説明

医療用画像診断支援システム及び画像処理方法

【課題】 医療用画像診断支援システムにおいて、CAD処理の処理効率と解析精度の向上を図る。
【解決手段】 撮影装置101と、CADサーバ102と、PACS/ビューワ装置103と、を備える医療用画像診断支援システムであって、撮影装置101により得られた医療用画像に対して、ノイズ抑制処理または鮮鋭化処理のいずれかを含む画像処理を実行することで得られた画像処理済画像を、PACS/ビューワ装置103に記憶する第1の処理経路と、撮影装置101により得られた医療用画像に対して、CAD処理を実行することで得られたCAD結果を、PACS/ビューワ装置103に記憶する第2の処理経路と、前記画像処理済画像と前記CAD結果とを関連付ける処理を、前記第1の処理経路及び前記第2の処理経路において実行する処理手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用画像診断支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、DICOM規格およびIHEなどのガイドラインの策定、普及によって、医療用画像は、撮影装置のみならず、他の様々な装置において、処理・管理・閲覧ができるようになっている。
【0003】
例えば、撮影装置によって撮影された医療用画像は、PACSなどの画像蓄積装置に送られた後、該画像蓄積装置によって管理されうる。また、PACS等の画像蓄積装置には、複数台の撮影装置を接続することができ、諸々の医療用画像を一括して管理することも可能である。
【0004】
更に、近年、CAD(Computer Aided Detection/Diagnosis)技術が開発されたことに伴い、撮影された医療用画像に対して、医師による診断を支援するためのCAD処理を施すことも可能となっている。なお、ここでいうCAD処理とは、例えば病変検出、心胸郭比などの測定、認知症などの症状判定、3次元情報を生成した後の病変検出といった医療用画像を解析するための処理を指す。
【0005】
更に、CAD処理の一つとして、胸部X線画像の原画像に対して、適応リングフィルタを施すことにより複数枚の画像を生成し、病変を検出する手法(特許文献1参照)も提案されている。
【0006】
このように、撮影された医療用画像に対して、種々のCAD処理を施すためには、通常、CAD処理機能を撮影装置に持たせることが考えられるが、上述した通り、撮影装置は複数台設置されることもある。このため、すべての撮影装置にCAD処理機能を持たせることは、処理効率の観点から好ましくない。
【特許文献1】特開2002−112985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方で、処理効率に着眼した場合、撮影装置、PACSなどの画像蓄積装置とは別に、CAD処理を行う専用のCAD装置を設置することが考えられる。
【0008】
しかしながら、撮影装置では、医師にとって診断し易い医療用画像を出力するために、撮影された医療用画像に対して画像処理を行った上で出力する場合が多い。このような画像処理は、医師にとって診断し易い医療用画像を作成することができる反面、信号を変化させる処理であるがゆえに、オリジナル画像に対して信号劣化が不可避であるという側面も持つ。
【0009】
つまり、撮影装置、PACSなどの画像蓄積装置とは別に、CAD装置を設置する構成とした場合、撮影装置において撮影されCAD装置に出力される医療用画像は信号劣化しており、信号解析に適した画像とはなっていない。このため、CAD処理の解析精度を低下させることも考えられる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされてものであり、医療用画像診断支援システムにおいて、CAD処理の処理効率と解析精度の向上とを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために本発明に係る医療用画像診断支援システムは以下のような構成を備える。即ち、
被検体を撮影する撮影装置と、
入力された医療用画像を解析するCAD処理を実行する処理装置と、
入力された情報を記憶する記憶装置と、を備え、該撮影装置と該処理装置と該記憶装置とが、接続される医療用画像診断支援システムであって、
前記撮影装置が前記被検体を撮影することにより得られた医療用画像に対して、ノイズ抑制処理または鮮鋭化処理のいずれかを含む画像処理を実行することで得られた情報を、前記記憶装置に記憶する第1の処理経路と、
前記撮影装置が前記被検体を撮影することにより得られた医療用画像に対して、前記CAD処理を実行することで得られた情報を、前記記憶装置に記憶する第2の処理経路と、
前記第1の処理経路により前記記憶装置に記憶した情報と、前記第2の処理経路により前記記憶装置に記憶した情報とを関連付ける処理を、前記第1の処理経路及び前記第2の処理経路において実行する処理手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、医療用画像診断支援システムにおいて、CAD処理の処理効率と解析精度の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
<1.医療用画像診断支援システムの構成>
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる医療用画像診断支援システムの構成を示す図である。
【0015】
101はX線撮影装置、X線CT、眼底カメラ、カテーテルカメラ、胃カメラ、超音波装置、PET・SPECT、MRIといった、被検体を撮影することで医療用画像を得る撮影装置101である。なお、図1の例では、撮影装置としてX線撮影装置を図示している。
【0016】
102はCAD処理を行うCADサーバ102である。103はPACS及びビューワ機能を備えるPACS/ビューワ装置である。
【0017】
医療用画像診断支援システムでは、これら撮影装置101とCADサーバ102とPACS/ビューワ装置103とが接続可能に構成されている。これにより、撮影装置101、CADサーバ102、PACS/ビューワ装置103間において、それぞれ情報の送受信を行うことができる。図1に示す矢印は、画像および画像に付帯するデータ等の情報の送受信の流れを示している。
【0018】
図1の矢印に示すように、本実施形態にかかる医療用画像診断支援システムでは、撮影装置101において被検体を撮影することで得られた医療用画像を、撮影装置101内において画像処理する前にCADサーバ102へ送信する(第2の処理経路)。
【0019】
これにより、CADサーバ102では、画像処理による信号劣化が生じていない医療用画像(オリジナル画像)を受信することができ、信号解析に適した医療用画像に対してCAD処理を実行することができる。
【0020】
一方で、撮影装置101では、被検体を撮影することで得られた医療用画像に対して画像処理を施したうえで、PACS/ビューワ装置103へ送信する(第1の処理経路)。つまり、PACS/ビューワ装置103に保存される画像は、医師によって診断し易い画像(画像処理済画像)となっている。
【0021】
更に、CADサーバ102では、オリジナル画像にCAD処理を施した後の良好なCAD結果をPACS/ビューワ装置103へ送信する。
【0022】
そして、PACS/ビューワ装置103では、当該画像処理済画像とCAD結果とを関連付けて保存する。これにより、PACS/ビューワ装置103では、医師にとって診断し易い画像処理済画像と、良好なCAD結果とを同時に表示することが可能となる。
【0023】
