説明

化粧品組成物

本発明は、約0.1%〜約10%の疎水性構造化剤;約0.1%〜約10%の親水性界面活性剤;約0.01%〜約5%の非架橋水溶性ポリマー;及び水を含み、約0.1rad/秒〜約1rad/秒の角周波数範囲にて、約15Pa.s(15,000cps)を超える粘度を有し、約1,500Pa(15,000ダイン/cm2)未満の最大G’を有し、約0.4を超える最大tanδを有するを有する化粧品組成物。本発明は更に、a)約0.1%〜約10%の疎水性構造化剤;約0.1%〜約10%の親水性界面活性剤;約0.01重量%〜約5重量%の非架橋水溶性ポリマー;及び水;を含む組成物:並びにb)該組成物を含有する容器と、を含み、該組成物は15Pa.s(15,000cps)を超える粘度を有し、その表面が約150を超えるSaを有するまで変形した場合、約24時間以内に80未満のSaを有するようにその表面の平坦性を回復する化粧品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、許容可能な審美性、特に、新しい使用経験を消費者に提供する、化粧品組成物、化粧品、及びそれらの調製法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者にとって、スキンケア効果を提供する各種製品が利用可能である。最大の効果を得るために、幾つかの製品は、一定間隔でかつ長期間に亘って適用されなければならない。皮膚のコンディショニングに役立ったり、及び/又は、多くの外因子及び内因子によって引き起こされるダメージの軽減に役立ったりすることが可能な、特定のスキンケア用活性物質又は化合物の送達は、当然ながら重要であるが、頻繁な使用を促進するためには、製品が、適用の前と後の両方において、心地よい外観と感触を有していることもまた重要である。例えば、使用中に真新しい外観を提供する製品は、製品外観からの清涼感を消費者に送達できる。
【0003】
より多くの利点及び/又は保護性を望む消費者は、より濃厚な製品を選択する傾向がある。例えば、クリーム又はジェル組成物は、ローションよりも、より大きな皮膚への利点を提供するものと受け取られる傾向がある。クリーム又はジェルは一般的に、15Pa.s(15,000cps)を超える粘度を有し、固体様のレオロジー的挙動を示す。クリーム又はジェルタイプの製品は、ジャーを最初に開けた際、良好に仕上げられた、審美的に魅力的な滑らかな外観を有する。しかし、最初に使用した後、かつその後、消費者がその指をジャーに入れる度に、製品の表面は溝と凹部が残る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のことから、増加した効果を与えるのに十分なだけの濃さを備え、かつ清涼感があって快適な感触を送達するための平坦で輝く製品外観を提供する化粧品組成物を提供する必要性がある。
【0005】
既存の技術には、本発明の利点及び利益の全てを提供するものは存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、約0.1%〜約10%の疎水性構造化剤;約0.1%〜約10%の親水性界面活性剤;約0.01%〜約5%の非架橋水溶性ポリマー;及び水、を含む化粧品組成物に関し、組成物は、約0.1rad/秒〜約1rad/秒の角周波数範囲にて、約15Pa.s(15,000cps)を超える粘度を有し、約1,500Pa(15,000ダイン/cm2)未満の最大G’を有し、約0.4を超える最大tanδを有する。
【0007】
本発明は更に、a)約0.1%〜約10%の疎水性構造化剤、約0.1%〜約10%の親水性界面活性剤、約0.01%〜約5%の非架橋水溶性ポリマー、及び水、を含む組成物と、b)組成物を含有する容器と、を含み、組成物は約15Pa.s(15,000cps)を超える粘度を有し、約0.1rad/秒〜約1rad/秒の角周波数範囲にて、約1,500Pa(15,000ダイン/cm2)未満の最大G’を有し、約0.4を超える最大tanδを有する容器、とを含む化粧品に関する。
【0008】
本発明は更に、a)約0.1%〜約10%の疎水性構造化剤、約0.1%〜約10%の親水性界面活性剤、約0.01%〜約5%の非架橋水溶性ポリマー、及び水を含む組成物と、b)組成物を含有する容器と、を含み、組成物は15Pa.s(15,000cps)を超える粘度を有し、その表面が約150を超えるSaを有するまで変形した場合、約24時間以内に80未満のSaを有するようにその表面の平坦性を回復する化粧品に関する。
【0009】
本発明は更に、a)疎水性構造化剤と親水性界面活性剤と油相のための任意成分とを混合することによって油相を調製する工程と、b)水溶性ガム型ポリマー、水及び油相のための任意成分とを混合することによって水相を調製する工程と、c)油相を水相中に分散する工程と、を含む、本発明の組成物の調製方法に関する。
【0010】
本発明は更に、このような組成物を使用して、皮膚の状態を調節する方法、処理が必要なヒトの皮膚に適用することを含む方法に関する。
【0011】
本発明のこれら及びその他の特徴、態様、及び利点が、当業者には本開示を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、次の好ましい非限定的な実施形態及び代表例の説明を添付図面と併せることで、より良く理解されるものと考えられている。
【図1A】好ましくは本発明の実施形態の写真。
【図1B】好ましくは本発明の実施形態の写真。
【図1C】好ましくは本発明の実施形態の写真。
【図1D】好ましくは本発明の実施形態の写真。
【図2A】比較実施例の写真。
【図2B】比較実施例の写真。
【図2C】比較実施例の写真。
【図2D】比較実施例の写真。
【図3】好ましくは本発明の実施形態及び比較実施例の、log振動周波数(x−軸)対tanδ(y−軸)のプロット。
【図4】好ましくは本発明の実施形態及び比較実施例の、log振動周波数(x−軸)対G’(y−軸)のプロット。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は本発明を特定して指摘しかつ明確に主張する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は以下の説明から、より良く理解されると考えられる。
【0014】
特に指示のない限り、本明細書で使用される全ての百分率及び比率は、全組成物の重量を基準とし、かつ全ての測定は25℃にて行われる。
【0015】
