説明

医用画像処理装置及び方法

【課題】 診断目的の撮影によって得られた画像データに対して画像処理を施し、プリンタ及び/又は画像サーバに送信する医用画像処理装置において、既に記録媒体に記録されている画像ファイルを適切に削除して、新たに受信される画像ファイルを迅速かつ安全に記録媒体に記録する。
【解決手段】 この医用画像処理装置は、画像処理手段42と、画像データファイルを記録媒体36に記録する記録手段37と、画像データファイルを検索するファイル検索手段45と、画像サーバに保存される前の第1類の画像データファイル、及び、ファイル検索手段によって画像サーバから検索された第2類の画像データファイルを記録媒体に記録するように記録手段を制御すると共に、第1類の画像データファイルと第2類の画像データファイルとを異なる削除条件を用いて記録手段37から削除するファイル管理手段44とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影等の診断目的の撮影によって得られた画像データを受信して、該画像データに対して画像処理を施し、画像処理が施された画像データをプリンタ及び/又は画像サーバに送信する医用画像処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)を用いた撮影方法は様々な分野で利用されており、特に医療分野においては、診断のための最も重要な手段の一つとなっている。最初のX線写真が実現されてから、X線写真法は数々の改良を重ねられ、現在では蛍光スクリーンとX線フィルムを組み合わせた方法が主流となっている。一方、近年においては、X線CTや超音波、MRI等の様々なディジタル化された装置が実用化されており、病院内での診断情報処理システム等の構築が進められようとしている。X線画像についてもディジタル化するための多くの研究がなされてきたが、輝尽性蛍光体を用いた放射線撮影方法が確立され、従来のX線写真法に置き換わるものとして注目されている。
【0003】
輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)とは、放射線を照射するとその放射線エネルギーの一部が蓄積され、その後、可視光等の励起光を照射すると、蓄積されたエネルギーに応じて輝尽発光する物質であり、その存在は従来から知られていた。これを用いた放射線撮影方法は、医用画像撮影装置を用いて、輝尽性蛍光体を塗布した記録シートに人体等の被写体の放射線画像を撮影記録し、医用画像読取装置を用いて、記録シートをレーザ光等の励起光で走査すると輝尽発光光が生じるので、この光を光電的に読み取ることにより画像データを得るものである。さらに、医用画像処理装置を用いて、この画像データを適切に処理した後、CRT等のディスプレイに出力したり、レーザプリンタ等によりフィルムに印刷して、放射線画像を可視画像として表示することができる。
【0004】
このような放射線撮影方法は、撮影感度や画質の面で、従来のX線写真法に匹敵する性能を持っている。例えば、従来のX線写真法と比較して、露光域が極めて広く、また、露光量に対する輝尽発光光の応答が露光域全域に渡ってほぼ比例している。このため、被写体をどのような放射線量で撮影しても、画像の存在する発光域をとらえ、過不足なく正規化してディジタル信号化することができる。また、このようにして得た信号を適切な画像処理方法と組み合わせることにより、様々な撮影条件の下でも定常的に良質な画像を提供することが可能である。さらに、直接、ディジタル化された画像情報を得ているので、画像の劣化を招くことなく、大量のデータを長期保存することが可能になるばかりか、医療診断情報システムへの発展等も可能になる。
【0005】
一般に、上記のような放射線撮影方法によって得られた画像データは、医用画像処理装置において画像処理が施され画像のプリントアウトが行われた後、画像サーバに送信されて画像データベースへの保存が行われる。しかしながら、医用画像処理装置においても、一旦、画像データが記録媒体に記録されるので、そのままでは記録すべき画像データの量が膨大になって、記録媒体がオーバーフローしてしまう。
【0006】
