説明

化学分析装置及び分析デバイス

【課題】 サンプル及び試薬から正確に所定量を分注して、各種の処理を行い、検査装置によって検査を行うことができる装置を提供することにある。
【解決手段】
分析デバイスでは、上側に基板には共通電極が設けられ、下側の基板には複数の電極の列を含む駆動電極が設けられている。2つの基板の間の空間にオイルを充填し、そこにサンプル、試薬等の液滴を生成する。共通電極に負の電圧を印加し又はグランドに接続し、駆動電極側の電極に正の電圧を印加する。それによって、電圧が印加された領域の接触角が減少し、濡れ性が高まり、液滴が移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサンプルを分析する化学分析装置及び分析デバイスに関し、特に、誘電体上の電気的濡れ性の変化を利用してサンプル及び試薬を処理する化学分析装置及び分析デバイスに関わる。
【背景技術】
【0002】
現在広く使用されている医用又は実験用の自動分析装置は、多くの機構が混在する複雑なシステムとなっており、装置の小型化、低コスト化には限界がある。
【0003】
一方、フロー方式のμ−TAS分析デバイスでは分析デバイスに設けた複数の入口から試薬をチップ内に供給し、サンプルをチップ内に供給し、おのおの分析デバイス内の流路内に連続して流し、流路途中で混合して吸光度などを検出器で検出する。このため、回転機構、攪拌機構等が不要になり機構が簡素化する。
【0004】
しかしながら、流路の洗浄が必要で洗浄不良による液間コンタミネーションが大きな問題となる。また、送液や液の切り替えなどでポンプやバルブが各液に対して必要になるため信頼性及びコストの面でかなり実現困難なシステムとなる。従って現状のフロー方式のμ−TASでは1チップでは検査の項目数が少なく、ポンプ等の液駆動手段は外部に設置されている。従って、医用分析装置などの低コスト化要求に応えることができない。
【0005】
特許文献1には、分析デバイス内に設けた電極に電圧を印加することにより、電気的濡れ性EWOD(Electrowetting on dielectric)を変化させ、それによって、液滴を移動させる方法が記載されている。EWODの変化は、表面張力又は界面張力の変化に起因した現象である。このようEWODを利用することによって、分析デバイスの構造及び機構を大幅に単純化することができる。
【特許文献1】WO2004/030820 A2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された例では、サンプル及び試薬から正確に所定量を分注して、各種の処理を行い、検査装置によって検査することできない。
【0007】
本発明の目的は、サンプル及び試薬から正確に所定量を分注して、各種の処理を行い、検査装置によって検査を行うことができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると分析デバイスでは、上側に基板には共通電極が設けられ、下側の基板には複数の電極の列を含む駆動電極が設けられている。2つの基板の間の空間にオイルを充填し、そこにサンプル、試薬等の液滴を生成する。共通電極に負の電圧を印加し又はグランドに接続し、駆動電極側の電極に正の電圧を印加する。それによって、電圧が印加された領域の接触角が減少し、濡れ性が高まり、液滴が移動する。
【0009】
駆動電極は、円形の電極からなり、液滴の経路に沿って配置された電極の列とその両側の電極を含み、隣接する電極は互いに重なり合うように形成されている。従って、サンプル及び試薬の液滴は、所望の分量に分注され、移動され、混合される。反応液は、所定の経路に沿って移動される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるとサンプル及び試薬から正確に所定量を分注して、各種の処理を行い、検査装置によって検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1を参照して、本発明の化学分析装置の実施例を説明する。本例の化学分析装置は、被測定対象であるサンプル121を保持する複数のサンプルカップ12を搭載した回転可能なサンプルディスク1と、サンプル121の成分を分析する分析デバイス2と、作動液を貯蔵する作動液貯蔵部3と、試薬を分析デバイス2に供給する試薬分注部4と、使用済みの廃液を分析デバイス2から排出する廃液排出部5と、サンプルカップ12内のサンプル121を分析デバイス2に供給するサンプル分注部6と、オイルを分析デバイス2に供給するオイル供給部7と、廃液からオイルと反応済みの液を分離するオイル分離部8と、を有する。
【0012】
サンプル分注部6は、鉛直方向に延びるノズル61、ノズル61を支持する水平方向に延びるアーム62、アーム62を支持する鉛直方向に延びる支柱63、アーム62を支柱63周りに回転させ且つ支柱63に沿って上下させる駆動機構(図示しない)、及び、ポンプ65を有する。ノズル61とポンプ65を接続するチューブ66には入口バルブ64が設けられている。ノズル61の先端には、液面センサ(図示しない)が設けられている。
【0013】
作動液貯蔵部3は、作動液321を貯蔵する作動液容器32を有する。ポンプ65と作動液容器32を接続するチューブ37には出口バルブ36が設けられている。本例の他のポンプ系も本例のポンプ系と同様の構成である。本例では、ポンプ65はシリンジポンプである。シリンジポンプは、一定容量のポンプ室内にOリング等によりシールされたシリンジを出し入れすることにより、ポンプ内の空間の体積を変化させてポンプ室に流体を出し入れする。一方向に流体を送る場合、例えば、入口側から出口側に流体を送る場合には、入口側のバルブを開、出口側のバルブを閉としてシリンジをポンプ室内から外部に後退し、入口側から流体を吸引する。次に、入口側のバルブを閉、出口側のバルブを開としてシリンジをポンプ室内に前進すると、出口側から流体が吐出する。これにより、流体は入口側から出口側に移動する。逆方向に流体を送る場合には、前記とは逆のバルブの開閉を行えばよい。以下に、特に述べないが、バルブの操作の記述は省略し、指定の方向に、ポンプ駆動により流体が移動するものとして説明する。
【0014】
ポンプ計作動液321は、サンプル121及び試薬に溶けない且つ混じらない液体が用いられる。本例では、作動液321は、オイルである。
【0015】
分析デバイス2は、基板を積層した構造を有し、上側の上部アクセス基板201、その下の上部電極基板23、その下のスペーサ基板22、更にその下の下部電極基板21、及び、下側の下部アクセス基板202を有する。スペーサ基板22の所定の領域は除去され、そこに、空間が形成されている。図1の例では、スペーサ基板22は、周囲部を除いて除去されている。また、説明の都合上、上部アクセス基板201と上部電極基板23は、周囲部を除いて除去されて描かれている。図示のように、下部電極基板21上には駆動電極211が設けられている。
【0016】
スペーサ基板22が除去されて形成された空間は、オイルによって充填される。駆動電極211は、サンプル121及び試薬の液滴をオイル内にて移動させる流路の機能を有する。このような、オイル内におけるサンプル121及び試薬の駆動は、EWODを利用して行うが、詳細は、後に説明する。
【0017】
上部アクセス基板201及び下部アクセス基板202の一方又は双方には、図示しない制御手段により温度コントロール可能なペルチエ素子、ヒータ等が内蔵されており、分析デバイス2の温度を制御する。
【0018】
