説明

化粧剤用の回折着色剤

【課題】
回折着色剤を化粧料の使用に供することを課題とした。
【解決手段】
化粧剤用の回折着色剤において、化粧剤中における回折着色剤の使用、回折着色剤を含む組成物、およびその組成物を調製するための方法ならびにその使用に関する。好ましい回折着色剤は、粒子、とくに薄片状、または球状、またはフィルム状もしくは凝集塊である。さらに局所適用に最適化されるべく顔料、キャリアおよびさらなる成分を混合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧剤中における回折着色剤の使用、回折着色剤を含む組成物、およびその組成物を調製する方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
装飾用化粧剤の領域において、および高い価値の外観を有するケアまたはクレンジング組成物の設計の領域においても、新規効果材料への一定の需要がある。染料以外では、標準的市販の効果着色剤は現時点では、例えば、干渉顔料である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
今回、回折着色剤も化粧剤における使用に著しく適していることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、すなわち、まず、化粧剤中における回折着色剤の使用に関する。
【0005】
本発明の一つの態様において、回折着色剤は、局所適用において装飾目的で用いられる。さらなる態様において、回折着色剤は、局所適用のための組成物中において装飾目的で用いられる。ここで、局所適用は皮膚、髪または爪に成され、本発明において爪への回折着色剤の適用が特に好ましい。
【0006】
ここで、好ましい回折着色剤は粒子、特に薄片または球、またはフィルムもしくは凝集塊である。
【0007】
本発明のさらなる目的において、回折着色剤は、三次元フォトニック構造を有する材料である。三次元フォトニック構造という用語は、通常、規則的三次元的に誘電率(すなわち屈折率も)が変調する系を意味すると解される。周期的変調長さが、(可視)光の波長に略相当する場合、構造は、角度依存的色現象から明らかである三次元的回折格子のように光と相互作用する。
【0008】
従って、本発明によれば、回折顔料が、光学的特性に本質的である割合で、本質的に単分散寸法分布を有する球状粒子または空洞の配列から本質的になることが好ましい。
【0009】
その例は、最密二酸化珪素球および、その間が空気で満たされている空隙、およびシリカゲルまたは水からなる天然産の宝石であるオパールである。
【0010】
天然の貴重なオパールは、粒径が150〜400nmの単分散最密充填かつ従って規則正しく配列されたシリカゲル球からなる領域より形成される。これらのオパールの色は、結晶様に配された領域の格子面における入射光のブラッグ様散乱により作られる。
【0011】
球の対応する配列は、もちろん、他の材料を含む球を用いて得ることもできる。適当な球が、芯/殻粒子用の芯についての段落に後述されている。可能な芯として記載されている全ての球材料は、回折着色剤中における規則正しい配列に適している。
【0012】
このタイプの球凝集塊は、凝集塊が機械的に安定化されるのなら、特に、本発明により好ましく用いられる回折着色剤である。これは、球を結合することにより、または球の間に高粘性マトリクスを導入することにより起こり得る。高粘性材料という用語は、特に、粘性のあるロウ様または固体、可塑性または弾性ないし脆性の材料を意味すると解される。
【0013】
例えば、球凝集塊を、ロウ様マトリクス中に埋め込むことができる。適当なロウ様マトリクスは、例えば、脂肪、ロウおよび、他の天然および合成脂肪体、好ましくは、脂肪酸と、低炭素数のアルコール、例えば、イソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロールとのエステル、または、脂肪アルコールと、低炭素数のアルカン酸とのもしくは脂肪酸とのエステルにより形成される。ロウ様マトリクス用の特に適当な物質には、パラフィン、蜜蝋、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、シリコンロウおよび微結晶性ロウ(例えば、オゾケライトおよびセレシン)および、特に、高溶融性ロウ、例えば、シアバター、ラノリン(特に、水素化グレード)およびミリスチン酸ミリスチルがある。
【0014】
本出願は、さらに、対応する回折着色剤およびその調製方法に関し、その方法は、第1の工程において、三次元球パッキングを生成し、第2の工程において、球状凝集塊に、室温においてロウ様である材料の溶融体を含浸させるものである。例えば、規則正しい球凝集塊を、単純沈降により、または、より経済的には、濾過により分散液から製造することができる。加工および特に粉砕工程は、ロウの場合は従来的であり、薄片または球のような所望の粒子を、ロウ安定化球凝集塊から製造可能にする。
【0015】
ロウを、その融点が室温と皮膚表面の温度との間の範囲になるように選択すると、得られる回折着色剤は、局所適用のための組成物中において装飾的目的で用いるのに特に適している。組成物が皮膚上に長い時間維持されると、ロウが溶融し、球はその規則正しい配列を失い、回折着色剤の光学的効果が消滅する。この目的に特に適しているロウは、前述の皮膚溶融性ロウである。
【0016】
このタイプの回折着色剤は、デイクリームまたはサンスクリーンまたは防虫組成物のようなケアまたは保護的組成物の適用の制御のために特に有利に用いることもできる。
【0017】
従って、本発明は、さらに、組成物に混入された回折着色剤を皮膚に適用すると共に、回折着色剤の可視的効果から、皮膚のどの部分に適用が成されたかおよび/または充分な組成物が適用されたかどうかおよび/または再適用がいつ必要になるかが推定されることを特徴とする、局所適用のための組成物の適用を評価するための対応する方法に関する。
【0018】
球凝集塊のためのさらに適当な安定化方法が、文献から知られている。米国特許第4,703,020号は、三次元的に配列された無定形シリカビーズからなり、酸化ジルコニウムまたは水酸化ジルコニウムがビーズの間の隙間に配されている装飾的材料を調製する方法を記載している。このビーズは粒径が150〜400nmである。ここで、調製は2つの工程で行われる。第1の工程において、二酸化珪素ビーズを水性懸濁液から沈降させる。得られる塊を、次に風乾し、続いて800℃で焼成する。焼成した材料を、第2の工程において、ジルコヒウムアルコキシドの溶液中に導入し、芯の間の隙間にそのアルコキシドを貫入させ、酸化ジルコニウムを加水分解により沈降させる。この材料を、続いて、1000〜1300℃で焼成する。この回折着色剤も、本発明の使用に適している。
【0019】
EP-A-1285031は、所定領域中に最密充填され物理的または化学的修飾により機械的に安定化されている三次元的な規則正しく配列された構造の標準偏差が5%未満である50nm〜2(mの粒径を有する単分散球からなる、粒径が5(m〜5000(mの範囲であり乳白色効果を有する粒子を開示している。工程a)において、標準偏差が5%未満である50nm〜2(mの粒径を有する単分散球を液体媒体中に懸濁させ、工程b)において、懸濁液を表面に適用し、工程c)において、液体媒体を除去する、粒子を製造する方法も記載されている。以下の物理的および化学的手段により安定化を達成することができる。球の表面を修飾して、オパール構造の形成中における球の架橋または球の互いのより優れた接着を達成する。液体媒体中に球を懸濁させるために、その加水分解産物がオパール構造の形成中に球の上に沈降すると共に球を互いに化学的に結合させる加水分解性化合物を添加し得ることが好ましい。二酸化珪素球の場合、オルト珪酸テトラエチルが、50〜80℃の温度で懸濁液に添加され、加水分解されて二酸化珪素を提供し、球を互いに化学的結合させる結果となることが好ましい。あるいは、被覆された表面の処理のために、四塩化珪素も用いることができる。本発明の粒子を、可溶性珪酸塩、例えば、ナトリウム水ガラスおよび/または重合性可溶性アルミニウム化合物を懸濁液に添加することにより化学的に安定化することもできる。安定化は、被覆された表面を、可溶性珪酸塩で処理することにより達成することもできる。同様に、粒子を透明プラスチックまたは適当な表面被覆に埋め込むことにより粒子を物理的に安定化することができる。ここで、埋め込み材料が透明であると共に適当な屈折率を有して、その結果、最適の屈折率差が生じることが必須である。埋め込み材料、例えば、表面被覆の加工を容易にするために、その粘度が低く、硬化中にその体積が僅かにしか変化しないかまたは全く変化しないことが特に有利である。一つの可能な態様において、埋め込み材料またはその前駆体が、対応する体積割合で懸濁液中に既に存在している。オパール構造の固化のさらなる態様において、球の表面がシランにより修飾され、シランが次に、オパール構造の形成中に熱または紫外線により互いに架橋する。この架橋により、同様に、オパール構造が固化することになる。単分散二酸化珪素球のシラン化が、DE 43 16 814に、より詳細に記載されている。得られる回折着色剤は、化粧剤中の顔料として用いるのに適している。
【0020】
EP-A-0 955 323は、その芯および殻材料が二相系を形成することができ、殻材料をフィルムに形成することができ、芯が殻フィルム形成の条件下に本質的に寸法安定性であり、殻材料により非常に僅かにしかまたは全く膨張せず、単分散寸法分布を有し、芯材料と殻材料との屈折率の間に少なくとも0.001の相違があることを特徴とする、芯/殻粒子を記載している。さらに、芯/殻粒子の製造および、型の製造のためのその使用が記載されている。型を製造するための方法は、以下の工程を含む:低接着力の基材への芯/殻粒子の適用、適用された層中に存在する溶媒または希釈剤の任意の蒸発および排除、芯/殻粒子の殻材料の液状、軟質または粘弾性マトリクス相への転化、規則正しい構造を有する領域を少なくとも形成するための芯/殻粒子の芯の配向、規則正しい芯構造を固定するための殻材料の硬化、基材からの硬化フィルムの脱離、および顔料または粉末を製造する場合は、脱離されたフィルムの所望の粒径への粉砕。EP-A-0 955 323に開示のこれらの芯/殻粒子において、芯が殻マトリクス中に「浮遊」し;長い芯が溶融体中に形成されず、その代わりに、単に短い芯が領域中に形成される。それにより、これらの粒子は、ポリマーのための従来法による加工には僅かな適性しかない。本発明は、同様に、回折着色剤としてのこれらの凝集塊の使用に関する。
【0021】
特許出願WO 03/25035は、その殻がマトリクスを形成し、その芯が本質的に固体であると共に本質的に単分散寸法分布を有し、殻が好ましくは中間層を介して芯に結合している、芯/殻粒子から本質的になる型を開示している。ここで、芯材料の屈折率と殻材料の屈折率とが相違し、前記光学的効果、好ましくは、乳白を引き起こす。特許出願DE 10204338によれば、そのような芯/殻粒子の型に、さらに、顔料のようなコントラスト材料を組み込むことができる。組み込まれたコントラスト材料は、これらの型における輝度、コントラストおよび観察された色効果の深さを増す。同様に、そのような型を加工して顔料を与えることが記載されている。ここで、顔料は、例えば、まず、芯/殻粒子から、任意に硬化し得るフィルムを製造することにより調製することができる。フィルムを、続いて、適当な方法において切断または破砕することにより粉砕することができ、場合により、続いて、研磨して適当な寸法の顔料を与える。この操作は、例えば、連続ベルトプロセスにおいて行うことができる。芯/殻粒子から本質的に形成されるWO 03/25035またはDE 10204338による対応する回折着色剤の使用、その調製および組成物も、本特許出願の開示内容に明らかに属する。
【0022】
その殻がマトリクスを形成し、その芯が本質的に固体であると共に本質的に単分散寸法分布を有し、芯材料の屈折率と殻材料の屈折率との間に相違があると共にマトリクスが脆い、芯/殻粒子から本質的になる回折着色剤が、ファイル参照番号DE 10357679.7の独国先願に記載されている。
【0023】
ここで脆いマトリクスという用語は、そのような大きな機械的硬度を有するマトリクスを意味すると解され、このマトリクスを有するフィルムを研磨することができる。特に、本発明の目的のための脆いマトリクスは、弾性を示さず、機械的負荷下においても流動しない。本発明の目的において、脆いマトリクスは、機械的負荷下に割れ、そのために、比較的大きな単位を研磨することにより粒子を製造するのに特に適している。
【0024】
本発明の好ましい態様において、マトリクスの脆性は、架橋された有機ポリマーによりマトリクスが本質的に形成されることにより達成される。
【0025】
本発明の同様の好ましい態様において、室温、例えば、日光により僅かに高められた温度における回折着色剤の通常の使用条件下においてマトリクスの脆性が前記意味において保証されるように、マトリクスのガラス転移温度TGは25℃を超え、50℃を超え、特に好ましくは70℃を超える。ここで、ガラス転移温度は、芯/殻粒子の殻材料としてポリマーを適当に選択することにより設定することができる。当業者は全く問題なく賢明な選択を行うことができる。この殻材料は、特に好ましくは、ホモポリマーまたはコポリマーであるポリメタクリル酸シクロヘキシル、ポリスチレンおよび置換ポリスチレン誘導体、例えば、使用温度を超えるTgを有するポリ(ヨードスチレン)およびポリ(ブロモスチレン)、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、高いTgのポリ塩化ビニル、およびポリ酢酸ビニルの転化により生じる他のビニルポリマー、およびポリアクリロニトリルおよびスチレン-アクリロニトリルコポリマーである。
【0026】
前述の局面とは別に、本発明のこれらの回折着色剤は、WO 03/25035に記載のように芯/殻粒子から形成される。
【0027】
本発明による光学的効果を達成するために、芯/殻粒子が、約5nm〜約2000nmの範囲の平均粒径を有することが望ましい。芯/殻粒子が、約5〜20nm、好ましくは約5〜10nmの範囲の平均粒径を有することが特に好ましい。この場合、芯は「量子ドット」として知られており、これらは、文献から知られている対応する効果を奏する。可視光領域において色効果を達成するために、芯/殻粒子が、約40〜500nmの範囲の平均粒径を有することが特に有利である。80〜500nmの範囲の粒子を用いることが特に好ましい。それは、この寸法範囲の粒子において、可視光の種々の波長の反射が互いに僅かに相違し、よって、可視光領域における光学的効果に特に重要な乳白が、広範囲の種々の色において特に著しい程度に生じるからである。しかしながら、本発明の別の態様において、種々のこの好ましい粒径を用いて、高次の反射を起こし、広い色作用を奏することも好ましい。
【0028】
本発明の目的のために、光学的効果という用語は、可視波長領域の光における効果と、UVまたは赤外線領域における効果との両方を意味すると解される。近年、光子効果として、通常、このタイプの効果に言及することが一般的になってきた。全てのこれらの効果は、本発明の目的のための光学的効果であり、好ましい態様において、効果は可視領域における乳白である。この用語の従来的定義の意味において、本発明による回折着色剤は、光子結晶である(Nachrichten aus der Chemie;第49(9)巻2001年9月;1018〜1025頁を参照されたい)。
【0029】
本発明によれば、芯/殻粒子が、非流動性であるか、または、殻材料の融点を超える温度で流動性になる材料からなることが特に好ましい。これは、対応する高ガラス転移温度(Tg)を有するポリマー材料、好ましくは、架橋ポリマーの使用により、または、無機芯材料の使用により、達成することができる。適当な材料を以下に詳細に説明する。
【0030】
観察された効果の強さについてのさらなる重要な因子は、芯の屈折率と殻の屈折率との間の相違である。本発明による回折着色剤は、好ましくは、芯材料の屈折率と殻材料の屈折率との間の少なくとも0.001、好ましくは少なくとも0.01、特に好ましくは少なくとも0.1の相違を有する。本発明の回折着色剤が、産業的に利用できる光子効果を奏することが意図される場合、少なくとも1.5の屈折率の相違が好ましい。
【0031】
本発明の特別の態様において、芯/殻粒子の芯に加えて、回折着色剤のマトリクス相中にさらなるナノ粒子が組み込まれる。これらの粒子は、それらが、芯の球パッキングの空隙に嵌り、芯の配列において僅かな変化しか引き起こさないように、それらの粒径に関して選択される。対応する材料および/または粒径を特異的に選択することにより、まず、回折着色剤の光学的効果を修飾して、例えば強度を増すことができる。次に、適当な「光子ドット」を組み込むことにより、マトリクスをそれに対応して官能化することができる。好ましい材料は、無機ナノ粒子、特に、金属の、またはII-VIもしくはIII-V半導体の、または材料の磁気特性に影響を与える材料のナノ粒子である。好ましいナノ粒子の例は、金、硫化亜鉛、赤鉄鉱または砒化ガリウムである。
【0032】
本発明による回折着色剤中で芯/殻粒子を均一に配向する正確な機構は、今まで知られていなかった。しかしながら、力の作用が、遠くまで届く程度の形成に本質的であると分かった。加工条件下における殻材料の可塑性が、配列プロセスに重要であると思われる。殻ポリマーの鎖末端は、通常、コイル状形状を採用しようとする。2つの粒子が近づき過ぎると、コイルがモデル概念に従って圧縮され、そして反発力が生じる。異なる粒子の殻ポリマー鎖は互いに相互作用もするので、ポリマー鎖は、2つの粒子が互いに離れる場合、そのモデルに従って拡張される。殻ポリマー鎖が再びコイル形状を採ろうとする試み故に、粒子を再び近くに引き寄せる力が生じる。モデル観念に従って、回折着色剤中における粒子の遠くまで届く配列が、これらの力の相互作用により引き起こされる。
【0033】
本発明による回折着色剤の調製のための特に適当な芯/殻粒子は、その殻が中間層を介して芯に結合している粒子であると分かった。
【0034】
好ましい態様において、これら芯/殻粒子の殻は、有機ポリマー、好ましくは、少なくとも部分的に架橋された中間層を介して芯の上にグラフトされている有機ポリマーからなる。
【0035】
芯は、非常に広範囲の材料からなり得る。本発明による本質的因子は、既述のように、殻に対する屈折率の相違が存在し、芯が加工条件下に固体のままでいることである。
【0036】
本発明の別の態様において、芯が有機ポリマーから、好ましくは架橋された有機ポリマーからなることがさらに特に好ましい。
【0037】
本発明のもう一つの同様の好ましい別の態様において、芯は、無機材料、好ましくは、金属または半金属、または金属カルコゲニドまたは金属プニクチド(pnictide)からなる。本発明の目的において、カルコゲニドは、元素周期表の16群からの元素が電気陰性結合パートナーである化合物を意味すると解され、プニクチドは、元素周期表の15群からの元素が電気陰性結合パートナーである化合物を意味すると解される。
【0038】
好ましい芯は、金属カルコゲニド、好ましくは金属酸化物、または金属プニクチド、好ましくは窒化物または燐化物からなる。これらの用語の意味での金属は、亜群の古典的金属、または第1および第2の主群からの主群金属のような、対イオンと比べて電気的陽性パートナーとなり得る全ての元素であるが、第3の主群からの全ての元素、ならびに、珪素、ゲルマニウム、錫、鉛、燐、砒素、アンチモンおよびビスマスでもある。好ましい金属カルコゲニドおよび金属プニクチドには、特に、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、二酸化チタン、二酸化セリウム、窒化ガリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素および窒化リンまたはそれらの混合物がある。
【0039】
本発明の別の態様において本発明による芯/殻粒子の製造のために用いられる出発材料は、好ましくは、例えば米国特許第4,911,903号に記載の方法により得ることができる二酸化珪素の単分散芯である。ここで、芯は、水性アンモニア媒体中でのテトラアルコキシシランの加水分解的重縮合により製造され、まず、一次粒子のゾルが製造され、得られるSiO2粒子を、続いて、テトラアルコシシランを連続的に制御下に計量添加することにより、所望の粒径に転化する。このプロセスにより、標準偏差が5%である0.05〜10(mの平均粒径を有する単分散SiO2芯の製造が可能になる。
【0040】
例えば、TiO2、ZrO2、ZnO2、SnO2またはAl2O3のような(半)金属または非吸収性金属酸化物で被覆されたSiO2芯も出発材料として好ましい。金属酸化物で被覆されたSiO2芯の製造が、例えば、米国特許第5,846,310号、DE 198 42 134およびDE 199 29 109により詳細に記載されている。
【0041】
用いられる出発材料は、TiO2、ZrO2、ZnO2、SnO2またはAl2O3のような非吸収性金属酸化物または金属酸化物混合物からなる単分散芯でもあり得る。これらの製造が、例えば、EP 0 644 914に記載されている。さらに、単分散SiO2芯を製造するためのEP 0 216 278の方法を、容易に他の酸化物に適用して同じ結果を得ることができる。テトラエトキシシラン、テトラブトキシチタン、テトラプロポキシジルコニウムまたはそれらの混合物を、サーモスタットを用いてその温度を正確に30〜40℃に設定したアルコール、水およびアンモニアの混合物に激しい攪拌下に一度に添加し、、得られる混合物をさらに20秒間激しく攪拌して、ナノメーター領域の単分散芯の懸濁液を与える。1〜2時間の後反応時間の後に、芯を従来法において、例えば、遠心分離により分離除去し、洗浄し乾燥する。
【0042】
本発明により芯/殻粒子を製造するための適当な出発材料は、さらに、含まれる粒子、例えば、金属酸化物を含むポリマーの単分散芯でもある。このタイプの材料は、例えば、ロシュトック(Rostock)のmicro caps Entwicklungs and Vertriebsから入手される。ポルエステル、ポリアミドおよび天然および変性炭化水素に基づく微小封入カプセルが、カスタマーに特異的な要求に応じて製造される。
【0043】
さらに、有機材料、例えば、シランにより被覆された金属酸化物の単分散芯を用いることが可能である。単分散芯はアルコール中に分散され、従来の有機アルコキシシランで修飾される。球状酸化物粒子のシラン化がDE 43 16 814にも記載されている。
【0044】
本発明による芯/殻粒子の芯は、さらに、染料、例えば、WO 99/40123に記載されているようないわゆるナノ着色剤も含み得る。ここで、WO 99/40123の開示内容は、本出願の開示内容に明らかに含まれる。
【0045】
回折着色剤の調製のための本発明による芯/殻粒子の意図する使用のために、殻材料をフィルム状に成形することができる、すなわち、芯/殻粒子の芯が規則正しい配列を有する領域を少なくとも形成することができる程度に単純な手段により殻材料を軟化、粘弾性的可塑化または液化できることが重要である。芯/殻粒子の殻のフィルム形成により形成されるマトリクス中に規則正しく配列された芯が、回折格子を形成し、これが、干渉現象を引き起こし、非常に興味深い色効果が得られる。
【0046】
芯および殻の材料は、前述の条件を満たす限り、無機的、有機的または金属的特徴を有してよい、または、ハイブリッド材料であってよい。
【0047】
しかしながら、必要とされる本発明の芯/殻粒子の芯の発明に係わる特性が変化する可能性を考慮すると、芯が、一または二以上のポリマーおよび/またはコポリマー(芯ポリマー)を含むか、またはこのタイプのポリマーからなることが有利である。
【0048】
芯は、好ましくは、単一のポリマーまたはコポリマーを含む。同じ理由で、本発明の芯/殻粒子の殻が、同様に、一または二以上のポリマーおよび/またはコポリマー(殻ポリマー;マトリクスポリマー)またはポリマー前駆体、および、要すれば、助剤および添加剤を含むことが有利であり、殻の組成は、室温での非膨張環境において本質的に寸法安定性であり粘着を有さないように選択される。
【0049】
殻材料として、および要すれば、芯材料としてポリマー物質を用いると、当業者は、例えば、その組成、粒径、機械的データ、屈折率、ガラス転移温度、融点および芯:殻重量比のようなその関連する特性、および、それから調製される回折着色剤の特性にも究極的に影響を与える芯/殻粒子の適用特性も決める自由を得る。
【0050】
芯材料中に存在してよい、または芯材料がそれからなるポリマーおよび/またはコポリマーは、芯材料について前述した詳細に従う高分子量化合物である。重合性不飽和モノマーおよび少なくとも2つの反応性基を含むモノマーの重縮合体および共重縮合体のポリマーとコポリマーの両方、例えば、高分子量の脂肪族、脂肪族/芳香族または全芳香族のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ尿素およびポリウレタンが好適であるが、アミノおよびフェノール樹脂、例えば、メラミン-ホルムアルデヒド、尿素-ホルムアルデヒドおよびフェノール-ホルムアルデヒド縮合体も好適である。
【0051】
芯材料として同様に好適なエポキシ樹脂の調製のために、例えば、ビスフェノールAまたは他のビスフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヘキサンジオールまたは他の芳香族または脂肪族ジオールもしくはポリオール、またはフェノール-ホルムアルデヒド縮合物、またはそれらの互いの、それらとエピクロロヒドリンまたは他のジ-もしくはポリエポキシドとの混合物の反応により得られるエポキシドプレポリマーが、通常、さらなる縮合可能化合物と直接または溶液中で混合され、硬化される。
【0052】
芯材料のポリマーは、本発明の好ましい別の態様において、架橋(コ)ポリマーが有利である。何故なら、これらは、通常、高温でしかガラス転移を示さないからである。これらの架橋ポリマーは、重合、重縮合、共重合または共重縮合中に既に架橋している、または、実際の(共)重合または(共)重縮合の後の別途の加工工程において後架橋されてよい。
【0053】
原理的には、既に前述したクラスのポリマーは、それらを殻ポリマーについて前述した詳細に一致するように選択または形成すると、芯材料についてと同様に、殻材料に適している。
【0054】
殻材料についての詳細を満たすポリマーは、同様に、重合性不飽和モノマーおよび少なくとも2つの反応性基を含むモノマーの重縮合体および共重縮合体のポリマーとコポリマーの群、例えば、高分子量の脂肪族、脂肪族/芳香族または全芳香族のポリエステルおよびポリアミドの群の中に存在する。
【0055】
殻ポリマー(=マトリクスポリマー)の特性についての前記特性を考慮すると、全ての群の有機フィルム形成剤から選択された単位は、原理的には、それらの調製に適している。特に、回折着色剤のマトリクスを、架橋された有機ポリマーから形成すべき場合、殻ポリマーを実質的に所望により選択することができる。これらのポリマーに架橋性基を提供し得ることが確保されることしか必要としない。
【0056】
幾つかのさらなる例により、殻の製造に適している広範囲のポリマーを説明する。
【0057】
殻が比較的低い屈折率を有することを意図する場合、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブタジエン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエポキシド、ポリウレタン、ゴム、ポリアクリロニトリルおよびポリイソプレンのようなポリマーが適している。
【0058】
殻が比較的高い屈折率を有することを意図する場合、好ましくは芳香族塩基性構造を有するポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、例えば、SAN、芳香族脂肪族ポリエステルおよびポリアミド、芳香族ポリスルホンおよびポリケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンおよび、高屈折率芯材料を適当に選択する場合には、ポリアクリロニトリルまたはポリウレタンも、殻に適している。
【0059】
本発明において特に好ましい芯/殻粒子の一つの態様において、芯は架橋ポリスチレンからなり、殻はポリアクリレート、好ましくは、架橋性モノマーが添加されているポリアクリル酸エチルおよび/またはポリメタクリル酸メチルからなる。
【0060】
芯/殻粒子を回折着色剤に加工する性能について、芯:殻重量比が2:1〜1:5の範囲、好ましくは3:2〜1:3の範囲、特に好ましくは1:1〜2:3の範囲であることが有利である。通常、芯の粒径が大きくなる場合、殻の割合を増やすことが有利である。
【0061】
本発明により用いるべき芯/殻粒子は、種々の方法により製造することができる。粒子を得る好ましい方法は、a)単分散芯の表面処理、およびb)処理された芯への有機ポリマーの殻の適用により芯/殻粒子を製造する方法である。
【0062】
別の態様の方法において、単分散芯は、乳化重合の工程a1)により得られる。
【0063】
本発明の好ましい別の態様において、殻をそこに共有結合することができる反応性中心を好ましく含む架橋されたポリマー中間層を、工程a)において、好ましくは、乳化重合によりまたはATR重合により芯に適用する。ここで、ATR重合は、例えば、K.Mayjaszewski, Practical Atom Transfer Radical Polymerisation, Polym. Mater. Sci. Eng. 2001年、第84巻に記載のように原子移動ラジカル重合を表す。ATRPによる無機材料のカプセル封入が、例えば、T.Werne, T.E.Patten, Atom Transfer Radical Polymerisation from Nanoparticles: A Tool for the Preparation of Well-Defined Hybrid Nanostructures and for Understanding the Chemistry of Controlled/"Living" Radical Polymerisation from Surfaces, J. Am. Chem. Soc. 2001年、第123巻、7497〜7505頁およびWO 00/11043に記載されている。この方法および乳化重合の両方の性能は、ポリマー調製の当業者によく知られており、例えば、前記参考文献に記載されている。
【0064】
重合または共重合をその中で行うことができる液体反応媒体は、重合、特に乳化重合プロセスにおいて通常用いられる溶媒、分散媒体または希釈剤からなる。ここで、芯粒子および殻前駆体の均質化に用いられる乳化剤が適度の効果を奏することができるように、選択がなされる。本発明によるこのプロセスを行うための適当な液体反応媒体は、水性媒体、特に水である。
【0065】
重合の開始に適しているのは、例えば、熱的または光化学的に分解する重合開始剤が遊離基を形成し、よって重合を開始する。ここで、好ましい熱活性化性重合開始剤は、20〜180℃、特に20〜80℃で分解するものである。特に好ましい重合開始剤は、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジ-tert-ブチル、パーエステル、パーカーボネート、パーケタールおよびヒドロ過酸化物のような過酸化物であるが、H2O2、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ二硫酸の塩、アゾ化合物、アルキルホウ素化合物および、ホモリティカルに分解する炭化水素のような無機過酸化物でもある。重合された材料の必要に応じて、重合性成分に基づいて0.01〜15重量%の量で用いられる開始剤および/または光開始剤を、個々に用いる、または、有利な相乗効果を利用するために互いに組み合わせて用いることができる。さらに、例えば、ペルオキソ二硫酸およびペルオキソ硫酸の塩と低原子価硫黄化合物との組合せ、特に、ペルオキソ二硫酸アンモニウムとナトリウムジチオナイトとの組合せ、のような酸化還元系が用いられる。
【0066】
重縮合生成物の製造のための対応するプロセスも記載されている。すなわち、重縮合生成物の調製用の出発材料を、不活性液中に分散させ縮合させ、好ましくは、水または、例えばポリエステルまたはポリアミドの調製のためのジ(低級アルキル)ジカルボキシレートの使用時には低級アルカノールのような低分子量反応性生物を除去することができる。
【0067】
同様にして、重付加生成物が、少なくとも2つ、好ましくは3つの反応性基、例えば、エポキシド、シアネート、イソシアネートまたはイソチオシアネート基を含む化合物を、補助反応性基を有する化合物と反応させることにより得られる。すなわち、イソシアネートが、例えば、アルコールと反応してウレタンが得られ、アミンと反応して尿素誘導体が得られ、また、エポキシドがこれらの補助基と反応して、それぞれヒドロキシエーテルおよびヒドロキシアミンが得られる。重縮合と同様に、重付加も、不活性溶媒または分散媒体中で有利に行うことができる。
【0068】
芳香族、脂肪族または混合芳香族/脂肪族ポリマー、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ尿素、ポリエポキシドまたは溶液ポリマーを、例えば水、アルコール、テトラヒドロフランまたは炭化水素のような分散媒体中に分散または乳化(二次分散)させる、およびこの細かい分布状態中で後縮合、架橋および硬化させることもできる。
【0069】
これら重合、重縮合または重付加プロセスに必要な安定分散液は、通常、分散助剤を用いて調製される。
用いられる分散助剤は、好ましくは、極性基を含む水溶性高分子量有機化合物、例えば、ポリビニルピロリドン、プロピオン酸ビニルまたは酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、アクリレートとアクリロニトリルとの部分的鹸化コポリマー、異なる残留アセテート含量を有するポリビニルアルコール、セルロースエーテル、ゼラチン、ブロックコポリマー、変性澱粉、カルボキシルおよび/またはスルホニル基を含む低分子量ポリマー、またはこれらの物質の混合物である。
【0070】
特に好ましい保護コロイドは、残留アセテート含量が35モル%未満、特に5〜39モル%であるポリビニルアルコール、および/または、ビニルエステル含量が35重量%未満、特に5〜30重量%であるビニルピロリドン-プロピオン酸ビニルコポリマーである。
【0071】
非イオン性またはイオン性乳化剤を用いることができ、要すれば、混合物としても用いることができる。好ましい乳化剤は、エトキシル化またはプロポキシル化度の異なる任意にエトキシル化またはプロポキシル化された比較的長鎖のアルカノールまたはアルキルフェノール(例えば、アルキレンオキシド0〜50モルを有する付加物)、またはそれらの中和、硫酸化、スルホン酸化または燐酸化誘導体である。中和されたジアルキルスルホコハク酸エステルまたは二スルホン酸アルキルジフェニルオキシドも特に好適である。
【0072】
これら乳化剤と前記保護コロイドとの組み合わせが特に好ましい。それは、それらを用いて、特に細かく分割された分散液が得られるからである。
【0073】
単分散ポリマー粒子を製造する特別の方法も既に文献(例えば、R.C. Backus, R.C. Williams, J. Appl. Physics第19巻、1186頁(1948年))に記載されており、特に、芯の製造のために有利に用いることができる。ここで、前記粒径が観察されることが確保されるだけでよい。さらなる目的は、ポリマーの最大の可能な均一性である。粒径は、特に、適当な乳化剤および/または保護コロイド、またはこれらの化合物の対応する量を選択することにより設定することができる。
【0074】
温度、圧力、反応時間および、既知の方法で重合度に影響を与える適当な触媒系の使用のような反応条件の設定、およびそられの調製のために用いられるモノマーのタイプおよび割合における選択により、必要なポリマーの所望の特性の組み合わせを具体的に設定することができる。
【0075】
高屈折率を有するポリマーを得るモノマーは、通常、芳香族部分を含むモノマーまたは、例えばハロゲン原子、特に臭素またはヨウ素原子、硫黄または金属イオン、すなわち、ポリマーの極性化性を増す原子または原子群のような高原子番号のヘテロ原子を含むモノマーである。
【0076】
低屈折率を有するポリマーは、従って、前記部分および/または高原子番号の原子を含まないまたは少量でしか含まないモノマーまたはモノマー混合物から得られる。
【0077】
種々の一般的ホモポリマーの屈折率が、例えば、Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie [Ullmann's Encyclopaedia of Industrial Chemistry],第5版,第A21巻,169頁に概説されている。遊離基により重合することができると共に高屈折率のポリマーになるモノマーの例には以下のものがある:
グループa):スチレン、フェニル環においてアルキル置換されているスチレン、(-メチルスチレン、モノ-およびジクロロスチレン、ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレン、イソプロペニルビフェニル、ビニルピリジン、イソプロペニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルアントラセン、N-ベンジルメタクリルアミドおよびP-ヒドロキシメタクリルアニリド。
【0078】
グループb):芳香族側鎖を含むアクリレート、例えば、フェニル(メタ)アクリレート(二つの化合物フェニルアクリレートおよびフェニルメタクリレートについての省略表記)、フェニルビニルエーテル、ベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルビニルエーテル、および下記式で示される化合物。
【0079】
【化1】