関連する技術として、下記の特許文献1には、良好な画質と良好なファイリング適性との両者を併せ持つ画像ファイリング装置が開示されている。この画像ファイリング装置は、多数の画像を表す多数の画像データを入力して、各画像データに可逆圧縮処理を施して可逆圧縮データを求めると共に各画像データに非可逆圧縮処理を施して非可逆圧縮データを求めるデータ圧縮手段と、多数の可逆圧縮データを蓄積記憶しておく書き換え可能な第1の記憶手段と、多数の非可逆圧縮データを蓄積記憶しておく第2の記憶手段と、多数の可逆圧縮データを前記第1の記憶手段に順次蓄積記憶すると共に、前記第1の記憶手段の記憶領域に余裕がなくなった後は過去に蓄積記憶された可逆圧縮データを消去して新たな可逆圧縮データを蓄積記憶する第1の書込手段と、多数の非可逆圧縮データを前記第2の記憶手段に順次蓄積記憶する第2の書込手段と、所望とする画像に対応する可逆圧縮データが前記第1の記憶手段に蓄積記憶されている場合に前記第1の記憶手段から可逆圧縮データを読み出し、所望とする画像に対応する可逆圧縮データが前記第1の記憶手段に蓄積記憶されていない場合に前記第2の記憶手段から所望とする画像に対応する非可逆圧縮データを読み出す読出手段とを備えている。
【0007】
また、下記の特許文献2には、画像サーバに保管された画像データについて、保管容量の上限を超える新たな画像データを保管する際に、保管されている画像データの削除、移動等の分類を適切に行う画像分類方法が開示されている。この画像分類方法によれば、画像サーバに記憶部の保管容量を越える新たな画像データの入力があった場合に、画像データに付与された取得時刻に基づいて、所定の時刻範囲内にある画像データ同士をグループ化して複数の画像グループが作成される。そして、最もデータ数が多い画像グループの画像データから順に削除が行われる。画像グループのデータ数が同一の場合には、乱数により画像データを削除する画像グループが決定される。
【0008】
特許文献1及び2に記載された画像ファイリング装置(画像サーバ)は、記憶部の記憶領域に余裕がなくなった時点において、既に記憶されている画像データを消去するようにしたものであるが、それ以前の時点において記憶領域を確保することができれば、その方がより迅速かつ安全な処理が可能である。
【0009】
下記の特許文献3には、データベースに登録された患者に関わる情報を検索する際の操作性を向上できる内視鏡画像ファイリング装置が開示されている。この画像ファイリング装置を起動してログイン画面、スケジュール一覧画面を経てシステム管理画面にすると、データベースに登録された不要な患者情報を削除する条件を設定する患者情報削除設定画面において患者情報削除条件を設定でき、その設定を行うと設定値が記録され、次の画像ファイリング装置の起動時等において、その設定値を読み込むことにより、該当する患者情報がデータベースから削除される。しかしながら、特許文献3には、画像データの削除方法が開示されておらず、患者情報の削除に関しても、削除契機は1つしか存在しない。
【0010】
下記の特許文献4には、記録装置に記録された不要なファイルを簡単に削除して記録装置の容量を有効に活用することができる情報処理装置が開示されている。この情報処理装置が動作を開始すると、制御部は、記録装置に格納されているマルチメディアファイル全てを走査・検索して、各マルチメディアファイルに付与された再生可能期日データを読み出す。そして、再生可能期日を過ぎているマルチメディアファイルが存在する場合には、削除ルーチンに入り、各コンテンツの付与された削除モードを参照して削除処理を行う。しかしながら、マルチメディアファイルを削除するか否かは、記録装置の容量を考慮せずに決定されるので、記録装置の容量が不足してしまうことも考えられる。
【0011】
下記の特許文献5には、迅速かつ的確な読影を可能とする医療画像ファイルを作成して読影センタに送信する病院端末装置が開示されている。この病院端末装置は、入力部と表示部とを有する入出力手段と、医用撮像装置により作成された医療画像ファイルを取得する画像取得手段と、入力部から入力される調整データに基づいて、少なくとも医療画像のコントラストを調整し、調整結果を医療画像ファイル内に記録する画像調整手段と、医療画像ファイルを読影センタに送信する通信手段と、画像調整手段による医療画像の調整処理の有無を監視し、送信する医療画像ファイルが画像調整されていないものであるときに画像未調整である旨の警告を出力する警告手段とを備えている。医療画像ファイルの削除に関しては、例えば、DICOMファイルのタグ情報から画像タイプを読み出し、変換テーブルにより当該DICOMファイルが削除対象か否かを確認して、削除対象の画像タイプである場合には、DICOMファイルが削除される。しかしながら、医療画像ファイルは、読影センタの読影装置に記憶されるようになっており、病院端末装置において医療画像ファイルを蓄積保存することは開示されていない。