上部アクセス基板201には、サンプルポート11、試薬ポート41、廃液ポート51、オイル液面検出ポート791、検出器95、及び、傾斜センサ91が設けられている。オイル液面検出ポート791には、オイル液面センサ792が設けられ、オイル液面センサ792によって分析デバイス2の空間に保持されているオイルの液面レベルが検出される。オイル液面センサ792は、液面に発した光の反射光量から距離を検出する光学式、液面に発した超音波が戻るまでの時間から距離を検出する超音波式、液面に沈めた電線に接触する液の接触長さにより静電容量が増加することを検出する静電式など従来の任意の液面検知技術を適用してよい。検出器95は、吸光度測定装置、蛍光測定装置等のような光学的特性を計測する装置であってよいが、他の物理量、例えば、電気的又は磁気的量を計測する装置であってよい。ここでは、光学的特性を計測する装置であるとして説明する。
【0019】
下部アクセス基板202には、オイル供給ポート71、オイルドレインポート81、及び、傾き調整部90が設けられている。
【0020】
これらのポート11、41、51、791、71、81は円筒形状を有し、円筒内部の空洞は各アクセス基板を貫通し、空間に接続されている。
【0021】
傾き調節部90によって、分析デバイス2を水平に保持することも、所望の角度に傾斜させることもできる。傾斜センサ91によって検出された傾斜角信号は、図示しない姿勢制御機構に供給される。この姿勢制御機構は傾き調節部90を駆動し、分析デバイス2を水平に保持し又は所望の傾斜角度に傾斜させる。
【0022】
姿勢制御機構は、例えば、分注や測定などの通常の運転モードでは、分析デバイスを水平に保持する。不測の原因により、化学分析装置が設置されている面が傾斜したときは、それをキャンセルするために分析デバイス2を傾斜させる。また、分析デバイス2の空間に保持された液体中の泡を排除する場合、オイルの交換等のメンテナンスの場合等では、姿勢制御機構によって分析デバイスを傾斜させる。
【0023】
試薬分注部4は、試薬を貯蔵する試薬容器42を有し、試薬容器42の下には、バルブ44を備えたノズル43が接続されている。ノズル43の先端は、試薬ポート41内に配置されている。尚、試薬分注部4に、ポンプを設けてもよい。廃液排出部5は、廃液を汲み出す廃液ポンプ55を有し、廃液ポンプ55の下には、バルブ54を備えたノズル53が接続されている。ノズル53の先端は、廃液ポート51内に配置されている。廃液ポンプ55には、バルブ56を備えたチューブ57が接続されている。オイル供給部7は、オイル721を貯蔵するオイル容器72を有し、オイル容器72とオイル供給ポート71は、バルブ76を備えたチューブ77、ポンプ75、バルブ74を備えたチューブ73によって接続されている。オイル分離部8は、廃液よりオイルを分離する分離器88と廃液を貯蔵する廃液容器82を有する。分離器88とオイルドレインポート81は、バルブ84を備えたチューブ83によって接続されている。分離器88は、バルブ56を備えたチューブ57によって廃液ポンプ55に接続されている。分離器88は、比重差、遠心分離、フィルタリングなどの従来の技術を利用してオイルを分離する。
【0024】
オイル721は、サンプル121及び試薬に溶けない且つ混じらない液体が用いられる。サンプル121に混じらない液体として、比重がサンプル121の比重より大きいか又は小さい液体がよい。例えば、サンプル121が、血液などの水をベースとする溶液の場合には、シリコンオイル、炭化水素系オイルであってよい。サンプル121が、フッ素を含むフッ素系の液体以外の場合には、比重が1より大きいパーフルオロカーボンオイル(以下フッ素オイルと称する)が望ましい。尚、作動液321はオイル721であってよい。以下に、作動液321はオイル721であるとして説明する。
【0025】
本例では、オイル721及び作動液321として、比重が1より大きいフッ素オイルを用いる。
【0026】
先ず、オイル供給部7によってオイルを分析デバイス2に供給する。オイル供給ポンプ75を駆動し、オイル721を、オイル容器72からオイル供給ポート71に供給する。オイル供給ポート71に供給されたオイルは、分析デバイス2の空間に流入する。空間を満たしていた空気は上部アクセス基板201のサンプルポート11、試薬ポート41、廃液ポート51等から外部に排出される。こうして、分析デバイス2の空間はオイル721によって置き換わる。空間内のオイル721の液面レベルは、オイル液面検出ポート791に設けられたオイル液面センサ792によって検出される。オイル721の液面レベルが、所定の高さになったとき、図示しない制御装置によりオイル供給ポンプ75を停止する。尚、オイル液面センサ792は常時オイル液面検出ポート791におけるオイル液面レベルを監視しており、オイル液面レベルの減少を検出したときには、その旨を制御装置に通知する。制御装置はオイル供給ポンプ75を駆動し、オイルを補充する。従って分析デバイス2の空間に保持されているオイルの液面レベルは常に一定に保持される。
【0027】
サンプルポート11の内径はノズル61の外径より大きい。従って、ノズル61をサンプルポート11内に挿入することができる。ノズル61をサンプルポート11内に挿入すると、ノズル61の先端は、分析デバイス2の空間に充填されたオイルに浸かる。それによって、ノズル61の先端の外面は、オイルによって覆われる。また、ポンプ65を駆動し、オイル721をノズル61に吸入し、吐出する。それによって、ノズル61の内面はオイル721によって覆われる。これにより、ノズル61内にサンプル121を吸入したときに、オイルがサンプル121をはじきノズル61の表面を汚染しない。サンプル121の分注は、このように、ノズル61の先端をオイル721で被覆した後に行う。
【0028】
次に、サンプル分注部6によってサンプルを分析デバイス2に分注する。駆動機構によりアーム62を支柱63周りに回転させ、ノズル61が所望のサンプルカップ12の位置に配置されたら、アーム62を支柱63に沿って下降させる。ノズル61に設けられた液面センサによってサンプル121の液面を検知し、所定の液面下までノズル61を沈める。ポンプ65を駆動し、所定量のサンプル121がノズル61に吸入されたら、ポンプ65を停止する。駆動機構によりアーム62を上昇させ、更に回転させる。ノズル61が分注デバイス2上のサンプルポート11の位置に配置されたら、アーム62を支柱63に沿って下降させる。ノズル61がサンプルポート11内に配置されたら、ポンプ65を駆動しサンプル121をサンプルポート11に吐出する。サンプルポート11に供給されたサンプル121は、オイル上に且つオイルに混じることなく配置される。
【0029】
次に、試薬分注部4によって試薬を分析デバイス2に分注する。バルブ44を開にすることによって、試薬は、試薬容器42から試薬ポート41に吐出される。試薬ポート41に供給された試薬は、オイル上に且つオイルに混じることなく配置される。
【0030】
試薬容器42の上面にバルブ(図示しない)を設け、試薬容器42内を大気圧に接続することにより、試薬容器42内の試薬は、重力により試薬ポート41に流入する。試薬の流量は、バルブ44の開時間により調整する。分析デバイス2の空間内に試薬が注入されると、オイル液面検出ポート791における液面が変化する。この変化量をオイル液面センサ792によって検出し、流入した試薬の量を演算し、所望の試薬量が注入されたとき、バルブ44を閉じてよい。
【0031】
