説明

化粧料

【課題】従来のプロポリスより、強いチロシナーゼ活性阻害効果を有し、シミ・ソバカスなどの色素沈着の予防及び改善効果を発揮し、皮膚を美しく健やかに保ち、なおかつ皮膚に対する刺激性が少なく安全性に優れたプロポリスを見出し、この抽出物を化粧料に配合することにより、高い安全性と美肌効果を兼ね備えた化粧料を提供すること。
【解決手段】赤褐色を含む黄色から赤紫色のプロポリス(赤プロポリス)もしくは/及びその抽出物を化粧料に配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来のプロポリスより、肌に対して低刺激性で美白・美肌効果が高い赤プロポリスもしくは/及びその抽出液を配合した基礎化粧料、メイクアップ化粧料、頭髪化粧料などの化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
プロポリスとは、ミツバチ科の蜂が樹木の特定部位、主として新芽や蕾及び樹皮から採集したガム質、樹液、植物色素系の物質及び香油などの集合体に、ミツバチ自身の分泌物、蜂ろうなどを混合して作られた暗緑色や褐色から暗褐色を呈した粘着性のある樹脂状の固形天然物である、と日本プロポリス協議会により1995年に定義されている。
ミツバチはプロポリスを巣材として用いることで、プロポリスの強力な殺菌、抗菌力により巣の中はほとんど無菌状態に保つことができ、巣中の子の生命と環境をバクテリアから守ることができる。
【0003】
プロポリスには、桂皮酸誘導体やフラボノイドが多く含まれているが、巣が存在する地域に生育する樹木の違いによりプロポリスの成分も異なり、従って色調や薬理作用も異なっている。
プロポリスは昔から化粧料の成分や健康食品として用いられており、皮膚に対しては、抗菌作用、抗炎症及び美白などの効果があるとされている。
【0004】
しかしながら、プロポリスによる接触アレルギーは1915年の手指に生じた例を皮切りにこれまで多数報告されており、養蜂業者の職業皮膚炎における原因の1つともされている。ミツバチの集めてくる植物によって接触アレルギーの感作物質も異なり、ヨーロッパやアメリカ産のものではポプラ、オーストラリアやブラジル産のものではユーカリ、日本産のものではスミレ草が原因といわれている。
プロポリスの医薬品や化粧品への利用を広げるための相溶性の改善や吸収性の向上などの試みは多くされているが、これまでプロポリスの皮膚刺激性を緩和する試みはなされていない。プロポリスを超臨界抽出したものについて急性毒性を確認した報告はあるが、皮膚刺激性については確認されていない。
また、皮膚に対するさまざまな効果が報告されているが、十分に満足できる強さとはいえず、以上の点から高い安全性と強い美白・美肌効果を有するプロポリスが配合された化粧料が求められている。
【0005】
【非特許文献1】熊澤茂則ら、 FOOD Style 21、(5)10、54−58(2001)
【非特許文献2】堤龍彦ら、フレグランスジャーナル、(3)17−24(2002)
【非特許文献3】須貝哲郎、 フレグランスジャーナル、(3)33−37(2002)
【非特許文献4】宮高透喜、 フレグランスジャーナル、(3)39−49(2002)
【特許文献1】特開2001−321093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本研究の目的は、刺激性が低く、かつ美白・美肌効果の高いプロポリスを見出し、プロポリスもしくは/及びその抽出物を配合することで優れた美白・美肌効果を有し、安全性の高い化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前述の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、特定の地域で採取される赤褐色を含む黄色〜赤紫色をしたプロポリス(以下赤プロポリス)又はその抽出物が顕著に優れたチロシナーゼ活性阻害効果を示し、さらに皮膚対して刺激性も低く、これらを配合することで美白・美肌効果と安全性の高い化粧料が提供できることを見出した。尚、赤褐色を含む黄色〜赤紫色とは、マンセル色相環における2.5RP〜10Y、マンセル色票における明度2〜9、彩度2〜16の各々の組み合わせで表せる色のことである。さらに、本明細書において用いる化粧料とは、化粧料以外に医薬部外品も含む。
【発明の効果】
【0008】
上述したように、本発明は、従来のプロポリスに比べ、強いチロシナーゼ活性阻害効果を有し、かつ刺激性の低い黄色〜赤紫色をした赤プロポリスを化粧料に配合することで、シミ・ソバカスを予防・改善し、安全性の高い化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に使用する赤プロポリスとは、暗緑色や褐色から暗褐色をしている一般的なプロポリスと異なり、黄色、橙色、赤色、赤褐色や赤紫色をしている、ミツバチによって植物から収集し生産される樹脂状の固形天然物である。ここでいう、赤褐色を含む黄色〜赤紫色とは、マンセル色相環における2.5RP〜10Y、マンセル色票における明度2〜9、彩度2〜16の各々の組み合わせで表せる色のことである。
それらのうちでも、適当な溶媒で抽出した溶液が、波長435nmから560nmの間に極大吸収を有する、赤プロポリスの使用が好ましい。
又、従来のプロポリスの約1.5倍のフラボノイドを含んでいることも、赤プロポリスの大きな特徴である。
【0010】
赤プロポリスは、必要ならば予め異物を取り除いたあと、そのままもしくは乾燥した上、必要に応じて細切あるいは粉砕し、化粧料に配合できる。
【0011】
又、抽出物の調製は、赤プロポリスを、必要ならば予め異物を取り除いたあと、そのままもしくは乾燥した上、必要に応じて細切あるいは粉砕し、浸漬法、超臨界抽出法及び向流分配法等の常法に従って抽出溶媒と接触せしめることによって行うことができる。
【0012】
抽出溶媒は、水、アルコール類(例えば、メタノール、無水エタノール、エタノールなどの低級アルコール、或いはプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコール)又はアセトンなどのケトン類、エチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルエステルなどのエステル類、キシレン、ベンゼン、クロロホルムなどの有機溶媒を、単独或いは2種類以上の任意の混液として使用することができる。又、各々の溶媒抽出物が組み合わされた状態でも使用できる。
【0013】
尚、製造方法は特に制限されるものはないが、浸漬法の場合、通常、常温・常圧下での溶媒の沸点の範囲であれば良く、抽出後は濾過又はイオン交換樹脂を用い、吸着・脱色・精製して溶液状、ペースト状、ゲル状、粉末状とすれば良い。更に必要ならば、その効果に影響のない範囲で更に脱臭、脱色などの精製処理を加えても良く、脱臭・脱色などの精製処理手段としては、活性炭カラムなどを用いれば良く、抽出物質により一般的に適用される通常の手段を任意に選択して行えば良い。
【0014】
又、抽出液のpHは特に限定はないが、主に4〜8の範囲とすることが好ましく、pH調整剤として、クエン酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、リン酸などを用いてもよい。
さらに、必要ならば減圧濃縮などにより適当な濃度として用いてもよいし、場合によってはスプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って、粉末化することもできる。
【0015】
本発明の赤プロポリスもしくは/及びその抽出物を含む化粧料とは具体的に、皮膚化粧料及び頭髪化粧料をいい、更に具体的には化粧水(ローション)、乳液、クリーム、オイル、軟膏、パック、リップ、口紅、ファンデーション、アイライナー、頬紅、マスカラ、アイシャドウー、マニキュア・ペディキュア、爪被覆剤、爪被覆除去剤、ひげ剃り用剤、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、ヘアトニック、ヘアスプレー、ヘアクリーム、ヘアローション、整髪料、育毛料、パーマネント液、染毛料、ハンドソープ・ボディーソープ、歯磨き剤、洗口料及び洗顔料・石鹸類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明の化粧料に配合される赤プロポリスもしくはその抽出物の量は、特に限定はないが、単独及び併用する場合において、一般に化粧料全量に対して、乾燥固形物に換算して合計0.001〜10.0重量%、好ましくは合計0.001〜5.0重量%、特に好ましくは合計0.01〜3.0重量%である。