【特許文献1】特開平3−276263号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】特開2003−30223号公報(第1頁、図1)
【特許文献3】特開2003−190083号公報(第1頁、図11)
【特許文献4】特開2004−118630号公報(第1頁、図4)
【特許文献5】特開2004−57592号公報(第1、10頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、放射線撮影等の診断目的の撮影によって得られた画像データを受信して該画像データに対して画像処理を施し、画像処理が施された画像データをプリンタ及び/又は画像サーバに送信する医用画像処理装置において、既に記録媒体に記録されている画像ファイルを適切に削除して、新たに受信される画像ファイルを迅速かつ安全に記録媒体に記録することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明に係る医用画像処理装置は、診断目的の撮影によって得られた画像データを受信して該画像データに対して画像処理を施し、画像処理が施された画像データをプリンタ及び/又は画像サーバに送信する医用画像処理装置であって、受信された画像データに対して画像処理を施す画像処理手段と、画像データを含む画像データファイルを記録媒体に記録する記録手段と、記録手段によって記録された画像データファイル及び画像サーバに保存されている画像データファイルを検索するファイル検索手段と、画像サーバに保存される前の画像データを含む画像データファイルを第1類の画像データファイルとして記録媒体に記録し、ファイル検索手段によって画像サーバから検索された画像データファイルを第2類の画像データファイルとして記録媒体に記録するように記録手段を制御すると共に、第1類の画像データファイルと第2類の画像データファイルとの間で異なる削除条件を用いて記録媒体から画像データファイルを削除するように記録手段を制御するファイル管理手段とを具備する。
【0014】
また、本発明に係る医用画像処理方法は、診断目的の撮影によって得られた画像データを受信して該画像データに対して画像処理を施し、画像処理が施された画像データをプリンタ及び/又は画像サーバに送信する医用画像処理装置において用いられる医用画像処理方法であって、受信された画像データに対して画像処理を施すステップ(a)と、医用画像処理装置において記録媒体に記録された画像データファイル及び画像サーバに保存されている画像データファイルを検索するステップ(b)と、画像サーバに保存される前の画像データを含む画像データファイルを第1類の画像データファイルとして記録媒体に記録し、ステップ(b)において画像サーバから検索された画像データファイルを第2類の画像データファイルとして記録媒体に記録するステップ(c)と、第1類の画像データファイルと第2類の画像データファイルとの間で異なる削除条件を用いて記録媒体から画像データファイルを削除するステップ(d)とを具備する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、医用画像処理装置において記録媒体に記録された画像データファイル及び画像サーバに保存されている画像データファイルを検索可能にすると共に、医用画像処理装置において記録媒体に記録された画像データファイルに対し、画像サーバに保存される前の画像データファイルと画像サーバから検索された画像データファイルとの間で異なる削除条件を用いて管理することにより、既に記録媒体に記録されている画像ファイルを適切に削除して、新たに受信される画像ファイルを迅速かつ安全に記録媒体に記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、この医用画像撮影システムは、病院情報管理システム(HIS:hospital information system)100と、病院の受付端末200と、放射線科に設置された放射線科情報管理システム(RIS:radiology information system)300とを、ネットワークN1を介して接続し、さらに、放射線科において、RIS300と、受付端末400と、医用画像撮影装置10と、医用画像読取装置20と、医用画像処理装置30と、画像サーバ50と、プリンタ60とを、ネットワークN2を介して接続することにより構成される。なお、放射線科において、医用画像撮影装置10〜プリンタ60を複数設けるようにしても良い。
【0017】