サンプルポート11に供給されたサンプル121及び試薬ポート41に供給された試薬は、EWODを利用して処理される。即ち、液滴となって駆動電極211に沿って移動する。サンプル及び試薬は、駆動電極211上の所定の領域において混合され、所定の化学反応が行われる。化学反応が終了すると検出器95に送られる。
【0032】
検出器95は反応液の吸光度、蛍光量等の所定の光学的特性を測定する。本例では、検出器95は、光を検出するため、検出器95が配置された位置において、上部及び下部アクセス基板201、202には孔が設けられる。上部、及び、下部電極基板23、21の一方または双方は透明な電極材料、例えば、ITO(Indium-Zinn-Oxid)によって形成される。
【0033】
検出器95によって測定が終了した廃液は駆動電極211に沿って移動し、廃液ポート51に送られる。
【0034】
次に、廃液排出部5によって廃液を分析デバイス2から排出する。廃液は、廃液ポート51内にて、オイル721との比重差により、上昇し、そこに溜まる。
【0035】
廃液ポンプ55を駆動し、廃液を、廃液ポート51から汲み出し、分離器88に供給する。分離器88は、廃液よりオイルを分離する。分離したオイルは、オイル容器72に回収する。残りの廃液は、廃液容器82に排出する。
【0036】
オイル721の比重が、廃液の比重より小さい場合には、廃液ポート(図示しない)を下部アクセス基板202に設ける。廃液は、廃液ポート51内にて、オイル721の比重差により、下降し、そこに溜まる。廃液は、廃液ポート51に接続されたチューブ(図示しない)を介して、廃液ポンプ(図示しない)により吸い取られ、オイル分離部8に送られる。
【0037】
メンテナンス等のように、分析デバイス2内の全てのオイル721を排出する場合には、バルブ84を開にすればよい。分析デバイス2内のオイル721は、重力によりオイルドレインポート81を介して排出され、分離器88に供給される。分離器88によってオイルに含まれる廃液が除去され、オイルは、オイル容器72に回収され、廃液は廃液容器82に排出される。尚、傾き調節部90によって、オイルドレインポート81が最下位置になるように、分析デバイス2を傾斜させる。それにより分析デバイス2内のオイルは完全に排出される。
【0038】
本例によれば、サンプル分注部6によってサンプルを分析デバイス2に分注する前に、ノズル61の先端をオイル721によって被覆することができる。それによって、ノズル61へのサンプルの付着を防止することができる。従って、ノズル61によって吸引したサンプルに、前回測定時に分注したサンプルが混じることが防止され、測定精度が向上する。また、ノズルがサンプルによって汚染されることがないため、ノズルを洗浄する必要がない。そのため洗浄機構が不要となり、化学分析装置を小型化及び低コスト化することができる。
【0039】
本例によれば、オイル液面検出ポート791にオイル液面センサ792を設けるため、分析デバイス内へのサンプル、試薬等の溶液の注入量を正確にコントロールすることができる。従って、分析デバイスへの分注精度が向上する。
【0040】
また、オイル液面センサ792によって、オイルの減少又は消耗を検出することができるため、分析デバイス内のオイル量を一定量に保持することができる。従って、本例の分析デバイスを長時間使用しても、分析デバイス内のオイル量が常に一定に保持されるから、気泡の混入を防止することができると同時に、オイルの更新が自動的に行われる。更に、オイル分離部を設けるため、オイルの回収が可能であり、オイルの使用量を低減できる。
【0041】
本発明の特徴は分析デバイスにあり、それ以外の装置は適宜変更してよい。例えば、サンプル分注部6を除去し、手分注によりサンプルをサンプルポート11に分注してもよい。試薬分注部4を除去し、手分注により試薬を試薬ポート41に分注してもよい。また、サンプルディスク1と同様に、複数の試薬容器を搭載した回転可能な試薬ディスクからサンプル分注部6を用いて試薬を分注してもよい。
【0042】
図2を参照して、分析デバイス2の構造を詳細に説明する。図2は、分析デバイス2の断面構成を示し、上側の上部アクセス基板201と下側の下部アクセス基板202の図示は省略されている。上部電極基板23の内面には共通電極214が設けられ、下部電極基板21の内面には、複数の電極211a、211bを含む駆動電極211が設けられている。駆動電極211の表面には、1層以上の絶縁体膜212が設けられている。絶縁体膜212の上に、撥水性を上げるための撥水膜213がコーティングされる。共通電極214には、撥水膜213のみがコーティングされる。
【0043】
絶縁体膜212は、例えば、Parylen(商品名)やSiO2をCVD法によって形成した誘電体薄膜であってよい。撥水膜213は、例えば、AF1601(商品名)などのフッ素系の撥水剤をコーティングしたものであってよい。
【0044】
上部電極基板23と下部電極基板21の間には、スペーサ基板22が配置されているが、スペーサ基板22の所定の領域は除去又は切り取られている。スペーサ基板22が除去された領域には、空間24が形成される。図示のように、この空間24にオイル721が満たされ、そのなかにサンプルの液滴1211が配置されている。液滴1211は、電極211a上に配置され、更に、その一部が、隣接する電極211bを覆っている。共通電極214には負の電圧が印加されている。電極211aに印加されている正の電圧を切断し、隣接する電極211bに正の電圧を印加すると、電極211b上の絶縁体膜212の濡れ性が高くなり接触角が減少する。それによって、液滴1211は、正の電圧が印加された電極211bに引っ張られる。従って、液滴1211は、隣接する電極211b上に移動する。このような操作を、隣接する電極間で繰り返すことにより、液滴1211は順次、駆動電極211に沿って移動する。
【0045】
このような現象を本願明細書では、EWODと称する。EWODは、水などの分極する液体を挟んだ2つの電極間に電圧をかけることにより、電極上の絶縁体膜と液の接触角が減少し、濡れ性が高くなる現象を言う。こうして本例では、EWOD技術によって、サンプル及び試薬を駆動電極211に沿って移動させ、所定の領域にて混合させることができる。サンプルと試薬の混合液は、検出器95の下方に搬送されると、そこで光が検出される。
【0046】
図3に本発明の化学分析装置の作動液貯蔵部3、サンプル分注部6、及び、オイル供給部7の例を示す。先ず、オイル供給部7の動作を説明する。本例では、オイル721としてフッ素オイルを使用し、作動液321としてオイル721、即ち、フッ素オイルを使用する。シリンジポンプ75を駆動し、オイル721を、オイル容器72からシリンジポンプ75を介してオイル供給ポート71に供給する。オイル供給ポート71に供給されたオイルは、空間24に導入される。オイル液面検出ポート791におけるオイル液面レベルは、オイル液面センサ792によって検出される。オイル液面センサ792によって検出されたオイル液面レベルは、制御装置793に入力される。オイル液面検出ポート791の液面レベルが所定の高さになったとき、ポンプ75を停止する。
【0047】
次に、サンプル分注部6の動作を説明する。作動液容器32にはオイル721が貯蔵されている。シリンジポンプ75を駆動し、オイル721をノズル61の先端付近まで満たす。サンプルディスク1上の任意のサンプルカップ12にノズル61を挿入し、シリンジポンプ65を駆動し、ノズル61内にサンプル121を吸引する。ノズル61をサンプルポート11上に移動し、シリンジポンプ65を駆動し、サンプル121を排出する。サンプル121の分注量はシリンジポンプ65のシリンジの移動量によって調整することができる。
【0048】