【0080】
前記および下記の式における炭素鎖の表記を明瞭化かつ単純化するために、炭素間の結合のみを示している。この表記は、芳香族環式化合物の描写に相当し、例えば、ベンゼンは、一重結合と二重結合を交互に有する六角形で描写される。
【0081】
例えば以下のような酸素橋の代わりに硫黄橋を含む化合物も好適である:
【0082】
【化2】

【0083】
前記式において、Rは水素またはメチルである。これらのモノマーにおけるフェニル環は、さらなる置換基を有してよい。そのような置換基は、特定の制限内で、これらモノマーから製造されるポリマーの特性を変性させるのに適している。従って、これらを、特に、本発明の回折着色剤の適用に関する特性を最適化することを意図して用いることができる。
【0084】
適当な置換基は、特に、ハロゲン、NO2、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはメチル、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ、1〜20個の炭素原子を有するカルボキシアルキル、1〜20個の炭素原子を有するカルボニルアルキル、または1〜20個の炭素原子を有する-OCOO-アルキルである。これらの基におけるアルキル鎖は、それ自体、任意に、例えば-O-,-S-,-NH-,-COO-,-OCO-または-OCOO-のような二価へテロ原子または基により非隣接位置において置換または中断されてよい。
【0085】
グループc):例えば塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドおよびメタクリルアミドのようなヘテロ原子を含むモノマー、または下記のような有機金属化合物:
【0086】
【化3】

【0087】
グループd):カルボキシル含有モノマーの共重合、および、得られる「酸性」ポリマーの、例えば好ましくはK,Ca,Sr,Ba,Zn,Pb,Fe,Ni,Co,Cr,Cu,Mn,SnまたはCdのような比較的原子量の高い金属との対応する塩への転化によってもポリマーの屈折率の上昇が達成される。
【0088】
そこから製造されるポリマーの屈折率にかなり貢献する前記モノマーを、単独重合または、互いに共重合することができる。これらは、屈折率への貢献が小さな特定の割合のモノマーと共重合することもできる。そのような屈折率への貢献がより低い共重合性モノマーは、例えば、アクリレート、メタクリレート、または、純粋に脂肪族の基を含むビニルエーテルまたはビニルエステルである。
【0089】
さらに、遊離基により製造されるポリマーから架橋ポリマー芯を製造するため、またはその後に殻材料のマトリクスを架橋するために用いることができる架橋剤は、全て、前記モノマーと共重合可能であるまたは続いて架橋を伴ってポリマーと反応することができる二官能または多官能化合物でもある。
【0090】
適当な架橋剤の例を、以下に、系統化のための群に分割して示す。
【0091】
グループ1:芳香族または脂肪族ジまたはポリヒドロキシル化合物の、特に、(ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールビスビニルエーテル)、ヘキサンジオール(ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールビスビニルエーテル)、ペンタエリトリトール、ヒドロキノン、ビスヒドロキシフェニルメタン、ビスヒドロキシフェニルエーテル、ビスヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールAの、またはエチレンオキシドスペーサー、プロピレンオキシドスペーサーまたは混合エチレンオキシド/プロピレンオキシドスペーサーを伴うビスアクリレート、ビスメタクリレートおよびビスビニルエーテル。
【0092】
この群からのさらなる架橋剤は、例えば、ジまたはポリビニル化合物、例えば、ジビニルベンゼン、またはメチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレート、ジビニルエチレン尿素、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、および、2つ以上の異なる反応性末端を有する架橋剤、例えば、下記式で示される(メタ)アリル(メタ)アクリレートである:
【0093】
【化4】

