説明

医用画像診断装置

【課題】 対象部位を含む画像を参照して対象部位に穿刺針を刺入場合に、穿刺針の修正方向を、術者が容易に判断することを可能にする医用画像診断装置を提供すること。
【解決手段】 被検体内の対象部位に穿刺針を刺入する際に用いる医用画像診断装置であって、装置本体の第1画像表示手段14の他に、穿刺針の近傍に第2画像表示手段17を備え、第2画像表示手段に穿刺針の刺入方向に垂直で対象部位を含む断面画像を表示させて、対象部位と前記穿刺針との相対位置関係を示すことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内の対象部位について3次元画像を表示するとともに、穿刺針を刺入する際に用いる医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、国内において3大疾患の中で、癌疾患による死亡率が唯一伸びており、診断のみならず治療によりその死亡率を抑止することが社会的に求められている。また、この癌疾患の中で肝癌は約10%を占め、残念ながら増加傾向にある。
【0003】
例えば、肝癌に関しては、超音波診断装置、MRI、X線CT装置等の医用画像診断装置による診断で早期の段階で発見できるようになってきている。
【0004】
一方、肝癌の治療方法としては、肝動脈内抗がん剤注入法、肝動脈塞栓療法、低侵襲治療法及び開腹外科手術がある。その中で、手術が簡単で患者への負担が少ないという理由から、低侵襲治療法が多く実施されている。
【0005】
低侵襲治療法は、穿刺針を生体内に刺入して治療を行うもので、例えばPEIT(経皮的エタノール注入法:Percutaneous Ethanol Injection Technique)やマイクロ波穿刺焼灼法などがある。また、最近では穿刺焼灼法の1つであるRFA(高周波焼灼法:Radio−Frequency Ablation)が脚光を浴び始め、臨床適用がかなり進められている。また、穿刺針を用いて癌などの組織の採取等の検査も行われている。以下、上述の穿刺針を用いた治療方法や検査方法を纏めて穿刺術という。
【0006】
ところで、このような穿刺術は、損傷により大出血を起こす危険性のある血管などを避けるために、或いは、目的である癌などの組織に対して確実に穿刺するために、一般的には、超音波診断装置などの医用画像診断装置を用いる。例えば、超音波診断装置の表示画面に2次元の断層画像を表示して、その2次元の断層画像を参照しながら行われる。
【0007】
例えば、穿刺部位マーカ手段及び刺入方向マーカ手段により、穿刺部位及び刺入方向を指定することにより、穿刺を容易に行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
また、近年では、1次元に配列された超音波振動子を機械的に往復運動させる超音波プローブ(以下、探触子と呼ぶ)や、2次元に配置された超音波振動子を備える探触子を用いて、被検体のボリュームデータを収集し、立体画像や複数方向の断面画像等の3次元画像を表示する超音波診断装置を穿刺術の支援に用いる研究や提案がされている(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
【特許文献1】特開平5−176922号公報
【特許文献2】特開2000−185041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、参照する画像にかかわらず、穿刺針の曲がり等による目標の対象部位への軌道からの外れが発生する。その場合、術者は、表示画面を見て手元の穿刺針への操作を確認しながら穿刺針の刺入方向の修正を行う、つまり、視線移動を繰り返しながら作業を行うことになり修正方向を容易に判断できなかった。また、この視線移動の繰り返しは、術者にとっては多大な負担となっていた。
【0011】
また、表示された画面上での修正すべき方向が、実際には穿刺針の向きをどの方向に修正すべきかを直感的に判断することは難しい。このために、探触子の位置や向きの調整に時間を割かれたり、何度も穿刺針を抜きさししたりすることがしばしばあり、患者にも術者にも負担がかかるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、第1の目的とするところは、穿刺針を操作する手元からの視線移動を減らすことが可能な医用画像診断装置を提供することにある。
【0013】
また、第2の目的とするところは、穿刺針の修正方向を、術者が容易に判断することを可能にする医用画像診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記第1の目的を達成するために請求項1記載の発明は、被検体内の対象部位に穿刺針を刺入する際に用いる医用画像診断装置であって、前記穿刺針を刺入する位置の近傍に移動可能になされた表示手段と、少なくとも前記対象部位を含む前記被検体内3次元画像を示す3次元画像データを生成する3次元画像データ生成手段と、前記3次元画像データを利用して前記対象部位の位置と前記穿刺針の位置との関係を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項2記載の発明は、被検体内の対象部位に穿刺針を刺入する際に用いる医用画像診断装置であって、前記穿刺針を刺入する位置の近傍に移動可能になされた表示手段と、少なくとも前記対象部位を含む前記被検体内3次元画像を示す3次元画像データを生成する3次元画像データ生成手段と、前記被検体に対する前記穿刺針の刺入方向を検出する検出手段と、前記3次元画像データに基づいて、前記検出された刺入方向に垂直で前記対象部位を含む第1の断面画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記第2の目的を達成するために請求項8記載の発明は、被検体内の対象部位に穿刺針を刺入する際に用いる医用画像診断装置であって、表示手段と、入力手段と、前記被検体に対して超音波の送受信を行うことにより受信信号を送出する探触子と、前記受信信号に基づいて3次元超音波画像を経時的に再構成する画像再構成手段と、前記入力手段を用いて入力される位置に基づいて、前記経時的に再構成される3次元超音波画像の中の1つの3次元超音波画像についての前記対象部位の位置と前記穿刺針の刺入予定経路を決定するマーク手段と、前記決定された前記対象部位の位置及び前記穿刺針の刺入予定経路に基づいて、前記1つの3次元超音波画像に続いて経時的に再構成される3次元超音波画像における前記対象部位の位置及び前記穿刺針の刺入予定経路を追尾して求める穿刺対象位置追尾手段と、それぞれの3次元超音波画像における穿刺針を検出する穿刺針検出手段と、前記それぞれの3次元超音波画像について求められた前記対象部位の位置、前記刺入予定経路及び前記それぞれの3次元超音波画像について検出された穿刺針の関係を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1または請求項2に記載の医用画像診断装置によれば、穿刺針を刺入する位置の近傍に表示手段を配置できるので、手元で画像を確認しながら穿刺針の操作を行うことができ、視線移動を繰り返す必要がない。