HIS100は、病院全体の業務を管理するために用いられる。受付端末200は、病院の受付において、被検者である患者の氏名や患者ID番号等の患者情報を入力するために用いられ、また、予め放射線撮影を行うことが分かっている場合には、撮影部位等を表す撮影メニュー、検査番号及び検査日等の検査情報を入力するために用いられる。なお、患者情報及び検査情報は、放射線科の受付端末400、医用画像撮影装置10の入力部、又は、医用画像処理装置30の入力部を用いて入力するようにしても良い。
【0018】
放射線科において、RIS300は、放射線撮影に関する様々な業務の遂行を管理するために用いられる。放射線科には、被検者に放射線を照射して撮影を行うことにより記録シート(輝尽性蛍光体シート)1に放射線画像を記録する医用画像撮影装置10と、記録シート1に記録されている放射線画像等の情報を光電的に読み取って画像データを生成する医用画像読取装置20と、医用画像読取装置20から画像データ及び画像付帯情報を受信してそれらに各種の処理を施すと共に、医用画像撮影装置10を制御するためのコンソールとしても用いられる医用画像処理装置30と、医用画像処理装置30において処理が施された画像データ及び画像付帯情報を保存する画像サーバ50と、医用画像をフィルム等に印刷するプリンタ60とが設置されている。
【0019】
医用画像処理装置30は、医用画像読取装置20から受信した画像付帯情報に含まれているS値(感度)及びL値(ラチチュード)を表すデータに基づいて、S値及びL値を表示部に表示する。医用画像処理装置30において、撮影手技や撮影部位毎にS値及びL値の適切な範囲が設定されており、S値及びL値が適切な範囲から外れる異常値であった場合には、医用画像処理装置30がオペレータに通知する。
【0020】
本実施形態によれば、医用画像処理装置30において、医用画像読取装置20から受信され画像処理が施された画像データをプリンタに出力することにより医用画像をフィルム等に印刷すると共に、一旦画像サーバ50に保存された画像データを再び読み出してプリンタに出力することにより医用画像をフィルム等に印刷することができるようになっている。また、医用画像処理装置30は、医用画像読取装置20及び画像サーバ50から受信して蓄積された画像データを所定の方法で自動的に削除することにより、記録媒体のオーバーフローを防止している。
【0021】
図2は、図1に示す医用画像撮影装置の構成を示すブロック図である。医用画像撮影装置10は、記録シート1の位置を上下に移動させることにより被検者における撮影位置を昇降させる撮影位置昇降機構11と、被検者の足の位置を決める撮影台12と、被検者に放射線を照射する放射線発生部13と、記録シートに識別標識として付されているバーコードを読み取るバーコードリーダ14と、各種の命令や撮影条件を入力するために用いられる入力部15と、与えられた撮影条件に従って放射線発生部13等を制御する撮影制御部16とを含んでいる。
【0022】
バーコードリーダ14は、記録シート1を収納するカセッテが撮影台12にセットされたときに、カセッテに設けられた窓を通して記録シート1のバーコードを自動的に読み取れるように、撮影台12に設置されるのが望ましいが、特に固定せずに、手動でバーコードを読み取るようにしても良い。また、撮影制御部16は、医用画像処理装置30に接続されており、医用画像処理装置30から受信する信号に基づいて各部を制御する。
【0023】
放射線撮影に用いられる記録シート1は、輝尽性蛍光体物質を塗布したものであり、放射線が照射されることによって被写体の情報が記録される。所定の撮影条件の下で被検者の放射線撮影が行われ、その放射線画像が記録シート1に記録される。撮影後、記録シート1を収納するカセッテは、いずれかの医用画像読取装置にセットされる。
【0024】
図3は、図1に示す医用画像読取装置の構成を示すブロック図である。図3に示す医用画像読取装置20において、レーザ光源21から出射した光ビームは、光走査部22を通って記録シート1の表面を走査する。この走査により光ビームが記録シート1に照射され、光ビームが照射された箇所から蓄積記録された放射線画像情報に応じた光量の輝尽発光光が生じる。輝尽発光光は、フォトマルチプライヤ(光電子増倍管)23により光電的に検出され、アナログ信号として出力されて増幅器24により増幅され、A/D変換器25によりディジタル化される。また、記録シート1に付されたバーコードが、バーコードリーダ26により読み取られ、バーコード情報が、患者情報及び検査情報に対応する画像付帯情報として使用される。