【0094】
式中、Rは水素またはメチルである。
【0095】
グループ2:架橋的に作用するが、大部分の場合、例えば加熱または乾燥中に後架橋的に作用すると共に、共重合体として芯または殻ポリマーに共重合される反応性架橋剤。
【0096】
その例としては:N-メチロール(メタ)アクリルアミド、アクリルアミドグリコール酸、およびそれらのC1-〜C6-アルコール、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)、グリシジルメタアクリレート(GMA)、メタアクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)、ビニルトリメトキシシランおよびm-イソプロペニルベンジルイソシアネート(TMI)とのエーテルおよび/またはエステル。
【0097】
グループ3:不飽和カルボン酸の共重合によりポリマーに組み込まれたカルボキシル基を、多価金属イオンを介して橋様に架橋する。この目的で用いられる不飽和カルボン酸は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸およびフマル酸である。適当な金属イオンは、Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Pb,Fe,Ni,Co,Cr,Cu,Mn,SnおよびCdである。Ca,MgおよびZn,TiおよびZrが特に好ましい。
【0098】
グループ4:ポリマーと(付加または好ましくは縮合反応により)不可逆的に反応してネットワークを形成する二官能または多官能添加剤を意味することを意図する後架橋された添加剤。その例は、一分子当たり少なくとも2つの以下の反応性基を含む化合物である:エポキシド、アジリジン、イソシアネート、酸塩化物、カルボジイミドまたはカルボニル基、さらに、例えば、3,4-ジヒドロキシイミダゾリノンおよびその誘導体(BSAFからのFixapret生成物)。
【0099】
既に先に説明したように、例えば、エポキシドおよびイソシアネート基のような反応性基を含む後架橋剤は、架橋されるポリマー中に補助的反応性基を必要とする。すなわち、イソシアネートは、例えば、アルコールと反応してウレタンを与え、アミンと反応して尿素誘導体を与え、一方エポキシドは、これらの補助的基と反応して、それぞれヒドロキシエーテルおよびヒドロキシアミンを与える。
【0100】
後架橋という用語は、系の光化学的硬化または酸化的または空気もしくは湿分が誘発する硬化を意味するとも解される。
【0101】
所望の屈折率および必要な安定性基準および機械的特性を有する任意に架橋された(コ)ポリマーを得ことを意図して、および所望により、前記モノマーおよび架橋剤を組み合わせ互いに(共)重合することができる。
【0102】
さらに、例えば、所望により芯および/または殻ポリマーのガラス転移温度または機械的特性を設定するために、さらなる一般的モノマー、例えば、アクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、ブタジエン、エチレンまたはスチレンを共重合することもできる。
【0103】
同様に、本発明によれば、有機ポリマーの殻の適用を、グラフトにより、好ましくは乳化重合またはATR重合により行うことが好ましい。前記方法およびモノマーを、ここで、それに対応して用いることができる。
【0104】
特に、無機芯の使用時に、芯を、殻がその上に重合される前に殻の結合を可能にする予備処理に付することも好ましい。これは、通常、非常に広い範囲の無機材料についての文献から知られているように、粒子表面の化学的官能化からなり得る。これは、特に好ましくは、活性鎖端部として殻ポリマーのグラフトを可能にする化学的機能を表面に適用することを含む。ここで特に挙げることができる例は、末端二重結合、エポキシ官能基および重縮合性基である。ヒドロキシルを有する表面をポリマーで官能化することが、例えば、EP-A-337 144に開示されている。粒子表面を変性するさらなる方法は、当業者によく知られており、例えば、Unger,K.K., Porous Silica, Elsevier Scientific Publishing Company (1979年)のような種々の教本に記載されている。
【0105】
本発明の同様の好ましい態様において、回折着色剤は、少なくとも一つのコントラスト材料を含む。コントラスト材料は、本発明の回折着色剤中に観察される色効果の輝度、コントラストおよび深さを向上させる。本発明の目的において、コントラスト材料という用語は、光学的効果においてこのタイプの強化を引き起こす全ての材料を意味することを意図する。これらのコントラスト材料は、通常、顔料である。
【0106】
本発明の目的において、顔料という用語は、ここで、光の可視波長領域において光学的効果を発揮する任意の固体物質を意味することを意図する。本発明によれば、顔料という用語は、ここで、DIN 55943またはDIN 55945に従う顔料の定義に一致する物質に適用される。この定義によれば、顔料は、適用媒体に実質的に不溶性である無機または有機の着色または着色されていない着色剤である。無機顔料と有機顔料の両方を、本発明により用いることができる。
【0107】
顔料は、それらの物理的官能化方式に従って、吸収顔料と光沢顔料に分けることができる。吸収顔料は、少なくとも可視光の一部を吸収し、それにより、色圧痕を引き起こし極端な場合には黒色に見える顔料である。DIN 55943またはDIN 55945に従って、光沢顔料は、主に二次元的に形成され配列された金属性または強光屈折性顔料粒子における指向反射により光沢効果が生じる顔料である。これらの基準は、干渉顔料を、その着色作用が干渉現象に全体的または主に基づく光沢顔料であると定義する。特に、これらは、いわゆる、真珠顔料または火炎色金属青銅である。特に、無色、透明および高光屈折性薄片からなる真珠光沢顔料も、干渉顔料のうちで経済的に重要である。マトリクス中での配向に依存して、これらは、真珠光沢として知られている軟質光沢効果を生み出す。真珠光沢顔料の例としては、炭酸鉛、酸化塩化ビスマスまたは二酸化チタン雲母に基づくグアニン含有真珠光沢顔料がある。特に、機械的、化学的および熱的安定性が優れている二酸化チタン雲母が、装飾的目的で用いられることが多い。
【0108】
本発明によれば、吸収顔料と光沢顔料の両方を用いることができ、特に、干渉顔料を用いることもできる。特に光学的効果の強さを増すために、吸収顔料の使用が好ましいことが分かった。白色顔料および着色または黒色顔料の両方をここで用いることができ、着色顔料という用語は、白色または黒色以外の色圧痕を与える全ての顔料を意味することと意図し、例えば、HeliogenTMBlue K6850(BASF製、Cuフタロシアニン顔料)、HeliogenTMGreen K8730(BASF製、Cuフタロシアニン顔料)、BayferroxTM105M(Bayer製、酸化鉄系赤色顔料)またはChromium Oxide Green GN-M(Bayer製、酸化クロム系緑色顔料)が挙げられる。達成される色効果故に、吸収顔料のうち、黒色顔料が好ましい。例えば、ここで、顔料カーボンブラック(例えば、Degussa製のカーボンブラック生成物系(特に、PurexTMLS35およびCoraxTMN115))および酸化鉄ブラック、マンガンブラック、並びに、コバルトブラックおよびアンチモンブラックが挙げられる。ブラック雲母級を、黒色顔料として有利に用いることもできる(例えば、IriodinTM600、Merck製;酸化鉄被覆雲母)。
【0109】
本発明によれば、少なくとも一つのコントラスト材料の粒径が、芯材料の粒径の少なくとも2倍の大きさであることが有利であると分かった。コントラスト材料の粒子がより小さいと、不適当な光学的効果しか得られない。より小さな粒子は、マトリクス中の芯の配列を妨害し、形成される格子を変化させると考えられる。芯の少なくとも2倍の寸法を有する本発明で好ましく用いられる粒子は、芯から形成される格子と局所的にしか相互作用しない。電子顕微鏡写真により、組み込まれた粒子が、芯粒子の格子を僅かにしか干渉しない、または全く干渉しないことが確認される。顔料としてしばしば薄片状でもあるコントラスト材料の粒径という用語は、各場合に、ここで、粒子の最も大きな寸法を意味すると解される。薄片状顔料が、芯の粒径の範囲またはそれより小さい厚さを有する場合、本研究は、これが格子寸法を干渉しないことを示している。組み込まれたコントラスト材料粒子の形状が、光学的効果に殆どまたは全く影響を与えないことも分かった。球状コントラスト材料と薄片状および針状コントラスト材料の両方を、本発明により組み込むことができる。重要な唯一の因子は、芯の粒径に対する絶対的粒径であるらしい。従って、本発明の目的のために、少なくとも一つのコントラスト材料の粒径が、芯材料の粒径の少なくとも2倍の大きさであることが好ましく、少なくとも一つのコントラスト材料の粒径は、好ましくは、芯材料の粒径の少なくとも4倍の大きさである。これは、その場合に、観察され得る相互作用がより小さいからである。
【0110】
コントラスト材料の粒径の実用的上限は、個々の粒子そのものが見えるようになる、またはその粒径故に回折着色剤の機械的特性を損なう限界から決められる。この上限の決定は、当業者に全く困難を生じさせない。
【0111】
用いられるコントラスト材料の量も本発明に望ましい効果にとって重要である。回折着色剤の重量に基づいて少なくとも0.05重量%のコントラスト材料を用いると、通常、効果が観察されることが分かった。回折着色剤が、コントラスト材料を少なくとも0.2重量%、特に好ましくは少なくとも1重量%含むことが特に好ましい。何故なら、コントラスト材料のこれら増加した含量が、通常、本発明に従って、より強度の効果を生じるからである。
【0112】
逆に、比較的大量のコントラスト材料が、特定の環境下に、芯/殻粒子の加工特性に悪影響を与え、本発明による回折着色剤の調製をより困難にする。さらに、芯粒子の格子の形成が、特定の材料に依存するが、前記特定の割合のコントラスト材料を干渉し、その代わりに、配向されたコントラスト材料層が形成されることが予想される。従って、本発明によれば、回折着色剤が、回折着色剤の重量に基づき最大で20重量%のコントラスト材料を含むことが好ましく、回折着色剤が、最大で12重量%、特に好ましくは最大で5重量%のコントラスト材料を含むことが特に好ましい。
【0113】
しかしながら、本発明の特別の態様において、回折着色剤が、最大の可能な量のコントラスト材料を含むことも好ましい。これは、特に、コントラスト材料が、同時に、回折着色剤の機械的強度を増加させることを意図している場合である。
【0114】
本発明による回折着色剤、好ましくは、その厚さが好ましくは0.5〜20(mの範囲、特に好ましくは1〜10(mの範囲である薄片状粒子であり、少なくとも5、好ましくは少なくとも8、特に好ましくは少なくとも10の芯層が、薄片中で各空間的方向において互いに向く。
【0115】
本発明の回折着色剤は、その製法が原理的にDE-A-10145450に記載されている芯/殻粒子のフィルムを研磨または破砕することにより得ることができる。その結果、回折着色剤の調製のための適当なプロセスは、その芯が本質的に固体であり本質的に単分散寸法分布を有する芯/殻粒子から、脆いマトリクスを有するフィルムが製造されるプロセスであり、芯材料の屈折率と殻材料の屈折率との間に相違が存在し、フィルムを続いて粉砕して、好ましくは研磨された粒子を得る。
【0116】
好ましいプロセスにおいて、その殻が、ガラス転移温度TGが25℃より高い、好ましくは50℃より高い、特に好ましくは70℃より高いポリマーからなる芯/殻粒子が用いられる。対応するポリマーは、当業者によく知られており、例えば、Brandrup,J.(Ed.).: Polymer Handbook. Chichester Wiley 1966年に記載されている。ここで、好ましい殻材料は、単独重合体または共重合体としてのポリ(メタクリル酸シクロヘキシル)、ポリスチレンおよび、置換されたポリスチレン誘導体、例えば、ポリ(ヨードスチレン)およびポリ(ブロモスチレン)、使用温度を超えるTgを有するポリアクリレートおよびポリメタクリレート、Tgの高いポリ塩化ビニル、および酢酸ポリビニルの転化により生じる他のビニルポリマー、およびポリアクリロニトリルおよびスチレン-アクリロニトリルコポリマーである。
【0117】
もう一つの好ましいプロセスにおいて、その殻が、架橋性機能を有するポリマーからなる芯/殻粒子が用いられる。この別の態様プロセスにおいて、後架橋性添加剤が、好ましくは、フィルムの製造前に芯/殻粒子に添加され、実際の架橋は、フィルムの製造後に行われる。ここで用いられる後架橋性薬剤または架橋性官能基は、特に、前述の化合物またはモノマーであり得る。ここで、架橋は、記載された方法により開始することができ、熱的活性化が後架橋に特に好ましい。
【0118】
フィルムの製造において、芯/殻粒子と任意のさらなる添加剤の混合物をまず調製する。混合物は、好ましくは、次に、殻が流動性である温度において機械的力に付される。
【0119】
本発明のフィルムの製造の好ましい別の態様において、混合物が機械的力に付される温度は、芯/殻粒子の殻のガラス転移温度よりも少なくとも40℃、好ましくは少なくとも60℃高い。この温度範囲における殻の流動性が、フィルムの経済的製造のための必要事項を特定の程度に満たすことが実験的に分かった。
【0120】
本発明のフィルムを得る同様の好ましい他の態様のプロセスにおいて、流動性混合物を、機械的力の作用下に、殻がもはや流動性でなくなる温度まで冷却する。
【0121】
本発明の目的において、機械的力の作用は、ポリマーの従来の加工工程において生じる力の作用であり得る。本発明の好ましい別の態様において、機械的力の作用は、
−単軸加圧または、
−移送成形操作、
−(共)押し出し、または
−カレンダー操作、または
−ブロー成形操作
により生じる。
【0122】
力の作用が、単軸加圧により生じる場合、本発明のフィルムは好ましくはフィルムである。本発明のフィルムは、好ましくは、カレンダー、フィルムブロー成形またはフラットフィルム押し出しによって製造することもできる。機械的力の作用下にポリマーを加工する種々の方法は、当業者によく知られており、例えば、標準的教本であるAdolf Franck, "Kunststoff-Kompendium" [Plastics Compendium]; Vogel-Verlag; 1996年に開示されている。
【0123】
本発明のフィルムは、技術的に有利である場合、ここで、助剤および添加剤を含む。これらは、適用および加工に望ましいまたは必要な適用データまたは特性の最適な設定に役立ち得る。このタイプの助剤および/または添加剤の例は、可塑剤、フィルム形成助剤、流動制御剤、充填剤、溶融助剤、接着材料、離型剤、適用助剤および粘度改質剤、例えば、増粘剤である。
【0124】
一般式HO-CnH2n-O-( CnH2n-O) mH(式中、nは2〜4の数、好ましくは2または3であり、mは0〜500の数である)で示される化合物に基づくフィルム形成助剤およびフィルム変性剤を添加することが特に薦められる。数nは鎖中で変化することができ、種々の鎖構成員をランダムまたはブロック様分布で組み込むことができる。このタイプの助剤の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ-、トリ-およびテトラエチレングリコール、ジ-、トリ-およびテトラプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよび、約15000までの分子量を有すると共にエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位とのランダムまたはブロック様分布を有するエチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーである。
【0125】
要すれば、例えば、組成物のオープンタイム、すなわち、基材、ロウまたはホットメルト接着剤へのその適用に利用できる時間を延長する有機または無機溶媒、分散媒体または希釈剤も添加剤として可能である。
【0126】
要すれば、UVおよび気候安定化剤もフィルムに添加することができる。この目的に適当なものは、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンの誘導体、2-シアノ-3,3'-ジフェニルアクリレートの誘導体、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノンの誘導体、o-ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、サリチル酸エステル、o-ヒドロキシフェニル-s-トリアジンまたは立体障害アミンの誘導体である。これらの物質は、同様に、個々にまたは混合物の状態で用いることができる。
【0127】
助剤および/または添加剤の合計量は、フィルムの重量に対して40重量%まで、好ましくは20重量%まで、特に好ましくは5重量%までである。従って、フィルムは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%の芯/殻粒子からなる。
【0128】
これらのフィルムを、本発明により回折着色剤として用いることができる。粒状回折着色剤を調製することを意図する場合、これは、細切、破砕および/または研磨によりフィルムを粉砕して適当な寸法の顔料を与えることにより、首尾良く行われる。この操作は、例えば、連続ベルトプロセスにおいて行うことができる。ロールミルまたは研磨ミルを用いることができる。回折着色剤に特に均一な粒径が望まれる場合、粉砕工程の後に、一または二以上の篩分け工程を行うことができる。
【0129】
オパール構造に逆の構造が、概念的には、固体材料中の最密球充填に配される規則正しい球状空隙により形成される。正常構造に対するこのタイプの逆構造の利点は、かなり低い誘電率が対比される光子バンドギャップの形成である(K.Buschら.Phys. Rev. Letters E, 198,50,3896)。
【0130】
その結果、空隙を有する回折着色剤は、固体マトリクスを有さなくてはならない。本発明の別の態様において、マトリクスは、本質的に、好ましくは架橋されている有機ポリマーからなる。もう一つの本発明の別の態様において、空隙の周囲のマトリクスは、本質的に、無機材料、好ましくは、金属または半金属あるいは金属カルコゲニドまたは金属プニクチドからなり、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、二酸化チタン、二酸化セリウム、窒化ガリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素および窒化リンまたはそれらの混合物が特に好ましい。
【0131】
三次元逆構造、すなわち、本発明で用いられるべき空隙の規則正しい配列を有する回折着色剤は、例えば、テンプレート合成により製造することができる。
・単分散球を、構造形成用テンプレートとしての最密球充填で配する。
・球の間の間隙を、毛細管効果を利用して気体状または液状前駆体または、前駆体の溶液で満たす。
・前駆体を、所望の材料に(熱的に)転化する。
・テンプレートを除去し、逆構造を残す。
【0132】
多くのそのようなプロセスが文献に開示されている。例えば、SiO2球を最密球充填で配し、空隙をオルトチタン酸テトラエチルを含む溶液で満たすことができる。多くの調整工程後、エッチングプロセスにおいてHFを用いて球を除去し、二酸化チタンの逆構造を残す(V.Colvinら.Adv.Mater.2001年,第13巻、180頁)。
【0133】
De La Rueら(De La Rueら.Synth.Metals,2001年,第116巻,469頁)は、以下の方法による、TiO2からなる逆オパールの製造を記載している。400nmポリスチレン球の分散物を、IRランプ下に濾紙上で乾燥する。フィルターケーキを、エタノールを通して吸引することにより洗い、グローブボックス中に移し、ウォータージェットポンプによりオルトチタン酸テトラエチルを浸潤させる。ラテックス/エトキシド複合体から濾紙を注意深く外し、複合体を管状炉内に移す。この管状炉内において空気流中575℃で8時間、焼成を行い、エトキシドからの二酸化チタンの形成を引き起こすと共にラテックス粒子を燃焼して除去する。TiO2の逆オパール構造があとに残される。
【0134】
Martinelliら(M. Martinelliら.Optical Mater.2001年,第17巻,11頁)は、780nmおよび3190nmのポリスチレン球を用いた逆TiO2オパールの製造を記載している。水性球分散液を700〜1000rpmで24〜48時間遠心分離し、続いて、傾しゃし、空気中で乾燥することにより、球状最密球充填における規則正しい配列が達成される。規則正しく配列された球を、ブフナー漏斗中、フィルター上でエタノールで湿らせ、次に、オルトチタン酸テトラエチルのエタノール溶液をそこに滴下する。チタン酸塩溶液が浸透した後、サンプルを、真空デシケーター中で4〜12時間乾燥する。この充填手順を4〜5回繰り返す。ポリスチレン球を、続いて、600℃〜800℃で8〜10時間燃焼する。
【0135】
Steinら(A.Steinら.Science,1998年,第281巻,538頁)は、テンプレートとして直径470nmのポリスチレン球から出発する逆TiO2オパールの合成を記載している。これらを28時間のプロセスで製造し、遠心分離に付し、風乾する。ラテックステンプレートを、次に、濾紙に適用する。真空ポンプに接続されたブフナー漏斗を介してラテックステンプレートにエタノールを吸引する。次に、オルトチタン酸テトラエチルを吸引しつつ滴下する。真空デシケーター中で24時間乾燥後、格子を空気流中575℃で12時間燃焼除去する。
【0136】
Vosら(W.L.Vosら.Science,1998年,第281巻,802頁)は、テンプレートとして180〜1460nmの直径を有するポリスチレン球を用いて逆TiO2オパールを製造している。球の最密充填を達成するために、48時間まで遠心分離しつつ沈降技術を用いる。テンプレート構造を乾燥するためにゆっくり減圧排気した後、オルトチタン酸テトラ-n-プロポキシのエタノール溶液を、グローブボックス内で後者に添加する。約1時間後、浸潤材料を空気中に入れて、前駆体を反応させてTiO2を得る。この手順を8回繰り返して、TiO2での完全充填を確保する。次に、この材料を450℃で焼成する。
【0137】
その殻がマトリクスを形成し、その芯が本質的に固体であると共に本質的に単分散寸法分布を有する芯/殻粒子が、独国特許出願DE-A-10145450に記載されている。逆オパール構造の製造用のテンプレートとして、その殻がマトリクスを形成し、その芯が本質的に固体であると共に本質的に単分散寸法分布を有する芯/殻粒子を使用すること、およびこのタイプの芯/殻粒子を用いる逆オパール様構造を製造する方法が、国際特許出願WO 2004/031102に記載されている。均質の規則正しく配列された空隙(すなわち、逆オパール構造)を有する前記型は、好ましくは、金属酸化物または弾性体の壁を有する。その結果、前記型は、硬質で脆いか、弾性特性を示す。
【0138】
出願ファイル参照番号DE 10341198.4の先の独国特許出願は、その機械的特性が特に有利である均質な規則正しく配された空隙を有する型の製造のための熱可塑性をその殻が有する芯/殻粒子の使用を記載している。
【0139】
その殻がマトリクスを形成し、その芯が本質的に固体であると共に本質的に単分散寸法分布を有し、その殻が中間層を介して芯に結合しており、その殻が熱可塑性を有する芯/殻粒子が、ここで、均質な規則正しく配列された空隙を有する型の製造のために用いられる。均質な規則正しく配列された空隙を有する型の製造のための対応する方法は、その殻がマトリクスを形成し、その芯が本質的に固体であると共に本質的に単分散寸法分布を有し、中間層を介して芯に結合しており、その殻が熱可塑性を有する芯/殻粒子が、機械的力および高められた温度が適用されて、型に、好ましくはフィルムに転化され、続いて芯を除去することを特徴とする。
【0140】
これにより、規則正しく配列された空隙が、熱可塑性または熱硬化性を有するマトリクス中に埋め込まれることを特徴とする、均質な規則正しく配列された空隙を有する型が得られる。
【0141】
比較的容易な加工のために、別の態様において、規則正しく配列された空隙が、熱可塑性を有するマトリクス中に埋め込まれ、このマトリクスが好ましくはポリ(スチレン)、熱可塑性ポリ(アクリレート)誘導体、好ましくは、ポリ(メタクリル酸メチル)またはポリ(メタクリル酸シクロヘキシル)、またはこれらのポリマーと他のアクリレートとの熱可塑性コポリマー、例えば、好ましくはスチレン-アクリロニトリルコポリマー、スチレン-アクリル酸エチルコポリマーまたはメタクリル酸メチル-アクリル酸エチルコポリマーからなることが特に好ましい。
【0142】
もう一つの態様において、芯/殻粒子中の芯は、本質的にUV線劣化性材料、好ましくはUV劣化性有機ポリマーおよび特に好ましくはポリ(メタクリル酸tert-ブチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸n-ブチル)または、これらのポリマーの一つを含むコポリマーからなる。
【0143】
芯/殻粒子の殻は、好ましくは、ここで、後に空隙の周囲にマトリクスを形成する材料からなる。
【0144】
芯は、種々の方法により除去することができる。芯が適当な無機材料からなる場合、これらはエッチングにより除去することができる。例えば、二酸化珪素芯は、好ましくは、HF、特に希HF溶液を用いて除去することができる。この手順において、殻の架橋を、芯の除去の前または後に行うことが好ましい。この場合、殻そしてこのように型のマトリクスが、熱硬化性を達成する。芯/殻粒子における芯が、UV劣化性材料、好ましくはUV劣化性有機ポリマーからなる場合、芯はUV照射により除去される。この手順においても、殻の架橋を、芯の除去の前または後に行うことが好ましい。
【0145】
その殻がマトリクスを形成し、その芯が本質的に劣化性ポリマーからなると共に本質的単分散寸法分布を有し、その殻を熱分解して、規則正しく配列された空隙を有する型の製造用の炭素マトリクスを得ることができる芯/殻粒子の使用、規則正しく配列された空隙を有する型の製造方法、および対応する型が、先の独国特許出願DE 10357681.9に記載されている。
【0146】
炭素マトリクスという用語は、炭素繊維のマトリクスに実質的に相当する材料を意味すると解される。極端な場合、本発明の炭素マトリクスは、元素炭素、好ましくは、無定形または部分的結晶性のものであり、結晶性部分はグラファイト修飾またはグラファイト様修飾、例えば、フラーレン、炭素ナノチューブ、および類似のグラファイト様構造である。本発明のもう一つの極端な別の態様において、炭素マトリクスは、導電性ポリマー、例えば、ポリアクリロニトリルの熱縮合時に形成されるポリイミドを含む。しかしながら、通常、炭素マトリクスは、その化学的構造がこれらの2つの極端な構造の間にある材料である。カーボンブラック中の位置と同様の方法で、イミド官能基が提供された多環式芳香族炭化水素が種々の割合で材料中に存在することができる。
【0147】
炭素マトリクスの形成を単純化するために、本発明に従って、芯/殻粒子中の殻が、少なくとも部分的に架橋された中間層を介して芯にグラフトされている本質的に非架橋の有機ポリマーからなることが特に好ましく、殻は、好ましくは、ポリアクリロニトリル(PAN)またはポリメタクリロニトリル、またはポリアクリロニトリルもしくはポリメタクリロニトリルを含むコポリマー、例えば、ポリスチレン-アクリロニトリル(PSAN)から本質的になる。PANは、ここで、250〜280℃という低い温度で分解して、適当な炭素マトリクスを形成する。
【0148】
DE 10357681.9に従って規則正しく配列された空隙を有する型を製造する方法は、その殻がマトリクスを形成し、その芯が本質的に劣化性ポリマーからなると共に本質的単分散寸法分布を有し、その殻を熱分解して炭素マトリクスを得ることができる芯/殻粒子が、機械的力および高められた温度が適用されて、型に、好ましくはフィルムに転化され、続いて芯を劣化により除去し、殻を高温で分解して炭素マトリクスを与えることを特徴とする。
【0149】
芯/殻粒子中の劣化性芯が、熱的に劣化することができると共に、熱的に解重合することができる、すなわち、熱に晒されたときにそれらのモノマーに分解するポリマーからなる、または、芯が、劣化時に分解してモノマーと異なる低分子量構成成分を与えるポリマーからなることが特に好ましい。ここで、芯ポリマーの劣化が、炭素マトリクスが形成される温度以下の温度で起こることが重要である。適当なポリマーが、例えば、表"Thermal Degradation of Polymers" in Brandup,J.(Ed.).:Polymer Handbook. Chichester Wiley 1966年, V-6〜V-10に列挙され、揮発性劣化生成物を与える全てのポリマーが好適である。この表の内容は明らかに本出願の開示内容の一部である。
【0150】
好適な熱劣化性ポリマーは、特に、
ポリ(スチレン)および誘導体、例えば、芳香環上に置換基を有するポリ((-メチルスチレン)またはポリ(スチレン)誘導体、特に、部分的または過フッ化誘導体、
ポリ(アクリレート)およびポリ(メタクリレート)誘導体、およびそのエステル、特に好ましくはポリ(メタクリル酸メチル)またはポリ(メタクリル酸シクロヘキシル)、またはこれらのポリマーと他の劣化性ポリマーとのコポリマー、例えば、好ましくは、スチレン-アクリル酸エチルコポリマーまたはメタクリル酸メチル-アクリル酸エチルコポリマー、
ポリブタジエンおよび、ここに記載の他のモノマーとのコポリマー、
セルロースおよび誘導体、例えば、酸化セルロースおよび三酢酸セルロース、
ポリケトン、例えば、ポリ(メチルイソプロペニルケトン)またはポリ(メチルビニルケトン)、
ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリオレフィンオキシド、例えば、ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリホルムアルデヒド、ポリアミド、例えば、ナイロン6およびナイロン66、ポリパーフルオログルカロジアミジン、ポリパーフルオロポリオレフィン、例えば、ポリパーフルオロプロピレンおよびポリパーフルオロヘプテン、
ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルシクロヘキサノン、ポリ酪酸ビニルおよびポリフッ化ビニルである。
【0151】
ここで特に好ましいのは、ポリ(スチレン)および誘導体、例えば、芳香環上に置換基を有するポリ((-メチルスチレン)またはポリ(スチレン)誘導体、例えば、特に、部分的または過フッ化誘導体、ポリ(アクリレート)およびポリ(メタクリレート)誘導体、並びにそれらのエステル、特に好ましくは、ポリ(メタクリル酸メチル)またはポリ(メタクリル酸シクロヘキシル)、またはこれらのポリマーと他の劣化性ポリマーとのコポリマー、例えば、好ましくは、スチレン-アクリル酸エチルコポリマーまたはメタクリル酸メチル-アクリル酸エチルコポリマー、およびポリオレフィン、ポリオレフィンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリホルムアルデヒド、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニルまたはポリビニルアルコールの使用である。
【0152】
芯/殻粒子の芯がUV線により劣化すべき場合、芯は本質的に、UV線劣化性材料、好ましくは、UV劣化性有機ポリマーおよび、特に好ましくは、ポリ(メタクリル酸-tert-ブチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸-n-ブチル)または、これらのポリマーの一つを含むコポリマーからなる。
【0153】
本出願は、ここで、一つの局面において、WO 2004/031102、DE 10357681.9またはDE 10341198.4の教示に従う製造から生じる型の、化粧剤中における使用に関する。型および型の製造方法の記載に関して、特許出願WO 2004/031102およびDE 10341198.4が参考にされる。この対応する開示内容も、明らかに、本出願の内容の一部である。
【0154】
本発明によれば、型中の空隙の平均径が約50〜500nmの範囲、好ましくは100〜500nmの範囲、特に好ましくは200〜280nmの範囲であることが特に好ましい。
【0155】
型は、対応するプロセスにおいて粉末状で製造されるか、または研磨により粉砕されることができる。次に、得れらる粒子が、本発明の意味において、化粧剤組成物中または皮膚上の装飾用途のための回折着色剤として用いられる。
【0156】
着色すべき適用系、すなわち、分散物中の回折着色剤の濃度は、系の合計固体含量に基づいて、通常、0.1〜70重量%、好ましくは0.1〜50重量%、特に好ましくは1.0〜20重量%である。
【0157】
本発明は、さらに、少なくとも一つの回折着色剤および少なくとも一つの局所適用に好適なキャリアを含む、局所適用のための組成物に関する。ここで、回折着色剤の合計量が、組成物の合計重量に基づいて0.1重量%〜30重量%の範囲から選択される組成物が好ましい。
【0158】
さらに、本発明の組成物は、さらなる染料および着色顔料も含むことができる。染料および着色顔料は、German Cosmetics Regulationの対応する実在リストまたは化粧用着色剤のEUリストから選択することができる。大部分の場合、これらは、食品用に認可された染料と同一である。有利な着色顔料は、例えば、二酸化チタン、雲母、酸化鉄類(例えばFe2O3,Fe3O4,FeO(OH))および/または酸化錫である。有利な染料は、例えば、カーミン、ベルリンブルー(紺青)、酸化クロムグリーン、群青および/またはマンガンバイオレットである。以下のリストから染料および/または着色顔料を選択することが特に有利である。色指数(CIN)は、Rowe Colour Index,第3版,Society of Dyers and Colourists, Bradford, England, 1971年から得られる。
【0159】
【表1】

