説明

化粧箱入りボトルの緩衝梱包材

【課題】 コンパクトで嵩張ることがなく、かつ、不意の衝撃によってかかる力を巧みに分散吸収して、ボトルを保護するだけでなく、その化粧箱の損傷をも防止することができる化粧箱入りボトルの緩衝梱包材を提供すること。
【解決手段】 角筒形状の外箱体1の中に、前記化粧箱Kを保持する保持枠体2が内装される二重構造である一方、この保持枠体2の各隅角部には、内側に突出せる支持凸部21・21…が設けられており、化粧箱Kを収容した当該保持枠体2が前記外箱体1に内装されるとき、各周壁部22・22…が外箱体1の内側面に沿って内嵌して、収容した化粧箱Kは、その各々の外周面を前記周壁部22に対し所定角をなして斜めに配向し、かつ、これら外周面を前記保持枠体2の支持凸部21・21…の各々に支承させることによって、当該化粧箱Kを外箱体1の内部で回転制止状態に固定保持可能にするという技術的手段を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧箱に入った壊れ易いボトルの梱包材料の改良、更に詳しくは、コンパクトで嵩張ることがなく、かつ、不意の衝撃によってかかる力を巧みに分散吸収して、ボトルを保護するだけでなく、その化粧箱の損傷をも防止することができ、要すれば、安価でリサイクル容易な段ボール材を使用し、しかも、簡単に組み立てることもできる化粧箱入りボトルの緩衝梱包材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、酒類などの飲料はガラス瓶などのボトルに入れられて流通しており、この際、美粧の観点から化粧箱に内包されていることが多く、最近では、かかる化粧箱にも種々のデザインが施されることにより、高級感を醸し出して当該飲料の商品価値をより一層高めている。
【0003】
ところで、かかる化粧箱は、簡素な紙箱であることが多いため、構造的には十分な強度があるとは言い難い。したがって、収容したボトル保護の必要性は勿論のこと、化粧箱自体についても、表面が損傷したり押し潰されたりしないように保護する必要があり、これらを同時に満足するものが望まれる。
【0004】
特に、商品を運搬する際には、上記の如き損傷を生じるおそれが大きいため、従来、その梱包材料として、化粧箱ごと梱包することができるものが開示されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0005】
しかしながら、かかる梱包材料では、化粧箱の上部が外に露出してしまい、化粧箱を十分に保護することができず、不意の衝撃によって化粧箱を損傷するばかりでなく、収容したボトルをも破損してしまうおそれがあった。
【0006】
また、従来、運搬物を損傷しないようにするための緩衝手段として、例えば、化成品である衝撃吸収材を隙間に装填するか、あるいは多くの緩衝材を巻き付けるなどしていたのであるが、梱包に手間がかかり、かつ、梱包材にも費用がかかるとともに、サイズも嵩張ってしまうという不満があった。
【特許文献1】特開2003−128047号公報(第2頁、図1−5)
【特許文献2】特開2003−128049号公報(第3−4頁、図8−9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の梱包材料に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、コンパクトで嵩張ることがなく、かつ、不意の衝撃によってかかる力を巧みに分散吸収して、ボトルを保護するだけでなく、その化粧箱の損傷をも防止することができ、要すれば、安価でリサイクル容易な段ボール材を使用し、しかも、簡単に組み立てることもできる化粧箱入りボトルの緩衝梱包材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0009】
即ち、本発明は、ボトルBが収容される直方体状の化粧箱Kを緩衝的に梱包可能な梱包材料であって、
角筒形状の外箱体1の中に、前記化粧箱Kを保持する保持枠体2が内装される二重構造である一方、
この保持枠体2の各隅角部には、内側に突出せる支持凸部21・21…が設けられており、化粧箱Kを収容した当該保持枠体2が前記外箱体1に内装されるとき、各周壁部22・22…が外箱体1の内側面に沿って内嵌して、収容した化粧箱Kは、その各々の外周面を前記周壁部22に対し所定角をなして斜めに配向し、かつ、これら外周面を前記保持枠体2の支持凸部21・21…の各々に支承させることによって、当該化粧箱Kを外箱体1の内部で回転制止状態に固定保持可能にするという技術的手段を採用した。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、保持枠体2は、板体20上に、平行する複数の折曲稜線23・23…が設けられている一方、各折曲稜線23には略直交方向に横切る一組の平行な切込み部24a・24aが形成され、これらに挟まれる部位に折返し帯部24を構成し、