フッ素オイルの比重は2程度であり、水を主とするサンプル121の比重は略1である。オイル721とサンプル121は交じり合うことが無いので、サンプルポート11に導入されたサンプル121はオイル721の上に浮かぶ。サンプル121を分注する前は、サンプルポート11のオイル液面レベルは、オイル液面検出ポート791のオイル液面レベルと同一である。サンプル121を分注した後は、サンプルポート11の液面レベルは、オイル液面検出ポート791のオイル液面レベルより高くなる。従って、サンプルポート11の高さは、サンプル121を分注した後に、サンプル121がサンプルポート11から溢れないように、所定の高さに設定する。
【0049】
次に、オイル供給部7のシリンジポンプ75を駆動し、分析デバイス2の空間24内のオイル721を吸引し、オイル容器72に戻す。それによりサンプルポート11の液面レベルは低下し、サンプルとオイルの界面は上部電極基板23に達する。オイル液面検出ポート791のオイル液面レベルも低下する。サンプルポート11の液面レベルは、オイル液面検出ポート791のオイル液面レベルより上側にあるが、サンプルポート11のサンプルとオイルの界面は、オイル液面検出ポート791のオイル液面レベルより下側にある。
【0050】
下部電極基板21が水平であるとし、下部電極基板21の位置を基準として、各液面の高さを求める。尚、メニスカスの影響を無視し、液面が平面であると仮定する。サンプル121の比重をρs、サンプル121の液柱の長さをhs、オイル721の比重をρo、オイル721とサンプル121の界面の高さをhos、オイル液面検出ポート791のオイル液面レベルをhoとすると、
ρs・hs+ρo・hos=ρo・ho (数1)
となる。したがって、オイル721とサンプル121の界面の高さhosと、オイル液面検出ポート791のオイル液面レベルhoの差は、次の式によって表される。
ho−hos=(ρs/ρo)・hs(数2)
【0051】
即ち、界面の高さhosとオイル液面レベルhoの差は、サンプル液柱の長さの半分程度となる。したがって液面レベルがサンプル液柱の半分の長さだけ下降するまで、オイル721を吸引することができる。更に、分析デバイス2の空間24内のオイル721を吸引し続けると、サンプル121はサンプルポート11の下端と上部電極基板23の接続部を越えて分析デバイス2の空間24内に進入する。サンプルポート11に供給したサンプル量が十分あれば、オイル液面検出ポート791の液面レベルが低下してもそこから空気が分析デバイス2の空間内に入ることはない。分析デバイス2の空間内に入ったサンプル121は、下部電極基板21の駆動電極211上に配置されるため、上述のようにEWODによって移動可能となる。
【0052】
こうして、分析デバイス2の空間へ所定量のサンプル121が分注される。サンプルの分注が完了すると、オイル供給部7のシリンジポンプ75を駆動し、オイル供給ポート71を介してオイル721を分析デバイス2の空間内に注入する。それによってサンプルポート11における液面レベル及びオイル液面検出ポート791における液面レベルは上昇する。サンプルポート11に残っているサンプルは、サンプルポート11の上端より溢れ出て、上部アクセス基板201上に落ちる。サンプルポート11の高さが、オイル液面検出ポート791の高さより低い場合には、サンプルポート11に残っている全てのサンプルを排出することができる。サンプルポート11の周囲の上部アクセス基板201上に、排出溝を設けてよい。この排出溝に落ちたサンプルとオイルは、オイル分離部8に導かれる。又は、サンプル分注部6のノズル61によって、サンプルポート11に残っているサンプルを吸引し、外部の廃液容器に捨ててもよい。
【0053】
本例によると、サンプルポート11にてサンプルとオイルは分離した層を形成しており、互いに混ざり合うことない。従って、不要なサンプルを簡単な操作によって廃棄し、又は、回収することができる。ここでは、サンプル121の分注操作を説明したが、同様な手法により試薬の分注操作を行うことができる。
【0054】
図4に本発明のサンプル分注部6の他の例の動作を説明する。ノズル61の先端付近の液に接する部分にはフッ素系の皮膜(図示しない)をコーティングする。作動液容器32のオイル721をノズル61の先端付近まで満たす。サンプルディスク1上の任意のサンプルカップ12にノズル61を挿入し、シリンジポンプ65を駆動し、ノズル61内にサンプル121を吸引する。ノズル61をサンプルポート11上に移動させる。ノズル61をサンプルポート11に挿入し、ノズル61先端を下部電極基板21に接近させる。次に、シリンジポンプ65を駆動し、サンプル121を排出する。
【0055】
図4(a)は、ノズル61からサンプル121が吐出された状態を示す。本例では、サンプル分注部6のノズル61とサンプルポート11直下の下部電極基板21上の駆動電極211の間に電圧を印加する。本例では、ノズル61が共通電極の機能を提供する。
【0056】
下部電極基板21上の電極に正の電圧を印加し、ノズル61に負の電圧を印加する。ノズル61に負の電圧を印加する代わりに、グランドに接続してよい。
【0057】
これによりサンプル121はEWOD現象により下部電極基板21上の駆動電極に引き付けられ、分析デバイス2の空間を駆動電極に沿って進む。
【0058】
所定量のサンプル121が分析デバイス2の空間内に分注されたら、図4(b)に示すように、下部電極基板21上の駆動電極に負の電圧を印加し、ノズル61に正の電圧を印加する。下部電極基板21上の駆動電極に負の電圧を印加する代わりに、グランドに接続してよい。これにより、サンプル121はEWOD現象によりノズル61に引き付けられる。次に、シリンジポンプ65を駆動し、ノズル61内にサンプル121を吸引する。
【0059】
分析デバイス2の空間内のサンプル121は駆動電極側からノズル61側に引き付けられながら後退し、駆動電極から離脱してノズル61内に戻る。サンプル121が駆動電極から離脱すると、電位または微弱な電流の変化が起きる。従って、電位又は電流の変化を検出することにより、サンプル121が駆動電極から離脱したことが判る。サンプル121が駆動電極から離脱したら、シリンジポンプ65を停止し、サンプル121の吸引を停止する。
【0060】
ノズル61をサンプルポート11から引き上げ、図示しないサンプル廃棄場所に移動し、シリンジポンプ65を駆動し、ノズル61内のサンプル121を吐出する。本例では、作動液321としてオイル721を使用するから、オイル721がノズル61先端から出てくるまでシリンジポンプを駆動することによりノズル61内のサンプル121を完全に除去することができる。
【0061】
本実施例によれば、サンプル除去時にEWODによりノズル表面の濡れ性を向上させることにより、サンプルがノズルに引き付けられスムーズに戻る。従って、分析デバイス内にサンプルが残留することなく他のサンプルの測定に影響を与えることが無くなり測定精度が向上する。
【0062】
図5〜図9を参照して本発明による試薬分注部4の構成及び動作を説明する。分析デバイス2の構造は図2を参照して説明したものと同一である。上側の上部アクセス基板201と下側の下部アクセス基板202の図示は省略されている。上部電極基板23の内面には共通電極214が設けられ、下部電極基板21の内面には、複数の電極2111、2112を含む駆動電極が設けられている。駆動電極上には、絶縁体膜212が設けられている。絶縁体膜212の上に、撥水膜213がコーティングされている。共通電極214には、撥水膜213のみがコーティングされている。
