2.92 (2H、t、J 7.5 Hz)、3.13 (2H、t、J 7.5 Hz)、3.71 (3H、s)、4.60 (4H、s)、7.22 (2H、s);
13C NMR (75 MHz; CDCl3) 31.5 (C-1)、33.2 (C-4)、50.4 (C-3)、58.9 (C-9)、62.9 (C-10)、130.0 (C-6)、133.4 (C-7)、134.3 (C-5)、154.7(C-8);
m/z (ES+) 226 [M-Cl]+、100%);
m/z HRMS の C12H20ClNO3 の理論値 [M-Cl]+ 226.14377、実測値 226.14381。
【0058】
1-[5-(2-クロロエチル)-2-ヒドロキシフェニル]-エタノン − 化合物 B1 (MGN-B1558F1)および1-[5-(2-クロロエチル)-2-メトキシフェニル]-エタノン 化合物 C1 (MGN-C1557F2)
【化52】

【0059】
アルミニウム塩化物 (764 mg、5.73 mmol)を、4-メトキシフェネチル塩化物 (0.4 ml、2.64 mmol)のジクロロメタン中の溶液に対して窒素下で添加した。その混合物を氷中0℃まで冷却し、次にアセチル塩化物 (0.41 ml、5.76 mmol)を滴下により添加した。その反応混合物を室温で24時間攪拌した。その混合物を注意深く氷中に注ぎいれ、その有機層をジクロロメタン(3 x 30 ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。その生成物をフラッシュクロマトグラフィ(溶出液: ジエチルエーテル/ヘキサン、1:4)を介して精製し、1-[5-(2-クロロ-エチル)-2-ヒドロキシ-フェニル]-エタノン (MGN-B1558F1) (24 mg、5%)および1-[5-(2-クロロ-エチル)-2-メトキシ-フェニル]-エタノン (MGN-C1557F2) (11 mg、2 %) を当該反応物からバイプロダクト(bi-products)として得て、ビス−アシル化生成物を産生した。
【0060】
B1
vmax(film)/cm-1 1487s、1620m、1643s、1650s、2959m、3011w;
1H NMR (300 MHz; CDCl3) 2.63 (3H、s)、3.03 (2H、t、J 7.1 Hz)、3.70 (2H、t、J 7.1 Hz)、6.95 (1H、d、J 8.5 Hz)、7.34 (1H、J 8.5 Hz)、7.58 (1H、s);
13C NMR (75 MHz; CDCl3) 26.8、39.2、45.2、118.8、119.9、128.6、130.9、137.1、161.5、204.5;
m/z (ES+) 199 ([M+H]+、100%);
m/z HRMS の C10H11ClO2 の理論値 [M+H]+ 199.05258、実測値 199.05115。
【0061】
C1
1H NMR (300 MHz; CDCl3) 2.61 (3H、s、11-H)、3.02 (2H、t、J 7.2、2-H)、3.69 (2H、t、J 7.2 Hz、1-H)、3.90 (3H、s、9-H)、6.93 (1H、d、J 8.4 Hz、6-H)、7.33 (1H、d、J 8.4 Hz、4-H)、7.56 (1H、s、5-H);
13C NMR (75 MHz; CDCl3) 32.0、38.1、45.1、55.7、111.9、128.3、130.4、130.7、134.3、158.1、199.6;
m/z (ES+) 235 ([M-Na]+、100 %)。
【0062】
{6-[5-(2-クロロ-エチル)-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-オキソ-ヘキシル}-カルバミン酸 9H-フルオレン-9-イルメチル エステル:化合物 F1へのルート
【化53】

【0063】
Fmoc-E-Ahx-OH (2.00 g、5.66 mmol)の乾燥ジクロロメタン (10 ml)中の溶液に対して、滴下でチオニル塩化物(2.5 ml、34.2 mmol)を添加した。当該溶液を40℃で15分間加温した。その溶媒および過剰のチオニル塩化物を減圧下で蒸発し、残った白色固体を更に精製せずに使用した。当該アシル塩化物に対して、ニトロベンゼン* (20 ml)と続いてニトロベンゼン(10 ml)中の4-ヒドロキシフェネチル塩化物 (0.920 g、5.7 mmol)を添加した。当該溶液を0℃に冷却し、アルミニウム塩化物(2.6 g、19.5 mmol)を分割して添加した。その溶液を57℃に16時間加温した。水(20 ml)を添加し、その混合物をジエチルエーテル(2 x 50 ml)で抽出した。合わせた有機相をMgSO4上で乾燥し、その溶媒を減圧下で蒸発した。粗混合物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(クロロホルム、次いでクロロホルム/MeOH 5%)**を使用して精製し、表題化合物(0.90 g、34%)を得た。
【0064】
1H NMR (400 MHz; CDCl3) d 12.27 (1H、s、OH)、7.76 (2H、d、J 7.5 Hz、H- Fmoc)、7.58 (3H、m、H-Fmoc、H-Ar)、7.39 (2H、t、J 7.4 Hz、H-Fmoc)、7.32 (3H、m、H-Fmoc、H-Ar)、6.94 (1H、d、J 8.5 Hz、H-Ar o-OH)、4.83 (1H、t broad、NH)、4.40 (2H、d、J 6.8 Hz、COOCH2CH)、4.21 (1H、t、J 6.6 Hz、COOCH2CH)、3.69 (2H、t、J 7.0 Hz、CH2Cl)、3.2 (2H、q、J 6.4 Hz、CH2 NH)、3.0 (4H、m、CH2CH2Cl、CH2OAr)、1.76 (2H、m、CH2CH2)、1.55 (2H、m、CH2CH2)、1.44 (2H、m、CH2CH2)
13C NMR (100 MHz; CDCl3) d 207.1 (CO)、161.4 (Ar C-1)、156.4 (NHCOO)、143.9 (C-q)、141.3 (C-q)、136.7 (C-q)、130.0 (Ar-CH)、128.4 (Ar-CH)、127.6 (Ar-CH)、126.9 (Ar C-H)、124.9 (Ar C-H)、119.9 (Ar C-H)、119.0 (Ar C-H)、118.8 (Ar C-H)、66.5 (COOCH2)、53.4 (CH2CO)、47.2 (COOCH2CH)、45.0 (CH2Cl)、40.7 (CH2CH2Cl)、38.0 (CH2NHCOO)、29.8 (CH2)、26.2 (CH2)、23.8 (CH2)
m/z FAB 514 [(M+Na)、100%]
注:
* 炭素テトラ塩化物は、先に溶媒として使用し、次に幾つかの先の文献の手続きを使用したが、不運にも単離できた唯一の生成物は以下であった。
【化54】