【0018】
請求項8に記載の医用画像診断装置によれば、穿刺方向と穿刺針の刺入予定経路とのずれを表示できるので、術者が修正方向を容易に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る医用画像診断装置の様々な実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。また、同一の構成要素に関しては、各図において同一の符号を付すこととする。
【0020】
[第1の実施の形態]
(システム構成)
本発明に係る第1の実施の形態について説明をする。図1は、第1の実施の形態における医用画像診断装置の構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態は、医用画像診断装置として超音波診断装置を取り上げている。
【0021】
探触子11は、被検体のボリュームデータを収集するためのもので、例えば2次元状に配列された複数の超音波振動子を備える。ここで、図2に探触子11によるスキャンの様子を示す。図2に示すように、振動子が配列された振動子配列面11aから超音波を被検体内に送出し被検体から戻ってくる反射波を受信することにより被検体内を3次元的にスキャンする。例えば、図2に示すスキャン範囲をスキャンする。そして、受信した反射波をエコー信号(受信信号)として、図示しないケーブルを介して接続される装置本体の画像再構成部12に送出する。また、図2に示すように探触子11には、図2に示すように位置検出装置16Aが装着されている。また、位置検出装置16Aは図2に示すような3次元XYZ座標軸を有している。また、探触子11は、1次元状に配列された超音波振動子を往復移動させて3次元的にスキャンするものでもよい。
【0022】
穿刺針18は、穿刺対象2(対象部位)に刺入されて治療や検査を行うためのものである。また、図2に示すように穿刺針18には、図2に示すように位置検出装置16B及び本発明における表示手段としての第2画像表示手段17が固定具19によって固定されている。また、位置検出装置16Bは図2に示すような3次元UVW座標軸を有している。また、表示画面17aはW軸に垂直に固定されている。また、穿刺針18は、UV平面の所定の位置にW軸と平行に固定され、第2画像表示手段17の表示画面17aの中央を貫通して固定されている。また、表示画面17aには、LCD(liquid crystal display、液晶表示素子)などの表示画面を用い、片手で取り扱うことができる程度に小型・軽量であることが望ましい。また、位置検出装置16B及び第2画像表示手段17は、図示しないケーブルを介して装置本体接続されている。または、無線を介して接続されていてもよい。
【0023】
再び、図1に戻り、画像再構成部12は、エコー信号に、エコー信号対数増幅や包絡線検波処理等を施し、信号強度が明るさを示す輝度データに変換し、得られた輝度データに基づき、3次元画像データを生成する。さらに、メモリを備え3次元画像データを記憶する。また、3次元画像データを画像表示制御部15に送出する。また、探触子11のスキャン範囲と3次元XYZ座標軸との相対的な位置関係からスキャン範囲内の各位置を3次元XYZ座標空間の座標により示されている。本発明の3次元画像データ生成手段は、主に探触子11と画像再構成部12とを含んで構成される。
【0024】
画像表示制御部15は、表示画像データ生成手段としての機能を有する。例えば術者により図示しない指示手段を介して指示される表示形式に従って、3次元画像データに基づいて、例えばボリュームレンダリング表示の画像データ、或いはMPR(Multi Planar Reconstruction)表示のアキシャル画像、サジタル画像、コロナル画像の直交3面の断面の画像データなどを生成する。さらに、画像表示制御部15は、表示制御手段としての機能を有し、例えば第1画像表示手段14または第2画像表示手段17に生成した画像データの画像を表示させる。
【0025】
第1画像表示手段14は、装置本体に備えられ、LCDまたはCRT(cathode ray tube)などで構成されるいわゆるモニタである。
【0026】
マーク手段13は、トラックボールや各種キーなどからなる入力手段を含んで構成される。まず、術者が、例えば第1画像表示手段14に表示される画像、例えばMPR表示を見ながら、入力手段を用いて行われる入力に基づいて、穿刺対象2の位置を決定する。この位置は3次元XYZ座標空間の点または領域で指定される。そして、マーク手段13は、この入力を受けて穿刺対象位置情報として画像表示制御部15に送出する。
【0027】
位置検出手段16(検出手段)は、位置検出装置16Aの3次元XYZ座標における位置検出装置16Bの3次元UVW座標の相対位置関係を検出して、3次元XYZ座標における穿刺針の位置及び刺入方向を示す直線の式及び穿刺針18の先端位置の座標を求める。具体的には、まず位置検出装置16Aと位置検出装置16Bとが所定の相対位置関係になされた状態で位置検出装置16Aの3次元XYZ座標における位置検出装置16Bの3次元UVW座標の初期位置を認識する(初期設定)。例えば、それぞれを所定の相対位置関係を有する専用台に置いた状態で、釦等を押下するなどしてその状態を3次元XYZ座標における3次元UVW座標の初期位置として認識するようにする。その後、探触子11または穿刺針18が移動させられると、位置検出装置16Aと位置検出装置16Bとの相対位置関係の変化、つまり位置検出装置16Bの原点座標の位置の変化や座標軸の回転などを検出することで、3次元XYZ座標に対する3次元UVW座標の位置及び方向を認識する。例えば、図2に示すような3次元XYZ座標に対する3次元UVW座標の位置及び方向が認識できる。ここで、上述したように穿刺針18はUV平面の所定の位置にW軸と平行に固定されていることから穿刺針18を3次元UVW座標空間で直線を示す式で表すことができるので、座標変換により、3次元XYZ座標空間での穿刺針18を示す直線の式として求めることができる。これを、穿刺針刺入情報として画像表示制御部15に送出する。また、穿刺針18の先端位置を3次元UVW座標空間における座標で示しておくことにより、穿刺針18の先端位置を3次元XYZ座標空間での座標として求めることができる。これを穿刺針先端位置情報として画像表示制御部15に送出する。
