説明

化粧料

【課題】 例えば、しみ、そばかす、にきび、化粧焼け、水虫、汗疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎等による皮膚の炎症等を効果的に改善することができる化粧料を提供する。
【解決手段】 連続蒸留焼酎100質量部に対し、ドクダミ1.7〜2.0質量部、きび0.5〜0.8質量部、および、ハトムギ0.5〜0.8質量部を浸漬することにより抽出されたアルコール抽出植物エキスと、該植物エキス100質量部に対し、セサミンを含む0.5〜8.0質量部の植物油とを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物エキスを含有する化粧料に関し、特に、例えば、しみ、そばかす、にきび、化粧焼け、水虫、汗疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎等による皮膚の炎症等の改善を目的とした化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の皮膚には様々な問題が生じ得る。例えば、しみ、そばかす、にきび、化粧焼け等は、顔面の皮膚に生じやすく、また、水虫等が足の皮膚に生じる場合もある。さらに、身体の皮膚には、汗疹等が生じる場合があり、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎等により皮膚が炎症を起こす場合もある。
【0003】
これらの病を予防・防止することは、皮膚科学上好ましいものであり、様々な療法が研究されているが、依然として上記病を訴える人が多いのが現状である。
【0004】
従来、植物エキスは、人体に安全である等の理由から、化粧料として用いられてきた。植物の中でも、特にドクダミは、抗菌性等の性質を有し、例えば特許文献1には、ドクダミと桑白皮の汁または抽出液を主剤として含むことを特徴とする化粧料が開示されているが、これら植物だけでは上記皮膚の病を十分に改善することはできなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−272349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、例えば、しみ、そばかす、にきび、化粧焼け、水虫、汗疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎等による皮膚の炎症等を効果的に改善することができる化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)アルコール類100質量部に対し、ドクダミ1.7〜2.0質量部、きび0.5〜0.8質量部、および、ハトムギ0.5〜0.8質量部を浸漬することにより抽出されたアルコール抽出植物エキスを含有することを特徴とする化粧料。
【0008】
(2)前記ドクダミは、重薬である上記(1)に記載の化粧料。
【0009】
(3)前記化粧水は、前記植物エキス100質量部に対し、セサミンを含有する植物油を0.5〜8.0質量部をさらに含有する上記(1)または(2)に記載の化粧料。
【0010】
(4)前記植物油は、黒ゴマ油である上記(3)に記載の化粧料。
【0011】
(5)前記化粧料は、該化粧料100質量部に対し、防カビ剤5.5〜7.7質量部をさらに含有する上記(1)〜(4)のいずれか一に記載の化粧料。
【0012】
(6)前記防カビ剤は、グリセリンである上記(5)に記載の化粧料。
【0013】
(7)前記アルコール類は、アルコール濃度が20度または25度である上記(1)〜(6)のいずれか一に記載の化粧料。
【0014】
(8)前記アルコールは、連続蒸留焼酎である上記(1)〜(7)のいずれか一に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0015】
本発明の化粧料は、所定量のアルコール類に対し、ドクダミ、きび、および、ハトムギを適正量だけ浸漬することにより抽出されたアルコール抽出植物エキスを含有することにより、例えば、しみ、そばかす、にきび、化粧焼け、水虫、汗疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎等による皮膚の炎症等を効果的に改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について説明する。本発明に従う化粧料は、アルコール類100質量部に対し、ドクダミ1.7〜2.0質量部、きび0.5〜0.8質量部、および、ハトムギ0.5〜0.8質量部を浸漬することにより抽出されたアルコール抽出植物エキスを含有し、かかる成分を有することにより、皮膚に生じた様々な問題を改善することができるという顕著な効果を奏するものである。
【0017】
ドクダミは、ドクダミ科ドクダミ属に属し、一般に、半日陰地に自生する。開花期は5〜7月頃で、茎頂に、4枚の白色の総苞のある棒状の花序に淡黄色の小花を密生させる。この開花期の地上部を乾燥させたものは、生薬名で重薬と称され、本発明で用いるドクダミは、この重薬を用いることが特に好ましい。
【0018】
きびは、イネ科に属し、一般に、秋に花が咲き、黄色い実がなる。本発明では、この黄色い実を用いる。また、本発明では、きびのもち種であるもちきびを用いることが特に好ましい。
【0019】
ハトムギは、イネ科ジュズダマ属に属し、その果実の皮を剥いだ種子は、生薬名でヨク苡と称され、本発明で用いるハトムギは、このヨク苡とする。