このようにして生成された画像データ及び画像付帯情報は、出力部27からネットワークN2を介して医用画像処理装置30(図1)に送信される。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示すブロック図である。医用画像処理装置30は、各種の命令等を入力するために用いられるキーボードやマウス等の入力部31と、画像を表示するCRTディスプレイ等の表示部32と、画像をフィルム等に印刷するプリンタ33と、入力部31〜プリンタ33が接続されるインタフェース34と、医用画像読取装置から受信される画像データ及び画像付帯情報を一時的に記憶するメモリ35と、画像データ及び画像付帯情報が画像データファイルとして記録される記録媒体としてのハードディスク36と、ハードディスクに画像データファイル等を記録する記録手段としてのハードディスクドライブ37と、ネットワークインタフェース38と、中央演算装置(以下、CPUという)40とを含んでいる。メモリ35、ハードディスクドライブ37、ネットワークインタフェース38、及び、CPU40は、バスラインBLを介して相互に接続されている。
【0026】
ハードディスク36には、画像データファイルの他に、CPU40に動作を行わせるためのソフトウェア(制御プログラム)が記録されている。CPU40とソフトウェア(制御プログラム)とによって、受信制御部41と、画像処理部42と、出力部43と、ファイル管理部44と、ファイル検索部45とが、機能ブロックとして構成される。
【0027】
受信制御部41は、ネットワークN2を介して、図3に示す医用画像読取装置20から、記録シートに記録された放射線画像を読み取ることによって得られた画像データと共に画像付帯情報を受信するように制御を行う。また、画像処理部42は、受信制御部41の制御の下で受信された画像データに対して、階調処理や空間周波数処理等の画像処理を施す。
【0028】
出力部43は、画像処理部42において画像処理が施された画像データを、インタフェース34を介して表示部32、プリンタ33、又は、外部のプリンタ60(図1)に出力する。これにより、放射線画像が、表示部32の画面に表示されたり、フィルム等に印刷される。
【0029】
ファイル管理部44は、医用画像読取装置20から受信された画像データ、又は、画像処理部42によって画像処理が施された画像データを含む画像データファイルを、第1類の画像データファイルとしてハードディスク36に記録するようにハードディスクドライブ37を制御する。また、ファイル管理部44は、ネットワークN2を介して画像サーバ50(図1)に画像データファイルを送信する。これにより、画像データファイルが画像サーバ50に保存される。
【0030】
ファイル検索部45は、オペレータの要求に従って、過去に作成された画像データファイルを検索する。本実施形態においては、ファイル検索部45が、ハードディスク36に記録されている画像データファイルのみならず、画像サーバ50に保存されている画像データファイルをも検索することができる。例えば、患者を診察する際に過去において撮影された医用画像が必要となる場合や、プリントアウトされたフィルムが破損又は紛失された場合や、他の医療施設に患者を紹介する場合等に、過去に作成された画像データファイルが検索される。
【0031】
具体的には、ファイル検索部45が過去において画像データファイルを出力した1つ又は複数の画像サーバのホスト名やAE(Application Entity)名が表示部32の画面に表示されるので、オペレータは、その中から検索先の画像サーバを選択したり、選択されている画像サーバを変更したりすることができる。また、検索キーとしては、患者ID番号、患者氏名、漢字の患者氏名、検査日、検査番号、撮影に用いられた医用画像撮影装置(撮影モダリティー)の種類又は機種名等の内の1つ、又は、複数の組合せが用いられる。
【0032】
オペレータが、入力部31を操作することにより、過去に作成された画像データファイルを要求すると、ファイル検索部45は、まず、ハードディスク36においてその画像データファイルを検索することにより、その画像データファイルがハードディスク36に記録されているか否かを確認する。要求された画像データファイルがハードディスク36に記録されている場合には、ファイル検索部45は、ハードディスク36からその画像データファイルを読み出す。
【0033】