【0065】
** クロロホルムを最初に使用し、ニトロベンゼンを除去し、次に、極性を高め(メタノール/クロロホルム)で、その生成物を溶離できる。しかしながら、当該生成物と共に流れる少しの不純物があり、そのために、使用するメタノールの量はクロロホルム中で2-5%であった。
【0066】
{6-[5-(2-クロロエチル)-2-ヒドロキシフェニル]-6-ヒドロキシルヘキシル}−カルバミン酸 9H−フルオレン−9−イルメチル エステル
【化55】

【0067】
Fmocケトン(0.200 g、0.40 mmol)の乾燥メタノール(8 ml)*中の溶液に対して、NaBH4 (20 mg、0.52 mmol)を添加した。その溶液を還流下16時間で加温し、次に、溶媒を減圧下で除去した。その残基をクロロホルムに再溶解し、水(10 ml)および塩水(10 ml)で洗浄した。当該有機相をMgSO4で洗浄し、その溶媒を減圧下で蒸発した。その残渣をフラッシュクロマトグラフィ(クロロホルム/MeOH、7/1)**を使用して精製し、表題化合物を得た(0.100 g、50 %)。
【0068】
1H NMR (400 MHz; CDCl3) d 7.95 (1H、s broad、OH)、7.75 (2H、d、J 7.5 Hz、H-ArFmoc)、7.57 (2H、d、J 7.5 Hz、H-ArFmoc)、7.39 (2H、t、J 7.4 Hz、H-ArFmoc)、7.30 (2H、t、J 7.4 Hz、H-ArFmoc)、6.98 (1H、J 8.2 Hz、H-Ar)、6.80 (1H、d、J 8.2 Hz、H-Ar)、6.78 (1H、s、H-Ar)、4.80-4.77 (2H、m、NH、CHOH)、4.40 (2H、d、J 6.7 Hz、COOCH2CH)、4.20 (1H、t、COOCH2CH)、3.64 (2H、t、J 8.0 Hz、CH2Cl)、3.10 (2H、m、CH2NH)、2.94 (2H、t、J 7.4 Hz、CH2CH2Cl)、1.76 (1H、m、CH2CH2)、1.70 (1H、m、CH2CH2)、1.48-1.35 (6H、m、CH2CH2)
13C NMR (100 MHz; CDCl3) d 156.6 (NHCOO)、154.4 (Ar C-1)、143.9 (C q)、141.3 (C q)、129.1 (C q)、129.0 (Ar C-3)、127.6 (Ar C-5)、127.5 (Ar Fmoc C-3)、127.0 (Ar Fmoc C-4)、124.9 (Ar Fmoc C-5)、119.9 (Ar Fmoc C-2)、117.3 (Ar C-2)、75.6 (CHOH)、66.5 (COOCH2)、47.2 (COOCH2CH)、45.3 (CH2Cl)、40.6 (CH2CH2Cl)、38.3 (CH2NHCOO)、37.0 (CH2CHOH)、29.8 (CH2)、25.9 (CH2)、24.9 (CH2)。
【0069】
2-(6-アミノ-1-ヒドロキシヘキシル)-4-(2-クロロエチル)-フェノール − 化合物 F1
【化56】

【0070】
DMF(5ml)中の化合物Fmocアルコール(0.36mg、0.073mmol)溶液に対して、ピペリジン(1 ml)を添加した。その溶液を室温で20分間攪拌し、その溶媒を次に高い減圧下で蒸発した。その固体をクロロホルム中に溶解し、ヘキサンで徹底的に洗浄した。化合物F1が最終的に収率75%*で得られた。
【0071】
1H NMR (500 MHz; CD3OD) d 7.13 (1H、s、H-5)、6.94 (1H、d、J 8.1 Hz)、6.67 (1H、d、J 8.1 Hz)、4.94 (1H、m、CHOH)、3.66 (2H、t、J 7.1 Hz、CH2Cl)、2.93 (2H、t、J 7.3 Hz、CH2CH2Cl)、2.84 (2H、t、J 7.5 Hz、CH2NH2)、1.72 (2H、m、CH2CHOH)、1.60 (2H、m、CH2)、1.5-1.4 (4H、m、CH2CH2)
13C NMR (125 MHz; CD3OD) d 154.3、132.1、130.4、129.2、128.0、116.2、70.4 (CHOH)、46.3 (CH2Cl)、40.9 (CH2NH2)、39.7 (CH2CH2Cl)、38.5 (CH2)、29.1 (CH2)、27.4 (CH2)、26.5 (CH2)
m/z ES(+) 272.2 [M+H、100%]。
【0072】
(3-ブロモプロピル)フェノール − 化合物 K1 (JW4) (C. J. Cooksey、P. J. Garratt、E. J. Land、S. Pavel、C. A. Ramsden、P. A. Riley、N. P. M. Smit、J.Biol. Chem.、1997、272、26226)。
【化57】

【0073】
3-(4-ヒドロキシフェニル)-1-プロパノール (2.50 g、16.5 mmol)、硫酸 (1 ml)および水性臭化水素酸(48%、15 ml)の溶液を還流下6時間加温し、室温までの冷却後、その反応混合物を飽和ナトリウムヒドロゲンカルボナート溶液で中和し、次にエチルアセテート(3 x 60 ml)で洗浄した。その合わせた有機層を塩水 (100 ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム縦横で乾燥し、次いで減圧下で濃縮した。シリカ上でのフラッシュクロマトグラフィ(ジクロロメタン)による精製により、表題化合物を青白黄色固体として得た(2.70 g、78%)。
【0074】
1H NMR (300 MHz; CDCl3) 2.15 (2H、tt、J 6.6、6.6 Hz)、2.78 (2H、t、J 6.6 Hz)、3.38 (2H、t、J 6.6 Hz)、6.79 (2H、d、J 9.0 Hz、Ph-H)、7.06 (2H、d、J 9.0 Hz、Ph-H);
13C NMR (75.5 MHz; CDCl3) 33.0、33.2および34.4、115.3、129.7、132.8、153.8.
m/z (-ES) 215 (100、[M-H]-)。
【0075】
2-(4-メトキシフェニル)-N,N-ジメチルエタンアミン−化合物 O1 (JW8) (Y. Sato、H. Sakakibara、J. Organometallic Chem. 1979、166、 303.)
【化58】