本発明で使用する場合、用語「化粧品組成物」とは、哺乳類ケラチン性組織上の局所適用に好適なものを意味する。「化粧品」という用語によって意図される製品には、湿潤剤、パーソナルクレンジング製品、閉塞性薬剤送達貼付剤、ネールポリッシュ、粉末、拭き取り用品、ヘアコンディショナー、皮膚トリートメントエマルション、シェービングクリーム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「ケラチン組織」とは、哺乳類(例えば、ヒト、イヌ、ネコなど)の最外保護被覆として配置されるケラチン含有層を指し、皮膚、唇、毛髪、足の爪、指の爪、外皮、ヒヅメなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「スキンケア用活性物質」又は用語「活性物質」とは、皮膚に適用したとき皮膚に利益又は改善を与える化合物を意味する。スキンケア用活性物質は、皮膚への適用に対してのみでなく、毛髪、爪、及びその他の哺乳類ケラチン性組織に対してもまた有用であると理解すべきである。
【0018】
「周囲条件」という用語は、本明細書中で使用するとき、特に指定のない限り、約1気圧、相対湿度約50%、及び約25℃における周囲条件を指す。
【0019】
本発明の組成物は、本発明の成分並びに本明細書で記載されるその他の成分を包含することができ、それらから本質的になることができるか、又はそれらからなることができる。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「安全かつ有効な量」とは、本明細書で開示する個々の利益又はその利益の組み合わせを含む、肯定的利益、好ましくはケラチン組織の外観又は感触の肯定的利益、又は毛髪の外観又は感触の肯定的利益を顕著に生じさせるのに十分であるが、重篤な副作用を十分避けるだけの少ない化合物又は組成物の量、即ち、当業者の健全な判断の範囲内での妥当な利益対危険比を提供する量を意味する。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「皮膚の状態を調節する」とは、例えば、より滑らかな外観及び/又は感触などの利益を提供することによって、皮膚外観及び/又は感触を向上させることを意味する。ここで、「皮膚の状態を改善する」とは、視覚的に及び/又は触覚的に認知可能な好ましい変化を皮膚外観及び感触において達成することを意味する。その利益は、長期に亘る利益であり、しわ及び粗く深い線、細い線、裂け目、突出、及び大きな毛穴の外観を減らすこと;ケラチン性組織を厚くする工程(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下層を構築し、皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を減少させるために、爪及び毛幹の角質層に適用する。);真皮−表皮の境界でのよれを増やすこと(乳頭間隆起としても知られる);皮膚又は毛髪弾性の損失を防止すること、例えば損失、ダメージ及び/又は機能的皮膚エラスチンの不活性化に起因し、これらは結果的に弾力線維症、弛み、皮膚又は毛髪の変形からの反跳の損失状態となる;セルライトの減少;皮膚、毛髪、又は爪の着色の変化、例えば目の下の円形、しみだらけの状態(即ち、一様でない赤色の着色、例えば酒さに起因するもの)、血色の悪さ、色素沈着過度によって引き起こされる変色、などのうち、1つ以上を含む。
【0022】
本発明で使用する場合、用語「G’」とは、歪みが組成物に適用された場合に、保存及び回復するエネルギー量の尺度である弾性係数(貯蔵弾性係数)を意味する。
【0023】
本発明で使用する場合、用語「G”」とは、歪みが組成物へ適用された場合に、熱として消失するエネルギー量の尺度である粘性係数(損失弾性係数)を意味する。
【0024】
本発明で使用する場合、用語「tanδ」とは、組成物のG”/G’比を意味する。
【0025】
特に指定しない限り、百分率、割合、及び比率は全て、本発明のスキンケア組成物の総重量に基づく。列挙する成分に関連するこのような全ての重量は、活性レベルに基づくので、特に指定しない限り、市販の物質に包含される場合があるキャリアや副生成物を包含しない。
【0026】
本明細書にて引用された全ての出版物は、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0027】
本発明の組成物は、皮膚の状態を調節し、及びとりわけケラチン組織の状態を調節するために有用である。
【0028】
本発明の組成物は、安定性、深刻な(消費者が受け入れられない)皮膚刺激が無いこと及び良好な審美性を含む付加的利益を提供する。
【0029】
本発明の組成物は、15Pa.s(15,000cps)を超える、好ましくは約20Pa.s(20,000cps)〜約100Pa.s(100,000cps)の範囲の粘度を有するクリーム又はジェルの外観を有する。
【0030】
本発明の組成物は、約0.1rad/秒〜約1rad/秒の角周波数にて、最大で、約0.4を超える、好ましくは約0.5を超える最大tanδを有する。組成物のtanδは、約0.1rad/秒〜約1rad/秒の角周波数範囲にて、角周波数に反比例することもある。
【0031】
本発明の組成物の一部が容器から除去され、又は組成物表面が、例えば、消費者の指又は幾つかのその他の手動式アプリケーターによって、乱され又は変更される度に、容器内の組成物は平坦かつ平滑な表面を回復し、容器を最初に開けた時のように見える。
【0032】
理論に束縛されるものではないが、本発明の組成物は、弱いゲル網状組織を有するが、依然として、クリーム又はジェルの外観を維持するに十分なだけの高粘度を有し、弱いゲル網状組織が、消費者が使用した後、周囲条件にて、組成物の平坦な表面への回復を可能にすると考えられている。平坦な表面への回復は、目視観察される。平坦な表面への認知可能な回復は、「試験方法」にて記載された、表面の算術平均粗さ測定(Arithmetic Mean Derivative of the Surface Measurement)に従って測定された、表面算術平均粗さ(Arithmetic Mean Deviation of the Surface)(Sa)によって特徴付けることもできる。Saは、当該技術分野において既知であり、かつサンプリング領域内の平均平面(mean plan)の上下への表面の逸脱の絶対値の相加平均として定義される標準パラメータである。本発明の組成物は、それが容器内に置かれた場合、例えば、消費者の一般的用法によって組成物の一部が取り出されることによって、その表面が約150を超えるSaを有するまで変形した場合、約80未満のSaを有するその平坦表面へと約24時間以内、好ましくは約12時間以内に、周囲条件にて回復する。より好ましくは、本発明の組成物は、その表面が約150を超えるSaを有するまで変形した場合、約40未満のSaを有するように、約12時間以内に、周囲条件にて、その表面の平坦性を回復する。
【0033】
本発明の組成物の製品は、消費者の一般的用法後にその平坦表面を回復することができるため、消費者は製品を使用する度に、真新しい製品を体験する。
【0034】
本発明の組成物は、疎水性構造化剤、界面活性剤、非架橋水溶性ポリマー、及び水を含有する。
【0035】
本明細書の組成物は更に、多種多様なその他の成分を含んでよい。本発明の組成物は、以下で詳細に説明される。
【0036】
疎水性構造化剤
