説明

医療における光線力学適用のための両親媒性トリスルホン化ポルフィラジン

本明細書において、新規トリスルホン化トリベンゾ-モノナフト-ポルフィラジン、それらの製造法、および光線力学療法(PDT)による様々な病態の治療のための改善された光感受性薬物としてのそれらの適用が開示されている。これらの水溶性両親媒性ポルフィラジンは、カルボキシル部分を伴うまたは伴わない、様々なアルキリル、アリール、アミノアルキルおよびアミノアリール基で置換されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、新規トリスルホン化トリベンゾ-モノナフト-ポルフィラジン、それらの製造法および光線力学療法(PDT)による様々な病態の治療のための改善された光感受性薬物としてのそれらの適用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
様々な病態の光線力学療法(PDT)は、光増感剤の静脈内投与、それに続く(数時間後から遅くともその日のうちの)赤色光線による罹患組織の照射に通常関与している。これは、増感剤の活性化、および引き続きの活性酸素種(ROS)、特に一重項酸素の形成を生じる。光増感剤の局在によって、その後続発する酸化ストレスは、血管崩壊およびアポトーシスまたは壊死に関連している細胞死を引き起こす(Oleinick et al., Photochem. Photobiol. Sci., 1:1-22,2002)。現在臨床使用または治験中のほとんどの光増感剤は、下記の欠点のひとつまたはそれらの組合せを有する(Sharman et al., Drug Discovery Today, 4:507-517,1999):これらが製品混合物からなること、これらが親油性薬物であり、リポソームまたは乳剤中の製剤を必要とすること、それらの光化学特性がPDTにとって最適ではないこと、それらの薬物動態および標的局在化が、選択された用途と適合できないこと。
【0003】
過去数十年間に、フタロシアニン(Pc)およびそれらの誘導体が広く研究されている。Pcおよびそれらの誘導体は、それらの際だった特徴により、多種多様な領域における多くの用途がわかっている。脂溶性および水溶性の両Pcは、癌の光線力学療法(PDT)の光増感剤として進歩している。水溶性誘導体の中で、特にスルホン化メタロPcの有効性が研究されている。スルホン化の程度に応じて、Pcは、変動する疎水性および親水性の性質を示し、これは異なる光線力学作用を誘導する。隣接して置換されたジスルホン化化合物は、最適な細胞膜浸透に適当な両親媒性の性質を有し、これは腫瘍細胞に対し高度の光線力学活性を生じる(Margaron et al., Photochemistry and photobiology, 63(2):217-223, 1996)。それらの調製に関する古典的手法に固有のことではあるが、このような誘導体は、単独の異性体の生成物として精製することは困難であり、それ自体は臨床適用に適さない。
【0004】
PDTの特に興味深い適用は、滲出性加齢黄斑変性(AMD)の治療に関連している。滲出性AMDは、50歳より上の人々の失明の主因であり、中心網膜下の異常な血管の急激な成長に関係している。これらの異常な血管からの漏出は、瘢痕および視力喪失の促進をもたらす。網膜は、網膜毛細血管内皮細胞の間の接着結合が内側網膜障壁を形成し、および網膜色素上皮が外側障壁を形成しているような、ふたつの空間的に離れた細胞単層により構成された血液網膜関門(BRB)により保護されている。BRBは、網膜の乾燥を維持しかつ網膜のイオン平衡を保存するために利用される。加えて一部の循環因子は、網膜に有毒であることがあり、これらはBRBにより遮断されている。従って無傷のBRBは、網膜の正常な機能に必須である。
【0005】
BRBは、黄斑変性、糖尿病性網膜症、滲出性網膜剥離、コート病および黄斑浮腫の様々な型を含む血管障害に関連した多くの網膜症において破壊される。血漿管外遊出は、BRB破壊の直接の結果である。血漿管外遊出は、通常は網膜上の血管管腔内にある物質の沈着を生じ、このことは光透過性の障害によるそのような部位の視力喪失を生じる。血漿管外遊出によりもたらされる網膜下浮腫は、視力喪失を生じる本質的な細胞連結(cellular connection)の剥離につながると思われる。
【0006】
当初血管透過性因子として知られていた、血管内皮増殖因子(VEGF)は、病的状態下でのBRB破壊における重要な要因であることを示す証拠がある(Quam, et al., Invest. Ophth. Visual Sci., 42:2408-2413,2001)。光増感剤としてベンゾポルフィリン誘導体(ベルテポルフィン)を使用する光線力学療法が、異常な血管を閉鎖する有効な手法であることが示されており、かつ数カ国でAMD治療として承認されている(米国特許第5,756,541号)。
【0007】
ジスルホン化Pcと同様の両親媒性および細胞浸潤の性質を示すフタロシアニン様構造に関する研究において、第四の非スルホン化ベンジル基上の親油基で置換されたトリスルホン化Pcの合成および特性が、先に研究された。第一のアプローチにおいては、中間体としてホウ素(III)サブフタロシアニンが使用された(米国特許第5,864,044号)。この手法の成功は、subPc上の置換基の性質、更には他の要因により大きく左右されるため、この手法は、伸長された親油性置換基によるトリスルホン化Pcの調製には適していないことがわかった。その後、このような化合物は、出発材料としてモノヨードトリスルホン化Pcを使用する、パラジウム触媒したクロスカップリング反応により得ることができることがわかった(Tian et al., Tetrahedron Lett., 41:8435-8438,2000)。このような一官能基化されたトリスルホン化Pcは、典型的Qバンドを680nm近傍に示す。
【0008】
先行技術の化合物の欠点を克服する光線力学療法(PDT)による様々な病態の治療のための新規の水溶性両親媒性光感受性薬物が提供されることは、非常に望ましいと思われる。
【0009】
PDTによる様々な病態の治療のために、抗体、好ましくはモノクローナル抗体(Mab)またはその断片のようなタンパク質担体への結合のための、新規トリ-(スルホベンゾ)-モノ-(カルボキシル-ナフト)-ポルフィラジン化合物が提供されることも非常に望ましいと思われる。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本発明のひとつの目的は、光線力学療法(PDT)により様々な病態を治療するための改善された光感受性薬物として、新規トリスルホン化トリベンゾ-モノナフト-ポルフィラジンを提供することである。
【0011】
別の本発明の目的は、これらの新規トリスルホン化トリベンゾ-モノナフト-ポルフィラジンの製造プロセスおよびそれらの適用を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、抗体、好ましくはモノクローナル抗体(Mab)その断片などのタンパク質担体への結合のための、新規トリ-(スルホベンゾ)-モノ-(カルボキシル-ナフト)-ポルフィラジン化合物およびそれらの適用を提供することである。
【0013】
本発明において、下記の工程を含む、式(I)の精製された化合物を調製する方法が提供される。

a)KOHを、硫酸水素テトラブチルアンモニウムと共に混合する工程;
b)工程a)の混合物へ、インドールを添加する工程;
c)工程b)の混合物へ、スルホニルクロリドを添加し、式(I)の化合物を得る工程;
d)工程c)の混合物から固形KOHを除去する工程;
e)工程d)の混合物を洗浄する工程;およびに
f)式(I)の化合物を乾燥する工程。
【0014】
本発明により、式(II)の5-置換または6-置換されたトリ-[4-(1-インドリルスルホベンゾ)]-モノ-ナフト-ポルフィラジン化合物からなる中間体化合物も提供される。