一方、要求された画像データファイルがハードディスク36に記録されていない場合には、ファイル検索部45は、ネットワークN2を介して画像サーバ50においてその画像データファイルを検索することにより、画像サーバ50からその画像データファイルを読み出す。その際に、ファイル管理部44は、ファイル検索部45によって画像サーバ50から検索された画像データファイルを第2類の画像データファイルとしてハードディスク36に記録するようにハードディスクドライブ37を制御する。ここで、ファイル管理部44は、第1類の画像データファイルと第2類の画像データファイルとを区別できるように、それらのファイル名に特徴を持たせたり、あるいは、それらのプロファイルの一部に相違点を持たせたりする。
【0034】
検索の結果、ファイル検索部45は、読み出された画像データファイルに含まれている画像データによって表される画像を表示部32の画面に表示させる。オペレータは、表示された画像を確認して、プリンタ33又は60を用いてフィルム等に印刷することができる。
【0035】
このようにしてハードディスク36に画像データファイルが記録され、それが蓄積されて来ると、ハードディスク36がオーバーフローしてしまうおそれがある。そこで、ファイル管理部44は、不要な画像データファイルを削除することにより、ハードディスク36における記録領域の管理を行っている。
【0036】
その際に、ファイル管理部44は、画像サーバ50に保存される前の画像データを含む第1類の画像データファイルと、ファイル検索部45によって画像サーバ50から検索された第2類の画像データファイルとの間で、異なる削除条件を用いて、ハードディスク36から画像データファイルを削除するようにハードディスクドライブ37を制御する。
【0037】
即ち、第1類の画像データファイルが医用画像読取装置20から受信した直後の画像データを含む場合には、その画像データに対して画像処理を施すと共に画像データを画像サーバ50に格納する必要があるので、ある程度の期間においては画像データを削除することができない。また、第1類の画像データファイルが画像処理部42において画像処理が施された直後の画像データを含む場合には、必要に応じて画像をプリントアウトしたり、画像データを画像サーバ50に格納する必要があるので、上記と同様に、ある程度の期間においては画像データを削除することができない。
【0038】
そこで、第1類の画像データファイルに関しては、ファイル管理部44が、予め定められた保管容量制限プロトコルに従って、ハードディスク36に記録されている第1類の画像データファイルを削除するように、ハードディスクドライブ37を制御する。例えば、ファイル管理部44は、ハードディスク36に残っている空き領域が所定の値よりも小さくなったときに、ハードディスク36に記録されている第1類の画像データファイルの内で比較的古く作成された少なくとも1つの画像データファイルを削除するように、ハードディスクドライブ37を制御する。
【0039】
具体的には、現在記録されている画像データファイルに加えて、さらに100個の画像データファイルを記録するための記録容量をハードディスク36において確保する場合について考える。1つの画像データファイルに含まれているデータ量が平均してほぼ20Mバイトであるとすると、さらに100個の画像データファイルを記録するためには、ハードディスク36において2Gバイトの空き領域が必要である。そこで、ファイル管理部44は、ハードディスク36に残っている空き領域が2Gバイトよりも小さくなったときに、空き領域が2Gバイトとなるように、ハードディスク36に記録されている第1類の画像データファイルの内で比較的古く作成された1つ又は複数の画像データファイルを削除するように、ハードディスクドライブ37を制御する。
【0040】
一方、第2類の画像データファイルは、既に画像サーバ50に保存されているものなので、検索によって画像をフィルム等に印刷した後は、ハードディスク36に記録しておく必要はない。そこで、ファイル管理部44は、プリンタへの送信が完了した画像データファイルに対して、目印となるポインタを付加したり、フラグを立てたりしておく。これにより、ファイル管理部44は、ハードディスク36に記録されている第2類の画像データファイルの内でプリンタへの送信が完了した画像データファイルを削除するように、ハードディスクドライブ37を制御することができる。
【0041】
第2類の画像データファイルの削除のタイミング(契機)としては、医用画像処理装置30の電源スイッチがオンされて動作が開始される際に、第2類の画像データファイルの内でプリンタへの送信が完了した画像データファイルを削除するようにしても良いし、医用画像処理装置30において電源の切断が指示されて動作が終了される際に、第2類の画像データファイルの内でプリンタへの送信が完了した画像データファイルを削除するようにしても良い。