本発明の組成物は、少なくとも1種の疎水性構造化剤を含む。疎水性構造化剤は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.3重量%〜約6重量%、最も好ましくは約0.5重量%〜約4%の濃度で、本発明の組成物中に存在する。
【0037】
本発明の疎水性構造化剤は、飽和C16〜C30脂肪族アルコール、約1モル〜約5モルのエチレンオキシドを含有する飽和C16〜C30脂肪族アルコール、飽和C16〜C30ジオール、飽和C16〜C30モノグリセロールエーテル、飽和C16〜C30ヒドロキシ脂肪酸類、飽和C16〜C30脂肪族、飽和C16〜C30モノグリセロールエステル、飽和C16〜C30酸モノヘキシトールエステル類(easters)及びこれらの混合物、であって、少なくとも約40℃の融点を有するものからなる群から選択される。本発明の好ましい疎水性構造化剤は、飽和C16〜C30脂肪族アルコール、約1モル〜約5モルのエチレンオキシドを含有する飽和C16〜C30脂肪族アルコール、飽和C16〜C30ジオール、飽和C16〜C30モノグリセロールエーテル、飽和C16〜C30ヒドロキシ脂肪酸、飽和C16〜C30脂肪族、飽和C16〜C30モノグリセロールエステル、飽和C16〜C30酸モノヘキシトールエステル及びこれらの混合物、であって、少なくとも約40℃の融点を有するものからなる群から選択される。理論によって制限されるものではないが、これらの構造化剤は、本発明の組成物の加水分解安定性に寄与する組成物のレオロジー特性の形成を手助けするのに有用であると考えられている。特に、構造化剤は、液晶ゲル網状組織構造体の形成を手助けする。
【0038】
本発明の好ましい構造化剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、平均で約1個〜約5個のエチレンオキシド単位を有する、ステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル;平均で約1個〜約5個のエチレンオキシド単位を有する、セチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル;ステアリン酸のグリセロールエステル及びこれらの混合物からなる群から選択される。本発明のより好ましい構造化剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、平均で約2個のエチレンオキシド単位(ステアレス−2)を有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、平均で約2個のエチレンオキシド単位を有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、ステアリン酸のグリセロールエステル及びこれらの混合物からなる群から選択される。より一層好ましい構造化剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0039】
界面活性剤
本発明の組成物は、少なくとも1種の親水性の界面活性剤(好ましくは10を超えるHLBを有する)を含む。界面活性剤は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%、最も好ましくは約1.0重量%〜約4重量%の濃度で、本発明の組成物中に存在する。
【0040】
理論によって制限されるものではないが、親水性界面活性剤は、水相中にて、構造化剤などの疎水性物質を分散させると考えられている。界面活性剤は、少なくとも、水中で分散するのに十分なだけ親水性でなければならない。どの界面活性剤が選択されるかは、組成物及びその他の存在する構成成分のpHによって決まる。
【0041】
本発明における親水性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0042】
本明細書に用いるのに好ましいものの1つは、非イオン性界面活性剤である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤には、長鎖アルコール、例えば、C8〜C30アルコールと、糖又はデンプンポリマーとの縮合生成物、即ち、グルコシドとして広く定義されるものがある。これらの化合物は、式(S)n−O−Rで表すことができ、式中、Sはグルコース、フルクトース、マンノース、及びガラクトースのような糖部分であり;nは約1〜約1000の整数であるとともに、RはC8〜C30アルキル基である。アルキル基を誘導することができる長鎖アルコールの例としては、デシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、及びオレイルアルコール等が挙げられる。別の有用な非イオン性界面活性剤としては、ソルビトールと脂肪酸との縮合生成物が挙げられる。非限定的実施例としては、ユニケマ社(Uniqema)(米国)から入手可能なツウィーンズ(Tweens)などのポリソルベートが挙げられる。別の有用な非イオン性界面活性剤としては、脂肪酸と糖(スクロースなど)との縮合生成物として広く定義することができるようなものが挙げられる。糖と脂肪酸との非限定例としては、CTFA表記スクロースココエート(ユニケマ社(Uniqema)からの商標名アルラトーン(Arlatone)2121で、ソルビタンステアレートとの混合物として販売されている)を与えられた物質が挙げられる。他の有用な非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(即ち、脂肪酸のアルキレンオキシドエステル類)が挙げられる。これらの物質は、一般式、RCO(X)nOHを有し、式中、RはC10〜C30のアルキル基であり、Xは−OCH2CH2−(即ち、エチレングリコール又はエチレンオキシドから誘導される)又は−OCH2CHCH3−(即ち、プロピレングリコール又はプロピレンオキシドから誘導される)であり、nは約6〜約100の整数である。その他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシドと2モルの脂肪酸との縮合生成物(即ち、脂肪酸のアルキレンオキシドジエステル)である。これらの材料は、一般式、RCO(X)nOOCRを有し、式中、RはC10〜C30のアルキル基であり、Xは−OCH2CH2−(即ち、エチレングリコール又はエチレンオキシドから誘導される)又は−OCH2CHCH3−(即ち、プロピレングリコール又はプロピレンオキシドから誘導される)であり、nは約6〜約100の整数である。他の非イオン性界面活性剤類は、アルキレンオキシド類と脂肪族アルコール類との縮合生成物類(即ち、脂肪族アルコール類のアルキレンオキシドエーテル類)である。これらの材料は、一般式、R(X)nOR’を有し、式中、RはC10〜C30のアルキル基であり、Xは−OCH2CH2−(即ち、エチレングリコール又はエチレンオキシドから誘導される)又は−OCH2CHCH3−(即ち、プロピレングリコール又はプロピレンオキシドから誘導される)であり、nは約6〜約100の整数であり、R’はH又はC10〜C30のアルキル基である。