【0063】
試薬容器42の下端のノズル43は、ノズル43の先端が下部電極基板21に近接するように、試薬ポート41に挿入されている。
【0064】
ノズル43の上端面、内面、及び、下端面は、誘電体薄膜からなる絶縁体膜431によってコーティングされている。更に、ノズル43の絶縁体膜431上及びノズル43の外面には、フッ素系の撥水膜432がコーティングされている。こうして、絶縁体膜431及び撥水膜432が塗布されたノズル43は、接着などにより試薬容器42の下端に取り付けられている。
【0065】
ノズル43及び試薬容器42は、ステンレスなどの導電性材料によって形成されるが、両者は、絶縁体膜431によって電気的に遮断されている。ノズル43は絶縁体膜431によって共通電極214から電気的に遮断されている。
【0066】
試薬容器42の上面には、バルブ(図示しない)が設けられ、このバルブは通常閉じている。このバルブを開くと、試薬容器42は大気圧又は圧力源(図示しない)に接続される。
【0067】
本例では、試薬容器42が共通電極の機能を有し、ノズル43が駆動電極の機能を有する。従って、試薬容器42はスイッチ461を介して電源の負極に接続されている。ノズル43は、スイッチ462を介して、電源の正極に接続されている。各電極2111、2112は、スイッチ463、464をそれぞれ介して、電源の正極に接続されている。上部電極基板23の内面の共通電極214は、電源の負極に接続されている。
【0068】
試薬容器42が、非導電性材料によって形成されている場合には、試薬容器42の内部に試薬421に接する端子(図示しない)を設け、この端子を、外部に導線を引き出し、スイッチ461を介して電源の負極に接続する。
【0069】
図5は、初期状態を示す。初期状態では、全てのスイッチはオフである。また、ノズル43には、フッ素系の撥水膜432がコーティングされているから、分析デバイス2の空間内のオイル721がノズル43内に進入する。
【0070】
図6に示すように、最初に、試薬容器42に接続されたスイッチ461をON、ノズル43に接続されたスイッチ462をONにする。それにより試薬容器42内の試薬421は、負電位、即ち、グランドレベルになり、ノズル43は正電位になる。これにより、試薬421に対するノズル43内面の濡れ性が増加する。試薬421はノズル43内を下降し、分析デバイス2の空間内に入り、ノズル43直下の下部電極基板21上の駆動電極2111上に配置される。試薬421は、ノズル43の下端から分析デバイス2の空間内に出ると広がり、試薬421とオイル721の界面張力が反力となり試薬421の吐出が止まる。
【0071】
次に、図7に示すように、ノズル43の直下の電極2111のスイッチ463をオンにする。電極2111には正の電圧が印加され、電極2111の領域において試薬421に対する濡れ性が増加する。従って、電極2111上にて、試薬421は広がる。
【0072】
図8に示すように隣接するスイッチ464もONとする。それにより、隣接する電極2112には正の電圧が印加され、電極2112の領域において濡れ性が増加する。従って、電極2112上に、試薬421は伸展する。
【0073】
次に図9に示すようにノズル43の直下のスイッチ463をOFFとし、ノズル43の直下の電極2111への電圧を切断する。それによって、電極2111の領域における濡れ性が低下する。隣接する電極2112の領域の濡れ性は、依然として高いから試薬421は電極2112の方へ引っ張られている。そこで、試薬は分離し、試薬液滴4211となる。さらに、スイッチ461、462をOFFとしノズル43への電圧印加を停止すると、ノズル43の直下に残留した試薬421はノズル43を上昇して試薬容器42内に戻る。
【0074】
本例では、水圧と表面張力のコントロールが重要である。まず、ノズル43内の液体の移動について考える。ノズル43の内径をr、試薬421とオイル721の界面張力をσ、接触角をθ、試薬421とオイル721の界面での水圧をPとすると、界面張力の鉛直成分Pσと水圧による垂直方向の力Phの比Pσ/Phは、次のようになる。
Pσ/Ph=2πrσcosθ/πr2P=2σcosθ/rP (数3)
【0075】
この比が1より大きく且つ界面張力が上方向に作用する場合、試薬421はノズル43内を上昇する。試薬容器42の内径はノズル43の内径よりも十分大きく、試薬421の上昇による試薬容器42内の液面レベルの上昇は無視できる。従って、試薬421がノズル43内を上昇した距離に対応して、試薬421とオイル721の界面における水圧(水頭差)が小さくなる。界面の水圧(水頭差)が小さくなると、数3の式の比は更に小さくなり、ノズル43内の試薬421は試薬容器42内に戻る。ノズル43から試薬容器42へ遷移する継ぎ目では、径が急拡大し、数3の式の比は1以下に急減するから、オイル721がノズル43から試薬容器42へ移動することはない。
【0076】
また、数3の式の比が1より小さいと、試薬421はノズル43内を下降する。試薬421の下降による試薬容器42内の液面レベルの下降は無視できる。従って試薬421が下降した距離に対応して界面の水圧(水頭差)は大きくなる。界面の水圧(水頭差)が大きくなると数3の式の比は更に小さく。従って、試薬421はノズル43内を下降しノズル43の下端に達する。ノズル43の下端での水圧上昇はノズル43内の試薬の液柱の長さLに比例する。界面における水圧をP0とし、比例定数をkとすると、ノズル43の下端での水圧はP0+kLとなる。
【0077】
接触角θは電圧を印加しない場合130〜140°である。試薬とオイルの界面がノズル43の上端の入口にあり、且つ、ノズル43に電圧が印加されていない場合には、数3の式の比、即ち、界面張力の鉛直成分/水圧(ノズル)は1以上である。ノズル43に正の電圧を印加すると、接触角θが低下し、界面張力の鉛直成分Pσが小さくなる。接触角θが、所定の値より小さくなると、数3の式の比は1より小さくなる。数3の式の比が1より小さくなるような接触角θをθ0とすると、接触角θ=θ0、は、次の数4の式を満たす。
θ=θ0<Cos−1(rP0/2σ) (数4)
【0078】
従って、接触角θがθ0となるように、ノズル43に電圧を印加すればよい。それにより、試薬は、ノズル43を下降し、分析デバイス2の空間内に入り、円形状に広がる。この円の半径をR、上部の共通電極214と下部の駆動電極211間のギャップ(高さ)をHとすると、分析デバイス2の空間内に円形に広がった試薬421における界面張力Hσと水圧Phの比は、次のようになる。但し、ギャップHは、水頭差に比べ十分小さく、分析デバイス2の空間における水圧は一様であると仮定する。
Hσ/Ph=2×2πRσcosθ/2πRHP=2σcosθ/HP (数5)
【0079】
この比の値が1より大きい場合は、試薬421は分析デバイス2の空間内に広がることができない。この比の値が1より小さい場合には、試薬421は分析デバイス2の空間内に広がる。この比の値を1より大きくするには、接触角θを、所定の値より大きくすればよい。結局、試薬がノズル43を下降するが、分析デバイス2の空間内にて広がらない条件は、接触角θが、次の数6の式を満たす必要がある。尚、分析デバイス2の空間における水圧をP0+kLとする。
Cos-1{H(P0+kL)/2σ}<θ<Cos-1(rP0/2σ) (数6)
【0080】