また、かかる医療用画像診断支援システムによれば、複数の撮影装置101が病院内に複数台設置されている場合でも、CADサーバ102は、一台もしくは撮影装置101の台数に対して非常に少ない台数で対応することができる。この結果、各撮影装置にCAD処理機能を持たせる場合と比べて、大幅にコストを低減させることができる。
【0024】
<2.医療用画像診断支援システムを構成する各装置のハードウェア構成>
次に、医療用画像診断支援システムを構成する各装置(撮影装置、CADサーバ、PACS/ビューワ装置)のハードウェア構成について説明する。
【0025】
図2は、撮影装置101、CADサーバ102、PACS/ビューワ装置103の基本的なハードウェア構成を示す図である。
【0026】
図2において、201は各装置が有する機能を実現するための制御プログラムやその制御プログラムで用いるデータを記憶する制御メモリである。202は、これらの制御プログラムやデータを実行する中央演算装置である。
【0027】
203は、中央演算装置202が制御プログラムやデータを実行する際に、一時的に記憶されるメモリである。
【0028】
204はユーザからの入力を受け付けるユーザ入力装置である。205は外部とのデータ交換を担当するデータ入出力装置である。206は撮影装置101、CADサーバ102、PACS/ビューワ装置103の各装置が個別に保持する各デバイスを表す各種デバイスである。
【0029】
207は制御メモリ201、中央演算装置202、メモリ203、ユーザ入力装置204、データ入出力装置205および各種デバイス206を接続するバスである。
【0030】
<3.医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成>
次に、医療用画像診断支援システムを構成する各装置(撮影装置、CADサーバ、PACS/ビューワ装置)の機能構成について説明する。
【0031】
図3は、撮影装置101、CADサーバ102、PACS/ビューワ装置103の機能構成を示す図である。
【0032】
なお、図中の矢印線は、物理的な接続形態を示すものではなく、通信セッションや情報の流れを表すものである。このため、図3の機能構成には、例えば撮影装置101とPACS/ビューワ装置103とがネットワークを介して通信を行う場合も含まれているものとする。
【0033】
また、図を簡略化するために画像表示部、表示用画像処理部、表示用画像処理パラメータ保持部、表示用画像処理パラメータ入力部など、医療用画像診断支援処理に直接関わりのない画像表示処理を行う処理部は割愛してある。しかし、本実施形態のみならず本明細書の全ての実施形態において説明されるどの装置にも、画像表示処理を行う処理部が配置されていてもよいものとする。
【0034】
<3.1 撮影装置の機能構成>
はじめに撮影装置101の機能構成について説明する。304は画像撮像部である。画像撮像部304は撮影装置101の種類によって様々な形態をなり得る。例えば、撮影装置101が、
・X線撮影装置であれば、画像撮像部304は、X線センサおよびX線発生源を含むハードウェアとソフトウェアからなり、
・X線CTであれば、画像撮像部304は、X線センサ、X線発生源、およびセンサで取得した情報からCTスライス像を形成するシステムを含むハードウェアとソフトウェアからなり、
・眼底カメラやカテーテルカメラ、胃カメラであれば、画像撮像部304は、発光源および一般/医療用のカメラといった撮像装置を含むハードウェアとソフトウェアからなり、
・超音波装置であれば、画像撮像部304は、超音波を発生・計測する超音波素子(例えばピエゾ素子)および超音波信号から画像を形成するシステムを含むハードウェアとソフトウェアからなり、
・PET・SPECTであれば、画像撮像部304は、放射性元素(例えば陽電子放出核種)を合成した放射性薬剤を注入する放射性薬剤注入部および計測した放射線から画像を形成するシステムを含むハードウェアとソフトウェアからなり、
・MRIやMRAであれば、磁場を発生するコイルおよび計測したNMR信号から画像を形成するシステムを含むハードウェアとソフトウェアからなり、
・造影MRIであれば、上記MRIの画像撮像部304に加えて、MRI用の造影剤(例えばガドリニウム化合物や超常磁性酸化鉄)を注入する造影剤注入部を含むソフトウェアとハードウェアからなるものとする。
【0035】
またその他にも、PET−CTなどの、上記の撮像装置を組み合わせた画像撮像部304も本明細書における画像撮像部に含まれるものとする。なお、本明細書において、「画像」という単語には、静止画像、静止画像の集合、動画像、スライス画像、スライス画像の集合、スライス画像の集合から生成されるボリューム画像が含まれるものとする。
【0036】
305はユーザによる入力を受け付けるキーボード、マウス、バーコードリーダ等のハードウェア入力インタフェースからなる入力部である。
【0037】
306は画像処理パラメータ保持部である。画像処理パラメータ保持部306は、入力部305によって入力された、少なくともノイズ抑制パラメータ、鮮鋭化強度、回転角度、拡大・縮小率、左右・上下反転の有無、階調反転の有無、切り出し領域のいずれかを含む画像処理パラメータを保持する。
【0038】
307は画像撮像部304によって撮影された医療用画像に対して、ノイズ抑制処理、鮮鋭化処理、回転処理、拡大・縮小処理、左右・上下反転処理、階調反転処理等の画像処理を施すソフトウェアもしくはハードウェアからなる画像処理部である。以降の説明では、この画像処理部307の出力画像を「画像処理済画像」、画像処理部307の入力となる画像およびこれに相当する画像を「オリジナル画像」と呼ぶ。
【0039】
なお、一般的に画像撮像部304によって、センサ特性などの撮像装置に依存する特性を補正する画像処理や、情報の正規化など情報を均一化する処理がなされるが、画像処理部307によってこのような処理を行うよう構成してもよい。この場合、オリジナル画像とはセンサから入力される信号そのままの、もしくは一部の特性を補正した情報となる。
【0040】
更には、この情報とは画像の形式をとらない情報であってもよい。本明細書においてオリジナル画像という記述は便宜的なものであって、画像形式にとらわれるものではない。また画像処理部307が画像撮像部304の特性の補正等まで行う構成とした場合には、画像処理パラメータ保持部306は、補正等の画像処理に必要なパラメータも含むこととなる。更に、画像処理部307は、得られた複数枚の画像データから3次元情報を再構成する処理を行ってもよい。
【0041】
308は画像処理部307によって処理された画像処理済画像を表示する画像表示部である。画像表示部308では、画像処理を施していない画像を表示することも可能である。
【0042】
309は画像撮像部304から出力された、撮影時間などの撮影に要した情報を保持するハードウェアからなる撮影実施情報保持部である。ここに保持される情報はDICOM形式の情報を生成するために必要な情報であり、撮影装置の形態によって様々な形式をとる。例えば、撮影装置101がX線撮影装置であれば、管電流、管電圧などが挙げられる。
【0043】
310は入力部305より、入力もしくは選択(予めHIS/RISといったOrder Fillerより取得してあったワークリストから選択)された、検査対象である患者の情報を保持するハードウェアからなる患者情報保持部である。患者情報保持部310にはDICOM形式の情報を生成するために必要な情報が最低限保持される。
【0044】
311は画像処理部307によって画像処理された画像処理済画像に対して、少なくともID情報(識別情報)を付与するソフトウェアからなるID情報付与部である。
【0045】
ID情報付与部311では、画像処理部307によって処理された画像処理済画像の元の情報となった画像撮像部304からのオリジナル画像に対して、画像処理済画像と同一のID情報、もしくは画像処理済画像を示すIDリファレンス情報を付与する。
