説明

医療機器デバイス

【課題】ワイヤーやスネア、視認手段、いわゆる内視鏡や液体ジェットを用いて血栓等の異物を破砕するデバイスその他体腔内にて使用される、可撓性を有する長尺の医療機器デバイスについて、体腔を遮断することなく、体腔内におけるデバイスの先端位置を一定の位置に固定、もしくは任意の位置に移動できる医療機器デバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】体腔内に挿入して使用される医療用デバイスであって、長尺な管状をした本体と、当該本体の先端部近傍に設けられ前記本体に対し拡径縮径自在とされた線状部材、及び、当該線状部材を作動させる作動手段を有する固定手段と、を有し、前記作動手段により前記線状部材が体腔壁と接触するように拡径し、前記先端部が体腔内の任意の位置で軸方向に変位しないようにしたことを特徴とする医療用デバイスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管、脈管、消化管等の体腔内または管腔内に挿入して、各種治療や診断及びその補助を行なうのに用いられる、可撓性を有する長尺の医療機器デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、人の血管が閉塞する疾患の治療を行なう手段として、ワイヤーやカテーテルと呼ばれるチューブ状の治療用具を血管内に挿入し、バルーンで閉塞部を拡張したり、血管を閉塞する血栓に対して血栓溶解剤を投与したりする方法が行なわれている。この治療法は、体を直接切開する外科的手術と比較して侵襲性が少ない上、早期血流再開が可能なことから、血管の閉塞症のみならず、その他体腔内の疾患の治療法として現在広く用いられている。特に脳組織は、6時間以上虚血状態が続くと、それに伴う神経症状の回復は困難とされているが、発症後数時間で血流再開できると、極めて治療効果の高いものとなる。
【0003】
下記特許文献1、2及び非特許文献1では、カテーテル内に挿入した光ファイバーに、レーザー発振器からのレーザーをパルス導光し、前記カテーテル内に充填された生理食塩水等を急激に加熱し、液体ジェット流を誘起し、この液体ジェット流の力により血栓等を破砕し除去する方法が記載されている。
【0004】
この特許文献1、2及び非特許文献1に用いられる方法では、液体ジェット流の力を低減させることなく血栓等に到達させて治療効果を高めるために、光ファイバーが内部に挿入された状態のカテーテルを血栓等の近くまで導き、液体ジェット流を発生させて血栓を破砕するものである。
【特許文献1】特開2003−111766号公報
【特許文献2】特開2002−521084号公報
【非特許文献1】日レ医誌第22巻第3号(2001)(第217頁参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、カテーテルを用いた血管内治療の際には、血管径に比べてかなり小さめの外径を有するカテーテルを用いるのが一般的である。上記の特許文献1、2及び非特許文献1に記載された方法では、液体ジェット流の効果はカテーテル前方またはその周囲に限定されるため、カテーテルより広径である血管を塞ぐ血栓全体に液体ジェット流を作用させることは難しく、液体ジェット流の力により血栓全体を粉砕しにくいという問題点があった。
【0006】
さらに、例えば蛇行した血管に血栓が存在している場合、光ファイバーが内部に挿入された状態のカテーテルを血栓のできる限り近くまで導き、液体ジェット流を作用させようとするが、カテーテルが蛇行した血管壁に沿うことでカテーテルの先端が血栓方向を向かず効果的に衝撃波が血栓部位に伝播されない場合がある。
【0007】
上記の例に限らず、血管内や消化管内といった体腔内に、カテーテルやワイヤーといった長尺のデバイスを挿入して行なう診断や治療は多数存在するが、いずれの方法も体腔内でのデバイスの位置の固定や微調節の手段を具備したものはない。従ってデバイスの性能を充分に発揮できないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされ、ワイヤーやスネア、視認手段を設けることにより、いわゆる内視鏡の役割を果たすものや液体ジェットを用いて血栓等の異物を破砕するデバイスその他体腔内にて使用される、可撓性を有する長尺のシャフトを備える医療機器デバイスについて、体腔を遮断することなく、体腔内におけるデバイスの先端位置を一定の位置に固定、もしくは任意の位置に移動できる医療機器デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、体腔内に挿入して使用される医療用デバイスであって、長尺な本体と、当該本体の先端部近傍に設けられ前記本体に対し拡径縮径自在とされた線状部材、及び、当該線状部材を作動させる作動手段を有する固定手段と、を有し、前記作動手段により前記線状部材が体腔壁と接触するように拡径し、前記先端部が体腔内の任意の位置で軸方向に変位しないようにしたことを特徴とする医療用デバイスであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、体腔内に挿入されたチューブやいわゆるカテーテル、ワイヤー等長尺の医療機器デバイスの先端位置を調節できる固定手段を有するものである。これにより、例えば屈曲した血管にチューブを留置しても、チューブ先端は血管壁に押し付けられず、血管中央部付近もしくは術者の任意の位置に固定できるため、体腔内の病変部の診断、治療を従来よりも効果的に実施できる。またワイヤーの血管選択性を高めたり、スネアでの異物捕捉時の操作性を高めたりすることもできる。