【0042】
あるいは、画像サーバ50に保存されている画像データファイルの新たな検索がファイル検索部45によって行われる際に、既にハードディスク36に記録されている第2類の画像データファイルの内でプリンタへの送信が完了した画像データファイルを削除するようにしても良い。さらに別の方式としては、医用画像処理装置30の立ち上げ又は終了をカウントしてカウント値が設定値になったら画像データファイルを削除するようにして、オペレータが、その設定値を選択することにより、画像データファイルの自動削除を行うタイミング(契機)を自由に設定できるようにしても良い。
【0043】
本実施形態においては、放射線撮影によって得られた画像データを受信して処理する医用画像処理装置について説明したが、本発明はこれに限定されず、CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置、MRI(Magnetic Resonance Image:磁気共鳴撮影)装置、US(ultrasonography:超音波断層撮影)装置等の各種のモダリティによって得られた画像データを受信して処理する医用画像処理装置に適用することができる。
【0044】
また、本実施形態においては、受信制御部41〜ファイル検索部45をCPUとソフトウェアによって構成したが、ディジタル回路やアナログ回路で構成しても良い。さらに、画像データファイルが記録される記録媒体として、内蔵のハードディスク36の他に、外付けハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、又は、DVD−ROM等を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、放射線撮影等の診断目的の撮影によって得られた画像データを受信して、該画像データに対して画像処理を施し、画像処理が施された画像データをプリンタ及び/又は画像サーバに送信する医用画像処理装置において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像撮影システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す医用画像撮影装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す医用画像読取装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0047】
1 記録シート(輝尽性蛍光体シート)
10 医用画像撮影装置
11 撮影位置昇降機構
12 撮影台
13 放射線発生部
14 バーコードリーダ
15 入力部
16 撮影制御部
20 医用画像読取装置
21 レーザ光源
22 光走査部
23 フォトマルチプライヤ(光電子増倍管)
24 増幅器
25 A/D変換器
26 バーコードリーダ
27 出力部
30 医用画像処理装置
31 入力部
32 表示部
33 プリンタ
34 インタフェース
35 メモリ
36 ハードディスク
37 ハードディスクドライブ
38 ネットワークインタフェース
40 中央演算装置(CPU)
41 受信制御部
42 画像処理部
43 出力部
44 ファイル管理部
45 ファイル検索部
50 画像サーバ
60 プリンタ
100 HIS
200、400 受付端末
300 RIS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断目的の撮影によって得られた画像データを受信して該画像データに対して画像処理を施し、画像処理が施された画像データをプリンタ及び/又は画像サーバに送信する医用画像処理装置であって、
受信された画像データに対して画像処理を施す画像処理手段と、
画像データを含む画像データファイルを記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録手段によって記録された画像データファイル及び前記画像サーバに保存されている画像データファイルを検索するファイル検索手段と、
前記画像サーバに保存される前の画像データを含む画像データファイルを第1類の画像データファイルとして前記記録媒体に記録し、前記ファイル検索手段によって前記画像サーバから検索された画像データファイルを第2類の画像データファイルとして前記記録媒体に記録するように前記記録手段を制御すると共に、第1類の画像データファイルと第2類の画像データファイルとの間で異なる削除条件を用いて前記記録媒体から画像データファイルを削除するように前記記録手段を制御するファイル管理手段と、