【0028】
また、画像表示制御部15は、さらに、平面決定手段としての機能を有し、3次元画像データ、穿刺対象位置情報及び穿刺針刺入情報に基づいて、図3に示すような穿刺針18の穿刺針の刺入方向に垂直且つ穿刺対象2を含む平面31を決定する。具体的には、図3に示す3次元画像データ中の穿刺対象を示す穿刺対象位置情報に基づいて例えば穿刺対象2の中心を求め、その穿刺対象2の中心を含む平面の中から、穿刺針刺入情報が示す直線に直交する面を選択し、その面を平面31として決定する。さらに、画像表示制御部15は、3次元画像データにおいて平面31による断面画像の画像データを生成し、第2画像表示手段17に表示する。
【0029】
また、画像表示制御部15は、例えば、平面31と穿刺針を示す直線との交点の位置を表示画面17aの中央に位置させるように表示させる。これにより、穿刺針18と穿刺対象2とが図4(a)に示すような位置関係にある場合に、第2画像表示手段17では、図4(b)に示すように表示画面17aの中央に対して穿刺対象2がずれて表示される。以下図5、図6及び図8では、図4と同様に(a)には穿刺針18と穿刺対象2との位置関係の実態を示し、(b)にはそれぞれの場合の表示画面17aに表示される様子を示す。また、図5(a)に示すように穿刺針18の刺入方向に対して穿刺対象2が一致する位置にある場合に、図5(b)に示すように表示画面17aの中央に穿刺対象2が表示される。したがって、術者は、穿刺針18の刺入方向と穿刺対象2との相対位置関係を把握することができる。
【0030】
またさらに、画像表示制御部15は、穿刺針先端位置情報が示す穿刺針18の先端の3次元XYZ座標空間での位置が、スキャン範囲に入ったことを検知する検知手段としての機能を有する。具体的には、穿刺針先端位置が探触子11のスキャン範囲内に入ったことを穿刺針先端位置の座標により検知する。そして、先端位置(実際には、穿刺針18側の先端近傍)を含む平面の中から、穿刺針刺入情報が示す直線に直交する面を選択しその面を平面32として決定し、3次元画像データにおいて平面32による断面画像の画像データを生成し、平面32による断面画像を上述の平面31による断面画像に重畳して第2画像表示手段17に表示する。
【0031】
例えば、図5(a)に示したように穿刺針18の刺入方向に対して穿刺対象2が一致する状態で穿刺針18を刺入したときに、図6(a)に示すように穿刺針18の先端が穿刺の途中で曲がった場合には、穿刺針18の先端は、平面32と刺入方向との交点からずれた位置になるから、図6(b)に示すように表示画面17aの中央に対して穿刺針18の先端がずれて表示される。これにより、術者は、そのときの穿刺針18が曲がったことを把握できる。また、そのときに穿刺針18先端と穿刺対象2とのずれ量を表示するようにしてもよい。具体的には、平面32による断面画像の中の輝度の高いデータの領域を穿刺針18として判断し、例えばその領域の中心と平面32と穿刺針を示す直線との交点との距離を求めて、その距離をずれ量として表示する。
【0032】
また、画像表示制御部15は、さらに、図7に示すように穿刺対象2の中心を含む平面の中から、穿刺針刺入情報が示す直線を含む面を選択し、その面を平面33として決定する。その平面33による断面の画像データを生成し、例えば、平面31による断面画像とともに第2画像表示手段17に表示する。この平面33による断面画像には穿刺針18の長さ方向の画像が含まれるから、例えば穿刺針18の先端が穿刺対象2に到達したか否かを目視で確認することができる。
【0033】
また、上述の平面31乃至平面33による断面画像を第1表示手段14に表示してもよい。しかしながら、上述のように第2表示手段17に表示することによれば、術者は、手元の断面画像を確認しながら、穿刺針18への操作を行うことができるので、第1表示手段14見る必要がない。また、視線移動を行う必要がない。したがって、第2表示手段17に表示することにより視線移動による術者の負担を軽減することが可能となる。
【0034】
また、第2表示手段17は、穿刺針18を貫通させずに穿刺針18と並べて配置してもよい。また、刺入位置は探触子11の近傍であるから、第2表示手段17を探触子11に備えるようにしてもよい。この場合、表示画面17aの中央にマークなどを備えるようにして、穿刺対象2を示す画像とそのマークとのずれから穿刺針18の刺入方向と穿刺対象2との位置関係を把握することができる。また、表示画面17aのマーク等に代えて断面画像にマークを示す画像を含むようにしてもよい。
【0035】
(穿刺手順)
次に、図9を参照しつつ上述の構成の超音波診断装置を用いて行う穿刺術の手順について説明する。図9は、本実施の形態の超音波診断装置の動作態様を示すフローチャートである。
【0036】
初めに、位置検出装置16Aと位置検出装置16Bとの相対位置の初期設定を行う。まず、術者が、探触子11を被検体に当接させると、画像表示制御部15は、穿刺対象2を含む3次元画像を第1画像表示手段14または第2画像表示手段17に表示させる(ステップS101。以下、ステップS101をS101と省略して表す。また、他のステップも同様に省略して表す。)。次に、術者が、トラックボールや各種キーなどからなる入力手段を用いて、例えばMPR表示を見ながら、穿刺対象2の位置を指定する。マーク手段13は、この入力を受けて(S102、Yes)、穿刺対象位置情報として画像表示制御部15に送出する。
【0037】
ここで、位置検出装置16B及び第2画像表示手段17が固定された穿刺針18を被検体に当接させる。ここで、例えば術者が入力手段などを用いて第2画像表示手段17に上述の平面31による刺入方向に垂直で穿刺対象2を含む断面画像を表示するように要求する。
【0038】