【0076】
3-(4-メトキシフェニル)-1-エタノール (0.30 g、1.39 mmol)およびジメチルアミン溶液(THF中で2.0 M、2 mL、4.00 mmol)の溶液を、シールしたチューブ中で室温で18時間攪拌した。その反応物を減圧下で濃縮した。シリカ上でのフラッシュクロマトグラフィによる精製(ジクロロメタン中での10% メタノール)により、表題化合物は白色固体(155 mg、55%)を得た。
【0077】
1H NMR (300 MHz; CDCl3) 2.67 (6H、s)、2.99 (4H、m)、3.83 (3H、s)、6.75 (2H、d、J 8.6 Hz、Ph-H)、7.08 (2H、d、J 8.6 Hz、Ph-H);
13C NMR (75.5 MHz; CDCl3) 30.7、43.6、55.3、59.7、114.2、128.6、129.7、158.6;
m/z (+ES) 180 (100、MH+).
4-(3-(メチルアミノ)プロピル)フェノール − 化合物 Q1/K2
【化59】

【0078】
4-(3-ブロモプロピル)フェノール (2.00 g、10.1 mmol)およびtert-ブチルジメチル塩化物(1.68 g、11.1 mmol)のTHF (40 ml)中での溶液に対して、ゆっくりとイミダゾール(1.88 g、27.6 mmol)を添加した。当該反応混合物を4時間攪拌し、濾過し、その後減圧下で濃縮した。その濃縮した濾液をエチルアセテート(60ml)中に再溶解し、水(60ml)、飽和ナトリウムヒドロゲンカルボナート溶液(60 ml)および塩水(60 ml)で洗浄した。その有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、次に減圧下で濃縮した。シリカ上でのフラッシュクロマトグラフィによる精製(ヘキサン中の5% ジクロロメタン) により、シリル化フェノールを無色オイルとして得た(2.95 g、89%)。
【0079】
1H NMR (300 MHz; CDCl3) -0.01 (6H、s)、0.98 (9H、s)、2.12 (2H、tt、J 6.6、6.6 Hz)、2.70 (2H、t、J 6.6 Hz)、3.38 (2H、t、J 6.6 Hz)、6.76 (2H、d、J 8.5 Hz、Ph-H)、7.04 (2H、d、J 8.5 Hz、Ph-H);
13C NMR (75.5 MHz; CDCl3) -4.4、18.2、25.7、33.1および34.4、120.0、129.4、133.1、154.0;
m/z (+ES) 353 (40、[M+Na] +)、360 (100)。
【0080】
シリル化中間体の溶液(0.50 g、1.52 mmol)およびメチルアミン溶液(エタノール中で33%、1 ml)をシールしたチューブ内で室温で18h攪拌した。その反応混合物を減圧下で濃縮し、次に濃縮したHCl/ 水/メタノール (1:1:5、21 ml)の溶液に再溶解した。得られた混合物を更に72h攪拌し、次に、飽和ナトリウムヒドロゲンカルボナート溶液で中和し、エチルアセテート(3 x 30 ml)で抽出した。その合わせた有機層を塩水(50 ml)し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで、減圧下で濃縮した。シリカ上でのフラッシュクロマトグラフィによる精製(水性アンモニア溶液/メタノール/ジクロロメタン、5:20:75)により、当該化合物 Q1 を青白黄色固体として得た(56 mg、22%)。
【0081】
1H NMR (300 MHz; CDCl3) d 1.83 (2H、tt、J 7.4、7.5 Hz)、2.43 (3H、s)、2.54 (2H、t、J 7.4 Hz、CH2)、2.63 (2H、t、J 7.5 Hz、CH2)、6.76 (2H、d、J 8.5 Hz、Ph-H)、6.93 (2H、d、J 8.5 Hz、Ph-H);
13C NMR (75.5 MHz; CDCl3) d 30.7、32.5、35.6、50.9、115.7、129.3、132.1、155.3;
m/z (+ES) 165 (100、MH+)。
【0082】
4-(2-(ジメチルアミノ)エチル)フェノール − 化合物 T1/L2 (JW32) (H. Voswinckel、Ber. 1912、45 1004)
【化60】

【0083】
4-メトキシフェンエチルブロミド(0.20 g、0.93 mmol)およびジメチルアミン (THF 中で2.0 M、2 ml)の溶液を、シールしたチューブ内で室温で18h攪拌した。その反応混合物を減圧下で濃縮し、ジクロロメタン(2 ml)に再溶解した。0℃に冷却した後に、ホウ素トリブロミド(ヘキサン中1.0 M、1.00 ml)を滴下で添加し、その溶液をこの温度で10分間攪拌した。水(20 ml)を滴下で添加し、その混合物を30分間攪拌した。室温まで温まった後、その反応混合物をジクロロメタン (3 x 20 ml)で抽出した。その合わせた有機層を塩水(30 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、次に減圧下で濃縮した。シリカ上でのフラッシュクロマトグラフィによる精製(水性アンモニア溶液/メタノール/ジクロロメタン、5:20:75)により、表題化合物を白色固体(61 mg、40%)として得た。
【0084】
1H NMR (400 MHz; CD4OD) d 2.31 (6H、s)、2.54 (2H、m、CH2)、2.65 (2H、m、CH2)、6.67 (2H、d、J 8.4 Hz、Ph-H)、6.99 (2H、d、J 8.4 Hz、Ph-H);
13C NMR (100 MHz; CD4OD) d 34.5、46.1、63.5、117.2、131.4および132.3、157.8;
m/z (+ES) 166 (100、MH+)。
【0085】
2-(4-{2-[2-(2-メトキシエトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-フェニル)-エタノール − 化合物 X1 (JMB1)
【化61】

