医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法
【課題】 病院や老人ホーム等の敷地内でも設置可能で、また使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物を対象としながらも簡便にして十分な衛生的配慮がなされ、作業環境が良好で、さらにエネルギ効率を高めて処理できる医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法を提供する。
【解決手段】 開口f1を有して医療系廃棄物75を収納できる袋状に形成され、該開口f1に沿って設けられた通孔f2に弛ませた状態で紐状体f3を挿通してなる袋体Fと、医療系廃棄物75を該袋体に収納し、前記紐状体を用いて開口f1が塞がれた被処理物71を炭化させる炭化装置3と、を具備する。
【解決手段】 開口f1を有して医療系廃棄物75を収納できる袋状に形成され、該開口f1に沿って設けられた通孔f2に弛ませた状態で紐状体f3を挿通してなる袋体Fと、医療系廃棄物75を該袋体に収納し、前記紐状体を用いて開口f1が塞がれた被処理物71を炭化させる炭化装置3と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は病院などの医療機関等から排出される医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や老人ホーム等の医療機関からは使用済み紙おむつを初めとする医療系廃棄物が大量排出されている。
例えば紙おむつは病院や老人ホーム等で一人当たり一日約5枚使用するといわれており、使用済み紙おむつの廃棄物処理が問題化しつつある。さらに病院から排出される感染性廃棄物になれば、滅菌処理した後、外部処理場へ運ばれ焼却処理等がなされることになるが、二度手間で負担増になっている。
こうしたことから、斯かる問題を改善する技術が提案されている(例えば特許文献1〜3)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−7111(12−25頁)
【特許文献2】特開2005−207641(5−10頁、図1)
【特許文献3】特開2004−238542(5−8頁、図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は発酵処理するもので処理に時間を要していた。特許文献2は焼却炉へ使用済み紙おむつの粉砕固形物を投入して焼却する装置を開示するが、多量の燃料を必要とし、エネルギ効率を低下させる問題があった。特許文献3は、発熱ヒータ手段を用いた炭化炉で、ランニングコストが高いものであった。
また、使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物はこれまで大半が外部委託であって、特許文献1〜3の処理装置はいずれも外部の委託先で処理する大掛かりな装置であり、そこまで医療系廃棄物を運ぶため、別途運送費が必要であった。さらに医療系廃棄物に関しては、全てを外部委託に頼らずに発生源の病院側で処理をある程度求める要望があり、今後、これに対応しなければならなかった・
加えて、特許文献1〜3のいずれも、焼却炉や炭化炉へ使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物を処理装置へ投入するまでのハンドリングや環境に十分な衛生的配慮がされていなかった。ともすれば悪臭が漂う雰囲気で作業を行わねばならず、作業環境を悪くしていた。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するもので、病院や老人ホーム等の敷地内でも設置可能で、また使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物を対象としながらも簡便にして十分な衛生的配慮がなされ、作業環境が良好で、さらにエネルギ効率を高めて処理できる医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、開口(f1)を有して医療系廃棄物を収納できる袋状に形成され、該開口に沿って設けられた通孔(f2)に弛ませた状態で紐状体(f3)を挿通してなる袋体(F)と、医療系廃棄物(75)を該袋体に収納し、前記紐状体を用いて開口(f1)が塞がれた被処理物(71)を炭化させる炭化装置(3)と、を具備することを特徴とする医療系廃棄物の炭化処理設備にある。
請求項2の発明たる医療系廃棄物の炭化処理設備は、請求項1で、炭化装置(3)が、耐熱性炉壁で加熱室(32)を形成する炭化炉本体(3a)と、該炭化炉本体内に載置され、医療系廃棄物(75)を外気との接触を断って加熱できる空間を形成する炭化ボックス(3b)と、前記炭化炉本体(3a)の下部に炉壁と炉床を利用して燃焼室(31)を設け、燃料用バーナ(34)と乾留用バーナ(35)とを該燃焼室に向けて取付けた燃焼炉(3c)と、前記炭化ボックス(3b)から前記乾留用バーナ(35)へ乾留ガスを供給できるよう配設される乾留ガス送管(36)と、を備えることを特徴とする。
請求項3の発明たる医療系廃棄物の炭化処理設備は、請求項1又は2で、袋体(F)が矩形に折り畳まれて矩形の包装袋(E)に収容され、且つ該包装袋に左右に二分割するミシン目(e1)が形成されると共に、二つの紐状体(f3,f4)が前記通孔(f2)に挿通し、袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の一側から一の紐状体(f3)が延びて、該包装袋(E)の左右内側の一方に該紐状体(f3)の一端(f31)が固着され、また袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の他側から他の紐状体(f4)が延びて、該包装袋の左右内側の他方に該紐状体(f4)の一端(f41)が固着されることを特徴とする。
請求項4の発明たる医療系廃棄物の炭化処理設備は、請求項3で、炭化装置がトラックの荷台に搭載されるか又はトラクターに牽引されて移動可能にしたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明の要旨は、開口(f1)を有して袋状に形成され、該開口に沿って設けられた通孔(f2)に弛ませた状態で紐状体(f3)を挿通してなる袋体(F)に、医療系廃棄物(75)を収納し、次に、該紐状体を用いて開口(f1)を閉じ、医療系廃棄物(75)が袋体(F)にくるまれた被処理物(71)とし、その後、該被処理物を炭化装置(3)に投入し炭化処理することを特徴とする医療系廃棄物の炭化処理方法にある。
請求項6の発明たる医療系廃棄物の炭化処理方法は、請求項5で、炭化装置(3)が、耐熱性炉壁で加熱室(32)を形成する炭化炉本体(3a)と、該炭化炉本体内に載置され、医療系廃棄物(75)を外気との接触を断って加熱できる空間を形成する炭化ボックス(3b)と、前記炭化炉本体(3a)の下部に炉壁と炉床を利用して燃焼室(31)を設け、燃料用バーナ(34)と乾留用バーナ(35)とを該燃焼室に向けて取付けた燃焼炉(3c)と、前記炭化ボックス(3b)から前記乾留用バーナ(35)へ乾留ガスを供給できるよう配設される乾留ガス送管(36)と、を備えることを特徴とする。
請求項7の発明たる医療系廃棄物の炭化処理方法は、請求項5又は6で、袋体(F)が矩形に折り畳まれて矩形の包装袋(E)に収容され、且つ該包装袋に左右に二分割するミシン目(e1)が形成されると共に、二つの紐状体(f3,f4)が前記通孔(f2)に挿通し、袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の一側から一の紐状体(f3)が延びて、該包装袋(E)の左右内側の一方に該紐状体(f3)の一端(f31)が固着され、また袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の他側から他の紐状体(f4)が延びて、該包装袋の左右内側の他方に該紐状体(f4)の一端(f41)が固着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法によれば、設備容量をコンパクトにでき病院や老人ホーム等の敷地内でも設置可能で、また使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物であっても、袋体に密封されて被処理物になるので、衛生的で、被処理物の処理までの保管環境、さらに処理にあたる作業環境が良好になると共に取扱いもいたって安全且つ容易になり、加えて被処理物のまま乾留ガスを用いた炭化処理することで、作業性向上、エネルギ効率を高めて処理できるなど多大な効を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図11は本発明の医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法の一形態で、図1〜図6が袋体の関連図、図7〜図10が炭化装置の関連図とする。図1は包装袋に矩形に折り畳まれて収容された袋体の概略正面図、図2は図1の包装袋のミシン目を切って開いた直後の斜視図、図3は図2の状態から袋体を展開して袋体の開口を開けた斜視図、図4は図3の開口から医療系廃棄物たる使用済み紙おむつを収納した姿態を示す斜視図、図5は図4の二つ紐状体だけの姿態を抽出図示した斜視図、図6は図5の状態から二つの紐状体を引っ張って開口を塞いだ様子を示す斜視図である。図7は炭化装置全体の概略説明図、図8は炭化装置の説明断面図、図9は図8のX−X線矢視図、図10は図8のY−Y線矢視図、図11は炭化装置内の各地点におけるヒートカーブの測定グラフである。