【0046】
なお、IDリファレンス情報の付与は、画像撮像部304からのオリジナル画像にIDを付与し、このIDに対するリファレンス情報を画像処理部307からの画像処理済画像に付与するようにしてもよい。
【0047】
以降では、このIDリファレンス情報も含めてID情報と称することとする。なお、ID情報付与部311は、DICOM形式の情報を生成するものとし、撮影実施情報保持部309、患者情報保持部310において生成された情報と統合したDICOM形式の情報を生成するものとする。
【0048】
以下では、ID情報が付与された画像と表現するが、DICOM画像もそれに含まれるものとする。
【0049】
なお、ID情報付与部311では、オリジナル画像と画像処理済画像の2種類の画像が画像処理前は同一のオリジナル画像であることを認識しておく必要がある。
【0050】
このために、図中には示していないが、撮影装置301全体は、もともと画像撮像部304の信号、もしくは装置内外に保有する別のクロックによって同期しているものとする。そして、その同期信号を元に、ソフトウェアの面でもハードウェアの面でも2種類の画像が対応していることを判別できるように構成されているものとする。
【0051】
また、本実施形態の場合、ID情報としては様々な形態が考えられる。例えば、
・DICOMのImage Instance UID、
・DICOMのUIDの仕組みに準ずる(例えばネットワークカードのMACアドレスに装置内で発番する内部IDを加えた)ID、
・病院内のみで通用する独自のID、
・片方にMD−5といった情報を比較的一意に特定するコードを算出する手法を用いて、他方にそのコードをIDリファレンス情報として持たせる形態、
・後述する入出力部312の出力形態がファイルベースの出力形態であった場合は、片方のファイル名をIDとして他方にIDリファレンス情報を持たせる形態、
等が考えられる。
【0052】
312はID情報付与部311によりIDが付与された2種類の画像(画像処理済画像とオリジナル画像)とを出力する入出力部である。この入出力部312はイーサネット(登録商標)カードといった通信装置およびこれを制御するソフトウェアから構成されるものとする。CDやDVD、フラッシュメモリといった可搬媒体に出力する形態であってもよい。
【0053】
なお、以降で説明する入出力部同士は、全て同一の形態を有しているものとする。即ち、入出力部312が通信構成を有していた場合は、入出力部312と接続される他の入出力部も通信構成を有することとなる。
【0054】
なお、本明細書では簡略化のために入出力部を一つのブロックとして記述しているが、入出力部を複数のブロックに分けることも可能である。例えば、図3の入出力部312には2本の出力線が引かれているが、この線1本1本に入出力部312A、入出力部312Bというブロックを割り当てる構成としてもよい。
【0055】
<3.2 CADサーバの機能構成>
次に、CADサーバ302の機能構成について説明する。313は入出力部312から出力されたオリジナル画像を入力として受け付けるハードウェアとソフトウェアからなる入出力部である。
【0056】
314は入出力部313に入力されたオリジナル画像に対してCAD処理を行うソフトウェアからなるCAD処理部である。なお、このCAD処理部314は、高速な処理が求められる場合はハードウェアで構成してもよい。
【0057】
また、CAD処理とは病変検出、心胸郭比計測、認知症などの症状判定、3次元情報を生成した後に行う病変検出といった、画像解析を行う処理のことを指すものとする。ここで、3次元情報を生成した後に行う病変検出がCAD処理に含まれる場合は、撮影装置101の画像処理部307で行う画像処理には、3次元情報を生成する処理も含まれることとなる。
【0058】
315は、CAD処理部314でのCAD結果とオリジナル画像のID情報とをCAD処理部314から入力として受け取り、同ID情報をもつCAD結果を生成するソフトウェアからなる画像付帯CAD情報生成部である。
【0059】
なおCAD結果とは、例えば、検出された病変の位置情報、病変の種類、重要度、また計測した心胸郭比の計測位置、計測結果といった解析結果のことを指すものとする。さらに画像付帯CAD情報とは、CAD処理部314で処理された結果を、ビットマップ形式、ビットマップおよび位置情報形式、ベクトル情報形式、または形状情報および位置情報形式として表現したものを指すものとする。
【0060】
なお、画像付帯CAD情報は、CAD処理対象のオリジナル画像と重ね合わせて表示することでCAD結果を示すことができるものとする。具体的には、画像付帯CAD情報生成部315は、DICOMのGSPSオブジェクトを生成するものとする。なお、以降の説明において画像付帯CAD情報とは、このDICOM GSPSオブジェクトである場合が含まれるものとする。
【0061】
なお、GSPSオブジェクトには、付帯情報の形式としてオーバレイタイプとグラフィックアノテーションタイプの2種類が存在する。このため、画像付帯CAD情報生成部315では、両方の形式もしくはどちらか片方だけの形式の情報を生成できるように構成されているものとする。
【0062】
316は画像付帯CAD情報生成部315によって生成された画像付帯CAD情報を出力するハードウェアとソフトウェアからなる入出力部である。なお、入出力部313と入出力部316とは一つのハードウェアで実現することもできる。
【0063】
<3.3 PACS/ビューワ装置の機能構成>
次に、PACS/ビューワ装置303の機能構成について説明する。317は撮影装置301の入出力部312から出力された画像処理済画像、およびCADサーバ302の入出力部316から出力された画像付帯CAD情報とを受け付けるハードウェアとソフトウェアからなる入出力部である。
【0064】
318はソフトウェアからなるID情報解釈部である。ID情報解釈部318は、入力された画像処理済画像が保持するID情報と、入力された画像付帯CAD情報に含まれるID情報とを照合し、ID情報が一致(もしくはIDリファレンス情報の場合は関係)する場合に、両者の情報を関連付ける。
【0065】
またID情報解釈部318は、入力された情報を、後述する画像表示部320へ出力することもできる。319はID情報解釈部によって関連付けられた情報を元に、画像処理済画像および画像付帯CAD情報を関連する情報として保存・管理するハードウェアとソフトウェアからなる画像保存部である。
【0066】
なお、画像処理済画像と画像付帯CAD情報とが時間差を持って入出力部317へ到達した場合は、ID情報解釈部318は先に到達した一方の情報を画像保存部319へ出力し、画像保存部319では先に到達した情報を保存する。
【0067】
次にもう一方の情報が到達した場合には、ID情報解釈部318は画像保存部319とID情報をやり取りし、ID情報および後から到達した情報を画像保存部319へ出力する。なお、このID情報のやり取りにはいくつかの形態が考えられる。例えば、
・ID情報解釈部318が、画像保存部319に保存されている情報のID情報一覧を取得する方法。ID情報解釈部が、ID情報一覧の中から後から到着した情報のID情報を照合する形態、
・ID情報解釈部318が、後から到達した情報のID情報を画像保存部319へ与え、応答として、対応するID情報を画像保存部319から取得する方法。画像保存部319が、自身に保存されている情報のID情報と、ID情報解釈部318から送られたID情報とを照合する形態、
等が考えられる。
【0068】