【0011】
更に、固定手段はワイヤー等の部材で構成されており、体腔を遮断することはない。従って液体ジェットやロータブレータ(商標)等により破砕された血栓や組織片の吸引や、その補助的に使用される薬剤の投与等をスムーズに行なうことができ、デバイスの治療効果を更に高めることができる。その上、血管との接触面積は最小限に留められるため、血管壁の損傷を最低限に抑えることができる。
【0012】
加えて固定手段を固定したままチューブ(本体の先端部)に回転可能な構造を付加することで、チューブに回転を加えながら液体ジェットの噴射や血栓溶解剤の投与等を行なえたり、視認手段を設けて、いわゆる内視鏡の役割を果たすもので体腔内を全周に渡って綿密に観察したりすることができる。この結果、診断や治療を更に円滑かつ効果的に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の医療用器具を添付図面に示す好適構成例に基づいて詳細に説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は本発明の実施形態に係る医療用デバイス全体を示す概略断面図、図2は同医療用デバイスの先端部を示す斜視図、図7は同医療用デバイスの先端部の変形例1を示す斜視図、図8は同医療用デバイスの先端部の変形例2を示す斜視図、図9は同医療用デバイスの先端部の変形例3を示す斜視図、図5は同医療用デバイスの先端部の変形例4を示す斜視図、図3は同医療用デバイスの先端部における固定手段の差異を示す拡大断面の模式図である。
【0015】
本実施形態は、本発明に係る医療用デバイスを、血管を閉塞する血栓に対して液体ジェット流を噴射して再開通を図るレーザー誘起液体噴流デバイスに対して適用したものである。
なお、本明細書において「基端側」とはレーザー発振源に近い側、「先端側」とは前記基端側の逆側であって、本実施形態では液体ジェット流を噴射する側を指称するものとする。
【0016】
まず、レーザー誘起液体噴流デバイスは、図1に示すように、概してレーザー発振器1と、レーザー発振器1からのレーザー光が導光される光ファイバー2と、光ファイバー2の基端部分を保持する保持部3と、レーザー発振器1と光ファイバー2とを連結するフェルール4(レーザー発振器1内まで伸延して光ファイバー2を内包する筒体であるが、図ではナットのみを示す)と、レーザー発振器1から伸延された光ファイバー2を内包するように設けられた保護チューブ11(送液チューブともいわれる)と、レーザー光によって生じた液体ジェット流を噴射するジェット発生管部5が隔壁部材6の内部に設けられかつ最外部に外管12を有し、さらに光ファイバー2のレーザー照射部13を備えた液体導入部7と、を有している。
【0017】
一方、本実施形態に係る医療用デバイスは、概して長尺な管状をした本体20と固定手段9とを有し、レーザー誘起液体噴流デバイスの液体導入部9に設けられたチューブ接続部14を介して本体20の基端側が連結されている、
本体20は、経皮的に体内に挿入される細径で長尺な可撓性を有する管、いわゆるカテーテルであり、例えば、本実施形態に用いられる医療用デバイス8は一般的にはカテーテルとも称され、細く曲がりくねった血管であっても容易に挿入できるように、全体的には細くて柔軟であるが、同時に強度も有する管である。上記チューブに用いられる材料は公知のものを使用することができ、特に制限されないが、例えば、1層のHDPE(High Density Polyethylene)あるいは2層のLLDPE(Linear Low Density Polyethylene)がある。ただしこれのみでなく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂等の各種熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種ゴムも使用できる。
【0018】
図2に示す固定手段9は、本体20の先端部22近傍に設けられ、本体20の外周で周方向に離間して複数個配置された線状部材23と、線状部材22を作動させる作動手段24とを有し、作動手段24により線状部材23が本体20に対し拡径縮径自在とされている。
【0019】
線状部材23は、図2に示すように、本体20の先端部位の一部を切り欠くことにより形成した切欠部25内に、常時は収納され、使用時に径方向に変形するもので、例えば、周方向に離間して4本配置された金属線や上記のカテーテルと同様の樹脂製の線により形成されている。
【0020】
例えば、線状部材23は、先端側が本体20の大径部26に挿入固定され、基端側は本体20の肉厚内に形成されたルーメン内を通り、前記本体20の基端部に形成された側孔(不図示)から外部に引き出され、本体20の基端部に載置された作動手段24と連結されている(図3の下段参照)。
【0021】