画像表示制御部15は、その要求を受けて(S103、Yes)、穿刺対象位置情報及び位置検出装置16Aと位置検出装置16Bとの相対位置の検出結果に基づいて、穿刺針18の穿刺針の刺入方向に垂直且つ穿刺対象2を含む平面31による断面画像を第2画像表示手段17に表示させる(S104)。ここで、例えば穿刺針18が図8(a)に示すAのように穿刺対象2からずれた方向になされていたとすると、第2画像表示手段17に図8(b)に示すAのように穿刺対象2が画面中心からずれて表示される。ここで、術者が穿刺針18の向きを変えることに伴い、穿刺対象2を含む変えられた穿刺針18の向き垂直な断面画像を第2画像表示手段17に表示するので、術者は、第2画像表示手段17に表示される断面画像を見ながら穿刺対象2を示す画像が図8(b)に示すBの如く中央になるように穿刺針18の向きを変える。穿刺対象2を示す画像が中央に位置したときに、穿刺針18の刺入方向は、図8(a)に示すBの如くなり、穿刺針18の刺入方向に穿刺対象2が位置することになる。そして、術者は、穿刺針18を刺入する。
【0039】
次に、画像表示制御部15は、例えば穿刺針先端位置情報から穿刺針先端位置が探触子11のスキャン範囲に入ったことを検知したとき(S105、Yes)、上述の穿刺針18の刺入方向に垂直且つ穿刺針先端を含む平面32を決定し、平面32による断面画像データを生成し、平面32による断面画像を上述の平面31による断面画像に重畳して第2画像表示手段17に表示させる(S106)。このとき、図6(b)に示す画像が表示された場合には、術者は、穿刺針18が曲がり穿刺針18の先端が穿刺対象2からずれていると判断し、穿刺針18の先端の近傍断面の画像が表示画面17aの中央になるまで穿刺針18を後退させ、再度刺入し直して、刺入の修正を行う。
【0040】
このように刺入方向のずれや、穿刺針18の曲がりを手元に表示するので、表示された方向に穿刺針18を移動させればよい。したがって、術者は修正すべき方向を容易に判断することができる。
【0041】
また、上述の実施の形態では、探触子11に位置検出装置16A、穿刺針18に位置検出装置16Bを備えて探触子11に対する穿刺針18の刺入位置及び長さ方向すなわち刺入方向を求めるようにしたが、探触子に備えられる穿刺針をガイドする穿刺ガイドを用いる場合には、位置検出手段16は、探触子と穿刺ガイドとの位置関係から刺入位置及び刺入方向を求めることができる。また、探触子に備えられ穿刺針の刺入方向が可変の穿刺ガイドを用いることにより、上述のように刺入方向の修正を行うことが可能である。
【0042】
また、穿刺針の先端位置は、穿刺針の刺入位置からの移動量を検知する例えばロータリーエンコーダなどの検知手段を位置検出手段16に含むようにして、検知した移動量と刺入位置及び刺入方向とから求めるようにしてもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、医用画像診断装置として超音波診断装置を取り上げて説明したが、X線CT装置、MRIなどの他の医用画像診断装置に適用することも可能である。
【0044】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、穿刺術において、穿刺針の修正方向を術者が容易に判断することを可能にするために表示する画像及びその画像の生成手順について主に説明する。
【0045】
(システム構成)
図10は、本実施の形態における医用画像診断装置のシステム構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態は、医用画像診断装置として超音波診断装置を取り上げている。
【0046】
探触子11は、被検体のボリュームデータを収集するためのもので、例えば2次元状に配列された複数の超音波振動子を備える。そして、振動子配列面11aから超音波を被検体内に送出し被検体から戻ってくる反射波を受信することにより被検体内を3次元的にスキャンし、受信した反射波をエコー信号(受信信号)として、図示しないケーブルを介して接続される装置本体の画像再構成部12に送出する。また、探触子11は、1次元状に配列された超音波振動子を往復移動させて3次元的にスキャンするものでもよい。
【0047】
穿刺針18は、穿刺対象2(対象部位)に刺入されて治療や検査を行うためのものである。
【0048】
画像再構成部12は、エコー信号に、エコー信号対数増幅や包絡線検波処理等を施し、信号強度が明るさを示す輝度データに変換し、得られた輝度データに基づき、3次元画像を示す3次元画像データを再構成する。さらに、メモリを備え3次元画像データを記憶する。また、再構成した3次元画像データを穿刺対象追尾手段21、穿刺針検出手段22及び画像表示制御部15に送出する。画像再構成部12は、本発明の再構成手段としての機能を有する。
【0049】
画像表示制御部15は、表示画像データ生成手段としての機能を有する。例えば術者により図示しない指示手段を介して指示される表示形式に従って、3次元画像データに基づいて、例えばボリュームレンダリング表示の画像データ、或いはMPR(Multi Planar Reconstruction)表示のアキシャル画像、サジタル画像、コロナル画像の直交3面の断面の画像データなどを生成する。さらに、画像表示制御部15は、表示制御手段としての機能を有し、例えば画像表示手段24に生成した画像データの画像を表示させる。
【0050】
画像表示手段24(表示手段)は、装置本体に備えられたモニタ、または、穿刺を行う手元で表示を行う表示装置などである。
【0051】
マーク手段13は、トラックボールや各種キーなどからなる入力手段を含んで構成される。まず、術者が、例えば第1画像表示手段14に表示される画像、例えばMPR表示を見ながら、入力手段を用いて位置を画像上で指定する。そして、マーク手段13は、この入力を受けて、その位置データを決定、記憶し、穿刺対象追尾手段21及び画像表示制御部15に送出する。ここで、本実施の形態で扱う位置データについて、図12を用いて説明する。図12は、探触子11のスキャン範囲、穿刺対象2、及び本実施の形態で扱う位置データを示す図である。本実施の形態で扱う位置データは2つあり、1つは穿刺対象2の位置を示す穿刺対象領域代表位置データであり、もう1つは、穿刺針18の予定刺入経路を示す穿刺針刺入予定経路データである。穿刺対象領域代表位置データは、図12に示すように穿刺対象2内の点Pとして指定される座標であり、穿刺針刺入予定経路データは、図12に示すように、スキャン範囲の刺入開始位置の点Qとして指定される座標と点Pの座標とからなる。
【0052】