【0009】
(1−1)医療系廃棄物の炭化処理設備
(1−1A)袋体
袋体Fは開口f1を有して医療系廃棄物75を収納できる大きさの袋状に形成され、該開口f1に沿って設けられた通孔f2に弛ませた状態で紐状体f3,f4を挿通してなる。本実施形態の袋体Fの主部たる袋本体f0は、気密性の合成樹脂製のフィルムで造られ、図3,図4のごとく平面状フィルムを同じ大きさの長方形になるよう底辺で折って該フィルムを二枚重ねにし、さらに上辺の一側だけを開口f1にして残りの両側辺の周縁をヒートシールした正面視略長方形の袋状体である。袋本体f0は例えば使用済み紙おむつ75が5個入る大きさ(約40cm×約30cm)に造られる。さらに袋本体f0は開口縁となる上辺の先端縁f6を開口f1内へ折込み、開口f1から該先端縁までのフィルムが二重になったその先端縁近くを開口縁に沿うようにしてヒートシール部分f5を設け、開口周縁に筒状の通孔f2を形成する。該通孔f2には図3,図4のように四角形の袋本体f0の両角部をカットし、通孔口f21を設ける。そして、通孔f2に挿通し一周させてループにした紐状体f3,f4が二つ取付けられ、袋体Fが図3,図4のごとく展開したときに、袋本体f0の一側の通孔口f21から一の紐状体f3が延びる一方、袋本体f0の他側の通孔口f21から他の紐状体f4が延びる構成とする。巾着を大きくしたような形で、その口f1を二つの紐状体f3,f4を用いて締めることができる袋体Fになっている。
【0010】
ここでの袋体Fは、矩形に折り畳まれてポケットティッシュのごとく矩形の袋状包装袋Eに収容される。該包装袋Eの中央には左右に二分割するミシン目e1が周回形成されている。袋本体f0の一側の通孔口f21から一の紐状体f3が延びて、該包装袋Eの左右内側の一方に該紐状体f3の一端f31が固着され、また袋本体f0の他側の通孔口f21から他の紐状体f4が延びて、該包装袋Eの左右内側の他方に該紐状体の一端f41が固着される (図2)。符号e2は紐状体f3,f4の一端f31,f41を固着すると共に包装袋Eを形成するためのシール部を示す。包装袋Eの二分割品の一方に該紐状体f3の一端f31が固着され、また包装袋Eの二分割品の他方に紐状体f4の一端がf41固着されることで、両手で包装袋Eの左右を手にもち、ミシン目e1を切り裂くよう広げると、ミシン目e1が切れると同時に図2のように袋体Fが自然に展開し、後は、図3のように開口f1を開ければ使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物75を袋内に容易に収納できるようになる。加えて、ループにして通孔f2に挿通,周回する二つの紐状体f3,f4のうちの一つf3が袋本体f0の一側の通孔口f21から延びて包装袋Eの左右内側の一方に固着され、もう一つf4が袋本体f0の他側の通孔口f21から延びて包装袋Eの左右内側の他方に固着されるので、袋内に医療系廃棄物75を収納した後、ミシン目e1で二分割された包装袋Eの左右部分を夫々手に持って、左右外方へ引っ張れば、すなわち両手を広げるようにすれば、図6のごとく袋体Fの開口f1を容易に塞ぐことができる。その後、図6で両サイドに延びた二つの紐状体f3,f4を結べば開口f1を完全に塞ぐことができる。使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物75を該袋体Fに収納し、紐状体f3,f4を用いて開口f1が塞がれた被処理物71は、袋体Fで密封されるのでいやな臭気等が漏れ出すのを抑えることができる。それでいて、巾着のような袋体Fであり、紐状体f3,f4を緩めれば比較的簡単に口f1が開く。尚、袋体Fには、医療系廃棄物75に塩素元素が含まれる場合、ダイオキシン除去対策としてCa元素が添加された合成樹脂製フィルムが用いられる。
【0011】
(1−B)炭化装置
炭化装置3は、医療系廃棄物75を袋体Fに収納し、紐状f3,f4体を用いて開口f1が塞がれた被処理物71を乾留により炭化処理する機器である。ここでは病院や老人ホーム等の小スペースの敷地内にも設置可能な固定設置型(例えば炭化装置の外寸は1.7m幅×2.0m奥行き×1.7m高さ)にして、燃焼炉3cを内蔵した倒焔式炉タイプのものを採用する(図8)。炭化装置3は炭化炉本体3aと炭化ボックス3bと燃焼炉3cとを具備し、炭化炉本体3a内に炭化ボックス3bと燃焼炉3cを内蔵する。炭化炉本体3aの上壁3a1には被処理物71を投入するノズル30が取付けられ、このノズル30から炭化ボックス内Oへと導く導管301が設けられる。ノズル30の先端開口が炭化ボックス3bに至る供給口になり、該供給口には開閉弁Vが取着される。ここでは図示を省略するが、該開閉弁上にホッパHPを取付けるとより好ましい(図14参照)。被処理物71をホッパに入れた後、開閉弁Vを開にすることで、炭化ボックス内Oへ被処理物71を投入し易くなる。
【0012】
炭化炉本体3aは耐熱性炉壁で加熱室32を形成し、炉壁の一部が炭化ボックス3bの一部を構成する開閉扉38になる。炭化ボックス3bは炭化炉本体3aの炉床3a2上に設けた支持台371の上に載置される箱型状体で、図8では炭化炉本体3aの左側に配されている。炭化ボックス3bはそこに送り込まれる被処理物71を、空気との接触を断って加熱できる空間Oを形成する。炭化ボックス3bの下方には前記支持台371と炭化炉本体3aと板面にスリット372aを形成した板体372とで煙道33が造られ、煙道33は加熱室排気ダクト392を経て煙突につながる(図9)。
【0013】
燃焼炉3cは図8において炭化炉本体3aの右側に配され、炉壁と炉床を利用して燃焼室31を形成する。灯油等を燃料にして火炎を噴射する燃料用バーナ34と、乾留ガスを燃料とする乾留用バーナ35が燃焼室31に向けて取付けられている。乾留用バーナ35には炭化ボックス内Oから乾留ガスを供給できるよう乾留ガス送管36が配設される。乾留ガスにエアを混合し、この混合ガスを燃焼室31に吹き込むことにより、たとえ燃料用バーナ34が止まっていても、燃焼室31が高温雰囲気になっているために乾留ガスが自燃しこれを熱源利用できる。図7の乾留用ブロアは該乾留ガスにエアを混合するために設けられる。
加熱室32と燃焼室31を仕切る炉壁には複数の透孔311が形成され、燃焼炉3cの燃焼ガスが加熱室32に向かうようになっている(図8,図10)。符号391は余剰の燃焼ガスを排出する加熱室ダクトで、煙突に接続される。加熱室ダクト391内と前記排気ダクト392内にはそれぞれ第1,第2ダンパー調整装置が設けられており(図7)、加熱室32内の温度を調整できる。符号MSはメンテナンス用扉を示す(図8)。
【0014】
燃焼炉3cからの燃焼ガスは図8〜図10の白抜き矢印に示すごとく炭化ボックス3bの外面に直接当たらないように燃焼室31から透孔311を通過して加熱室32へ流れ出て加熱室32内を上向き移動する。そして、上向き移動した燃焼ガスは加熱室32の天井に当たり、その後、下方へ向け移動しスリット372aを通って煙道33に入り、排気ダクト392を通過し煙突39から大気排出される。そしてこの間に炭化ボックス内Oを乾留,加熱する。図11は時間軸に対し、燃焼用バーナ34のバーナ燃焼に伴う燃焼室温度、加熱室温度、さらに乾留,加熱する炭化ボックス内Oの温度変化を表す一測定グラフである。炭化ボックス内Oの温度は400℃〜650℃の範囲で温度制御できる。
【0015】
(1−2)医療系廃棄物の炭化処理方法
医療系廃棄物の炭化処理方法は(1−1)の炭化装置を用いて、例えば次のように炭化処理する。
まず、病院や老人ホーム等から排出される医療系廃棄物75(ここでは、「使用済み紙おむつ」)を前記袋体Fに収納する。開口f1を有して袋状に形成され、該開口f1に沿って設けられた通孔f2に弛ませた状態で紐状体f3,f4を挿通してなる袋体Fに、医療系廃棄物75を収納する。
本実施形態の袋体Fは矩形に折り畳まれて矩形の包装袋Eに収容され、且つ該包装袋Eに左右に二分割するミシン目e1が形成されると共に、二つの紐状体f3,f4が通孔f2に挿通し、袋体Fが展開したときの袋本体f0の一側から一の紐状体f3が延びて、該包装袋Eの左右内側の一方に該紐状体f3の一端f31が固着され、また袋体Fが展開したときの袋本体f0の他側から他の紐状体f4が延びて、該包装袋Eの左右内側の他方に該紐状体f4の一端f41が固着されるので、ミシン目e1を切って包装袋Eの二分割品を手に持って両手を広げれば袋体Fが展開する。そして、図3,図4のごとく袋体Fの開口f1を開ければ、汚物751をくるめた使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物75を袋体F内に簡単に収納できる。