作動手段24は、複数本の線状部材23を個々独立に、あるいは複数本同時に一括して作動することができるものであれば、どのようなものであってもよいが、例えば、自動で線状部材23を作動させる場合は、モータなどの駆動源により軸方向に作動する作動部材を有する作動機構を使用することができる。手動の場合は、各線状部材23の端部を外部に突出させるのみであってもよいが、線状部材23の巻取りや送り出しを行なうダイヤルや歯車等で構成された作動機構を使用しても良い。
【0022】
より好ましい作動手段24の一例としては以下のものがある。
【0023】
図4は作動手段の一例を示す拡大断面図、図5は同作動手段の作動時の状態を示す拡大断面図である。
【0024】
この作動手段24は、各固定手段9を構成する線状部材が、医療用デバイス8のハブ13の手前まで伸延されており、基端側に作動ノブ9yが取り付けられ、固定手段9の拡張時の大きさを自由に調節できるようにしたものである。
【0025】
医療用デバイス8の先端の位置を固定するには、固定手段9の各線状部材の基端側に接着剤等で固着、または該線状部材と一体に形成された位置を調節できる作動ノブ9yを前後にスライドさせることにより、固定手段9の突出長を調節することで行なう。固定手段9の線状部材はそれぞれ独立して動作させることができるが、その動作範囲は固定手段9の拡張が血管壁を損傷しない程度に留められる。また、動作させる線状部材は1本でもよくあるいは2本以上の線状部材を同時に動作させることで種々の位置に調整することもできる。図示の構成では、各線状部材は医療用デバイス8の管壁に形成された極細のルーメンを挿通し、先端部が医療用デバイス8から露出して固定部を構成し、基端部も本体から露出して突出作動部を構成している。このように線状部材の先端部(固定部)および突出作動部を除く部分を医療用デバイス8内に配置することにより、線状部材がかなりの長さにわたって医療用デバイス8の外側に露出することがなく、血管壁を当該線状部材で損傷する等の虞を回避できる。
【0026】
上記の作動手段を用いることにより、図5に示すように、医療用デバイス8の先端を術者の任意の位置に移動させることができ、液体ジェットをより指向的に血栓に作用させることができる。その結果、デバイスの治療効果が向上する。この固定手段9では、各線状部材が独立して動作可能なので、血管の治療部位の寸法、性状等に応じて、作動させる線状部材を適宜選択して様々な位置に医療用デバイス8を調整でき治療効果を向上することができる。
【0027】
さらに、本発明の固定手段9の線状部材は、体腔壁面に到達するまで拡張するものの、その主目的は医療用デバイス8の位置決めであり、その動きを完全に制限しなくともよい。従って拡張後に医療用デバイス8の先端位置の微調節を行なうべく、医療機器デバイスの手元部に所定以上の押し込み力および/またはトルクを与えた時に該デバイスが医療用デバイス8の長手方向および/または医療用デバイス8の周方向に移動できるようにするため、線状部材または帯状部材には体腔壁面との潤滑を高めるセルロース系高分子物質(例えばヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(ポリエチレングリコール)、無水マレイン酸系高分子物質(例えばメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えばポリアクリルアミド)、水溶性ナイロン、ポリビニルピロリドンやPVP−アクリル酸エステル共重合体といった親水性高分子物質、もしくはPTFEに代表されるフッ素系樹脂や二硫化モリブデン等による固体被膜、シリコーン等をコーティングしてもよい。
【0028】
このように構成すれば、本発明の線状部材の長さが変わることにより径方向に拡径縮径することができ、図5のように径方向に医療用デバイスの先端部が変位する。例えば本実施形態においては固定手段が医療用デバイス8の先端付近に設けられており、固定手段9を径方向に拡径縮径することによって血管壁に接触させて医療用デバイス8の先端の位置決めを行なえる。さらに、上述したように固定手段は複数の線状で構成されているため、バルーン等のように血管を完全に塞がないので、固定手段9が血流を遮断することはない。このため、固定手段9よりも基端側より(例えば、ガイディングカテーテル等の内腔を介して)、液体ジェットにより破砕された血栓片の吸引や、血栓溶解剤等の薬剤の投与をスムーズに行なうことができる。
【0029】
なお、本実施形態では、伸縮可能な線状部材の先端側を固定する構造であるが、必ずしもこれに限定されず、これとは逆に基端側を固定し、先端側を作動手段に連結させて線状部材の長さを調節してもよい。
【0030】
医療用デバイスの先端部の変形例1の図7において示す固定手段9は、本体20の先端部22近傍に設けられ、本体20の外周で軸方向に離間して配置され、1本の螺旋状に本体の先端部に巻きついた金属線や上記のカテーテルと同様の樹脂製の線状部材23と、線状部材22を作動させる作動手段24とを有し、作動手段24により線状部材23が本体20に対し拡径縮径自在とされている。
【0031】
線状部材23は、図7に示すように、本体20の先端部位の一部を切り欠くことにより形成した切欠部25内に、常時は収納され、使用時に径方向に変形するもので、例えば、一本の金属線や上記のカテーテルと同様の樹脂製の線を螺旋状にすることにより形成されている。
