説明

化粧料

【課題】肌への密着性が良好で非常に気体透過性に優れた樹脂を配合することで、優れた化粧持続性を有しながら、肌への負担感の無さ、滑らかな伸び広がりを等の使用感にも優れ、経時安定性も良好な化粧料を提供するものである。
【解決手段】 次の(a)〜(c)のモノマー;(a)(メタ)アクリル酸のトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルエステルを55〜65質量%、(b)(メタ)アクリル酸の炭素数1〜5のアルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸フェニルを20〜30質量%、(c)(メタ)アクリル酸を15〜20質量%、重合してなる、シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体を含有する化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌への密着性が良好で非常に気体透過性に優れた樹脂を配合することで、優れた化粧持続性を有しながら、肌への負担感の無さ、滑らかな伸び広がりを等の使用感にも優れ、経時安定性も良好な化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料に樹脂を配合することで、化粧膜に耐水性や耐油性を付与し、また化粧膜を強固にして化粧持ちを向上させることが検討されてきた。
例えばシリコーン系樹脂を配合し、粉体を含む化粧料の皮膚への付着力を向上させ、化粧塗膜の衣類や手への転写を防止することを目的とした技術がある(例えば特許文献1参照)。
また、(メタ)アクリル酸エステルとスチレン等のコア−シェル構造の樹脂を配合し、対摩擦性、対物付着性の向上を目的とした技術(例えば特許文献2参照)や、反応性官能基を有する共重合体を配合し、爪や皮膚に塗布後、架橋させることにより耐水性、耐洗浄性を向上させることを目的とした技術(例えば特許文献3参照)等がある。
このような技術においては、化粧膜を強固にしたり、肌への付着性を向上させて化粧持ちを向上させていたが、化粧膜が強固になりすぎるため、皮膚の動きに追随できなかったり、閉塞感(長時間化粧料を着けていたときの違和感)を感じることがあった。また、付着が良い反面、化粧料が肌上で広がっていかず、ムラ付きしたり(不均一な化粧塗膜)、厚付きしたりといった使用上の問題が生じることがあった。
一方で、皮膚は呼吸を行っているため、化粧料業界も通気性を持った樹脂を用いる技術も研究されている。例えば、固体状フッ素化芳香族化合物を用い、防腐剤の効果を損なわず、通気性が高く、化粧崩れを防止することを目的とした(例えば特許文献4参照)や、ラジカル重合性官能基を有するシリコーン系単量体とカルボキシル基とラジカル重合性官能基を有する単量体を含む共重合体を美爪料に使用されるニトロセルロースに替えて配合し、酸素透過性や透明性を向上させることを目的とした技術(例えば特許文献5参照)がある。
【0003】
【特許文献1】特開平8−157326号公報
【特許文献2】特許第3192523号公報
【特許文献3】特開平11−43415号公報
【特許文献4】特開平5−194143号公報
【特許文献5】特開2003−342128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化粧料は塗布部に動きがあるため、化粧膜がその動きに追随できず動いてしまったり(ヨレたり)、崩れたりしないことが重要である。また、化粧料はその目的により多種多様の成分を配合するため、他の成分との相溶性も重要な要素となる。化粧料においては、付着性や、耐水、耐油性の樹脂の研究は多くなされているが、通気性を持つ樹脂の研究はあまりなされていないのが現状である。そのため、樹脂自身の耐水、耐油性はあるものの、化粧料に配合した場合には期待した程には化粧持ちが向上しないことがあった。そのため、もっと通気性を有し、優れた化粧持続性を併せ持ちながら肌への負担感が無く、滑らかに伸び広がり均一で薄い化粧塗膜を形成できる樹脂の開発及びそれを配合した化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる事情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、特定のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体が化粧料成分との相溶性が良く、気体透過性を高めることができるため、これを配合することにより、優れた化粧持続性を有しながら、肌への負担感の無さ、滑らかな伸び広がりを等の使用感にも優れ、経時安定性も良好な化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、次の(a)〜(c)のモノマー:
下記一般式(1)で示されるモノマー(a)55〜65質量%、
【0007】
【化3】