【0160】
【表2】

【0161】
【表3】

【0162】
【表4】

【0163】
【表5】

【0164】
【表6】

【0165】
【表7】

【0166】
染料として、以下の群からの一または二以上の物質を選択することがさらに好ましい:
2,4-ジヒドロキシアゾベンゼン、1-(2'-クロロ-4'-ニトロ-1'-フェニルアゾ)-2-ヒドロキシ-ナフタレン、Cares Red、2-(4-スルホ1-ナフチルアゾ)-1-ナフトール-4-スルホン酸、2-ヒドロキシ-1,2'-アゾナフタレン-1'-スルホン酸のカルシウム塩、1-(2-スルホ4-メチル-1-フェニルアゾ)-2-ナフチル-カルボン酸のカルシウムおよびバリウム塩、1-(2-スルホ1-ナフチルアゾ)-2-ヒドロキシ-ナフタレン-3-カルボン酸のカルシウム塩、1-(4-スルホ-1-フェニルアゾ)-2-ナフトール-6-スルホン酸のアルミニウム塩、1-(4-スルホ-1-フェニルアゾ)-2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸のアルミニウム塩、1-(4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-2-ナフトール-6,8-ジスルホン酸、4-(4-スルホ-1-フェニルアゾ)-2-(4-スルホフェニル)-5-ヒドロキシピラゾロン-3-カルボン酸のアルミニウム塩、4,5-ジブロモフルオレセインのアルミニウムおよびジルコニウム塩、2,4,5,7-テトラブロモフルオレセインのアルミニウムおよびジルコニウム塩、3',4',5',6',-テトラクロロ-2,4,5,7-テトラブロモフルオレセインおよびそのアルミニウム塩、2,4,5,7-テトラヨードフルオレセインのアルミニウム塩、キノフタロンスルホン酸のアルミニウム塩、インジゴジスルホン酸のアルミニウム塩、弁柄および鉄黒(CIN:77 491(赤)および77 499(黒))、酸化鉄水和物(CIN:77492)、二燐酸マンガンアンモニウムおよび二酸化チタン。
【0167】
例えば、パプリカ抽出物、(-カロテンまたはコチニールのような油溶性天然染料も好ましい。
【0168】
真珠光沢顔料を含むゲルクリームも、本発明の目的に有利である。以下に列挙の真珠光沢顔料のタイプが特に好ましい:


1.天然真珠光沢顔料、例えば
a) 「パールエッセンス」(魚鱗からのグアニン/ヒポキサンチン混合結晶)
b) 「真珠層」(研磨イガイ貝殻)
2.単結晶真珠光沢顔料、例えば、オキシ塩化ビスマス(BiOCl)
3.層状基材顔料:例えば、雲母/金属酸化物
真珠光沢顔料のベースは、例えば、粉末状顔料または、オキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンのひまし油分散液、並びに、雲母上のオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンにより形成される。CIN77163に列挙される光沢顔料が特に有利である。
【0169】
雲母/金属酸化物に基づくタイプの以下の真珠光沢顔料も有利である。
【0170】
【表8】

【0171】
例えば、Timiron、ColoronaまたはDichronaの商品名でMerckから市販されている真珠光沢顔料が特に好ましい。
【0172】
前記真珠光沢顔料の表は、もちろん、限定されることを意図しない。本発明の目的に有利な真珠光沢顔料は、それ自体知られている種々の経路により得ることができる。例えば、雲母以外の他の基材も、さらに金属酸化物で、例えば、シリカ等で被覆することができる。例えば、Merckから販売されていると共に細かな皺の光学的減少に特に適しているTiO2-およびFe2O3-被覆SiO2粒子(「Ronasphere」級)が有利である。
【0173】
さらに、雲母のような基材を全く省略することが有利である。SiO2を用いて調製される真珠光沢顔料が特に好ましい。さらに角度依存色彩効果も有するそのような顔料が、例えば、Sicopearl Fantasticoの商品名でBASFから入手される。
【0174】
二酸化チタンで被覆されたホウ珪酸カルシウムナトリウムに基づくEngelhard/Mearl顔料を用いることも有利である。これらは、Reflecksの名で入手される。40〜80(mの粒径故に、これらは、色に加えてきらめき効果を有する。
【0175】
種々の色(黄色、赤色、緑色および青色)でMetasomes Standard/Glitterの商品名でFlora Techから入手される効果顔料も特に有利である。ここで、きらめき粒子は、種々の助剤および染料との混合物の状態である(例えば、色指数(CI)19140, 77007, 77289および77491の染料)。
【0176】
染料および顔料は、個々の状態、または混合物の状態で異なる被覆厚により通常引き起こされる異なる色効果を有する互いに被覆された状態であり得る。染料および着色顔料の合計量は、例えば、それぞれ組成物の合計重量に基づいて、0.1重量%〜30重量%の範囲、好ましくは0.5重量%〜15重量%の範囲、特に1.0重量%〜10重量%の範囲から有利に選択される。
【0177】
本発明による組成物または本発明により用いられる組成物は、少なくとも一つの忌避剤(repellent)を含んでよく、この忌避剤は、好ましくは、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、3-(アセチルブチルアミノ)プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、ブトピロノキシル、2,3,4,5-ビス(2-ブチレン)テトラヒドロ-2-フルアルデヒド、N,N-ジエチルカプリルアミド、N,N-ジエチルベンズアミド、o-クロロ- N,N-ジエチルベンズアミド、ジメチルカルベート、ジ-n-プロピルイソシンコメロネート、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、N-オクチルビシクロヘプテンジカルボキシミド、ピペロニルブトキシド、1-(2-メチルプロポキシカルボニル)-2-(ヒドロキシエチル)ピペリジン、またはそれらの混合物から選択され、これは特に好ましくは、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、3-(アセチルブチルアミノ)プロピオン酸エチル、1-(2-メチルプロポキシカルボニル)-2-(ヒドロキシエチル)ピペリジン、オクタン酸、デカン酸、ピレスリン、ピレスロイド、メチルノニルケトン(ウンデカン-2-オン)、シクロアルカンカルボン酸、ペルメトリンおよび(R)-p-メンタ-1,8-ジオール、並びに、文献から知られている前記活性成分の効果的誘導体、またはそれらの混合物から選択される。
【0178】
忌避剤を含む本発明による組成物は、好ましくは防虫剤である。防虫剤は、好ましくは、溶液、ゲル、スティック、ローラー、ポンプスプレーおよびエアロゾルスプレーの状態で入手でき、溶液およびスプレーが、市販製品の大部分を構成する。これらの2つの製品型のベースは、通常、アルコール性または水性/アルコール性溶液であり、脂肪物質と僅かの香料が加えられる。しかしながら、本発明による組成物は、特に、さらなる活性成分を含み、その主な目的が別の用途、例えば、光保護またはデイケア(day care)であるエマルジョンまたはゲルでもある。
【0179】
本発明の好ましい態様において、用いられる組成物は、酸化的ストレスに対して体細胞を保護する、特に、皮膚老化を低下させるための組成物であり、前記物質以外に一または二以上の酸化防止剤を含むことを特徴とする。
【0180】
専門家の文献から知られている酸化防止剤として用いることができる多くの証明された物質がある。例えば、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびそれらの誘導体、ペプチド、例えば、D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンおよびそれらの誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えば(-カロチン、( -カロテン、リコペン)およびそれらの誘導体、クロロゲン酸およびそれらの誘導体、リポ酸およびそれらの誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、金チオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよび、それらのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、(-リノネイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびそれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、およびスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-およびヘプタチオニンスルホキシミン)が挙げられ、非常に少ない許容量(例えば、pmol〜(mol/kg)で用いられ、また、(金属)キレート化剤(例えば(-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、(-ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁酸抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビル、燐酸マグネシウムアスコルビル、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えば酢酸ビタミンE)、ビタミンAおよび誘導体(例えばパルミチン酸ビタミンA)、ベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびそれらの誘導体、(-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸およびそれらの誘導体、マンノースおよびそれらの誘導体、亜鉛およびそれらの誘導体、(例えばZnO、ZnSO4)、セレニウムおよびそれらの誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよびそれらの誘導体(例えば酸化スチルベン、トランス-酸化スチルベン)が挙げられる。
【0181】
酸化防止剤の混合物が、同様に、本発明の化粧剤組成物に用いるのに適している。既知の市販の混合物は、例えば、活性成分として、レシチン、L-(()-パルミチン酸アスコルビルおよびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)AP)、天然トコフェロール、L-(()-パルミチン酸アスコルビル、L-(()-アスコルビル酸およびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)K LIQUID)、天然供給源からのトコフェロール抽出物、L-(()-パルミチン酸アスコルビル、L-(()-アスコルビル酸およびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)L LIQUID)、DL-(-トコフェロール、L-(()-パルミチン酸アスコルビル、クエン酸およびレシチン(例えばOxynex(登録商標)LM)またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L-(()-パルミチン酸アスコルビルおよびクエン酸(例えばOxynex(登録商標) 2004)を含む混合物である。
【0182】
本発明の組成物は、さらなる成分としてビタミンを含み得る。本発明による化粧剤組成物は、好ましくは、ビタミンA、プロピオン酸ビタミンA、パルミチン酸ビタミンA、酢酸ビタミンA、レチノール、ビタミンB、塩化チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ビタミンE、DL-(-トコフェロール、酢酸トコフェロールE、コハク酸水素トコフェロール、ビタミンK、エスクリン(ビタミンP活性成分)、チアミン(ビタミンB1)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(ビタミンB6)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびコバラミン(ビタミンB12)、特に好ましくは、パルミチン酸ビタミンA、ビタミンCおよびそれらの誘導体、DL-(-トコフェロール、酢酸トコフェロールE、ニコチン酸、パントテン酸およびビオチン、から選択されるビタミンおよびビタミン誘導体を含む。
【0183】
酸化防止作用を有するフェノールのうち、一部が天然産であるポリフェノールが、薬剤、化粧剤または滋養分野の用途に特に有益である。例えば、主に植物染料として知られているフラボノイドまたはビオフラボノイドが、酸化防止能を有することが多い。K.Lemanska, H.Szymusiak, B.Tyrakowska, R.Zielinski, I.M.C.M.Rietjens; Current Topics in Biophysics 2000年,第24(2)巻,101〜108頁は、モノおよびジヒドロキシフラボンの置換パターンの効果に関する。ここで、ケト官能基に隣接しているOH基または3',4'-、6,7-または7,8-位置のOH基を含むジヒドロキシフラボンが、酸化防止特性を有し、他のモノおよびジヒドロキシフラボンは酸化防止特性を有さない場合があることが分かる。
【0184】
ケルセチン(シアニダノール、シアニデノロン1522、メレチン、ソフォレチン、エリシン、3,3',4',5,7-ペンタヒドロキシフラボン)が、特に効果的な酸化防止剤としてしばしば挙げられている(例えば、C.A.Rice-Evans, N.J.Miller, G.Pagenga, Trends in Plant Science 1997年,第2(4)巻,152〜159頁)。K.Lemanska, H.Szymusiak, B.Tyrakowaka, R.Zielinski, A.E.M.F.Soffers, I.M.C.M.Rietjens; Free Radical Biology & Medicine 2001年,第31(7)巻,869〜881頁は、ヒドロキシフラボンの酸化防止作用のpH依存性を研究している。ケルセチンは、全pH範囲にわたって検討された構造中で最も大きな活性を示す。
【0185】
適当な酸化防止剤は、さらに、式Iで示される化合物である:
【0186】
【化5】