これらのアルキレンオキシドから誘導される非イオン性界面活性剤の非限定例としては、セテス−6、セテス−10、セテス−12、セテアレス−6、セテアレス−10、セテアレス−12、ステアレス−6、ステアレス−10、ステアレス−12、PEG−6ステアレート、PEG−10ステアレート、PEG−12ステアレート、PEG−20グリセリルステアレート、PEG−80グリセリルタローエート、PPG−10グリセリルステアレート、PEG−30グリセリルココエート、PEG−80グリセリルココエート、PEG−200グリセリルタローエート、PEG−8ジラウレート、PEG−10ジステアレート、及びこれらの混合物が挙げられる。非イオン性界面活性剤のうちで好ましいものは、ステアレス−21、セテアレス−20、セテアレス−12、ツイーン(Tween)−60、ツイ−ン−80、スクロースココエート、ステアレス−100、PEG−100ステアレート、及びこれらの混合物からなる群より選択されるものである。
【0043】
本明細書で好ましい別の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤の非限定例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ココイル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイシチオン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
本明細書で好ましい別の界面活性剤は、カチオン性界面活性剤である。カチオン性界面活性剤の非限定例としては、少なくとも約8個の炭素原子を含有する少なくとも1種の脂肪鎖を有する、四級アンモニウム塩又はアミドアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
本明細書で好ましい別の界面活性剤は、両性界面活性剤である。両性界面活性剤の非限定例としては、ホスファチジルコリン、水素添加ホスファチジルコリン、レシチン、水素添加レシチン、ヒドロキシル化レシチン、リゾレシチン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
非架橋水溶性ポリマー
本発明の組成物は、非架橋水溶性ポリマーを含む。非架橋水溶性ポリマーは、約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約0.3重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約2重量%の濃度で、本発明の組成物中に存在する。
【0047】
理論に束縛されるものではないが、非架橋水溶性ポリマーは、組成物の粘度を減らし、組成物のゲル網状組織を弱めて、本発明の組成物に平坦表面回復性の一因を与え得る。
【0048】
本明細書で有用な非架橋水溶性ポリマーの非限定部類は、ガム型ポリマーである。本明細書で有用なガム型ポリマーの非限定例としては、グアーガムヒドロキシプロピルグアー、イナゴマメゴム、ジェランガム、納豆ゴム、キサンタンゴム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0049】
本明細書で有用な別の非限定部類の非架橋水溶性ポリマーは、多糖類ポリマーである。本明細書で有用な多糖類ポリマーの非限定例としては、セルロース及びセルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテル及びこれらの混合物から選択されるようなものが挙げられる。アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルの中で好ましいのは、CTFA表記セチルヒドロキシエチルセルロースを与えられた物質であり、それはセチルアルコールとヒドロキシエチルセルロースのエーテルであり、商品名ナトロセル(NATROSEL)(登録商標)CSプラス(CS PLUS)としてアクアロン・コーポレーション(Aqualon Corporation)(デラウェア州ウィルミントン)から販されている。その他の有用な多糖類としては、ヒアルロン酸ナトリウム、及び3単位毎に(1〜6)結合グルコースを有する(1〜3)結合グルコース単位の直鎖である、スクレログルカンが挙げられ、その市販例は、マイケル・メルシエ・プロダクツ社(Michel Mercier Products Inc.)(ニュージャージー州マウンテンサイド(Mountainside))からのクリアロゲル(CLEAROGEL)(商標)CS11である。
【0050】

本発明の組成物は、水を含む。水は、約50%〜約95%、好ましくは約65%〜約90%の濃度で、本発明の組成物中に存在する。
【0051】
任意成分
スキンケア用活性物質
本発明の組成物は、少なくとも1種のスキンケア用活性物質を含んでもよい。理論に束縛されるものではないが、本発明の組成物は、種々の活性物質の処方において、汎用性を提供するものと思量される。
【0052】
しかしながら、本発明のいずれの実施形態においても、本明細書で有用な活性物質は、それらが提供する効果によって、又は想定されるそれらの作用機序によって、分類することができる。ただし、本明細書で有用な活性物質は、場合によっては、2つ以上の効果をもたらすことができるか、又は2つ以上の作用機序を介して機能できると解されるべきである。したがって、本明細書の分類は便宜上実施されるものであって、活性物質を、列挙した特定の用途又は用途類に制限しようとするものではない。
【0053】
ビタミンB3化合物
ナイアシンアミドなどのビタミンB3化合物は、本明細書に用いるのに好ましいスキンケア用活性物質である。本発明は、好ましくは約0.1%〜約30%、より好ましくは約1%〜約20%、更に好ましくは約2%〜約10%のビタミンB3化合物を含む。
【0054】
本発明で使用する場合、「ビタミンB3化合物」とは、次式を有する化合物を意味し、
【0055】
【化1】

式中、Rは−CONH2(即ち、ナイアシンアミド)、又は−COOH(即ち、ニコチン酸)又は−CH2OH(即ち、ニコチニルアルコール)、これらの誘導体、及び上記いずれかの塩である。前述のビタミンB3化合物の例示的誘導体としては、ニコチン酸の非血管拡張性エステル(例えば、トコフェリルニコチネート)、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−オキシド、及びナイアシンアミドN−オキシドを含む、ニコチン酸エステルが挙げられる。
【0056】
増白剤