穿刺対象追尾手段21について図13を用いて説明する。図13は穿刺対象追尾手段21の構成を示す機能ブロック図である。図13に示すように、穿刺対象追尾手段21は、穿刺対象領域決定部211、穿刺対象領域ずれ量決定部212及び穿刺対象領域情報記憶部213とを含んで構成される。
【0053】
穿刺対象領域決定部211は、マーク手段13から送出された穿刺対象領域代表位置データと穿刺針刺入予定経路データ、及び、画像再構成部12から送出された3次元画像データを受けて、穿刺対象領域を示す穿刺対象領域データを決定する機能を有する。
【0054】
ここで、穿刺対象領域決定部211における穿刺対象領域データを決定する機能について、図14、図15を参照しながら説明する。図14は、穿刺対象領域データを決定する手順を示すフローチャート、図15は、穿刺対象領域データを決定する手順を説明するための図である。また、3次元画像データに対する処理であるが、図15には見やすいように2次元で示した。まず、3次元画像データから輝度(すなわちボクセル値)の大きな領域或いは輝度の小さな領域を決定する(S201)。決定された領域を図15(b)に示す。これは、穿刺対象となる腫瘍などの病変部は、周囲より輝度が高いものと低いものとがあるためで、どちらの輝度にするかは図示しない指示手段からの指示に従うものとする。また、この領域決定には、しきい値処理やエッジ検出法を用いることができる。次に、求めた領域のうちで、穿刺対象領域代表位置データが示す位置が含まれる領域を選択する(S202)。選択結果を図15(c)に示す。続いて、選択された領域の輪郭を決定する(S203)。決定された輪郭を図15(d)に示す。この輪郭を示す座標群を穿刺対象領域データとする。そして、穿刺対象領域決定部211は、穿刺対象領域代表位置データ、穿刺針刺入予定経路データ及び穿刺対象領域データを纏め穿刺対象領域情報として穿刺対象領域情報記憶部213に送出する。
【0055】
穿刺対象領域ずれ量決定部212は、時間的に連続した3次元画像データつまり経時的にすなわち連続的に順次再構成された3次元画像データについて、時間的に遅く再構成された3次元画像データについての穿刺対象領域が、時間的に早く再構成された3次元画像データについての穿刺対象領域からどれだけずれているかを示す空間的なずれ量を算出する算出手段としての機能を有する。そして、そのずれ量から時間的に遅く再構成された3次元画像データに対応する穿刺対象領域代表位置データ、穿刺針刺入予定経路データ及び穿刺対象領域データを求め穿刺対象領域情報として穿刺対象領域情報記憶部213に送出する。
【0056】
穿刺対象領域ずれ量決定部212における具体的な動作について図16、図17を参照しながら説明する。図16は、穿刺対象領域ずれ量決定部212における動作を示すフローチャート、図17は、穿刺対象領域ずれ量決定部212における処理を説明するための図である。また、図17は、図15と同様に見やすいように2次元で示した。まず、時間的に連続した3次元画像データ(これらの3次元画像データのうち時間的に早い方を3次元画像データ(N)、もう一方を3次元画像データ(N+1)とする。)と、3次元画像データ(N)に対応する穿刺対象領域情報とを受け取る(S301)。穿刺対象領域情報が示す穿刺対象領域を含む領域、例えば穿刺対象領域を含む直方体領域を関心領域として、両方の3次元画像データに設定する(S302)。図17(a)に3次元画像データ(N)に設定した様子を、図17(b)に3次元画像データ(N+1)に設定した様子を示した。ここで、設定した関心領域を初期値として記憶しておく。次に、3次元画像データ(N+1)について関心領域の位置を座標軸に沿って、例えば図17(c)乃至(f)に示すように移動させる。各位置において3次元画像データの関心領域内のボクセル値を用いた指標値を計算する。例えば、指標値を、2つの3次元画像データの関心領域内のボクセル値の差の二乗和とする。これによれば、最小となる指標値を示す関心領域の位置が3次元画像データ(N+1)における穿刺対象領域の位置であるとみなすことができるので、指標値が最小となる関心領域を選択する(S304)。ここで、穿刺対象領域に対する選択された関心領域の位置が移動前と同じであるかどうか判断する。同じであれば(S305、Yes)、例えば図17(d)に示すように穿刺対象領域が関心領域に図17(a)と同じ様に囲まれている状態であれば、選択された関心領域の位置と初期値との差をずれ量として決定し、3次元画像データ(N)に対応する穿刺対象領域情報のそれぞれについて決定されたずれ量だけずらし3次元画像データ(N+1)に対応する穿刺対象領域情報を求める(S306)。同じでなければ(S305、No)S303に遷移する。そして、求められた穿刺対象領域情報を穿刺対象領域情報記憶部213に送出する。
【0057】
穿刺対象領域情報記憶部213は、穿刺対象領域情報を記憶し、記憶した穿刺対象領域情報を穿刺針ずれ量算出手段23及び画像表示制御部15に送出する。
【0058】
穿刺針検出手段22は、画像再構成部12から送出された3次元画像データを受け取り、3次元画像データ中の穿刺針18の位置を検出する機能を有する。また、検出した穿刺針位置を示す穿刺針位置データを穿刺針ずれ量算出手段23及び画像表示制御部15に送出する。ここで、穿刺針検出手段22で行う3次元画像データ中の穿刺針部分の検出について図18、図19を参照しながら説明する。図18は、3次元画像データ中の穿刺針部分の検出手順を示すフローチャート、図19は、3次元画像データ中の穿刺針部分の検出で一例として用いるHough変換を説明するための図である。また、本実施の形態における穿刺針部分の検出は、穿刺針18が3次元画像データの中で大きなボクセル値を示し、且つ直線状であるという特徴を利用している。
【0059】
図18に示すように、穿刺針検出手段22は、3次元画像データを受け取ると、その3次元画像データに対ししきい値処理を行い、所定のしきい値以上を呈するボクセル値に対して、画像処理においてよく用いられるラベル付け処理を行う(S401)。次に、ラベル付けされた全ての領域の全てのボクセルについて、Hough変換と呼ばれる変換処理を行い距離−角度空間にマッピングする(S402)。
【0060】
ここで、Hough変換について、簡単のために2次元空間でのHough変換を説明する。図19(a)に示すように、直交座標上に直線が存在するものとする。その直線に対し原点から垂線を下ろす。垂線と直線との交点の座標を(x,y)、原点から交点までの距離をr、垂線とX軸のとのなす角度をθとすれば、
r=xcosθ+ysinθ