【0187】
式中、R1〜R10は同一または異なってよく、以下の基から選択される:
H、
OR11
直鎖または分岐C1-〜C20-アルキル基、
直鎖または分岐C3-〜C20-アルケニル基、
直鎖または分岐C1-〜C20-ヒドロキシアルキル基、ここで
ヒドロキシル基は、鎖の一次または二次炭素原子に結合してよく、さらに、アルキル鎖は酸素および/またはC3-〜C10-シクロアルキル基および/またはC3-〜C12-シクロアルケニル基により中断されてもよく、
環は各々、-(CH2)n-基により橋掛けされてもよく、
nは1〜3、
全てのOR11は、互いに独立して、
OH、
直鎖または分岐C1-〜C20-アルコキシ基、
直鎖または分岐C3-〜C20-アルケニロキシ基、
直鎖または分岐C1-〜C20-ヒドロキシアルコキシ基であり、ここで
ヒドロキシル基は、鎖の一次または二次炭素原子に結合してよく、さらに、アルキル鎖は酸素および/またはC3-〜C10-シクロアルキル基および/またはC3-〜C12-シクロアルケニル基により中断されてもよく、環は各々、-(CH2)n-基により橋掛けされてもよく、nは1〜3、
および/または、モノおよび/またはオリゴグリコシル基であるが、
但し、R1〜R7の少なくとも4つの基はOHであり、隣接OH基の少なくとも2対が分子中に存在する、
または、R2,R5およびR6はOHであり、基R1,R3,R4およびR710はHである
(独国特許出願DE-A 10244282.7に記載)。
【0188】
本発明で特に好ましい組成物は、日焼け防止にも役立つことができる、UVフィルターも含んでよい。
【0189】
原理的に、全てのUVフィルターが、本発明で用いられる回折着色剤と組み合わせるのに適している。その生理学的許容性が既に示されているUVフィルがーが特に好ましい。UVAフィルターとUVBフィルターの両方について、専門家の文献から知られている多くの証明された物質がある。例えば、ベンジリデンショウノウ誘導体、例えば、3-(4'-メチルベンジリデン)-dl-ショウノウ(例えばEusolex(登録商標)6300)、3-ベンジリデンショウノウ(例えばMexoryl(登録商標)SD)、N-[(2および4)-[(2-オキソ-3-イリデン)メチル]-ベンジル]アクリルアミドのポリマ(例えばMexoryl(登録商標)SW)、N,N,N-トリメチル-4-(2-オキソボルン-3-イリデンメチル)アニリニウムメチルスルフェート(例えばMexoryl(登録商標)SK)または(2-オキソボルン-3-イリデン)トルエン-4-スルホン酸(例えばMexoryl(登録商標)SL)、
ベンゾイル-またはジベンゾイルメタン、例えば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(例えばEusolex(登録商標)9200)または4-イソプロピルジベンゾイルメタン(例えばEusolex(登録商標)8020)、
ベンゾフェノン、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(例えばEusolex(登録商標)4360)または2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびそのナトリウム塩(例えばUvinul(登録商標)MS-40)、
メトキシ桂皮酸エステル、例えば、メトキシ桂皮酸オクチル(例えばEusolex(登録商標)2292)、4-メトキシ桂皮酸イソペンチル、例えば異性体の混合物(例えばNeo Heliopan(登録商標)E 1000)、
サリチル酸誘導体、例えば、サリチル酸2-メチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)OS)、サリチル酸4-イソプロピルベンジル(例えばMegasol(登録商標))またはサリチル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(例えばEusolex(登録商標)HMS)、
4-アミノ安息香酸および誘導体、例えば、4-アミノ安息香酸、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)6007)またはエトキシル化4-アミノ安息香酸エチル(例えばUvinul(登録商標)P25)、
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、例えば、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩(例えばEusolex(登録商標)232)、2,2-(1,4-フェニレン)ビスベンズイミダゾール-4,6-ジスルホン酸およびその塩(例えばNeoheliopan(登録商標)AP)または2,2-(1,4-フェニレン)ビスベンズイミダゾール-6-スルホン酸;
およびさらなる物質、例えば、
2-シアノ-3,3,-ジフェニルアクリル酸-2-エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)OCR)、
3,3'-(1,4-フェニレンジメチレン)ビス(7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]-ヘプト-1-イルメタンスルホン酸およびその塩(例えばMexoryl(登録商標)SX)、
2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジン(例えばUvinul(登録商標)T 150)および
2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシル(例えばUvinul(登録商標)UVA Plus、BASF製)である。
【0190】
リストに記載した化合物は、単なる実施例とみなすべきである。もちろん、他のUVフィルターを用いることもできる。
【0191】
これらの有機UVフィルターは、通常、0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%の量で組成物に組み込まれる。
【0192】
さらなる適当な有機UVフィルターは、例えば、
2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(2-メチル-3-(1,3,3,3-テトラメチル-1-(トリメチルシリロキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(例えばSilatrizole(登録商標))、
4,4'-[(6-[4-((1,1-ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ジイミノ]ビス(安息香酸)2-エチルヘキシル(例えばUvasorb(登録商標)HEB)、
(-(トリメチルシリル)-ω-[トリメチルシリル)オキシ]ポリ[オキシ(ジメチル[および約6%のメチル[2-[p-[2,2-ビス(エトキシカルボニル]ビニル]フェノキシ]-1-メチレンエチル]および約1.5%のメチル[3-[p-[2,2-ビス(エトキシカルボニル)ビニル)フェノキシ)-プロペニル)および0.1〜0.4%の(メチル水素]シリレン]](n=60)(CAS No. 207 574-74-1)、
2,2'-メチレンビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール)(CAS No.103 597-45-1)、
2,2'-(1,4-フェニレン)ビス(1H-ベンズイミダゾール-4,6-ジスルホン酸、モノナトリウム塩)(CAS No.180 898-37-7)および
2,4-ビス[[4-(2-エチルヘキシロキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(CAS No. 103 597-45-,187 393-00-6)である。
【0193】
さらに適当なUVフィルターは、先の独国特許出願DE-A-10232595によるメトキシフラボンでもある。
【0194】
有機UVフィルターは、通常、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%の量で化粧製剤中に組み込まれる。
【0195】
考えられる無機UVは、例えば、被覆二酸化チタン(例えばEusolex(登録商標)T-2000、Eusolex(登録商標)T-AQUA、Eusolex(登録商標)T-AVO)のような二酸化チタン類、酸化亜鉛類(例えばSachtotec(登録商標))、酸化鉄類および酸化セリウム類からなる群よりのものである。これらの無機UVフィルターは、通常、0.5〜20重量%、好ましくは2〜10重量%の量で化粧剤組成物に組み込まれる。
【0196】
UV濾過特性を有する好ましい化合物は、3-(4'-メチルベンジリデン)-dl-ショウノウ、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-エチルヘキシル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩である。
【0197】
最適化組成物は、例えば、有機UVフィルター4'-メトキシ-6-ヒドロキシフラボンと1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオンおよび3-(4'-メチルベンジリデン)-dl-ショウノウとの組み合わせを含む。この組み合わせににより、二酸化チタン微粒子のような無機UVフィルターの添加により補足することができる広範囲保護が生じる。
【0198】
前記UVフィルターの全てを、カプセル化状態で用いることもできる。特に、有機UVフィルターをカプセル化状態で用いることが有利である。詳しくは、以下の利点が生じる。
−カプセル壁の親水性を、UVフィルターの溶解性と独立して設定することができる。すなわち、例えば、純粋に水性の組成物に、疎水性UVフィルターを組み込むこともできる。さらに、しばしば不適当と見なされる疎水性UVフィルターを含む組成物の適用時の油性印象が抑制される。
−特定のUVフィルター、特にジベンゾイルメタン誘導体は、化粧剤組成物中に低下した光安定性しか示さない。例えば桂皮酸誘導体のようなこれらのフィルターの光安定性を損なうこれらのフィルターまたは化合物のカプセル化により、組成物全体の光安定性を増加させることができる。
−有機UVフィルターによる皮膚透過、およびヒトの皮膚に直接適用したときの関連する過敏性能が、文献に繰り返し論じられている。ここに提案された対応する物質のカプセル化により、この効果が抑制される。
−通常、個々のUVフィルターまたは他の成分のカプセル化により、結晶化プロセス、沈降および凝集塊形成のような、個々の組成物成分の互いの相互作用により引き起こされる調製上の問題を回避可能になる。その相互作用が抑制されるからである。
【0199】
従って、本発明によれば、前記UVフィルターの一または二以上を、カプセル化状態にすることが好ましい。ここで、カプセルが、裸眼で見ることができないように小さいことが有利である。前記効果を得るために、さらに、カプセルが充分に安定であり、カプセル化された活性成分(UVフィルター)が、小さな程度にしか環境中に放出されない、または全く放出されないことが必要である。
【0200】
適当なカプセルは、無機または有機ポリマーの壁を有することができる。例えば、米国特許第6,242,099 B1号は、キチン、キチン誘導体またはポリヒドロキシル化ポリアミンの壁を有する適当なカプセルの製造を記載している。本発明により特に好ましく用いることができるカプセルは、出願WO 00/09652、WO 00/72806およびWO 00/71084に記載のようなゾル-ゲルプロセスにより得ることができる壁を有する。ここで、シリカゲル(シリカ;未定酸化水酸化珪素)からその壁が形成されるカプセルも好ましい。対応するカプセルの製造が、例えば、その内容が本出願の主題に明らかに属する引用特許出願から、当業者に知られている。
【0201】
本発明の組成物中のカプセルは、カプセル化UVフィルターが先に引用された量で組成物中に存在することを確保する量で好ましく存在する。
【0202】
本発明の組成物は、さらに、さらなる従来の皮膚保護またはスキンケア活性成分を含む。これらは、原理的には、当業者に知られている任意の活性成分である。
【0203】
特に好ましい活性成分は、例えば、いわゆる溶質でもある。これらは、植物または微生物の浸透圧制御に含まれると共にこれらの有機体から単離することができる物質である。ここで、相溶性溶質という総称は、独国特許出願DE-A-10133202に記載の浸透圧調節物質である。適当な浸透圧調節物質は、例えば、ポリオール、メチルアミン化合物およびアミノ酸、並びにそれぞれのその前駆体である。独国特許出願DE-A-10133202の意味での浸透圧調節物質は、特に、例えばミオ-イノシトール、マンニトールまたはソルビトールのようなポリオール、および/または、以下に記載の一または二以上の浸透圧活性物質からなる群より選択される物質である:
タウリン、コリン、ベタイン、ホスホリルコリン、グリセロホスホリルコリン、グルタミン、グリシン、(-アラニン、グルタメート、アスパルテートおよびプロリン。これらの物質の前駆体は、例えば、グルコース、グルコースポリマー、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、無機ホスフェート、蛋白、ペプチドおよびポリアミノ酸である。前駆体は、例えば、代謝工程により浸透圧調節物質に転化される化合物である。
【0204】
本発明により好ましく用いられる相溶性溶質は、ピリミジンカルボン酸(例えば、エクトインおよびヒドロキシエクトイン)、プロリン、ベタイン、グルタミン、環式ジホスホグリセレート、N-アセチルオルニチン、トリメチルアミンN-オキシド、リン酸ジ-ミオ-イノシトール(DIP)、環式2,3-ジホスホグリセレート(cDPG)、リン酸1,1-ジグリセロール(DGP)、(-マンノシルグリセレート(フィロイン)、(-マンノシルグリセラミド(フィロイン-A)、および/またはリン酸ジマンノシルジイノシトール(DMIP)または光学異性体、誘導体、例えばそれらの化合物の酸、塩またはエステル、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される物質である。
【0205】
ピリミジンカルボン酸のうち、ここで、エクトイン((S)-1,4,5,6-テトラヒドロ-2-メチル-4-ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)-1,4,5,6-テトラヒドロ-5-ヒドロキシ-2-メチル-4-ピリミジンカルボン酸)およびそれらの誘導体が特に挙げられる。これらの化合物は、水溶液および有機溶媒中において酵素および他の生物分子を安定化する。さらに、これらは、特に、塩、極端なpH値、界面活性剤、尿素、塩化グアニジニウムおよび他の化合物のような変性条件に対して酵素を安定化する。
【0206】
エクトインおよび、ヒドロキシエクトインのようなエクトイン誘導体を、薬剤中に有利に用いることができる。特に、皮膚病の治療用の薬剤の調製のためにヒドロキシエクトインを用いることができる。ヒドロキシエクトインおよび他のエクトイン誘導体の他の適用領域は、典型的には、例えば、添加剤としてトレハロースが用いられる領域である。すなわち、ヒドロキシエクトインのようなエクトイン誘導体を、乾燥された酵母および細菌細胞中の保護剤として用いることができる。非グリコシル化製薬的活性ペプチドおよび蛋白のような薬剤生成物、例えば、t-PAを、エクトインまたはその誘導体を用いて保護することもできる。
【0207】
化粧用途のうち、老化、乾燥または刺激された皮膚のケア用にエクトインおよびエクトイン誘導体を用いることを特に挙げるべきである。
【0208】
すなわち、欧州特許出願EP-A-0 671 161は、特に、エクトインおよびヒドロキシエクトインが、粉末、石鹸、界面活性剤含有清浄化製品、リップスティック、ルージュ、メークアップ、ケアクリームおよびサンスクリーン製剤のような化粧剤組成物中で用いられることを記載している。
【0209】
ここで、下記式IIで示されるピリミジンカルボン酸を用いることが好ましい:
【0210】
【化6】

【0211】
式中、R1は基HまたはC1〜8-アルキル、R2は基HまたはC1〜4-アルキル、およびR3、R4、R5およびR6は各々互いに独立して、H、OH、NH2およびC1〜4-アルキルからなる群より選択される基である。R2がメチルまたはエチル基、およびR1またはR5およびR6がHであるピリミジンカルボン酸の使用が好ましい。ピリミジンカルボン酸エクトイン((S)-1,4,5,6-テトラヒドロ-2-メチル-4-ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)-1,4,5,6-テトラヒドロ-5-ヒドロキシ-2-メチル-4-ピリミジンカルボン酸)が特に好ましい。この場合、本発明の組成物は、好ましくは、このタイプのピリミジンカルボン酸を15重量%までの量で含む。

リン酸ジ-ミオ-イノシトール(DIP)、環式2,3-ジホスホグリセレート(cDPG)、リン酸1,1-ジグリセロール(DGP)、(-マンノシルグリセレート(フィロイン)、(-マンノシルグリセラミド(フィロイン-A)、および/またはリン酸ジマンノシルジイノシトール(DMIP)、エクトイン、ヒドロキシエクトインまたはそれらの混合物から相溶性溶質を選択することが、本発明により特に好ましい。
【0212】
同様に好ましく用いられるアリールオキシムのうち、HMLO、LPOまたはF5としても知られている2-ヒドロキシ-5-メチルラウロフェノンオキシムの使用が好ましい。その、化粧剤組成物中における使用への適性が、例えばDE-A-41 16 123に開示されている。従って、2-ヒドロキシ-5-メチルラウロフェノンオキシムを含む組成物が、炎症を伴う皮膚病の治療のために適している。このタイプの組成物を、乾癬、種々の形状の湿疹、刺激性および毒性皮膚炎、UV皮膚炎、および、皮膚および外皮付属器のさらなるアレルギー性および/または炎症性疾患の治療のために用いることができることが知られている。式Iで示される化合物に加えて、アリールオキシム、好ましくは2-ヒドロキシ-5-メチルラウロフェノンオキシムをさらに含む本発明の組成物は、驚くべき抗炎症性適性を示す。ここで、組成物は、好ましくは0.01〜10重量%のアリールオキシムを含み、この組成物が、0.05〜5重量%のアリールオキシムを含むことが特に好ましい。
【0213】
さらに同様に好ましい本発明の態様において、本発明の組成物は、少なくとも一つの自己日焼け剤を含む。
【0214】
用いることができる有利な自己日焼け剤は、特に以下のものである:
【0215】
【化7】

【0216】
【化8】

【0217】
新しい胡桃の殻から抽出される5-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン(ユグロン)
【0218】
【化9】

【0219】
および、ヘンナ葉において生じる2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン(ローソン)
【0220】
【化10】

【0221】
も挙げるべきである。
【0222】
ヒトの体内で生じる三官能糖である1,3-ジヒドロキシアセトン(DHA)、およびその誘導体が特に好ましい。
【0223】
【化11】

【0224】
組成物中で用いることができる全ての化合物または組成物は、既知であるか、または市販されているか、あるいは既知のプロセスにより合成することができる。
【0225】
回折着色剤、効果顔料およびさらなる活性成分を、従来法により、化粧剤または皮膚科組成物に組み込むことができる。適当な組成物は、外用の組成物、例えば、クリーム、ローションまたはゲル、または皮膚に噴霧することができる溶液である。内用に適しているのは、カプセル、被覆状態、粉末、錠剤溶液または溶液のような投与形である。
【0226】
列挙することができる本発明の組成物の使用形は、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、PITエマルジョン、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤を含む清浄化製剤、油、エアロゾルおよびスプレーである。他の使用形の例には、スティック、シャンプーおよびシャワー組成物がある。任意の所望の一般的キャリア、助剤および、要すれば、さらなる活性成分を、組成物に添加することができる。
【0227】
好ましい助剤は、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、可溶化剤、ビタミン、着色剤および香改良剤からなる群より生じる。
【0228】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、一般的キャリア、例えば、動物および植物脂肪、ロウ、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの物質の混合物を含むことができる。
【0229】
粉末およびスプレーは、一般的キャリア、例えば、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはそれらの物質の混合物を含み得る。スプレーは、さらに、一般的プロペラント(スプレー用高圧ガス)、例えば、クロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルを含み得る。
【0230】
溶液およびエマルジョンは、一般的キャリア、例えば、溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコール、油、特に綿実油、ピーナツ油、麦芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、またはそれらの物質の混合物を含み得る。
【0231】
懸濁液は、一般的キャリア、例えば、液体希釈剤、例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコール、懸濁剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、またはそれらの物質の混合物を含み得る。
【0232】
石鹸は、一般的キャリア、例えば、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸蛋白加水分解物、イセチオネート、ラノリン、脂肪アルコール、植物油、植物抽出物、グリセロール、糖類、またはこれらの物質の混合物を含み得る。
【0233】
界面活性剤含有清浄化生成物は、一般的キャリア、例えば、脂肪アルコールスルフェートの塩、脂肪アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸蛋白加水分解物、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物および合成油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物を含み得る。
【0234】
フェイスおよびボディーオイルは、一般的キャリア、例えば、合成油、例えば、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、シリコーン油、天然油、例えば、植物油および油性植物抽出物、パラフィン油またはラノリン油、またはこれらの物質の混合物を含み得る。
【0235】
さらなる典型的化粧用使用形は、リップスティック、リップケアスティック、マスカラ、アイライナー、アイシャドー、ルージュ、メイクアップパウダー、メイクアップエマルジョンおよびメイクアップワックス、およびサンスクリーン、プレサンおよびアフタサン製剤でもある。
【0236】
本発明の好ましい組成物形は、特に、エマルジョンも含む。
本発明のエマルジョンは有利であり、例えば、前記脂肪、油、ロウおよび他の脂肪物質、並びに、このタイプの組成物に通常用いられるような、水および乳化剤を含む。
【0237】
脂質相は、以下の物質群から有利に選択することができる:
−鉱物油、鉱物ロウ;
−油、例えば、カプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリド、さらに天然油、例えば、ヒマシ油;
−脂肪、ロウおよび他の天然および合成脂肪物質、好ましくは、脂肪酸と、低炭素数のアルコール、例えば、イソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロールとのエステル、または、脂肪アルコールと、低炭素数のアルカン酸または脂肪酸とのエステル;
−シリコーン油、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンおよびそれらの混合物。
【0238】
本発明の目的において、エマルジョン、オレオゲル、ヒドロ分散液またはリポ分散液の油相は、炭素原子3〜30個の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸と炭素原子3〜30個の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルコールとのエステルからなる群、または、芳香族カルボン酸と炭素原子3〜30個の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルコールとのエステルからなる群より有利に選択される。このタイプのエステル油が、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n-ブチル、ラウリン酸n-ヘキシル、オレイン酸n-デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシルおよびこのタイプのエステルの合成、半合成および天然混合物、例えばホホバ油からなる群より有利に選択することができる。
【0239】
油相は、さらに、分枝および非分枝炭化水素およびロウ、シリコーン油、ジアルキルエーテルからなる群、飽和および不飽和の分枝および非分枝アルコール、脂肪酸トリグリセリド、具体的に、炭素原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸のトリグリセロールからなる群より有利に選択される。脂肪酸トリグリセリドは、例えば、合成、半合成および天然の油、例えばオリーブ油、ひまわり油、大豆油、ピーナツ油、なたね油、アーモンド油、パーム油、ヤシ油、パーム核油等からなる群より有利に選択することができる。
【0240】
このタイプの油およびロウ成分の所望の混合物を、本発明の目的のために有利に用いることもできる。油相の唯一の脂質成分として、ロウ、例えば、パルミチン酸セチルを用いることも有利であり得る。
【0241】
油相は、イソステアリン酸2-エチルヘキシル、オクチルドデカノール、イソノナン酸イソトリデシル、イソエイコサン、2-エチルヘキシルココエート、安息香酸C1215アルキル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドおよびジカプリルエーテルからなる群より有利に選択される。
【0242】
安息香酸C1215アルキルおよびイソステアリン酸2-エチルヘキシルの混合物、安息香酸C1215アルキルおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物、ならびに安息香酸C1215アルキル、イソステアリン酸2-エチルヘキシルおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物が特に有利である。
【0243】
炭化水素のうち、パラフィン油、スクアランおよびスクアレンを、本発明の目的のために有利に用いることができる。
【0244】
さらに、単独または複数のシリコーン油に加えて他の油相成分を含むことが好ましいが、油相は、有利に、環式または線状シリコーン油を含む、または全体がこのタイプの油からなることができる。
【0245】
本発明において用いられるシリコーン油は、有利にシクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサン)である。しかしながら、本発明の目的のために、他のシリコーン油、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサンまたはポリ(メチルフェニルシロキサン)を用いることも有利である。
【0246】
シクロメチコンおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物、およびシクロメチコンおよびイソステアリン酸2-エチルヘキシルの混合物も特に有利である。
【0247】
本発明の組成物の水相は、任意に有利に、低炭素数のアルコール、ジオールまたはポリオール、およびそれらのエーテル、好ましくは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルまたはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルおよび類似化合物、さらに、低炭素数のアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、1,2-プロパンジオールまたはグリセロール、および特に、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖類およびそれらの誘導体からなる群より有利に選択され得る一または二以上の増粘剤、例えば、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、特に有利にはポリアクリレート類からなる群よりのもの、好ましくはいわゆるCarbopol、例えば、Carbopolグレード980、981、1382、2984または5984からなる群より選択されるポリアクリレートを、それぞれ単独でまたは組み合わせて含む。
特に、前記溶媒の混合物が用いられる。アルコール性溶媒の場合、水がさらなる成分となり得る。
【0248】
本発明のエマルジョンは有利であり、例えば、前記脂肪、油、ロウおよび他の脂肪物質、並びに、このタイプの製剤に通常用いられるように、水および乳化剤を含む。
【0249】
好ましい態様において、本発明の組成物は親水性界面活性剤を含む。
親水性界面活性剤は、好ましくは、アルキルグルコシド、アシルラクチレート、ベタインおよび両性酢酸(ampho-acetate)ヤシ油からなる群より選択される。
【0250】
アルキルグルコシドは、それら自体、下記構造式を特徴とするアルキルグルコシドからなる群より有利に選択される:
【0251】
【化12】