【0086】
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(0.50 ml、3.1 mmol)のジクロロメタン中の溶液(5 ml)にp-トルエンスルホニル塩化物(715 mg、3.75 mmol)およびトリエチルアミン (0.52 ml、3.8 mmol)を添加し、その反応混合物を室温で24h、窒素下で攪拌した。その溶液を水で洗浄(3 x 5 ml)し、その有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。ジクロロメタンを減圧で除去し、粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィにより精製(溶出液;エチルアセテート/ヘキサン、2:1)し、トルエン-4-スルホン酸 2-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチル エステルを透明オイルとして得て(870 mg、88%)、これを次のカップリング工程において使用した。
【0087】
H (300 MHz; CDCl3) 2.44 (3H、s、CH3Ar)、3.37 (3H、s、CH3OCH2)、3.53 (2H、m、PEG)、3.61 (8H、m、PEG)、3.68 (3H、t、J 4.8 Hz、CH2CH2OTs)、4.16 (3H、t、J 4.9 Hz、CH2OTs)、7.34 (2H、d、J 8.1 Hz)、7.80 (2H、d、J 8.3 Hz);
C (75 MHz; CDCl3) 21.4、58.9、68.5、69.0、70.4、70.6、71.7、127.8、129.6、132.9、144.6;
m/z (ES+) 341 ([M + Na]+、C14H22O6S、100 %)、319 ([M + H]+、25%)。
【0088】
THF (5 ml)中の2-(4-ヒドロキシフェニル)エタノール(100 mg、7.24 x 10-1 mmol)の溶液に対して、ナトリウム水素化物(60% in mineral oil、48 mg、0.72 mmol)を室温で窒素下で攪拌しながら添加した。上記のトシル化したPEG(230 mg、7.24 x 10-1 mmol)を添加し、その溶液を16時間還流下で加温した。その溶液を室温まで冷却し、水(5 ml、1 ml min-1)を滴下で、攪拌しながら添加した。その溶液をクロロホルム (10 ml)で抽出し、その有機層を分離し、水(3 x 5 ml)で洗浄した。その有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去し、表題化合物をオレンジ色のオイルとして得た(146 mg、67%)。
【0089】
H (300 MHz; CDCl3) 2.80 (2H、t、J 6.5 Hz、CH2CH2OH)、3.37 (3H、s、CH3OCH2)、(3.55、2H、m、PEG)、3.64-3.74 (10H、m、PEG)、3.85 (2H、t、J 5.2 Hz、CH2OH)、4.11 (2H、t、J 4.7 Hz、CH2OAr)、6.83 (2H、d、J 8.6 Hz)、7.13 (2H、d、J 8.6 Hz);
C (75 MHz; CDCl3) 38.3 (CH2CH2OH)、59.0、63.8 (CH2OH)、67.5、69.8、70.6、70.7、70.8、72.0、114.8、129.9、130.6、157.5;
m/z (ES+) 307 ([M + Na]+、C15H24O5、100%)、285 ([M + H]+、55%)。
【0090】
化合物 Y1 (JMB2)
【化62】

【0091】
化合物 X1 (50 mg、0.18 mmol)のジクロロメタン(5 ml)中の溶液に、ジメチルホルムアミド (〜0.001 ml、cat.)およびチオニル塩化物(0.03 ml、0.2 mmol)を添加し、その反応混合物を窒素下16h、室温で攪拌した。その溶液を水 (3 x 5 ml)で洗浄し、その有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥した。ジクロロメタンを減圧下で除去し、その粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィにより分離し(溶出液;クロロホルム/メタノール、95:5)、黄色オイルとしてY1を得た(39 mg、72%)。
【0092】
H (300 MHz; CDCl3) 3.00 (2H、t、J 7.4 Hz、CH2CH2Cl)、3.38 (3H、s、CH3OCH2)、3.56 (2H、m、PEG). 3.65-3.74 (8H、m、CH2ClおよびPEG)、3.85 (2H、t、J 4.8 Hz、CH2CH2OAr)、4.11 (2H、t、J 4.7 Hz、CH2OAr)、7.87 (2H、d、J 8.6 Hz)、7.13 (2H、d、J 8.6 Hz);
C (75 MHz; CDCl3) 38.4 (CH2CH2Cl)、45.2 (CH2Cl)、59.0、67.4、69.8、70.6、70.7、70.8、71.9、114.7、129.8、130.4、157.8;
m/z (ES+) 325 ([M + Na]+、C15H23O4Cl、100%)。
【0093】
4-(2-クロロエチル)-2-(5-(2-クロロエチル)-2-{2-[2-(2-メトキシエトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-ベンジル)-フェノール − 化合物 A2/P2 (JMB4)
【化63】

【0094】
塩素化したダイマー(105 mg、3.23 x 10-1 mmol)のジメチルホルムアミド (5 ml)中の溶液に、トシル化PEG (X1を参照されたい)(103 mg、3.23 x 10-1 mmol)、カリウムカルボナート(45 mg、0.32 mmol)および18-Crown-6 (86 mg、0.32 mmol)を添加し、その溶液を室温で16h、窒素化で攪拌した。水 (5 ml)を添加し、その溶液をエチルアセテート (3 x 5 ml)で抽出した。その合わせた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、その溶媒を減圧下で除去した。シリカカラムクロマトグラフィによる粗生成物の分離(溶出液;クロロホルム/メタノール、95:5)、表題化合物を無色オイルとして得た(4 mg、0.009 mmol、4%)。
【0095】
m/z (ES+) 493 ([M + Na]+、C24H32O5Cl2、50%)、187 (100%)。
【0096】
2-ブロモ-4-(2-クロロエチル)-フェノール − 化合物 C2 (RB2B)
【化64】

【0097】
臭素 (0.20 ml、3.90 mmol)を0℃で攪拌している4-(2-クロロエチル)-フェノール (600 mg、3.83 mmol)のクロロホルム (20 ml)の溶液に添加し、その反応混合物を3.5時間攪拌した。その反応混合物を飽和したナトリウム水素カルボナート溶液(20 ml)で失活した。その有機層を分離し、水 (3 x 20 ml)および塩水(20 ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧下で蒸発し、フェノールをオレンジ色オイルとして得た(804 mg、89%)。
【0098】
RF 0.21 (4:1 ヘキサン:エチル アセテート);
vmax/cm-1 (film) 3501、1607、1497、1123、914および822;
H (300 MHz; CDCl3) 7.40 (1H、s、Ar)、7.08 (2H、d、J 8.3 Hz、Ar)、6.97 (1H、 d、J 8.3 Hz、Ar)、5.56 (1H、s、OH)、3.67 (2H、t、J 7.2 Hz、CH2Cl)、2.98 (2H、t、J 7.2 Hz、CH2Ar);
C (75 MHz; CDCl3) 151.2、132.1、131.8、116.1、110.2、44.9および37.9;
m/z (CI+) 実測値 M+ 234.9530; C8H8BrClO 理論値 M+ 234.9525.
2-(4-メトキシフェニル)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムブロミド − 化合物 G2 (JW29) (J. R. I. Eubanks、L. B. Sims、A. Fry、J. Am. Chem. Soc. 1991、 113、 8821)
【化65】