図6は、試薬がノズル43を下降し、分析デバイス2の空間内に入るが、そこで広がらない状態を示す。次に、図7に示したように、試薬421を更に分析デバイス2の空間内に供給する場合には、試薬ポート41直下の下部電極基板21の電極2111に電圧を印加し、電極2111の濡れ性を高くする。電極2111に正の電圧を印加することによって、接触角θが小さくなり、数5の式の比、即ち、界面張力/水圧(デバイス)が1より小さくなる。それによって、試薬421は分析デバイス2の空間内にて広がる。
【0081】
試薬421と電極211間の電圧、電気容量等の変化を検出することによって、試薬421が分析デバイス2の空間内へ進入したことが検知される。図8に示したように、試薬421が、隣接する電極2112の全体を覆ったとき、電極2111への電圧印加を停止する。それによって、電圧が印加されている電極2112以外の領域では、濡れ性が低下する。従って、図9に示したように、電極2112の周囲の試薬421は、ノズル側に引き戻される。この引き戻しを確実にするため、試薬容器42内を図示しない負圧源に接続してよい。それによって、試薬421は、確実に、試薬容器42に引き戻される。
【0082】
こうして、試薬421は分断され、電極2112上に、試薬の液滴4211が生成される。この試薬の液滴を更に、EWODの分注動作によって、所定の量の液滴に分離することができる。
【0083】
例えば、ノズル43の内径rを0.2mm、界面張力σを水程度の0.07N/m、水頭Pを10mmH2Oとする。ノズル43に電圧を印加していないとして、接触角θ=140°とすると、数3の式の比、即ち、界面張力の鉛直成分/水圧(ノズル)=5.3 となる。従って、試薬421はノズル43内を下降しない。
【0084】
次にノズル43に電圧を印加し、接触角をθ<99°とする。界面張力に水圧が勝って、数5の式の比、即ち、界面張力の鉛直成分/水圧(ノズル)<1となる。従って、試薬421はノズル43内を流下する。
【0085】
さらに上部の共通電極214と下部の駆動電極211間のギャップH=0.3mmとし、ノズル43の長さL=10mmとする。下部電極基板21の駆動電極2113に電圧を印加していない場合、接触角θ=140°であるから界面張力/水圧(デバイス)=1.8となり試薬421は分析デバイス2の空間内に入っていかない。
【0086】
駆動電極2113に電圧を印加し、接触角θ<116°とすると、界面張力/水圧(デバイス)<1となり、試薬421は分析デバイス2に入る。
【0087】
本例によれば、試薬を分注する機構に電極を用い、電極に印加する電圧により電極の濡れ性を制御する。それによって、試薬等を所望の量に分注することができる。そのため可動部が無く機構が簡素化し装置が小型化する。
【0088】
図10を参照して本発明の化学分析装置の試薬分注部4の構成及び動作を説明する。本例の試薬分注部4は、図3に示したサンプル分注部6と同様に、オイル供給部7を利用して試薬421の分注を行う。尚、本例で利用するオイル供給部7は、図3に示したオイル供給部7と同一であり、その詳細な説明は省略する。
【0089】
本例の試薬分注部4は、試薬を貯蔵する試薬容器42を有し、試薬容器42の下には、バルブ44を備えたノズル43が接続されている。ノズル43の先端は、試薬ポート41内に配置されている。
【0090】
試薬容器42は、試薬ポート41毎に設ける。試薬421の注入は、バルブ44の開閉によりを行う。試薬421の注入量の調整は、オイル液面検出ポート791に設置したオイル液面センサ792によって液面レベルの変動量を検出することにより行ってよい。尚、予め、バルブ44の開時間と注入量の関係を求めておき、そのデータに基づいて、バルブ44の開閉時間を設定してもよい。更に、分析デバイス2の空間内の電極2111と試薬421間の電位または電流を計測し、試薬421の流下量を検出してもよい。更に、試薬容器42の下部に特開平11-082309に記載のようなマイクロポンプを設け、試薬421を空中吐出してから供給してもよい。
【0091】
図3の例では、サンプル分注部6によるサンプル分注にてオイル供給部7を利用するが、本例では、更に、試薬分注部4による試薬分注にも、オイル供給部7を利用することができるから、オイル供給部7の利用効率が高まり、装置構成が簡単で低コストになる。
【0092】
次に、図11を参照して、本発明の駆動電極211のパターンを説明する。駆動電極211は、サンプルポート11、試薬ポート41A、41B、及び、廃液ポート51を接続するように形成されている。サンプルポート11を始点とする1列の円形の電極の列211Aが設けられ、試薬ポート41A、41Bをそれぞれ始点とする1列の円形の電極の列211B、211Cが設けられ、廃液ポート51を始点とする1列の円形の電極の列211Dが設けられている。
【0093】
ここでは、液の流れの概略を説明する。詳細は、後に、図13を参照して説明する。サンプルポート11に設けられた電極上のサンプルの液滴は、電極の列211Aに沿って移動し、分離し、小さな液滴となって交差点の電極211aに運ばれる。同様に、試薬ポート41Aに設けられた電極上の第1の試薬の液滴は、電極の列211Bに沿って移動し、分離し、小さな液滴となって交差点の電極211aに運ばれる。従って、サンプルと第1の試薬は電極211a上にて混合する。混合液は、電極の列に沿って移動し、交差点の電極211b上に運ばれる。一方、試薬ポート41Bに設けられた電極上の第2の試薬の液滴は、電極の列211Cに沿って移動し、分離し、小さな液滴となって交差点の電極211bに運ばれる。交差点の電極211bにて混合液と第2の試薬は混合される。この混合液は、検出器95によって光学量が検出される。検出後に、混合液は、電極の列に沿って移動し、廃液ポート51に設けられた電極上に運ばれる。この電極上の混合液は、廃液ポート51を経由して排出される。
【0094】
電極の大きさは、電極にて保持する液滴の量に対応している。従って、ポート上の電極は大きい。また、交差点の電極は2つの液滴の混合液を保持するため比較的大きい。
【0095】
各電極列において、ポート上の電極を除いて、奇数番目の電極の両側に電極が設けられている。この両側の電極は液滴を分離する機能を有するが、詳細は、後に説明する。更に、隣接する2つの電極は、接合部において、互いに入れ子状態となるくし型に形成されているが、これについては図14を参照して説明する。
【0096】
図12を参照して、本発明による駆動電極を従来の駆動電極と比較して説明する。図12aに示すように、従来の駆動電極は、例えば、WO2004/030820 A2に示されているように、四角形の電極からなる。図12aの例では、3つの連続する同一面積の正方形の電極1231〜1233からなる。
【0097】
図12bに示すように、本発明の駆動電極は、円形の電極からなる。図12bの例では、3つの連続する同一面積の円形の電極1234〜1236からなる。また、液が電極から次の電極に安定的に移動するように、2つの隣接する電極は、互いに、重複するように、形成されている。電極に電圧を印加すると、そこに液が保持される。液は電極の外形、即ち、外接円に対応して、円形に配置される。
【0098】
円形の周囲長は、他の形状の周囲長と比較して、最短である。そのため同一体積の液では、円形の液滴が最も表面エネルギーが小さくなり安定である。従って、本例では、液を電極上に安定的に保持することができる。
【0099】
液滴を分割する場合を考える。両端の電極に電圧を印加し、中央の電極には電圧を印加しないとき、両端の電極の濡れ性が向上するため液滴(図のハッチングの部分)は図のように両端の電極に引っ張られ、分離する。図12は、中央の電極上にて、液滴が分離する瞬間を模式的に示している。
【0100】