【0016】
次いで、紐状体f3,f4を用いて開口f1を閉じ、医療系廃棄物75が袋体Fにくるまれた被処理物71とする。ここでは通孔f2に挿通した紐状体f3,f4が二つ設けられ、しかも袋本体f0の一側の通孔口f21から一の紐状体f3が延びる一方、袋本体f0の他側の通孔口f21から他の紐状体f4が延びているので、一の紐状体f3を片方の手に、他の紐状体f4を他方の手に持って両手を広げると図6のごとく開口f1が円滑に閉じる。
病院の病室などでは患者の一日分の紙おむつ使用量が平均4〜5枚の場合、5枚収容用の前記袋体Fが用いられる。袋体Fは紐状体f3,f4を引っ張れば簡単に口Oが閉じる一方、紐状体f3,f4を緩めるようにすれば口f1が開くので、一日分使用する量の紙おむつを病室に保管できる。
開口f1を閉じた後の図6の紐状体同士を結束して、開口f1が不用意に開かないようにすれば、使用済み紙おむつ75の臭いが袋体F外へ漏れるのを抑えることができる。感染性の排便等の使用済み紙おむつ75にあっても、感染性の黴菌は気密性の袋本体f0内に閉じ込められる。
【0017】
次に、病室等から毎朝被処理物71が回収され、溜まった被処理物71が炭化処理するだけの量に達した段階で、該被処理物71を炭化装置に投入し炭化処理する。
炭化処理は例えば次のように行なわれる。炭化装置3の開閉扉38を閉めた状態にして、開閉弁Vを開にした後、所定量の被処理物71を開閉弁V,ノズル30を経由して炭化ボックス内Oへ投入する。次いで、燃料用バーナ34を着火させ、炭化炉本体3a内を400℃以上で650℃以下、通常は500℃程度まで昇温させる。そしてこの温度をしばらく維持する。斯かる過程で被処理物71は乾燥し乾留ガスが発生する。ここで、蒸気滅菌等の温度と違って、400℃以上の高温で被処理物71を乾留し炭化処理していくので、感染性排便等の感染性医療系廃棄物75であっても感染性黴菌等は略完全死滅する。
【0018】
その後、燃料用バーナ34を止める一方、乾留ガスにエアを混合し燃焼室31に吹き込む。燃焼室31が高温になっているため乾留ガスとエアの混合ガスは自燃し熱源用燃焼ガスになる。この燃焼ガスは図7の破線矢印、或いは図8〜図10の白抜き矢印に示すごとく燃焼室31から加熱室32、煙道33へと流れて炭化ボックス内Oに在る被処理物71を乾留し炭化させていく。最終的に、使用済み紙おむつたる医療系廃棄物75が炭化処理されて、使用済み紙おむつ75から副産物たる炭化物73ができる。被処理物71に係る袋体Fや紙おむつ本体は有機化合物で、紙おむつに一般に取付けられるポリアクリル酸ナトリウム等の高分子吸水材もまた有機化合物である。そして使用済み紙おむつ75の排泄物751も有機化合物であって、被処理物71は炭化処理によって無害化された炭化物73になる。炭化物73は炭化装置3を停止し冷却後、扉38を開けて取り出される。
【0019】
(1−3)効果
このように構成した医療系廃棄物75の炭化処理設備及び医療系廃棄物75の炭化処理方法は、以下のような優れた効果を発揮する。
まず、袋体Fの開口f1を開けて例えば使用済み紙おむつ75を袋体F内に収納した後、二つの紐状体f3,f4をそれぞれ右手,左手に持って手を広げるようにすれば、通孔f2に挿通,周回する二つの環状紐状体f3,f4のうちの一つf3が袋本体f0の一側の通孔口f21から延びて包装袋Eの左右内側の一方に固着され、もう一つf4が袋本体f0の他側の通孔口f21から延びて包装袋Eの左右内側の他方に固着されているので、これらを引っ張れば図6のごとく袋体Fの開口f1が自然に閉じる。紙おむつに包まれているとはいえ排泄物等の汚物751をくるんだ使用済み紙おむつ75などの医療系廃棄物75を扱う介護者,作業者は、できるだけ素早く且つ円滑に処理したい欲求がある。本袋体Fは開口f1を開けて袋体F内に収納した後、紐状体f3,f4を引っ張るだけで簡単に開口f1に封ができ、誰でも開口f1を素早く閉じることができる。袋体F内に使用済み紙おむつ75が収納されて素早く開口f1が塞がれるので、袋体Fの外へ臭いが放散しなくなる。黴菌も気密性袋本体f0内に閉じこめられるので、感染性医療系廃棄物75にあっても二次感染などの感染防止に役立つ。使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物75が袋体Fにくるまった被処理物71は臭いがなく、二次感染する虞もないため、安全で、該被処理物71を炭化装置へ投入するまでのハンドリングに十分な衛生的配慮がなされ、作業環境も良好になる。炭化装置に投入するまで、一日くらいなら被処理物71が病室等に蓄積保管されても問題が生じない。
【0020】
また、特許文献1の発酵処理装置等と違って、炭化装置2が小スペースに設置可能であるので、病院や老人ホーム等の敷地内に設置できる。発生源の病院等で処理できれば、外部委託先へ医療系廃棄物75を運ばなくて済み、その運搬費も節約できる。
加えて、本炭化処理設備及び炭化処理方法は、被処理物71を炭化ボックス内Oに投入し400℃以上の高温で乾留,炭化処理するので、被処理物71が感染性廃棄物であってもその感染性黴菌を略完全に死滅させることができる。従来、病院から排出される感染性廃棄物に関しては蒸気滅菌処理した後、外部処理場へ運んで処理する二度手間を要したが、こうした負担増も解消する。さらにいえば、従来の蒸気滅菌等では温度が低く、感染性黴菌が死滅しない問題も指摘されているが(例えば岡山大学大学院の田中勝等による「病院付設焼却炉の機能評価と運転管理技術の高度化に関する研究」)、斯かる問題も本炭化処理設備及び炭化処理方法によれば難なく解決される。
【0021】
そして、特許文献2の焼却炉ように多量の燃料を必要とせず、特許文献3の発熱ヒータを用いた炭化炉と違って燃焼用バーナ、さらに被処理物71を乾留,炭化する過程で発生する乾留ガスを燃料として用いるので、エネルギ効率が良くランニングコストが安い。
さらに、特許文献2の焼却炉のごとく被処理物71を完全燃焼させるのでなく、本炭化処理設備及び炭化処理方法は炭素化合物(有機化合物)たる被処理物71から有用な炭化物73(副生成物)を取出すことができる。ごみの被処理物71から燃料炭,工業炭等の有用資源たる炭化物生成が可能な地球環境に優しい技術になっている。
【0022】
(2)実施形態2
図12〜図16は炭化装置を移動可能にする医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法で、図12はトラックの荷台に炭化装置を搭載した正面図、図13は図12の右側面図である。図14,図15は他態様の医療系廃棄物の炭化処理設備で、トラクターに牽引される炭化装置の正面図である。図16は医療系廃棄物の炭化処理方法の一説明図である。
【0023】
(2−1)医療系廃棄物の炭化処理設備
本実施形態では実施形態1の炭化装置3がトラックの荷台11に搭載されるか又はトラクター1Aに牽引されて移動可能にした医療系廃棄物75の炭化処理設備になっている。
図12,図13の医療系廃棄物の炭化処理設備は、車両荷台11に炭化装置3を設置した炭化処理車である。符号1は炭化処理車の車両トラックで、符号10はその運転席等があるトラック頭部、符号11は荷台、符号82は炭化装置3等を駆動させるための発電機、符号83は炭化装置用燃料タンクを示す。符号19は炭化装置3等の装置全体を覆って且つ開け閉めできるウォールで、外観上優れたものになっている。
【0024】
図14,図15の医療系廃棄物の炭化処理設備では、トレーラ1Bの荷台に炭化装置3を載せ、これをトラクター1Aに牽引して移動可能とする。図14のトレーラ1Bは中低床トレーラで、図15のトレーラ1Bは高床トレーラである。例えば、炭化装置3をトラクター1Aで設置個所まで牽引した後、トレーラ1B,炭化装置3をそこに置いてトラクター1Aが切り離される。他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。
【0025】
(2−2)医療系廃棄物の炭化処理方法
図14,図15の医療系廃棄物の炭化処理設備とした場合は、例えば荷台(シャーシ1B1)に載せた炭化装置3をトラクター1Aで設置個所まで牽引し、炭化装置3、さらに場合によっては炭化装置3,トレーラ1Bごと病院等の設置個所に置いて、その後、病院側で実施形態1と同様の医療系廃棄物の炭化処理方法がなされる。
【0026】
図12,図13の医療系廃棄物の炭化処理設備を用いた場合は、例えば図16の医療系廃棄物の炭化処理方法が採られる。
病院側では、開口f1を有して袋状に形成され、該開口f1に沿って設けられた通孔f2に弛ませた状態で紐状体f3,f4を挿通してなる袋体Fに、使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物75を収納し、次いで、紐状体f3,f4を用いて開口f1を閉じ、医療系廃棄物75が袋体Fにくるまれた被処理物71とする。この被処理物71を所定箇所に設置する保管容器6に入れる。
【0027】
一方、運転手(兼作業者でもある)は炭化処理車に空の容器6をいくつか積み出発する。被処理物71の炭化処理車を使用し、被処理物排出先の病院等へ出向き、そこで被処理物71が入った容器6を収集する(図16のイ)。運転手は被処理物71入り容器6を受け取る代わりに、車1に積んであった空の容器6を交換用容器として渡す(図16のロ)。