画像保存部319は関連情報を元に、既に到達している一方の情報と後から到達したもう一方の情報とを関連付けて保存する。320はID情報解釈部318から出力された情報または画像保存部319に保存されている情報を表示するハードウェアとソフトウェアからなる画像表示部である。
【0069】
この画像表示部320はビューワなどの外部装置により構成することも可能であるが、PACS/ビューワ装置303に付随する装置として構成してもよい。画像表示部320は関連付けられた画像処理済画像と画像付帯CAD情報とを重畳して表示する装置であり、この装置によってユーザはCAD結果を確認することができる。
【0070】
<4.医療用画像診断支援システムにおける処理の流れ>
次に、医療用画像診断支援システムにおける処理の流れ(一回の撮影で取得された医療用画像が処理される場合の処理の流れ)について図4を用いて説明する。
【0071】
なお、ステップS401〜S412に示す処理は、撮影装置101において実行される。また、ステップS421〜S424に示す処理は、CADサーバ102において実行される。更に、ステップS431〜S444に示す処理は、PACS/ビューワ装置103において実行される。
【0072】
また、フローチャート中で分岐している線があるが、これは条件分岐ではなく、並列に実行可能であることを示している。
【0073】
ステップS401では、画像撮像部304が、X線曝射、発光源による発光、超音波発生、または磁場発生等、撮影装置に適した処理を実行することにより被検体の対象部位の医療用画像(オリジナル画像)を取得する。
【0074】
ステップS411では、ステップS401で得られたオリジナル画像に対して、ID情報付与部311が少なくともID情報を付与する。なお、この際、ID情報付与部311が、撮影実施情報保持部309、患者情報保持部310の情報を使用することにより、DICOM画像からDICOM情報を生成するようにしてもよい。
【0075】
ステップS412では、入出力部312がオリジナル画像を出力する。
【0076】
一方、ステップS402では、画像処理部307が画像処理パラメータ保持部306に保持された画像処理パラメータを使用して、オリジナル画像に対して画像処理を実行する。ステップS402による画像処理により画像処理済画像が得られる。
【0077】
ステップS403では、ID情報付与部311がステップS411において付与されたID情報と同一のID情報を付与する。
【0078】
ステップS404では、入出力部312が画像処理済画像を出力する。
【0079】
ステップS421では、入出力部313がオリジナル画像を取得する。ステップS422では、CAD処理部314が信号劣化の少ないオリジナル画像に対してCAD処理を行う。ステップS422によるCAD処理により、CAD結果が生成される。
【0080】
ステップS423では、画像付帯CAD情報生成部315がCAD処理部314からのCAD結果に対してオリジナル画像から得られるID情報を付与し、画像付帯CAD情報を生成する。
【0081】
ステップS424では、入出力部316が、画像付帯CAD情報生成部315において生成された画像付帯CAD情報を、PACS/ビューワ装置303へ出力する。
【0082】
ステップS441では、入出力部317が画像付帯CAD情報を取得する。ステップS431では、入出力部317が画像処理済画像を取得する。
【0083】
ステップS442では、ID情報解釈部318が、取得した画像付帯CAD情報のID情報と、画像処理済画像のID情報とを照合し、一致する場合には、両者の情報の関連情報を作成する。
【0084】
また一致しなかった場合には、ID情報解釈部318がそれぞれの情報に対して画像保存部319に保存されている情報のID情報を取得、照合し、一致した場合には、関連情報を作成する。
【0085】
ステップS443では、画像保存部319がID情報解釈部で作成された関連情報から画像処理済画像と画像付帯CAD情報とを関連付けて保存する。
【0086】
ステップS444では、画像保存部319に保存された画像処理済画像および画像付帯CAD情報とを重ねて表示する。
【0087】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、医療用画像診断支援システムにおいて、撮影装置、PACS/ビューワ装置とは別に、CADサーバを設置する構成とした。この結果、CAD処理の処理効率を向上させることが可能となった。
【0088】
また、本実施形態では、CADサーバ102に対して、画像処理による信号劣化が生じていないオリジナル画像を送信する構成とした。この結果、CADサーバ102では、信号解析に適した医療用画像をCAD処理することが可能となり、CAD処理の解析精度を向上させることが可能となった。
【0089】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、ID情報付与部により付与されたID情報により、オリジナル画像と画像処理済画像との関連付けを行うこととした。しかしながら、画像処理部が画像処理済画像を生成する際に、回転、拡大・縮小、左右・上下反転、階調反転、切り出しといった画像処理を実行していた場合には、オリジナル画像と画像処理済画像とでは、座標に食い違いが生じることとなる。
【0090】
例えば、1000×1000のサイズであるオリジナル画像において(100,100)の座標は、上下反転処理を施した後には(100,900)の座標に変換されるため、座標に食い違いが生じる。
【0091】
このような食い違いは、CAD処理部によって処理された後のCAD結果と、画像処理済画像との間の不整合につながり、最終的に、画像保存部において保存された画像付帯CAD情報は医師の診断の支援に対して意味を失ってしまう。
【0092】
したがって、オリジナル画像と画像処理済画像とを関連付けるID情報には、画像処理部においてどのような画像処理が行われたかを示す情報が含まれていることが望ましい。当該情報を反映させることにより、CAD結果と画像処理済画像との間の不整合を解消できるからである。
【0093】
以下、図を用いて、本発明の第2の実施形態にかかる医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成及び処理の流れについて説明する。なお、医療用画像診断支援システムの構成及び各装置のハードウェア構成は、上記第1の実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0094】
<1.医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成>
はじめに医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成について説明する。図5は、本実施形態に係る医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成を示す図である。なお、上記第1の実施形態と同じ機能については、同一の参照番号を付してある。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0095】
上記第1の実施形態と相違する点は、画像処理パラメータ保持部506からID情報付与部511に対して画像処理パラメータが送信され、ID情報付与部511の出力が入出力部512に送信される点である。これに伴い、入出力部513、CAD処理部514もしくは画像付帯CAD情報生成部515も上記第1の実施形態とは異なる機能を有する。
【0096】
具体的には、画像処理パラメータ保持部506は、上記第1の実施形態において説明した機能に加えて、画像処理パラメータをID情報付与部511へと送信する機能を有する。
【0097】