(式中、
R1が、

であり;および
Mが、H・・・Hまたは金属であり;ならびに
R2が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R3、R4およびR5が水素であり;または
R3が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R2、R4およびR5が水素である)。
【0015】
更に本発明において、式(III)の水溶性化合物も提供される。

(式中、
Mが、H・・・Hまたは、Zn、Co(II)、NiおよびCuなどの金属であり;ならびに
R1が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R2、R3およびR4が水素であり;または
R2が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R1、R3およびR4が水素である)。
【0016】
更に本発明により、前述のような、式(II)の化合物を調製する方法が提供される。この方法は、CH3COOMの存在下で、ヨード-2,3-ジシアノナフタレンを、インドール保護された3,4-ジシアノフェニルスルホニルと縮合し、式(II)の化合物を得る含む。この方法は加えて、式(II)の化合物を、クロマトグラフィーまたはシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどにより精製する工程を含んでもよい。
【0017】
この方法は、式(II)の化合物のR1中に含まれたインドールを切断し、式(III)の水溶性5-置換または6-置換されたトリ-(4-スルホベンゾ)-モノ-ナフト-ポルフィラジン化合物を得る工程も含んでよい。

(式中、
Mが、H・・・H、またはZn、Co(II)、NiおよびCuからなる群より選択される金属であり;ならびに
R1が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R2、R3およびR4が水素であり;または
R2が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R1、R3およびR4が水素である)。
【0018】
式(III)の化合物は更に、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーにより精製されてもよい。
【0019】
同じく本発明により、光線力学療法(PDT)の適当な波長の光と併用した、先に定義した化合物の使用が提供される。
【0020】
更に本発明により、適当な波長の光との併用による光到達可能な癌(light accessible cancer)の治療のための、または適当な波長の光との併用による加齢黄斑変性(AMD)の治療のための、トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシニル)ナフト] -ポルフィラジン亜鉛の使用が提供される。
【0021】
更に本発明により、式(6):

式(16)の中間体化合物:

式(21)の中間体化合物:

式(76)の中間体化合物:

式(46)の化合物:

式(51)の化合物:

および、式(106)の化合物:

からなる群より選択される中間体化合物が提供される。
【0022】
更に本発明により、抗体またはモノクローナル抗体のようなタンパク質担体に結合された前述の化合物のいずれかを含む結合体(conjugate)も提供される。
【0023】
本発明は、光線力学療法(PDT)の適当な波長の光と併用して、これらの化合物または結合体のいずれかを使用することも提供する。
【0024】
更に本発明により、適当な波長の光との併用による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性(血漿遊出など)および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、前述の化合物または結合体、またはそれらの薬学的に許容される塩のいずれかひとつの使用が提供される。あるいは、前述の化合物または結合体、またはそれらの薬学的に許容される塩のいずれかひとつは、前述の治療のいずれかのための医薬品の製造においても使用することができる。
【0025】
同じく本発明により、下記の工程を含む、個体における光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態を治療する方法が提供される。
a)前述の結合体の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩のいずれかひとつを有効量投与する工程;および
b)この状態に罹患した部位に対し適当な波長の光で個体を照射する工程。
【0026】
本発明により、適当な波長の光との併用による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシニル)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛またはそれらの薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0027】
同じく、適当な波長の光との併用による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、医薬品の製造における、トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシニル)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛またはそれらの薬学的に許容される塩の使用も提供される。
【0028】
更に本発明により、下記工程を含む、個体における光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態を治療する方法が提供される。
a)トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシニル)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛またはそれらの薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程;および
b)この状態に罹患した部位に対し適当な波長の光で個体を照射する工程。
【0029】
本発明は更に、適当な波長の光による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシルカルボキシ)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛の使用も提供される。
【0030】
更に本発明により、適当な波長の光との併用による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、医薬品の製造における、トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシルカルボキシ)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛またはそれらの薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0031】
また更に本発明により、下記の工程を含む、個体における光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態を治療する方法(およびその用途)が提供される。
a)トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシルカルボキシ)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛またはそれらの薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程;および
b)この状態に罹患した部位に対し適当な波長の光で個体を照射する工程。
【0032】
本発明の好ましい態様において、眼疾患は、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、滲出性網膜剥離、コーツ病、血管腫、網膜芽細胞腫、脈絡膜新生血管、糖尿病性微小血管障害、臨床的に重要な黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞に関連した浮腫、網膜分枝静脈閉塞に関連した浮腫、術後嚢胞、眼内炎症、光毒性、色素性網膜炎、薬物が誘導した黄斑浮腫からなる群より選択されることが好ましい。
【0033】
本発明は、血管新生した腫瘍および乾癬などの非眼球血管疾患の治療のために使用することもできる。
【0034】
本発明の水溶性で両親媒性のPc様構造は、単独の異性体の化合物としてのそれらの容易かつ収量の高い合成、水性媒体中のそれらの製剤の容易さ、細胞毒性活性酸素種(ROS)の高い収量を生じるそれらの優れた光化学特性、そこで組織はほとんど透明であるようなそれらの赤色側にシフトした最大吸収、ならびに治療用光による治療深度を変更するために異なる波長での励起を可能にするそれらの複数の最大吸収を含む、現在臨床使用または臨床試験中である他の光線力学物質に勝る、多くの利点を有する。
【0035】
好ましい態様の詳細な説明
赤色側にシフトした波長(>680nm)での複数の活性化バンド(activation band)を伴う、水溶性の両親媒性Pc様構造の研究において、本発明者らは、塩基性Pcおよびナフタロシアン分子の両方に類似したハイブリッド構造、すなわちポルフィラジンの調製を調べた。従って本発明において、トリ-(スルホベンゾ)-モノ-(アルキル-、アミノアルキル-またはアミノアリール-ナフト)-ポルフィラジン(本出願において化合物45-74と同定された)は、純粋な単独の生成物として、良好な収量で調製することができ、およびこれらは、培養物中の癌細胞に対し優れた光線力学特性を示すことが発見された。アルキリルセリン(M=Zn)の側鎖の長さを変動することにより、アルキリル鎖の炭素原子の数と、最適な光線力学特性を示しているヘキシニル誘導体46によるインビトロ光毒性の間に、放物線状の関係が認められる。前述の誘導体は、マウスの実験的乳癌に対する優れたインビボPDT反応、およびラット網膜の血管構造を遮断する強力な能力も示し−加齢黄斑変性(AMD)および糖尿病性網膜症を含む血漿管外遊出が関与するいくつかの網膜症のPDTのための薬物の使用の可能性を予測するアッセイ法を示した。これらの知見をまとめると、ヘキシニル誘導体46は、様々な病態、特に光接近可能性癌および網膜症のPDTのための第二世代の光感受性薬物としての優れた能力を有することを示唆している。
【0036】
トリ-(スルホベンゾ)-モノ-(カルボキシル-ナフト)-ポルフィラジン複合体を、抗体、好ましくはモノクローナル抗体(Mab)またはその断片のようなタンパク質担体に結合するカップリング法は、市販の試薬および公開された手法に関連し、これはMabの1モルにつきPcの7〜最大15モルの負荷比を生じる(N. Brasseur et al., Photochem. Photobiol. 69:345-352,1999;C. M. Allen, Photochem. Photobiol. 70:512-523,1999)。より低い負荷比では、このMabの免疫完全性は影響を受けない(M. Carcenac, et al., Photochem. Photobiol., 70:930-936,1999;M. Carcenac, et al., Br. J. Cancer, 85:1787-1793,2001)。MAbは、免疫光療法に関する様々な病態(すなわち、様々な癌、乾燥型AMD)に関する本発明の光増感剤を標的とするために選択することができる。
【0037】
化学
化合物45-74の調製に関する一般的合成法は、親油性アルキリル、アミノアルキルまたはアミノアリール鎖の、インドール保護された重要な中間体トリ-(インドリルスルホベンゾ)-モノ-(ヨードナフト)-ポルフィラジン(5-14)のヨードナフト部分への付加を暗に示している。末端のアルキリル、アミノアルキルまたはアミノアリール置換基の鎖長の変動は、段階的な両親媒性の性質を伴う化合物45-74を生じる。
【0038】
重要な中間体5-14を調製する本発明者らの最初の試みは、トリクロロスルホサブフタロシアニン(subPc)の環拡大反応に関連していた。この手法の成功は、subPc上の置換基の性質、環構造を開き4員のポルフィラジンを生じるために使用されるイミノイソインドリンの反応性、溶媒および他の因子に劇的に左右され、ならびに本発明者らは、この方法は、ヨードナフト中間体5-14の調製には適していないことを発見した。
【0039】
ヨードナフト中間体5-14を得る第二の方法において、ヨード-2,3-ジシアノナフタレン(3-4)とインドール保護された3,4-ジシアノフェニルスルホニル(2)の間の、酢酸亜鉛の存在下での混合された縮合反応がうまく使用された。得られる保護されたモノヨードナフト化合物5-14は、ほとんどの極性有機溶媒中に可溶性であり、かつシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより容易に精製することができる。それらのUV可視スペクトルは、組合わされたナフタロシアニンとフタロシアニンのマクロ環の性質、およびこの分子の対称性に影響を及ぼす嵩高い保護基の存在に起因した、分裂Qバンド(725nm、687nmおよび622nm)を示す。保護されたヨードナフト-ポルフィラジン5-14(先にヨードナフト中間体とも称される)は、カラムクロマトグラフィーにより容易に精製される新規モノ(ナフト)置換されたトリ(スルホベンゾ)-ポルフィラジンの合成のための、非常に融通の利く中間体である。ヨードナフト部分との末端アルキンのパラジウム触媒したカップリングの適用は、ポルフィラジンマクロ環上にアルキニル鎖を導入する有効な方法を提供し、これは加水分解時に化合物45-74を生じる。同様にパラジウム触媒したBuchwaldアミン化反応を使用し、選択されたアミノ鎖をポルフィラジンマクロ環上に結合させ、エチレン連結よりもむしろアミノ連結により、様々なアルキル鎖で置換された類似体45-74を生じる。
【0040】
全ての新規ポルフィラジンは、UV可視およびFAB(高速原子衝撃法)またはエレクトロスプレー質量分析により特徴付けられた。トリスルホン化ポルフィラジン化合物45-74は、逆相中速液体クロマトグラフィーにより精製され、かつ逆相HPLCにより分析された。全ての誘導体は、親分子、すなわちトリスルホン化フタロシアニンの保持時間と比べより長い保持時間を伴う3個の接近して溶出するピークを示した。この知見は、親油鎖の結合は、トリスルホン化ポルフィラジン化合物45-74の疎水性の性質を増大することを確認している。
【0041】
反応式1