によってこの直線を表現することができる。rとθを変更すると(x,y)を通る別の直線が定義できることになる。Hough変換とは、直交座標の点を距離−角度空間(r−θ空間)に変換することであり、直交座標上の1点は、r−θ空間では1本の曲線となる(図19(b)参照)。また、直線上の複数の点をHough変換するとr−θ空間で曲線は1点で交わる。そして、この交点の(r,θ)座標を前述の直線の式に代入することによって直線の式を求めることができる。
【0061】
具体的には、ラベル付けされた全ての領域の全てのボクセルについて、θの値を少しずつ変更しながらrを計算し、距離−角度空間(r−θ空間)の(r,θ)座標に1を加えるという処理を行う。距離−角度空間(r−θ空間)全ての(r,θ)座標の初期値は0(ゼロ)にしておく。
【0062】
距離−角度空間(r−θ空間)の全ての(r,θ)座標の値のうちで最大値を有する(r,θ)座標を選択する(S403)。これは、ラベル付けされた領域のうちで最も直線らしい領域に対応するのがこの(r,θ)座標であるとみなせるからである。そして、この選択された(r,θ)を
r=xcosθ+ysinθ
に代入することにより、直線らしい領域を表す直線の式が得られる(S404)。
【0063】
ただし、この段階ではラベル付けされた領域のどれがこの直線に対応するのか特定されていない。そこで、ラベル付けされた各領域について、領域内のボクセルから直線までの距離の二乗和を計算し、ボクセルの個数で除算して平均値を求める(S405)。直線に対応する領域の場合には、領域内のボクセルは直線近くに分布しているから平均値は小さな値となるので、各領域について得られた平均値のうち、最小の値の領域を穿刺針領域として選択する(S406)。
【0064】
そして、選択された穿刺針領域内の各ボクセルの座標と穿刺針位置データとして得られた直線の式とを穿刺針ずれ量算出手段23に送出する。
【0065】
また、Hough変換について簡単のため2次元空間を例に説明したが、3次元空間の場合には、垂線と直線との交点の座標を(x,y,z)、原点から交点までの距離をr、垂線とxy平面のなす角度をΦ、垂線をxy平面に投影した線分とx軸とのなす角度をθとすれば、
r=(xcosθ+ysinθ)cosΦ+zsinΦ
で直線を表現できるので、(x,y,z)空間の座標を変換して(r,Φ,θ)空間にマッピングすればよい。
【0066】
穿刺針ずれ量算出手段23(算出手段)について図20、図21を用いて説明する。図20は穿刺針ずれ量算出手段23の構成を示す機能ブロック図、図21は穿刺針ずれ量算出手段23における動作を示すフローチャートである。
【0067】
図20に示すように、穿刺針ずれ量算出手段23は、穿刺針先端位置決定部231、平面決定部232及びずれ角度決定部233を含んで構成され、穿刺針検出手段22から送出される穿刺針位置データと穿刺対象追尾手段21から送出される穿刺対象領域情報とを用いて穿刺針18と穿刺針刺入予定経路とのずれ角度を算出する。
【0068】
穿刺針先端位置決定部231は、穿刺針位置データと穿刺対象領域情報に含まれる穿刺対象領域代表位置データとから穿刺針18の先端の位置を求める機能を有し、穿刺針先端位置データとして平面決定部232に送出する。
【0069】
平面決定部232は、穿刺針先端位置データが示す位置と穿刺対象領域代表位置データが示す位置を含む平面を決定する機能を有し、平面データとしてずれ角度決定部233に送出する。
【0070】
ずれ角度決定部233は、平面データ、穿刺針位置データ及び穿刺対象領域情報に含まれる穿刺刺入予定経路データから、穿刺針18と穿刺針刺入予定経路とのずれ角度を求める機能を有する。そして、穿刺針先端位置データ、穿刺対象領域情報、平面データ及びずれ角度などを画像表示制御部15に送出する。
【0071】
以下、図21に示すフローチャートに基づいて穿刺針ずれ量算出手段23の動作を説明する。
【0072】
穿刺針ずれ量算出手段23は、穿刺針位置データと穿刺対象領域情報とを受け取り、穿刺針先端位置決定部231は、穿刺針位置データと穿刺対象領域情報とに含まれる穿刺対象領域代表位置データとから穿刺針先端位置データを求める(S501)。具体的には、穿刺針位置データに対して細線化処理を行って端点を求め、穿刺対象領域代表位置データが示す位置との距離を算出して距離の近い端点を穿刺針18の先端としその座標を穿刺針先端位置データとする。
【0073】
次に、平面決定部232は、穿刺針先端位置データが示す位置と穿刺対象領域代表位置データが示す位置を含む平面を決定する(S502)。両位置を含む平面は無限に存在するが、本実施の形態では、穿刺針先端位置データが示す位置と穿刺対象領域代表位置データが示す位置(穿刺対象領域代表位置)を含み、穿刺針位置データが示す直線との角度が最小となる平面に決定する。
【0074】
そして、ずれ角度決定部233は、穿刺針18と穿刺針刺入予定経路とのずれ角度を求める(S503)。具体的には、穿刺針刺入予定経路データの2つの座標を決定された平面に投影し、穿刺針位置データが示す直線上の任意の2つの点の座標を求めてこれらの座標を決定された平面に投影し、投影されたそれぞれの2点で形成される線分をベクトルとみなし、内積を計算することにより2つのベクトルがなす角度を求めそれをずれ角度とする。そして、穿刺針先端位置データ、穿刺対象領域情報、平面データ及びずれ角度を画像表示制御部15に送出する。
【0075】
画像表示制御部15は、穿刺針先端位置データ、穿刺対象領域情報、平面データ及びずれ角度を受けて、例えば図22に示すように、3次元画像データのうちの平面データが示す平面に対して所定の厚みを持たせた領域の画像と、穿刺対象領域情報に含まれる穿刺対象領域代表位置データが示す位置(穿刺対象領域代表位置、図では「+」マークで示す。)、穿刺対象領域情報に含まれる穿刺対象領域データが示す穿刺対象領域、穿刺針刺入予定経路データに示され平面に投影された穿刺針刺入予定経路及びずれ角度示すテキスト画像を含む表示画像を生成し、画像表示手段24に表示させる。このときの所定の厚みを持たせた領域内に穿刺針18は含まれるので画像として表示される。
【0076】
また上述の超音波診断装置の全体の動作は、図示しない制御部によって制御される。
【0077】
(穿刺手順)
次に、上述の構成の超音波診断装置を用いて行う穿刺術の手順について図11を参照しつつ説明する。図11は、本実施の形態の超音波診断装置の動作態様を示すフローチャートである。
【0078】