を具備する医用画像処理装置。
【請求項2】
前記ファイル管理手段が、前記記録媒体に残っている空き領域が所定の値よりも小さくなったときに、前記記録媒体に記録されている第1類の画像データファイルの内で比較的古く作成された少なくとも1つの画像データファイルを削除するように前記記録手段を制御する、請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記ファイル管理手段が、前記記録媒体に記録されている第2類の画像データファイルの内でプリンタへの送信が完了した画像データファイルを削除するように前記記録手段を制御する、請求項1又は2記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記ファイル管理手段が、前記医用画像処理装置の動作が開始される際に、又は、前記医用画像処理装置の動作が終了される際に、前記記録媒体に記録されている第2類の画像データファイルの内でプリンタへの送信が完了した画像データファイルを削除するように前記記録手段を制御する、請求項3記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記ファイル管理手段が、前記画像サーバに保存されている画像データファイルの新たな検索が前記ファイル検索手段によって行われる際に、既に前記記録媒体に記録されている第2類の画像データファイルの内でプリンタへの送信が完了した画像データファイルを削除するように前記記録手段を制御する、請求項3記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
診断目的の撮影によって得られた画像データを受信して該画像データに対して画像処理を施し、画像処理が施された画像データをプリンタ及び/又は画像サーバに送信する医用画像処理装置において用いられる医用画像処理方法であって、
受信された画像データに対して画像処理を施すステップ(a)と、
前記医用画像処理装置において記録媒体に記録された画像データファイル及び前記画像サーバに保存されている画像データファイルを検索するステップ(b)と、
前記画像サーバに保存される前の画像データを含む画像データファイルを第1類の画像データファイルとして前記記録媒体に記録し、ステップ(b)において前記画像サーバから検索された画像データファイルを第2類の画像データファイルとして前記記録媒体に記録するステップ(c)と、
第1類の画像データファイルと第2類の画像データファイルとの間で異なる削除条件を用いて前記記録媒体から画像データファイルを削除するステップ(d)と、
を具備する医用画像処理方法。
【請求項7】
ステップ(d)が、前記記録媒体に残っている空き領域が所定の値よりも小さくなったときに、前記記録媒体に記録されている第1類の画像データファイルの内で比較的古く作成された少なくとも1つの画像データファイルを削除することを含む、請求項6記載の医用画像処理方法。
【請求項8】
ステップ(d)が、前記記録媒体に記録されている第2類の画像データファイルの内でプリンタへの送信が完了した画像データファイルを削除することを含む、請求項6又は7記載の医用画像処理方法。
【請求項9】
ステップ(d)が、前記医用画像処理装置の動作が開始される際に、又は、前記医用画像処理装置の動作が終了される際に、前記記録媒体に記録されている第2類の画像データファイルの内でプリンタへの送信が完了した画像データファイルを削除することを含む、請求項8記載の医用画像処理方法。
【請求項10】
ステップ(d)が、前記画像サーバに保存されている画像データファイルの新たな検索が前記ファイル検索手段によって行われる際に、既に前記記録媒体に記録されている第2類の画像データファイルの内でプリンタへの送信が完了した画像データファイルを削除することを含む、請求項8記載の医用画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−239148(P2006−239148A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59133(P2005−59133)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】