【0008】
(式中、RはH又はCH、pは2〜6の整数である。)
下記一般式(2)で示されるモノマー(b)20〜30質量%、
【0009】
【化4】

【0010】
(式中、RはH又はCH、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である。)
モノマー(c)として、アクリル酸及び/又はメタクリル酸 15〜20質量%、
を重合してなる、シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体を配合する化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化粧料は、優れた化粧持続性を有しながら、肌への負担感の無さ、滑らかな伸び広がり等の使用感に優れ、経時安定性が良好な化粧料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化粧料に用いられる、シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体を構成するモノマー(a)は、共重合体に気体透過性を付与する成分であり、従来コンタクトレンズ素材に使用されてきたもので、その構造は、下記一般式(1)で示される。
【0013】
【化5】

【0014】
(式中、RはH又はCH、pは2〜6の整数である。)
【0015】
モノマー(b)は、共重合体に適度な硬さと柔軟性、他の化粧料成分との相溶性を付与する成分であり、その構造は、下記一般式(2)で示される。
【0016】
【化6】

【0017】
(式中、RはH又はCH、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である。)
【0018】
モノマー(b)は、共重合体の、化粧料に油剤を用いる場合はその溶解性を考慮すると、メタクリル酸メチルであることが好ましい。
【0019】
モノマー(c)は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸であり、共重合体の皮膜形成性を向上させ、親水性を付与するための成分であり、本発明の共重合体においては、化粧料に油剤を用いる場合はその溶解性を考慮すると、メタクリル酸であることが好ましい。
【0020】
本発明の化粧料に配合するシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は、これらのモノマーを仕込み量で、(a)55〜65質量%(以下、単に「%」と略す。)、(b)20〜30%、(c)15〜20%の割合で添加し、共重合することにより得られるが、気体透過性や皮膜形成性等を損なわない範囲で、上記(a)〜(c)のモノマー以外に、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーを任意に添加し、共重合することができる。
【0021】
重合方法としては、例えば、各モノマーを溶媒中に溶解し、重合開始剤を添加し、窒素雰囲気中で加熱攪拌する、溶液重合法等が挙げられる。使用する溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコールやアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が挙げられ、これらを適宜混合して用いる。その重合反応は、通常50〜180℃、好ましくは60〜120℃の温度範囲内において行うことができ、この条件下に5〜10時間程度で完結させることができる。このようにして製造されるシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は、GPCにおけるポリスチレン換算の重量平均分子量において、約3000〜約200000、特に約5000〜約100000の範囲にあることが好ましく、また−30〜+60℃の範囲のガラス転移温度を持つことが好ましい。
【0022】
このようなシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体としては、例えば、下記化学式(3)で示される構造を有するものが挙げられる。
【0023】
【化7】

