説明

化粧壁材の施工方法

【課題】化粧壁材を釘等の固定具で打設することなく、直接、断熱性、防火性、防水性、施工性等に優れた外装材上に、簡単に施工できる施工方法を提供する。
【解決手段】化粧壁材Bは表面の化粧面24と、化粧面24の上下端部で裏面側に形成した突起25、突起26と、突起26部分に形成した外装材の載置部に係合する係止溝27と係止片28を形成し、突起25と突起26により凹部29を形成した長尺板材である。外装材Aを壁下地に固定した後、化粧壁材Bの係止片28を外装材Aの載置部上に係止することにより、外装材Aの凸部に化粧壁材Bの凹部29を嵌合すると共に、化粧壁材Bの下端の突起25を接着剤Pにより外装材Aに固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧壁材を直接、釘等の固定具で打設することなく、断熱性、防火性、防水性、施工性等に優れた外装材上に、簡単に施工できる化粧壁材の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に化粧壁材、例えば表面材をセメントを主材とした窯業系の化粧壁材を形成し、裏面に断熱性のあるサイディングを形成したものが数多く上市されている。そして、これらの化粧壁材は壁下地に固定する際に、化粧壁材が一体に形成されたサイディングを、固定具を釘等の固定具を介して取り付ける方法が採られている。(特許文献1〜3参照)。また、化粧壁材を壁下地に固定する際に、係止片を形成した下地材に嵌合して取り付ける方法が採られている。(特許文献4参照)。さらに、防火下地材上に外装タイルをハット状のタイル固定部材を介して固定する構造体等もあった。(特許文献5参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−333862号公報
【特許文献2】特開平10−88772号公報
【特許文献3】特開平11−131746号公報
【特許文献4】特開平4−261958号公報
【特許文献5】特開平4−108951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3は化粧壁材と下地となるサイディング材の一体化が接着材の接着強度、耐久性、耐候性の問題で難しく、剥落の危険性は免れないものであった。さらに、窯業系防火下地材上にタイル固定部材を固定し、タイル固定部材に外装タイルを嵌合して固定する構造であるが、嵌合が確実でなく、破損時に一気に破損したタイルが落下する危険性があった。また、特許文献4は下地材の横突条部に外装壁片をクリップを介して固定する構造であるが、タイルの成形精度とクリップの成形の関係で、ガタ付く危険性があった。さらに、特許文献5は外装タイルをハット状のタイル固定部材を介して固定する構造体であるが、目地部にモルタル等を形成する必要があり、形成しないとガタ付く危険性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するために、化粧面に凸部を形成した長尺状の外装材と、裏面に凹部を形成した長尺状の化粧壁材とからなり、外装材の凸部に化粧壁材の凹部を嵌合すると共に接着して形成する化粧壁材の施工方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
上述したように本発明に係る化粧壁材の施工方法によれば、(1)化粧壁材を破損する危険性がない。(2)化粧壁材の取付強度が強い。(3)施工後の化粧壁材の安定感が増す。(4)施工後の化粧壁材がガタ付かない。等の特徴、効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に図面を用いて、本発明に係る化粧壁材の施工方法の一実施例について詳細に説明する。図1(a)〜(c)、図2は上記施工方法を説明する断面図、図3〜図6(a)、(b)は本発明に係る化粧壁材の施工方法に使用する外装材Aを示す説明図、図7(a)、(b)は化粧壁材Bを示す説明図である。また、αは壁下地、βは固定具、γは通気層である。
【0008】
外装材Aは後記する化粧壁材Bの下地材として機能し、化粧壁材Bの固定下地、断熱下地、防火下地、防水下地、気密下地、耐震下地、等として有用なもので、表面材C、芯材D、裏面材Eよりなるものである。表面材Cとしては、例えばカラー鋼板、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム板、チタン板、ステンレス板、銅板、フッ素樹脂被覆鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板、制振鋼板等の金属薄板、等をロール成形、プレス成形したもの、あるいはアルミニウム合金、合成樹脂材、等を押出成形して長尺状に形成したものである。
【0009】
芯材Dとしてはポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等の合成樹脂発泡体、あるいは石膏ボード、セメント板、炭酸カルシウム板、珪酸カルシウム板、セラミック板、木片セメント板、炭酸マグネシウム板、シージングボード、シージングインシュレーションボード、合板、またはグラスウール、ロックウール、等の繊維系断熱材、等よりなるもの、さらにはこれらをカナッペ構造、サンドイッチ構造に形成した複合板、もしくはこれらをシートとカナッペ構造、サンドイッチ構造に形成した複合板、等の一種よりなるものである。
【0010】
裏面材Eは金属材、あるいはアスベスト紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート等からなるものである。
【0011】
さらに詳説すると、外装材Aの形状は、垂直平面状の凸部2と凹部3よりなる固定部1と、上端の雌型連結部4と下端の雄型連結部5とから形成したものであり、固定部1は上端を内方に傾斜して屈曲した上側壁6と略水平な下側壁7と上側壁6と下側壁7間を凹状にへこませた固定面8と、固定面8に形成した凹状に窪ませた固定部9と、下側壁7により形成された段差10と、上側壁6により形成した載置部11と、図5、図6(a)、(b)に示すように上側壁6部分を一定間隔で凹状に窪ませた水抜き溝12とから形成したものである。
【0012】