また、ID情報付与部511は、画像処理パラメータ保持部506より送信された画像処理パラメータに対して、オリジナル画像及び画像処理済画像に対応するID情報を付与する。
【0098】
入出力部512は、上記第1の実施形態において説明した機能に加えて、ID情報付与部511でID情報が付与された画像処理パラメータを出力する機能を有する。
【0099】
なお、ここではID情報付与部511から入出力部512へ情報が送信されるものとして説明するが、ID情報付与部511が画像処理パラメータをオリジナル画像のヘッダ情報に含めるようにしてもよい。ただし、オリジナル画像のヘッダ情報に画像処理パラメータを含める処理は、入出力部512が実行するようにしてもよい。
【0100】
また、ID情報付与部511は、画像処理パラメータをGSPSオブジェクトとして生成する機能を有していてもよい。この場合のGSPSオブジェクトはオリジナル画像に対するGSPSオブジェクトとなる。
【0101】
なお、この場合、GSPSオブジェクトの情報には切り出しの項目がないため、切り出しパラメータについては、GSPSオブジェクトのシャッタの情報として格納する方法が考えられる。もしくはオーバレイ情報としてオリジナル画像中の切り出された領域以外をマスクするオーバレイをGSPSオブジェクトのオーバレイ情報として格納する方法が考えられる。
【0102】
CADサーバ102の入出力部513は、上記第1の実施形態において説明した機能に加えて、入出力部512から出力されたオリジナル画像及び画像処理パラメータを受け取る。ここでオリジナル画像と画像処理パラメータの受け取り方には、次の2通りの受け取り方がある。
【0103】
一つは、撮影装置101の内部で画像処理パラメータをオリジナル画像のヘッダ情報に含める場合である。もう一つは、オリジナル画像と画像処理パラメータとが、対応するID情報をもって、別々の情報として出力する場合である。なお、オリジナル画像のヘッダ情報に画像処理パラメータが含まれている場合は、ID解釈を行う必要はない。
【0104】
しかし、オリジナル画像と画像処理パラメータとが別々の情報であった場合には、ID解釈を行う必要が出てくる。このID解釈機能は、入出力部513、CAD処理部514、または画像付帯CAD情報生成部515のいずれかが保有すればよい。
【0105】
以降では、ID情報はいずれかの処理部で解釈され、既にオリジナル画像と画像処理パラメータとは関連付けられているものとして記述する。
【0106】
CAD処理部514は、CAD処理を施した後に、入出力部513から取得した画像処理パラメータを考慮したCAD処理を行う。
【0107】
具体的には、例えば、左右反転パラメータに対して左右反転処理を入れる、切り出しパラメータに対して座標補整処理を入れるといった、画像処理パラメータに対応した処理を行う。
【0108】
ただし、処理分担はこれに限られない。例えば、CAD処理部514は通常のオリジナル画像に対するCAD結果を出力するように構成する(画像処理パラメータは考慮しない)。一方、画像付帯CAD情報生成部515は、画像処理パラメータを取得し、画像処理パラメータに対応した画像付帯CAD情報を生成するよう構成するといった分担が考えられる。
【0109】
<2.医療用画像診断支援システムにおける処理の流れ>
次に、本実施形態に係る医療画像診断支援システムにおける処理の流れ(一回の撮影で取得された医療用画像が処理される場合の処理の流れ)について図6を用いて説明する。
【0110】
なお、ステップS601〜S612に示す処理は、撮影装置101において実行される。また、ステップS620〜S624に示す処理は、CADサーバ102において実行される。更に、ステップS631〜S644に示す処理は、PACS/ビューワ装置103において実行される。
【0111】
また、フローチャート中で分岐している線があるが、これは条件分岐ではなく、並列に実行可能であることを示している。
【0112】
このうち、ステップS601〜S604及びステップS611〜S612に示す処理は、上記第1の実施形態において図4を用いて説明した、ステップS401〜S404及びステップS411〜S412に示す処理と同様である。
【0113】
また、ステップS621、S623、S624及びステップS631〜S644に示す処理は、上記第1の実施形態において図4を用いて説明した、ステップS421、S423、S424及びステップS431〜S444に示す処理と同様である。
【0114】
したがって、これらの処理についての説明は省略することとし、以下では、上記第1の実施形態との相違点について説明する。
【0115】
ステップS605では、ID情報付与部511が画像処理パラメータ保持部506が保持する画像処理パラメータに対して、ステップS603及びステップS611において付与されたID情報に対応するID情報を付与する。
【0116】
ステップS606では、入出力部512が画像処理パラメータを出力する。
【0117】
ステップS620では、入出力部513が画像処理パラメータを取得する。ステップS622では、CAD処理部514がオリジナル画像に対してCAD処理を行うとともに、入出力部513で取得した画像処理パラメータを使用して、画像処理済画像に対応する処理を行う。
【0118】
もしくは、ステップS623において、画像付帯CAD情報生成部515が入出力部513で取得した画像処理パラメータを使用して、画像処理済画像に対応する画像付帯CAD情報を生成する。これにより、画像処理パラメータが、CAD結果に反映されることとなる。
【0119】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、画像処理済画像を生成する際の画像処理において用いられた画像処理パラメータを、ID情報を付与した上で、CADサーバ102に送信する構成とした。
【0120】
これにより、画像処理に伴う座標の食い違いに起因する、CAD結果と画像処理済画像との間の不整合を解消することが可能となる。
【0121】
[第3の実施形態]
上記第1、第2の実施形態では、撮影装置において画像処理を実行する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、CADサーバにおいて画像処理を実行する構成としてもよい。以下、本発明の第3の実施形態に係る医療用画像診断支援システムの構成及び各装置の機能構成及び処理の流れについて説明する。
【0122】
<1.医療用画像診断支援システムの構成>
図7は本実施形態に係る医療用画像診断支援システムの構成を示す図である。撮影装置701、CADサーバ702、PACS/ビューワ装置703は、上記第1の実施形態における撮影装置101、CADサーバ102、PACS/ビューワ装置103と同様であるが、保有する機能に違いがある。
【0123】
撮影装置701では撮影処理のみを行い、オリジナル画像を出力する。またCADサーバ702ではCAD処理に加えて、画像処理も行う。このように、本実施形態に係る医療用画像診断支援システムでは、CADサーバ702にて画像処理とCAD処理とが実行される点に特徴がある。
【0124】
本実施形態によれば、CADサーバ702に画像処理機能を保有させることで、複数台の撮影装置に画像処理機能を持たせる場合と比べてコストを低減することが可能となる。
【0125】
<2.医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成>
次に、本実施形態に係る医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成について説明する。
【0126】