【0099】
4-メトキシフェンエチル ブロミド(0.20 g、0.93 mmol)および水性トリメチルアミン(45%、0.22 ml)のTHF (0.5 ml)中の溶液をシールしたチューブ内で50℃で18時間攪拌した。室温まで冷却した後、得られた混合物を飽和したナトリウムヒドロゲンカルボナート溶液で中和し、次にエチルアセテートで抽出した(3 x 10 ml)。その合わせた有機層を塩水で洗浄し(20 ml)、硫酸マグネシウム上で乾燥し、次に減圧下で濃縮した。シリカ上でのフラッシュクロマトグラフィ(ジクロロメタン中10% のメタノール)による精製により、表題化合物を青白黄色固体として得た (0.15 g、63%)。
【0100】
H (300 MHz; CD4OD) 3.08 (2H、m)、3.24 (9H、s)、3.56 (2H、m)、3.76 (3H、s)、6.89 (2H、d、J 8.6 Hz、Ph-H)、7.26 (2H、d、J 8.6 Hz、Ph-H);
C (100 MHz; CD4OD) 29.4、53.8、55.8、68.6、115.4、129.5および131.2、160.4;
m/z (+ES) 194 (50、MH+)、135 (100、[M-NMe3]+)。
【0101】
4-(2-(メチルアミノ)エチル)フェノール − 化合物 H2 (JW32) (V. N. Bulavka、A. N. Shchavlinskii、O. N. Tolkachev、Proc. ECSOC-3 and ECSOC-4 Sept. 1-30、1999 and 2000、142-146)
【化66】

【0102】
4-メトキシフェンエチルブロミド(0.20 g、0.93 mmol)およびメチルアミン(エタノール中33%、2 ml)をシールしたチューブ内で室温で18時間で攪拌した。当該反応混合物を、減圧下で蒸発し、次にジクロロメタン(2 ml)に再溶解した。0℃まで冷却した後、ホウ素トリブロミド (ヘキサン中で1.0 M、1.00 ml)を滴下で添加し、その溶液をこの温度で10分間攪拌した。水 (20 ml)を滴下で添加し、その混合物を30分間攪拌した。室温まで戻した後、その反応混合物をジクロロメタン (3 x 20 ml)で抽出した。その合わせた有機層を塩水(30 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、次に減圧下で濃縮した。シリカ上でのフラッシュクロマトグラフィによる精製で(水性アンモニア溶液/メタノール/ ジクロロメタン、5:20:75)、表題化合物を白色固体として得た(54 mg、36%)。
【0103】
1H NMR (400 MHz; CD4OD) 2.42 (3H、s)、2.71-2.84 (4H、m)、2.65 (2H、m、CH2)、6.74 (2H、d、J 8.5 Hz、Ph-H)、7.05 (2H、d、J 8.5 Hz、Ph-H);
13C NMR (100 MHz; CD4OD) 36.2および36.6、55.0、117.3、131.5および132.0、157.9;
m/z (+ES) 152 (40、MH+)、120 (100、[M-NMe3]+)。
【0104】
1-(3-ブロモプロピル)-4-メトキシベンゼン − 化合物 I2 (JW31) (A. P. Tamiz、E. R. Whittemore、R. M. Woodward、R. B. Upasani、J. F. W. Keana,biorg. Med. Chem. Lett. 1999、9、1619.)
【化67】

【0105】
3-(4-メトキシフェニル)-1-プロパノール (2.72 g、16.5 mmol)、硫酸 (1 ml)および水性臭化水素酸 (48%、15 ml)の溶液を、還流下6h攪拌した。室温までに冷却した後に、その反応混合物を飽和したナトリウムヒドロゲンカルボナート溶液で中和し、次にエチルアセテート(3 x 60 ml)で洗浄した。その組み合わせた有機層を塩水 (100 ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、次に減圧下で濃縮した。シリカ上でのフラッシュクロマトグラフィによる精製 (ジクロロメタン) により表題化合物を無色オイルとして得た (1.58 g、42%)。
【0106】
1H NMR (300 MHz; CDCl3) 2.15 (3H、m)、2.71 (4H、t、J 7.5 Hz)、3.20 (2H、t、J 6.8 Hz)、3.80 (3H、s)、6.85 (2H、d、J 8.6 Hz、Ph-H)、7.02 (2H、d、J 8.6 Hz、Ph-H);
13C NMR (75.5 MHz; CDCl3) 33.1、34.4および35.2、55.3、114.0、129.5、132.6、158.1;
m/z (+ES) 230 (30、MH+)、135 (100、[M-CH2Br]+).
酢酸 4-(2-クロロエチル)-フェニル エステル − 化合物 M2 (RG26)
【化68】

【0107】
アセチル塩化物 (0.24 ml、3.38 mmol)を攪拌している4-(2-クロロ-エチル)-フェノール (261 mg、1.67 mmol)、ピリジン (0.68 ml、8.41 mmol)および4-ジメチルアミノピリジン (20 mg、0.16 mmol)のジクロロメタン(6 ml)中の溶液に0℃で添加し、その反応混合物を、ゆっくりと室温までに暖め、17時間攪拌した。その反応混合物を水(8ml)で不活化した。その有機層を分離し、飽和ナトリウム水素カルボナート溶液 (10 ml)、水 (3 x 10 ml)、塩水 (10 ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧下で蒸発し、フェニルエステルを黄色オイルとして得た (270 mg、82%)。
RF 0.40 (4:1 ヘキサン:エチル アセテート);
vmax/cm-1 (film) 2959、1767、1605、1508、1167、1018および847;
H (300 MHz; CDCl3) 7.23 (2H、d、J 8.5 Hz、Ar)、7.04 (2H、d、J 8.5 Hz、Ar)、3.70 (2H、t、J 7.4 Hz、CH2Cl)、3.06 (2H、t、J 7.4 Hz、CH2Ar)、2.30 (1H、s. CH3COO);
C (75 MHz; CDCl3) 169.5、149.6、135.7、129.8、121.7、44.8、38.6および21.1;
m/z (ES+) 221 (M+Na)+ (88%)、(CI+) 実測値 M+ 199.0524; C10H11ClO2 理論値 M+ 199.0520。
【0108】
酢酸 4-(2-アセトキシ-エチル)-フェニル エステル − 化合物 N2
【化69】