【0028】
被処理物71を所定量収集した後、該被処理物71を炭化装置3の炭化ボックス内Oに収めてそれまで収集した被処理物71入り容器6を空にする。炭化装置3を作動させて被処理物71を収集後、早い段階で処理するため感染性医療系廃棄物75であってもその汚染防止対策が迅速になされる。
【0029】
その後、運転手は空になった容器6を荷台11の設置スペース51に載せて次の医療系廃棄物75の排出先へと向かう(図16のハ)。次の医療系廃棄物排出先へ向かう間に炭化処理されていく。次の医療系廃棄物排出先Bに到着したら、医療系廃棄物75が入った容器6を収集すると共に、空になっている前記容器6を交換提供する(図16のニ)。受け取った被処理物71はホッパHPから炭化ボックス内Oへ投入し、炭化処理の進行準備を整えたら(図16のホ)、さらに次の医療系廃棄物排出先へと向かう(図16のヘ)。走行中に医療系廃棄物75の炭化処理が進む。このような手順を繰り返し医療系廃棄物排出先を巡回する。
【0030】
一日の作業が終わって炭化処理車がスタート地点の事業所に戻る頃には医療系廃棄物75の炭化処理が完了しており、事業所に到着後、炭化装置3を停止させる(図16のト)。ここで、炭化装置3内は未だ温度が高い状態にある。
しかし、炭化装置3は一晩放置される間に冷やされ、この間が冷却工程になる。次の朝の出勤時には炭化装置3の温度は下がっている。開閉扉38を開けて前日処理した医療系廃棄物75で造られた炭化物73を取り出す(図16のト)。後は前日の作業の繰り返しで、運転手が空の容器6をいくつか積み出発することになる。
【0031】
(2−3)効果
このように構成した医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法は、実施形態1の効果に加え、以下の効果がある。
図14,図15の医療系廃棄物の炭化処理設備は、炭化装置3をトラクター1Aで牽引して、炭化装置3(さらにはトレーラ1Bごと)を病院等が指定する場所に置いた後、該トラクター1Aを運転手一人でも切り離すことができるので、運転手一人で指定場所に出かけることができる。高額なトラクター1Aを切り離してトレーラ1B付き炭化装置3を病院等の客先指定場所に容易に設置でき、炭化装置3(さらにはトレーラ1Bごと)のリース販売等を可能にする。リース契約によって、病院等の事業主は医療系廃棄物75の炭化処理設備の導入がし易くなる。
また、炭化装置3がトラックの荷台11に搭載されるか又はトラクター1Aに牽引されて移動可能にすると、排出先を巡回走行する過程で被処理物71を炭化処理するので効率的である。病院等の医療系廃棄物排出先は点在しているが、その運転移動時間を有効活用して該医療系廃棄物75の炭化処理ができる。医療系廃棄物75は収集から早い段階で炭化処理されていくので雑菌繁殖の汚染拡大を防止できる。通常廃棄物のみならず感染性医療系廃棄物75であっても、400℃以上の高温で炭化処理するので、無害化され有用な炭化物73が生成される。医療系廃棄物75入り容器6を収集後、その医療系廃棄物75を炭化装置3へ送り込むことによって無害化迅速処理をなす。走行中に医療系廃棄物75が処理されるので、車両走行が炭化処理用時間として無駄なく利用できる。さらにその空になった容器6を次の医療系廃棄物75の排出先で交換用容器6として提供できるので、たくさんの容器6を運ばなくて済み、最小限の容器6を炭化処理車に積むだけで足りる。
【0032】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。炭化装置3,炭化本体3a,炭化ボックス3b,燃焼炉3c,乾留ガス送管36,袋体F,包装袋E等の形状,大きさ,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。実施形態では医療系廃棄物75を使用済み紙おむつとしたがこれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態1で、包装袋に矩形に折り畳まれて収容された袋体の概略正面図である。
【図2】図1の包装袋のミシン目を切って開いた直後の斜視図である。
【図3】図2の状態から袋体を展開して袋体の開口を開けた斜視図である。
【図4】図3の開口から医療系廃棄物たる使用済み紙おむつを収納した姿態を示す斜視図である。
【図5】図4の二つ紐状体だけの姿態を抽出図示した斜視図である。
【図6】図4の状態から二つの紐状体を引っ張って開口を塞いだ様子を示す斜視図である。
【図7】炭化装置全体の概略説明図である。
【図8】炭化装置の説明断面図である。
【図9】図8のX−X線矢視図である。
【図10】図8のY−Y線矢視図である。
【図11】炭化装置内の各地点におけるヒートカーブの測定グラフである。
【図12】実施形態2で、トラックの荷台に炭化装置を搭載した正面図である。
【図13】図12の右側面図である。
【図14】トラクターにトレーラに載せて牽引される炭化装置の正面図である。
【図15】図14とは別態様のトレーラに炭化装置を載せてトラクターに牽引される炭化装置の正面図である。
【図16】医療系廃棄物の炭化処理方法の一説明図である。
【符号の説明】
【0034】
3 炭化装置
3a 炭化炉本体
3b 炭化ボックス
3c 燃焼炉
31 燃焼室
32 加熱室
34 燃料用バーナ
35 乾留用バーナ
36 乾留ガス送管
71 被処理物
75 医療系廃棄物(使用済み紙おむつ)
E 包装袋
e1 ミシン目
F 袋体
f0 袋本体
f1 開口(口)
f2 通孔
f3,f4 紐状体
f31,f41 一端
【技術分野】
【0001】
本発明は病院などの医療機関等から排出される医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や老人ホーム等の医療機関からは使用済み紙おむつを初めとする医療系廃棄物が大量排出されている。
例えば紙おむつは病院や老人ホーム等で一人当たり一日約5枚使用するといわれており、使用済み紙おむつの廃棄物処理が問題化しつつある。さらに病院から排出される感染性廃棄物になれば、滅菌処理した後、外部処理場へ運ばれ焼却処理等がなされることになるが、二度手間で負担増になっている。
こうしたことから、斯かる問題を改善する技術が提案されている(例えば特許文献1〜3)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−7111(12−25頁)
【特許文献2】特開2005−207641(5−10頁、図1)
【特許文献3】特開2004−238542(5−8頁、図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は発酵処理するもので処理に時間を要していた。特許文献2は焼却炉へ使用済み紙おむつの粉砕固形物を投入して焼却する装置を開示するが、多量の燃料を必要とし、エネルギ効率を低下させる問題があった。特許文献3は、発熱ヒータ手段を用いた炭化炉で、ランニングコストが高いものであった。
また、使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物はこれまで大半が外部委託であって、特許文献1〜3の処理装置はいずれも外部の委託先で処理する大掛かりな装置であり、そこまで医療系廃棄物を運ぶため、別途運送費が必要であった。さらに医療系廃棄物に関しては、全てを外部委託に頼らずに発生源の病院側で処理をある程度求める要望があり、今後、これに対応しなければならなかった・
加えて、特許文献1〜3のいずれも、焼却炉や炭化炉へ使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物を処理装置へ投入するまでのハンドリングや環境に十分な衛生的配慮がされていなかった。ともすれば悪臭が漂う雰囲気で作業を行わねばならず、作業環境を悪くしていた。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するもので、病院や老人ホーム等の敷地内でも設置可能で、また使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物を対象としながらも簡便にして十分な衛生的配慮がなされ、作業環境が良好で、さらにエネルギ効率を高めて処理できる医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、開口(f1)を有して医療系廃棄物を収納できる袋状に形成され、該開口に沿って設けられた通孔(f2)に弛ませた状態で紐状体(f3)を挿通してなる袋体(F)と、医療系廃棄物(75)を該袋体に収納し、前記紐状体を用いて開口(f1)が塞がれた被処理物(71)を炭化させる炭化装置(3)と、を具備することを特徴とする医療系廃棄物の炭化処理設備にある。