電極面積が同一の場合、図12bの液滴の周囲長は図12aの液滴の周囲長の約86%(隣接する電極の外形をなす円の中心間が円の半径の1.5倍の場合)であり、従って、図12bの液滴の表面エネルギーは、図12aの液滴よりが小さく、安定である。図12aの電極の場合、角部にて曲率の変化が生じる。従って、この部分において、液を電極の外形に対応した形状に保持するのが困難となり、液の形状が不安定となる。液を導入または分割する場合、液の形状が不定形となり、分割された液の液量がばらつき、分注精度が悪くなる。
【0101】
分離時には、図示のように、液が、中央の電極に残る。図12bの場合にて、中央の電極に残った液は、図12aの場合にて、中央の電極に残った液の約27%である。即ち、図12bの例では、中央の電極に残った液の量は少ないから、両側の電極に引き付けられる液量のばらつきも小さくなる。従って、本例では、所望の量の液を正確に電極に保持することができる。本発明では、電極に正確な量の液を保持することができるため、このように、液を分注する場合ばかりでなく、液の混合を正確に実行することができるから、正確に反応を制御することができ、測定誤差が減少する。
【0102】
図13を参照して、本発明により試薬を分注する方法を詳細に説明する。図13は、試薬ポート41に接続して設けられた駆動電極を示す。図示のように、駆動電極は、試薬ポート41に配置された第1の電極2111、それに続いて1列状に設けられた、電極2112、2113、2114、2115、2116、2117、2118、更に、電極2113の両側に且つ電極列に直交するように設けられた2個の電極2119、2119、電極2115の両側に且つ電極列に直交するように設けられた2個の電極2120、2120を含む。
【0103】
図13aは、試薬ポート41から試薬が導入され、第1の電極2111上に円形の液滴が生成された状態を示す。第1の電極2111には正の電圧が印加されている。次に、図13bに示すように、隣接する5個の電極2112、2113、2114、2115、2116に順に正の電圧を印加する。それによって、5個の電極2112、2113、2114、2115、2116の濡れ性が次々に増加し、液は、5個の電極を順に進む。
【0104】
次に、図13cに示すように、両側の電極2119、2120と第7の電極2117に正の電圧を印加する。それによって、電極2119、2120、2117の濡れ性は増加する。第1及び第2の電極2111、2112に正の電圧を印加したまま、4個の電極2113、2114、2115、2116に印加されている電圧を切断する。図示の矢印にて示すように、電圧の印加が切断された第6の電極2116上の液の大部分は、隣接する第7の電極2117に引っ張られる。電圧の印加が切断された第5の電極2115上の液は、両側の電極2120、2120に引っ張られる。このとき、第6の電極2116上に残った液は、第5の電極2115上の液と合流し、両側の電極2120、2120に引っ張られる。
【0105】
電圧の印加が切断された第3の電極2113上の液は、隣接する第2の電極2112及び両側の電極2119、2119に引っ張られる。電圧の印加が切断された第4の電極2114上の液の大部分は、隣接する第3の電極2113を経由して両側の電極2119、2119に引っ張られる。第4の電極2114上に残った液は、第5の電極2115上の液と合流し、両側の電極2120、2120に引っ張られる。
【0106】
最後に、図13dに示すように、第7の電極2117に正の電圧を印加したまま、第5の電極2115に正の電圧を印加し、その両側の電極2120、2120に印加されている電圧を切断する。それによって、第5の電極2115の濡れ性は増加する。両側の電極2120、2120上の液は、第5の電極2115上に集まる。
【0107】
次に、第3の電極2113に正の電圧を印加し、両側の電極2119、2119に印加されている電圧を切断する。それによって、電極2119、2119上の液は、第3の電極2113上に移動する。次に、第3の電極2113、及び、第2の電極2112に印加されている電圧を順に切断する。それによって、第3の電極2113、及び、第2の電極2112上の液は第1の電極2111に引っ張られる。こうして、第5の電極2115と第7の電極2117上に液を残したまま、全ての液は、第1の電極2111上に集められる。
【0108】
次に、第7の電極2117上の液を第8の電極2118上に移動させる処理を行う。第8の電極2118に正の電圧を印加し、第7の電極2117に印加されている電圧を切断する。それによって、第8の電極2118の濡れ性が増加し、第7の電極2117の濡れ性が減少する。従って、第7の電極2117上の液は、第8の電極2118上に移動する。
【0109】
最後に、第5の電極2115上の液を第1の電極2111上の大きな液滴に集める処理を行う。隣接する第4の電極2114に正の電圧を印加し、第5の電極2115に印加されている電圧を切断する。それによって、第4の電極2114の濡れ性が増加し、第5の電極2115の濡れ性が減少する。従って、第5の電極2115上の液は、第4の電極2114上に移動する。このような操作を、第3の電極2113、第2の電極2112、及び、第1の電極2111に対して繰り返せばよい。
【0110】
ここでは、試薬を分注する処理を説明したが、サンプルの分注も同様な方法により行うことができる。更に、このような操作を利用することにより、図11を参照して説明したように、サンプルに試薬を混合させることができる。
【0111】
図14を参照して隣接する2つの電極の接合部の形状を説明する。液滴は、電極が描く外接円の形状に対応する形状に形成され、また、電極が描く外接円の形状に沿って移動する。従って、隣接する電極の外接円は分離しないように1つの滑らかな曲線を描く必要がある。本例では、2つの電極の外接円の一部は互いに重なるように形成される。こうして、重なり合う領域を設けることによって、一方の電極上の液滴は他方の電極上にスムーズに移動する。
【0112】
図14aに示す例では、この重なり合った領域がくし型の形状を有する。即ち、一方の電極のくし型部に他方の電極のくし型部が入れ子状に挿入されている。図14bに示す例では、両側の電極は円形であるが、中央の電極は両側の円によって切り取られた形状を有する。図14cに示す例では、2つの円の交点を結ぶ直線によって、各円は切り取られた形状を有する。
【0113】
こうして、本例では、2つの隣接する電極は、重なりあう領域を有するため、液滴がスムーズに移動することができる。
【0114】
以上、本発明の例を説明したが、本発明は上述の例に限定されるものではなく特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明による化学分析装置の構成を示す図である。
【図2】分析デバイスの断面構成を示す図である。
【図3】本発明の化学分析装置の作動液貯蔵部、サンプル分注部、及び、オイル供給部の例を示す図である。
【図4】本発明のサンプル分注部の他の例を示す図である。
【図5】試薬を分注する操作を説明ための説明図である。
【図6】試薬を分注する操作を説明ための説明図である。
【図7】試薬を分注する操作を説明ための説明図である。
【図8】試薬を分注する操作を説明ための説明図である。
【図9】試薬を分注する操作を説明ための説明図である。
【図10】本発明の化学分析装置の試薬分注部の例を示す図である。
【図11】本発明の化学分析装置の分析デバイスの電極の構成を示す図である。
【図12】円形電極の利点を説明するための説明図である。
【図13】電極による分注方法を説明するための説明図である。
【図14】隣接する電極の形状を示す図である。