(但し、式中のxは35〜50の整数、yは20〜30の整数、zは30〜40の整数であり、Rは下記化学式(4)で表される基である。)
【0024】
【化8】

【0025】
本発明の油性化粧料における、成分(A)のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体の配合量は、特に制限されないが、全組成分中0.1〜30%、更に好ましくは1〜15%である。この範囲であると、使用性、化粧膜のツヤ感、保湿効果に優れ、塗布部位に負担感がなく、二付着防止効果が特に良好な油性化粧料を得ることができる。
【0026】
シロキサン基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は本発明の化粧料中に0.5〜20%含有することが好ましく、更に好ましくは1〜10%である。この範囲であれば良好な密着性、化粧持続性、高い気体透過性による肌負担感の無さ、滑らかな伸び広がりを発現することができる。
【0027】
化粧料を製造するハンドリングの都合上、本発明の化粧料に用いられるシロキサン基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は化粧料に配合する油剤、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンといったシリコーン油、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、軽質流動イソパラフィン、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソノニルといった油剤に事前溶解し用いることが望ましい。
【0028】
本発明の化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲で、上記成分の他に通常化粧料に用いられる成分を配合できる。
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない程度で、必要に応じて、前記必須成分以外の各種成分、例えば、粉体成分、油性成分、界面活性剤、水等の水性成分、水溶性高分子、紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
【0029】
例えば、粉体成分では、酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料、微粒子酸化チタン、針状酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、薄片状酸化亜鉛、酸化セリウム等の紫外線遮断粉体、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、カルミン、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、青色1号、404号、赤色202号、226号、黄色4号、205号といったタール色素等の着色顔料、タルク、雲母、セリサイト、合成金雲母、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、窒化硼素、球状や板状・粒状のシリカやアルミナ、ジルコニア、硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、有機顔料被覆雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体、球状ナイロン粉末、球状ポリスチレン粉末、球状ポリメタクリル酸メチル粉末、球状シリコーン樹脂粉末、煙霧状シリカ粉末、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末などが挙げられる。
また、上記粉体成分は必要に応じてその表面を油剤処理、シリコーン化合物処理、フッ素化合物処理、金属石鹸処理、界面活性剤処理、アミノ酸系化合物処理、水溶性高分子処理等をし、配合しても良い。
【0030】
油性成分としては、軽質流動イソパラフィン、ポリブテン、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン等の炭化水素油、液状ラノリン、エステル油、モノグリセライド油、ジグリセライド油、トリグリセライド油などの液体油、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル等の紫外線吸収剤、ワセリン、ラノリン等の半固形油,パラフィンワックス、セレシンワックスマイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレンポリプロピレンコポリマー、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ビーズワックス、モクロウ、モンタンワックス等の固形油、ロジン酸ペンタエリスリット等の油溶性樹脂成分、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステアリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)等のアミノ酸系油剤、ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルジフェニルポリシロキサン、メトキシフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン等のシリコーン系油剤、パーフルオロポリエーテル、トリフルオロプロピルシクトテトラシロキサン、トリフルオロプロピルシクペンタシロキサン等のフッ素系油剤、並びにステアリン酸等の高級脂肪酸などが挙げられる。油性成分は、エモリエント性の付与、様々な使用性の実現、紫外線防御効果等の目的で配合する。