まず、術者が、探触子11を被検体に当接させると、画像再構成部12で3次元画像データを再構成し、画像表示制御部15は、初めに予め定められた断面の画像が画像表示手段24に表示させる。術者は画像を見ながら穿刺対象の患部が断面画像に含まれるように探触子11を移動させる。
【0079】
術者が、例えば入力手段を用いて位置の入力を要求すると、画像表示制御部15は、断面画像上に所定のマークが重畳表示し、穿刺対象2の位置の入力を可能な状態とする。術者は、入力手段を操作してマークの位置を穿刺対象の患部の例えば中央移動させ入力手段を操作して確定の入力を行う。マーク手段13は、確定された位置の座標を穿刺対象領域代表位置データとして取得する。次に、穿刺針18の予定刺入経路の入力を可能な状態とし、術者は同様に位置を確定して、マーク手段13は、確定された位置の座標と穿刺対象領域代表位置データが示す座標とを穿刺針刺入予定経路データとして取得する(S601)。穿刺対象追尾手段21は、取得された穿刺対象領域代表位置データ、穿刺針刺入予定経路データ及びそれらに対応する3次元画像データから穿刺対象領域データを求め穿刺対象領域情報として記憶し、さらに新たに3次元画像データが再構成されるたびに穿刺対象領域のずれ量を求め、ずれ量から穿刺対象領域情報を求めて記憶することを繰り返す(S602)。
【0080】
術者は、穿刺針18の刺入を開始する。表示された画像に穿刺針18が見えてきたら、例えば入力手段を用いて穿刺支援の開始を要求する。
【0081】
穿刺支援の要求を受けて(S603、Yes)、穿刺対象追尾手段21は、画像再構成部12で最も新しく再構成された3次元画像データ(以下、3次元画像データ(N)とする)について、穿刺対象領域のずれ量を求め、ずれ量から3次元画像データ(N)に対応する穿刺対象領域情報を求める(S604)。
【0082】
そして、画像再構成部12で新たに3次元画像データが再構成されたら(以下、3次元画像データ(N+1)とする)(S605、Yes)、穿刺対象追尾手段21は、3次元画像データ(N)の穿刺対象領域に対するずれ量を決定し、ずれ量から3次元画像データ(N+1)に対応する穿刺対象領域情報を求める(S606)。
【0083】
次に、穿刺針検出手段22は、3次元画像データ(N+1)から穿刺針領域を決定し、穿刺針位置データを求める(S607)。
【0084】
さらに、穿刺針ずれ量算出手段23は、3次元画像データ(N+1)について、穿刺針先端位置を求め、穿刺対象領域代表位置と穿刺針18の先端位置を含む平面を決定し、穿刺針18の方向と穿刺針刺入予定経路とのずれ角度を求める(S608)。
【0085】
画像表示制御部15は、3次元画像データ(N+1)のうちの平面データが示す平面に対して所定の厚みを持たせた穿刺針18を含む領域の画像と、3次元画像データ(N+1)に対応する穿刺対象領域代表位置、穿刺対象領域、穿刺針刺入予定経路及びずれ角度を画像表示手段24に表示させる(S609)。
【0086】
以降、新たに3次元画像データが再構成されると(S610、Yes)、S606に遷移し、S606乃至S609を繰り返し、例えば入力手段を用いて穿刺支援の終了の要求があったら(S611、Yes)終了とする。
【0087】
このように穿刺対象を追尾し、穿刺針18を検知することにより、穿刺対象、穿刺針、刺入予定経路などを常に更新して表示しすることができる。さらに穿刺針と刺入予定経路とのずれ角度を常に更新して表示しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第1の実施の形態の超音波診断装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】探触子によるスキャンの様子を示す図である。
【図3】穿刺針の刺入方向に垂直且つ穿刺対象を含む平面を示す図である。
【図4】(a)は穿刺針と穿刺対象との位置関係の実態の一例を示し、(b)は第2画像表示手段に表示される画像の一例を示す図である。
【図5】(a)は穿刺針と穿刺対象との位置関係の実態の一例を示し、(b)は第2画像表示手段に表示される画像の一例を示す図である。
【図6】(a)は穿刺針と穿刺対象との位置関係の実態の一例を示し、(b)は第2画像表示手段に表示される画像の一例を示す図である。
【図7】穿刺針の刺入方向を示す直線と穿刺対象を含む平面を示す図である。
【図8】(a)は穿刺針と穿刺対象との位置関係の実態の一例を示し、(b)は第2画像表示手段に表示される画像の一例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態の超音波診断装置の動作態様を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態の超音波診断装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図11】第2の実施の形態の超音波診断装置の動作態様を示すフローチャートである。
【図12】探触子のスキャン範囲、穿刺対象及び位置データを示す図である。
【図13】図10に示した穿刺対象追尾手段の構成を示す機能ブロック図である。
【図14】穿刺対象領域データを決定する手順を示すフローチャートである。
【図15】穿刺対象領域データを決定する手順を説明するための図である。
【図16】穿刺対象領域ずれ量決定部における動作を示すフローチャートである。
【図17】穿刺対象領域ずれ量決定部における処理を説明するための図である。
【図18】3次元画像データ中の穿刺針部分の検出手順を示すフローチャートである。
【図19】3次元画像データ中の穿刺針部分の検出で一例として用いるHough変換を説明するための図である。
【図20】図10に示した穿刺針ずれ量算出手段の構成を示す機能ブロック図である。
【図21】穿刺針ずれ量算出手段における動作を示すフローチャートである。
【図22】画像表示手段に表示される画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
2 穿刺対象
11 探触子
12 画像再構成部
13 マーク手段
14 第1画像表示手段
15 画像表示制御部
16 位置検出手段
16A、B 位置検知装置
17 第2画像表示手段
18 穿刺針
21 穿刺対象追尾手段
22 穿刺針検出手段
23 穿刺針ずれ量算出手段
24 画像表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内の対象部位に穿刺針を刺入する際に用いる医用画像診断装置であって、