【0020】
前記アルコール抽出植物エキスは、以下の方法により得られる。
浸漬容器に、所定量のドクダミ、きび、および、ハトムギを入れ、所定量のアルコール類を注ぎ入れる。前記ドクダミは、アルコール類100質量部に対し、1.7〜2.0質量部、きびは0.5〜0.8質量部、および、ハトムギは0.5〜0.8質量部とする。前記ドクダミ、きびおよびハトムギの量が、いずれも上記下限値未満となると、皮膚改善効果が十分に得られず、また、上記上限値を超えて入れても、本発明の効果以上の効果を望めず、無駄が生じるためである。
【0021】
前記ドクダミには、抗菌作用があり、水虫、タムシまたはインキン等の原因である白癬菌の他、ブドウ状球菌、淋菌、抗酸性の細菌等にも効果的に作用する。また、ドクダミの成分には、毛細血管を強化する働きがあり、皮膚の表面から塗布することにより、血行を向上させることができる。
【0022】
また、前記きびは、リン、カリウム、亜鉛およびビタミンB群などを豊富に含み、血行の促進に効果があり、美肌作用がある。
【0023】
また、前記ハトムギは、ドクダミと組み合わせることにより、皮膚への浸潤を促進する効果を奏する。
【0024】
前記浸漬容器は、ホーロー製の容器とするのが好ましい。前記浸漬容器として例えばプラスチック製容器を用いた場合、プラスチックの成分がアルコール類に溶け出し、人体に悪影響を与えるおそれがあるためである。
【0025】
前記浸漬容器に、前記所定量のドクダミ、きび、ハトムギ、および、アルコール類を入れた後、常温で約3〜6ヶ月保存し、植物エキスを抽出する。その後、ガーゼ等で前記植物エキスと植物の固形物とを分離する。本発明に従う化粧料は、このようにして得られたアルコール抽出植物エキスを含有する。前記アルコール類を、前記ドクダミ、きびおよびハトムギと共に浸漬容器に入れる代わりに、水を前記植物と共に入れた場合、長期間保存すると水および前記植物が腐れてしまう。
【0026】
前記アルコール類は、アルコール濃度が18〜27度であるのが好ましい。幼児や高齢者用としては、前記アルコール濃度が18〜23度のアルコール類を用いることが、一般的に、皮膚が弱いとされる幼児や高齢者にとって比較的刺激が少ない点で好適であり、一方、成人用としては、前記アルコール濃度は18〜27度とすればよい。これは27度を超えると皮膚に刺激が大きすぎ、18度未満だと植物エキスの抽出が十分にできないためである。特に、幼児および高齢者用としては20度、成人用としては25度とするのが特に好ましい。
【0027】
前記アルコール類は、連続蒸留焼酎であるのが好ましい。連続蒸留焼酎とは、一般に、糖蜜等を原料とした発酵液をもとに、連続蒸留器で蒸留して高純度エチルアルコールを生成し、これに加水したものである。このような連続蒸留焼酎を用いることにより、植物の有効成分であるエキスを効果的に抽出することができる。
【0028】
前記化粧水は、前記植物エキス100質量部に対し、セサミンを含有する植物油0.5〜8.0質量部をさらに含有するのが好ましい。前記植物油が0.5質量部未満だと、肌への効果が得られず、8.0質量部を超えると、肌に塗布した場合に必要以上に油っぽくなってしまうためである。また、前記植物油としては、椿油または黒ゴマ油が挙げられるが、椿油は高価であることから、黒ゴマ油を用いるのが好ましい。黒ゴマ油を含有することにより、前記化粧水を頭皮に使用した場合、抜毛および脱毛を効果的に防止することができるという有利な効果を奏する。
【0029】
前記化粧料は、前記植物エキス100質量部に対し、グリセリン等の防カビ剤5.5〜7.5質量部をさらに含有するのが好ましい。防カビ剤を添加しない場合、皮膚改善効果への影響はないが、長期間保存した場合、カビが発生する恐れがあるためである。
【0030】
なお、上述したところは、代表的な実施形態の例を示したものであって、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
ホーロー桶(内容積約1.6L)に、ドクダミ(重薬)を200g、もちきびを75g、および、ハトムギを75g入れ、焼酎(宝焼酎「純」(登録商標)、アルコール濃度:20度)を10800ml注ぎ入れた後、常温で3ヶ月間保存し、植物エキスを抽出した。その後、ガーゼで前記植物エキスと植物の固形物とを分離し、アルコール抽出植物エキスを得た。このアルコール抽出植物エキス800mlに、黒ゴマ油を9g、グリセリンを50ml入れ、本発明に従う化粧料を製造した。
【0032】
(実施例2)
前記焼酎の代わりに、焼酎(宝焼酎「純」(登録商標)、アルコール濃度:25度)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、本発明に従う化粧料を製造した。
【0033】
(実施例3)
前記黒ゴマ油を54gとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により、本発明に従う化粧料を製造した。
【0034】
(実施例4)
前記黒ゴマ油を加えないこと以外は、実施例1と同様の方法により、本発明に従う化粧料を製造した。
【0035】
(実施例5)
前記グリセリンを加えないこと以外は、実施例1と同様の方法により、本発明に従う化粧料を製造した。
【0036】
(比較例1)
ドクダミの量を100gとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により化粧料を製造した。
【0037】
(比較例2)