【0032】
例えば、線状部材23は、先端側が本体20の大径部26に挿入固定され、基端側は本体20の肉厚内に形成されたルーメン内を通り、本体20の基端部に形成された側孔(不図示)から外部に引き出され、本体20の基端部に載置された作動手段24と連結されている。
【0033】
作動手段24は、螺旋状の1本の線状部材の長さを調節できるよう作動することができるものであれば、どのようなものであってもよいが、例えば、自動で線状部材23を作動させる場合は、モータなどの駆動源により軸方向に作動する作動部材を有する作動機構を使用することができる。手動の場合は、各線状部材23の端部を外部に突出させるのみであってもよいが、線状部材23の巻取りや送り出しを行なうダイヤルや歯車等で構成された作動機構を使用しても良い。
【0034】
図7の構成では、本実施形態は固定手段9を構成する線状部材を1本のワイヤーで構成したものである。従って前述の実施形態より構造を簡素化でき、製造上有利である。固定手段9はコイル形状を成しており、このコイルの巻回が拡径・縮径することで、拡径時に血管壁に接触して医療用デバイス8の先端の保持を行なう。本実施形態の固定部と同様に、このコイル状の固定手段9もガイディングカテーテル内に位置するときは縮径状態であり、ガイディングカテーテルの先端から出て血管内に到達した時点で自ずと血管壁に接触する径まで拡張する。その結果、医療用デバイス8の先端は血管の中心部に位置決めされることとなる。
【0035】
図示した実施形態では、固定手段9の線状部材の構成部材をワイヤーとしているが、これはワイヤーに限定されるものではなく、例えば上記のように細い平板状の部材でコイル形状を形成しても良く、さらに、本明細書において「線状部材」とは、長さを有する部材であれば形状を問わず含む概念であるため、平板状のものや帯状のものでも「線状部材」に含まれる。なお、本発明に係る固定手段を構成する伸縮可能な線状部材の数も少なくとも一つ以上あればよい。
【0036】
医療用デバイスの先端部の変形例2の図8において示す固定手段9は、本体20の先端部22近傍に設けられ、本体20の外周で周方向に離間して配置された線状部材23と、線状部材23を作動させる作動手段24とを有し、作動手段24により線状部材23が本体20に対し拡径縮径自在とされている。
【0037】
線状部材23は、図8に示すように、本体20の外周で周方向に離間して複数配置された線状部材23が、基端側で複数本同時に一括して作動できるよう一体化した位置調節部9bを設け、さらに位置調節部9bが抜けないよう、本体20の先端部位の一部を切り欠くことにより形成した切欠部25を抜け止め用の突起として作用させたものである。例えば、線状部材23は、上記の線状部材と同様に金属線や上記のカテーテルと同様の樹脂製の線により形成されている。
【0038】
線状部材23の位置調節部9bは、当該位置調節部が軸方向に移動(スライド)できる構造であればよく、例えば作動手段を用いずに線状部材23の弾性変形のみで位置調節を行なってもよいが、この場合、当該位置調節部が作動手段24と連結しており、作動手段により位置調節部を軸方向にスライドさせることにより、線状部材の長さを調節する構造を有することがより好ましい。
【0039】
作動手段24は、複数本同時に一括して作動することができるものであれば、どのようなものであってもよいが、例えば、自動で線状部材23を作動させる場合は、モータなどの駆動源により軸方向に作動する作動部材を有する作動機構を使用することができる。手動の場合は、各線状部材23の端部を外部に突出させるのみであってもよいが、線状部材23の巻取りや送り出しを行なうダイヤルや歯車等で構成された作動機構を使用しても良い。
【0040】
上記のように図8の固定手段は、複数の線状部材が医療用デバイス8の周方向に互いに離間して配置されており、各々の線状部材が同程度に拡径することにより、血管壁の中心に確実に医療用デバイス8の先端を位置決めできるようになっている。このような構成にすれば、複数の線状部材が血管壁の複数箇所で接触するため、確実に医療用デバイス8の先端を血管壁に対して任意の位置に保持することができる。また、血管の中心部に医療用デバイス8の先端を確実に位置させるためには、各線状部材が同程度に拡径する(縮径時の径に対する拡径率を一定とする)ことが好ましいが、血栓の性状、血管の形状等に応じて、線状部材によって異なる割合で拡径するように構成してもよい。
【0041】
なお、図8では線状部材(ワイヤー)は撚り合わさった構造となっているが、本発明は医療用デバイス8の先端を血管内に安定的に支持することを目的としたものであり、その要求事項を満たしていれば線状部材(ワイヤー)は、図2のようにばらばらであってもよい。
【0042】
医療用デバイスの先端部の変形例3の図9において示す固定手段9は、上記の変形例2の図8において示す固定手段9における線状部材の幅を太くして、いわゆる平板状にした以外に構造上では相違点はない。
【0043】
固定手段9は、本体20の先端部22近傍に設けられ、本体20の外周で周方向に離間して配置された線状部材23と、線状部材22を作動させる作動手段24とを有し、作動手段24により線状部材23が本体20に対し拡径縮径自在とされている。