図8は、本実施形態に係る医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成を示す図である。なお、以下では、上記第1の実施形態において説明した、医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成(図3)との相違点を中心に説明する。
【0127】
図3との主な相違点は、画像処理パラメータ保持部806、画像処理部807、画像表示部808が撮影装置701ではなく、CADサーバ702に配されている点にある。また、CADサーバ702に、入力部805と同様の機能・構成からなる入力部821が配されている点にある。
【0128】
画像処理パラメータ保持部806は、入力部821から入力された、少なくともノイズ抑制パラメータ、鮮鋭化強度、回転角度、拡大・縮小率、左右・上下反転の有無、階調反転の有無、切り出し領域のいずれかを含む画像処理パラメータを保持する。
【0129】
画像処理部807、画像表示部808は、上記第1の実施形態において説明した画像処理部307、画像表示部308と同様の機能を有する。
【0130】
画像付帯CAD情報生成部815では、画像処理パラメータ保持部806の情報を元に、CAD処理部814のCAD結果を画像処理済画像と対応する情報に変換し、オリジナル画像のID情報を付与する。これにより、CAD結果と画像処理済画像との座標の食い違いを解消することが可能となる。
【0131】
なお、かかる処理は、画像付帯CAD情報生成部815ではなく、CAD処理部814が画像処理パラメータ保持部806の情報を元に行うようにしてもよい。
【0132】
<3.医療用画像診断支援システムにおける処理の流れ>
次に、本実施形態に係る医療画像診断支援システムにおける処理の流れ(一回の撮影で取得された医療用画像が処理される場合の処理の流れ)について図9を用いて説明する。
【0133】
なお、ステップS901〜S903に示す処理は、撮影装置701において実行される。また、ステップS911〜S923に示す処理は、CADサーバ702において実行される。更に、ステップS931〜S944に示す処理は、PACS/ビューワ装置703において実行される。
【0134】
また、フローチャート中で分岐している線があるが、これは条件分岐ではなく、並列に実行可能であることを示している。
【0135】
このうち、ステップS901〜S903、ステップS911〜S913、ステップS922〜S923、ステップS931〜S944に示す処理は上記第1の実施形態と同様である。
【0136】
したがって、これらの処理についての詳細は省略することとし、以下では、上記第1の実施形態との相違点について説明する。
【0137】
ステップS921では、CAD処理部814がオリジナル画像に対してCAD処理を行うとともに、画像処理パラメータ保持部806に保持された画像処理パラメータを使用することで、画像処理済画像と対応するように変換処理を行う。
【0138】
もしくは、ステップS922において、画像付帯CAD情報生成部815が画像処理パラメータ保持部806に保持された画像処理パラメータを用いて画像処理済画像に対応する画像付帯CAD情報を生成する。
【0139】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、撮影装置701が撮影処理のみを行い、オリジナル画像を出力し、CADサーバ702が、CAD処理及び画像処理を行う構成とした。
【0140】
この結果、撮影装置ごとに画像処理機能を持たせる場合と比べてコストを低減させることが可能となった。
【0141】
[第4の実施形態]
上記第3の実施形態では、CADサーバにおいてCAD処理と画像処理とを実行し、CAD結果と画像処理済画像とを関連付けてPACS/ビューワ装置に送信する構成とした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えば、CAD結果と画像処理済画像とを合成したうえで、PACS/ビューワ装置に送信する構成としてもよい。
【0142】
以下、本発明の第4の実施形態に係る医療用画像診断支援システムの構成及び各装置の機能構成及び処理の流れについて説明する。
【0143】
<1.医療用画像診断支援システムの構成>
図10は本実施形態に係る医療用画像診断支援システムの構成を示す図である。撮影装置1001、CADサーバ1002、PACS/ビューワ装置1003は、上記第1の実施形態における撮影装置101、CADサーバ102、PACS/ビューワ装置103と同様であるが、保有する機能に違いがある。
【0144】
撮影装置1001では撮影処理のみを行い、オリジナル画像を出力する。また、CADサーバ1002ではCAD処理に加えて、画像処理を行い、更に、画像処理済画像とCAD結果とを合成する合成処理を行ったうえで、PACS/ビューワ装置1003へ出力する。
【0145】
このように、本実施形態に係る医療用画像診断支援システムでは、CADサーバ1002にて、画像処理とCAD処理と合成処理とが実行される点に特徴がある。
【0146】
本実施形態によれば、PACS/ビューワ装置1003で保存する情報が一つとなり、PACS/ビューワ装置1003における情報の管理が、上記第1乃至第3の実施形態の場合と比べて容易になるとう効果が得られる。
【0147】
またPACS/ビューワ装置が既に設置された病院においても、比較的容易に(PACS/ビューワ装置の置き換えなしに)医療用画像診断支援システムを構築することが可能となる。
【0148】
<2.医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成>
次に、本実施形態に係る医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成について説明する。
【0149】
図11は、本実施形態に係る医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成を示す図である。なお、以下では、上記第3の実施形態において説明した、医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成(図8)との相違点を中心に説明する。
【0150】
図8との主な相違点は、CADサーバ1002にて、画像付帯CAD情報生成部がなくなり、合成部1122が付加されている点である。またPACS/ビューワ装置1003にて、ID解釈部がなくなっている点である。
【0151】
CADサーバ1002において、合成部1122は、画像処理部1107から得られる画像処理済画像と、CAD処理部1114から得られるCAD結果とを合成し、CAD結果が埋め込まれた画像を生成する。
【0152】
また、CAD処理部1114は、画像処理パラメータ保持部806から得られた画像処理パラメータを使用して画像処理済画像に対応したCAD処理を行う。ただし、この画像処理済画像に対応する処理は、代わりに合成部1122が画像処理パラメータ保持部806から画像処理パラメータを取得して行うようにしてもよい。
【0153】
PACS/ビューワ装置1003において、入出力部1117は、画像処理済画像とCAD結果とが合成された画像を受け取る。画像保存部1119は、入出力部1117から得られた画像を保存する。画像表示部1120は、画像保存部1119に保存された画像を表示する。
【0154】
<3.医療用画像診断支援システムにおける処理の流れ>
次に、本実施形態に係る医療画像診断支援システムにおける処理の流れ(一回の撮影で取得された医療用画像が処理される場合の処理の流れ)について図12を用いて説明する。
【0155】
なお、ステップS1201〜S1203に示す処理は、撮影装置1001において実行される。また、ステップS1211〜S1215に示す処理は、CADサーバ1002において実行される。更に、ステップS1221〜S1223に示す処理は、PACS/ビューワ装置1003において実行される。