請求項2の発明たる医療系廃棄物の炭化処理設備は、請求項1で、炭化装置(3)が、耐熱性炉壁で加熱室(32)を形成する炭化炉本体(3a)と、該炭化炉本体内に載置され、医療系廃棄物(75)を外気との接触を断って加熱できる空間を形成する炭化ボックス(3b)と、前記炭化炉本体(3a)の下部に炉壁と炉床を利用して燃焼室(31)を設け、燃料用バーナ(34)と乾留用バーナ(35)とを該燃焼室に向けて取付けた燃焼炉(3c)と、前記炭化ボックス(3b)から前記乾留用バーナ(35)へ乾留ガスを供給できるよう配設される乾留ガス送管(36)と、を備えることを特徴とする。
請求項3の発明たる医療系廃棄物の炭化処理設備は、請求項1又は2で、袋体(F)が矩形に折り畳まれて矩形の包装袋(E)に収容され、且つ該包装袋に左右に二分割するミシン目(e1)が形成されると共に、二つの紐状体(f3,f4)が前記通孔(f2)に挿通し、袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の一側から一の紐状体(f3)が延びて、該包装袋(E)の左右内側の一方に該紐状体(f3)の一端(f31)が固着され、また袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の他側から他の紐状体(f4)が延びて、該包装袋の左右内側の他方に該紐状体(f4)の一端(f41)が固着されることを特徴とする。
請求項4の発明たる医療系廃棄物の炭化処理設備は、請求項3で、炭化装置がトラックの荷台に搭載されるか又はトラクターに牽引されて移動可能にしたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明の要旨は、開口(f1)を有して袋状に形成され、該開口に沿って設けられた通孔(f2)に弛ませた状態で紐状体(f3)を挿通してなる袋体(F)に、医療系廃棄物(75)を収納し、次に、該紐状体を用いて開口(f1)を閉じ、医療系廃棄物(75)が袋体(F)にくるまれた被処理物(71)とし、その後、該被処理物を炭化装置(3)に投入し炭化処理することを特徴とする医療系廃棄物の炭化処理方法にある。
請求項6の発明たる医療系廃棄物の炭化処理方法は、請求項5で、炭化装置(3)が、耐熱性炉壁で加熱室(32)を形成する炭化炉本体(3a)と、該炭化炉本体内に載置され、医療系廃棄物(75)を外気との接触を断って加熱できる空間を形成する炭化ボックス(3b)と、前記炭化炉本体(3a)の下部に炉壁と炉床を利用して燃焼室(31)を設け、燃料用バーナ(34)と乾留用バーナ(35)とを該燃焼室に向けて取付けた燃焼炉(3c)と、前記炭化ボックス(3b)から前記乾留用バーナ(35)へ乾留ガスを供給できるよう配設される乾留ガス送管(36)と、を備えることを特徴とする。
請求項7の発明たる医療系廃棄物の炭化処理方法は、請求項5又は6で、袋体(F)が矩形に折り畳まれて矩形の包装袋(E)に収容され、且つ該包装袋に左右に二分割するミシン目(e1)が形成されると共に、二つの紐状体(f3,f4)が前記通孔(f2)に挿通し、袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の一側から一の紐状体(f3)が延びて、該包装袋(E)の左右内側の一方に該紐状体(f3)の一端(f31)が固着され、また袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の他側から他の紐状体(f4)が延びて、該包装袋の左右内側の他方に該紐状体(f4)の一端(f41)が固着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法によれば、設備容量をコンパクトにでき病院や老人ホーム等の敷地内でも設置可能で、また使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物であっても、袋体に密封されて被処理物になるので、衛生的で、被処理物の処理までの保管環境、さらに処理にあたる作業環境が良好になると共に取扱いもいたって安全且つ容易になり、加えて被処理物のまま乾留ガスを用いた炭化処理することで、作業性向上、エネルギ効率を高めて処理できるなど多大な効を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図11は本発明の医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法の一形態で、図1〜図6が袋体の関連図、図7〜図10が炭化装置の関連図とする。図1は包装袋に矩形に折り畳まれて収容された袋体の概略正面図、図2は図1の包装袋のミシン目を切って開いた直後の斜視図、図3は図2の状態から袋体を展開して袋体の開口を開けた斜視図、図4は図3の開口から医療系廃棄物たる使用済み紙おむつを収納した姿態を示す斜視図、図5は図4の二つ紐状体だけの姿態を抽出図示した斜視図、図6は図5の状態から二つの紐状体を引っ張って開口を塞いだ様子を示す斜視図である。図7は炭化装置全体の概略説明図、図8は炭化装置の説明断面図、図9は図8のX−X線矢視図、図10は図8のY−Y線矢視図、図11は炭化装置内の各地点におけるヒートカーブの測定グラフである。
【0009】
(1−1)医療系廃棄物の炭化処理設備
(1−1A)袋体
袋体Fは開口f1を有して医療系廃棄物75を収納できる大きさの袋状に形成され、該開口f1に沿って設けられた通孔f2に弛ませた状態で紐状体f3,f4を挿通してなる。本実施形態の袋体Fの主部たる袋本体f0は、気密性の合成樹脂製のフィルムで造られ、図3,図4のごとく平面状フィルムを同じ大きさの長方形になるよう底辺で折って該フィルムを二枚重ねにし、さらに上辺の一側だけを開口f1にして残りの両側辺の周縁をヒートシールした正面視略長方形の袋状体である。袋本体f0は例えば使用済み紙おむつ75が5個入る大きさ(約40cm×約30cm)に造られる。さらに袋本体f0は開口縁となる上辺の先端縁f6を開口f1内へ折込み、開口f1から該先端縁までのフィルムが二重になったその先端縁近くを開口縁に沿うようにしてヒートシール部分f5を設け、開口周縁に筒状の通孔f2を形成する。該通孔f2には図3,図4のように四角形の袋本体f0の両角部をカットし、通孔口f21を設ける。そして、通孔f2に挿通し一周させてループにした紐状体f3,f4が二つ取付けられ、袋体Fが図3,図4のごとく展開したときに、袋本体f0の一側の通孔口f21から一の紐状体f3が延びる一方、袋本体f0の他側の通孔口f21から他の紐状体f4が延びる構成とする。巾着を大きくしたような形で、その口f1を二つの紐状体f3,f4を用いて締めることができる袋体Fになっている。
【0010】
ここでの袋体Fは、矩形に折り畳まれてポケットティッシュのごとく矩形の袋状包装袋Eに収容される。該包装袋Eの中央には左右に二分割するミシン目e1が周回形成されている。袋本体f0の一側の通孔口f21から一の紐状体f3が延びて、該包装袋Eの左右内側の一方に該紐状体f3の一端f31が固着され、また袋本体f0の他側の通孔口f21から他の紐状体f4が延びて、該包装袋Eの左右内側の他方に該紐状体の一端f41が固着される (図2)。符号e2は紐状体f3,f4の一端f31,f41を固着すると共に包装袋Eを形成するためのシール部を示す。包装袋Eの二分割品の一方に該紐状体f3の一端f31が固着され、また包装袋Eの二分割品の他方に紐状体f4の一端がf41固着されることで、両手で包装袋Eの左右を手にもち、ミシン目e1を切り裂くよう広げると、ミシン目e1が切れると同時に図2のように袋体Fが自然に展開し、後は、図3のように開口f1を開ければ使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物75を袋内に容易に収納できるようになる。加えて、ループにして通孔f2に挿通,周回する二つの紐状体f3,f4のうちの一つf3が袋本体f0の一側の通孔口f21から延びて包装袋Eの左右内側の一方に固着され、もう一つf4が袋本体f0の他側の通孔口f21から延びて包装袋Eの左右内側の他方に固着されるので、袋内に医療系廃棄物75を収納した後、ミシン目e1で二分割された包装袋Eの左右部分を夫々手に持って、左右外方へ引っ張れば、すなわち両手を広げるようにすれば、図6のごとく袋体Fの開口f1を容易に塞ぐことができる。その後、図6で両サイドに延びた二つの紐状体f3,f4を結べば開口f1を完全に塞ぐことができる。使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物75を該袋体Fに収納し、紐状体f3,f4を用いて開口f1が塞がれた被処理物71は、袋体Fで密封されるのでいやな臭気等が漏れ出すのを抑えることができる。それでいて、巾着のような袋体Fであり、紐状体f3,f4を緩めれば比較的簡単に口f1が開く。尚、袋体Fには、医療系廃棄物75に塩素元素が含まれる場合、ダイオキシン除去対策としてCa元素が添加された合成樹脂製フィルムが用いられる。
【0011】
(1−B)炭化装置