【0017】
本発明の化粧料は、赤プロポリス抽出物以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、油性原料、界面活性剤、保湿剤、増粘剤高分子、皮膜剤高分子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、金属イオン封鎖剤、粉体成分及び生理活性成分などを任意の量で、単独、併用して配合し、製造することができる。
【0018】
生理活性成分としては、例えばアスコルビン酸誘導体、ハイドロキノン誘導体、アランジウムサルビフォリウム(Alangium salviifolium(Linn.F.)Wang)抽出物、ペルトフォラムダシュラチス(Peltophorum dasyrachis(Miq.)Kurz ex Baker)抽出物及びピテセロビウムテニュクライブ(Pithecellobium tenue craib)抽出物などが挙げられる。
【0019】
以下に製造例、実施例及び試験例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0020】
[製造例1]
赤プロポリス10gを50%エタノール100mlで室温・24時間抽出した。得られた抽出液をろ過し、78.2gの赤褐色の抽出液(蒸発残留物:3.17%)を得た。
[製造例2]
赤プロポリス10gを30%1,3−BG100mlで4℃・24時間抽出した。得られた抽出液をろ過し、75.9gの赤色の抽出液(蒸発残留物:1.51%)を得た。
[比較例1]
日本で一般的に用いられているグリーン系プロポリス(ブラジル産)10gを50%エタノール100mlで室温・24時間抽出した。得られた抽出液をろ過し、72.4gの緑褐色の抽出液(蒸発残留物:3.91%)を得た。
【0021】
常法により実施例1〜11に示す化粧料を調製した。