反応式2

反応式3

反応式4

【0042】
生物学
トリスルホン化ポルフィラジン製剤
数ミリグラムの選択されたトリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-アルキリル)ナフタロ]-ポルフィラジン(反応式4:化合物45-74)を、1%PBS(pH7.4)に溶解し、数分間音波処理した。この溶液を、無菌条件下でMillex-GV(商標)0.22μM(Millipore)上で濾過した。色素の最終濃度を、メタノールへ希釈後の、それらのUV可視吸収により決定した(λmax 680-690nm、ε=1.20X105M-1cm-1)。
【0043】
培養物中の腫瘍細胞に対する光毒性
細胞培養
EMT-6マウス乳癌細胞を、15%ウシ胎仔血清(Gibco)、1%グルタミン(Gibco)および1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco)を補充した、Waymouth培養培地(Gibco, Burlington, Canada)において継代した。
【0044】
細胞の光不活化
細胞培養物を、トリプシン処理し、1.5x105個細胞/ml浮遊液を得た。96マルチウェルプレートに、1個のウェル当り細胞100μLを播種し、37℃、5%CO2下で一晩インキュベーションした。細胞1列を、ブランクとして利用するために除外した。細胞を、PBSで2回洗浄し、Waymouth 1%FBS中の色素溶液(1-5μM)50μLと共に1時間または24時間インキュベーションした。対照の1列を色素を含まないWaymouth 1%FBSで満たした。次に細胞を、PBSで2回すすぎ、再度Waymouth 15%FBSを100μL満たし、変動する時間間隔で赤色光線(10mW/cm2、660-700nm)に曝露した。プレートを、37℃、5%CO2下で一晩インキュベーションした。細胞生存を、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-臭化テトラゾリウム(MTT)(Sigma)のテトラゾリウム塩を使用する、比色法により測定した。8通りの複製を試行し、実験は少なくとも3回繰り返した。
【0045】
MTTアッセイ法
PBSを溶媒とする0.5%MTTストック溶液を調製し、暗所において4℃で保持した。この溶液を、Waymouth 15%FBSで5倍希釈し、50μLを各ウェルに添加した。4時間インキュベーション(37℃、5%CO2)した後、100μLドデシル硫酸ナトリウム(0.01N HCl中10%)を、これらのウェルに添加し、MTT還元を停止し、かつ生存細胞においてミトコンドリアのヒドロゲナーゼにより生成された青色ホルマザン結晶を溶解した。24時間インキュベーションした後、これらのプレートをマイクロプレートリーダー(molecular devices, thermomax)上で570nmでの光学密度を読みとった。光線量の関数として生存曲線をプロットし、およびLD90値を算出した。
【0046】
腫瘍のインビボ治療のためのPDTの効能
動物モデル
全ての実験は、ふたつのEMT-6乳癌を持っている、雄のBALB/cマウス(18〜22g)(Charles River Breeding Laboratories、モントリオール、ケベック、カナダ)において行った。これらの実験は、「動物の世話に関するカナダ委員会(Canadian Council on Animal Care)」および研究所内の倫理委員会により承認されたプロトコールに従い実行した。動物は、実験期間中は、水および食餌を自由に摂取させた。腫瘍移植前に、マウスの後肢および背中を剃毛し、化学的に脱毛した(Nair, Whitehall, ミンソーガ、カナダ)。ふたつの腫瘍を、Waymouth増殖培地0.05ml中に浮遊した2〜3x105個EMT-6細胞の皮内注射により動物の背中に移植した。
【0047】
光線力学療法(PDT)
PDT腫瘍反応試験のために、マウスを腫瘍細胞接種(平均外側腫瘍サイズは直径4.5〜6.0mmおよび厚さ約2.5mm)後7〜10日間使用した。マウスを、PBS中のポルフィラジン色素(0.2mL/20g)1μmolを、尾部静脈を介して静脈内注射により投与した。24時間後、ひとつの腫瘍を、8mmビームの赤色光線(670nm、200mW/cm2で合計蛍光400J/cm2、B&Wファイバー結合型ダイオードレーザーにより発生、モデルBWF-670-3000、B&W Tek, ニューアーク, DE)により処理したのに対し、他方の腫瘍は、対照として利用した。マウスは、腫瘍反応(壊死)および再発を評価するために、PDT後の20日間毎日試験した。
【0048】
網膜症治療のためのPDTの効能
実験的糖尿病
網膜症測定としての血漿管外遊出
長い間に確立されたエバンスブルー法を用い、血漿管外遊出を測定した。ケタミンおよびキシラジンの混合物10mg/kgによる麻酔下で、雄のWistarラット250gに、エバンスブルー45mg/kgを頚静脈内に留置したカニューレを通じて注射した。10分後、前記実験法を開始した。実験の終了時に、これらの動物を屠殺し、目を摘出した。両眼を一緒にホルムアミド300μl中に入れ、70℃で18時間インキュベーションした。インキュベーション後、分光光度計により、上清の吸光度を620nmで読取った。標準曲線を用い、エバンスブルーの濃度を決定し、これはμg/mlで表した。
【0049】
血管内皮増殖因子(VEGF-165、血管透過性因子)を使用する血漿管外遊出の誘導
ケタミンおよびキシラジン混合物(10mg/kg)で麻酔をかけたラットに、生理食塩水内に調製したVEGF-165の2μlを、Hamiltonマイクロシリンジを用い硝子体に直接注射した。血漿管外遊出反応が生じるのに10分間を当てた。VEGF-165に対する反応が生じた後、目を摘出し、エバンスブルーに関する分光光度分析を施した。
【0050】
糖尿病ラットにおける血漿管外遊出
一晩絶食させた後、10mMクエン酸緩衝液(pH4.5)中のストレプトゾトシン(STZ)65mg/kgの腹腔内単回注射により、糖尿病を誘導した。非糖尿病対照として利用する動物は、等量のクエン酸緩衝液のみを受け取った。1週間後、実験直前に、血糖値を測定し、糖尿病の状態を決定した。血糖値が20mMよりも高いラットのみを、STZ糖尿病とみなした。STZを注射されたが糖尿病にはならなかったラットは、STZ非糖尿病対照とみなした。
【0051】
トリスルホン化ポルフィラジンによる光線力学治療
意識のあるラットに、赤色光線を網膜へ照射する6時間前に、尾部静脈を介して、光感受性薬物を注射した。光は、レーザーペンおよび円形運動を用い、15分間連続して照射し、網膜全体が均一に照射されることを確実にした(λ=680nm;50mW/cm2;45J/cm2)。引き続き目を摘出し、エバンスブルーレベルを試験した。
【0052】
多形核白血球の単離
デキストラン3%を、室温(72℃)と平衡とし、次に完全に血液と1:1(v:v)混合した。この混合物を、室温で35分間デカントさせた。10mlのFicollを、50mlチューブに入れ、その後上清を、血液細胞から吸引し、慎重にチューブ内のFicollに加え、これをその後2000rpm、室温で30分間、ブレーキを使わずに遠心した。遠心機が停止すると、血漿を含む上層を収集した。単核白血球(monoleukocyte)の層を、15mlのチューブに入れた。その後α-MEM-Cをこれらの細胞に添加した。ペレット(PMN+RBC)を、2mlの0.2%NaCl中で25秒間再懸濁した。その後2mlの1.6%NaClおよび6mlのPBSを添加した。次に懸濁液を、室温で1300rpmで10分間遠心し、上清を除去した。新規ペレット(PMNおよびRBC)を、再度2mlの0.2%NaCl中で25秒間再懸濁し、次に2mlの1.6%NaClおよび6mlのPBSを添加した。この懸濁液を再度、室温で1300rpmで10分間遠心し、上清を除去した。次にα-MEM-Cを添加し、ペレットを再懸濁し、細胞浮遊液を作成した。その後この細胞濃度を、3x106個細胞/mlに調製した。細胞900μlを、24ウェルプレートに注いだ。NVT-0275-Abを次に添加し、暗所で1時間静置した。その後これらのウェルを、5分間、すなわち0.2分/ウェル(合計フルエンス2J/cm2)で、赤色光線(8mmビーム、670nm、200mW/cm2、B&Wファイバー結合型ダイオードレーザーで発生、モデルBWF-670-3000、B&W Tek, ニューアーク, DE)に曝露した。最後に細胞をチューブ内で収集し、FACSを実行した。
【0053】
FACSは、標準の手法に従い実行した(例えば、Bortner C. D.およびJ. A. Cidlowski, Flow Cytometric Analysis of Cell Shrinkage and Monovalent Ions during Apoptosis, 「Apoptosis(66巻)」、Methods in Cell Biology、L. M. SchwartzおよびJ. D. Ashwell編集、Academic Press, 2001参照)。
【0054】
本発明は、本発明の範囲を限定するのではなくむしろ本発明を説明するために示された、下記実施例を参照することにより、より容易に理解されると思われる。
【0055】
実施例1
1-(3,4-ジシアノフェニルスルホニル)インドール2(反応式1)
粉砕したKOH(8.6g)を、CH2Cl2(230mL)を溶媒とする硫酸水素テトラブチルアンモニウム(830mg)と混合した。この反応フラスコを、氷塩浴で冷却した(〜-5℃)。約10分間攪拌した後、インドール(9.04g)をこの混合液に添加した。この反応混合液を、冷却浴中で20分間攪拌した。この反応混合液に、化合物1、スルホニルクロリド粉末を、50分間かけて、0℃〜-5℃で添加し、この溶液を室温で約4時間連続して攪拌した(この反応は、TLCでモニタリングし、出発材料が消失するまで継続した)。固形KOHを濾過により除去し、濾液をCH2Cl2で希釈し600mlとし、10%HCl水溶液、水、飽和NaHCO3水溶液および水で洗浄した(注意:全ての洗浄は、冷却した溶液を用いて行わなければならない)。溶媒を真空下で除去した。残渣を、音波処理しながら、150mL CH2Cl2中に分散し、濾過し、濾液をシリカゲルに吸収させ、化合物2を、ヘキサン/EtOAc(100/5〜100/40)で溶出し、明黄色粉末として回収した(8.94g, 62.4%)。化合物2は下記の特性を有する。
融点:171-173℃;MS(M+):307。
【0056】
実施例2
トリ-[4-(1-インドリルスルホベンゾ)]-モノ-5-ヨードナフトポルフィラジン亜鉛(6)(反応式2)
化合物2(300mg, 0.97mmol)、化合物3(100mg, 0.32mmol)およびZnAc.2H2O(200mg, 0.91mmol)の混合液を、210℃〜230℃に加熱し、この温度で40分間維持し、その後室温に冷却した。粗生成物を、THF中に溶解し、濾過し、固形物を除去し、減圧下で蒸発させた。粗生成物を含有する残渣を、CHCl3中に溶解した。この精製を、トルエン/THF(100/1〜100/5)の中のシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行い、下記の特徴を有する化合物6(74mg, 18.5%)を得た。