【0031】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。具体的にはアニオン性界面活性剤としては、脂肪酸セッケン、エーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルの酸化エチレン誘導体、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンが挙げられる。両性界面活性剤としては、レシチン等が挙げられる。
【0032】
その他の成分としては、感触調整として金属石鹸、アミノ酸系化合物、有機シリコーン樹脂、部分架橋型オルガノポリシロキサン、水系での感触調整といった目的で水溶性高分子としてメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、カルボキシビニルポリマー、寒天、ローカストビーンガム、ジェランガム、ペクチン、スクレロチウムガム、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、水膨潤性粘土鉱物、その他、酸化防止剤、ビタミンA、B6、B12、C、Eといったビタミン類及びその誘導体、ローズマリーエキス、カミツレエキス、ニンジン抽出物、センブリ抽出物、カテキン、カテキン誘導体、カンゾウ抽出物、ソウハクヒ抽出物、ホップ抽出物といった美容成分、コラーゲン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、トレハロース、アロエエキスといった保湿剤、メントール、カンファ、ソルビトールといった清涼剤、エタノール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、といった多価アルコール、香料等を配合することができる。
【0033】
本発明の化粧料としては、日焼け止め化粧料、保湿乳液、美容液、ファンデーション、下地化粧料、コントロール、アイカラー、頬紅、マスカラ、口紅、ネイルカラー等が挙げられる。この中でも日焼け止め化粧料、保湿乳液、美容液、ファンデーション、下地化粧料が、塗布面積が大きく肌負担感の無さの実感といった点において効果が顕著に現れて好ましい。
化粧料の剤型としては、油性系、溶剤系、乳化系(油中水型、水中油型、両者の複合型)、粉体系等が挙げられ、性状としては、液状、半固形状、固形状、粉末状等が挙げられる。
【0034】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
合成例1:シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体溶液1
500mLフラスコにトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート55部、メタクリル酸15部、メタクリル酸メチル30部、溶媒として酢酸ブチル110部、酢酸エチル70部、イソプロパノール30部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を仕込み、溶存酸素を除くために窒素ガスバブリングを行い、密封した。反応容器を恒温槽中に移し、60℃で攪拌しながら15時間かけて重合を行った。重合終了後、ジメチルポリシロキサン(東レ・ダウシリコーン社製 SH200C−6cs)へ溶媒置換を行い、シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体溶液1(固形分濃度20%)を得た。
【0036】
合成例2:シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体溶液2
500mLフラスコにトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート60部、メタクリル酸20部、メタクリル酸メチル20部、溶媒として酢酸ブチル100部、酢酸エチル100部、イソプロパノール30部、ジクミルパーオキサイド1部を仕込み、溶存酸素を除くために窒素ガスバブリングを行い、密封した。反応容器を恒温槽中に移し、60℃で攪拌しながら6時間かけて重合を行った。重合終了後、デカメチルシクロペンタシロキサンへ溶媒置換を行い、シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体溶液2(固形分濃度20%)を得た。
【0037】
合成比較例1:シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体溶液3
500mLフラスコにトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート50部、メタクリル酸メチル50部、溶媒として酢酸ブチル110部、酢酸エチル70部、イソプロパノール30部、ジクミルパーオキサイド0.5部を仕込み、溶存酸素を除くために窒素ガスバブリングを行い、密封した。反応容器を恒温槽中に移し、50℃で攪拌しながら8時間かけて重合を行った。重合終了後、デカメチルシクロペンタシロキサンへ溶媒置換を行い、シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体溶液3(固形分濃度20%)を得た。
【0038】
実施例1〜7及び比較例1〜2:油中水型ファンデーション(クリーム状)
表1に示す処方の油中水型ファンデーションを下記製造方法にて調製し、『滑らかな伸び広がり』、『肌への密着性』、『肌負担感の無さ』、『化粧持続性』、『経時安定性』について評価した結果を併せて表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
(注1)BY11−018(東レ・ダウコーニング社製)
(注2)SH3775M(東レ・ダウコーニング社製)
(注3)ベントン38(エレメンティス社製)
(注4)レオパールKL(千葉製粉社製)
(注5)SA−チタンCR50(80%)(三好化成社製)
(注6)TTO−S−4(石原産業社製)
(注7)SI−UFZO−350 LHC(3%)(三好化成社製)
(注8)SA−ベンガラ七宝(80%)(三好化成社製)
(注9)SA−LLXLO(三好化成社製)
(注10)SA−BL100(100%)(三好化成社製)
(注11)SA−タルクK−5(三好化成社製)