【0044】
線状部材23は、図9に示すように、本体20の外周で周方向に離間して複数配置された線状部材23が、基端側で複数本同時に一括して作動できよう一体化した位置調節部9bを設け、さらに位置調節部9bが抜けないよう、本体20の先端部位の一部を切り欠くことにより形成した切欠部25を抜け止め用の突起として作用させたものである。
【0045】
例えば、線状部材23の位置調節部9bは、当該位置調節部が軸方向に移動(スライド)できる構造であればよく、この場合、当該位置調節部が作動手段24と連結しており、作動手段により位置調節部を軸方向にスライドさせることにより、線状部材の長さを調節する構造を有することが好ましい。
【0046】
作動手段24は、複数本同時に一括して作動することができるものであれば、どのようなものであってもよいが、例えば、自動で線状部材23を作動させる場合は、モータなどの駆動源により軸方向に作動する作動部材を有する作動機構を使用することができる。手動の場合は、各線状部材23の端部を外部に突出させるのみであってもよいが、線状部材23の巻取りや送り出しを行なうダイヤルや歯車等で構成された作動機構を使用しても良い。
【0047】
図9の構成は上記に詳説したように、固定手段9を構成する線状部材の形状が平板となったものである。したがって、固定手段9は第1実施形態ではワイヤー(線状部材)で構成されており、血管壁とは点で接触していたのに対し、本実施形態では面で接触することになる。その結果、医療用デバイス8の先端の安定性が向上する。
【0048】
本実施形態のワイヤー本数及び構造と同様、医療用デバイス8の先端を血管内に安定的に支持できるのであれば、本実施例の平板の枚数及び構造も図9のそれに限定されるものではない。
【0049】
本発明に係る固定手段の構成材料としては、ニッケル−チタン合金等の超弾性合金など、形状復元性に優れた素材やこれらの金属材料を生体適合性材料で被覆したものや、また生体適合性材料などから構成されることが好ましく、ニッケル−チタン合金等の超弾性合金など、形状復元性に優れた素材やこれらの金属材料を生体適合性材料で被覆したものがより好ましい。
【0050】
また、本発明に係る固定手段を構成する線状部材の全長は、術式や医療用デバイス本体23の全長などによって適宜選択されるもので特に限定されないが、線状部材23が血管壁に接するまでに拡張するのに充分な長さを有していることが必要である。
【0051】
また本発明に係る固定手段を構成する線状部材の医療用デバイス本体20の半径方向への拡張幅は、適用となる血栓や術式によって適宜選択されるものであるが、好ましくは各々0〜3mm程度に拡張・縮小することが好ましい。
【0052】
本発明に係る固定手段を構成する線状部材の厚さも術式などによって適宜選択されるものであるが、0.01〜1.00mm、より好ましくは0.05〜0.2mm程度である。
【0053】
本発明に係る医療用デバイスの先端近傍とは、術式などに応じて適宜選択されるものであるが、好ましくは切欠部25の先端位置が本体20の先端から50mm以内、より好ましくは先端から3〜10mm離れた位置をいう。
【0054】
また、本発明に係る位置調節部は、医療用デバイスの軸を取り囲むリング状のものでも分離しているものでもよいが、位置調節部は軸に沿ってスライドするため滑り易い材料が好ましく、上記の医療用デバイスと同様の材料でも、ニッケル−チタン合金等の超弾性合金、形状復元性に優れた素材、ステンレスやその他任意の金属及び合金でもよく、生体分解性潤滑油、生体吸収性潤滑油などでスライド面を塗布してもよい。
【0055】
次に、本実施形態の使用方法について説明する。
【0056】
光ファイバー2、保持部3、フェルール4、ジェット発生管部5、隔壁部材6及び液体導入部7の外管12と送液チューブ11は予め嵌合や接着等の方法で組み立てられている。従って、フェルール4とレーザー発振器1とを、保持部3と液体供給ポンプ10とを接続するだけで組み付けは完了する。
【0057】
この状態で液体供給ポンプ10より液体を供給すると、液体は保持部3→送液チューブ11→隔壁部材6の外周→隔壁部材6の内部→ジェット発生管部5の順に流れる。ジェット発生管部5の先端から液体が流出した時点で満液状態となり、いわゆるプライミングが完了する。
【0058】
術者はガイドワイヤー(不図示)を生体内に挿入し、次いでガイドワイヤーを先端より突出させた状態で基部側からYコネクター(不図示)を接続したガイディングカテーテル(不図示)を通し、血栓の近傍まで進める。そしてガイドワイヤーの先端が血栓の位置まで到達し、ガイディングカテーテルがその手前まで到達させたら、ガイドワイヤーをガイドとして医療用デバイス8を血管内に挿入する。医療用デバイス8の先端がガイディングカテーテル先端より突出し、かつ血栓近傍に到達したら、ガイドワイヤーを抜去する。固定手段9はガイディングカテーテルの内径に応じて図10に示すように折り畳まれ、血管内に到達した時点で作動ノブ9yまたは作動手段24を操作することにより図11のように血管壁に接触する径まで拡張する。その結果、医療用デバイス8の先端は血管の中心部に位置決めされることとなる。
【0059】