前記穿刺針を刺入する位置の近傍に移動可能になされた表示手段と、
少なくとも前記対象部位を含む前記被検体内3次元画像を示す3次元画像データを生成する3次元画像データ生成手段と、
前記3次元画像データを利用して前記対象部位の位置と前記穿刺針の位置との関係を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
被検体内の対象部位に穿刺針を刺入する際に用いる医用画像診断装置であって、
前記穿刺針を刺入する位置の近傍に移動可能になされた表示手段と、
少なくとも前記対象部位を含む前記被検体内3次元画像を示す3次元画像データを生成する3次元画像データ生成手段と、
前記被検体に対する前記穿刺針の刺入方向を検出する検出手段と、
前記3次元画像データに基づいて、前記検出された刺入方向に垂直で前記対象部位を含む第1の断面画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項3】
前記検出手段は、更に前記被検体に対する前記穿刺針の先端の位置を検出し、
前記表示制御手段は、前記刺入方向に垂直で前記先端の位置を含む第2の断面画像を前記第1の断面画像に重畳して前記表示手段に表示させる請求項2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記3次元画像データ生成手段は、超音波の送受信を行う探触子を含み、
前記検出手段は、前記探触子と前記穿刺針とのそれぞれに設けられた検出装置を含んで構成され、それぞれに設けられた検出装置の相対位置関係に基づいて前記検出を行う請求項2または請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記穿刺針と一体化されて備えられている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記3次元画像データ生成手段は、超音波の送受信を行う探触子を含み、
前記表示手段は、前記探触子と一体化されて備えられている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記表示手段は、液晶表示素子を含んで構成される請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
被検体内の対象部位に穿刺針を刺入する際に用いる医用画像診断装置であって、
表示手段と、
入力手段と、
前記被検体に対して超音波の送受信を行うことにより受信信号を送出する探触子と、
前記受信信号に基づいて3次元超音波画像を経時的に再構成する画像再構成手段と、
前記入力手段を用いて入力される位置に基づいて、前記経時的に再構成される3次元超音波画像の中の1つの3次元超音波画像についての前記対象部位の位置と前記穿刺針の刺入予定経路を決定するマーク手段と、
前記決定された前記対象部位の位置及び前記穿刺針の刺入予定経路に基づいて、前記1つの3次元超音波画像に続いて経時的に再構成される3次元超音波画像における前記対象部位の位置及び前記穿刺針の刺入予定経路を追尾して求める穿刺対象位置追尾手段と、
それぞれの3次元超音波画像における穿刺針を検出する穿刺針検出手段と、
前記それぞれの3次元超音波画像について求められた前記対象部位の位置、前記刺入予定経路及び前記それぞれの3次元超音波画像について検出された穿刺針の関係を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項9】
それぞれの3次元超音波画像についての前記検出された穿刺針と前記刺入予定経路との角度を算出する算出手段を更に備え、
前記表示制御手段は、更に前記表示手段に算出された角度を表示する請求項8に記載の医用画像診断装置。
【請求項10】
前記穿刺対象位置追尾手段は、前記経時的に再構成される3次元超音波画像のうち連続して再構成された3次元超音波画像の、時間的に早く再構成された3次元超音波画像の前記対象部位と時間的に遅く再構成された3次元超音波画像の前記対象部位とのずれ量を求め、前記ずれ量に基づいて前記時間的に遅く再構成された3次元超音波画像の前記対象部位の位置と前記穿刺針の刺入予定経路の位置を求める請求項8または請求項9に記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
前記穿刺針検出手段は、前記3次元超音波画像を示すボクセル値を用いて、前記検出を行う請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の医用画像診断装置。
【請求項12】
前記穿刺針検出手段は、前記3次元超音波画像を示すボクセル値に対し、少なくともHough変換を行って前記検出を行う請求項11に記載の医用画像診断装置。
【請求項13】
前記表示制御手段は、前記それぞれの3次元超音波画像について求められた前記対象部位の位置及び前記それぞれの3次元超音波画像について検出された穿刺針を含む領域の画像と、前記それぞれの3次元超音波画像について求められた刺入予定経路を該画像へ投影した画像を前記表示手段に表示させる請求項8乃至請求項12のいずれかに記載の医用画像診断装置。
【請求項14】
前記表示制御手段は、前記前記それぞれの3次元超音波画像について検出された穿刺針から前記穿刺針の先端位置を求め、前記それぞれの3次元超音波画像について求められた前記対象部位の位置と前記先端位置とを含む平面を求め、前記平面に対して所定の厚みを持たせて前記領域とする請求項13に記載の医用画像診断装置。
【請求項15】
前記表示手段は、前記穿刺針を刺入する位置の近傍に配置可能になされた請求項8乃至請求項14のいずれかに記載の医用画像診断装置。
【請求項16】
前記表示手段は、前記穿刺針と一体化されて備えられている請求項15に記載の医用画像診断装置。
【請求項17】
前記表示手段は、前記探触子と一体化されて備えられている請求項15に記載の医用画像診断装置。
【請求項18】
前記表示手段は、液晶表示素子を含んで構成される請求項15乃至請求項17のいずれかに記載の医用画像診断装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−226(P2007−226A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181546(P2005−181546)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】