炭化装置3は、医療系廃棄物75を袋体Fに収納し、紐状f3,f4体を用いて開口f1が塞がれた被処理物71を乾留により炭化処理する機器である。ここでは病院や老人ホーム等の小スペースの敷地内にも設置可能な固定設置型(例えば炭化装置の外寸は1.7m幅×2.0m奥行き×1.7m高さ)にして、燃焼炉3cを内蔵した倒焔式炉タイプのものを採用する(図8)。炭化装置3は炭化炉本体3aと炭化ボックス3bと燃焼炉3cとを具備し、炭化炉本体3a内に炭化ボックス3bと燃焼炉3cを内蔵する。炭化炉本体3aの上壁3a1には被処理物71を投入するノズル30が取付けられ、このノズル30から炭化ボックス内Oへと導く導管301が設けられる。ノズル30の先端開口が炭化ボックス3bに至る供給口になり、該供給口には開閉弁Vが取着される。ここでは図示を省略するが、該開閉弁上にホッパHPを取付けるとより好ましい(図14参照)。被処理物71をホッパに入れた後、開閉弁Vを開にすることで、炭化ボックス内Oへ被処理物71を投入し易くなる。
【0012】
炭化炉本体3aは耐熱性炉壁で加熱室32を形成し、炉壁の一部が炭化ボックス3bの一部を構成する開閉扉38になる。炭化ボックス3bは炭化炉本体3aの炉床3a2上に設けた支持台371の上に載置される箱型状体で、図8では炭化炉本体3aの左側に配されている。炭化ボックス3bはそこに送り込まれる被処理物71を、空気との接触を断って加熱できる空間Oを形成する。炭化ボックス3bの下方には前記支持台371と炭化炉本体3aと板面にスリット372aを形成した板体372とで煙道33が造られ、煙道33は加熱室排気ダクト392を経て煙突につながる(図9)。
【0013】
燃焼炉3cは図8において炭化炉本体3aの右側に配され、炉壁と炉床を利用して燃焼室31を形成する。灯油等を燃料にして火炎を噴射する燃料用バーナ34と、乾留ガスを燃料とする乾留用バーナ35が燃焼室31に向けて取付けられている。乾留用バーナ35には炭化ボックス内Oから乾留ガスを供給できるよう乾留ガス送管36が配設される。乾留ガスにエアを混合し、この混合ガスを燃焼室31に吹き込むことにより、たとえ燃料用バーナ34が止まっていても、燃焼室31が高温雰囲気になっているために乾留ガスが自燃しこれを熱源利用できる。図7の乾留用ブロアは該乾留ガスにエアを混合するために設けられる。
加熱室32と燃焼室31を仕切る炉壁には複数の透孔311が形成され、燃焼炉3cの燃焼ガスが加熱室32に向かうようになっている(図8,図10)。符号391は余剰の燃焼ガスを排出する加熱室ダクトで、煙突に接続される。加熱室ダクト391内と前記排気ダクト392内にはそれぞれ第1,第2ダンパー調整装置が設けられており(図7)、加熱室32内の温度を調整できる。符号MSはメンテナンス用扉を示す(図8)。
【0014】
燃焼炉3cからの燃焼ガスは図8〜図10の白抜き矢印に示すごとく炭化ボックス3bの外面に直接当たらないように燃焼室31から透孔311を通過して加熱室32へ流れ出て加熱室32内を上向き移動する。そして、上向き移動した燃焼ガスは加熱室32の天井に当たり、その後、下方へ向け移動しスリット372aを通って煙道33に入り、排気ダクト392を通過し煙突39から大気排出される。そしてこの間に炭化ボックス内Oを乾留,加熱する。図11は時間軸に対し、燃焼用バーナ34のバーナ燃焼に伴う燃焼室温度、加熱室温度、さらに乾留,加熱する炭化ボックス内Oの温度変化を表す一測定グラフである。炭化ボックス内Oの温度は400℃〜650℃の範囲で温度制御できる。
【0015】
(1−2)医療系廃棄物の炭化処理方法
医療系廃棄物の炭化処理方法は(1−1)の炭化装置を用いて、例えば次のように炭化処理する。
まず、病院や老人ホーム等から排出される医療系廃棄物75(ここでは、「使用済み紙おむつ」)を前記袋体Fに収納する。開口f1を有して袋状に形成され、該開口f1に沿って設けられた通孔f2に弛ませた状態で紐状体f3,f4を挿通してなる袋体Fに、医療系廃棄物75を収納する。
本実施形態の袋体Fは矩形に折り畳まれて矩形の包装袋Eに収容され、且つ該包装袋Eに左右に二分割するミシン目e1が形成されると共に、二つの紐状体f3,f4が通孔f2に挿通し、袋体Fが展開したときの袋本体f0の一側から一の紐状体f3が延びて、該包装袋Eの左右内側の一方に該紐状体f3の一端f31が固着され、また袋体Fが展開したときの袋本体f0の他側から他の紐状体f4が延びて、該包装袋Eの左右内側の他方に該紐状体f4の一端f41が固着されるので、ミシン目e1を切って包装袋Eの二分割品を手に持って両手を広げれば袋体Fが展開する。そして、図3,図4のごとく袋体Fの開口f1を開ければ、汚物751をくるめた使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物75を袋体F内に簡単に収納できる。
【0016】
次いで、紐状体f3,f4を用いて開口f1を閉じ、医療系廃棄物75が袋体Fにくるまれた被処理物71とする。ここでは通孔f2に挿通した紐状体f3,f4が二つ設けられ、しかも袋本体f0の一側の通孔口f21から一の紐状体f3が延びる一方、袋本体f0の他側の通孔口f21から他の紐状体f4が延びているので、一の紐状体f3を片方の手に、他の紐状体f4を他方の手に持って両手を広げると図6のごとく開口f1が円滑に閉じる。
病院の病室などでは患者の一日分の紙おむつ使用量が平均4〜5枚の場合、5枚収容用の前記袋体Fが用いられる。袋体Fは紐状体f3,f4を引っ張れば簡単に口Oが閉じる一方、紐状体f3,f4を緩めるようにすれば口f1が開くので、一日分使用する量の紙おむつを病室に保管できる。
開口f1を閉じた後の図6の紐状体同士を結束して、開口f1が不用意に開かないようにすれば、使用済み紙おむつ75の臭いが袋体F外へ漏れるのを抑えることができる。感染性の排便等の使用済み紙おむつ75にあっても、感染性の黴菌は気密性の袋本体f0内に閉じ込められる。
【0017】
次に、病室等から毎朝被処理物71が回収され、溜まった被処理物71が炭化処理するだけの量に達した段階で、該被処理物71を炭化装置に投入し炭化処理する。
炭化処理は例えば次のように行なわれる。炭化装置3の開閉扉38を閉めた状態にして、開閉弁Vを開にした後、所定量の被処理物71を開閉弁V,ノズル30を経由して炭化ボックス内Oへ投入する。次いで、燃料用バーナ34を着火させ、炭化炉本体3a内を400℃以上で650℃以下、通常は500℃程度まで昇温させる。そしてこの温度をしばらく維持する。斯かる過程で被処理物71は乾燥し乾留ガスが発生する。ここで、蒸気滅菌等の温度と違って、400℃以上の高温で被処理物71を乾留し炭化処理していくので、感染性排便等の感染性医療系廃棄物75であっても感染性黴菌等は略完全死滅する。
【0018】
その後、燃料用バーナ34を止める一方、乾留ガスにエアを混合し燃焼室31に吹き込む。燃焼室31が高温になっているため乾留ガスとエアの混合ガスは自燃し熱源用燃焼ガスになる。この燃焼ガスは図7の破線矢印、或いは図8〜図10の白抜き矢印に示すごとく燃焼室31から加熱室32、煙道33へと流れて炭化ボックス内Oに在る被処理物71を乾留し炭化させていく。最終的に、使用済み紙おむつたる医療系廃棄物75が炭化処理されて、使用済み紙おむつ75から副産物たる炭化物73ができる。被処理物71に係る袋体Fや紙おむつ本体は有機化合物で、紙おむつに一般に取付けられるポリアクリル酸ナトリウム等の高分子吸水材もまた有機化合物である。そして使用済み紙おむつ75の排泄物751も有機化合物であって、被処理物71は炭化処理によって無害化された炭化物73になる。炭化物73は炭化装置3を停止し冷却後、扉38を開けて取り出される。
【0019】
(1−3)効果
このように構成した医療系廃棄物75の炭化処理設備及び医療系廃棄物75の炭化処理方法は、以下のような優れた効果を発揮する。
まず、袋体Fの開口f1を開けて例えば使用済み紙おむつ75を袋体F内に収納した後、二つの紐状体f3,f4をそれぞれ右手,左手に持って手を広げるようにすれば、通孔f2に挿通,周回する二つの環状紐状体f3,f4のうちの一つf3が袋本体f0の一側の通孔口f21から延びて包装袋Eの左右内側の一方に固着され、もう一つf4が袋本体f0の他側の通孔口f21から延びて包装袋Eの左右内側の他方に固着されているので、これらを引っ張れば図6のごとく袋体Fの開口f1が自然に閉じる。紙おむつに包まれているとはいえ排泄物等の汚物751をくるんだ使用済み紙おむつ75などの医療系廃棄物75を扱う介護者,作業者は、できるだけ素早く且つ円滑に処理したい欲求がある。本袋体Fは開口f1を開けて袋体F内に収納した後、紐状体f3,f4を引っ張るだけで簡単に開口f1に封ができ、誰でも開口f1を素早く閉じることができる。袋体F内に使用済み紙おむつ75が収納されて素早く開口f1が塞がれるので、袋体Fの外へ臭いが放散しなくなる。黴菌も気密性袋本体f0内に閉じこめられるので、感染性医療系廃棄物75にあっても二次感染などの感染防止に役立つ。使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物75が袋体Fにくるまった被処理物71は臭いがなく、二次感染する虞もないため、安全で、該被処理物71を炭化装置へ投入するまでのハンドリングに十分な衛生的配慮がなされ、作業環境も良好になる。炭化装置に投入するまで、一日くらいなら被処理物71が病室等に蓄積保管されても問題が生じない。
【0020】