【0057】
実施例3
トリ-[4-(1-インドリルスルホベンゾ)]-5-モノ-[(1-ヘキシニル)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛(16)(反応式3)
化合物6(119mg, 0.09mmol)、PdCl2(PPh3)2(25mg)およびCuI(25mg)を、窒素下で二首フラスコに入れた。無水THF(8ml)を、シリンジでフラスコに添加した。混合液を通して窒素を泡立て、1-ヘキシン(0.2mL)およびEt3N(5mL)を、各々、シリンジにより添加した。この反応混合液を通して窒素を10分間連続通過させた。その後反応混合液を、室温で更に20時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をCHCl3に溶解し、トルエン/THF(100/1〜100/10)の中のカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記の特徴を持つ化合物16を緑色粉末(99mg、収率:84%)として得た。

【0058】
実施例4
トリ-[4-(1-インドリルスルホベンゾ)]-5-モノ-[(1-ヘキシルアミノ)]-ポルフィラジン亜鉛(21)(反応式3)
炭酸セシウム(50mg, 0.15mmol)、Pd2(dba)3(5mg)および(s)BINA(5mg)の混合物を二首フラスコに入れ、N2で一掃した。化合物6(40mg, 0.03mmol)を添加し、かつその後無水THF(7ml)およびヘキシルアミンを、シリンジで添加した。反応混合液を窒素下で還流加熱し、19時間還流下で維持し(この反応はTLCでモニタリングした)、その後室温に冷却した。溶媒を真空で除去した。残渣をCHCl3に溶解し、その後トルエン/THF(100/5)の中のカラムクロマトグラフィーにより分離し、第一のバンドを、化合物21(25mg、収率:63%)として同定した。MS (FAB:M+), 1262。
【0059】
実施例5
トリ-(4-インドリルスルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシルカルボキシ)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛(76)(反応式3)
化合物6(87mg)、PdCl2(PPh3)2(25mg)、CuI(25mg)、および5-ヘキシン酸(2ml)を、二首フラスコに入れ、このフラスコを窒素で満たした(fleshed)。無水THF(4ml)を、シリンジでフラスコに添加した。混合液を通して窒素を泡立てた。この混合液を窒素下で維持しながら、Et3N(4ml)をシリンジにより添加した。反応混合液を、室温で更に24時間攪拌した後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をCHCl3に溶解し、CHCl3/MeOH/AcOH(1:1:0.2)の中のカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物76を緑色粉末(74mg、収率:82%)として得た。MS(FAB, M+):1223。
【0060】
実施例6
トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシニル)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛(46)(反応式4)
NaOMeの溶液(120mg、金属ナトリウムをメタノール10mLに溶解)を、THF 15mL中の化合物16の溶液に添加した。この混合液を24時間還流した。溶媒を真空で除去し、残渣を、アセトンで洗浄し、可溶性有機不純物を除去した。残渣を風乾した。粗生成物を、緩衝溶液(pH=5)に溶解し、この溶液のpH値を7に調節した。精製を、C-18逆相カラム(真空下)において行い、塩を除去した。このカラムを水性リン酸緩衝液(pH=5)および水で洗浄し、塩を溶出し、50%メタノール/水で、下記の特徴を有する純粋な化合物46(74mg、91.6%)を溶出した。

【0061】
実施例7
トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシルアミノ)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛(51)(反応式4)
NaOMeの溶液(50mg、金属ナトリウムをメタノール5mLに溶解)を、THF 10mL中の化合物20(25mg, 0.02mmol)の溶液に添加した。この混合液を24時間還流し、その後室温に冷却した。溶媒を真空で除去し、残渣をアセトンで洗浄し、可溶性有機不純物を除去した。沈殿を風乾した。粗生成物を、緩衝溶液(pH=5)に溶解し、この溶液のpH値を7に調節した。精製を、C-18逆相カラム(真空下)において行い、塩を除去した。このカラムをリン酸緩衝液(pH=5)および水で洗浄し、塩を溶出し、次に50%メタノール/水で、下記の特徴を有する純粋な化合物11(15mg、73%)を溶出した:MS[エレクトロスプレー、ZnNPcC6N(SO3H)3]:965。
【0062】
実施例8
トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシルカルボキシ)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛(106)(反応式IV)
THF(8ml)を溶媒とする化合物76(70mg)の溶液を、MeOH中のNaOMe溶液(72mg Naを、MeOH 8mlに溶解)に添加した。この混合液を24時間還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をアセトンで洗浄し、可溶性有機不純物を除去した。粗生成物(残渣)を風乾し、緩衝溶液(pH=5)に溶解し、この溶液のpH値を7に調節した。精製を、C-18逆相カラムにおいて行い、塩を除去した。次にこのカラムを水性緩衝液(pH=5)(NaH2PO3)で洗浄し、次に水で塩を溶出し、引き続き50%メタノール/水で純粋な化合物106(48mg、82%)を溶出した:MS[エレクトロスプレー、ZnNPcC6(SO3H)3COOH]:925。
【0063】
実施例9
インビトロにおけるトリスルホポルフィラジン45-49のEMT-6腫瘍細胞に対する光毒性
試験したこれらの色素のいずれについても、最大100μMまでは、Waymouth 1%FBS中での24時間のインキュベーション期間では、暗所での毒性は認められなかった。EMT-6細胞を、37℃、5%CO2で、色素1μMと共に、1時間から24時間までの様々な時間間隔でインキュベーションした。細胞生存率を、フルエンス(J/cm2)に対してプロットし、試験した各化合物および各インキュベーション時間についての生存曲線を得た。これらの曲線から、90%の細胞を殺傷する量(LD90)を、相対光毒性の定量的測定値として挿入した。
【0064】
化合物45-49および親化合物のトリスルホタロシアニン亜鉛(ZnPcS3)の6および24時間インキュベーションした場合のLD90値を、表1にまとめた。この表は、トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-アルキリル)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛(反応式4、化合物45-49)中のアルキリル置換基の長さ(n=C原子の数)およびそれらの光毒性の間の放物線の関係を明らかにしており、1-ヘキシニル誘導体46(n=6)は最高の光毒性を示し、これに1-エチニル誘導体45(n=2)および1-ノニン誘導体47(n=9)が続いている。1-アルキリル側鎖の長さの更なる増加(化合物48および49、各々、n=12およびn=16)は、これらの色素の光線力学能における実質的減少につながる。側鎖(n=0)およびベンジル基の両方を欠いている親化合物ZnPcS3は、6時間インキュベーション後、3種のポルフィラジン誘導体45、46および47全てよりも、活性が低かった。24時間インキュベーション後、ZnPcS3は、化合物47よりもより高い光毒性を示したが、依然化合物45および46よりも活性は低かった。
【0065】
(表1)2-16炭素原子(n)が変動するアルキリル置換基を伴う一連のトリスルホン化ポルフィラジン45-49のLD90(J/cm2)