【0252】
式中、Rは炭素原子4〜24個を有する分枝または非分枝アルキル基であり、DPバーは、2までの平均グリコシル化度を意味する。
【0253】
値DPは、本発明で用いられるアルキルグルコシドのグルコシド化度を表し、下記式のように定義される:
【0254】
【数1】

【0255】
式中、p1、p2、p3 ---- piは、モノ、ジ、トリ --- i回グルコシル化生成物の割合を重量%で示す。本発明で有利な生成物は、グルコシル化度が1〜2、特に有利には1.1〜1.5、非常に有利には1.2〜1.4、特に1.3である生成物である。
【0256】
値DPは、アルキルグルコシドが、通常、その調製の結果として、モノおよびオリゴグルコシドの混合物の状態であるという事実を考慮する。典型的に40〜70重量%の次元であるモノグルコシドの比較的高い含量は、本発明において有利である。
【0257】
本発明の目的において特に有利に用いられるアルキルグリコシドは、オクチルグルコピラノシド、ノニルグルコピラノシド、デシルグルコピラノシド、ウンデシルグルコピラノシド、ドデシルグルコピラノシド、テトラデシルグルコピラノシドおよびヘキサデシルグルコピラノシドからなる群より選択される。
【0258】
同様に、天然および合成原料、および助剤または、本発明により用いられる活性成分の効果的含量を特徴とする混合物、例えば、Plantaren(登録商標)1200(Henkel KGaA製)、Oramix(登録商標)NS10(Seppic製)を用いることが有利である。
【0259】
アシルアクチレートは、それ自体、下記構造式を特徴とする物質からなる群より有利に選択される:
【0260】
【化13】

【0261】
式中、R1は、1〜30個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキル基、およびM+は、一または二以上のアルキルおよび/または一または二以上のヒドロキシアルキル基で置換されるアルカリ金属イオンからなる群およびアンモニウムイオンからなる群より選択される、またはアルカリ土類金属イオンの当量の半分に相当する。
例えば、ナトリウムイソステアリルラクチレート、例えば、American Ingredients Companyの製品Pathionic(登録商標)ISLが有利である。
【0262】
ベタインは、下記構造式を特徴とする物質からなる群より有利に選択される:
【0263】
【化14】

【0264】
式中、R2は、1〜30個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキル基である。
【0265】
R2は、特に有利には、6〜12個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキル基である。
【0266】
例えば、カプラミドプロピルベタイン、例えば、Th. Goldschmidt AGの製品Tego(登録商標)Betain 810が有利である。
【0267】
本発明の目的に有利である両性酢酸ヤシ油は、例えば、Miranol Chemical Corp.製のMiranol(登録商標)Ultra C32の名で入手される両性酢酸ナトリウムヤシ油である。
【0268】
本発明の組成物は、有利に、親水性界面活性剤が、組成物の合計重量に基づいて、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の濃度で存在することを特徴とする。
【0269】
使用において、化粧剤および皮膚科向け組成物は、化粧剤用の通常の方法で、充分な量で皮膚および/または毛髪に適用される。
【0270】
本発明の化粧剤および皮膚科向け組成物は、種々の形状で存在し得る。すなわち、これらは、例えば、溶液、非含水組成物、油中水(W/O)または水中油(O/W)型のエマルジョンまたはミクロエマルジョン、例えば水中油中水(W/O/W)型の多元エマルジョン、ゲル、固体スティック、軟膏またはエアロゾルであり得る。エクトインをカプセル化状態で、例えば、コラーゲンマトリクスおよび他の従来のカプセル化材料中に含む状態で、例えば、セルロースカプセル化材料、ゲラチン、ロウマトリクスまたはリポソームによりカプセル化された状態で投与することも有利である。特に、DE-A 43 08 282に記載のようなロウマトリクスが好ましいと分かった。エマルジョンが好ましい。O/Wエマルジョンが特に好ましい。エマルジョン、W/OエマルジョンおよびO/Wエマルジョンは、従来法により得ることができる。
【0271】
用いることができる乳化剤は、例えば、既知のW/OおよびO/W乳化剤である。本発明による好ましいO/Wエマルジョン中に、さらなる従来の共乳化剤を用いることが有利である。
【0272】
本発明において有利である共乳化剤は、O/W乳化剤が飽和基RおよびR'を有する限り、例えば、HLB値が11〜16である、特に有利にはHLB値が14.5〜15.5である物質からなる群より主に選択されるO/W乳化剤である。O/W乳化剤が、不飽和基Rおよび/またはR'を有するか、またはイソアルキル誘導体の場合、そのような乳化剤の好ましいHLB値はより低くてもより高くてもよい。
【0273】
エトキシ化ステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール)からなる群より選択される脂肪アルコールエトキシレートを選択することが有利である。以下の物質が特に好ましい:ポリエチレングリコール(13)ステアリルエーテル(ステアレス-13)、ポリエチレングリコール(14)ステアリルエーテル(ステアレス-14)、ポリエチレングリコール(15)ステアリルエーテル(ステアレス-15)、ポリエチレングリコール(16)ステアリルエーテル(ステアレス-16)、ポリエチレングリコール(17)ステアリルエーテル(ステアレス-17)、ポリエチレングリコール(18)ステアリルエーテル(ステアレス-18)、ポリエチレングリコール(19)ステアリルエーテル(ステアレス-19)、ポリエチレングリコール(20)ステアリルエーテル(ステアレス-20)、ポリエチレングリコール(12)イソステアリルエーテル(イソステアレス-12)、ポリエチレングリコール(13)イソステアリルエーテル(イソステアレス-13)、ポリエチレングリコール(14)イソステアリルエーテル(イソステアレス-14)、ポリエチレングリコール(15)イソステアリルエーテル(イソステアレス-15)、ポリエチレングリコール(16)イソステアリルエーテル(イソステアレス-16)、ポリエチレングリコール(17)イソステアリルエーテル(イソステアレス-17)、ポリエチレングリコール(18)イソステアリルエーテル(イソステアレス-18)、ポリエチレングリコール(19)イソステアリルエーテル(イソステアレス-19)、ポリエチレングリコール(20)イソステアリルエーテル(イソステアレス-20)、ポリエチレングリコール(13)セチルエーテル(セテス-13)、ポリエチレングリコール(14)セチルエーテル(セテス-14)、ポリエチレングリコール(15)セチルエーテル(セテス-15)、ポリエチレングリコール(16)セチルエーテル(セテス-16)、ポリエチレングリコール(17)セチルエーテル(セテス-17)、ポリエチレングリコール(18)セチルエーテル(セテス-18)、ポリエチレングリコール(19)セチルエーテル(セテス-19)、ポリエチレングリコール(20)セチルエーテル(セテス-20)、ポリエチレングリコール(13)イソセチルエーテル(イソセテス-13)、ポリエチレングリコール(14)イソセチルエーテル(イソセテス-14)、ポリエチレングリコール(15)イソセチルエーテル(イソセテス-15)、ポリエチレングリコール(16)イソセチルエーテル(イソセテス-16)、ポリエチレングリコール(17)イソセチルエーテル(イソセテス-17)、ポリエチレングリコール(18)イソセチルエーテル(イソセテス-18)、ポリエチレングリコール(19)イソセチルエーテル(イソセテス-19)、ポリエチレングリコール(20)イソセチルエーテル(イソセテス-20)、ポリエチレングリコール(12)オレイルエーテル(オレス-12)、ポリエチレングリコール(13)オレイルエーテル(オレス-13)、ポリエチレングリコール(14)オレイルエーテル(オレス-14)、ポリエチレングリコール(15)オレイルエーテル(オレス-15)、ポリエチレングリコール(12)ラウリルエーテル(ラウレス-12)、ポリエチレングリコール(12)イソラウリルエーテル(イソラウレス-12)、ポリエチレングリコール(13)セチルステアリルエーテル(セテアレス-13)、ポリエチレングリコール(14)セチルステアリルエーテル(セテアレス-14)、ポリエチレングリコール(15)セチルステアリルエーテル(セテアレス-15)、ポリエチレングリコール(16)セチルステアリルエーテル(セテアレス-16)、ポリエチレングリコール(17)セチルステアリルエーテル(セテアレス-17)、ポリエチレングリコール(18)セチルステアリルエーテル(セテアレス-18)、ポリエチレングリコール(19)セチルステアリルエーテル(セテアレス-19)、ポリエチレングリコール(20)セチルステアリルエーテル(セテアレス-20)。
【0274】
以下の群から脂肪酸エトキシレートを選択することがさらに有利である:
ポリエチレングリコール(20)ステアレート、ポリエチレングリコール(21)ステアレート、ポリエチレングリコール(22)ステアレート、ポリエチレングリコール(23)ステアレート、ポリエチレングリコール(24)ステアレート、ポリエチレングリコール(25)ステアレート、ポリエチレングリコール(12)イソステアレート、ポリエチレングリコール(13)イソステアレート、ポリエチレングリコール(14)イソステアレート、ポリエチレングリコール(15)イソステアレート、ポリエチレングリコール(16)イソステアレート、ポリエチレングリコール(17)イソステアレート、ポリエチレングリコール(18)イソステアレート、ポリエチレングリコール(19)イソステアレート、ポリエチレングリコール(20)イソステアレート、ポリエチレングリコール(21)イソステアレート、ポリエチレングリコール(22)イソステアレート、ポリエチレングリコール(23)イソステアレート、ポリエチレングリコール(24)イソステアレート、ポリエチレングリコール(25)イソステアレート、ポリエチレングリコール(12)オレエート、ポリエチレングリコール(13)オレエート、ポリエチレングリコール(14)オレエート、ポリエチレングリコール(15)オレエート、ポリエチレングリコール(16)オレエート、ポリエチレングリコール(17)オレエート、ポリエチレングリコール(18)オレエート、ポリエチレングリコール(19)オレエート、ポリエチレングリコール(20)オレエート。
【0275】
有利に用いることができるエトキシル化アルキルエーテルカルボン酸またはその塩は、ナトリウムラウレス-11(laureth-11)カルボキシレートである。有利に用いることができるアルキルエーテルスルフェートは、ナトリウムラウレス-14スルフェートである。有利に用いることができるエトキシル化コレステロール誘導体は、ポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルである。ポリエチレングリコール(25)ソヤステロールも良好であると分かった。有利に用いることができるエトキシル化トリグリセリドは、ポリエチレングリコール(60)月見草油グリセリドである。
【0276】
ポリエチレングリコール(20)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(21)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(22)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(23)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(6)グリセリルカプレート/カプリネート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルオレアート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルイソステアレート、ポリエチレングリコール(18)グリセリルオレアート/ココエートからなる群より選択されるポリエチレングリコールグルセロール脂肪酸エステルを選択することがさらに有利である。
【0277】
同様に、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノイソステアレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノオレアートからなる群より選択されるソルビタンエステルを選択することが有利である。
【0278】
本発明の目的に有利であるものを除く任意のW/O乳化剤は以下のものであり得る:
8〜30個の炭素原子を有する脂肪アルコール、炭素原子8〜24個の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、炭素原子8〜24個、特に炭素原子12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、炭素原子8〜24個、特に炭素原子12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルコールのモノグリセロールエーテル、炭素原子8〜24個、特に炭素原子12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルコールのジグリセロールエーテル、炭素原子8〜24個、特に炭素原子12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、炭素原子8〜24個、特に炭素原子12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸のソルビタンエステル。
【0279】
特に有利なW/O乳化剤は、モノステアレン酸グリセリル、モノイソステアレン酸グリセリル、、モノミリスチン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアレン酸ジグリセリル、モノイソステアレン酸ジグリセリル、モノステアレン酸プロピレングリコール、モノイソステアレン酸プロピレングリコール、モノカプレル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノイソステアレン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノカプリル酸ソルビタン、モノイソオレイン酸ソルビタン、ジステアリン酸スクロース、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエステル(ステアレス-2)、モノラウリン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリルおよびモノカプリル酸グリセリルである。
【0280】
本発明による好ましい組成物は、老化プロセスに対して、および酸化的ストレスに対して、すなわち、例えば、日光、熱または他の影響により引き起こされる遊離基による損傷に対してヒトの皮膚を保護するのに特に適している。この場合、それらは、この適用のために通常用いられる種々の投与形状をとる。例えば、それらは、特に、クリームまたはミルク(O/W、W/O、O/W/O、W/O/W)の状態のようなローションまたはエマルジョンの状態、油性アルコール性、油性水性または水性アルコール性ゲルまたは溶液の状態、固体スティックの状態、またはエアロゾルとして調製してよい。
【0281】
組成物は、このタイプの組成物において通常用いられる化粧剤用アジュバント、例えば、増粘剤、軟化剤、加湿剤、界面活性剤、乳化剤、保存剤、抑泡剤、香料、ロウ、ラノリン、プロペラント、組成物そのものまたは皮膚を着色する染料および/または顔料、および化粧剤において通常用いられる他の成分を含み得る。
【0282】
用いられる分散剤または可溶化剤は、油、ロウまたは他の脂肪物質、低級モノアルコールまたは低級ポリオール、またはそれらの混合物であり得る。特に好ましいモノアルコールまたはポリオールは、エタノール、イソプロピアノール、プロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールを含む。
【0283】
本発明の好ましい態様は、水の存在下に、例えば、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、特に、脂肪酸のトリグリセリド、ラノリン、天然および合成の油またはロウ、および乳化剤を含む保護クリームまたはミルクの状態のエマルジョンである。
【0284】
さらに好ましい態様は、天然または合成の油およびロウ、ラノリン、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリドに基づく油性ローション、または、エタノールのような低級アルコール、またはプロピレングリコールのようなグルセロール、および/またはグリセロールのようなポリオール、および油、ロウおよび、脂肪酸のトリグリセリドのような脂肪酸エステルに基づく油性アルコール性ローションである。
【0285】
本発明の組成物は、エタノール、プロピレングリコールまたはグリセロールのような一または二以上の低級アルコールまたはポリオール、および珪質土のような増粘剤を含むアルコール性ゲルの状態であってもよい。油性アルコール性ゲルは、天然または合成油またはロウも含む。
【0286】
固体スティックは、天然または合成ロウおよび油、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリンおよび他の脂肪物質からなる。
【0287】
組成物をエアロゾルとして調製する場合、アルカン、フルオロアルカンおよびクロロフルオロアルカンのような一般的プロペラントが通常用いられる。
【0288】
化粧剤組成物は、色影の変化、漂白または機械的性質の損失を防止するために光化学的損傷に対して毛髪を保護するために用いることもできる。この場合、適当な製剤は、リンスを含まないシャンプー、ローション、ゲルまたはエマルジョンの状態であり、この組成物は、シャンプーの前または後に、着色または漂白の前または後に、またはパーマネントの前または後に適用される。毛髪をスタイリングまたはトリートメントするためのローションまたはゲルの状態、ブラッシングまたはブローウェーブのためのローションまたはゲルの状態、または毛髪用のヘアラッカー、パーマネント組成物、着色剤または脱色剤の状態の組成物を選択することもできる。この組成物は、このタイプの組成物において用いられる種々のアジュバント、例えば、界面活性剤、増粘剤、ポリマー、軟化剤、保存剤、泡安定化剤、電解質、有機溶媒、シリコーン誘導体、油、ロウ、抗グリース剤、組成物そのものまたは毛髪を着色する染料および/または顔料、またはヘアケアに通常用いられる他の成分を含む。
【0289】
ここで、本発明の組成物は、当業者に良く知られている技術を利用して調製することができる。
【0290】
本発明により用いられる回折着色剤は、フィルムであり、人工爪としてのまたは人工爪内でのその使用が好ましい。従って、本出願は、さらに、回折着色剤を含む人工爪に関する。ここで、爪は、回折着色剤からなるか、または回折着色剤は、人工爪の装飾層を形成することができる。
【0291】
すなわち、例えば、回折着色剤を含むフィルムを、個々の手指爪または足指爪の寸法に適合するように切断した後、支持シートから剥離し手指爪/足指爪に適用し、続いて透明ネイルワニスを用いて固定することができる。あるいは、フィルムそのものに接着層を設け、その後のワニス塗りを不要にすることができる。フィルムをワニスに漬けてから手指爪に適用することも、その後のワニス塗りが不必要である本発明の別の態様である。
【0292】
さらに、本発明により用いられる回折着色剤を、人工爪の製造に用いられるUV硬化性アクリルワニスのようなワニス中に用いることもできる。
【0293】
本発明で好ましい回折着色剤のさらなる使用は、ネイルケア組成物、特にネイルワニスにおける使用である。ここで、ネイルケア組成物が、前記球または芯/殻粒子および、ワニスの適用中または適用後まで実際の回折着色剤が形成されないようにする光子構造のみを含むことが特に好ましい。しかしながら、もう一つの同様に好ましい態様において、ネイルケア組成物は、回折着色剤を直接、特に顔料状態で含むこともできる。
【0294】
特にネイルワニスの状態のネイルケア組成物は、最も用いられる装飾用化粧剤である。これらは、通常、フィルム形成剤としての合成樹脂および、無機または有機顔料あるいは染料を含む。ネイルワニスは、高い光沢、高い硬度、および手指爪のようなケラチン含有物質への良好な接着を示すこと、および室温で迅速に乾燥して非粘着性均一フィルムを得ることを意図する。高い光沢および高い接着力は、可能な最も長い時間に亙って維持されるべきである。従来のネイルワニスリムーバーを用いてネイルワニスを再び除去し得るように、使用されるフィルム形成樹脂は水/アセトン混合物に溶解できなくてはならない。これに対して、フィルム形成樹脂は、ネイルワニスが、水との接触時に、または従来の家庭用化学物質の取り扱い中に溶解しないように、水または水/アルコール混合物に不溶性でなくてはならない。
【0295】
本発明に用いるのに適した典型的ネイルワニスは、本質的に、特定物質の溶液、懸濁液またはエマルジョンからなる。ここで、バインダー、例えば、ニトロセルロースまたは、種々の合成樹脂、例えば、特に、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、トルエンスルホンアミド-ホルムアルデヒド樹脂、トルエンスルホンアミド-エポキシ樹脂、アルキド樹脂または酸化ポリビニルが特に挙げられる。さらに、ネイルワニスは、通常、バインダー用の適当な溶媒を含み、溶媒混合物が通常用いられる。水以外の典型的溶媒は、アルコール、エステルおよびケトンであり、特に、酢酸メチル、エチル、プロピルおよブチル、イソプロピルアルコールおよびn-ブチルアルコールである。ネイルワニスには、任意に、光学的外観を形成するためのさらなる添加剤、例えば、可溶性染料を加えることができる。さらに、混合物は、可塑剤(例えば、ショウノウまたはフタル酸ジブチル)および増量剤(例えば、トルエンまたはキシレン)を含むことができる。これらのネイルワニスは、ワニスの層厚、温度および溶媒のタイプの関数として、溶媒および他の揮発性成分の蒸発により硬化する。さらに、硬化時間は、他の影響(例えば、空気流)にも依存する。
【0296】
本発明によれば、バインダーとしてポリウレタンまたはポリアクリレートを好ましく含む水系ネイルケア組成物が特に好ましい。
【0297】
すなわち、EP-A-0 424 112は、バインダーとして芯/殻構造を有するエマルジョンポリマーを含むネイルワニス製剤を記載している。外側殻のポリマーは、内側殻のポリマーの軟化温度より低い軟化温度を有する。DE-19727504は、水性化粧製剤、特に、有機または無機基を含むモノマーを含むポリマーの存在下に特定のモノマーの混合物を重合することにより得ることができるエマルジョンポリマーをバインダーとして含むネイルワニス製剤を開示している。
【0298】
水以外に、水系ネイルワニスは、水溶性樹脂、例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂またはメラミン樹脂を含む。ここで、樹脂は、好ましくは、それが水溶性であり、水中で白色または透明に見え、廉価であり、加工が簡単であり、できるだけ非燃焼性であり、毒性またはアレルギー過剰でない、ように選択される。さらに、ワニスが迅速に乾燥し、10℃からの温度において良好なフィルム形成特性を示すことが必須である。
【0299】
特に好ましい本発明の別の態様において、回折着色剤または回折着色剤の前駆体は、同時に、ネイルケア組成物中のバインダーとして作用する。ネイルケア組成物は、ここで、好ましくは、さらなるバインダーを含まず、回折着色剤の前駆体は、好ましくは、先に既述したように芯/殻粒子である。ここで、ポリアクリレート殻またはポリウレタン殻を有する芯/殻粒子が特に好ましい。好ましく用いられる対応する芯/殻粒子は、先に既述しており、特に、欧州特許出願EP-A-0 955 323または国際特許出願WO 03/25035に記載されている。
【0300】
さらなるコメント無しでも、当業者は、前記既述を最も広い範囲で用いることができると考えられる。従って、好ましい態様は、いかようにも絶対に非制限的である説明的開示であると見なすべきである。前記および以下の全ての出願および公報の完全な開示内容を、参考として本出願に組み込む。以下の実施例は、本発明の説明を意図する。しかしながら、これらは、決して限定的であると見なすべきではない。組成物中に用いることができる全ての化合物または成分は、既知であり市販されているか、既知の方法により合成することができる。用いられる原料のINCI名称を示す(INCI名称は、英語での定義である)。
【0301】
実施例
用いた略号:
ALMA メタクリル酸アリル
AN アクリロニトリル
APS ペルオキソ二硫酸アンモニウム
BDDA 二アクリル酸ブタン-1,4-ジオール
CHMA メタクリル酸シクロヘキシル
MMA メタクリル酸メチル
SDS ドデシル硫酸ナトリウム塩
SDTH ナトリウムジチオナイト
PCHMA ポリメタクリル酸シクロヘキシル
PS ポリ(スチレン)
【0302】
実施例1
(一次単位としての球の製造)
【0303】
(実施例1a:直径250nmの単分散二酸化珪素球の製造)
エタノール1140mlおよび脱塩水430mlをフラスコに導入する。混合物を、穏やかな攪拌下に63℃に加熱する。次に、25%アンモニア溶液266mlを添加する。オルト珪酸テトラエチル(同様に温度63℃)168mlを激しく攪拌しつつ一度にかつ迅速に添加する。さらに15分間攪拌後、攪拌器のスイッチを切り、分散液を18時間放置する。分散液の蒸発後に、共沸蒸留して、エタノールおよびアンモニアを除去し、それにより、SiO2球が純粋に水性の分散液になるようにする。
【0304】
(実施例1b:直径300nmの単分散PMMA球の製造)
丸底フラスコに、蒸留水540mlおよびメタクリル酸メチル100mlを仕込む。80℃に加熱後、窒素ガスブランケットを分散液上に導入する。インペラー攪拌器を300rpmに設定し、次に、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.5gを添加する。2時間後、反応が完了し、フラスコ内容物を冷却する。生成物を、繰り返しの遠心分離および傾しゃにより精製する。
【0305】
実施例2
(コロイド結晶性パッキング(オパールパッキング)中での球の組織)
実施例1aおよび1bからの分散液を、水ポンプ真空を介して細かい濾紙を用いたブフナー漏斗を介して吸引下に濾過する。最初に、コロイド状球が吸引フィルター(曇った濾液から明らか)を通過するが、フィルター孔の部分的遮断が迅速に生じ、それにより、水のみが吸引されて通過し球はフィルターケーキとして残る。球の規則正しい配列は、チラチラする色効果を生み出す。
【0306】
実施例3
(オパール色粒子の製造)
実施例1aから出発して実施例2でSiO2コロイド球から製造されたチラチラするフィルターケーキを、SiO2球を架橋するために、炉内で濾紙と共に400℃に注意深く加熱する。冷却後、チラチラする材料を除去し、注意深く粉砕し、チラチラするオパール色粒子を得る。
【0307】
実施例4
(逆オパール色粒子の製造)
実施例1bから出発して実施例2でPMMAコロイド球から製造されたチラチラするフィルターケーキに、テトラエトキシシラン7ml、エタノール4.7ml、濃HClの1mlおよび水3mlからなる前駆体溶液を、穏やかな真空吸引下に含浸する。仕込んだフィルターケーキを、炉内で500℃に10時間加熱する。この時間中に、PMMA球を、熱分解により劣化させ、SiO2を含む逆オパールのチラチラする着色粉末を残す。
【0308】
実施例5
(ポリスチレン芯、p(MMA-co-ALMA)中間層およびポリメタクリル酸シクロヘキシル殻を有する粒子の製造)
水217g、スチレン(Merck製、脱安定化)3.6gおよびSDS(Merck製)130mgからなる4℃に維持された混合物を、プロペラ攪拌機、アルゴン保護ガス入り口および還流冷却器を備える75℃に予め加熱された1L攪拌タンク反応器に導入し、激しい攪拌下に分散させる。導入直後に、それぞれ5gの水に溶解したSDTH(Merck製)50mg、APS(Merck製)350mgおよびさらにSDTH(Merck製)50mgを直接連続的に添加することにより反応を開始する。20分後、BDDA(Merck製、脱安定化)8.1g、スチレン(Merck製、脱安定化)72.9g、SDS0.375g、KOH0.1gおよび水110gを含むモノマーエマルジョンを、120分間にわたって連続的に計量添加する。反応器の内容物を、さらなる添加無しに30分間攪拌する。次に、水5gに溶解されたAPS200mgを添加する。さらに60分間攪拌後、ALMA(Merck製、脱安定化)1.5g、MMA(Merck製、脱安定化)13.5g、SDSの0.075gおよび水20gを含む第2のモノマーエマルジョンを、25分間にわたって連続的に計量添加する。反応器内容物を、続いて、さらなる添加無しに30分間攪拌する。次に、水5gに溶解されたAPS200mgを添加する。
【0309】
CHMA(Degussa製、脱安定化)120g、水120gおよびSDSの0.4gを含むモノマーエマルジョンを、続いて、150分間にわたって連続的に計量添加する。モノマーを実質的に完全に反応させるために、混合物を、続いて、さらに60分間攪拌する。続いて、芯/殻粒子を、メタノール1L中に沈降させ、塩化ナトリウム濃厚水溶液25gを添加することにより沈降を完了させ、蒸留水1Lを懸濁液に添加し、混合物を吸引下に濾過し、固体を乾燥する。
【0310】
実施例6
(ポリメタクリル酸メチル芯およびポリスチレン殻を有する粒子の製造)
水217g、ALMA(Merck製、脱安定化)0.4g、MMA(Merck製、脱安定化)3.6gおよびSDS(Merck製)23mgからなる4℃に維持された混合物を、プロペラ攪拌機、アルゴン保護ガス入り口および還流冷却器を備える75℃に予め加熱された1L攪拌タンク反応器に導入し、激しい攪拌下に分散させる。導入直後に、それぞれ5gの水に溶解したSDTH(Merck製)30mg、APS(Merck製)150mgおよびさらにSDTH30mgを直接連続的に添加することにより反応を開始する。20分後、ALMA(Merck製、脱安定化)9.6g、MMA(Merck製、脱安定化)96g、SDSの0.35g、KOHの0.1gおよび水130gを含むモノマーエマルジョンを、120分間にわたって連続的に計量添加する。反応器の内容物を、さらなる添加無しに60分間攪拌する。次に、水5gに溶解されたAPS100mgを添加する。さらに10分間攪拌後、スチレン(Merck製、脱安定化)120g、SDSの0.4gおよび水120gを含む第2のモノマーエマルジョンを、150分間にわたって連続的に計量添加する。モノマーを実質的に完全に反応させるために、混合物を、続いて、さらに60分間攪拌する。続いて、芯/殻粒子を、メタノール1L中に沈降させ、塩化ナトリウム濃厚水溶液25gを添加することにより沈降を完了させ、蒸留水1Lを懸濁液に添加し、混合物を吸引下に濾過し、固体を乾燥する。
【0311】
実施例7
(静水圧プレスおよびその後の研磨による粒子の製造)
実施例5および6からの乾燥凝集塊5gに、ミクロ押出機(Thermo Haake製、Minilab 5、共回転スクリュー)中で190℃の温度および200rpmのスクリュー速さでLicolub Fa1の0.2重量%およびLicolub WE40の0.2重量%(いずれも、Clariant製)を30分間配合する。穿孔ダイからの押出物を、コイル状に巻き取り、以下のプログラムに従って実験室用プレス(Collin)を用いて、2つのPETフィルムの間で加圧する。
【0312】
【表9】