また、特許文献1の発酵処理装置等と違って、炭化装置2が小スペースに設置可能であるので、病院や老人ホーム等の敷地内に設置できる。発生源の病院等で処理できれば、外部委託先へ医療系廃棄物75を運ばなくて済み、その運搬費も節約できる。
加えて、本炭化処理設備及び炭化処理方法は、被処理物71を炭化ボックス内Oに投入し400℃以上の高温で乾留,炭化処理するので、被処理物71が感染性廃棄物であってもその感染性黴菌を略完全に死滅させることができる。従来、病院から排出される感染性廃棄物に関しては蒸気滅菌処理した後、外部処理場へ運んで処理する二度手間を要したが、こうした負担増も解消する。さらにいえば、従来の蒸気滅菌等では温度が低く、感染性黴菌が死滅しない問題も指摘されているが(例えば岡山大学大学院の田中勝等による「病院付設焼却炉の機能評価と運転管理技術の高度化に関する研究」)、斯かる問題も本炭化処理設備及び炭化処理方法によれば難なく解決される。
【0021】
そして、特許文献2の焼却炉ように多量の燃料を必要とせず、特許文献3の発熱ヒータを用いた炭化炉と違って燃焼用バーナ、さらに被処理物71を乾留,炭化する過程で発生する乾留ガスを燃料として用いるので、エネルギ効率が良くランニングコストが安い。
さらに、特許文献2の焼却炉のごとく被処理物71を完全燃焼させるのでなく、本炭化処理設備及び炭化処理方法は炭素化合物(有機化合物)たる被処理物71から有用な炭化物73(副生成物)を取出すことができる。ごみの被処理物71から燃料炭,工業炭等の有用資源たる炭化物生成が可能な地球環境に優しい技術になっている。
【0022】
(2)実施形態2
図12〜図16は炭化装置を移動可能にする医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法で、図12はトラックの荷台に炭化装置を搭載した正面図、図13は図12の右側面図である。図14,図15は他態様の医療系廃棄物の炭化処理設備で、トラクターに牽引される炭化装置の正面図である。図16は医療系廃棄物の炭化処理方法の一説明図である。
【0023】
(2−1)医療系廃棄物の炭化処理設備
本実施形態では実施形態1の炭化装置3がトラックの荷台11に搭載されるか又はトラクター1Aに牽引されて移動可能にした医療系廃棄物75の炭化処理設備になっている。
図12,図13の医療系廃棄物の炭化処理設備は、車両荷台11に炭化装置3を設置した炭化処理車である。符号1は炭化処理車の車両トラックで、符号10はその運転席等があるトラック頭部、符号11は荷台、符号82は炭化装置3等を駆動させるための発電機、符号83は炭化装置用燃料タンクを示す。符号19は炭化装置3等の装置全体を覆って且つ開け閉めできるウォールで、外観上優れたものになっている。
【0024】
図14,図15の医療系廃棄物の炭化処理設備では、トレーラ1Bの荷台に炭化装置3を載せ、これをトラクター1Aに牽引して移動可能とする。図14のトレーラ1Bは中低床トレーラで、図15のトレーラ1Bは高床トレーラである。例えば、炭化装置3をトラクター1Aで設置個所まで牽引した後、トレーラ1B,炭化装置3をそこに置いてトラクター1Aが切り離される。他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。
【0025】
(2−2)医療系廃棄物の炭化処理方法
図14,図15の医療系廃棄物の炭化処理設備とした場合は、例えば荷台(シャーシ1B1)に載せた炭化装置3をトラクター1Aで設置個所まで牽引し、炭化装置3、さらに場合によっては炭化装置3,トレーラ1Bごと病院等の設置個所に置いて、その後、病院側で実施形態1と同様の医療系廃棄物の炭化処理方法がなされる。
【0026】
図12,図13の医療系廃棄物の炭化処理設備を用いた場合は、例えば図16の医療系廃棄物の炭化処理方法が採られる。
病院側では、開口f1を有して袋状に形成され、該開口f1に沿って設けられた通孔f2に弛ませた状態で紐状体f3,f4を挿通してなる袋体Fに、使用済み紙おむつ等の医療系廃棄物75を収納し、次いで、紐状体f3,f4を用いて開口f1を閉じ、医療系廃棄物75が袋体Fにくるまれた被処理物71とする。この被処理物71を所定箇所に設置する保管容器6に入れる。
【0027】
一方、運転手(兼作業者でもある)は炭化処理車に空の容器6をいくつか積み出発する。被処理物71の炭化処理車を使用し、被処理物排出先の病院等へ出向き、そこで被処理物71が入った容器6を収集する(図16のイ)。運転手は被処理物71入り容器6を受け取る代わりに、車1に積んであった空の容器6を交換用容器として渡す(図16のロ)。
【0028】
被処理物71を所定量収集した後、該被処理物71を炭化装置3の炭化ボックス内Oに収めてそれまで収集した被処理物71入り容器6を空にする。炭化装置3を作動させて被処理物71を収集後、早い段階で処理するため感染性医療系廃棄物75であってもその汚染防止対策が迅速になされる。
【0029】
その後、運転手は空になった容器6を荷台11の設置スペース51に載せて次の医療系廃棄物75の排出先へと向かう(図16のハ)。次の医療系廃棄物排出先へ向かう間に炭化処理されていく。次の医療系廃棄物排出先Bに到着したら、医療系廃棄物75が入った容器6を収集すると共に、空になっている前記容器6を交換提供する(図16のニ)。受け取った被処理物71はホッパHPから炭化ボックス内Oへ投入し、炭化処理の進行準備を整えたら(図16のホ)、さらに次の医療系廃棄物排出先へと向かう(図16のヘ)。走行中に医療系廃棄物75の炭化処理が進む。このような手順を繰り返し医療系廃棄物排出先を巡回する。
【0030】
一日の作業が終わって炭化処理車がスタート地点の事業所に戻る頃には医療系廃棄物75の炭化処理が完了しており、事業所に到着後、炭化装置3を停止させる(図16のト)。ここで、炭化装置3内は未だ温度が高い状態にある。
しかし、炭化装置3は一晩放置される間に冷やされ、この間が冷却工程になる。次の朝の出勤時には炭化装置3の温度は下がっている。開閉扉38を開けて前日処理した医療系廃棄物75で造られた炭化物73を取り出す(図16のト)。後は前日の作業の繰り返しで、運転手が空の容器6をいくつか積み出発することになる。
【0031】
(2−3)効果
このように構成した医療系廃棄物の炭化処理設備及び医療系廃棄物の炭化処理方法は、実施形態1の効果に加え、以下の効果がある。
図14,図15の医療系廃棄物の炭化処理設備は、炭化装置3をトラクター1Aで牽引して、炭化装置3(さらにはトレーラ1Bごと)を病院等が指定する場所に置いた後、該トラクター1Aを運転手一人でも切り離すことができるので、運転手一人で指定場所に出かけることができる。高額なトラクター1Aを切り離してトレーラ1B付き炭化装置3を病院等の客先指定場所に容易に設置でき、炭化装置3(さらにはトレーラ1Bごと)のリース販売等を可能にする。リース契約によって、病院等の事業主は医療系廃棄物75の炭化処理設備の導入がし易くなる。
また、炭化装置3がトラックの荷台11に搭載されるか又はトラクター1Aに牽引されて移動可能にすると、排出先を巡回走行する過程で被処理物71を炭化処理するので効率的である。病院等の医療系廃棄物排出先は点在しているが、その運転移動時間を有効活用して該医療系廃棄物75の炭化処理ができる。医療系廃棄物75は収集から早い段階で炭化処理されていくので雑菌繁殖の汚染拡大を防止できる。通常廃棄物のみならず感染性医療系廃棄物75であっても、400℃以上の高温で炭化処理するので、無害化され有用な炭化物73が生成される。医療系廃棄物75入り容器6を収集後、その医療系廃棄物75を炭化装置3へ送り込むことによって無害化迅速処理をなす。走行中に医療系廃棄物75が処理されるので、車両走行が炭化処理用時間として無駄なく利用できる。さらにその空になった容器6を次の医療系廃棄物75の排出先で交換用容器6として提供できるので、たくさんの容器6を運ばなくて済み、最小限の容器6を炭化処理車に積むだけで足りる。
【0032】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。炭化装置3,炭化本体3a,炭化ボックス3b,燃焼炉3c,乾留ガス送管36,袋体F,包装袋E等の形状,大きさ,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。実施形態では医療系廃棄物75を使用済み紙おむつとしたがこれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態1で、包装袋に矩形に折り畳まれて収容された袋体の概略正面図である。
【図2】図1の包装袋のミシン目を切って開いた直後の斜視図である。
【図3】図2の状態から袋体を展開して袋体の開口を開けた斜視図である。
【図4】図3の開口から医療系廃棄物たる使用済み紙おむつを収納した姿態を示す斜視図である。
【図5】図4の二つ紐状体だけの姿態を抽出図示した斜視図である。
【図6】図4の状態から二つの紐状体を引っ張って開口を塞いだ様子を示す斜視図である。
【図7】炭化装置全体の概略説明図である。
【図8】炭化装置の説明断面図である。
【図9】図8のX−X線矢視図である。
【図10】図8のY−Y線矢視図である。
【図11】炭化装置内の各地点におけるヒートカーブの測定グラフである。
