説明

化粧板

【課題】分満足のいく不燃性を有し、かつ施工適性、基板との接着性などの性能も問題のない化粧板を提供すること。
【解決手段】厚さ6mm以上のけい酸カルシウム板からなる基材に、シーラー層、接着剤層、ポリオレフィン系樹脂からなる化粧シートをこの順に積層してなる化粧板において、前記シーラー層が固形分換算で塗布量4〜10g/mであり、前記接着剤層が固形分換算で塗布量25〜35g/mであり、前記化粧シートの厚さが0.05〜0.20mmであり、前記シーラー層が珪酸塩類珪酸カリウムと0.1〜5.0%のエポキシ樹脂を含有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、けい酸カルシウム板を基材とし、不燃性の化粧シートを貼り合わせてなる不燃性の化粧板に関し、特には建築基準法に規定する不燃性を満たす化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂からなる化粧シートをけい酸カルシウム板に貼り合わせて建築物の内装材、外装材、家具、家電製品などの用途に用いられている。これらの用途には不燃性が求めらるものとなり、国土交通省の告示により定められた試験に合格したものが、審査認定を受けて使用されている。
【0003】
焼却時の問題などから従来の塩化ビニル樹脂に代わり化粧シートとして用いられるようになったポリオレフィン系樹脂の場合、樹脂シートの層厚を制限し、接着剤を限定することで不燃認定の規格を満足するものができるが、十分満足するものとはいかず、ときによっては不合格となることもある。さらに施工適性、基板との接着性などの性能も十分満足するものとはいかず、改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−229327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、十分満足のいく不燃性を有し、かつ施工適性、基板との接着性などの性能も問題のない化粧板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その請求項1記載の発明は、厚さ6mm以上のけい酸カルシウム板からなる基材に、シーラー層、接着剤層、ポリオレフィン系樹脂からなる化粧シートをこの順に積層してなる化粧板において、前記シーラー層が固形分換算で塗布量4〜10g/mであり、前記接着剤層が固形分換算で塗布量25〜35g/mであり、前記化粧シートの厚さが0.05〜0.20mmであり、前記シーラー層が珪酸塩類珪酸カリウムと0.1〜5.0%のエポキシ樹脂を含有することを特徴とする化粧板である。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、前記ポリオレフィン系樹脂の有機分質量が固形分質量比率で85〜100%であることを特徴とする請求項1記載の化粧板である。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、前記けい酸カルシウム板の表面が150番以下の研磨材で研磨されたものであることを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の化粧板である。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、前記けい酸カルシウム板の比重が0.7〜0.9であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の化粧板である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明は珪酸塩類珪酸カリウムを主成分とし0.1〜5.0%のエポキシ樹脂を含有したすることを特徴とするシーラー層を設けることにより、加熱開始後20分間の総発熱量を低減し、かつ化粧シートのけい酸カルシウム板への接着性を向上させた化粧板を提供することが可能となった。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は珪酸塩類珪酸カリウムを主成分とし0.1〜5.0%のエポキシ樹脂を含有したすることを特徴とするシーラー層を設けることにより、ポリオレフィン系樹脂の有機分質量が固形分質量比率で85〜100%であっても、加熱開始後20分間の総発熱量を低減することが可能となった。
【0012】
また、請求項3に記載の発明はけい酸カルシウム板の表面を150番以下の研磨材で研磨することでけい酸カルシウム板であっても、化粧シートの接着性が良好である化粧板を提供することが可能となった。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は珪酸塩類珪酸カリウムを主成分とし0.1〜5.0%のエポキシ樹脂を含有したすることを特徴とするシーラー層を設けることにより、前記けい酸カルシウム板の比重が0.7〜0.9であっても、加熱開始後20分間の総発熱量を低減することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の化粧板の一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の化粧板を図面に基づき詳細に説明する。
図1に本発明の化粧板の一実施例の断面の構造を示す。表面側からポリオレフィン系樹脂からなる化粧シート1、接着剤層2、シーラー層3、基材4という構成である。