【0156】
また、フローチャート中で分岐している線があるが、これは条件分岐ではなく、並列に実行可能であることを示している。
【0157】
このうち、ステップS1201〜S1203、ステップS1211〜S1212、ステップS1222〜S1223に示す処理は、上記第3の実施形態と同様である。
【0158】
したがって、これらの処理についての詳細は省略することとし、以下では、上記第3の実施形態との相違点について説明する。
【0159】
ステップS1213では、CAD処理部1114が、オリジナル画像に対してCAD処理を行うとともに、画像処理パラメータ保持部806に保持された画像処理パラメータを使用して画像処理済画像と対応させるための変換処理も行う。
【0160】
ステップS1214では、合成部1122が画像処理部807から画像処理済画像を取得し、CAD処理部1114からCAD結果を取得し、画像処理済画像内にCAD結果を埋め込む(合成処理する)。
【0161】
なお、ステップS1214にて合成処理を行う前に、CAD結果と画像処理済画像とを対応させる変換処理を、合成部1122が画像処理パラメータ保持部1106から取得した画像処理パラメータを使用して行うようにしてもよい。
【0162】
ステップS1215では、合成部1122で作成された合成画像を入出力部1116から出力する。
【0163】
ステップS1221では、入出力部1117が、画像処理済画像とCAD結果とが合成された合成画像を受け取る。
【0164】
ステップS1222では、画像保存部1119が取得した合成画像を保存する。更にステップS1223では、画像表示部1120が、画像保存部1119により保存された合成画像に含まれる画像処理済画像およびCAD結果とを重ねて表示する。
【0165】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、CADサーバ1002において、CAD処理と画像処理と、CAD結果と画像処理済画像との合成処理とを行う構成とした。
【0166】
この結果、PACS/ビューワ装置1003における情報の管理が、上記第1乃至第3の実施形態の場合と比べて容易になるすることが可能となった。
【0167】
[第5の実施形態]
上記第1、第2の実施形態では、撮影装置において画像処理を実行する構成とし、上記第3、第4の実施形態では、CADサーバにおいて画像処理を実行する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、PACS/ビューワ装置において画像処理を実行する構成としてもよい。以下、本発明の第5の実施形態に係る医療用画像診断支援システムの構成及び各装置の機能構成及び処理の流れについて説明する。
【0168】
<1.医療用画像診断支援システムの構成>
図13は本実施形態に係る医療用画像診断支援システムの構成を示す図である。撮影装置1301、CADサーバ1302、PACS/ビューワ装置1303は、上記第1の実施形態における撮影装置101、CADサーバ102、PACS/ビューワ装置103と同様であるが、保有する機能に違いがある。
【0169】
CADサーバ1302ではCAD処理を実行してCAD処理の結果を出力する。PACS/ビューワ装置1303では、保存処理、表示処理に加えて、画像処理を行う。このように、本実施形態に係る医療用画像診断支援システムでは、PACS/ビューワ装置1303にて画像処理が実行される点に特徴がある。
【0170】
本実施形態によれば、PACS/ビューワ装置1303に画像処理機能を保有させることで、各撮影装置の画像処理アルゴリズムによる画質差異を抑制することができ、一定した画質を保持することが可能となる。
【0171】
また、画像処理機能を複数台の撮影装置もしくは複数台のCADサーバに持たせる構成と比べてコストを低減させることができる。
【0172】
<2.医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成>
図14は、本実施形態に係る医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成を示す図である。なお、以下では、上記第3の実施形態において説明した、医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成(図8)との相違点を中心に説明する。
【0173】
図8との主な相違点は、CADサーバ1302内に画像表示部がない点、CADサーバ702が保有していた、画像処理パラメータ保持部806、画像処理部807、入力部821をPACS/ビューワ装置1303が保有している点である。更に、PACS/ビューワ装置1303が新たに、整合処理部1423を保有している点である。
【0174】
PACS/ビューワ装置1303において、画像処理パラメータ保持部1406、画像処理部1407、入力部1421は、上記第3の実施形態における画像処理パラメータ保持部806、画像処理部807、入力部821と同様の機能を有する。
【0175】
整合処理部1423は、画像処理パラメータ保持部1406から画像処理パラメータを取得することで得られたオリジナル画像に対する画像付帯CAD情報と、画像処理部1407で生成された画像処理済画像との整合性をとる処理を行う。かかる処理により、画像処理パラメータが、CAD結果に反映されることとなる。
【0176】
画像表示部1420は画像処理部1407で画像処理された画像処理済画像を表示することも、また画像処理部1407にて画像処理される前のオリジナル画像を表示することも可能である。
【0177】
<3.医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成>
次に、本実施形態に係る医療画像診断支援システムにおける処理の流れ(一回の撮影で取得された医療用画像が処理される場合の処理の流れ)について図15を用いて説明する。
【0178】
なお、ステップS1501〜S1503に示す処理は、撮影装置1301において実行される。また、ステップS1511〜S1514に示す処理は、CADサーバ1302において実行される。更に、ステップS1531〜S1535に示す処理は、PACS/ビューワ装置1303において実行される。
【0179】
また、フローチャート中で分岐している線があるが、これは条件分岐ではなく、並列に実行可能であることを示している。
【0180】
このうち、ステップS1501〜S1503、ステップS1511、ステップS1514、ステップS1522、ステップS1531、ステップS1533、ステップS1534、ステップS1535に示す処理は上記第3の実施形態と同様である。
【0181】
また、ステップS1512、ステップS1513に示す処理は、上記第1の実施形態と同様である。
【0182】
したがって、これらの処理についての詳細は省略することとし、以下では、上記第1及び第3の実施形態との相違点について説明する。
【0183】
ステップS1521では、入出力部1417がオリジナル画像を取得する。
【0184】
ステップS1532では、整合処理部1423が、画像処理パラメータ保持部1406から画像処理パラメータを取得し、オリジナル画像に対する画像付帯CAD情報を、画像処理済画像と整合するように変換処理する。
【0185】
なお、図中には示していないが、どのタイミングであっても画像表示部1420が、画像保存部1419により保存された画像処理済画像および画像付帯CAD情報を重ねて表示することができる。