【図12】実施形態2で、トラックの荷台に炭化装置を搭載した正面図である。
【図13】図12の右側面図である。
【図14】トラクターにトレーラに載せて牽引される炭化装置の正面図である。
【図15】図14とは別態様のトレーラに炭化装置を載せてトラクターに牽引される炭化装置の正面図である。
【図16】医療系廃棄物の炭化処理方法の一説明図である。
【符号の説明】
【0034】
3 炭化装置
3a 炭化炉本体
3b 炭化ボックス
3c 燃焼炉
31 燃焼室
32 加熱室
34 燃料用バーナ
35 乾留用バーナ
36 乾留ガス送管
71 被処理物
75 医療系廃棄物(使用済み紙おむつ)
E 包装袋
e1 ミシン目
F 袋体
f0 袋本体
f1 開口(口)
f2 通孔
f3,f4 紐状体
f31,f41 一端
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口(f1)を有して医療系廃棄物を収納できる袋状に形成され、該開口に沿って設けられた通孔(f2)に弛ませた状態で紐状体(f3)を挿通してなる袋体(F)と、医療系廃棄物(75)を該袋体に収納し、前記紐状体を用いて開口(f1)が塞がれた被処理物(71)を炭化させる炭化装置(3)と、を具備することを特徴とする医療系廃棄物の炭化処理設備。
【請求項2】
前記炭化装置(3)が、耐熱性炉壁で加熱室(32)を形成する炭化炉本体(3a)と、該炭化炉本体内に載置され、医療系廃棄物(75)を外気との接触を断って加熱できる空間を形成する炭化ボックス(3b)と、前記炭化炉本体(3a)の下部に炉壁と炉床を利用して燃焼室(31)を設け、燃料用バーナ(34)と乾留用バーナ(35)とを該燃焼室に向けて取付けた燃焼炉(3c)と、前記炭化ボックス(3b)から前記乾留用バーナ(35)へ乾留ガスを供給できるよう配設される乾留ガス送管(36)と、を備える請求項1記載の医療系廃棄物の炭化処理設備。
【請求項3】
前記袋体(F)が矩形に折り畳まれて矩形の包装袋(E)に収容され、且つ該包装袋に左右に二分割するミシン目(e1)が形成されると共に、二つの紐状体(f3,f4)が前記通孔(f2)に挿通し、袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の一側から一の紐状体(f3)が延びて、該包装袋(E)の左右内側の一方に該紐状体(f3)の一端(f31)が固着され、また袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の他側から他の紐状体(f4)が延びて、該包装袋の左右内側の他方に該紐状体(f4)の一端(f41)が固着される請求項1又は2記載の医療系廃棄物の炭化処理設備。
【請求項4】
前記炭化装置がトラックの荷台に搭載されるか又はトラクターに牽引されて移動可能にした請求項3記載の医療系廃棄物の炭化処理設備。
【請求項5】
開口(f1)を有して袋状に形成され、該開口に沿って設けられた通孔(f2)に弛ませた状態で紐状体(f3)を挿通してなる袋体(F)に、医療系廃棄物(75)を収納し、次に、該紐状体を用いて開口(f1)を閉じ、医療系廃棄物(75)が袋体(F)にくるまれた被処理物(71)とし、その後、該被処理物を炭化装置(3)に投入し炭化処理することを特徴とする医療系廃棄物の炭化処理方法。
【請求項6】
前記炭化装置(3)が、耐熱性炉壁で加熱室(32)を形成する炭化炉本体(3a)と、該炭化炉本体内に載置され、医療系廃棄物(75)を外気との接触を断って加熱できる空間を形成する炭化ボックス(3b)と、前記炭化炉本体(3a)の下部に炉壁と炉床を利用して燃焼室(31)を設け、燃料用バーナ(34)と乾留用バーナ(35)とを該燃焼室に向けて取付けた燃焼炉(3c)と、前記炭化ボックス(3b)から前記乾留用バーナ(35)へ乾留ガスを供給できるよう配設される乾留ガス送管(36)と、を備える請求項5記載の医療系廃棄物の炭化処理方法。
【請求項7】
前記袋体(F)が矩形に折り畳まれて矩形の包装袋(E)に収容され、且つ該包装袋に左右に二分割するミシン目(e1)が形成されると共に、二つの紐状体(f3,f4)が前記通孔(f2)に挿通し、袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の一側から一の紐状体(f3)が延びて、該包装袋(E)の左右内側の一方に該紐状体(f3)の一端(f31)が固着され、また袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の他側から他の紐状体(f4)が延びて、該包装袋の左右内側の他方に該紐状体(f4)の一端(f41)が固着される請求項5又は6記載の医療系廃棄物の炭化処理方法。
【請求項1】
開口(f1)を有して医療系廃棄物を収納できる袋状に形成され、該開口に沿って設けられた通孔(f2)に弛ませた状態で紐状体(f3)を挿通してなる袋体(F)と、医療系廃棄物(75)を該袋体に収納し、前記紐状体を用いて開口(f1)が塞がれた被処理物(71)を炭化させる炭化装置(3)と、を具備することを特徴とする医療系廃棄物の炭化処理設備。
【請求項2】
前記炭化装置(3)が、耐熱性炉壁で加熱室(32)を形成する炭化炉本体(3a)と、該炭化炉本体内に載置され、医療系廃棄物(75)を外気との接触を断って加熱できる空間を形成する炭化ボックス(3b)と、前記炭化炉本体(3a)の下部に炉壁と炉床を利用して燃焼室(31)を設け、燃料用バーナ(34)と乾留用バーナ(35)とを該燃焼室に向けて取付けた燃焼炉(3c)と、前記炭化ボックス(3b)から前記乾留用バーナ(35)へ乾留ガスを供給できるよう配設される乾留ガス送管(36)と、を備える請求項1記載の医療系廃棄物の炭化処理設備。
【請求項3】
前記袋体(F)が矩形に折り畳まれて矩形の包装袋(E)に収容され、且つ該包装袋に左右に二分割するミシン目(e1)が形成されると共に、二つの紐状体(f3,f4)が前記通孔(f2)に挿通し、袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の一側から一の紐状体(f3)が延びて、該包装袋(E)の左右内側の一方に該紐状体(f3)の一端(f31)が固着され、また袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の他側から他の紐状体(f4)が延びて、該包装袋の左右内側の他方に該紐状体(f4)の一端(f41)が固着される請求項1又は2記載の医療系廃棄物の炭化処理設備。
【請求項4】
前記炭化装置がトラックの荷台に搭載されるか又はトラクターに牽引されて移動可能にした請求項3記載の医療系廃棄物の炭化処理設備。
【請求項5】
開口(f1)を有して袋状に形成され、該開口に沿って設けられた通孔(f2)に弛ませた状態で紐状体(f3)を挿通してなる袋体(F)に、医療系廃棄物(75)を収納し、次に、該紐状体を用いて開口(f1)を閉じ、医療系廃棄物(75)が袋体(F)にくるまれた被処理物(71)とし、その後、該被処理物を炭化装置(3)に投入し炭化処理することを特徴とする医療系廃棄物の炭化処理方法。
【請求項6】
前記炭化装置(3)が、耐熱性炉壁で加熱室(32)を形成する炭化炉本体(3a)と、該炭化炉本体内に載置され、医療系廃棄物(75)を外気との接触を断って加熱できる空間を形成する炭化ボックス(3b)と、前記炭化炉本体(3a)の下部に炉壁と炉床を利用して燃焼室(31)を設け、燃料用バーナ(34)と乾留用バーナ(35)とを該燃焼室に向けて取付けた燃焼炉(3c)と、前記炭化ボックス(3b)から前記乾留用バーナ(35)へ乾留ガスを供給できるよう配設される乾留ガス送管(36)と、を備える請求項5記載の医療系廃棄物の炭化処理方法。
【請求項7】
前記袋体(F)が矩形に折り畳まれて矩形の包装袋(E)に収容され、且つ該包装袋に左右に二分割するミシン目(e1)が形成されると共に、二つの紐状体(f3,f4)が前記通孔(f2)に挿通し、袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の一側から一の紐状体(f3)が延びて、該包装袋(E)の左右内側の一方に該紐状体(f3)の一端(f31)が固着され、また袋体(F)が展開したときの袋本体(f0)の他側から他の紐状体(f4)が延びて、該包装袋の左右内側の他方に該紐状体(f4)の一端(f41)が固着される請求項5又は6記載の医療系廃棄物の炭化処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−203281(P2007−203281A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178594(P2006−178594)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(506223233)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(506223233)
【Fターム(参考)】
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