【0016】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂からなる化粧シート1としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のシートに適宜印刷により絵柄模様層、透明樹脂層、表面保護層などを設けたものが使用可能である。厚みは0.05〜0.20mmのものが用いられる。これにより化粧シートとして各種耐性、印刷加工適性を有しつつ加熱開始後20分間の総発熱量を抑えることが可能となる。また前記ポリオレフィン系樹脂のポリオレフィン系樹脂の有機分質量が固形分質量比率で85〜100%であっても、後述する珪酸塩類珪酸カリウムを主成分とし0.1〜5.0%のエポキシ樹脂を含有したすることを特徴とするシーラー層により、加熱開始後20分間の総発熱量を抑えることが可能となる。
【0017】
本発明における接着剤層2としては、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル等が使用可能であり、特には接着性、耐熱クリープ性の点でエチレン酢酸ビニルが好適である。塗布量は固形分換算量15〜25g/mのものが用いられる。これにより化粧シートのけい酸カルシウム板への接着性を確保しつつ加熱開始後20分間の総発熱量を抑えることが可能となる。
【0018】
本発明におけるシーラー層3としては、その塗布量が固形分換算で4〜10g/mであり、かつ珪酸塩類珪酸カリウムと0.1〜5.0%のエポキシ樹脂を含有するものを用いる。これにより前記化粧シート1や接着剤層2、後述する基材4で示される材料と数値範囲内の層厚であっても加熱開始後20分間の総発熱量を低減し、かつ化粧シートの基材4への接着性を向上させた化粧板を提供することが可能となる。
【0019】
本発明における基材4としては、厚さ6mm以上のけい酸カルシウム板からなるものがもちいられる。基材4の上に前記接着剤層2、前記シーラー層3、前記化粧シート4を設けることで接着性を確保しつつ加熱開始後20分間の総発熱量を抑えることが可能となる。また、前記けい酸カルシウム板の表面を150番以下の研磨材で研磨することで化粧シートの接着性がさらに良好なものとなるので好適である。また、前記けい酸カルシウム板の比重が0.7〜0.9であっても、前記接着剤層2、前記シーラー層3、前記化粧シート4を用いることで加熱開始後20分間の総発熱量を抑えることが可能となる。
【0020】
本発明の化粧材の製造方法として、基材4にシーラー層3を設ける際には、ロールコーター等により可能であるが特には塗布量の点でスポンジロールが好適である。
【実施例1】
【0021】
基材4として厚さ6mmのケイ酸カルシウム板を用い、これにけい酸カリウムを主成分とし2.9%のエポキシ樹脂を含有したすることを特徴とするシーラー層2を設け、エチレン酢酸ビニル樹脂による接着剤を固形量29.7g/m塗布して接着剤層3とし、ポリオレフィン系樹脂からなる化粧シート1として150g/mの化粧シートを貼り合わせ、本発明の化粧板を作製した。
【実施例2】
【0022】
ケイ酸カルシウム板の表面を150番の研磨材にて研磨した以外は、実施例1と同様にして、本発明の化粧板を作製した。
【0023】
<比較例1>
シーラー層を除いた以外は実施例1と同様にして本発明の化粧板を作製した。
【0024】
<比較例2>
ケイ酸カルシウム板の表面を180番の研磨材にて研磨した以外は実施例1と同様にして本発明の化粧板を作製した。
【0025】
<性能比較1>
以上のように作製した実施例1および比較例1の化粧板について、ISO5660に定められたコーンカロリーメーターにより発熱性試験を行い、20分間の総発熱量を評価した。結果を表1に示す。
【0026】
実施例1、2および比較例1、2の化粧板について、JISA5908に準ずる平面引張強度試験を実施し、接着強度が実用に耐えうるものであるかを評価した。結果を表2に示す。
[表1]
【0027】
総発熱量(MJ/m
実施例1 7.68
実施例2 7.90
比較例1 8.24
比較例2 8.44
[表2]
【0028】
平面引張強さ(N/mm
実施例1 0.8
実施例2 0.8
比較例1 0.5
比較例2 0.5
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の化粧板は不燃性が必要とされる建築物の内装材、外装材、家具、家電製品などの用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1…オレフィン化粧シート
2…接着層
3…シーラー層
4…基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ6mm以上のけい酸カルシウム板からなる基材に、シーラー層、接着剤層、ポリオレフィン系樹脂からなる化粧シートをこの順に積層してなる化粧板において、
前記シーラー層が固形分換算で塗布量4〜10g/mであり、前記接着剤層が固形分換算で塗布量25〜35g/mであり、前記化粧シートの厚さが0.05〜0.20mmであり、前記シーラー層が珪酸塩類珪酸カリウムと0.1〜5.0%のエポキシ樹脂を含有することを特徴とする化粧板。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系樹脂の有機分質量が固形分質量比率で85〜100%であることを特徴とする請求項1記載の化粧板。
【請求項3】
前記けい酸カルシウム板の表面が150番以下の研磨材で研磨されたものであることを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の化粧板。
【請求項4】
前記けい酸カルシウム板の比重が0.7〜0.9であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の化粧板。

【図1】
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【公開番号】特開2012−179812(P2012−179812A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44724(P2011−44724)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】