本発明の組成物は、増白剤を含有してもよい。本明細書で有用な増白剤とは、皮膚の外観を変更するだけでなく、更に、色素沈着過度を前処理と比較して改善する活性成分を意味する。本明細書で有用な増白剤としては、アスコルビン酸化合物、ビタミンB3化合物、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸及びその誘導体、ヒドロキノン(hydroquinoine)、コウジ酸、アルブチン、クワ抽出物、ウンデシレノイルフェニルアラニン、セチルピリジニウムクロリド、グリシルリジン酸、テトラヒドロクルクミン、並びにこれらの混合物が挙げられる。増白剤を組み合わせて使用することで、更に、異なった機構を通じて増白効果を提供し得るという利点があると考えられている。
【0057】
使用する場合、組成物は好ましくは、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約5重量%の増白剤を含有する。
【0058】
アスコルビン酸化合物は、有用な増白剤である。好ましくは、本明細書で有用なアスコルビン酸化合物は、アスコルビン酸塩、脂肪酸のアスコルビン酸エステル、並びにアスコルビン酸誘導体、例えば、アスコルビン酸リン酸マグネシウム及びアスコルビン酸リン酸ナトリウムなどのリン酸アスコルビル、ソルビン酸アスコルビル、並びにアスコルビン酸グルコシドである。
【0059】
ウンデシレノイルフェニルアラニン(hhenylalanine)もまた、本明細書において増白剤として用いるのに好適な置換アミノ酸である。それは、商標名セピホワイトMsh(Sepiwhite Msh)にて、セピック社から入手可能である。
【0060】
セチルピリジニウムクロリド及びテトラヒドロクルクミンもまた、本明細書で増白剤として用いるのに好適である。
【0061】
グリシルリジン酸及びグリシルレチン酸、カンゾウ由来の天然材料、並びにグリシルレチン酸などのその誘導体もまた、本明細書で用いるのに好適である。このような材料は、マウルゼン(Maurzen)又はイチマル・ファルコス(Ichimaru Pharcos)から入手可能である。
【0062】
ペプチド類
ペプチドとしては、ジ−、トリ−、テトラ−、及びペンタペプチド並びにこれらの誘導体が挙げられるがこれらに限定するものではなく、本発明の組成物中に、安全かつ効果的な量にて含まれていてよい。本発明で使用する場合、「ペプチド」とは、天然ペプチドと合成ペプチドの両方を意味する。本明細書では、ペプチドを含有する、天然かつ市販の組成物も有用である。
【0063】
ペプチドは、本組成物に含有させる場合、組成物に対して、好ましくは約0.000001重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.000001重量%〜約0.1重量%、更に好ましくは約0.00001重量%〜約0.01重量%の濃度で含有させる。
【0064】
糖アミン
本発明の組成物は、安全かつ効果的な量の糖アミン(アミノ糖としても知られている)を含んでもよい。本発明で使用する場合、「糖アミン」とは、炭素数6の糖からなるアミン誘導体を意味する。
【0065】
本明細書で有用な糖アミンの例としては、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミンが挙げられる。本明細書での使用に好ましいのは、グルコサミンである。更に、2種又はそれ以上の糖アミンの組み合わせを使用してもよい。
【0066】
本発明の組成物内に含まれる場合、糖アミンは、当該組成物に対して、好ましくは、約0.001重量%〜約20重量%、より好ましくは約1重量%〜約10重量%、更により好ましくは約2重量%〜約5重量%の量で含まれている。
【0067】
油溶性化合物
所望により、本発明の組成物は、油溶性化合物を更に含むことができる。油溶性化合物は、油溶性ビタミン化合物、油溶性テルペンアルコール、フィトステロール及びその誘導体から選択されてもよい。
【0068】
油溶性化合物の量は、組成物に対して、約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約3重量%の範囲であってもよい。
【0069】
皮膚に各種の利点を提供する、当業者に既知の多数のビタミンは油溶性であるとともに、それらの誘導体の幾らか又は全てが油溶性である。このような油溶性ビタミン化合物の非限定例としては、レチノイド、ビタミンC(例えば、アスコルビン酸パルミテート)、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンE、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書に用いるのに好ましいのは、レチノイド、ビタミンE、及びこれらの混合物である。
【0070】
本明細書で有用な油溶性テルペンアルコールとしては、ファルネソール、ファルネソール誘導体、ファルネソール異性体、ゲラニオール、ゲラニオール誘導体、ゲラニオール異性体、フィタントリオール、フィタントリオール誘導体、フィタントリオール異性体、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書での使用に好ましいのは、ファルネソールである。
【0071】
フィトステロール及びその誘導体は、皮膚を増白するという利点を提供することで知られている。油溶性フィトステロール誘導体の非限定例としては、β−シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、ルペノール、α−スピナステロール、スティグマステロール、それらの誘導体、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0072】
スキンコンディショニング剤
所望により、本発明の組成物には更に、スキンコンディショニング剤を含むことができる。これらの剤は、湿潤剤、剥脱剤、又は緩和剤から選択されてもよい。スキンコンディショニング剤の量は、組成物に対して、約1重量%〜約60重量%、好ましくは約2重量%〜約50重量%、より好ましくは約5重量%〜約40重量%の範囲で変動してよい。
【0073】
湿潤剤は、潤いを与えたり、鱗屑を軽減させたり、皮膚から積層鱗屑が除去されるように促したりするための多価アルコールである。典型的な多価アルコールとしては、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオール、及びそれらの誘導体が挙げられる。例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン及びこれらの組み合わせである。最も好ましくは、湿潤剤はグリセリンである。
【0074】
本発明の剥脱剤は、C2〜C30のα−ヒドロキシカルボン酸、β−ヒドロキシカルボン酸、及びこれらの酸の塩から選択されてもよい。最も好ましいのは、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、及びそれらのアンモニウム塩である。
【0075】