(注12)SA−チミロンスーパーゴールド(三好化成社製)
【0041】
(製造方法)
A:成分5の一部で成分10を溶解し成分9を加えて混合分散する。
B:Aに成分5の残部、成分1〜4、6〜8、11〜19を加え混合分散する。
C:成分20〜25を50℃にて均一に加温溶解し、室温に冷却する。
D:Bを攪拌しながら、Cを加え乳化する。脱泡後、クリーム瓶に充填し油中水型ファンデーションを得た。
【0042】
(評価方法)
『滑らかな伸び広がり』、『肌への密着性』、『肌負担感の無さ』、『化粧持続性』については、実施例及び比較例のファンデーションについて化粧品専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて7段階に評価し評点を付け、試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。尚、『肌負担感の無さ』及び『化粧持続性』については、各試料を顔面に塗布し、通常の生活をしてもらい、3時間後の化粧の状態ついて評価した。特に『肌負担感の無さ』は閉塞感の無さ、長時間化粧料をしていたときの違和感の無さを評価した。
【0043】
『滑らかな伸び広がり』、『肌への密着性』、『肌負担感の無さ』、『化粧持続性』
(絶対評価基準)
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
【0044】
(4段階判定基準)
(評点平均値) :(判定)
5点を超える :非常に良い:◎
3点を超えて5点以下:良好 :○
1点を超えて3点以下:やや不良 :△
1点以下 :不良 :×
【0045】
『経時安定性』については、40℃の恒温槽に1ヶ月保管し、外観の変化(キメ、分離の有無)について以下の基準で評価を行い、判定した。
(判定)
◎:外観全く変化なし。
○:外観に僅かに変化(キメやや悪いが分離なし)。
△:外観にある程度変化あり(キメが悪く分離傾向あり)。
×:外観に大きな変化あり(分離)。
【0046】
表1の結果から明らかなように、本発明のファンデーションは、滑らかな伸び広がり、肌への密着性、肌負担感の無さ、化粧持続性に優れ、経時安定性が良好な化粧料であった。
それに対し、本発明のシロキサン基含有(メタ)アクリル酸系共重合体に替えて、メタアクリル酸をモノマーの構成成分に含有しない重合体を用いた比較例1は特に肌への密着性、化粧持続性の点において劣っていた。トリメチルシロキシケイ酸を用いた比較例2は滑らかな伸び広がり、肌への密着性、化粧持続性の項目で劣るものであった。
【0047】
実施例8:油性口紅(ペースト状)
(成分) (%)
1.デキストリン脂肪酸エステル(注4) 5
2.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5
3.ジカプリン酸プロピレングリコール 5
4.デカメチルシクロペンタシロキサン 20
5.フッ素変性シリコーン(注13) 10
6.酢酸液状ラノリン 10
7.シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体溶液2 20
8.トリメチルシロキシケイ酸溶液(注14) 5
9.ラウリルメチコンコポリオール(注15) 2
10.煙霧状疎水化シリカ(注16) 1
11.シリコーン処理雲母チタン(注17) 5
12.赤色202号 0.5
13.黄色4号 0.5
14.ジメチルポリシロキサン5%処理セリサイト 残量
15.球状シリコーンパウダー(注18) 1
16.酸化防止剤(BHT) 0.02
17.防腐剤(フェノキシエタノール) 0.1
18.紫外線吸収剤(メトキシ桂皮酸オクチル) 0.1
19.香料 0.1
(注13)FL100(450CS)(信越化学工業社製)
(注14)KF−7212J(信越化学工業社製)
(注15)DC5200(東レ・ダウコーニング社製)
(注16)AEROSIL R−974(日本エアロジル社製)
(注17)SA−チミロンスプレンディッドブルー(三好化成社製)
(注18)トレフィルE−505C(東レ・ダウコーニング社製)
【0048】
(製造方法)
A:成分1〜3を90℃にて加熱混合し、そこに成分4〜19を加えて分散する。
B:Cを脱泡後、容器に80℃で溶融充填し、油性口紅を得た。
以上のようにして得られた実施例8の油性口紅は、滑らかな伸び広がり、唇への密着性、肌負担感の無さ、化粧持続性に優れ、経時安定性の良好な化粧料であった。
【0049】
実施例9:固形粉末状アイカラー
(成分) (%)
1.シリコーン処理酸化チタン(注5) 2
2.赤色226号 0.8
3.青色404号 0.2
4.シリコーン処理複合マイカ(注19) 20
5.シリコーン処理タルク(注11) 20
6.シリコーン処理マイカ(注20) 残量
7.シリコーン処理雲母チタン(注12) 2
8.シリコーン処理雲母チタン(注17) 2
9.煙霧状疎水化シリカ(注16) 1
10.シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体溶液1 5
11.スクワラン 5
12.ワセリン 2
13.ジイソステアリン酸ジグリセリル 3
14.紫外線吸収剤(メトキシ桂皮酸オクチル) 2
15.防腐剤(パラオキシ安息香酸プロピル) 0.2
16.香料 0.2
(注19)SXI−5(三好化成社製)
(注20)SA−エクセルマイカJP−2(三好化成社製)
【0050】
(製造方法)
A:成分10〜16を70℃にて加熱混合する。
B:成分1〜9をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて分散混合する。
C:Bを攪拌混合しながらAをゆっくりと添加し、均一分散する。
D:Cをアトマイザー(セイシン企業社製)にて均一に粉砕し、金皿にプレス成型し固形粉末状アイカラーを得た。
以上のようにして得られた実施例9の固形粉末状アイカラーは、滑らかな伸び広がり、瞼への密着性、肌負担感の無さ、化粧持続性に優れた化粧料であった。
【0051】
実施例10:水中油乳化型ハンドクリーム
(成分) (%)
1.ステアリン酸ポリエチレングリコール(40) 2
2.ステアリン酸グリセリル 1.8