【0109】
および
酢酸 2-(4-ヒドロキシフェニル)-エチル エステル − 化合物 O2
【化70】

【0110】
ピリジン (1.64 ml、20.27 mmol)を0 ℃で攪拌しているアセチル塩化物 (0.58 ml、8.16 mmol)、2-(4-ヒドロキシ-フェニル)-エタノール (510 mg、3.69 mmol)および触媒量の4-ジメチルアミノピリジンのジクロロメタン (13 ml)中の溶液に添加し、その反応混合物をゆっくりと室温に戻し、20 時間攪拌した。その反応混合物を水 (20 ml)で不活化した。その有機層を分離し、飽和したナトリウム水素カルボナート溶液 (20 ml)、1M HCl (20 ml)、水 (3 x 20 ml)、塩水(20 ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧下で蒸発し、組成生物を得て、これをフラッシュクロマトグラフィにより、4:1 ヘキサン:エチルアセテートで溶出して精製し、公知のジアセテート (N2) (Procopiou、P.A.、Baugh、S.P.D.、Flack、S.S.、Inglis、G.G.A. J. Org. Chem.、1998、63、2342-2347) を黄色オイルとして得た(391 mg、48%)。
【0111】
RF 0.43 (4:1 ヘキサン:エチル アセテート);
vmax/cm-1 (film) 2959、1740、1506、1367、1167、1018および851;
H (300 MHz; CDCl3) 7.22 (2H、d、J 8.5 Hz、Ar)、7.02 (2H、d、J 8.5 Hz、Ar)、4.26 (2H、t、J 7.0 Hz、CH2OAc)、2.93 (2H、t、J 7.0 Hz、CH2Ar)、2.29 (3H、s、CH3COOCH2);
C (75 MHz; CDCl3) 171.0、169.6、149.3、135.4、129.8、121.6、64.7、34.5、23.6、21.1および21.0;
m/z (ES+) 245 (M+Na)+ (100%)。
【0112】
また、上記の手順からの単離物は、公知のアルキルアセテート(O2) (Shashidhar、M.S.、Bhatt、M.V. J. Chem. Soc. Chem. Commun.、1987、654.; Pedrochi-Fantoni、G.、Servi、S. J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1.、1992、1029) を黄色針状(44 mg、7 %)であった。 M.p. 54-57 ℃;
RF 0.27 (4:1 ヘキサン:エチル アセテート);
vmax/cm-1 (nujol) 2979、1644、1620、1485、1148および1022;
H (300 MHz; CDCl3) 7.08 (2H、d、J 8.5 Hz、Ar)、6.75 (2H、d、J 8.4 Hz、Ar)、4.72 (1H、s、OH)、4.23 (2H、t、J 7.1 Hz、CH2OAc)、2.86 (2H、t、J 7.1 Hz、CH2Ar)、2.04 (3H、s、CH3COO);
C (75 MHz; CDCl3) 171.5、154.4、130.0、129.7、115.4、65.4、34.2および21.0;
m/z (ES+) 203 (M+Na)+ (100%)。
【0113】
酪酸 4-(2-クロロ-エチル)-フェニル エステル − 化合物 R2 (JMB8)
【化71】

【0114】
4-ヒドロキシフェネチル塩化物 (500 mg、3.19 mmol)のジクロロメタン(5 ml)中の溶液に、ブチリル塩化物 (0.40 ml、3.8 mmol)およびピリジン (0.31 ml、3.8 mmol)を攪拌しながら0℃、窒素下で添加した。その温度を室温にまで戻し、その反応混合物を16時間攪拌した。その溶液を水 (3 x 5 mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。ジクロロメタンを減圧下で除去し、粗生成物をシリカクロマトグラフィ(溶出液;ヘキサン/エチル アセテート、95:5)で分離し、表題化合物を透明オイルとして得た(680 mg、94%)。
【0115】
H (300 MHz; CDCl3) 1.04 (3H、t、J 7.4 Hz、CH3CH2)、1.76 (2H、sextet、J 7.4 Hz、CH3CH2CH2)、2.53 (2H、t、J 7.4 Hz、CH2CO2Ar)、3.06 (2H、t、J 7.4 Hz、CH2CH2Cl)、3.70 (2H、t、J 7.4 Hz、CH2Cl)、7.03 (2H、d、J 8.5 Hz)、7.23 (2H、d、J 8.5 Hz);
C (75 MHz; CDCl3) 13.6、18.5、36.2、38.5 (CH2CH2Cl)、44.8 (CH2Cl)、121.7、129.8、135.5、149.6、172.2 (CH2CO2Ar);
m/z (ES+) 249 ([M + Na]+、C12H15O2Cl、100%)。
【0116】
2,2'-メチレンビス(4-(3-ブロモプロピル)フェノール) − 化合物 S2 (JW35)
【化72】

【0117】
4-(3-ブロモプロピル)フェノール (0.30 g、1.51 mmol)、ホルムアルデヒド (0.12 ml、1.51 mmol)および濃硫酸 (1 ml)の水 (5 ml)中の溶液をシールしたチューブ内で80℃で2時間攪拌した。室温までの冷却の後、その反応混合物を飽和したナトリウムヒドロゲンカルボナート溶液で中和した。得られた混合物をエチルアセテート(3 x 20 ml)で抽出した。その合わせた有機溶媒を塩水 (40 ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカ上でのフラッシュクロマトグラフィによる精製 (ヘキサン中で30%のジエチルエーテル)により、表題化合物を白色固体として得た(72 mg、23%)。
【0118】
1H NMR (300 MHz; CD4OD) d 1.99 (4H、tt、J 6.6、7.2 Hz)、2.57 (4H、t、J 7.2 Hz)、3.30 (4H、t、J 6.6 Hz)、3.83 (2H、s)、6.69-7.05 (6H、m、Ph-H);
13C NMR (75.5 MHz; CD4OD) d 31.0、33.8、34.1および35.9、116.2、128.2、128.7、131.7、131.1、154.0;
m/z (+ES) 465 (20、[M+Na]+)、304 (100、[M-2Br+Na]+;
m/z (+ES) 441 (100、[M-H]-)。
【0119】
ビス(5-3-ブロモプロピル)-2-メトキシフェニル)メタン − 化合物 T2 (JW37)
【化73】