【実施例1】
【0022】
クリ−ム
下記成分A、別に下記成分Bを75℃に加温溶解し、それぞれA液及びB液とする。A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分Cを加え、クリ−ムを調製した。
成分A
ホホバ油 3.0重量%
スクワラン 2.0重量%
メチルポリシロキサン 0.5重量%
ステアリルアルコ−ル 0.5重量%
セチルアルコ−ル 0.5重量%
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 12.5重量%
モノステアリン酸グリセリル 5.0重量%
モノステアリン酸ジグリセリル 1.5重量%
モノステアリン酸デカグリセリル 3.0重量%
パラオキシ安息香酸プロピル 0.1重量%
成分B
キサンタンガム 0.1重量%
製造例1の赤プロポリス抽出物 3.0重量%
グリセリン 1.0重量%
1,3−ブチレングリコ−ル 5.0重量%
パラオキシ安息香酸メチル 0.2重量%
精製水 62.0重量%
成分C
香料 0.1重量%
【実施例2】
【0023】
化粧水
下記成分Aを混合溶解させA液とし、これとは別に下記成分Bを混合溶解させてB液とし、A液とB液を均等に混合し、化粧水を調製した。
成分A
ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル 1.2重量%
エチルアルコ−ル 5.0重量%
パラオキシ安息香酸メチル 0.2重量%
香料 0.1重量%
成分B
クインスシ−ドエキス 8.0重量%
グリセリン 3.0重量%
1,3ブチレングリコ−ル 5.0重量%
製造例1の赤プロポリス抽出物 2.0重量%
精製水 75.5重量%

【実施例3】
【0024】
乳液
下記成分A、別に成分Bを75℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分Cを加え、乳液を調製した。
成分A
ホホバ油 1.0重量%
スクワラン 2.0重量%
ベヘニルルコ−ル 1.0重量%
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 2.0重量%
テトラグリセリン縮合シリノレイン酸 0.1重量%
モノオレイン酸プロピレングリコ−ル 0.5重量%
モノステアリン酸グリセリル 1.0重量%
モノミレスチン酸ヘキサグリセリン 1.0重量%
モノミリスチン酸デカグリセリン 0.5重量%
パラオキシ安息香酸プロピル 0.1重量%
成分B
クインスシ−ドエキス 5.0重量%
ホホバ葉エキス 2.0重量%
製造例2の赤プロポリス抽出物 2.0重量%
1,3ブチレングリコ−ル 3.0重量%
精製水 78.7重量%
成分C
香料 0.1重量%

【実施例4】
【0025】
石けん
石けん製造の常法により下記成分を混合して石けんを生成した。
成分
石けん素地 53.2重量%
スクロ−ル 19.4重量%
ホホバ油 0.25重量%
製造例2の赤プロポリス抽出物 2.5重量%
濃グリセリン 6.5重量%
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.15重量%
常水 18.0重量%

【実施例5】
【0026】
クレンジングジェル
下記成分A、別に成分Bを70℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて均一になるまで攪拌する。攪拌しながら50℃まで冷却し、成分Cを加え、クレンジングジェルを調製した。
成分A
モノミリスチン酸ヘキサグリセリル 20.0重量%
流動パラフィン 58.8重量%
パラオキシ安息香酸エステル 0.3重量%
成分B
製造例1の赤プロポリス抽出物 0.5重量%
濃グリセリン 5.9重量%
ソルビト−ル 5.0重量%
精製水 9.4重量%
成分C
香料 0.1重量%

【実施例6】
【0027】
パック剤
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化し、ついでC相を加えて均一に溶解し、パック剤を調製した。
A相
ジプロピレングリコ−ル 5.0重量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 5.0重量%
B相
オリ−ブ油 5.0重量%
酢酸トコフェノ−ル 0.2重量%
パラオキシ安息香酸エステル 0.2重量%
C相
亜硫酸水素ナトリウム 0.03重量%
ポリビニルアルコ−ル 13.0重量%
製造例1の赤プロポリス抽出物 1.0重量%
ホホバ葉エキス 1.0重量%
エタノ−ル 7.0重量%
精製水 62.77重量%