もちきびを加えなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により化粧料を製造した。
【0038】
(比較例3)
ハトムギの量を50gとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により化粧料を製造した。
【0039】
(評価1)
上記実施例1〜5および比較例1〜3の化粧料を、被験者10人の顔面に塗布して効能試験を行った。被験者は、しみ、そばかす、にきび等の炎症に関する悩みをもつ者とした。効能試験は、上記化粧水を、朝および夜の2回、洗顔後に顔面に塗布することにより行った。
【0040】
使用後30日後の顔面の状態について、塗布前の顔面の状態から皮膚の炎症が改善したかどうかについて評価した。この評価は、各被験者により5段階でフィーリング評価したときの数値を平均値を算出し、「◎」は平均値が4〜5、「○」は3〜4、「×」は1〜3であることを示している。なお、この5段階評価は、「5:完全に改善した」、「4:かなり改善した」、「3:改善が感じられた」、「2:改善がほとんど感じられなかった」、「1:全く改善しなかった」とした。
【0041】
(評価2)
上記実施例1〜5および比較例1〜3の化粧料を、被験者10人の頭皮に塗布して効能試験を行った。被験者は、日頃から頭部の脱毛が気になっている者とし、頭皮への効能試験は、洗髪約10分前に、頭部に化粧料をすり込み、洗髪後、再度化粧料を塗り、マッサージするよう頭部にすり込むことによって行った。
【0042】
使用後30日後の頭皮の状態について、塗布前の頭皮の状態から脱毛が改善したかどうかについて評価した。この評価は、各被験者により5段階でフィーリング評価したものについて算出し、「◎」は平均値が4〜5、「○」は3〜4、「×」は1〜3であることを示している。なお、この5段階評価は、「5:発毛した」、「4:かなり脱毛が減少した」、「3:脱毛の減少が感じられた」、「2:脱毛の減少がほとんど感じられなかった」、「1:塗布前後で全く変化がなかった」とした。
【0043】
(評価3)
上記実施例1〜5および比較例1〜3の化粧料を、被験者10人の足に塗布して使用試験を行った。被験者は、日頃から足の水虫に悩んでいる者とした。
【0044】
使用後10日後の足の状態について、塗布前の足の状態から水虫が改善したかどうかについて評価した。この評価は、各被験者により5段階でフィーリング評価したものについて算出し、「◎」は平均値が4〜5、「○」は3〜4、「×」は1〜3であることを示している。なお、この5段階評価は、「5:完治した」、「4:かなり改善した」、「3:改善が感じられた」、「2:改善がほとんど感じられなかった」、「1:全く改善しなかった」とした。
【0045】
上記評価1〜3についての評価結果を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表1から分かるとおり、実施例1〜5の化粧料は、効果的に肌を改善することができていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の化粧料は、所定量のアルコール類に対し、ドクダミ、きび、および、ハトムギを適正量だけ浸漬することにより抽出されたアルコール抽出植物エキスを含有することにより、例えば、しみ、そばかす、にきび、化粧焼け、水虫、汗疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎等による皮膚の炎症等を効果的に改善することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール類100質量部に対し、ドクダミ1.7〜2.0質量部、きび0.5〜0.8質量部、および、ハトムギ0.5〜0.8質量部を浸漬することにより抽出されたアルコール抽出植物エキスを含有することを特徴とする化粧料。
【請求項2】
前記ドクダミは、重薬である請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記化粧水は、前記植物エキス100質量部に対し、セサミンを含有する植物油を0.5〜8.0質量部をさらに含有する請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記植物油は、黒ゴマ油である請求項3に記載の化粧料。
【請求項5】
前記化粧料は、該化粧料100質量部に対し、防カビ剤5.5〜7.5質量部をさらに含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項6】
前記防カビ剤は、グリセリンである請求項5に記載の化粧料。
【請求項7】
前記アルコール類は、アルコール濃度が20度または25度である請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項8】
前記アルコールは、連続蒸留焼酎である請求項1〜7のいずれか一項に記載の化粧料。

【公開番号】特開2010−13409(P2010−13409A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175969(P2008−175969)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【特許番号】特許第4236695号(P4236695)
【特許公報発行日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(508203482)
【Fターム(参考)】