【0120】
ナトリウム水素化物(60%、22 mg、0.54 mmol)の無水物THF (2 ml)中の溶液をシールしたチューブ内で室温で15分間攪拌した。50℃への加温の後、S2 (0.12 g、0.27 mmol)を添加し、その反応混合物をこの温度で30分間攪拌した。ヨードメタン(34 μl、0.54 mmol)を添加し、攪拌を1時間継続した。室温まで冷却した後、水 (10 ml)を添加し、その混合物をエチルアセテート(3 x 15 ml)で抽出した。その合わせた有機抽出物を塩水 (30 ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、次に減圧下で濃縮した。シリカ上でのフラッシュクロマトグラフィによる精製 (ヘキサン中の10% ジクロロメタン) により、表題化合物を無色オイルとして得た(54 mg、43%)。
【0121】
1H NMR (300 MHz; CDCl3) 2.07 (4H、m)、2.63 (4H、t、J 7.1 Hz)、3.35 (4H、t、J 6.6 Hz)、3.81 (6H、s)、3.94 (2H、s)、6.81-7.06 (6H、m、Ph-H);
13C NMR (75 MHz; CDCl3) 30.0、33.2、34.5および35.2、55.5、110.3、127.0、129.1、130.6、132.1、156.1.
m/z (+ES) 453 (50、[M+Na] +)、180 (100)。
【0122】
例1
PKB調節をモニタリングする実験
PKBは、PI3Kのタンパク質ダウンストリームエフェクターであり、PI3Kの活性化の反応において、(その活性が必要な残基において)リン酸化される。出生時子ウシ血清(Natal Calf Serum (NCS))はPI3Kのスティミュレーターであり、従って、その後にPKB活性化を生じる。そのため、当該実験に使用される陽性対照は10%血清であり、使用される陰性対照は、全く血清なしで提供される。
【0123】
典型的な方法において、NIH3T3 細胞は、10%NCSを含む培地(GibcoBRL)において増殖し、6ウェルプレート中でほぼコンフルエンになった。当該細胞を、0.5%血清を使用して2〜3日でスターブドさせた。当該培地を、次に取り除き、血清非含有培地で15分間おいた。続いて、1% NCS を反応ウェルに添加し、対照ウェルには0%、1%および10% NCSを添加した。20分のインキュベーションの後、当該化合物を添加し、当該ウェルを更に15分間インキュベートした。培地を除去し、サンプル緩衝液を添加し、細胞を溶解し、ボイルし、遠心をした。
サンプルを10%SDS-PAGEによるゲル電気泳動に供し、次にPVDFメンブラン(Biorad)上で標準的なプロトコールに従ってウエスタンブロットした。ウエスタンブロットはNew England biolabs から得たPKBに対する一次抗体とセイヨウワサビペルオキシダーゼ(Amersham)に結合したヤギ抗ウサギIgGを使用してプローブ化した。当該メンブランを次に、標準的なプロトコールに従って新鮮に調製したECL溶液を使用して現像した。
【0124】
種々の濃度の当該化合物Q、B、D、EおよびFについての結果を図2aに示し、化合物DおよびEのための結果の確認を図2bに示す。結果は、化合物EはPKBの阻害剤であるのに対して、化合物DおよびFはアクチベーターであることを示す。
【0125】
ホスホ-Aktコンテントのウエスタンブロットもまたモニタリングした。使用した方法は、上述と同じとした。図5の結果は、9化合物(即ち、A、B、C、D、E、F、I、J、Q)がPKBを活性化できることを示す。
【0126】
例2:c48/80およびcQによるPKBの活性化
c48/80(N-メチル-p-メトキシフェネチルアミンおよびホルムアミドの圧縮生成物は、重合化の度合いが変動した陽イオン両親媒性物質の混合物である)はPKBのアクチベーターであるというデータを基に、我々の目的は、異なるアプローチのウエスタンブロッティングにより得られた結果を約束することを確認することであった。我々はしたがって、ホスホ特異的PKB抗体でのイムノフルオレッセンスマイクロスコーピーによりPKB S473リン酸化における化合物の効果を試験した。
【0127】
As c48/80 は、異なる程度の重合化の陽イオン両親媒性物質の混合物であり、我々の目的は、精製した合成単一化合物からアクチベーターを見つけることである。これらの類似体の1つは、PKB関連経路を研究するためのより強力なツールであることがわかった。従って、我々は化合物Q(即ち、cQ)についての試みに集中した。
【化74】

【0128】
材料および方法
10%FCSを含むDMEM中でPLLコーティングしたカバーガラス上に増殖したCos6繊維芽細胞のNIH3T3を、24時間スターブドさせた。c48/80[10μg/ml]での刺激は常に1%FCSの存在下で10分間行った。それに対し、血清を完全に枯渇したDMEMにおける細胞増殖をcQ[15μl]を用いた実験に使用した。示した通り、細胞は、100μMのLY294002で30分、500nMのRV001で15分間プレトリートメントした。処理の後、細胞をPBSで洗浄し、4%PFAで固定化し、0.25%のトリトンX/PBSで浸透化させ、広範に洗浄した。1%BSAでブロッキングした後に、細胞をファロイジン染色し、および/またはリン酸特異的Ser473PKB抗体(Cell Signalling)で4℃で一晩インキュベートし、フルオレッセイン(FITC)結合ヤギ抗マウスIgG(Jackson Immuno Research)で室温で1時間インキュベートした。核はDapiで染色された。ニコン顕微鏡での分析の前に、カバーガラスをモヴィオール(Mowiol)を含むスライドにマウントし、シールした。
【0129】
c48/80は、S473残基におけるPKBのリン酸化を含む
概要において、当該イメージングデータはウエスタンブロット結果と一致し、およびPKBリン酸化が、3μg/mlから10μg/mlまでの間の用量でNIH3T3およびCos6繊維芽細胞において生じた。c48/80 誘導のPKB活性化は、低量の血清に依存し、c48/80単独での処理ではPKB活性化が得られなかったことは、ウエスタンブロッティングにより先に発見された通りである。結果として、c48/80 誘導のPKB活性化は、LY294002、一般的な PI3-キナーゼ阻害剤、血清 1%、 血清10% または血清単独(データには示さず)の存在下でのc48/80により誘導されるリン酸化のブロッキングに対して感受性をもつ。
【0130】
cQはPKBのリン酸化を誘導するが、血清の存在下においてPKB阻害剤として作用する
c48/80に対して、cQ単独では、如何なる血清の存在を伴わずに充分にS473残基におけるPKBのリン酸化を誘導する(図3c)。驚くべきことに、血清の増加は、cQ誘導のPKB活性化を阻害する。図3bに示す通り、10%FCSでスターブド細胞を刺激した後に、リン酸化されたPKBのレベルの増加が検出される。対照的に、cQでの前処理は、完全に10%FCSによるPKBの活性化を消失した(図3d)。
【0131】
PI3-キナーゼ依存性を検討するために、PI3キナーゼ阻害剤、LY294002およびPTEN阻害剤RV001(これはPKBにおける成長因子と相乗作用を有する)での試験を行った。その結果は、PI3-キナーゼ活性が、cQ誘導PKB活性に拮抗すること、およびLY294002処理が強力にcQ誘導PKBリン酸化を増強することを明確に示した(図3h)。一方で、RV001処理は、PI(3,4,5)P3レベルの上昇を導き、PI3キナーゼを生じ、間接的にcQチャレンジ後のPKB活性化を阻害する(図3g)。
【0132】
インスリン-刺激アクチンリモデリングはcQにより阻害される
ファロイジン染色におけるプレリミナリーなデータは、cQがチロシンキナーゼおよびGタンパク質結合受容体の活性化におけるPI3-キナーゼの下流ターゲットとしてのPKB活性とは異なる経路に関連するという結果を強調するものである。cQは、インスリンが行うように、スターブド繊維芽細胞におけるストレスファイバーの減少を誘導する(図4)。しかしながら、インスリンとは異なり、cQは、PI3-キナーゼに非依存的な細胞骨格の再構成が可能である(図4c)。cQ処理は、細胞質Fアクチンおよび細胞膜に対して並列するアクチンリングの細胞崩壊を生じる(図4b)。これは、インスリン刺激アクチンリモデリングを妨げるように見え、Fアクチンストレスファイバーの量の減少が、短い細胞質の無秩序なアクチンファイバーが残るcQ存在下において顕著であったこととは異なる。
【0133】
例3:化合物CによるPKBの活性化
50 μM の化合物C(cC):
【化75】