板体20が前記折曲稜線23に沿って折り返されるに連れて、折返し帯部24の両基端部24b・24bと同折返し帯部24の中間に形成された折目線24cとが交互に折曲して浮き起こされることによって、各隅角部内側に支持凸部21が作出されるように組立可能にするという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、保持枠体2の板体20における両側部には切抜フック形の掛止片25が左右両側に掛合可能にそれぞれ対向関係に形成されており、折曲稜線23に沿って折り返すとき、これら掛止片25・25を掛け合わせて枠体を構成するという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、保持枠体2の上下端部には、内側に突出するスペーサ部26・26がそれぞれ形成されており、収容した化粧箱Kの上面および下面を支持しつつ、上下動を制止可能にするという技術的手段を採用した。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、保持枠体2の対向する周壁部22には、ガイド凸起22aをそれぞれ形成し、これらガイド凸起22aを化粧箱Kの各外周面に当接させることによって、複数の化粧箱Kを外箱体1の内部で回転制止状態に固定保持可能にするという技術的手段を採用した。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、外箱体1および/または保持枠体2を段ボール製にするという技術的手段を採用した。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、外箱体1の周壁部と化粧箱Kの外周面とが略45度をなすように配置可能にするという技術的手段を採用した。
【0016】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、保持枠体2の支持凸部21を上下複数段に設けるという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、保持枠体の各隅角部には、内側に突出せる支持凸部を設け、化粧箱を収容した当該保持枠体が外箱体に内装されるとき、各周壁部が外箱体の内側面に沿って内嵌して、収容した化粧箱は、その各々の外周面を前記周壁部に対し所定角をなして斜めに配向し、かつ、これら外周面を前記保持枠体の支持凸部の各々に支承させることにより、当該化粧箱を外箱体の内部で回転制止状態に固定保持することができる。
【0018】
したがって、本発明の化粧箱入りボトルの緩衝梱包材は、コンパクトで嵩張ることがなく、外箱体と保持枠体のみで構成されるため、部品点数が少なくて済み、コストダウンにもつながる。また、不意の衝撃によってかかる力を巧みに分散吸収して、ボトルを保護するだけでなく、その化粧箱の損傷をも防止することができる。
【0019】
更に要すれば、安価でリサイクル容易な段ボール材料を使用したり、簡単な組立式に構成することもできることから、非常に使い勝手が良く、実用的利用価値は頗る高いものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0021】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図3に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものは外箱体であり、この外箱体1は、角筒形状の有底の箱体であって、本実施形態では、安価でリサイクル容易な紙段ボール材料で作製する。
【0022】
また、符号2で指示するものは保持枠体であり、この保持枠体2の各隅角部には、内側に突出せる支持凸部21・21…が設けられている。なお、本実施形態では、紙段ボール材料を採用する。
【0023】
しかして、本発明の緩衝梱包材は、ボトルBが収容される直方体状の化粧箱Kを緩衝的に梱包可能な梱包材料であって、外箱体1の中に、前記化粧箱Kを保持する保持枠体2が内装される二重構造を構成している(図1参照)。なお、本実施形態では、ボトルBは公知の清酒一升瓶を用い、化粧箱Kの形状は、略正方形断面を有する直方体である。
【0024】
具体的には、ボトルBを入れた化粧箱Kを保持枠体2に収容して(図2参照)、この保持枠体2が前記外箱体1に内装されるとき、各周壁部22・22…が外箱体1の内側面に沿って内嵌することにより固定される。
【0025】
そして、この内嵌状態で、この保持枠体2に収容した化粧箱Kを、外周面が前記周壁部22に対し所定角をなすようにして斜めに配向し、これら外周面を前記保持枠体2の支持凸部21・21…の各々に支承させる(図3参照)。本実施形態では、外箱体1の周壁部と化粧箱Kの外周面とが略45度をなすように配置することができる。