続いてチューブ接続部14をハブ13に液密に接続して、医療用デバイス8とジェット発生管部5とを液密に接続(接触)し、液体供給ポンプ10を作動させて医療用デバイス8に液体を供給しつつ、レーザー発振器1を動作させると、光ファイバー2の先端側よりレーザー光がパルス的に照射され、それが液体を急激に蒸発気化させる。このとき形成されるバブルによる体積膨張が加圧力となり、ジェット発生管部5内の、蒸発していない液体を急激に先端側へと押し出す。これにより液体ジェット流が生じる。
【0060】
本実施形態では、レーザー照射は医療用デバイス8内部ではなくジェット発生管部5内で行なわれるため、レーザー照射により生じるバブルが及ぼす加圧力は、ジェット発生管部5へも作用することとなる。しかしジェット発生管部5は機械的強度を有するため、変形等は生じない。結果として、バブルによる加圧力は確実に液体へと作用することとなる。
【0061】
レーザー照射により生じた液体ジェット流は、医療用デバイス8内を伝播し、前方の血栓に向かって噴射され、この衝突と、場合によっては血栓溶解剤等の薬剤の補助により、血栓が破砕される。
【0062】
通常、医療用デバイス8の外径は血管の内径よりもずっと小さい。加えて目的部位までの血管の湾曲、及びそれによるガイディングカテーテルの湾曲により、医療用デバイス8の先端は血管壁に押し付けられた状態となることが多い。従って何の工夫もなければ、医療用デバイス8の先端が血栓の方向を向かず、液体ジェットを血栓に対して効果的に作用させることは困難である。しかしながら固定手段9は医療用デバイス8の先端を血管の中央部に固定するため、その前方に位置する血栓に対して液体ジェットを効果的に作用させることができる。
【0063】
また液体ジェットによる血栓破砕と並行して、ガイディングカテーテル等からシリンジやポンプを用いて陰圧をかけて破砕片を吸引したり、血栓溶解剤等の薬剤を投与したりすることで、治療の更なる高効率化を図ることができる。
【0064】
血栓の破砕が確認されたら、ガイディングカテーテルの基部に接続されたYコネクターのポートから血栓破砕片を吸引し、体外に取り出す。以上の手順により、血管内での血液の再環流が開始される。
【0065】
本発明に係る医療用デバイスをレーザー誘起液体噴流デバイスに対して適用した場合、上記の血栓破砕片を吸引できる吸引器や圧力調節器を前記レーザー誘起液体噴流デバイスに備えることが好ましい。なお、この場合における吸引器や圧力調節器は、公知のものを利用することができ、注射器のようなもので吸引する手動のものであっても、小型の真空ポンプなどを利用した自動のものでもよい。
【0066】
<第2実施形態>
図12−Aは本発明の第2実施形態を示すチューブ先端の断面図であり、図12−Bは図12−Aのチューブ先端の拡大断面図であり、図12−Cは本発明の第2実施形態を示すチューブ先端の斜視図である。前記実施形態と同様の部材は同一符号を使用し、説明を省略する。
【0067】
本実施形態は医療用デバイス8に固定手段9の先端部が回転可能に嵌合する形で接続されており、医療用デバイス8は固定手段9を血管内で固定したまま、ハブ13及びそれに嵌合した液体導入部7を回転させることで、自由に回転することができる。
【0068】
以下、本発明に係る医療用デバイスに固定手段9(第1実施形態では線状部材)の先端部が回転可能に嵌合する構造を詳説する。
【0069】
本実施形態では、線状部材23を一体にまとめる固定管Aと、固定管Aの先端に設けられた環状突起Bと、医療用デバイスの本体20の先端側に形成された抜け止め用の突起Cと、から構成され、抜け止め用の突起Cが環状突起Bに対し相対的に回転可能な状態で予め連結されている。線状部材23は、血管内に解放されると拡張して血管壁に密着し、医療用デバイス8を固定する。次いで、ハブ13または液体導入部7を回転させると、線状部材23は血管壁との摩擦で固定されたまま医療用デバイス8が環状突起Bに沿って回転することとなる。
【0070】
本実施形態においては、固定手段9は血管壁との摩擦抵抗が高いほうが好ましい。従って、上述の潤滑性コーティングは実施しなくともよい。逆に固定手段9に突起やファイバーを設け、摩擦抵抗が高まるようにしてもよい。
【0071】
また、環状突起Bに対する抜け止め用の突起Cの相対的な回転を容易にするために、環状突起Bの外面および/または抜け止め用の突起Cの内面に上記列挙した潤滑性コーティングを施すことが好ましい。
【0072】
回転の効果を最大限に引き出すため、医療用デバイス8の先端には湾曲形状がついていたり、医療用デバイス8先端近傍の側面には側孔がついていたり、チューブの先端付近で液体ジェット流が通過するルーメンをチューブの長手方向に対して側方に(斜めに)それる方向に形成することが望ましい。
【0073】
これにより液体ジェットや血栓溶解剤等を血栓に対して多面的に作用させることができ、デバイスの有効性が向上する。
【0074】
この第2実施形態の構成では、第1実施形態の作動手段24を備えてなく、線状部材23の基端は本体20(切欠部25)の外面上に露出して配置される。このためこの固定手段9は、ガイディングカテーテル内に位置するときは、線状部材23の基端が基端方向に移動(変位)して縮径状態となり、ガイディングカテーテルの先端から出て血管内に到達した時点で、線状部材23の基端が先端方向に移動(変位)して自ずと血管壁に接触する径まで拡張する。その結果、医療用デバイス8の先端は血管の中心部に位置決めされることになる。