【0134】
は、スターブド細胞でのS473においてAkt/PKBを活性化することと、インスリン刺激細胞におけるAkt/PKBリン酸化の阻害剤であることが見出された。それらの発見と一致して、PI3-キナーゼ阻害剤(ワルトマニン(Wortmannin)またはLY294002)がこのサイトでのリン酸化の増強を導き、それに対してPTEN阻害およびそれによるPI(3,4,5)P3レベルの上昇がcCの存在下における反応を阻害する。50μMの化合物Cの濃度がNIH3T3繊維芽細胞において細胞毒性効果を有する(MTTアッセイ)のに対して、1μMの濃度はAkt/PKBリン酸化におけるその効果のために試験された。当該化合物はまた、それ自身のスターブド細胞におけるアクチベーターであった。しかしながら、刺激された細胞におけるその阻害効果はそれほど強くはなかった。使用された方法は例2ど同じであった。
【0135】
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Kanzaki、M. and Pessin、J. E. (2001) J.Biol.Chem. 276、42436-42444。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】図1は本願発明の化合物を示す。
【図2a】図2はウェスタンブロットの結果を示し、本発明の種々の化合物で処理した場合のPKBのリン酸化について例証する。
【図2b】図2はウェスタンブロットの結果を示し、本発明の種々の化合物で処理した場合のPKBのリン酸化について例証する。
【図3】図3は、本発明の化合物QがPKBのリン酸化を含むことを示す。
【図4】図4は、化合物Qがインスリン刺激アクチンリモデリングを阻害することを示す。
【図5a】図5は、更なるウェスタンブロットの結果を示し、本発明の種々の化合物でのPKB活性化を示す。
【図5b】図5は、更なるウェスタンブロットの結果を示し、本発明の種々の化合物でのPKB活性化を示す。
【図5c】図5は、更なるウェスタンブロットの結果を示し、本発明の種々の化合物でのPKB活性化を示す。
【図5d】図5は、更なるウェスタンブロットの結果を示し、本発明の種々の化合物でのPKB活性化を示す。
【図5e】図5は、更なるウェスタンブロットの結果を示し、本発明の種々の化合物でのPKB活性化を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物および薬学的に許容されるその塩のPKB活性の調節において使用するための医薬の製造における使用:
【化1】

ここで、 R1はC1-5 アルコキシ、OCOC1-3アルキル、O(CH2)2O(CH2)2O(CH2)2OMe、O(CH2)2O(CH2)2O(CH2)2OHまたはOHであり;
R2 は H、(CH2)nOH、OCH3、Hal または
【化2】

であり、
R3 は Hまたは(CH2)nOHであり; および
R4 は1以上の Hal、OH、COCH3、NH2、NHCH3、NHMe、NMe2、OCOCH3、CO2Hまたはそのエステルまたはアミドにより任意に置換されたC1-6アルキルであり、
ここでnは1〜5である。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、PKBが阻害される使用。
【請求項3】
請求項2に記載の使用であって、当該医薬が癌の治療において使用されるための使用。
【請求項4】
請求項3に記載の使用であって、当該癌がPKBのアップレギュレーションに関係する癌である使用。
【請求項5】
請求項4に記載の使用であって、当該癌がPTENの突然変異に関連する癌である使用。
【請求項6】
請求項4または5の何れか1項に記載の使用であって、当該癌が卵巣癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌または膵臓癌である使用。
【請求項7】
請求項2〜6の何れか1項に記載の使用であって、R1 が メトキシ、R2およびR3 が共にHおよびR4 が (CH2)2COCH3である使用。
【請求項8】
請求項1に記載の使用であって、PKBが活性化される使用。
【請求項9】
請求項8に記載の使用であって、当該医薬が変性疾患の治療において使用されるための医薬である使用。
【請求項10】
請求項9に記載の使用であって、当該変性疾患がアルツハイマー、脳卒中、梗塞、低酸素症、骨格筋障害または2型糖尿病である使用。
【請求項11】
請求項8〜10の何れか1項に記載の使用であって、当該化合物が式;
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

または
【化11】

である使用。
【請求項12】
医薬において使用するための請求項1または11の何れか1項に記載の化合物。
【請求項13】
式;
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

または
【化26】

の化合物。
【請求項14】
以下の式の化合物および薬学的に許容されるその塩;
【化27】

ここで、 R5 は C1-5 アルコキシまたはOHであり;
R6 は、Hal、NHCH3、CO2Hまたはそのエステルまたはアミドにより任意に置換されたC1-5 アルキルであり; 並びに
R7およびR8 は 独立して (CH2)qOH であり、ここで、q は 2〜5である。
【請求項15】
請求項13または14の何れか1項に記載の化合物および薬学的に許容されるその塩のPKB活性の調節における使用のための医薬の製造における使用。
【請求項16】
請求項13または14の何れか1項に記載の化合物および薬学的に許容されるその塩のPKB活性阻害における使用のための医薬の製造における使用。
【請求項17】
請求項13または14の何れか1項に記載の化合物および薬学的に許容されるその塩のPKB活性活性化における使用のための医薬の製造における使用。
【請求項18】
請求項1、7、11、13または14の何れか1項に記載の少なくとも1の化合物を、任意に、1以上の薬学的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤と共に含む医薬製剤。
【請求項19】
請求項1、7、11、13若しくは14の何れか1項に記載の化合物または請求項18に記載の医薬製剤を対象に対して投与することを具備する癌の治療方法。

【図1】
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【図1(continued)−1】
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【図1(continued)−2】
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【図1(continued)−3】
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【図1(continued)−4】
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【図1(continued)−5】
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【図1(continued)−6】
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【図1(continued)−7】
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【図1(continued)−8】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【公表番号】特表2008−538207(P2008−538207A)
【公表日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501412(P2008−501412)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000961
【国際公開番号】WO2006/097744
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(505167543)インペリアル・イノベ−ションズ・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】