【0066】
実施例10
マウスモデルにおける固形乳癌を治療するためのトリスルホポルフィラジン46によるPDT
マウス腫瘍のトリスルホポルフィラジン46による光線力学治療
インビトロ腫瘍細胞アッセイ法において最も活性のある化合物、すなわちトリスルホポルフィラジン46を、EMT-6細胞株を使用するインビボマウス腫瘍モデルにおけるその光線力学効能について更に試験した。これらの結果は、表2にまとめた。ビニクルのみ(PBS)を受け取ったマウスは、いかなる腫瘍反応も示さず、光が遮蔽された対照腫瘍も示さなかった。全ての治療した腫瘍は、使用した全ての色素投与量、すなわち0.5〜1μmole/kgで、PDT後48時間以内に反応した(平坦化および壊死)。最高の色素投与量では、処置後3週間の観察により、動物の50%より多くが、完全な腫瘍退縮の反応を見せた。本試験において用いたいずれの色素および光線量においても、死亡例は生じなかった。
【0067】
(表2)Balb-cマウスにおけるEMT-6腫瘍に対する化合物46によるPDT後の全体の組織作用

1 壊死は、巨視的に観察した場合、PDT後2日以内の平坦かつ壊死した組織の出現として定義される。
2 治癒は、PDT後3週間での、触手可能な腫瘍の非存在と定義される。
【0068】
実施例11
ラット網膜症モデルにおける管外遊出の治療のためのトリスルホポルフィラジン45-47によるPDT
ラットモデルに注射した血管内皮増殖因子(VEGF-165)
VEGF-165(血管内皮増殖因子、血管透過性因子)0.1pmole、1pmoleおよび10pmoleの投与は、非糖尿病およびSTZ糖尿病の両Wistarラットにおいて、投与量依存型の血漿管外遊出の増加を生じた(図1)。
【0069】
ラット群において、一連の対照実験を行い、この実験デザインの有効性を確認した(図2)。エバンスブルーを注射しなかった対照Wistarラットから摘出した眼のホルムアミド抽出物は、620nmで吸光度ほぼゼロ(O.D.<0.005)を示した。エバンスブルー(45mg/kg, i.v.)を注射したがVEGF-165を注射しなかった対照Wistarラットは、620nmで低レベルの吸光度(O.D.=0.04)を示した。対照Wistarラットにおいて認められた低レベルの吸光度は、屠殺時に血管内に捕捉されたエバンスブルー量に対応している。STZ非糖尿病ラットにおいて測定された量(血糖値<20mM)は、対照と有意差がなく(すなわち、O.D.=0.04)、これはSTZ糖尿病ラットにおいて観察された血漿管外遊出の増加は、糖尿病によるものであり、おそらくSTZ薬物の急性毒性作用によるものではないことを明らかにしている。ストレプトゾトシン65mg/kgで処理したSTZ糖尿病ラット(血糖値>20mM)は、有意に増加した網膜中のエバンスブルーを有した(図2)。
【0070】
トリスルホポルフィラザン46によるラット網膜の漏出血管の光線力学治療
PDT反応が、光増感剤投与と赤色光線適用の間の時間間隔に応じて示された(図3および4)。VEGF-165処置したSTZ糖尿病ラットにおいて、血漿管外遊出は、光増感剤投与と光適用の間に5時間経過後に対照レベルに達した(図3)。STZ糖尿病ラットにおける化合物46によるPDTは、この期間が1時間から最大6時間に延長された場合、血漿管外遊出を、対照非糖尿病ラットのレベルに低下した(図4)。
【0071】
血漿管外遊出を低下するPDT効能における構造活性相関
最適PDTプロトコール(すなわち、薬物投与後6時間で赤色光線が適用される)を用い、用量-反応曲線を、ZnNPcS3C6(46)およびZnNPcS3C9(47、伸長された脂肪族側鎖)、ZnNPcS3C2(45、短縮された脂肪族側鎖)、脂肪族側鎖の代わりに追加の硫酸基を特徴とするフタロシアニン類似体、すなわちAIPcS4を含む4種の類似体ならびに両親媒性ジスルホン化参照フタロシアニンAlPcS2aについて作成した(図5)。全ての化合物は、血漿管外遊出の用量依存型阻害を生じた。試験した5種の分子の中で、化合物ZnNPcS3C6(46)は、血漿管外遊出の最も強力な阻害剤であった。化合物46の0.5μmole/kgは、比較的低い線量の赤色光線(45 J/cm2、総フルエンス3J)への網膜(約7mm2)の曝露後、STZ糖尿病ラットにおける血漿管外遊出を完全に阻害した。試験した他の色素はいずれも、最高の試験投与量1 μmole/kgであっても、管外遊出の完全な阻害を誘導することができなかった(図5)。
【0072】
まとめると、VEGF-165注射したラットおよび糖尿病ラットにおいて、網膜症の両モデルにおいて、低レベル(680nm;25mW/cm2;20J/cm2)の赤色光線適用と組合わせたZnNPcS3C6(46)の投与量0.5μmole/kgは、血漿管外遊出を対照レベルにまで完全に阻害した。
【0073】
実施例12
MAb-ポルフィラジン結合体(EMBP-106)によるヒト多形核白血球の標的化された光不活化
抗体-ポルフィラジン結合体調製物(EMBP-106)
抗体を用い、化合物106(同じくここではNVT-0275と称する)が、WBCを標的化することが、目的である。以後、非特異的タンパク質(アルブミン)に結合されたおよび別の実験では好酸球に特異的な抗体(EMBP)に結合されたNVT-0275を用い、本発明の光増感剤は、高度の機能性を維持し、その結果抗体に結合された機能的NVT-0275により特異的細胞を標的化することができることが明らかにされている。
【0074】
モノカルボキシ化合物106(ZnNPcS3C6-COOH)を、文献に説明されたカルボジイミド法により、好酸球主要塩基性タンパク質(EMBP、アジド非含有、United States Biological Co., Swampscott, メイン, USA)に対して生じたMAbに結合した(N. Brasseur et al., Photochem. Photobiol. 69:345-352,1999;および、M. Carcenac et al., Photochem. Photobiol., 70:930-936,1999)。簡単に述べると、化合物106(0.8μmole)のモノカルボキシル基を、塩酸1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミド(3μmole)(EDAC, Aldrich)およびN-ヒドロキシスルホスクシンイミド(1.5μmole)(NHSS, Pierce)により活性化した。活性化された化合物106を、C-16 SetPak (Waters)上で精製し、MeOHで溶出し、かつ蒸発乾固した。1mlリン酸緩衝液(pH8)を溶媒とするEMBP(0.1mg)を添加し、この混合液を4℃で12時間攪拌し、リン酸緩衝液中のSephadex G-50(商標)カラム上で精製し、遠心により濃縮した(Centricon(商標))。EMBP結合した106の最終濃度を、その340nmの吸光度(ε=80x103M-1 cm-1)により推定した。最終のEMBP-106調製物は、EMBPの1mole当り化合物106を8mole含んだ。同じ手法で、化合物106を非特異的タンパク質(アルブミン)に結合させ、同様の色素負荷収量でタンパク質1mole当り化合物106を8-10moleを得た。