3.水添レシチン 0.2
4.ベヘニルアルコール 3
5.ステアリン酸水添ヒマシ油 6
6.シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体溶液1 15
7.ラウロイルグルタミン酸
ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 10
8.ラウリルメチコンコポリオール(注15) 1
9.1,3−ブチレングリコール 15
10.ジグリセリン 3
11.アルキル変性カルボキシビニルポリマー(注21) 0.3
12.精製水 残量
13.水酸化ナトリウム 0.16
14.防腐剤(フェノキシエタノール) 0.3
15.美容成分(海洋性コラーゲン) 0.2
16.美容成分(小麦ペプタイド) 0.1
17.美容成分(ローズマリー抽出液) 0.1
(注21)CARBOPOL 1342(B.F.グッドリッチケミカル社製)
【0052】
(製造方法)
A:成分1〜8を85℃で加熱し、均一に混合する。
B:成分10〜17を85℃にて均一に加温溶解する。
C:AとBを乳化し、冷却後、脱泡し、容器に充填してハンドクリームを得た。
以上のようにして得られた実施例10のハンドクリームは、滑らかな伸び広がり、肌への密着性、肌負担感の無さ、化粧持続性(長時間撥水効果が持続)に優れ、経時安定性の良好な化粧料であった。
【0053】
実施例11:水中油乳化型ヘアパック(クリーム状)
(成分) (%)
1.2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・
メタクリル酸ブチル共重合体液(注22) 2
2.セチルアルコール 2
3.ステアリルアルコール 2
4.ステアリン酸硬化ヒマシ油 1
5.ミリスチン酸イソプロピル 1
6.シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体溶液1 5
7.ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 1
8.塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 2
9.臭化ステアリルトリメチルアンモニウム 2
10.カチオン化グァーガム 0.05
11.1,3−ブチレングリコール 10
12.防腐剤(フェノキシエタノール) 0.3
13.アミノ変性シリコーン(注23) 2
14.精製水 残量
15.香料 0.1
(注22)Lipidure−PMB(日本油脂株式会社製)
(注23)SM8704C(40%エマルション)(東レ・ダウコーニング社製)
【0054】
(製造方法)
A:成分2〜7を85℃で加熱し、均一に混合する。
B:成分8〜12、14を85℃で加熱し、均一に混合する。
C:BにAを添加して均一に乳化混合し、冷却後に成分1、13、15を添加する。
D:Cを容器に充填し、ヘアパックを得た。
以上のようにして得られた実施例11のヘアパックは、滑らかな伸び広がり、頭髪への密着性がよく、肌(髪、地肌)への負担感がなく、化粧持続性(長時間撥水効果が持続、染毛剤を用いて染色した髪に対しては、色落ちを防ぐ効果の高いもの)に優れ、経時安定性の良好な化粧料であった。
【0055】
実施例12:油性アイブロウ(スティック状)
(成分) (%)
1.セレシンワックス 10
2.ポリエチレンワックス 2
3.部分架橋型オルガノポリシロキサン溶液(注24) 1
4.メチルフェニルポリシロキサン 5
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 15
6.ジイソステアリン酸ジグリセリル 7
7.2−エチルヘキサン酸セチル 残量
8.ロジン酸ペンタエリスリット 1
9.シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体溶液1 10
10.球状ポリメタクリル酸メチル粉末(平均粒子径15μm) 5
11.シリコーン処理マイカ(注20) 5
12.シリコーン処理黒色酸化鉄(注10) 1
13.シリコーン処理黄色酸化鉄(注9) 1
14.煙霧状疎水化シリカ(注16) 1
15.アルキル変性カルボキシビニルポリマー(注21) 1.5
16.香料 0.1
17.酸化防止剤(天然ビタミンE) 0.2
18.ビタミンA油 0.5
(注24)シリコンKSG−16(信越化学工業社製)
【0056】
(製造方法)
A:成分1〜9を100℃にて均一混合する。
B:Aに10〜18を加えデスパミキサーにて均一分散、脱泡する。
C:Bをスティック用の成形用型に流し込み、冷却固化しスティック状アイブロウを得た。
実施例12のスティック状アイブロウは、滑らかな伸び広がり、密着性、肌負担感の無さ、化粧持続性に優れ、経時安定性の良好な化粧料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(a)〜(c)のモノマー:
下記一般式(1)で示されるモノマー(a)55〜65質量%、
【化1】

(式中、RはH又はCH、pは2〜6の整数である。)
下記一般式(2)で示されるモノマー(b)20〜30質量%、
【化2】

(式中、RはH又はCH、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である。)
モノマー(c)として、アクリル酸及び/又はメタクリル酸 15〜20質量%、
を重合してなる、シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体を配合することを特徴とする化粧料。
【請求項2】
前記モノマー(b)がメタクリル酸メチルであり、前記モノマー(c)がメタクリル酸である共重合体を配合することを特徴とする請求項1記載の化粧料。

【公開番号】特開2006−282578(P2006−282578A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104535(P2005−104535)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】