【0313】
次に、薄いフィルムを、めのう乳鉢中で研磨して小さな粒子を得る。
【0314】
実施例8
(分散液の調製)
チキソトロピーネイルワニルBase 1348(International Lacquers S.A.)中に実施例3、4または7からの回折着色剤をそれぞれ5重量%含む製剤を、それら顔料粒子をワニス中に攪拌混入することにより調製する。
【0315】
得られる分散液を、塗料カードの上に広げる。ワニス製剤を乾燥および硬化して、見る方向に依存して強度の緑色または強度の青色を呈する淡色反射性顔料を含む色効果被覆を得る。
【0316】
実施例9
(静水圧プレスおよびその後の研磨による粒子の製造)
実施例8からの粒子を、実施例7と同様にして顔料に転化する。
【0317】
実施例10
(架橋性殻を有する芯/殻粒子の製造)
水217g、二アクリル酸ブタンジオール(Merck製、脱安定化)0.4g、スチレン(BASF製、脱安定化)3.6gおよびドデシル硫酸ナトリウム(SDS;Merck製)80mgからなる4℃に維持された混合物を、プロペラ攪拌機、アルゴン保護ガス入り口および還流冷却器を備える75℃に予め加熱された1L攪拌タンク反応器に導入し、激しい攪拌下に分散させる。導入直後に、それぞれ5gの水に溶解したナトリウムジチオナイト(Merck製)50mg、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(Merck製)250mgおよびさらにナトリウムジチオナイト(Merck製)50mgを直接連続的に添加することにより反応を開始する。10分後、二アクリル酸ブタンジオール(Merck製、脱安定化)6.6g、スチレン(BASF製、脱安定化)59.4g、SDSの0.3g、KOHの0.1gおよび水90gを含むモノマーエマルジョンを、120分間にわたって連続的に計量添加する。反応器の内容物を、さらなる添加無しに30分間攪拌する。続いて、メタクリル酸アリル(Merck製、脱安定化)3g、メタクリル酸メチル(BASF製、脱安定化)27g、SDS(Merck製)の0.15gおよび水40gを含む第2のモノマーエマルジョンを、90分間にわたって連続的に計量添加する。続いて、反応器内容物をさらなる添加無しに30分間攪拌する。続いて、アクリル酸エチル(Merck製、脱安定化)130g、水139g、メタクリル酸ヒドロキシエチル4gおよびSDS(Merck製)0.33gを含むモノマーエマルジョンを、180分間にわたって連続的に計量添加する。モノマーを実質的に完全に反応させるために、混合物を、続いて、さらに60分間攪拌する。続いて、芯/殻粒子を、メタノール1L中に沈降させ、塩化ナトリウム濃厚水溶液25gを添加することにより沈降を完了させ、蒸留水1Lを添加し、混合物を吸引下に濾過し、固体を乾燥する。
【0318】
(実施例10a)
その殻がメタクリル酸シクロヘキシル80重量%、アクリル酸エチル18重量%およびメタクリル酸ヒドロキシエチル2重量%からなる芯/殻粒子を、同様にして製造する。
【0319】
実施例11
(フィルムの押出しおよびその後の研磨による粒子の製造)
実施例10からの芯/殻粒子3kgを、氷冷下に切断ミル(Rapid、モデル:1528)において粉砕し、続いて、単軸押出機(Plasti-Corder;Brabender;スクリュー直径19mm、1穴ダイ(3mm))においてイソシアネート硬化剤(CrelanTM;Bayer製)2重量%を配合する。冷却領域後、混合物を、A 90-5グラニュレーター(Automatik)において造粒する。顆粒を、単軸押出機(Goettfert;モデル:Extrusiometer;スクリュー直径20mm;L/D 25)、厚さ調節可能フィルムダイ(幅135mm)および温度制御可能平滑化スタック(Leistritz;ロール直径15mm;ロール幅350mm)からなるフラット-フィルムユニットにおいて加工する。幅125mmおよび厚さ1mmのフィルムリボンを得る。続いて、フィルムを190℃に加熱する。架橋後、脆いフィルムを、ロールミル内で粉砕して顔料粒子を得る。
【0320】
実施例11a
(静水圧プレスおよびその後の研磨による粒子の製造)
実施例10aからの粒子を、実施例7と同様にして顔料に転化する。
【0321】
実施例12
(オパール色粒子の製造)
実施例1aから出発して実施例2でSiO2コロイド球から製造されたチラチラするフィルターケーキに、溶融ロウ(カルナウバロウ)を注意深く含浸する。冷却後、チラチラする材料を移動し、注意深く粉砕し、チラチラするオパール色粒子を得る。
【0322】
実施例13
(オパール色粒子の製造)
実施例1bから出発して実施例2でPMMAコロイド球から製造されたチラチラするフィルターケーキに、溶融ラノリン(Satulan(登録商標);Croda Oleo Chemicals Ltd.)を注意深く含浸する。冷却後、チラチラする材料を移動し、注意深く粉砕し、チラチラするオパール色粒子を得る。
【0323】
実施例14
(エッチングによる逆オパール色粒子の製造)
【0324】
実施例14a
(実施例1からのSiO2芯の機能化)
エタノールに溶解されたMPSの3mlを、室温で攪拌下に、SiO2の2.5重量%(紫色乾燥色を有するSiO2懸濁液(最大波長l111=400nm、TEMによる平均粒径201nm;実施例1による)、0.69MのNH3および2MのH2Oを含むエタノール懸濁液1.3Lに添加する。混合物を、まず大気圧下に、ロータリーエバポレーター中でゆっくりと65℃に暖める。1.5時間後、エタノールと水との共沸混合物の蒸留を、圧力を低下させて開始する。留去した液体を、無水エタノールに置き換える。合計で、1.2Lのエタノール/水混合物を除去する。2時間後、反応溶液を300mlになるまで蒸発させ、1L丸底フラスコに移す。水120gに溶解させたSDS 0.06gを添加し、エタノールを再び65℃で留去する。留去した液体を水に置き換える。
【0325】
実施例14b
(乳化重合)
不活性ガス入り口、プロペラ攪拌機および還流冷却器を備える75℃に温度調節された二重壁250mlガラス反応器において乳化重合を行う。実施例2によるSiO2懸濁液110g(SiO2の17gを含む)にアルゴンを20分間吹き込み、次にSDS 0.1gを添加し、混合物を反応器に導入する。続いて、水3gに溶解したSPS 0.05gを添加する。15分後、MMA 5.4g、ALMA 0.6g、SDS 0.02g(モノマー基準で0.33重量%)、KOH 0.04gおよび水30gを含むモノマーエマルジョンを、90分間にわたって連続的に計量添加する。反応器内容物を、さらなる添加無しに20分間攪拌する。次に、水3gに溶解されたAPS 0.02gを添加する。10分後、CHMA 20g、SDS 0.08g(モノマー基準で0.4重量%)および水40gを含む第2のモノマーエマルジョンを、200分間にわたって連続的に計量添加する。モノマーを実質的に完全に反応させるために、混合物を、続いて、さらに120分間攪拌する。続いて、芯/殻粒子を、エタノール500ml中に沈降させ、塩化ナトリウム濃厚水溶液15gを添加することにより沈降を完了させ、蒸留水500mlを懸濁液に添加し、混合物を吸引下に濾過し、ポリマーを減圧下に50℃で乾燥する。
【0326】
実施例14c
(テンプレートフィルムの製造)
実施例3からの乾燥された粉末状ポリマーを、押出機(DSM Research製のミクロ押出機)中で200℃で造粒する。顆粒を水圧プレス(Collin 300P)において暖め、予め特定した水圧で加圧する。PETフィルムで被覆されたフラット金属プレートを型として用いる。直径約10cmおよび厚さ約0.15mmのフィルムの製造のための典型的加圧プログラムを以下に示す:
ポリマーの初期重量2〜3g;
無加圧で180℃で5分間、予備加熱;
1バールの水圧で180℃で3分間加圧;
150バールの水圧で180℃で3分間加圧;
150バールの水圧で10分間ゆっくりと冷却して、約90℃に至る;
無加圧で迅速に室温まで冷却する。
【0327】
実施例14d
(フッ化水素酸を用いるフィルムのエッチング)
フィルムを、開いた容器内でフッ化水素酸(10重量%)で被覆し、室温で1週間さらす。蒸発するフッ化水素酸を新しいものに取り換える。水で濯ぎ乾燥した後、エッチングしたフィルム片は、明らかに認識できる反射色を示す。
エッチング後にフィルムの非常に薄い部分(100nm)を観察すると、SiO2芯が順番を維持しつつフィルムから溶出し、整った多孔質のフィルムが形成されている。
【0328】
実施例14e
(多孔質フィルムの研磨)
整った多孔質のフィルムを研磨すると、チラチラする逆オパール粉末が得られる。
【0329】
実施例15
(UV劣化による逆オパール色粒子の製造)
(ラテックスPTBMAcsPSの調製)
水5gに溶解された重亜硫酸ナトリウム50mgを、水217g、ALMA 0.4g、TBMA 3.6gおよびSDS 30mgからなる4℃の温度に維持されたエマルジョンと混合し、エマルジョンを75℃に予め加熱された反応器に移す。導入直後に、それぞれ5gの水に溶解したペルオキソ二硫酸ナトリウム220mgおよびさらに重亜硫酸ナトリウム50mgを添加することにより反応を開始する。20分後、ALMA 9.6g、TBMA 96g、SDS 0.45g、KOH 0.1gおよび水130gを含むモノマーエマルジョンを、180分間にわたって連続的に計量添加する。反応器の内容物を、さらなる添加無しに30分間攪拌する。次に、水5gに溶解されたペルオキソ二硫酸ナトリウム150mgを添加する。15分間攪拌後、スチレン120g、SDS 0.4gおよび水120gを含むモノマーエマルジョンllを、200分間にわたって連続的に計量添加する
。モノマーを実質的に完全に反応させるために、混合物を、続いて、さらに60分間攪拌する。ラテックスの乾燥サンプルは緑色を示す。ラテックスの沈降物を電子顕微鏡により調べると、不規則な形状で平均粒径が約210nmであるポリマー粒子が示される。芯/殻粒子を、続いて、エタノール1L中で沈降させ、塩化ナトリウム濃厚水溶液25gを添加することにより沈降を完了させ、蒸留水1Lを懸濁液に添加し、混合物を吸引下に濾過し、ポリマーを減圧下に50℃で乾燥する。
乳化剤のタイプおよび濃度を変えることにより、より大きな粒径でより均一な粒子形状のさらなる格子を調製する。
【0330】
【表10】