コンディショニング剤が皮膚軟化剤である場合、それは、炭化水素、脂肪酸、脂肪アルコール及びエステルから選択されてもよい。
【0076】
日焼け止め剤
本発明の組成物は、日焼け止め剤を所望により含有していてもよい。好適な日焼け止め剤は、有機又は無機のものであってもよい。
【0077】
本明細書で有用な無機日焼け止め剤としては、以下の金属酸化物;二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0078】
本明細書で有用な有機日焼け止め剤としては、ホモサラート、オクトクリレン、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート(パーソルMCX(PARSOL MCX)として市販)、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)、2−エチルヘキシル−サリチラート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0079】
本発明の組成物内に含まれる場合、日焼け止め剤は、好ましくは、組成物に対して、約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%の量で含まれている。日焼け止め剤又は選択された日焼け止め剤及び所望の太陽光線保護指数(SPF)に依存して、正確な量は変化するであろう。
【0080】
その他の任意成分
種々の追加成分を本発明の組成物に組み入れることができる。これらの追加成分の非限定例としては、肌触り又は皮膚の外観を改質するための特定の材料;抗ニキビ活物質;油溶性β−ヒドロキシ酸、例えば、サリチル酸及びその誘導体;キレート剤;フラボノイド化合物;抗炎症剤;抗セルライト剤;剥離活性物質;酸化防止剤/ラジカルスカベンジャー;日焼け活性物質;パンテノン酸(panthenoic acid)誘導体などの皮膚鎮静又は皮膚治療活性物質(パンテノール、デクスパンテノール、エチルパンテノールを包含する)、アロエベラ、アラントイン、ビサボロール、及びグリチルリチン酸二カリウム;抗菌剤又は抗カビ活性物質が挙げられる。
【0081】
組成物の調製
本発明の組成物は、一般に、化粧品の従来型調製法によって調製される。そのような方法は、通常、成分を、1以上の工程で、比較的均一な状態になるまで、加熱しながらあるいは加熱無しで混合すること、冷却すること、真空にすることなどを伴う。
【0082】
一実施形態では、本発明の方法は、
疎水性構造化剤と界面活性剤と油相のための任意成分とを混合することによって油相を調製すること;
水溶性ガム型ポリマー、水及び油相のための任意成分とを混合することによって水相を調製すること;
油相を水相中に分散することを含む。
【0083】
別の実施形態では、本発明の方法は、
疎水性構造化剤と界面活性剤と油相のための任意成分とを混合することによって油相を調製すること;
水溶性ガム型ポリマー、水及び油相のための任意成分とを混合することによって水相を調製すること;並びに
皮膚活性物質、水及び皮膚活性物質含有相のための任意成分を混合することによって、皮膚活性物質含有相を調製すること;
油相を水相中に分散すること;並びに
皮膚活性物質含有相を、油相と水相との混合物中へ分散すること;を含む。
【0084】
本発明の局所用組成物は、顔用スキン化粧品、眼用化粧品、口唇用化粧品、湿潤剤、皺緩和美容液、ローション、顔用スキンマスク、スキンクリーム、スキンジェル、眼用ジェル、眼用クリーム、口唇用ジェル、口唇用クリーム、化粧品、ファンデーション、又は任意のその他の周知の皮膚用製品若しくはトリートメントへと処方してよい。
【0085】
局所使用製品
一選好実施形態では、本発明の製品は、消費者が製品を使用する際に、クリーム表面を見るようにジャーなどに収容された、約20,000〜約100,000の範囲内の粘度を有する水中油型エマルション組成物である。本実施形態では、組成物はクリーム組成物である。
【0086】
使用方法
本発明の組成物は、哺乳類の皮膚の機能強化を指向する種々の適用に有用であることがわかっている。本明細書で開示されかつ特許請求された組成物での使用方法としては、1)皮膚への化粧品の直接性を増大させる方法;2)皮膚に潤いを与える方法;3)皮膚の自然な外観を向上させる方法;4)カラー化粧品の皮膚への適用方法;5)しわを防止、遅延、及び/又は処理する方法;6)皮膚に紫外線保護を提供する方法;7)油の外観を防止、遅延、及び/又は制御する方法;8)皮膚の感触及び質感を改質する方法;9)均一な皮膚のトーンを提供する方法;10)クモ状血管(spider vessels)及び拡張蛇行静脈の出現を防止、遅延、及び/又は処理する方法;11)皮膚上の産毛の外観をマスキングする方法;並びに12)ざ瘡、加齢斑、ソバカス、黒子、瘢痕、目の下のくま、母斑、炎症後の色素沈着過度などを含めたヒトの皮膚における欠点及び/又は不完全さを隠す方法;が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で取り上げた各方法には、請求された組成物を皮膚に局所的に適用することが含まれている。
【0087】
試験方法
表面の算術平均粗さ測定(Arithmetic Mean Derivative of the Surface Measurement)
算術平均粗さ(Sa)は、プリモスコンパクト(Primos-compact)(GFメステクニーク社(GFMesstechnik GmbH)(ドイツ、ベルリン))市販の3Dトポメトリによって測定する。Sa測定は、並行なストライプパターンを測定しようとする材料表面に投影する光学ストライプ投影技術(S.ジャスパース(S. Jaspers)ら著、「デジタルマイクロミラーデバイスを使用した、動的画像トライアンギュレーションによるヒトの皮膚のトポグラフィーの高速生体内測定(Rapid in vivo measurement of the topography of human skin by active image triahgulation using a digital micromirror device)」)(スキンリサーチ&テクノロジー、第5巻、195〜207ページ、1999年)に基づく。組成物表面の粗さは、平均粗度(Sa−値)の観点から計算される。Saは、粗度のために一般的に使用されるパラメータであり、次のように表される。
【0088】
【数1】

式中、Mは評価長であり、Nは評価幅であるとともに、η(xi、yj)は高さ特性関数である。評価長及び評価幅は、それに沿って粗度評価を実施する全長及び全幅である。高さ特性関数η(xi、yj)は、上下に出現するプロファイル領域が等しくなるような横断プロファイルによって与えられる基準線の上下でのプロファイル振幅点である。このため、Saは、輪郭線と基準線との間に存在する領域合計を評価長で除したものである。
【0089】
粘度測定