【0026】
このようにして、当該化粧箱Kを外箱体1の内部で回転制止状態に固定保持することができるのである。また、この際、化粧箱Kは、その稜線が周壁部22に接するように支持させることもでき、外部から衝撃を受けたとしても、異方向に力を分散させることによって吸収することができ、ボトルBを適切に保護することができる。また、外側表面を擦ることもないので、印刷などを損傷し難い。
【0027】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図4から図6に基づいて説明する。本実施形態では、保持枠体2を組立式に構成する。具体的には、まず、当該保持枠体2は、板体20に、平行する複数の折曲稜線23・23…が設けられている。この際、板体20の材料には、ある程度の弾性を有するものが好ましく、また、成形性および環境配慮の観点から、段ボール材料を型抜きしたものを採用することができる。
【0028】
そして、各折曲稜線23には略直交方向に横切る一組の平行な切込み部24a・24aが形成され、これらに挟まれる部位に折返し帯部24を構成している(図4参照)。
【0029】
次いで、板体20を前記折曲稜線23に沿って折り返すとともに、これに連れて、折返し帯部24の両基端部24b・24bと同折返し帯部24の中間に形成された折目線24cとを交互に折曲して浮き起こすことによって、各隅角部内側に支持凸部21を作出することができる。この際、前記切込み部24aの長さや位置、あるいは折目線24cの位置を調節しつつ支持凸部21を形成することによって、種々の化粧箱Kのサイズに合わせることができる。
【0030】
また、本実施形態では、保持枠体2の上下端部には、内側に突出するスペーサ部26・26をそれぞれ形成することができ、収容した化粧箱Kの上面および下面を支持しつつ、外箱体1の内部における上下動を制止可能にして、緩衝域として、頂部および底部に加わる外部からの衝撃を緩和することもできる(図5および6参照)。
【0031】
『第3実施形態』
次に、本発明の第3実施形態を図7および図8に基づいて説明する。本実施形態は、第2実施形態に示したような板体20を用いる場合において、保持枠体2の板体20における両側部に切抜フック形の掛止片25を左右両側に掛合可能にそれぞれ対向関係に形成したものである。
【0032】
このように構成することにより、折曲稜線23に沿って折り返すとき、これら掛止片25・25を掛け合わせて枠体を構成することが可能であり、粘着テープや糊などの接着剤が不要にすることができるため、利便性が向上する。また、本実施形態では、保持枠体2の支持凸部21を上下2段に設けた。かかる段数は、収容するボトルや化粧箱に合わせ、強度のバランスに応じて設計することができる。
【0033】
『第4実施形態』
次に、本発明の第4実施形態を図9から図11に基づいて説明する。本実施形態においては、保持枠体2の対向する周壁部22には、ガイド凸起22aをそれぞれ形成し、これらガイド凸起22aを化粧箱Kの各外周面に当接させることによって、複数の化粧箱Kを外箱体1の内部で回転制止状態に固定保持することができる。
【0034】
この際、ガイド凸起22aは三角形状を呈しているので、安定的で変形し難い。このように構成することにより、図9に示すように、化粧箱Kを2個収容できるものや、図10に示すように、化粧箱Kを3個収容できるものを作製することができる。
【0035】
また、両方の対向する周壁部22にそれぞれガイド凸起22aを形成することにより、図11に示すように、化粧箱Kを4個収容できるものを作製することもでき、化粧箱Kを確実に固定保持することができる。
【0036】
本発明は概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、外箱体1および/または保持枠体2の使用材料は、ある程度の弾性を有するものが好ましく、プラスチック材料を用いることもできる。
【0037】
また、図12に示すように、化粧箱Kの断面が長方形である場合には、保持枠体2の支持凸部21の大きさや位置を調節することにより、確実に固定保持することができ、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態の梱包材料の構造を表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の保持枠体を表わす斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態の梱包材料を表わす上面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の保持枠体の板体を表わす正面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の保持枠体を表わす斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態の保持枠体を表わす側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の保持枠体の板体を表わす正面図である。