【0075】
<第3実施形態>
図13は本発明の第3実施形態の要部を示すチューブ部の拡大断面図である。前記実施形態と同様の部材は同一符号を使用し、説明を省略する。
【0076】
本実施形態は本発明に係る医療用デバイス8をいわゆるガイディングカテーテルとして用い、医療用デバイス8内部を通る内チューブ16より液体ジェットを噴射するものである。医療用デバイス8はYコネクター15と連結されており、液体導入部7には内チューブ16の基端に直結されたハブ17が嵌合している。医療用デバイス8には第1実施形態と同様の種々の固定部9が設けられている。内チューブ16はYコネクター15の内部通路を挿通し、該通路内に配置された弾性材料からなるシール部材を圧縮変形することでこのシール部材の内面が内チューブ16の外面に液密に接触し、これにより内チューブ16が液密に医療用デバイス8内に保持、固定される。これにより、固定手段9で医療用デバイス8の先端位置を決めることによって、内チューブ16の先端位置を調節できる。更にハブ17及びそれに嵌合した液体導入部7を回転させることで、内チューブ16を自由に回転することができる。これにより液体ジェットを血栓に対して多面的に作用させることができ、デバイスの有効性が向上する。
【0077】
また、上記の第2実施形態で説明した、本発明に係る医療用デバイスの先端部が回転可能なものと本実施形態を組み合わせた場合、回転の効果を最大限に引き出すため、チューブ16の先端には湾曲形状がついていたり、チューブ16先端近傍の側面には側孔がついていたり、チューブの先端付近で液体ジェット流が通過するルーメンをチューブの長手方向に対して側方に(斜めに)それる方向に形成することが望ましい。
【0078】
さらに、血管中の血栓をジェットで粉砕する際に、上記の第1実施形態でも説明したように、粉砕した血栓を除去、吸引できる吸引器や圧力計を本発明に係る医療用デバイスに装着してもよい。
【0079】
<第4実施形態>
図14は本発明の第4実施形態の要部を示すチューブ先端の斜視図である。前記実施形態と同様の部材は同一符号を使用し、説明を省略する。
【0080】
本実施形態は、体腔内に挿入して使用される視認手段18(いわゆる内視鏡)に本発明に係る医療用デバイスを応用したものであり、本発明に係る医療用デバイスの先端部に視認手段18を取り付けられており、視認手段18は、ライトガイド26と、対物レンズ27と、鉗子口28とを有する構造である。本発明に係る医療用デバイス8には第1実施形態と同様の固定手段9が設けられている。従来の視認手段はただ体腔内に挿入されるのみで使用されていたが、本実施形態では更に血管(体腔)の中心あるいは任意の位置に視認手段を固定することができるため、デバイスの操作性が向上する上、患部をより良く観察することができるため、有効性も向上する。
【0081】
更に前記第2、3実施形態を併用し、視認手段18を回転させることで、視認手段18に位置ずれを起こすことなく病変部付近を全周に渡って観察でき、更に有効性を向上させることができる。
【0082】
本発明の適用は血管内に挿入されるカテーテルのみに限定されるものではなく、脈管、消化管等の体腔内あるいは管腔内に挿入して使用されるチューブ全般に渡って適用でき、有効性を向上できるものである。
【0083】
また、本発明は図示の構成に限定されず、例えば、第1実施形態に記載した線状部材、帯状部材などからなる固定手段9を第3実施形態や第2実施形態に適用した構成としてもよい。
【0084】
<第5実施形態>
図14は本発明の第5実施形態の要部を示すスネアに医療用デバイスを接続した場合の先端の立体図である。前記実施形態と同様の部材は同一符号を使用し、説明を省略する。
【0085】
本実施形態は、体腔内の異物の捕捉等を行なうスネア19に本発明を応用したものである。スネアは可撓性を有する長尺の本体(シャフト)20の先端部にループ部21を有しており、このワイヤ本体20には第1実施形態と同様の固定手段9が設けられている。従来のスネアは、体腔の屈曲等により、スネアの先端を異物付近に留置するためには、またスネアの位置ずれを生じさせないように捕捉するためには、熟練と長い手技時間を要したが、本実施形態ではスネア19の先端が体腔内の異物付近に固定されるため、より容易に異物を捕捉でき、捕捉の成功率を向上させることができる。この際、固定手段9の表面には、第1実施形態にて既述の潤滑性を高めるコーティングを施しておくと、本実施形態の操作性が更に向上するため、より好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、血管、脈管、消化管等の体腔内もしくは管腔内に挿入して、各種治療や診断及びその補助を行なうのに用いられる可撓性を有する長尺の医療機器デバイスとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は本発明の第1実施形態の全体を示す概略図である。
【図2】図2は本発明の第1実施形態における医療用デバイスの先端部を示す斜視図である。