製品粘度は、ヘリパス(Helipath)T−Cバー型スピンドルを用いた、ブルックフィールド(BROOKFIELD)DVII+粘度計{ブルックフィールド・エンジニアリング・ラボラトリーズ社(BROOKFIELD ENGINEERING LABORATORIES, INC.)}で、5rpm/分、25℃にて測定される。)
【0090】
振動周波数測定
Tanδ及びG’は、AR−G2応力制御レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社)又はその同等品を使用した、動的振動測定によって測定される。試料組成物は、直径40mmのアルミニウム平行プレートとペルチェ(Peltier)プレートとの間に置き、ペルチェシステム又はその同等品を使用して、約25℃の温度にコントロールする。試料の厚みは、約1mmである。振動周波数モード(0.06283rad/秒〜251rad/秒)で、一定応力10ダイン/cm2)の適用にて、組成物の線形粘弾性応答内にて、動的周波数掃引を組成物に対して実施する。本測定にて、振動剪断応力を組成物に与え、対応する剪断応答を測定する。応力は、変位(貯蔵弾性率、G’)を持つ相内の構成成分及び位相の不一致90°(損失率、G”)の構成成分とによって規定される。0.06283rad/秒〜251rad/秒の各種角振動数におけるG’及びtanδ(G”/G’の比)によって、結果が表される。
【実施例】
【0091】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これら実施例は、説明の目的のためのみに提示するものであって、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更が可能であるので、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0092】
組成物は、次の構成成分から従来法にて調製する。
【0093】
実施例及び比較実施例の粘度は、「粘度測定振動周波数測定(Viscosity Measurement Oscillation Frequency Measurement)」に従って測定した。
【0094】
【表1−1】

【0095】
【表1−2】

1)アルラトーン(Arlatone)2121(ソルビタンステアレート及びスクロースココエート):ユニケマ社(Uniqema)から入手可能
2)ニッコームレーゼ(Nikkomulese)LH(グリセリン、水素添加レシチン、ヒドロキシプロプルメチルセルロースステアロキシエーテル、スクアラン及びナトリウムメチルステアロイルタウレート):ニッコー・ケミカルズ(Nikko Chemicals)から入手可能
3)ペムレン(Pemulen)TR−2(アクリレート類/C10〜C30アクリル酸アルキルクロスポリマー):ノベオン社(Noveon Inc.)から入手可能
4)チミロン(Timiron)MP−1001スーパーシーン(雲母及びTiO2):EMDケミカルズ社(EMD Chemicals Inc)から入手可能
5)スペロン(Speron)L−1500(シリカ):プレスパース社(Presperse, Inc.)から入手可能
6)トスパール(Tospearl)145A(ポリメチルシルセスキオキサン):GE東芝シリコーン社(GE Toshiba Silicone Co., Ltd.)から入手可能
7)二酸化チタンGLW75CAP−MP 75%(TiO2、水及びグリセリン):コボ・プロダクツ社(KOBO Products Inc.)から入手可能
8)アミノコート(Aminocoat)(ベタイン):旭化成ケミカルズ株式会社(Asahi Kasei Chemicals Co.)から入手可能
9)ペリサール(Pellicer)LC−30(ジラウリルアミドグルタン酸リジンナトリウム及び水):旭化成ケミカルズ株式会社(Asahi Kasei Chemicals Co.)から入手可能
10)セピホワイトMsh(Sepiwhite Msh)(ウンデシレノイルフェニルアラニン):セピック社から入手可能
11)Myrj59P(PEG−100ステアレート):ユニケマ社(Uniqema)から入手可能
12)テトラグリン(Tetraglyn)5−SV(ポリグリセリル−4−ペンタステアレート):ニッコー・ケミカルズ社(Nikko Chemicals Co.)から入手可能
13)レオドール(Rheodol)10SV(ソルビタンステアレート):花王(Kao Co.)から入手可能
14)アルラモール(Arlamol)E(PPG−15ステアリルエーテル):ユニケマ社(Uniqema)から入手可能
15)KSG−15(シクロペンタシロキサン及びジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー):信越ケミカル社(Shin-Etsu Chemical Co.)から入手可能
16)KF96A−6CS(ジメチコン):信越ケミカル社(Shin-Estu Chemical Co.)から入手可能
17)セピゲル(Sepigel)305(ポリアクリルアミド、C13〜C14、イソパラフィン及びラウレス−7):セピック社から入手可能
18)ダウ・コーニングDC1503流体(ジメチコン及びジメチコノール):ダウ・コーニング社(Dow Corning Corporation)から入手可能
【0096】
別個の好適な容器にA相、B相、C相、D相及びE相の成分を加え、好適なミキサー(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、IKA T25)を使用して各相を混合して、均質相を得る。各相が均一になったら、A相を好適なミキサー(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、IKA T25)で混合しながら、D相をゆっくりA相に加える。バッチが均質になったら、(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、IKA T25で)バッチを混合しながら、B相、C相及びE相をゆっくりと得られたA相とD相との混合物へ加える。バッチが均一になるまで、混合を持続する。生成物をジャー内に注ぐ。
【0097】
選択された実施例及び比較実施例を試験し、GFメステクニーク社(GFMesstechnik GmbH)(ドイツ、ベルリン)から入手可能なプリモス−コンパクト(Primos-compact)を使用した「試験方法」にて記載されているような「表面の算術平均粗さ測定(Arithmetic Mean Derivative of the Surface Measurement)」に従ってSaを測定した。実施例1〜4及び比較実施例1〜3の各組成物30gをそれぞれ30gジャー内に収容し、周囲条件にて少なくとも24時間放置し、各試料のSaを測定した。各試料の表面を指で変形した直後に、各試料のSaを測定した。試料を周囲条件にて放置し、各試料のSaを変形後、4時間、8時間又は24時間にて測定した。
【0098】
【表2】

【0099】