【図8】本発明の第3実施形態の保持枠体を表わす斜視図である。
【図9】本発明の第4実施形態の梱包材料を表わす上面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の梱包材料を表わす上面図である。
【図11】本発明の第4実施形態の梱包材料を表わす上面図である。
【図12】本発明の実施形態の梱包材料の変形例を表わす上面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 外箱体
2 保持枠体
20 板体
21 支持凸部
22 周壁部
22a ガイド凸起
23 折曲稜線
24 折返し帯部
24a 切込み部
24b 基端部
24c 折目線
25 掛止片
26 スペーサ部
B ボトル
K 化粧箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルBが収容される直方体状の化粧箱Kを緩衝的に梱包可能な梱包材料であって、
角筒形状の外箱体1の中に、前記化粧箱Kを保持する保持枠体2が内装される二重構造である一方、
この保持枠体2の各隅角部には、内側に突出せる支持凸部21・21…が設けられており、化粧箱Kを収容した当該保持枠体2が前記外箱体1に内装されるとき、各周壁部22・22…が外箱体1の内側面に沿って内嵌して、収容した化粧箱Kは、その各々の外周面を前記周壁部22に対し所定角をなして斜めに配向し、かつ、これら外周面を前記保持枠体2の支持凸部21・21…の各々に支承させることによって、当該化粧箱Kが外箱体1の内部で回転制止状態に固定保持可能であることを特徴とする化粧箱入りボトルの緩衝梱包材。
【請求項2】
保持枠体2は、板体20上に、平行する複数の折曲稜線23・23…が設けられている一方、各折曲稜線23には略直交方向に横切る一組の平行な切込み部24a・24aが形成され、これらに挟まれる部位に折返し帯部24を構成し、
板体20が前記折曲稜線23に沿って折り返されるに連れて、折返し帯部24の両基端部24b・24bと同折返し帯部24の中間に形成された折目線24cとが交互に折曲して浮き起こされることによって、各隅角部内側に支持凸部21が作出されるように組立可能であることを特徴とする請求項1記載の化粧箱入りボトルの緩衝梱包材。
【請求項3】
保持枠体2の板体20における両側部には切抜フック形の掛止片25が左右両側に掛合可能にそれぞれ対向関係に形成されており、折曲稜線23に沿って折り返すとき、これら掛止片25・25を掛け合わせて枠体が構成されることを特徴とする請求項2記載の化粧箱入りボトルの緩衝梱包材。
【請求項4】
保持枠体2の上下端部には、内側に突出するスペーサ部26・26がそれぞれ形成されており、収容した化粧箱Kの上面および下面を支持しつつ、上下動を制止可能にしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の化粧箱入りボトルの緩衝梱包材。
【請求項5】
保持枠体2の対向する周壁部22には、ガイド凸起22aがそれぞれ形成されており、これらガイド凸起22aを化粧箱Kの各外周面に当接させることによって、複数の化粧箱Kが外箱体1の内部で回転制止状態に固定保持可能であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の化粧箱入りボトルの緩衝梱包材。
【請求項6】
外箱体1および/または保持枠体2が段ボール製であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の化粧箱入りボトルの緩衝梱包材。
【請求項7】
外箱体1の周壁部と化粧箱Kの外周面とが略45度をなすように配置可能であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の化粧箱入りボトルの緩衝梱包材。
【請求項8】
保持枠体2の支持凸部21が上下複数段に設けられていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載の化粧箱入りボトルの緩衝梱包材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−326621(P2007−326621A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160190(P2006−160190)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(506196030)株式会社三星 (1)
【出願人】(506197060)
【Fターム(参考)】