【図3】図3は第1実施形態における医療用デバイスの固定手段の比較を示した拡大断面図である。
【図4】図4は本発明の第1実施形態における医療用デバイスにおける作動手段の作動前における拡大断面図である。
【図5】図5は本発明の第1実施形態における医療用デバイスにおける作動手段の作動時における拡大断面図である。
【図6】図6は本発明の第1実施形態における医療用デバイスにおける作動手段の一例を示す斜視図である。
【図7】図7は本発明の第1実施形態における医療用デバイスの先端部の変形例1を示す斜視図である。
【図8】図8は本発明の第1実施形態における医療用デバイスの先端部の変形例2を示す斜視図である。
【図9】図9は本発明の第1実施形態における医療用デバイスの先端部の変形例3を示す斜視図である。
【図10】図10は医療用デバイス先端の挿入の様子を示す拡大断面図である。
【図11】図11は医療用デバイス先端の要部を示す拡大断面図であるである。
【図12−A】図12−Aは本発明の第2実施形態の要部を示す医療用デバイス部の拡大断面図である。
【図12−B】図12−Bは本発明の第2実施形態の要部を示す医療用デバイス部の拡大断面図である。
【図12−C】図12−Cは本発明の第2実施形態の要部を示す医療用デバイス部の斜視図である。
【図13】図13は本発明の第3実施形態の要部を示す医療用デバイス部の拡大断面図である。
【図14】図14は本発明の第4実施形態の要部を示す視認手段を先端部に有する医療用デバイスの立体図である。
【図15】図15は本発明の第5実施形態の要部を示すスネアを先端部に有する医療用デバイスの立体図である。
【符号の説明】
【0088】
1…レーザー発振器
2…光ファイバー
3…保持部
4…フェルール
5…ジェット発生管部
6…隔壁部材
7…液体導入部
8…医療用デバイス
9…固定手段
9b…位置調節部
9y…作動ノブ
11…送液チューブ
12…外管
13…ハブ
14…チューブ接続部
15…Yコネクター
16…内チューブ
17…ハブ
18…視認手段
19…スネア
20…医療用デバイス本体(長尺な管状をした本体)
21…ループ部
22…先端部
23…線状部材
24…大径部
25…切欠部
26…ライトガイド
27…対物レンズ
28…鉗子口
R…回転手段
A…固定管
B…環状突起
C…抜け止め用の突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入して使用される医療用デバイスであって、
長尺な本体と、
当該本体の先端部近傍に設けられ前記本体に対し拡径縮径自在とされた線状部材、及び、当該線状部材を作動させる作動手段を有する固定手段と、を有し、
前記作動手段により前記線状部材が体腔壁と接触するように拡径し、前記先端部が体腔内の任意の位置で軸方向に変位しないようにしたことを特徴とする医療用デバイス。
【請求項2】
前記線状部材は、前記本体の周方向に離間して複数個配置したことを特徴とする請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
前記線状部材は、前記本体の軸方向にスパイラル状に伸延するように配置したことを特徴とする請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項4】
前記医療用デバイスは、前記本体の先端部と、前記固定手段との間に回転部を有し、前記先端部が前記固定手段に対し回転可能としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用デバイス。
【請求項5】
前記本体は、前記先端部にスネアを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の医療用デバイス。
【請求項6】
前記本体は、前記先端部に視認手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の医療用デバイス。
【請求項7】
前記本体は、レーザー光を吸収する所定の液体が充填される液体導入部と、当該液体導入部内に配置され、レーザー発振器からのレーザー光が導光される光ファイバーのレーザー照射部が収容される光ファイバー収容部と、を有し、前記レーザー照射部から前記液体に向かって照射したレーザー光により前記液体に生じるジェット流を外部に噴射するレーザー誘起液体噴流発生デバイスの前記液体導入部と連結可能または前記レーザー誘起液体噴流発生デバイスと一体化したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の医療用デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12−A】
image rotate

【図12−B】
image rotate

【図12−C】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2008−36026(P2008−36026A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212439(P2006−212439)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】