【0331】
(フィルムの加圧)
フィルムの製造のために、実施例15a〜15dからのポリマー粉末を、水圧プレス(Collin 300P)において暖め、溶融物を、予め特定した水圧で加圧する。PETフィルムで被覆されたフラット金属プレートを型として用いる。直径約10cmおよび厚さ約0.2mmのフィルムの製造のための典型的加圧プログラムを以下に示す:
ポリマーの初期重量1〜2g;
無加圧で180℃で5分間、予備加熱;
1バールの水圧で180℃で3分間加圧;
150バールの水圧で180℃で3分間加圧;
150バールの水圧で10分間ゆっくりと冷却して、約90℃に至る;
無加圧で迅速に室温まで冷却する。
【0332】
(均質の規則正しく配列された空隙を有する型の製造)
フィルムを、UVランプ(高圧Hg蒸気ランプ、300ワット、ランプ-フィルム距離:20cm)の下側に24時間配する。UV露光後、フィルムは明るい玉虫色の色効果を示す。
【0333】
(多孔質フィルムの研磨)
整えられた多孔質のフィルムを研磨すると、チラチラした逆オパール粉末が得られる。
【0334】
実施例16
(焼成による逆オパール色粒子の製造)
脱塩水1519g、ジアクリル酸1,4-ブタンジオール(Merck製)2.8g、スチレン(Merck製)25.2gおよびドデシル硫酸ナトリウム(Merck製)1030mgからなる4℃に維持された混合物を、2本プロペラ攪拌機、アルゴン保護ガス入り口および還流冷却器を備える75℃の温度に維持された5L二重ジャケット反応器に導入し、激しい攪拌下に分散させる。
【0335】
導入直後に、それぞれ約20mlの水に溶解したナトリウムジチオナイト(Merck製)350mg、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(Merck製)1.75gおよびさらにナトリウムジチオナイト(Merck製)350mgを連続的に注入することにより反応を開始する。注入は、使い捨てシリンジにより行う。
20分後、ジアクリル酸1,4-ブタンジオール(Merck製)56.7g、スチレン(Merck製)510.3g、ドデシル硫酸ナトリウム(Merck製)2.625g、KOH 0.7gおよび水770gからなるモノマーエマルジョンを、120分間にわたってロータリーピストンポンプにより連続的に計量添加する。
反応器の内容物を、さらなる添加無しに30分間攪拌する。続いて、メタクリル酸アリル(Merck製)10.5g、メタクリル酸メチル(Merck製)94.50g、ドデシル硫酸ナトリウム(Merck製)0.525gおよび水140gを含む第2のモノマーエマルジョンを、30分間にわたってロータリーピストンポンプにより連続的に計量添加する。約15分後、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(Merck製)350mgを添加し、次に混合物をさらに15分間攪拌する。最後に、アクリル酸エチル(Merck製)200g、ドデシル硫酸ナトリウム(Merck製)0.550gおよび水900gを含む第3のモノマーエマルジョンを、240分間にわたってロータリーピストンポンプにより連続的に計量添加する。続いて、混合物をさらに120分間攪拌する。モノマーエマルジョンの各導入の前後、および出発混合物の導入の後に、アルゴンを、二重ジャケット反応器中に保護ガスブランケットとして約1分間送り込む。


翌日、反応器を95℃に暖め、スチーム蒸留を行って、ラテックス分散液から残留未反応モノマーを除去する。
殻の割合が約22%である芯/殻粒子の分散液を得る。ポリスチレン芯を架橋し、中間層を同様に架橋し(p(MMA-co-ALMA))、未架橋アクリル酸エチルの殻のグラフトに役立てる。
テンプレート形成構造を形成、すなわち、最密球充填で芯/殻粒子を組織するために、ラテックス分散液5gを、直径が7cmの平坦ガラス皿に注入し、風乾し、色がチラチラする薄片を得る。
そのような薄片の一つを、ロータリースライドバルブオイルポンプを用いて丸底フラスコ中で蒸発させる。続いて、毛細管現象の力により駆動される溶解された前駆体がテンプレートの空隙に貫入することができるように、無水エタノール5ml中のオルトチタン酸テトラ-n-ブチル5mlからなる前駆体溶液を静止真空で添加する。含浸されたテンプレートを含む溶液の上にアルゴンブランケトットを加える。この配列を数時間放置してから、アルゴン保護ガスの流れ中において含浸薄片を移動し、管状炉内におけるコランダムボートにおいて500℃で焼成する。真珠光沢薄片を得る。
【0336】
実施例17
(ポリマーフィルムの熱分解による逆オパールカラー粒子の製造)
(芯/殻格子PMMA-PSAN50(スチレン50重量%およびアクリロニトリル50重量%を含む殻)の調製)
水5gに溶解されたナトリウムジチオナイト(SDTH、Merck製)30mgを、水217g、メタクリル酸アリル(ALMA、Merck製)0.4g、メタクリル酸メチル(MMA、Merck製)3.6gおよびドデシル硫酸ナトリウム(SDS、Merck製)20.5mgからなり4℃の温度に維持された出発エマルジョンと混合する。
エマルジョンを、還流冷却器、アルゴンガス入り口および2本プロペラ攪拌機を備えた75℃の温度に維持された1L二重ジャケット攪拌タンク反応器に移す。
エマルジョンの導入直後に、それぞれ5gの水に溶解したペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS、Merck製)150mgおよびさらにナトリウムジチオナイト(SDTH、Merck製)30mgを添加することにより反応を開始する。
20分後、ALMA(Merck製)9.6g、MMA(Merck製)96g、SDS(Merck製)0.35g、KOH(Merck製)0.1gおよび水130gからなるモノマーエマルジョンを、120分間にわたってロータリーピストンポンプにより連続的に計量添加する。
反応器の内容物を、さらなる添加無しに60分間攪拌する。次に、水5gに溶解したAPS(Merck製)100mgを添加する。さらに10分間攪拌後、スチレン(Merck製)60g、アクリロニトリル60g、SDS(Merck製)0.33gおよび水120gからなる第2のモノマーを、160分間にわたってロータリーピストンポンプにより連続的に計量添加する。
モノマーを実質的に完全に反応させるために、混合物を、続いて、さらに60分間攪拌する。続いて、芯/殻粒子を、メタノール1L中に凝集させ、塩化ナトリウム濃厚水溶液25gを添加することにより沈降を完了させ、蒸留水1Lを懸濁液に添加し、混合物を吸引下に濾過し、ポリマー凝集塊を減圧下に50℃で乾燥する。
透過型電子顕微鏡を利用して、粒子の平均粒径263nmが測定される。
【0337】
(芯/殻格子PMMA-PSAN70(スチレン30重量%およびアクリロニトリル70重量%を含む殻)の調製)
組成は前記と同じであるが、以下の点が相違する:
出発エマルジョンはSDS(Merck製)225mgを含み、第2のモノマーエマルジョンはスチレン(Merck製)36g、アクリロニトリル84g、水120g、SDS(Merck製)0.4gおよびTriton X405TM0.34gからなる。
【0338】
(凝集塊のフィルムへのさらなる転化)
PMMA-PSAN50ラテックス粒子からなる凝集塊を、窒素雰囲気下220℃でDSMミクロ押出機内でポリマー押出物に転化し、これを細断して長さ5mmのペレットを得る。ペレットを加圧してフィルムを得る。
【0339】
Collin 300P実験室用プレスにおいて以下の条件で、それぞれの場合に1〜2gの凝集塊またはペレットを加圧してフィルムを得る。
−無加圧で180℃で5分間、予備加熱;
−1バールで180℃で3分間加圧;
−150バールで180℃で3分間加圧;
−150バールで10分間ゆっくりと冷却して、約90℃に至る;
−無加圧で迅速に室温まで冷却する。
【0340】
得られたフィルムは、厚さが約0.2mmであり、垂直に見たときに角度依存黄緑色であり、粘弾性である。
【0341】
(フィルムの熱分解)
態様a:
フィルムを、マッフル炉内で240℃の空気雰囲気中、5時間熱分解する。
【0342】
熱分解したフィルムは、垂直に見たときに紫色の反射色が重ねられるブラックベースカラーを有する。
【0343】
態様b:
フィルムを空気雰囲気中200℃で2週間処理する。ポリマー芯がなお存在する処理されたフィルムは、垂直に見たときに緑色の反射色が重ねられるブラウンベースカラーを有する。
【0344】
続いて、フィルムを、マッフル炉内で240℃の空気雰囲気中、5時間熱分解する。
【0345】
熱分解したフィルムは、垂直に見たときに紫色の反射色が重ねられるブラックベースカラーを有する。フィルム中の孔は、実質的に球形である。
【0346】
(多孔質フィルムの研磨)
整えられた多孔質のフィルムを研磨すると、チラチラする逆オパール粉末が得られる。
【0347】
製剤例
以下の製剤例において用いられる顔料は、各場合に、前記実施例3、4、7、9、11、12、13、14、15、16および17の一または二以上から選択された光子効果材料である。
【0348】
製剤において、各場合に商品名、INCI名称、および重量%での割合、および原料のための供給源を示す。
【0349】
実施例A:回折着色剤10%を含む湿潤リップ香油
【0350】
【表11】

【0351】
調製:
相Bの成分を、全て溶融するまで攪拌下に75℃に加熱する。相Aを加え充分攪拌する。次に、65℃に維持された注型装置にリップスティック組成物を導入し、相Cを加え、15分間攪拌する。均質溶融物を、55℃に予備加熱された注型装置に注ぐ。
【0352】
続いて、型を冷却し、冷却時に型を除去する。リップスティックを室温まで暖めた後、リップスティックを短時間火炎処理する。
【0353】
供給源:
(1) Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2) Natunola Health Inc.
(3) Ross Waxes
(4) Cognis GmbH
(5) Henry Lamotte GmbH
(6) Haarmann & Reimer GmbH
【0354】
実施例B:シャワーゲル
【0355】
【表12】

【0356】
調製:
相Aについては、本発明の顔料を水中に攪拌混入する。攪拌下にゆっくりとKeltorol Tに散乱させ、溶解するまで攪拌する。全てが均質に分布するまでゆっくり攪拌しつつ相BおよびCを順次添加する。pHを6.0〜6.5に調節する。
供給源
(1) Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2) Kelco
(3) Cognis GmbH
(4) Haarmann & Reimer GmbH
(5) BASF AG
【0357】
実施例C:アイシャドー
【0358】
【表13】

【0359】
調製:
相Aの成分を組み合わせ、予め混合する。続いて、溶融相Bを、攪拌下に粉末混合物に滴下する。粉末を40〜50バールで加圧する。
供給源
(1) Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2) J.M.Huber Corp
(3) Amerchol
(4) Croda GmbH
(5) H.Erhard Wagner GmbH
(6) Haarmann&Reimer GmbH
【0360】
実施例D:アイシャドーゲル
【0361】
【表14】

【0362】
調製:
顔料およびRonasphere(登録商標)を、相Aの水中に分散させる。数滴のクエン酸を用いて酸性化して粘度を下げ、攪拌下にカルボポール中に散乱させる。完全な溶解後、予め溶解させた相B中でゆっくりと攪拌する。
供給源
(1) Merck KGaA
(2) BF Goodrich GmbH
(3) ISP Global Technologies
【0363】
実施例E:リップグロス
【0364】
【表15】

【0365】
調製:
相Bの全ての成分を秤量して一緒にし、70℃に加熱し、均質組成物が形成されるまで充分に攪拌する。次に、顔料を添加し、混合物を再び攪拌する。均質混合物を50〜60℃で包装する。
【0366】
供給源
(1) Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2) BP Amoco
(3) Elementis Specialites
(4) Cognis GmbH
(5) Dow Corning
(6) Les Colorants Wackherr
【0367】
実施例F:アイシャドー-コンパクトパウダー
【0368】
【表16】

【0369】
調製:
相Aの成分を組み合わせ、予備混合する。続いて、溶融相Bを攪拌下に粉末混合物に滴下する。粉末を40〜50バールに加圧する。
【0370】
供給源
(1) Merck KGaA
(2) Suedstaerke GmbH
(3) Cognis GmbH
(4) H.Erhard Wagner GmbH
(5) Haarmann&Reimer GmbH
【0371】
実施例G:クリームマスカラ(O/W)
【0372】
【表17】

【0373】
調製:
相Bの全ての成分を約80℃で溶融し、全てが溶融するまで攪拌する。相Aの回折着色剤中で攪拌する。相Cのセラックを水中に溶解し75℃に暖める。相Cの残りの成分を加え、溶解する。75℃で、相Cを攪拌下に相A/Bにゆっくり添加し、2分間均質化する。組成物を攪拌下に室温まで冷却する。
【0374】
供給源
(1) Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2) Kahl&Co
(3) Cognis GmbH
(4) Uniqema
(5) Paroxite Ltd
【0375】
実施例H:ネイルワニス
【0376】
【表18】

【0377】
調製:
本発明の顔料を秤量してワニスベースと一緒にし、手でスパチュラを用いて充分混合し、続いて、1000rpmで10分間攪拌する。
【0378】
供給源
(1) Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2) International Lacquers S.A.
【0379】
実施例J:シャンプー
【0380】
【表19】

【0381】
調製:
相Aについて、本発明の顔料を水中に攪拌混入する。クエン酸(10%)の数滴を用いて酸性化して粘度を下げ、攪拌下にカルボポール中でゆっくり散乱させる。完全に溶解後、相Bをゆっくり添加する。次に、相Cの成分を順次添加する。
【0382】
供給源
(1) Merck KGaA
(2) BF Goodrich GmbH
(3) Cognis GmbH
(4) Haarmann & Reimer GmbH
【0383】
実施例K:オパール効果を有する人工爪
記載された研磨工程を用いることなく、実施例7、9、11、11aまたは14cの一つに記載のようにフィルムを製造し、人工爪としてまたは爪用の被覆として適している形状に転化させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧剤中における回折着色剤の使用。
【請求項2】
回折着色剤が局所適用において装飾目的で用いられる請求項1に記載の使用。
【請求項3】
回折着色剤が局所適用のための組成物中において装飾目的で用いられる請求項1に記載の使用。
【請求項4】
回折着色剤が粒子、フィルムまたは凝集塊である先の請求項の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項5】
回折着色剤がネイル化粧剤において用いられる先の請求項の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項6】
回折顔料が、光学的特性に本質的である割合で、本質的に単分散寸法分布を有する球状粒子または空洞の配列から本質的になる先の請求項の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項7】
球状粒子がロウ様マトリクス中に埋め込まれている請求項6に記載の使用。
【請求項8】
球状粒子が本質的に、好ましくは架橋されている有機ポリマーからなる先の請求項の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項9】
球状粒子が本質的に、芯材料としての無機材料、好ましくは、金属もしくは半金属または金属カルコゲニドあるいは金属プニクチド(pnictide)、特に好ましくは、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄類、二酸化チタン、二酸化セリウム、窒化ガリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素および窒化リンまたはそれらの混合物からなる請求項1〜7の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項10】
球状粒子が本質的に、粒子、例えば金属酸化物を含むポリマーからなる請求項1〜7の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項11】
回折着色剤が、光学的特性に本質的な割合で、その殻がマトリクスを形成しその芯が本質的に固体で本質的に単分散寸法分布を有し芯材料の屈折率と殻材料の屈折率との間に相違がある芯/殻粒子から本質的になる先の請求項の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項12】
マトリクスが脆く、殻材料が好ましくは、ホモまたはコポリマーとしてのポリメタクリル酸シクロヘキシル、ポリスチレンまたは置換ポリスチレン誘導体、例えば、ポリ(ヨードスチレン)またはポリ(ブロモスチレン)、使用温度より高いTgを有するポリアクリレートまたはポリメタクリレート、高いTgを有するポリ塩化ビニル、または酢酸ポリビニルからの転化により得られるもう一つのビニルポリマーである、またはポリアクリロニトリルもしくはスチレン-アクリロニトリルコポリマーである請求項11に記載の使用。
【請求項13】
回折着色剤が空隙を有し、空隙の周囲のマトリクスが本質的に、好ましくは架橋している有機ポリマーからなる請求項1〜6の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項14】
回折着色剤が空隙を有し、空隙の周囲のマトリクスが本質的に、無機材料、好ましくは、金属もしくは半金属または金属カルコゲニドあるいは金属プニクチド(pnictide)、特に好ましくは、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄類、二酸化チタン、二酸化セリウム、窒化ガリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素および窒化リンまたはそれらの混合物からなる請求項1〜6の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項15】
マトリクスが熱可塑性または熱硬化性特性を有し、好ましくは、ポリ(スチレン)、熱可塑性ポリ(アクリレート)誘導体、好ましくは、ポリ(メタクリル酸メチル)またはポリ(メタクリル酸シクロヘキシル)、またはこれらのポリマーと他のアクリレートとの熱可塑性コポリマー、例えば好ましくは、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、スチレン-アクリル酸エチルコポリマーまたはメタクリル酸メチル-アクリル酸エチルコポリマーから形成される請求項1〜6または13の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項16】
回折着色剤が空隙を有し、マトリクスが炭素マトリクスである請求項1〜6の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項17】
回折着色剤中の球状粒子または空隙の平均径が約50〜500nmの範囲、好ましくは100〜500nmの範囲、特に好ましくは200〜280nmの範囲である先の請求項の少なくとも一つに記載の使用。
【請求項18】
少なくとも一つの回折着色剤および局所適用に適した少なくとも一つのキャリアを含んでなる、局所適用のための組成物。
【請求項19】
回折着色剤の合計量が、組成物の合計重量に基づいて0.1重量%〜30重量%の範囲から選択される請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
組成物が少なくとも一つの染料または顔料を含み、好ましくは、組成物が少なくとも一つの効果顔料、特に、真珠光沢顔料を含む先の請求項の少なくとも一つに記載の組成物。
【請求項21】
組成物が、UV-Aおよび/またはUV-B領域の紫外線を吸収する少なくとも一つの物質を含み、この少なくとも一つの物質が、好ましくは、3-(4'-メチルベンジリデン)-ジ-カンファー、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-エチルヘキシル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸および、そのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩から選択される先の請求項の少なくとも一つに記載の組成物。
【請求項22】
局所適用のための組成物を調製する方法であって、少なくとも一つの回折着色剤を、局所適用に適している少なくとも一つのキャリアと、および任意にさらなる成分と混合することを特徴とする方法。
【請求項23】
局所適用のための組成物の適用を評価する方法であって、組成物に混入された回折着色剤を皮膚に適用すると共に、回折着色剤の可視的効果から、皮膚のどの部分に適用が成されたかおよび/または充分な組成物が適用されたかどうかおよび/または再適用がいつ必要になるかが推定されることを特徴とする方法。
【請求項24】
ロウ様マトリクス中に本質的単分散寸法分布を有する球状粒子の配列を含む凝集塊であることを特徴とする回折着色剤。
【請求項25】
ロウ様マトリクスが、脂肪、ロウおよび他の天然および合成脂肪体、好ましくは、脂肪酸と、低炭素数のアルコールとの、例えば、イソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロールとのエステル、または脂肪アルコールと、低炭素数のアルカン酸とのまたは脂肪酸とのエステルから選択され、好ましくは、ロウ様マトリクスが、パルミチン酸セチルおよびラノリンから選択される請求項24に記載の回折着色剤。
【請求項26】
回折着色剤を調製する方法であって、第1の工程において、三次元球パッキングを生成し、第2の工程において、球状凝集塊に、室温においてロウ様である材料の溶融体を含浸させる方法。
【請求項27】
回折着色剤を含んでなる人工ネイル。
【請求項28】
溶媒およびバインダーを含んでなるネイルケア組成物であって、回折着色剤または回折着色剤の前駆体を、特に単分散球または芯/殻粒子の状態で含むことを特徴とするネイルケア組成物。
【請求項29】
好ましくはバインダーとしてポリウレタンまたはポリアクリレートを含む水系ネイルワニスである請求項28に記載のネイルケア組成物。
【請求項30】
回折着色剤または回折着色剤の前駆体が同時にバインダーとして作用し、ネイルケア組成物が、好ましくは、さらなるバインダーを含まず、回折着色剤の前駆体が好ましくは芯/殻粒子、好ましくはポリアクリレート殻を有するものである、請求項28および29の少なくとも一方に記載のネイルケア組成物。


【公開番号】特開2006−52206(P2006−52206A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−191094(P2005−191094)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】