【実施例7】
【0028】
乳化型ファンデ−ション
下記成分Aを充分に混合粉砕した粉末部Aとし、成分BをB液、成分CをC液とする。C液を加熱攪拌後、Aを添加しホモミキサ−処理し、さらに加熱混合したB液を加えてホモミキサ−処理する。攪拌しながら50℃まで冷却し、成分Dを加え、さらに室温まで冷却して乳化型ファンデ−ションを調製した。
成分A
二酸化チタン 10.3重量%
セリサイト 5.4重量%
カオリン 3.0重量%
黄色酸化鉄 0.7重量%
ベンガラ 0.4重量%
黒色酸化鉄 0.2重量%
成分B
デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5重量%
流動パラフィン 8.5重量%
成分C
セスキオレイン酸ソルビタン 3.0重量%
製造例1の赤プロポリス抽出物 1.5重量%
1,3−ブチレングリコ−ル 5.0重量%
パラオキシ安息香酸エステル 0.2重量%
精製水 50.1重量%
成分D
香料 0.2重量%

【実施例8】
【0029】
固形ファンデ−ション
下記成分Aをブレンダ−で均一に混合し、これに成分Bを加え、よく混練して固形ファンデ−ションを調製した。
成分A
タルク 42.4重量%
カオリン 15.5重量%
セリサイト 10.0重量%
亜鉛華 7.0重量%
二酸化チタン 3.8重量%
黄色酸化鉄 2.9重量%
黒色酸化鉄 0.2重量%
成分B
スクワラン 8.0重量%
イソステアリン酸 4.0重量%
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 3.0重量%
オクタン酸イソセチル 2.0重量%
製造例1の赤プロポリス抽出物 1.0重量%
パラオキシ安息香酸エステル 0.1重量%
香料 0.1重量%

【実施例9】
【0030】
ヘア−トニック
下記成分Aに成分Bを加え、攪拌溶解した後、成分Cを加えてさらに攪拌してヘア−トニックを調製した。
成分A
エタノ−ル 50.0重量%
成分B
グリセリン 3.0重量%
L−メント−ル 0.1重量%
センブリエキス 2.0重量%
製造例2の赤プロポリス抽出物 5.0重量%
香料 0.2重量%
成分C
オタネニンジンエキス 3.0重量%
精製水 36.7重量%

【実施例10】
【0031】
シャンプ−
下記成分を加温均一に混合してシャンプ−を調製した。
成分
N−ヤシ油脂肪酸グルタミン酸トリエタノ−ルアミン 25.0重量%
ラウリン酸ジエタノ−ルアミド 5.0重量%
ミリスチン酸カリウム 5.0重量%
ジステアリン酸エチレングリコ−ル 2.0重量%
ポリエチレングリコ−ル400 15.0重量%
ホホバ油 1.0重量%
製造例2の赤プロポリス抽出物 3.0重量%
クロルキシレノ−ル 0.1重量%
ビタミンE 0.1重量%
パラオキシ安息香酸エステル 0.2重量%
香料 0.3重量%
精製水 43.3重量%

【実施例11】
【0032】
浴用剤
下記成分により常法でもって浴用剤を調製した。
成分
乾燥硫酸ナトリウム 40.0重量%
炭酸水素ナトリウム 57.5重量%
オリ−ブ油 0.2重量%
製造例1の赤プロポリス抽出物 0.1重量%
軽質無水ケイ酸 0.3重量%
香料 1.7重量%
黄色202号の(1) 0.2重量%
【0033】
比較例2クリーム
実施例1における製造例1の赤プロポリス抽出物3.0重量%のみを比較例1のプロポリス抽出物3.0重量%に代えて、クリームを調製した。
【0034】
比較例3クリーム
実施例1における製造例1の赤プロポリス抽出物3.0重量%のみをアルブチン2.0重量%に代えて、クリームを調製した。
【0035】
対照例クリーム
実施例1における製造例1の赤プロポリス抽出物3.0重量%のみを精製水に代えて、クリームを調製した。
【0036】
試験例1チロシナーゼ活性直接阻害試験
マッシュルーム由来のチロシナーゼを用いて、本発明の赤プロポリス抽出物のチロシナーゼ活性に対する直接阻害作用を調べた。
〔試験方法〕
製造例1の赤プロポリス抽出物及び比較例1のプロポリス抽出物1.0mlに、各々マックイルベイン緩衝液0.9ml、0.03%L−チロシン溶液1.0ml及びマッシュルーム由来チロシナーゼ溶液を添加し、37℃で30分間反応させ、490nmの吸光度を測定した。なお、ポジティブコントロールとして、製造例1の抽出物の代わりに1mMアルブチンを添加した場合及びブランクとして試料を添加していない場合も実施した。
【0037】
〔結果〕
結果を表1に示す。
【表1】