【符号の説明】
【0116】
1…サンプルディスク、2…分析デバイス、3…作動液貯蔵部、4…試薬分注部、5…廃液排出部、6…サンプル分注部、7…オイル供給部、8…オイル分離部、11…サンプルポート、12…サンプルカップ、21…下部電極基板、22…スペーサ基板、23…上部電極基板、24…空間、32…作動液容器、36…バルブ、37…チューブ、41、41A、41B…試薬ポート、42…試薬容器、43…ノズル、44…バルブ、421…試薬、51…廃液ポート、53…ノズル、54…バルブ、55…ポンプ、56…バルブ、57…チューブ、61…ノズル、62…アーム、63…支柱、64…バルブ、65…ポンプ、66…チューブ、71…オイル供給ポート、72…オイル容器、73…チューブ、74…バルブ、75…ポンプ、76…バルブ、77…チューブ、81…オイルドレインポート、82…廃液容器、83…チューブ、84…バルブ、88…分離器、90…傾き調整部、91…傾斜センサ、95…検出器、121…サンプル、1211…液滴、201…上部アクセス基板、202…下部アクセス基板、211…駆動電極、211A、211B、211C、211D…駆動電極列、212…誘電体薄膜、213…撥水膜、214…共通電極、321…作動液、431…誘電体薄膜、432…撥水膜、421…試薬、461、462、463、464…スイッチ、721…オイル、791…オイル液面検出ポート、792…オイル液面センサ、1211…小液滴、211a、211b、2111〜2118、2119、2120…電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通電極を供えた第1の電極基板と複数の電極の列を含む駆動電極が設けられた第2の電極基板と上記2つの電極基板の間に空間を形成するように上記2つの電極基板の間に設けられたスペーサ基板とを有する分析デバイスと、オイルを上記分析デバイスの空間に供給するオイル供給部と、サンプルを上記分析デバイスの空間に供給するサンプル分注部と、試薬を上記分析デバイスの空間に供給する試薬分注部と、を有し、上記共通電極と上記複数の電極の間に順次電圧を印加することによって上記空間内のオイル内にてサンプル及び試薬の液滴を移動させ、混合させ、反応させるように構成されている化学分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の化学分析装置において、上記分析デバイスには上記空間にサンプルを導入するためのサンプルポート、上記空間に試薬を導入するための試薬ポート、上記空間から上記サンプル、試薬及びオイルを排出するための排出ポート、及び、上記サンプルと上記試薬の反応液の光学的特性を検出する検出部が設けられ、上記駆動電極は、上記サンプルポートに供給されたサンプルを所定の位置に導き、上記試薬ポートに供給された試薬を上記サンプルが配置された所定の位置に導いて両者を混合させ、両者の反応液を上記検出部が配置されている位置に導き、検出後の反応液を上記排出ポートに導くように構成されている化学分析装置。
【請求項3】
請求項2記載の化学分析装置において、試薬を供給するためのノズルが上記試薬ポートに挿入されたとき、該ノズルと上記駆動電極の複数の電極の1つに電圧を印加させることができるように構成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項4】
請求項2記載の化学分析装置において、試薬を貯蔵する試薬容器と該試薬容器に設けられたノズルとが設けられ、上記ノズルが上記試薬ポートに挿入されたとき、上記試薬容器と上記ノズルの間に電圧を印加させることができるように構成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項5】
請求項2記載の化学分析装置において、上記排出ポートより排出された上記所定の溶液より不純物を除去する分離する分離器が設けられていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項6】
請求項2記載の化学分析装置において、上記空間に接続されるように上記2つの基板の一方に、液面検出ポートが設けられ該液面検出ポート内の上記所定の溶液の液面レベルを検出するための液面センサが設けられていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項7】
請求項1記載の化学分析装置において、上記第1の基板の内面には上記共通電極を覆うように撥水膜が設けられ、上記第2の基板の内面には上記駆動電極を覆うように絶縁膜が設けられ更にその上に撥水膜が設けられていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項8】
請求項1記載の化学分析装置において、上記基板の水平面に対する傾斜を検出する傾斜センサと上記基板を水平面に対して所定の角度にて傾斜させる傾き調整部とを有し、上記傾斜センサによって検出された傾斜は上記傾き調整部に供給されることを特徴とする化学分析装置。
【請求項9】
互いに向き合いその間に空間を形成するように配置された第1及び第2の基板と、上記第1の基板に設けられた共通電極と、上記第2の基板に設けられた複数の円形の電極の列を含む駆動電極と、を有し、上記空間にサンプル及び試薬と混ざらない所定の溶液を充填し上記共通電極と上記複数の電極の間に順次電圧を印加することによって上記空間内の所定の溶液内にてサンプル及び試薬の液滴を上記駆動電極に沿って移動させ、混合させ、更に、反応させるように構成された分析デバイス。
【請求項10】
請求項9記載の分析デバイスにおいて、上記円形の電極は、互いに隣接する電極同士が重複する領域を有するように形成されていることを特徴とする分析デバイス。
【請求項11】
請求項10記載の分析デバイスにおいて、上記重複する領域は、一方の円形電極のくし型部と他方の円形電極のくし型部が互いに入れ子状に配置されていることを特徴とする分析デバイス。
【請求項12】
請求項10記載の分析デバイスにおいて、上記重複する領域は、一方の円形が他方の円形によって切り取られている形状を有することを特徴とする分析デバイス。
【請求項13】
請求項10記載の分析デバイスにおいて、上記重複する領域は、2つの円の交点を結ぶ線分によって円が切り取られている形状を有することを特徴とする分析デバイス。
【請求項14】
請求項9記載の分析デバイスにおいて、上記駆動電極は上記サンプル及び試薬の液滴を移動させるための経路に沿って形成された円形の主電極と該電極の両側に形成された円形の側部電極とを有し、上記主電極に順次電圧を印加し、次に、上記側部電極に電圧を印加し且つ上記主電極の電圧を切断し、次に、上記側部電極に挟まれた上記円形の電極に電圧を印加し且つ上記円形の電極の電圧を切断するように構成されていることを特徴とする分析デバイス。
【請求項15】
請求項9〜14のいずれか1項記載の分析デバイスと、サンプルを保持する複数のサンプルカップを搭載した回転可能なサンプルディスクと、サンプルを上記分析デバイスの空間内に供給するサンプル分注部と、試薬を上記分析デバイスの空間内に供給する試薬分注部と、を有する化学分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−201083(P2006−201083A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14493(P2005−14493)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】