【0075】
図6Aおよび6Bにおいて、NVT-0275の3種の吸光度ピークが、タンパク質(アルブミン)との複合後に維持されることが明らかにされている。図6Aは、その特徴的3重の吸光度ピークを伴う、NVT-0275のスペクトルを示している。図6Bは、アルブミンに結合されたNVT-0275のスペクトルを示している。吸光度のパターンは、タンパク質との複合により変更しなかった。
【0076】
NVT-0275の白血球への標的化を評価するために、自然に高い好酸球数を有する健常ドナー由来の血液のみを用いた。この血液は、約5000個の好酸球/μlを有し、これは白血球(WBC)の約50%に相当する。好酸球は通常、ヒトWBC数の2〜4%である。WBCは、標準の手法を用い分離した。
【0077】
図7は、アルブミン結合されたNVT-0275が機能的であることを示している。図7において、各列の結果は、10,000個を超える細胞の分析から得た。対照実験は6回繰返し、明確なベースラインを得た。一番上の列は、対照試料の結果を示している。これらの細胞は、光には曝露したが、いずれのNVT-0275にも曝露しなかった。第一列の第一のパネルは、対照細胞の試料のFACS(蛍光標示式細胞分取)散乱を示している。第一列の第二のパネルは、これらの同じ細胞試料の分布を示し、および第一列の第三のパネルは、試料の分析の統計を示している。同様にこのスライドの第二、第三および第四の列は、アルブミン結合されたNVT-0275を濃度0.155、1.55および15.5μg/mlで用いて得た結果である。分布の変化は、細胞の結合されたNVT-0275への曝露後に、より小さい粒子がより大きい数であることを表していることに注意のこと。
【0078】
図8は、EMBP結合されたNVT-0275は、完全に機能的であることを示している。図8において、図7と同様に、各列の結果は、10,000個を超える細胞の分析から得た。対照実験は6回繰返し、明確なベースラインを得た。第一列の第一のパネルは、対照細胞(光は受け取ったがNVT-0275は受け取っていないWBC)のFACS散乱を示し、右側は細胞の分布を示し、および第一列の最も右側は、これらの結果に由来した統計を示している。第二、第三および第四の列は、EMBP結合されたNVT-0275の濃度0.155μg/ml、1.55μg/mlおよび15.5μg/mlの結果を示す。
【0079】
図8において、第4列は、劇的な結果を示している。ほぼ全ての細胞が、EMBP結合されたNVT-0275により小さい粒子に粉砕され、この細胞サイズ分布の底部分に収まっている。
【0080】
従って図9にまとめたように、これらの結果は、NVT-0275濃度により用量に依存する形の阻害を示している。最大80%の細胞を、EMBP結合されたNVT-0275の15.5μg/mlで破壊することができる。
【0081】
結合されたNVT-0275は、完全に機能的であり、およびWBCを破壊することができることはここで明らかに説明されている。NVT-0275濃度または光への曝露の強度もしくは期間を増加することにより、さらにより多くのWBCを破壊することができると予想される。アルブミンは一部の膜結合特性を有するが、特異的抗体(EMBP)を用いるNVT-0275の標的化は、より多量のNVT-0275を細胞膜上に蓄積し、かつ所定の濃度のNVT-0275での、細胞のより多くの破壊を生じる。
【0082】
本発明はこれらの具体的態様に関連して説明されているが、更なる変更が可能であること、本出願は、本発明の原理に概して準拠し、かつ当該技術分野において公知または慣習的実践の範囲内である本発明の開示からのこのような逸脱を含み、ならびに先に説明した本質的特徴に適用され、および添付された「特許請求の範囲」に従うような、本発明のあらゆる変動、使用または適合を対象とすることが意図されていることは理解されると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】ラットモデルにおける血管内皮増殖因子により生じた血漿管外遊出を例示するグラフを図示する。
【図2】ストレプトゾトシン(STZ)注射したラットモデルにおける糖尿病から生じた上昇した血漿管外遊出を図示する。
【図3】血管内皮細胞増殖因子が誘起した血漿管外遊出の時間依存型の阻害を図示する。
【図4】STZ糖尿病ラットの網膜血管における血漿管外遊出の時間依存型の阻害を図示する。
【図5】最適なPDTプロトコール(すなわち、赤色光線が、薬物投与後6時間照射される)を使用する、本発明の様々な化合物の用量反応曲線を図示する。
【図6】NVT-0275(化合物106)およびアルブミンに結合されたNVT-0275の吸収スペクトルを図示する。
【図7】アルブミン結合されたNVT-0275は機能的であることを示すFACS分析を図示する。
【図8】EMBP結合されたNVT-0275は、完全に機能的であることを示すFACS分析を図示する。
【図9】好酸球に特異的な抗体に結合された本発明のひとつの化合物を使用する、ヒト白血球細胞の破壊を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の精製された化合物を調製する方法であって:

a)KOHを、硫酸水素テトラブチルアンモニウムと混合する工程;
b)インドールを、工程a)の混合物に添加する工程;
c)スルホニルクロリドを、工程b)の混合物に添加し、式(I)の化合物を得る工程;
d)工程c)の混合物から固形KOHを除去する工程;
e)工程d)の混合物を洗浄する工程;および
f)式(I)の化合物を乾燥する工程を含む、方法。
【請求項2】
式(II)の5-置換または6-置換されたトリ-[4-(1-インドリルスルホベンゾ)]-モノ-ナフト-ポルフィラジン化合物からなる、中間体化合物:

(式中、
R1が、

であり;
Mが、H・・・Hまたは金属であり;ならびに
R2が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R3、R4およびR5が水素であり;または
R3が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R2、R4およびR5が水素である)。
【請求項3】
式(III)の水溶性化合物:

(式中、
Mが、H・・・Hまたは金属であり;ならびに
R1が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R2、R3およびR4が水素であり;または
R2が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R1、R3およびR4が水素である)。
【請求項4】
Mが、Zn、Co(II)、NiおよびCuからなる群より選択された金属である、請求項2または3記載の化合物。
【請求項5】
CH3COOMの存在下で、ヨード-2,3-ジシアノナフタレンを、インドール保護された3,4-ジシアノフェニルスルホニルと縮合し、式(II)の化合物を得る工程を含む、請求項2記載の化合物を調製する方法:

(式中、
R1が、

であり;
Mが、H・・・H、またはZn、Co(II)、NiおよびCuからなる群より選択される金属であり;ならびに
R2が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R3、R4およびR5が水素であり;または
R3が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R2、R4およびR5が水素である)。
【請求項6】
式(II)の化合物を精製する工程を更に含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
精製工程がクロマトグラフィー精製を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
式(II)の化合物のR1中に含まれたインドールを切断し、式(III)の水溶性5-置換または6-置換されたトリ-(4-スルホベンゾ)-モノ-ナフト-ポルフィラジン化合物を得る工程を更に含む、請求項5記載の方法:

(式中、
Mが、H・・・H、またはZn、Co(II)、NiおよびCuからなる群より選択される金属であり;ならびに
R1が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R2、R3およびR4が水素であり;または
R2が、-C≡CXもしくは-NHX(式中、Xが、アルキル、アリール、アルキルカルボキシルもしくはアリールカルボキシルである)である場合、R1、R3およびR4が水素である)。
【請求項9】
式(III)の化合物を精製する工程を更に含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
精製工程がクロマトグラフィー精製を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
式(6)の中間体:


【請求項12】
式(16)の中間体化合物:


【請求項13】
式(21)の中間体化合物:


【請求項14】
式(76)の中間体化合物:


【請求項15】
式(46)の化合物:


【請求項16】
式(51)の化合物:


【請求項17】
式(106)の化合物:


【請求項18】
タンパク質担体に結合された、請求項2、3、4、11、12、13、14、15、16または17のいずれか一項記載の化合物を含有する結合体(conjugate)。
【請求項19】
タンパク質担体が、抗体である、請求項18記載の結合体。
【請求項20】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項19記載の結合体。
【請求項21】
光線力学療法(PDT)の適当な波長の光と併用して、請求項2、3、4、11、12、13、14、15、16または17のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項22】
光線力学療法(PDT)の適当な波長の光と併用して、請求項18、19または20のいずれか一項記載の結合体の使用。
【請求項23】
適当な波長の光との併用による、光到達可能な癌(light accessible cancer)、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、請求項2、3、4、11、12、13、14、15、16もしくは17のいずれか一項記載の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
【請求項24】
適当な波長の光との併用による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、医薬品の製造における、請求項2、3、4、11、12、13、14、15、16もしくは17のいずれか一項記載の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
【請求項25】
個体における光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態を治療する方法であって:
a)請求項2、3、4、11、12、13、14、15、16もしくは17のいずれか一項記載の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程;および
b)前記状態に罹患した部位に対し適当な波長の光で個体を照射する工程を含む、方法。
【請求項26】
適当な波長の光との併用による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、請求項18、19もしくは20のいずれか一項記載の結合体またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
【請求項27】
適当な波長の光との併用による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、医薬品の製造における、請求項18、19もしくは20のいずれか一項記載の結合体またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
【請求項28】
個体における光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態を治療する方法であって:
a)請求項18、19もしくは20のいずれか一項記載の結合体またはそれらの薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程;および
b)前記状態に罹患した部位に対し適当な波長の光で個体を照射する工程を含む、方法。
【請求項29】
適当な波長の光との併用による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシニル)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
【請求項30】
適当な波長の光との併用による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、医薬品の製造における、トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシニル)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
【請求項31】
個体における光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態を治療する方法であって:
a)トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシニル)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛またはそれらの薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程;および
b)前記状態に罹患した部位に対し適当な波長の光で個体を照射する工程を含む、方法。
【請求項32】
適当な波長の光による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管からなる群より選択される状態の治療のための、トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシルカルボキシ)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛の使用。
【請求項33】
適当な波長の光との併用による、光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態の治療のための、医薬品の製造における、トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシルカルボキシ)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
【請求項34】
個体における光到達可能な癌、眼疾患、管外遊出性および漏出性の血管および非眼球血管疾患からなる群より選択される状態を治療する方法であって:
a)トリ-(4-スルホベンゾ)-5-モノ-[(1-ヘキシルカルボキシ)ナフト]-ポルフィラジン亜鉛またはそれらの薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程;および
b)前記状態に罹患した部位に対し適当な波長の光で個体を照射する工程を含む、方法。
【請求項35】
眼疾患が、年齢に関連した黄斑変性、糖尿病性網膜症、滲出性網膜剥離、コーツ病、血管腫、網膜芽細胞腫、脈絡膜新生血管、糖尿病性微小血管障害、臨床的に重要な黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞に関連した浮腫、網膜分枝静脈閉塞に関連した浮腫、術後嚢胞、眼内炎症、光毒性、色素性網膜炎、薬物が誘導した黄斑浮腫からなる群より選択される、請求項23、24、26、27、29、30、32または33のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
眼疾患が、年齢に関連した黄斑変性、糖尿病性網膜症、滲出性網膜剥離、コーツ病、血管腫、網膜芽細胞腫、脈絡膜新生血管、糖尿病性微小血管障害、臨床的に重要な黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞に関連した浮腫、網膜分枝静脈閉塞に関連した浮腫、術後嚢胞、眼内炎症、光毒性、色素性網膜炎、薬物が誘導した黄斑浮腫からなる群より選択される、請求項25、28、31または34のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
非眼球血管疾患が、血管新生した腫瘍および乾癬からなる群より選択される、請求項23、24、26、27、29、30、32または33のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
眼球血管疾患が、血管新生した腫瘍および乾癬からなる群より選択される、請求項25、28、31または34のいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図7】
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【図8】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−528665(P2006−528665A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529494(P2006−529494)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000739
【国際公開番号】WO2004/101516
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505421607)ユニヴェルシテ ド シャーブルック (1)
【Fターム(参考)】