【0038】
表1の結果から本発明の赤プロポリス抽出物は、一般的なプロポリスに比べ、強いチロシナーゼ活性直接阻害効果を有することが判る。尚、ポジティブコントロールとして用いたアルブチンも顕著にチロシナーゼ活性を阻害したことから、試験系は正常であるといえる。
【0039】
試験例2美白効果試験
実施例1、比較例2、3及び対照例の各クリームについて、モニターテストにより色素沈着に対する抑制度合いを確認した。
〔試験方法〕
20〜40歳の健常である男女各15名を被験者とし、左右上腕内側部を試験区として各化粧料を、朝夕1回ずつ4週間にわたって適量塗布し、試験区の色素沈着の状態を、以下の判定基準に基づいて目視で判定を行った。
【0040】
〔判定基準〕
有効 :対照例に比較して明らかな淡色化効果が認められた
やや有効:対照例に比較して淡色化効果が認められた
効果なし:対照例とほぼ同程度であった
【0041】
結果を表2に示す。
【表2】

【0042】
表2から明らかなように、比較例2、3に比べて赤プロポリス抽出液を配合した化粧料(実施例1)は、優れた皮膚美白効果を有することが認められた。
【0043】
試験例3 活性酸素消去作用試験
SOD活性を指標として、本発明の赤プロポリス抽出物のスーパーオキサイドアニオンに対する消去作用を調べた。
〔試験方法〕
製造例2の赤プロポリス抽出物及び比較例1のプロポリス抽出物を用い、SOD様活性を測定した。SOD様活性は、NBT法(XOD系と組み合わせたBeauchampsらの方法Anal.Bioche.,44,279〜287、1971)に従った。
【0044】
結果を表3に示す。
【表3】

【0045】
表3から明らかな通り、赤プロポリス抽出物は、一般的なプロポリスに比べ、強いSOD様活性作用を有していることが判る。また、その作用はXOD活性を阻害したものではないことも確認した。
【0046】
試験例4皮膚刺激性
〔試料〕
本発明品:製造例1の抽出物を日局親水ワセリンに5重量%になるように練合したもの。
比較品:比較例1の抽出物を日局親水ワセリンに5重量%になるように練合したもの。
ブランク:日局親水ワセリン
〔試験方法〕
過去にプロポリスに刺激を感じた経験のある成人男女10名の上腕内側部をエタノールで皮脂を除去し、試験区とした。フィンチャンバーに各試料を0.2gづつ浸漬させたろ紙を乗せ、試験区に24時間閉塞パッチを行った。その後、フィンチャンバーを除去し、除去後1時間、24時間、48時間後に、パッチ部位の紅斑・浮腫の程度を、以下の「ドレイズ法による皮膚刺激性判定基準」に基づいて目視で判定した。
〔判定基準〕
(紅斑)
スコア0:紅斑なし
スコア1:ごく軽度の紅斑
スコア2:明らかな紅斑
スコア3:中程度から強い紅斑
スコア4:深紅色の強い紅斑に軽い痂皮形成

(浮腫)
スコア0:浮腫なし
スコア1:ごく軽度の浮腫
スコア2:明らかな浮腫(周囲と明らかな区別可能)
スコア3:中程度の浮腫(1mm以上の盛り上がり)
スコア4:強い浮腫(さらに周囲にも広がり)

【0047】
結果を表4に示す。
【表4】

【0048】
表4の結果から明らかな通り、一般的なプロポリスに比べ、赤プロポリス抽出物は皮膚に対する刺激がほとんど無く、安全性にきわめて優れていることが判る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤褐色を含む黄色から赤紫色をしたプロポリスもしくは/及びその抽出物を、乾燥固形分に換算して合計0.001〜10.0重量%配合したことを特徴とする化粧料。
【請求項2】
波長435nmから560nmの間に極大吸収を有するプロポリスもしくは/及びその抽出物を、乾燥固形分に換算して合計0.001〜10.0重量%配合したことを特徴とする化粧料。
【請求項3】
美白効果を有する請求項1および請求項2の化粧料
【請求項4】
抗酸化効果を有する請求項1および請求項2の化粧料

【公開番号】特開2008−247830(P2008−247830A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92032(P2007−92032)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(399091120)株式会社ピカソ美化学研究所 (29)
【Fターム(参考)】