【0186】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、PACS/ビューワ装置1303において、画像処理を行う構成とした。
【0187】
この結果、各撮影装置の画像処理アルゴリズムによる画質差異を抑制し、一定した画質を保持することが可能となった。
【0188】
また、画像処理機能を複数台の撮影装置もしくは複数台のCADサーバに持たせる構成と比べてコストを低減することが可能となった。
【0189】
[他の実施形態]
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0190】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録したコンピュータ読取可能な記憶媒体を、システムあるいは装置に供給するよう構成することによっても達成されることはいうまでもない。この場合、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することにより、上記機能が実現されることとなる。なお、この場合、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0191】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0192】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される場合に限られない。例えば、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0193】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。つまり、プログラムコードがメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる医療用画像診断支援システムの構成を示す図である。
【図2】撮影装置101、CADサーバ102、PACS/ビューワ装置103の基本的なハードウェア構成を示す図である。
【図3】撮影装置101、CADサーバ102、PACS/ビューワ装置103の機能構成を示す図である。
【図4】医療画像診断支援システムにおける処理の流れ(一回の撮影で取得された医療用画像が処理される場合の処理の流れ)を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成を示す図である。
【図6】医療画像診断支援システムにおける処理の流れ(一回の撮影で取得された医療用画像が処理される場合の処理の流れ)を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る医療用画像診断支援システムの構成を示す図である。
【図8】医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成を示す図である。
【図9】医療画像診断支援システムにおける処理の流れ(一回の撮影で取得された医療用画像が処理される場合の処理の流れ)を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る医療用画像診断支援システムの構成を示す図である。
【図11】医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成を示す図である。
【図12】医療画像診断支援システムにおける処理の流れ(一回の撮影で取得された医療用画像が処理される場合の処理の流れ)を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る医療用画像診断支援システムの構成を示す図である。
【図14】医療用画像診断支援システムを構成する各装置の機能構成を示す図である。
【図15】医療画像診断支援システムにおける処理の流れ(一回の撮影で取得された医療用画像が処理される場合の処理の流れ)を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮影する撮影装置と、
入力された医療用画像を解析するCAD処理を実行する処理装置と、
入力された情報を記憶する記憶装置と、を備え、該撮影装置と該処理装置と該記憶装置とが、接続される医療用画像診断支援システムであって、
前記撮影装置が前記被検体を撮影することにより得られた医療用画像に対して、ノイズ抑制処理または鮮鋭化処理のいずれかを含む画像処理を実行することで得られた情報を、前記記憶装置に記憶する第1の処理経路と、
前記撮影装置が前記被検体を撮影することにより得られた医療用画像に対して、前記CAD処理を実行することで得られた情報を、前記記憶装置に記憶する第2の処理経路と、
前記第1の処理経路により前記記憶装置に記憶される情報と、前記第2の処理経路により前記記憶装置に記憶される情報とを関連付ける処理を、前記第1の処理経路及び前記第2の処理経路において実行する処理手段と
を備えることを特徴とする医療用画像診断支援システム。
【請求項2】
前記処理手段は、
前記第1の処理経路により前記記憶装置に記憶される情報と、前記第2の処理経路により前記記憶装置に記憶される情報とに、それぞれ、関連する識別情報を付与することを特徴とする請求項1に記載の医療用画像診断支援システム。
【請求項3】
前記処理手段は、
前記第1の処理経路により前記記憶装置に記憶される情報と、前記第2の処理経路により前記記憶装置に記憶される情報とを、1つの情報として合成することを特徴とする請求項1に記載の医療用画像診断支援システム。
【請求項4】
前記画像処理は、更に、前記医療用画像に対する回転処理、拡大・縮小処理、左右・上下反転処理、階調反転処理のいずれかを含み、
前記第2の処理経路では、
前記第1の処理経路において画像処理を実行する際に用いたパラメータが、前記CAD処理を実行することで得られる情報に、反映されることを特徴とする請求項2または3に記載の医療用画像診断支援システム。
【請求項5】
前記画像処理は、前記撮影装置において実行されることを特徴とする請求項1に記載の医療用画像診断支援システム。
【請求項6】
前記画像処理は、前記処理装置において実行されることを特徴とする請求項1に記載の医療用画像診断支援システム。
【請求項7】
前記画像処理は、前記記憶装置において実行されることを特徴とする請求項1に記載の医療用画像診断支援システム。
【請求項8】
被検体を撮影する撮影装置と、
入力された医療用画像を解析するCAD処理を実行する処理装置と、
入力された情報を記憶する記憶装置と、を備え、該撮影装置と該処理装置と該記憶装置とが、接続される医療用画像診断支援システムにおける画像処理方法であって、
前記撮影装置が前記被検体を撮影することにより得られた医療用画像に対して、ノイズ抑制処理または鮮鋭化処理のいずれかを含む画像処理を実行することで得られた情報を、前記記憶装置に記憶する第1の処理工程と、
前記撮影装置が前記被検体を撮影することにより得られた医療用画像に対して、前記CAD処理を実行することで得られた情報を、前記記憶装置に記憶する第2の処理工程と、
前記第1の処理工程において前記記憶装置に記憶される情報と、前記第2の処理工程において前記記憶装置に記憶される情報とを関連付ける処理を、前記第1の処理工程及び前記第2の処理工程において実行する処理工程と
を備えることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−158482(P2010−158482A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3990(P2009−3990)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】