雌型連結部4は、上端を上方に突出した差込片13と、差込片13の先端を内側方に屈曲した上面14と、上面14の先端を外側方へ突出した下面15と、上面14と下面15とから形成した差込溝16と、下面15をさらに外側方へ突出した固定面17と、固定面17の先端を折り返した舌片18とから形成したものである。雄型連結部5は、下端を内方に屈曲した下片19と、下片19の先端を内側方に突出した上片20と、上片20の先端を外側方に突出した係合片21と、上片20と係合片21とから形成した係合溝22と、係合溝22の最奥に形成したパッキング材23とから形成したものである。
【0013】
雌型連結部4と雄型連結部5は図2に示すように連結されて固定面17が固定具βにより壁下地αに固定されるものである。また、固定部9は固定具βにより壁下地αに固定されることにより、固定面17の固定と共に、外装材Aがバタ付くことがなくなると共に、芯材Dとして合成樹脂発泡体等のプラスチックフォームを使用した場合には、芯材Dの経時的な変形が外観に現れるのを防止するものである。
【0014】
載置部11は後記する化粧壁材Bを当接し、位置決めに使用するためのものである。
【0015】
勿論、載置部11の形成ピッチは化粧壁材Bの働き幅と同じである。また、凸部2と凹部3の形成個数も任意である。
【0016】
水抜き溝12は図5、図6(a)、(b)に示すように、上側壁6をプレス成形により一定ピッチ(90〜450mm位)で凹状に窪ませるものであり、万が一に内部に浸入した雨水等を外部に排水するために形成したものである。勿論、上側壁6の先端が外装材Aの外側面よりも突出しないように形成することが好ましいものである。
【0017】
また、図6(a)、(b)に示すように、載置部11の深さをa、固定面8の深さをb、水抜き溝12の半径をRとすると、a≦R≦bが成形上好ましい寸法である。勿論、水抜き溝12の形状は任意である。
【0018】
化粧壁材Bは木板、あるいは硬質機材(例えば、タイル、セラミック板、あるいはセメント板、炭酸カルシウム板、珪酸カルシウム板、木片セメント板、炭酸マグネシウム板等、もしくはこれらにガラス繊維、ウィスカー、アラミド繊維、スチール繊維、炭素繊維、各種鉱物繊維、各種骨材等を混入したもの、等を押出成形、プレス成形、射出成形、抄造法、等によって成形した窯業系サイディング材、または各種繊維をクロス状、三次元状に織り、これにセメント、粘土等を含浸してパネル状に成形したものを乾燥、蒸気養生、焼成、等したもの)、さらには金属製パネル、金属製サイディング材(金属製表面材の裏面に合成樹脂発泡体等の芯材を積層した建材、金属製表面材と裏面材間に合成樹脂発泡体等の芯材をサンドイッチした建材、等)、合成樹脂板、等からなるものである。
【0019】
化粧壁材Bの一例としては図7(a)、(b)に示すようなものである。
【0020】
さらに説明すると、化粧壁材Bは長尺板状で表面の化粧面24と、化粧面24の上下端部に突出して形成した突起25、突起26と、突起26部分に形成した、上側壁6と載置部11に係合する係止溝27と係止片28を形成し、突起25と突起26により凹部25を形成した長尺状の板材である。
【0021】
そこで、本発明に係る化粧壁材の施工方法について説明する。まず、図1(a)、(b)に示すように外装材Aを土台から軒に向かって、雌型連結部4と雄型連結部5の嵌合と、固定部9と固定面17を固定具βによって打設することにより壁下地αに固定する。次に、図1(c)、図2に示すように化粧壁材Bを外装材Aの載置部11上に化粧壁材Bの係止片28を係止し、下端の突起25を接着材Pにより外装材A上に固定し、化粧壁材Bを外装材A上に固定するものである。この工程を土台から軒に向かって行うことにより、壁体を形成するものである。
【0022】
なお、本発明に係る化粧壁材の施工方法においては、化粧壁材Bを横張り施工で示しているが、縦張りも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る化粧壁材の施工方法の代表例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る化粧壁材の施工方法の施工順序を示す断面図である。
【図3】本発明に係る化粧壁材の施工方法に使用する外装材の代表例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る化粧壁材の施工方法に使用する外装材の代表例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る化粧壁材の施工方法に使用する外装材の代表例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る化粧壁材の施工方法に使用する外装材の代表例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る化粧壁材の施工方法に使用する化粧壁材の代表例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
A 外装材
B 化粧壁材
C 表面材
D 芯材
E 裏面材
P 接着材
α 壁下地
β 固定具
γ 通気層
1 防水部
2 凸部
3 凹部
4 雌型連結部
5 雄型連結部
6 上側壁
7 下側壁
8 固定面
9 固定部
10 段差
11 載置部
12 水抜き溝
13 差込片
14 上面
15 下面
16 差込溝
17 固定面
18 舌片
19 下片
20 上片
21 係合片
22 係合溝
23 パッキング材
25 突起
26 突起
27 係止溝
28 係止片
29 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧面に凸部を形成した長尺状の外装材と、裏面に凹部を形成した長尺状の化粧壁材とからなり、外装材の凸部に化粧壁材の凹部を嵌合すると共に接着して形成することを特徴とする化粧壁材の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−239311(P2007−239311A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63428(P2006−63428)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000126333)株式会社アイジー技術研究所 (138)
【Fターム(参考)】