実施例3及び比較実施例2の写真を、図1A〜D及び2A〜Dに示す。図1A〜Dは、それぞれ変形前、変形直後、変形後8時間及び変形後24時間にて撮影した実施例3の写真である。図2A〜Dは、同一時点にて撮影した、比較実施例2の写真である。
【0100】
実施例及び比較実施例は、「試験方法」にて記載された振動周波数測定(Oscillation Frequency Measurement)に従って試験し、組成物のtanδ及びG’を決定した。AR−G2は、(10ダイン/cm2、25℃にて)の一定振動応力にて実施した。試験した試料の得られたtanδデータのグラフは図3に示し、G’データは図4に示す。
【0101】
本発明の実施例及び実施形態の前述の「発明を実施するための形態」は、単に実例のためであり、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、多数の変更及び変化が可能であることが当事者には明らかであり、このような明らかな変更及び変化は添付特許請求の範囲に含まれることは理解されよう。
【0102】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において、本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する範囲については、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先するものとする。
【0103】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、この発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに様々なその他の変更及び修正が可能であることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)約0.1%〜約10%の疎水性構造化剤、
b)約0.1%〜約10%の親水性界面活性剤、
c)約0.01%〜約5%の非架橋水溶性ポリマー、及び
d)水
を含み、約0.1rad/秒〜約1rad/秒の角周波数範囲にて、約15Pa.s(15,000cps)を超える粘度を有し、約1,500Pa(15,000ダイン/cm2)未満の最大G’を有し、約0.4を超える最大tanδを有するを有する化粧品組成物。
【請求項2】
前記組成物が、約20Pa.s(20,000cps)〜約100Pa.s(100,000cps)の範囲内の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、約0.1rad/秒〜約1rad/秒の角周波数範囲において、約0.5を超える最大tanδを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記疎水性構造化剤が、飽和C16〜C30脂肪族アルコール類、約1モル〜約5モルのエチレンオキシドを含有する飽和C16〜C30脂肪族アルコール、飽和C16〜C30ジオール、飽和C16〜C30モノグリセロールエーテル、飽和C16〜C30ヒドロキシ脂肪酸、飽和C16〜C30酸モノヘキシトールエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択され、少なくとも約40℃の融点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記親水性界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記非架橋水溶性ポリマーがガム型ポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記非架橋水溶性ポリマーが多糖類ポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が水中油型組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
スキンケア用活性物質、スキンコンディショニング剤、油溶性化合物、日焼け止め剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記スキンケア用活性物質が、ビタミンB3化合物、増白活性物質、ペプチド、糖アミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記皮膚活性物質が、ウンデシレノイルフェニルアラニン及びセチルピリジニウムクロリドからなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
a)
i)約0.1%〜約10%の疎水性構造化剤、
ii)約0.1%〜約10%の親水性界面活性剤、
iii)約0.01%〜約5%の非架橋水溶性ポリマー、及び
iv)水、
を含む組成物と、
b)前記組成物を含有する容器と、
を含み、前記組成物は、約0.1rad/秒〜約1rad/秒の角周波数範囲にて、約15Pa.s(15,000cps)を超える粘度を有し、約1,500Pa(15,000ダイン/cm2)未満の最大G’を有し、約0.4を超える最大tanδを有する、化粧品。
【請求項13】
a)
i)約0.1%〜約10%の疎水性構造化剤、
ii)約0.1%〜約10%の界面活性剤、
iii)約0.01%〜約5%の非架橋水溶性ポリマー、及び
iv)水、
を含む組成物と、
b)前記組成物を含有する容器と、
を含み、前記組成物は15Pa.s(15,000cps)を超える粘度を有し、その表面が約150を超えるSaを有するまで変形した場合、約24時間以内に80未満のSaを有するようにその表面の平坦性を回復する化粧品。
【請求項14】
前記表面が約150を超えるSaを有するまで変形した場合、約12時間以内に40未満のSaを有するように前記表面の平坦性を回復する、請求項13に記載の生成物。
【請求項15】
前記容器がジャーである、請求項13に記載の生成物。
【請求項16】
a)疎水性構造化剤と親水性界面活性剤と油相のための任意成分とを混合することによって油相を調製する工程、
b)水溶性ガム型ポリマー、水、及び油相のための任意成分とを混合することによって水相を調製する工程、及び
c)油相を水相中に分散する工程、
を含む請求項1に記載の組成物の調製方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−515720(P2010−515720A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545285(P2009−545285)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050135
【国際公開番号】WO2008/087591
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】